あと片付けは盛大に
●Fly high(飛びなさい、高く)
クリスマスが過ぎ去った後のキマイラフューチャー。
アミューズメントパークからは緑・赤・白の三色がしだいに取り除かれ、
来たる新年のお迎えムードへと移行しつつあった。
穴の開き切ったアドベントカレンダー。高い所に飾られたオーナメント。
キマイラたちは力を合わせ、それらを取り除いていく……ことに『飽きた』。
いや、早ない!? と思うかもしれないが彼らは享楽の民。
わかってやってほしい。
「にゃっほい! このツリー、ぶら下がれば一気に倒せるにゃ!」
ネコ科キマイラがよじ登り、ででーん。
「木の葉ぜんぶむしっちゃえば斬新なオブジェになるべ」
森林破壊も辞さない無慈悲なカモシシ型キマイラがもみの木の葉っぱをぺぺぺのぺ。
うん、なるほど。残念なオブジェにはなった。
次から次へとツリーを遊び場に変えていく中で、いっそう注目を集めたのは。
「はーい、皆さんご注目ー! 今日はですね、なんとこのアタクシが、ツリーと共に空へと飛び立ってみせまーす!」
ライブ放送のドローンを従えたバーチャルキャラクターが、なんとツリーにロケットを装着。
そのまま空へと打ち上げてしまったではないか!
「おー」
「にゃるほど」
かくして彼らの魂にも火がつき、クリスマスツリーの打ち上げ大会がはじまったのでした。
……はじめてどーすんのよ!
●クリスマスツリーを飛ばそう(カメラのCM風ボイス)
思わずツッコミを入れた案内役のリグも、キマイラたちなら仕方ないわよねとあきらめ顔。よって今回の依頼はシンプルに、クリスマスツリーの後片付けを手伝ってやってほしいのだとか。
「片づけるっても彼らのこと、フツーのやり方じゃ飽きちゃったみたい。ツリーを飾ってた広間は、なぜか打ち上げ大会の会場と化してるわ!」
リグ曰く、キマイラの持ち寄ったマジカルロケットは素人でも扱える優れもの。カラフルなスモークを撒きながら飛び立つパフォーマンスは、勢い・加速・芸術点の三つの指標で採点されるらしい。
木々に燃え移ることのない魔法の炎を使っているので、着弾点に気遣うことなく安心して空の星となれる。だからあなたも安心するといい。……どこに安心すればいいかなあ!
もういつもの|混沌《カオス》なので説明する側も大事なところはしょってるが、キマイラのバカ騒ぎの後にはきまってオブリビオンたる怪人が現れる。
ひょっとしたらキミには揺れ動く奇っ怪なクリスマスツリー(?)が見えているかもしれないが幻覚だ。このメンチョスコーラで目を覚ませ。
説明を終えたリグは(一部口腔内からぶくぶくあぶくを吐く)あなたたちを転送光で包んでいく。
「もうすぐお正月、すっきりお片付けして気持ちよく迎えたいものね! 皆、よかったら一足先に|深淵《・・》を覗いてくるといいのよー!」
そこ、新年の言い間違えでは。致命的な間違いにつっこみを入れつつ、あなたたちの意識はバカ騒ぎ会場へと送られていくのでした――年明けまでに戻れるか、わっかるかな~?
晴海悠
あわてんぼうのクリスマスツリー。
煙突に詰まって遅れてやってきた。
晴海悠です。ツリーを飛ばしましょう。
Fly highのデタラメ訳は某海外ファッションブランドを意識してます、ちょっぴり。乾燥しなさい。
◇概要
クリスマスツリーを愉快楽しく打ち上げてお片付けしよう! という、心の底からハートフルなシナリオです。ホントダヨ!
基本コメディ補正がかかるので、予想の斜め上いくかもしれません。キャンプファイヤーの時ほどひどい事にはならない、はず(皆さんがはっちゃけた場合は別)。
なお、揺れ動くナニカは遅れてやってくるので一章で探しても見つかりません。その分の字数と情熱をツリーを飛ばす方に傾けるんだ。いいね?
◇できること
一章・二章総じて飛ばして解決する方向になるかと思われます。
臭いものにはロケットつけときゃ何とかなるってばっちゃがいってた。
◇採用方針
来たものから順に書いてサクッストーンと締めます!
クレイジーなノリでもOKですが、お子様に見せられないもの・明らかに破壊活動が主目的なものは省かれます。笑いを取りたきゃギリギリを狙うんだ。
◇新年までに終わる?
が、がんばります……! 間に合わなければ新年一人寂しくひーこら書いてます。
以上、です。ご参加お待ちしてまーす!
第1章 日常
『はっちゃけパーティー!』
|
POW : 勢いに任せてパーティに乗り出す
SPD : 磨いたテクを駆使してここぞと暴れまわる
WIZ : 独特のセンスで周囲を扇動して巻き込む
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キマイラたちの悪ふざけは留まる所を知らず。
園内に設けられた数々のツリーは、特製のロケットを結わえ付けられ打ち上げの時を待つ。
カラフルなスモークを焚いて舞い上がるその様を誰かが「芸術的だにゃ!」と讃え、
またあえてロケットを斜めにしてきりもみ旋回を見舞えば
首の痛くなるほど見上げるキマイラたち。
さあ、楽しいクリスマスは終わった。
後片付けも盛大に華々しくやろう!
あと、間違ってもお空の星になるんじゃないぞ!
冬原・イロハ
クリスマスパーティの打ち上げを楽しんでらっしゃるのですね
イベントは打ち上げ(宴)が大事…………
アッ
そのままの! 物理ですね!
ついでにUCでクッションを用意して、見上げるキマイラさんに提供を
ふかふかですよ♪
大きなツリーは皆さんにお任せして私は小さいのを片付けていきましょうか
小さなツリーたちを集めて置きます
カラフルロケットは縄で繋げて弾帯? 弾薬ベルトみたいにしましょう
まとめて縛ったり、ツリーをまとめて繋げてみたりすれば、まとめて打ち上げられて、まとめてお掃除できると思うんですよ
導線は…………、長くして離れた場所で点火します
なんかねずみ花火になるような気がしなくもないのですが、どうなるのかワクワク
小気味いい発射音の後、お空にぽぽんと打ち上がる緑の針葉樹。
キマイラたちなりの木への配慮か、落下傘がついていたりもするけれど。
「クリスマスパーティの打ち上げを楽しんでらっしゃるのですね。イベントは打ち上げが大事と聞き、ます……アッ」
部分的な理解のまま訪れた冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)は、頭上に花開く無数のパラシュートを見てサファイアの瞳をまるくした。
「そのままの! 物理ですね!」
肉球のおててをぽん、なるほど。どうしてそうなったかは心底謎、でも楽しいこと好きのキマイラたちならさもありなん。
そうと分かれば順応の早いお掃除ねこ、瞬く星たちを呼び寄せ、見上げるキマイラたちのお尻にぽぽんとエアリアルクッションを敷いていく。
「冷たい地べたよりも、ふかふかクッションをどうぞですよ♪」
「わ、猫のおねえちゃんありがとー!」
手を振るキマイラの子どもの声に、一瞬瞳を瞬いて。
(「……ふふ。ね、私。もうお姉ちゃん呼びにも慣れたのですよ?」)
――いつかの記憶は留めたままに、手を振り返す。
とはいえ、齢十八を迎えてもイロハは小柄なケットシー。
3mを越すようなツリーは手に余るからと、彼女が選んだのは小さなツリー。
「カラフルなロケット、繋げると弾帯? 弾薬ベルト、みたいですね?」
赤、橙、黄、緑。七色の虹模したロケットをぐるりと巻けば、空飛ぶ様はきっとレインボーアーチ。ツリーを束ね、ぐるりるりりと八の字を描き。
「こうすれば、まとめて打ち上げられて、まとめてお掃除できると思うんですよ!」
「わ、結構集めたね……! 大丈夫、団子になっちゃってない?」
様子を見に来たキマイラにも手伝ってもらい、導火線の準備。
長くなが~く伸ばした線の先、茂みに身を隠したイロハはいつの間にか迷彩色のヘルメットを身に纏っており。曰く、「爆ぜちゃったらちょっとコワイので」とか。
おっかなびっくり火を点ければ、しゅるしゅると線を辿った火花はロケットのふもとで見えなくなり……そして。
しゅぽん。しゅぽぽぽ、ぱぱーん。
「わ、わ、順に火が点いちゃったのです!?」
導火線が同時点火じゃなかっただけに、時間差で点火したロケットは空中で思わぬ軌道を描き。
「あっ――」
顔を覆うイロハのおてての向こう、きっとジュースが飲みたかったのでしょう――制御を失ったツリーは無人のカフェテラスへ綺麗に不時着を決めたのでした。
大成功
🔵🔵🔵
クック・ルウ
おお、やってるやってる
この大掃除の時期、部屋の片付けが大変でな!
丁度何かを放り出したい気分だったのだ
一つどでかいのを打ち上げさせてくれ
ロケットを沢山つけたやつはどれかな?
派手に豪快に
宇宙に届くぐらい景気よく飛ばしたいものだ
準備ができたらツリーを持ち上げて
せーの
断捨離ーーー!!
はははは! すっきりするなこれは!
赤、緑、橙――空にたなびく幾筋ものスモーク。途中、地表へ放物線を描いたものも、努力の跡と思えばオツなもので。
「おお、やってるやってる」
訪れたクック・ルウ(水音・f04137)は、天に立ち昇るロケットの夜光雲を見上げて腕まくり。日頃は様々な服を着こなす彼女だが、今日は汚れの目立たぬジーンズと古着の普段着姿。どうやら年末の大掃除を途中で切り上げてきたらしい。
喰らい貯め込む性のブラックタールとて、大事なものまで溶かせはしない。縁の生まれるたび部屋には思い出の品がずいぶんと増え、一つ一つにはたきをかけていたら時間があっという間に過ぎてしまった。
「毎年この時期は部屋の片づけが大変でな! 丁度何かを放り出したい気分だったのだ。ひとつ、どでかいのを打ち上げさせてくれ」
「んー、じゃあこっちのツリーはどう? さっきロケットつけてみたけど重すぎて上がらなかったんだぁ」
キマイラ青年が指差したのはひと際大きなモミの木。ぐるりと爆竹のようにロケットを巻いても、根っこがしっかりしすぎて上がらなかったとか。
「うむ、これか。飛ばしがいがありそうだ」
周りのキマイラたちを巻き込まぬよう、観客のいない所までツリーを引きずり。ロケットの導火線を一つに束ね、根元の部分に火を点ける。
「あれ……でも、その数じゃあ飛ばないんじゃ」
「ふふ。ロケットにはクックを手伝ってもらうだけだ」
ハテナを浮かべて首を傾げるキマイラの前、しゃがみ込んだクックの腕は木の根をがっしと掴み。
「せーの。断捨離ーーー!!」
10トントラックも持ち上げる怪力、びったーん! 空へ一直線に打ち上げられたツリーの下で、尾っぽのようなロケットの噴煙がしゅばばばとカラフルなスモークを焚いていく。
年の瀬の日めくりカレンダーよりもマッハで消えていく巨大な木に、額のしずくを拭い。
「はははは! すっきりするなこれは!」
あれは宇宙までいったな、と。採点係のキマイラは飛距離を図ろうとして、すぐに計測不能の札を出したのでした。
大成功
🔵🔵🔵
水琴・ヤト
キマイラフューチャーは近未来的な素敵な世界って聞いたんだけど……
ぎじゅつのむだづかい……というやつ?
ううん、無駄遣いにこそ芸術が生まれるんだよね
よくわかんないけど楽しそうならオールオッケーだよね!
あんまり点数を競うつもりはないけど、どうせならこう……楽しくやりたいよね!
ヤトちゃんは派手派手にスモークを炊けるやつにしようかな
虹色とかがいい!絶対かわいい!
……果たして可愛さが必要な場面なのかは置いておいて
勢いも出来ればあれば嬉しいな
その方が笑えるし
あとはもう流れに身を任せて
たーまやー!で打ち上げちゃおう
……お正月も近いのに気分は夏だ!
なんか身体も熱くなってきた!テンション上がってるんだね!
硝子のように透いた足が、靴音をことりと奏で。水のように揺蕩う声も、この喧騒を前にしては若干戸惑いがちに響く。
「キマイラフューチャーは近未来的な素敵な世界って聞いてたんだけど……これは、ぎじゅつのむだづかい……というやつ?」
水琴・ヤト(溺れ人魚の噂・f38518)には、ヒトの考えることはよくわからない。些細な事のために争ったかと思えば、素晴らしい技術を変な方に注ぎ込んだりもして。
「ううん、無駄遣いにこそ芸術が生まれるんだよね。よくわかんないけど、楽しそうならオールオッケーだよね!」
分からないなりに、キマイラたちの意思を尊重する。きっとどんな技術も、誰かの願いとこだわりの果てに生まれたのだろうから、と。
早速ツリーを飛ばすロケット選びに繰り出したヤトは、色とりどりのロケットに目を輝かせて物色する。
「あんまり点数を競うつもりはないけど、どうせならこう……楽しくやりたいよね!」
キマイラ特製のマジカルロケットは、スモークの色ごとに分けられていて。ピンク、水色などのポップなカラーに、噴き出す煙が途中で虹色に変化するものも準備があった。
「わ、これ絶対かわいい! 派手派手にスモーク焚いて飛んだら絶対映えるよね!」
「お、目の付け所がいいね! あとはこれとかねぇ、途中できらきらお星様が出てくるんだ~」
星形のオブジェを吐き出すものなど、いくつか変化球のロケットも手に取りいざ出陣。
主推力には力強い白のスモーク、周囲を虹色と星でぐるりと一周取り囲み。斜めに結わえ付ければ、きっと螺旋状のアーチを描いてくれるはず。
「あとは火を点けて……3、2……1!」
たーまやー! しゅばん、と勢いよく飛んだツリーロケットは弧を描き、遠くの空き地へと放物線を描き落ちていく。
寒空に残る、極彩色の雲の轍。夏と違って透いた空も、ヤトには取り合わせがよく感じられて。
「ふふ、お正月も近いのに気分は夏だ! なんか身体もあったまってきた!」
風は冷たくとも、心はぽかぽかハイテンション。また冷えてきたら、コンコンコンでジンジャーミルクティーでも飲もう。採点板を掲げたキマイラに手を振り、ヤトは他の者たちの打ち上げを見守るべく観客席へと歩いていった。
大成功
🔵🔵🔵
尾花・ニイヅキ
【波咲神社】
深淵。混沌。それがキマイラフューチャーだ。
ツリーだって飛ぶよな。僕は分かるぞ。
何かこういう勢いでカクリヨでも飛んだ覚えがあるぞ!
というわけで僕もバーチャルキャラクターに負けず飛んでみるとしよう。
この間意図せず木と一緒に飛ぶこともしたし、今の僕なら結構良い感じに飛べるはず。
ツリーと共に空へ飛んでから上空でツリーを綺麗な花火に変えることだってできる!(なぞのじしん)
どうにか高い所に行くまでツリーにしがみつくけど……これ結構難しいな!
振り落とされる直前に炎と雷と氷の『属性攻撃』で派手に爆発させよう。
飛ぶ姿は騒ぎに慣れたキマイラ達に勝てずとも、演出なら僕だって負けない……!
ツリーロケット最前線、パークの広大な空き地には順番待ちのツリーが発射基地よろしくずらりと並ぶ。まだ電飾の光るものもやがて空にあがり、輝く星となるに違いない。
「深淵。混沌。それがキマイラフューチャーだ」
全世界に誤解を招く発言をしながら現れた尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)は、のっけから完全に目が逝っ……もとい、据わっている様子。
「ツリーだって飛ぶよな。僕は分かるぞ」
「そうかあ? 所謂『お前さんの中では』じゃないのか」
条件反射的にツッコミつつも、青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)もこの世界の発想がぶっ飛んでる事は否定できず。
「まあ、いろんないみでぶっ飛んでんのは確かだなぁ……そういうところが好ましいんだけども」
掟やしきたりに縛られない点で、ここの民はある種健全だと仁は思う。常識破ることを是とする彼らだ、忌まわしい因習などとは無縁だろう。
現に、ほら。ツリーロケットに跨るバーチャルキャラクターはパラシュート持参とはいえ、自ら危険を冒して空へ飛び立ったではないか。
「きゃああ……見て下さい、皆さん! 私、今上空にいまーす! ほらカメラ、こっちこっち! ちょっと画角悪いわよ!?」
悲鳴と共に打ちあがり、上空でライブ配信を続ける逞しさ。
「っ……何かこういう勢いでカクリヨでも飛んだ覚えがあるぞ!」
脳内の変なシナプスを刺激され記憶の目覚めるニイヅキ、彼らに続けと掴まるのに手頃な木を探しに行く。
「この間意図せず木と一緒に飛んだし、今の僕なら結構良い感じに飛べるはず……飛んでからツリーを綺麗な花火に変えることだって!」
「その謎の自信とガッツはどこから来るんだか……あと意図せず木と飛んだって何? おじさん聞いてないよその話」
勢いでしゃべくりながら太い枝をがっしと掴むニイヅキの話に、眉をひそめていた仁はいつの間にか自分の胴体が大木に括りつけられている事に気づく。
「何これ、おじさんも飛ぶ流れ? ってかこれ注連縄? 俺悪霊扱い??」
渋々飛んで逃れようと思っていたら、これじゃ逃げる隙もあったもんじゃなし。周りには発射を待ちわびたキマイラ小僧たちが、ワクワクテカテカした目で龍神(46)の行く末を見つめていて。
「何じゃこりゃ、メチャメチャ視線痛い……圧が……!」
これ、何かのサバト?? そう思った瞬間、視界が激しく上下に揺れた。
一瞬手放した意識を取り戻せば、空の上。傍らのニイヅキは何とかかんとか、必死で風に耐えしがみついている。
「っ……これ、結構難しいな!」
高めた魔力で演出花火を加えようと、片手でしがみつくニイヅキとは対照的に。両の手の空いた仁は手持ち無沙汰で、懐から連なる白の形代をずるりと抜き出した。
「ホントは折紙にしてやろうかと思ったが、やめだ。このままじゃ地上に落ちて危うい、身代わりになれ……!」
人型に切り抜かれた無数の紙が宙を舞い、手を繋ぐように視界の端を舞い降りていく。
一方のニイヅキ、必死な仁の行動もアウトオブ眼中。演出なら負けないと対抗心を燃やし、三色の魔力を織り上げる。
「飛ぶ姿は……キマイラたちに勝てなくったって……!」
「あ、バカ、こんな近くで可燃物は……!」
空に爆ぜる、色とりどりの爆発煙。木っ端みじんに砕けたツリーの破片も、地表に落ちる前には燃え尽きて。
キマイラが芸術点満点を掲げるその雲の中にはきっと形代の残滓も含まれていただろう。身代わりのなくなった二人の軌跡は、斜め垂直に地表へ勢いよく落ちていった。
大成功
🔵🔵🔵
青梅・仁
【波咲神社】
流石キマフュ、ぶっ飛んでんなぁ……。いろんないみで。
まあそういうところが好ましいんだけども。
嬢ちゃんのその謎の自信とガッツ何? そういうの別の所で見せて欲しい。
あと意図せず木と飛んだって何? おじさん聞いてないよそれ。
思ったんだけど、このツリー単体で飛ばせば解決じゃないの?
駄目?
本当はあんまり飛びたくはないんだが……何かメチャメチャ視線痛い……圧……
……やるしかねぇかあ……。
ツリーと一緒に打ちあがったら一番高い所で折紙をばらまく。
神気で勝手に折りあがるそれを上から降らせりゃ多少は楽しませられるんじゃないか?
ちゃんと楽しんだなら片付けも頑張って、楽しい新年迎えられるように頑張れよー。
※作者からのお詫び
申し訳ございません。プレイング選択のミスにより、同時採用予定の方をお一人のみでの採用としてしましました。
以下、先の項と同じリプレイが続きますが、お二人同時に居合わせたものとして扱って構いません。
不格好となってしまいますが、以後同じような事がないようチェックを重ねてまいります。
* * *
ツリーロケット最前線、パークの広大な空き地には順番待ちのツリーが発射基地よろしくずらりと並ぶ。まだ電飾の光るものもやがて空にあがり、輝く星となるに違いない。
「深淵。混沌。それがキマイラフューチャーだ」
全世界に誤解を招く発言をしながら現れた尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)は、のっけから完全に目が逝っ……もとい、据わっている様子。
「ツリーだって飛ぶよな。僕は分かるぞ」
「そうかあ? 所謂『お前さんの中では』じゃないのか」
条件反射的にツッコミつつも、青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)もこの世界の発想がぶっ飛んでる事は否定できず。
「まあ、いろんないみでぶっ飛んでんのは確かだなぁ……そういうところが好ましいんだけども」
掟やしきたりに縛られない点で、ここの民はある種健全だと仁は思う。常識破ることを是とする彼らだ、忌まわしい因習などとは無縁だろう。
現に、ほら。ツリーロケットに跨るバーチャルキャラクターはパラシュート持参とはいえ、自ら危険を冒して空へ飛び立ったではないか。
「きゃああ……見て下さい、皆さん! 私、今上空にいまーす! ほらカメラ、こっちこっち! ちょっと画角悪いわよ!?」
悲鳴と共に打ちあがり、上空でライブ配信を続ける逞しさ。
「っ……何かこういう勢いでカクリヨでも飛んだ覚えがあるぞ!」
脳内の変なシナプスを刺激され記憶の目覚めるニイヅキ、彼らに続けと掴まるのに手頃な木を探しに行く。
「この間意図せず木と一緒に飛んだし、今の僕なら結構良い感じに飛べるはず……飛んでからツリーを綺麗な花火に変えることだって!」
「その謎の自信とガッツはどこから来るんだか……あと意図せず木と飛んだって何? おじさん聞いてないよその話」
勢いでしゃべくりながら太い枝をがっしと掴むニイヅキの話に、眉をひそめていた仁はいつの間にか自分の胴体が大木に括りつけられている事に気づく。
「何これ、おじさんも飛ぶ流れ? ってかこれ注連縄? 俺悪霊扱い??」
渋々飛んで逃れようと思っていたら、これじゃ逃げる隙もあったもんじゃなし。周りには発射を待ちわびたキマイラ小僧たちが、ワクワクテカテカした目で龍神(46)の行く末を見つめていて。
「何じゃこりゃ、メチャメチャ視線痛い……圧が……!」
これ、何かのサバト?? そう思った瞬間、視界が激しく上下に揺れた。
一瞬手放した意識を取り戻せば、空の上。傍らのニイヅキは何とかかんとか、必死で風に耐えしがみついている。
「っ……これ、結構難しいな!」
高めた魔力で演出花火を加えようと、片手でしがみつくニイヅキとは対照的に。両の手の空いた仁は手持ち無沙汰で、懐から連なる白の形代をずるりと抜き出した。
「ホントは折紙にしてやろうかと思ったが、やめだ。このままじゃ地上に落ちて危うい、身代わりになれ……!」
人型に切り抜かれた無数の紙が宙を舞い、手を繋ぐように視界の端を舞い降りていく。
一方のニイヅキ、必死な仁の行動もアウトオブ眼中。演出なら負けないと対抗心を燃やし、三色の魔力を織り上げる。
「飛ぶ姿は……キマイラたちに勝てなくったって……!」
「あ、バカ、こんな近くで可燃物は……!」
空に爆ぜる、色とりどりの爆発煙。木っ端みじんに砕けたツリーの破片も、地表に落ちる前には燃え尽きて。
キマイラが芸術点満点を掲げるその雲の中にはきっと形代の残滓も含まれていただろう。身代わりのなくなった二人の軌跡は、斜め垂直に地表へ勢いよく落ちていった。
大成功
🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
杜環子(f33637)先輩と共に。アドリブ歓迎
なるほど、普通モミの木を片付けるのはとても苦労します
ですがこれなら楽しくラクして片付けられますね、キマイラの皆さんとっても賢いです!!(常態化してる不眠とクリスマス連勤によるハイテンション)(若気の至りで差をつけろ)
ロケットは三項目が評価されるみたいですが、ここは……速度を重視したいです
なぜって?モミの木が飛ぶだけでもすごいのにそれが高速で飛んでいくんですよ。絶対楽しいですって見たくないですか先輩
という事で、リベレイションをロケットに憑依させましょう。どの位飛ぶか楽しみです
英霊に怒られるんじゃないかって?大丈夫ですよ…たぶん
壽春・杜環子
【ディルくん(f37834)】と一緒
アドリブ歓迎
なるほど?
やだ…今の流れなるほどするとこですの?嘘でしょ
え?賢いの?ほんと?ねぇねぇディルくん、くりすますつりーみんな飛んでっちゃいますわよ?いいの?なんで?処分って…木材にでもすればいいのに
もったいないこたちなんだから、もうっ
何かしら、なんだかあの子いつもと違うわ…妙に元気というよりちょっとおかしいというか…
どうしましょ?
もみのきこうそくでぶっとばす…どっかんですね?たのしそう!
いやでも…
…
…
…きまいらだからいっか!
ん?りべれ…あら英霊様お久しぶり…うそぉ、そこ乗るんですの?やだ、可哀想…
ね、ねぇディルくん英霊様怒ってらっしゃらない?大丈夫?
思い切ったキマイラたちの行動のおかげで、園内に準備されたツリーは次々と片付いていく。
「なるほど、普通モミの木を片付けるのはとても苦労します」
世界を見て回る旅の中では、様々な発想に巡り合う。出禁を解かれ、無事キャンプを満喫できるようになったディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は、キマイラたちの解決策に得心がいったように手のひらを打った。
「これなら楽しくラクして片づけられますね。キマイラの皆さんとっても賢いです!!」
「なるほど、なるほど。……なるほど?」
目の下に隈作りヘドバンの如く首肯する後輩の隣、壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)は「なるほど」という言葉の意味を反芻する。
「やだ……今の流れなるほどするとこですの? 嘘でしょ??」
まさか、道中どこかでヤバいお茶でもキメたんじゃなかろうか。それか、|クリスマス《くるしみます》前後の十連勤で精神がイカれたか。後者ぐらいしか心当たりはないものの、杜環子の脳裏には蘇るキャンプの悪夢。
「ねぇねぇディルくん、くりすますつりーみんな飛んでっちゃいますわよ? いいの? なんで?」
ヤドリガミの杜環子の身からすれば、動けぬ植物の心は自らに近しい。せめて飛ばさず柾目材にすれば、反りや狂いの少ない良質な家具にもなるだろうに、と。
「杜環子先輩……いい言葉があります。郷に入っては郷に従え、ですよ」
「それはそうだけど……もったいないこたちなんだから、もうっ」
抵抗感のある杜環子を見て、キマイラたちも少し気が咎めたのだろう。そ……と申し訳程度にツリーに添えられた戒名の札に、杜環子は「いえ、そうじゃなくて」と首を振った。
さて、何はともあれロケット選び。目利きと来れば、ディルの観察眼の鋭さも役に立つ。
「三項目で判定されるみたいですが、ここは……速度を重視したいですね」
使っている推力の特徴をよーく聞き、ディルは初速を重んじて一本のロケットを選ぶ。
「ふふ……空の彼方まで飛ばすのですよ……高く、高く」
真剣さのあまり周りが引くぐらいにのめり込むディルの姿に、杜環子は彼の精神状態を疑った。
(「何かしら、なんだかあの子いつもと違うわ……妙に元気、というよりちょっとおかしいのではなくて?」)
杜環子には普段落ち着いて見える後輩の豹変っぷりが信じられいようだが、考えてみてほしい。普段の姿こそが仮初で、こちらが本性な可能性も時間質量論レベルで存在する、のでは。
「ねえ、どうしてそこまでご執心なのです?」
「なぜって? モミの木が飛ぶだけでもすごいのにそれが高速で飛んでいくんですよ。絶対楽しいですって見たくないですか先輩」
高速早口でまくし立てるディルの目に浮かぶ、深淵に通じるぐるぐる渦巻き。暗示がかかるように吸い込まれ、杜環子の意識は「ツリー×飛ばす=楽しい」の一念に塗り替えられていく。
「そらのかなたへ……もみのきこうそくでぶっとばす……どっかんですね? たのしそう! いやでも……」
一瞬見せた躊躇はヤドリガミの矜持。物を粗末にするなど、これまでの生が恥じないだろうか、と。
「……。……きまいらだからいっか!」
彼女の意地が、ついに飲まれた瞬間だった。
さて、いざ発射という所でディルがメダリオンを翳して曰く。
「まずリベレイションをロケットに憑依させます」
「ん? りべれ……英霊様お久しぶり……うそぉ、そこ乗るんですの? あと何ですのその恰好」
ツリーロケットには積載部などある筈もなく、樹上の先端に跨る形でなぜかほぼ裸の英霊が降りていく。あれだ、きっと蘇民祭の予行演習中だったんだ。
「どのくらい飛ぶか楽しみです」
(「やだ、可哀想……でもあの姿なら多少ひどい目見てもいいかしら」)
どこかぞんざいな扱いをされたのを感じたのか、怨嗟の叫びをあげならツリーロケットは上空へと消えていく。速度、及第点。
「ね、ねぇディルくん。英霊様怒ってらっしゃらない? 大丈夫?」
「大丈夫ですよ。英霊の皆様、懐広いですから……たぶん」
果たして英霊たちの怒りは如何なるものか――次章を待たれよ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アミリア・ウィスタリア
【小夜の藤筏】
キマイラフューチャーのクリスマスは賑やかですね!
ミラも見てて楽しいです。
お片付けって確かに面倒になってしまいますし、こうして楽しんだ方が案外片付くのではないでしょうか。
飛んだ先のことは、また後で考えましょうね。
それにしても……猟兵であればともかく、キマイラの方はこの勢いで飛んだら怪我したりしないのでしょうか?
それでも飛びたくなる気持ちはとても分かりますけどね!
ミラも飛びたいです!
でも、小さいツリーばかりですね……。
というわけで私、モーラットに変身します! これなら選び放題!
うっかり落ちてもふわふわですから人に怪我をさせるリスクは低いはず。
うふふ、どこまで飛べるかしら。楽しみです!
リコ・リスカード
【小夜の藤筏】
……猟兵になってすぐに見る景色がコレって中々アレな気がするけど……こういう景色に慣れとかなきゃこの主についてける気がしない気はすっごいするんだよねぇ……。
それはさておきすっごく飛ぶねこれ。
どういう技術してるワケ?
「見てもいい?というか勝手に見るねェ」
マジカルロケットを『解体』して中身を確認してみる。
へぇー……ほんとどういう技術?
ちょっといくつかのロケットを改造して魔術付与してみていい?
何かイイ感じに出来たらキマイラ達を上手いことノせて飛ばしてみちゃお。
主が飛びたがってるようだし、そこにも改造ロケットつけといてあげよっかな。
主を飛ばしたら残りのミサイルも改造しにいこーっと!
互いの輪をくぐるように、弧を描き。空を彩るカラフルなスモークに、魂人のアミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)は目を輝かせた。
「キマイラフューチャーのクリスマスは賑やかですね! 私の昔いた世界じゃ考えられないぐらい」
白と黒、霧に滲んだ暗灰色と血の紅のほかは、色のなかった闇黒の地底。それに比べればキマイラの都市のポップな色は、心に火を灯すように鮮やかで。
「ミラも見てて楽しいです」
夢心地で呟くアミリアの隣、闇色のローブを纏った背の高い影は深く、地の底まで届きそうな溜息をつく。
「……猟兵になってすぐに見る景色がコレって、なかなかアレな気がするけど」
死神が好んで此処を訪れるはずもなく、リコ・リスカード(異星の死神・f39357)が居る理由はただ『主が出向いたから』。魔石の封印を解いた恩はあるとはいえ、飛び交うツリーロケットを胡乱な目で眺める彼は投げやりな口調でこう呟く。
「こういう景色に慣れとかなきゃ、この主についてける気がしないんだよねぇ……」
邂逅を主のせいにしてはいるものの。初依頼で本件を引いた以上は、『そういう星』の元に生まれたと諦めるほかなかろう。
「お片付けって確かに面倒になってしまいますし、こうして楽しんだ方が案外片付くのではないでしょうか」
「散らかす、の間違いじゃないのォ?」
すかさずツッコミを入れるリコの眼前でロケットが飛び立てば、彼の興味は乱痴気騒ぎでなくマジカルロケットの技術に向かう。
「にしても、すっごく飛ぶね、これ。どういう構造してるワケ?」
「これはねぇ、なんやかんやで飛ぶんだよ~」
「中身見てもいい? というか勝手に見るねェ」
「いいよぉ~」
いいのか。間延びしたキマイラの返答も待たず、マジカルロケットを死神の鎌で|解体《バラ》してみれば、中に入っているのは謎のふわふわした球体ばかりで。
「へぇ~……ほんとどういう技術??」
「技術はね~、なんやかんや」
技術屋のリコをして分からんとなる謎技術。今は亡き大首領、ドン・フリーダムぐらいになれば知っているかもしれないが、コンコンコンといいキマイラフューチャーの技術の源泉は分からないものばかりだ。
「いくつか改造して魔術付与してみていい?」
「ちょっとかなりならいいよぉ~」
一体どの程度ならいいのか。また返事も聞かずに魔改造を始めるリコをよそに、アミリアは空飛ぶキマイラたちのはしゃぎっぷりに目を向ける。
「猟兵ならともかく、キマイラの方はこの勢いで飛んだら怪我したりしないのでしょうか?」
背中のパラシュートで守られているとはいえ、ロケットに跨るのは勇気が要りそうなもの。好奇心に従いぴょいぴょい飛び立つ彼らの様子は、言える立場じゃないがなかなかに命知らずだ。
「でも……飛びたくなる気持ちはとても分かりますけどね!」
そういって小走りで駆けた先には、人が跨るには小さめのツリーばかり。剪定されていて葉ぶりは整って見えるが、空へ運んでもらうにはパワー不足に感じた。
「そうですね……こういう時は。私、モーラットに変身します!」
あふれる勇気を胸に秘め、ぐるりと回した腕で正義のVポーズ! ふわふわ毛皮の妖獣・モーラットに変身したアミリアは、早速てこてこもきゅーっとツリーロケットの一つにしがみついた。
(「うっかり落ちてもふわふわですから人に怪我させるリスクは、低……!?」)
しゅごっ。マシュマロ毛並みを焼き焦がさんばかりの勢いで噴き、ロケットはぐんぐんと空へ加速する。見ればツリーは多段型ロケットに魔改造されていて、さながら宇宙開発競争の初速に全力投じすぎたサターンロケットのようで。
「も、もきゅきゅ、きゅぴ……きゅきゅぷい~~っ」
「あ~……加速重視しすぎるとああなるのかぁ。飛距離は伸びたけど、あれは燃料もたないねぇ」
きらーん。ちゅどーん。遠く空の彼方で爆発四散するロケットを尻目に、リコは尊い犠牲を教訓に活かすべく次のロケット改造に取りかかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
うーん流石俺の故郷の世界、イカしてるねー。
あんまりお片付けが遅くなるのもよろしくないしお空の旅送りでもなんでもちゃちゃっと片づけちゃおう。
ポイントは勢い、加速、芸術点…芸術点はともかく残りは客観的に計算できるからそこで頑張らないとね。
と、いう訳で。精霊に呼びかけ協力依頼、マジカルロケットをギリギリな数取りつけてお空にゴーして貰おう。
精霊さん微調整お願いねー。何か精霊アイデアで花火を美しく飾ってもいいし。
やりすぎ?きにしなーい。年に一度ぐらいはっちゃけていいむしろはっちゃけるべき…?
あ、万一片づけ終わってなくて無事なツリーが残ってたら空シャチ召喚して鯱海戦術で片づけるね。
※アドリブ絡み等お任せ
たなびく雲の名残も消えかかり、そろそろ浮かれたパーティも潮時。
地表に不時着したツリーを回収に向かったりと、一部結局コストがかかっているようにも見えるが、楽しく片付けられたなら越したことはない。
「うーん、出番の終わったツリーをお空の旅送りかぁ。流石俺の故郷の世界、イカしてるねー」
いつだってマイペースなヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)の気質もやはり、この地に由来するもので。何でも力づく、かつ楽しく解決する気風は、彼にとって南洋の風と同じく心地の良いものだ。
「あんまりお片付けが遅くなってもよろしくないし、ちゃちゃっと片づけちゃおうか」
早速残るツリーの運搬に取りかかるヴィクトルに、キマイラたちはマジカルロケットを快く差し出してくれた。
「残り少ないけど、盛大にやっちゃってほしいんだべ」
「どうも。採点ポイントは勢いと加速……芸術点は狙うのむずかしいから、稼げるところで頑張らないとね」
故郷を離れたヴィクトルが身につけたのは、自然に親しむ精霊術。大気中に満ちる精霊に呼びかけ協力を願えば、彼らは是非を問うまでもなく快諾した。
「精霊さん、微調整お願いねー。あ、何か素敵なアイデアでロケットを美しく飾ってもいいよ」
ロケットの向かう方角をがっちり固定し、狙うは飛距離の稼げる発射角。気持ち斜めに構えたツリーの導火線に火を灯せば、勢いよく煙が噴き出して秒読みを迫る。
「3……にぃーい……わぷっ」
多少、思っていたよりもタイミングはズレたけれど。音を置き去りにして飛ぶロケットは、精霊魔術の燐光を残しながら遠くの空に落下傘を開かせる。
「おー、派手に飛んでる。やりすぎ? きにしなーい。年に一度ぐらい、はっちゃけるべきだよ。……だよね?」
そうこうしてる間にロケットも尽き、残るツリーたちはヴィクトルの仲間、空泳ぐオルカたちによって運ばれていく。なんだかんだキマイラも気にはしてるようで、無事残ったツリーは運搬用ドローンが何台も力合わせ、来年の催事に備えて一箇所に集められた。
「さ~て、これで万事解決……といけばいいんだけど」
穏便な解決を望みたいところだが、グリモア猟兵の予知では、そうもいくまい。いつ怪人が湧いて出てもいいようにと、ヴィクトルは人知れずあたりの警戒についた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『怪人・モミの木モミ男』
|
POW : 無限の彼方へ
【おもちゃの音声を響かせること 】によりレベル×100km/hで飛翔し、【スピード】×【ベツレヘムの星の尖り具合】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : ブレるクリスマスツリー
【激しいダンスの振動でじわじわ動きながら 】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : わしがサンタじゃ!
【プレゼント爆弾 】【ツリーの飾り】【あとその辺の靴下など】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
空にたなびく夜光雲、あらかたツリーを飛ばし終えたキマイラとあなたたち。
さて、これで無事帰れる……すわ、依頼完遂! と思いきや。
「ふぉっふぉっふぉ~~」
目の前にゆさゆさと揺れるあれはなんじゃろな。
サンタ? 変質者? いや、クリスマスツリーだ!(ホントかなあ)
異様なまでの横揺れダンスで迫る、謎の木たち。
どうやら彼らも怪人らしく、キマイラたちをじりじりと追い詰めていく。
「ふぉっふぉっふぉ~~、クリスマスはぁ~~今日じゃあ~~」
「にゃにゃっ!? このツリー飛ばないにゃ!」
いや、そうじゃなくて。この期に及んで妙なガッツを見せる猫科キマイラを引き剥がし、あなたたちは奇っ怪なクリスマスツリーへと向き直る。
敵の実体を捉えようにも、ツリー怪人はゆさゆさ揺れて攻撃が当たらない。
ロケットで括ろうとすれば「さあ行くぞい!」と謎ボイスであたりを勝手に飛び交い、
遠距離戦を挑めば爆発するプレゼントとオーナメント、
あとなんか臭い靴下が飛んできてこちらを襲う。
ペースを狂わされる奇妙な敵だが、年越しにこんなお荷物は背負っていられまい。
さあ、迫る怪人の魔の手を振り払い、晴れ晴れしき新年を迎える権利を獲得したまえ!
――なお、なんでツリー怪人が現れたかは永遠の謎である。
エリュファシオン・アルティウス
防御はオーラ防御と反射属性(属性攻撃)で防御して反射する
…試して見るか
私はガンナイフから呪殺弾を放った
しかし躱される
なるほど激しいダンスをしながらじわじわ動いているのは攻撃を予想し回避するためか…
次はこれだ!
ガンナイフから矢弾の雨を敵に放つ
敵は当然回避…出来たが地形の利用で壁に当たり後ろから飛んで来た跳弾には全て当たった
やはり後ろからの攻撃は有効のようだね
IT'S SHOWTIME!政宗!
『オォォー!』
オーさんは床に毒の氷を(凍結攻撃と毒使い)貼って敵を捕らえる
これで…逃げられないよ!行け!政宗!『八卦跳び』!
政宗はクリスマスツリーを一瞬で8回切り裂いた
止めだ!
私は衝撃波を纏った怪力でぶん殴る
オオサンショウウオ型の生体バイクにまたがり、颯爽と駆け付ける一つの影。
長い燕尾服の裾を翻し、会場に降り立ったエリュファシオン・アルティウス(“やんきー”を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)は、激しく揺れ動く怪人の森を訝しげに見た。
「後片付け中に妙な怪人が現れたと聞いてやってきたが……」
「ふぉっふぉっふぉ~~」
明らかに変質者、もとい、怪しい木。だが動きの機敏さは侮る事はできなさそうだ。
「……揺れ動いて躱す木か。試してみるか」
ガンナイフの刃を下げ、銃口から呪いを塗りこめた弾を放つ。乾いた音の後に着弾音はなく、呪いの弾は大きく反った木の向こうで甲斐なく地面を染めた。
「なるほど、激しいダンスをしながらじわじわ動くのは攻撃を予想し回避するためか」
次はこれだ、と続け様に銃弾の雨を放ち、敵の動向を見る。避けられた――と思いきや、後ろで跳弾した弾が一発木の幹にめり込んだ。
「ふぉっふぉドゲッフォウ!?」
「……やはり後ろからの攻撃は有効のようだね」
にやりと笑みを浮かべ、ガンナイフの刃で五芒星の印を切る。即席の召喚陣より現れたのは、武者甲冑を纏う戦国時代の武士。
「It's showtime! 出番だ、政宗!」
呼び出された武士逆行王・政宗は、刀を手に敵へと一目散に駆ける。鎧甲冑の重さをものともせず駆ける足は見事だが、ただ駆けるだけではやはり躱されてしまう。
『オォォーー!』
物言わぬ武者に代わり、バイクへの擬態を解いたオオサンショウウオのオーさんが鬨の声をあげる。そして間髪入れずに毒の酸液を吐いて地に満たせば、身動きを封じられた敵は粘つく液から枝葉を引き剥がそうと必死だ。
「これで……逃げられないよ! 行け、政宗! 八卦跳び!」
手頃な他のツリー怪人の植木鉢を足がかりに乾坤一擲の大跳躍。幹に鋭く突き入れられた刀はメリメリと木を割り、反対側へと突き抜けた。
「あとは……これで、とどめだ!」
遠距離で避けられるのなら、至近距離から。振りかぶり、圧を伴う正拳を見舞えば、ツリー怪人はグラサンの奥から涙を流して消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
花咲・月華
『な…何だあれは…』
朱雀が困惑している
変な動きをしているけど…そんな相手には虹華万暁!
虹華万暁の効果で伝説の大妖怪・王牙を同時発動
攻撃は(軽業使用)地形を利用しながら
敵の上空から弾幕に影縛りの力を纏わせて攻撃しながら動きを止める
『…取りあえず攻撃しよう、うん』
朱雀は焼却と爆破を纏った衝撃波を範囲攻撃で広範囲の敵に当てる
王牙はこの世の条理を超えて行く攻撃で回避する敵のUCを無視して攻撃する
防御は結界術で身を守るよ
さあ…止めだよ!虹華万暁!
この世の条理を超えて行く焔の槍の貫通攻撃で敵を吹き飛ばした
ツリー怪人を睥睨する焔の巨躯。極東の神話に出てくる鳳凰を模した意思持つキャバリア『朱雀』は、頭部から困惑の声を響かせた。
『な……なんだあれは……』
「なんだろうね、ホント」
搭乗席に座る花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)から見ても、確かに異様な光景だ。ゆさゆさと揺れる木の動きは自然界にないもので、故郷カクリヨの妖怪でもあんなに奇妙なものは居ないだろう。
「変な動きをしているけど……ひとまず上空からの殲滅は任せたよ!」
『……とりあえず攻撃しよう、うん』
キャバリア操縦を自動モードに切り替え、機体の外に出た月華は、一族に代々伝わる焔の二叉槍・花咲皇花槍を高々と掲げる。
「虹華万暁……出ておいで、王牙!」
故郷で結んだ縁を頼りに呼び出すは、伝説に名を残す犬の妖怪・王牙。地に爪を突き立て、身の毛もよだつ遠吠えをあげる王牙へと、虹華万暁の必中の魔力が宿る。
勇ましき王牙を先頭に、月華は軽業めいた身のこなしで地を駆ける。上空から時折降り注ぐ朱雀の火焔と衝撃波が広範にわたって降り注ぎ、木々の動きを徐々に鈍らせていく。
「グルルルル……ゴウッ」
王牙が持つのはこの世の条理を超える力、多少の物理法則は無視できる。くわえて虹華万暁の魔力が宿れば、敵を組み伏せることぐらい造作もない。
「やったね、王牙! ケガはない?」
次に襲い来るツリー怪人に備え、王牙の周りに防護の結界を張り直す。
押し寄せるツリー怪人を前にしても、月華たちの動きには乱れがない。朱雀の支援射撃が後顧の憂いを断ち、先陣を切る王牙と月華を支えている。
「さあ、景気よく行くよ! 虹華万暁……この世の条理を超えていけ!」
組み伏せ、身動きのとれぬ敵に見舞う焔の槍。燃え盛るたいまつの如き巨大な槍が、ツリー怪人の幹を断ち割った。
大成功
🔵🔵🔵
クック・ルウ
あれを片付けるまでは帰れぬな
相手の動きに対抗して
こっちも横揺れしながら近寄ろう
バウンドボディの見せ所だ
多分このはっちゃけた場の空気が私を昂ぶらせている
なかなか年季の入った揺れっぷりだな
しかし今日の私はシャツにジーンズ姿!
つまりめっちゃ身軽!
怪人よ、ついてこれるかこのスピードに!
相手が予想できないぐらいビョンビョン!
激しくリズミカルで柔軟に大胆に揺れ揺れ
ドサクサに紛れて尾びれで叩いてみる
さて、こちらは勢いある断捨離を終えたばかりのクック・ルウ。先程まで晴れやかな顔つきだったクックも、ツリー怪人の出没ににわかに表情を曇らせた。
「ふむ。せっかくすっきりした所ではあったが」
ユーモラスな動きでキマイラたちを楽しませてくれるならまだしも、じりじりとにじり寄る姿はまさに怪人。子らが泣き叫んでも迫るのを止めず、明らかに園内の秩序を乱す輩だ。
「……あれを片付けるまでは帰れぬな」
キマイラの子との間に割って入り、クックが相手だと名乗り出る。
「ふぉっふぉっふぉ~う。わしらが居れば年中クリスマスじゃぞ~~」
「なるほど、なかなか年季の入った揺れっぷりだな。だが、クックの敵ではない」
「お姉ちゃん……!」
勇まし格好いい姿にキマイラの子が惚れ惚れしたのも束の間、可憐な乙女だったクックの姿は次の瞬間ぼよんぼよんと跳ねる謎の球体へと変化した。
「お姉ちゃん……??」
「ふ……今日の私はシャツとジーンズ姿! つまりめっちゃ身軽! 怪人よ、ついてこれるかこのスピードに!!」
「フォウ!?」
バウンドボディ、ブラックタールの特性を活かした離れ技。ピンポン玉以上の弾力で跳ねまわる球体状のクック必殺、反復横跳びだーー!!
彼女のために釈明しておくと、普段こんなコミカルな動きをするクックではない。曰く、「はっちゃけた場の空気に思わず昂ってしまった」のだとか。
妙な所に対抗心を燃やしついてこようとするも、老体に無理を言わせたツリー怪人の幹がメキメキ音を立てる。人間で言うなら「あ、腰ぴきった」レベルじゃない損傷だが、煽られ耐性のないツリー怪人は止まることができない。
「そいっ」
不意打ちで生えた尾の一撃にも対処できず、モミの木モミ男あえなくノックアウト! ずしゃあっ、と地に頬を擦りつけ倒れ込む怪人、よよよと泣きはらしたままの顔で天へ昇っていくー!
「ふふん。クックに挑むには百年、早かったようだな……あっ」
得意げに胸を張り、後ろを振り返るクックの目に映ったものは。
「お姉ちゃん……」
どこか残念そうな目でこちらを見る、キマイラの子の眼差しだったとか。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
うわー呼んでもないのに来てる!
ロックなグラサンでダンシングしてるツリーとか空へ送り甲斐ある…のかな?
とにかくなんかやたら動いてる怪人をちゃんと撃破しなきゃ!
高速・多重詠唱からの水の魔法で周囲に大量の粘度の高い水を生成、展開。
空飛ぶツリー怪人達が激突してくるのに合わせて水の壁を作って防御。
衝突した瞬間に水を一気に冷却し寒中水泳にご招待、ほんの僅かでも動きが鈍った所に星を狙って銛を投擲、UC起動。
水シャチががぶがぶして瀕死な感じになった奴にマジカルロケット手早く括りつけセット、勢い×勢い×勢いな感じで空へ打ち上げちゃおう。
…思ったんだけど、踊る門松怪人とか出たりしないよね…?
※アドリブ絡み等お任せ
園内に満ちよとばかりの大増援。猟兵達が倒せど倒せど、ツリー怪人は「呼んだ?」とばかりにひょっこり顔を覗かせる。
「うわー呼んでもないのに来てる! ロックなグラサンでダンシングしてるツリーとか、空へ送り甲斐ある……のかな?」
怪人たちのノリには慣れているヴィクトル・サリヴァンも、ひしめくツリーには若干引き気味。
数が厄介なのはもちろんだが、これだけ蠢いていると見ているだけでも酔いが来そうだ。
「とにかく、なんかやたら動いてる怪人を駆逐しなきゃ!」
海のハンターの名に懸けて、討ち漏らしはただの一体も認められない。
銛を手に唱えた呪文に応え、ざざ、とどこかから水流が押し寄せる。ヴィクトルの周りに張り巡らされる、粘土の高い水の壁。厚さにすれば水族館の強化ガラス相当、音速を超えて飛来するツリー怪人の衝撃を全ては殺しきれないにしても、緩衝材として役立てば十分だ。
「さあ、かかっておいで。寒中水泳の時間だよー」
ベツレヘムの星をぶっ刺そうとツリー怪人が飛来した瞬間。瞬時に冷却された水が金属製の星飾りをキンキンに冷やし、怪人の動きを鈍らせた。
「ふぉっふぉ……ちべたーーーい!?」
「まだまだ、次はこいつだ!」
放たれた銛を目印に水中を泳ぐ影。水の塊が巨大なシャチとなり、ツリー怪人の幹にがぶがぶと噛みついたではないか!
「ぎゃーー」
「あとは、弱ったところを……ちょちょいとな」
瀕死のツリー怪人にマジカルロケットを括りつけ、空の旅へとご招待! 勢いよく打ち上がるツリー怪人、上空の寒気にピキピキとモミの枝葉が凍てついていく。
「アッ……寒、これはいかん……凍るーー」
冠雪したホワイトクリスマスツリーとなり爆散する、モミの木モミ男を空へと見送り。ヴィクトルは満足気に空を見上げ、独り言ちる。
「……思ったんだけど、踊る門松怪人とか出たりしないよね……?」
こら、思ってもそういう事は言うもんじゃあない。ホントになったらどーするのさ。
大成功
🔵🔵🔵
水琴・ヤト
???
なにあれ?
よくわかんないけどオブリビオン?
じゃあやっつけよう!
試しに天輪を投げてみるけど、なんか凄い動きで回避された!
うわーん怖いよー!
なんかじわじわ接近されてる気もするし!
それなら避けられない攻撃をするしかないよねー……
という訳で『雨の日の歌』!
ヤトちゃんの|ふしぎぱわー《呪詛》を喰らえー!
歌とふしぎぱわーは物理的に回避できないもんね!
ふふ、ヤトちゃんの歌に合わせて踊るがいいさ……!
もうクリスマスは終わりだよ!
来年のクリスマスまで大人しくしててね!
……いやもうオブリビオンは出てこなくていいけど!
これ来年再登場のフラグになったりしない?
しないよね?
大丈夫だよねー!?
それまでのパーティムードから一転、園内は逃げ惑うキマイラで一気に喧騒ムードへ。
楽しく見物していた水琴・ヤトも、おかしいと気付いた頃には視界の端に怪人を認め。
「……?? なにあれ?」
水琴・ヤトが首を傾げるのも無理はなく。キマイラの仮装にしたってあの動きは変だ、一般市民である彼らが逃げているなら答えは一つ。
「よくわかんないけど、オブリビオン? じゃあやっつけよう!」
有害だと断じてしまえばヤトの動きは早く、呪言士の武器・天輪を投げ付け打倒を試みる、が。
しゅばっ。しゅいーん。
「何あれ、なんかすごい動きでかわされた!」
「ふぉっふぉっふぉ~う」
勢いづいたツリー怪人、なんと不気味な声を響かせながらヤトへと迫ってくるではないか!
「うわーん怖いよー! なんかヤトちゃんの方じわじわ近づいてきてるし!」
左右にフルスイング決めながらの明らかな変質者ムーヴ、これにはヤトちゃん大ピンチ!
「動いて避けるっていうなら避けられない攻撃するしか……ヤトちゃんのふしぎパワーを喰らえー!」
咄嗟に息を吸い込み、歌い上げるは雨の日の歌。人工音声のクリアな歌声が響き、ぽつぽつと雨が降り始める。
あたりを支配する雨の|静寂《しじま》。しとしと、ぱつん――歌声に音は奪われ、雨滴の弾ける音だけが静かに響く。
「ふぉぐっはあ……!?」
「ふふ、ヤトちゃんの歌に合わせて踊るがいいさ……!」
それはヤトの持つ不思議な力。聞くだけで心を病み、死へと追いやられる魔性の歌。少女はこれを|祝福《ギフト》だと信じてやまない。人の噂するのを聞かず、ただ電子の海に眠っていたが為に。
「もうクリスマスは終わりだよ! 来年のクリスマスまで大人しくしててね……いやもうオブリビオンは出てこなくていいけど!」
美しくもおぞましき侵蝕。昏き海を思わす律動は居合わせた不運な敵の魂を揺さぶり、冥府へと連れ去っていく。
「これ、来年再登場のフラグになったりしない? しないよね? 大丈夫だよねー!?」
真実を知らず、少女は歌う。一人叫ぶヤトの呼びかけに応える者は誰一人としていなかった。
大成功
🔵🔵🔵
斑染近・紬姫
クリスマス(ツリー)は、誰かが片さなきゃ消えないのよね。
今日が、クリスマスなら今日終わらせるわ。
モミの木モミ男が暴れる度に、周囲の見物カップルたちが肩を寄せ合う。
モミ男に驚いてぶつかる二人も視線が合い恋に落ちる。(キュン)
クリスマスが、街に即席カップルとリア充を産み出し続けるってゆうのなら、全てのクリスマスを根絶やしにするまでよ!
UC冬季限定で、真の姿:冬の王女にチェンジ、分厚い巨大霜柱でモミ男の飛翔ルートを塞いで、動きが鈍った所を劈いて氷漬けにしてやるわ。
無理に氷漬けから抜け出そうとしたら勢い余って、どっか飛んでっちゃうかもね。
さようなら。慈悲はないわ。
秋祭り、ハロウィン、クリスマス。街角は行事に合わせて絶え間なく変わるが、それら全ての影には誰かの働きがある。
「クリスマス……ツリーは、誰かが片さなきゃ消えないのよね」
染物屋を営む斑染近・紬姫(女帝の分身・f29077)にも、その苦労は身近なものとして感じられた。紅白の染め物を織ったかと思えば、次は恋の芽吹く薄紅色。とかく人の世は注文が多く、紬姫たち創り手の側は我儘に振り回されるのだ。
紬姫とて、そうした平凡な幸せに興味がないわけではない。疎んじるのはただ単に、縁がないというだけで。
モミの木モミ男が迫る最中、逃げ遅れたカップルがきゅっと手を握る。肩を寄せ合い「俺が護る」なんて事をほざいて、こんな危難でさえ吊り橋効果にするのだろう。
「……っ」
びりびり、びぃーっ。つい迸る怪力にテントの布地が割け、カップルが青ざめた顔でこちらを見る。
「クリスマスが、街に即席カップルとリア充を産み出し続けるってゆーのなら……全てのクリスマスを根絶やしにするまでよっ!」
紬姫8歳、染物屋。働けど働けど、良縁恵まれず。悲しき乙女の叫びが、夜天に木霊した。
冬の嵐が梢を揺らし、びゅうと彼女の周囲で吹き荒れる。次に目を開いた時姿を見せたのは、氷の女王と思しき真白の威容。なびく裾のプリンセスドレス、小さくとも凛と気品を保った紬姫は、次々と霜柱を呼び寄せモミの木モミ男の退路を断っていく。
「ふぉうっ!?」
飛んで逃げようとする空の道を塞ぎ、次々と飛行ルートを限定し。限られた撤退路をツリー怪人が辿れば、そこに待ち受けているのは当然彼女だ。
「心も体も凍えさせてあげるわ。夢の欠片も残さず消えなさい!」
振り抜く一撃、緑の葉を真白に染め。返す一撃、細氷に砕く。弧を描く残酷な一撃に、ツリー怪人は哀れ真二つに分かたれ散らばるのみ。
「さようなら。慈悲はないわ……あと来年のクリスマスもスキップでよろしく」
さり気なく自身の願望を混ぜ込み、紬姫は物言わぬ欠片へと別離を告げるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
青梅・仁
いやあえらい目にあった……。なんであのタイミングで火を付けるかなあ……!
……って、嬢ちゃんどこ行った?
……まあ無事だろ。飛び慣れてるとか言ってたし(言ってない)
なんかこのツリー揺れてんな……まだ俺の視界が揺れてんのかな……いや怪人じゃねぇか。
怪人ならささっと伐採……討伐してやらんとな。
ただ斬擊波を飛ばしても上手いこと避けられる気がする。
狙うのは動きが鈍い場所……鉢の部分。
鉢を壊すではなく、倒すように薙ぎ払う。
倒れちまえば後はじたばたしてるだけだろうから多少は斬りやすくなるだろ。
鋸はないから至近距離で斬擊波を放ち、割らせてもらうぜ。
ほら、早く薪になって新年の糧になりな。頼むから。
空の彼方へホームランされて暫し、青梅・仁はというと。
ほうほうの体で戻ってきた様子、龍神でなければ飛んで戻る事もできなかったろう。
「いやあ、えらい目にあった……なんであのタイミングで火を点けるかなあ……!」
死んでも手放すまいとした煙管は辛うじて無事、気を落ち着けるためにもまずは刻み煙草を一服。
「おう、とりま火ぃ貸してくれ……って嬢ちゃんどこ行った?」
隣にいた筈のミレナリィドールは忽然と姿を消し、さわさわと冬の風が草葉を撫でる。
「……まあ、無事だろ。飛び慣れてるとか言ってたし」
だいぶ聞き間違えてる気がしないでもないが、きっと無事なので残置しよう。
会場に戻ってきた仁の目には、予知にもちらっと聞いていた怪しい影。
「このツリー揺れてんな……俺の視界がまだ揺れてんのか?」
訝しんで煙草の火をじゅーっと押し付けてみれば。
「……ぼふぉうあああっ!?」
「おわああっ!? 怪人じゃねえか」
突如激しい怒りのDancing! どうやら視界も脳みそも正常なようで。
慌てて飛び退く頃には帯びた刀に手が触れ、振り抜く太刀が斬撃波を飛ばす。一閃、二閃と残光の轍、敵を襲うは姿なき音速の刃。
されどクリスマスツリーも回避だけはお手の物、咄嗟に放った一撃も大方躱されてしまった。
「ちっ、ただ闇雲に飛ばしても埒が明かないってか。なら……」
一度太刀を納めて間合いを詰め、敵のヘッドバッドを低く身を屈めて潜るように躱す。腰を落とした先に見えるは鉢植えの部分、土台ならば動くに動けぬはず。
「生憎、刃毀れは御免なんでな」
鞘に納めたまま見舞う、居合いの太刀。振り抜く刀は相手の足元を絡めとるように転ばした。
「ふぉ、ふぉーう」
「さて、と。転ばしちまえば煮るも斬るも自在だろ。お前さん、どっちがいいか選べ」
ざん、と突き立てた太刀の白峰を前に、ツリー怪人は何事かをもごもごと答える。
「……ま、斬ってからでなきゃ薪にもできんか。ほら、早く新年の糧になりな」
答えを聞くまでもなく。太刀の閃きがツリーの幹に突き入れられ、ぱかんと小気味のいい音が地に散らばった。
大成功
🔵🔵🔵
リコ・リスカード
ふぅ、いっぱい改造して楽しかったなー♪
主どっか行ったけどそのうち見つかるだろうし放置放置。
まだまだ改造したの残ってるし、性能を見るためにもキミらに付けて飛んでって欲しいんだけど……
「ハァ??何勝手に飛んでんのォ?」
性能確認したいのに勝手に飛ばれたら出来ないじゃん!
あーもー、予定変更!
残ってたツリーや飾りにロケットを括り付けて怪人くん達目掛けてじゃんじゃん発射しよっと。
え?何?人に向けたら危険って?ゆさゆさ五月蝿くて聞こえなァい☆
UCも飛ばして回避しづらくしておけば、いくら揺れてようがどっちかは当たるでしょ。
「ズタズタになるかロケット直撃で星になるかの二択だよォ。選ばせてあげるねェ!」
魔改造の狂宴を終え、満足気なハミングがひとつ。
「ふぅ、いっぱい改造して楽しかったなー♪ 主どっか行ったけど、そのうち見つかるだろうし。ま、いーや」
つい先ほどモラ主を空高く放ったリコ・リスカード、微塵も反省の色なく次なる獲物を探している様子。バックヤードにはひしめく改造ロケットの山、回路を弄ったり追加のブースターを付けたブツはどれも人が乗れば骸の海直行待ったなしだ。
「まだまだ改造したの残ってるし、性能を見るためにもキミらに付けて飛んでほしいんだけど……」
振り向いたリコの眼に映り込む、びゅーんびゅーんと飛び交う謎のモミの木ーズ。
「ハァ?? 何勝手に飛んでんのォ?」
怪人の能力に詳しくないリコ、どうやらロケットで勝手に遊ばれてると勘違いしたらしい。
「あーもー、予定変更! 残ってたツリーぜーんぶぶち当ててやる!」
残るツリーに改造ロケットをありったけ括りつけ、てっぺんの星以外は枝葉を削いで軽量化。武器になるもの以外徹底して削ぐ狂気の改造に、ツリーは見るも無残な殺戮兵器と化した。
「え? 何? 人に当たったら危険って? ゆさゆさ五月蠅くて聞こえなァい☆」
アメコミの悪役よろしく意地の悪い笑い声で火を点ければ、カウントの間もなく空へと打ち上がるロケットたち。方向制御も失ったロケットはまさに無軌道、次の瞬間どちらへ火を噴くか読めたもんじゃない。
「ぶふぉうっ!?」
入り乱れるロケット爆弾、音速を超えたツリー怪人もこの障害物を無視するわけにはいかず。安全ルートを選んだ先には、大鎌引っさげたリコが待ってましたのイイ笑顔。
「ズタズタになるか、ロケット直撃で黒焦げかの二択だよォ。選ばせてあげるねェ!」
「ふぉ、ふぉーうっ!!」
リコの全身から溢れ出る、死神由縁の魔力。刈り取る刃とロケット、粉微塵になった木片がどちらに砕かれたかなど、誰にも分かりはしなかった。
大成功
🔵🔵🔵
冬原・イロハ
【爆発宇宙猫】
爆発四散したかのような匂いがしてくんくん
一瞬フレーメン反応が出ちゃうかもですがお二人を見て「あ゛ッ」ってなります
ニイヅキさんと
(こく)アミリアさん、イロハです
こんにちはー
飛? え??
はわ、あれ怪人さんなんですか。色んな怪人さんがいますね
でもツリーなら薪割りしちゃおうかな
戦斧を持ちラクスくんに騎乗
UCでまずは距離を詰めるニイヅキさんの援護を
呼ぶ声に応じて空中を翔け、ラクスくんの加速に斧の一振り乗せてズバン! といきます
ラクスくんもう一度急降下です、ズバババン!
アミリアさーん! 薪割りできました~
ばちばち爆ぜる生木の音に
キャンプファイヤーを懐かしみ
お疲れさまでしたとお二人とハイタッチ
尾花・ニイヅキ
【爆発宇宙猫】
思ったより飛べてたみたいだ。戻ってくるのに時間が掛かった。
あ、イロハ!それにアミリアも。二人も来てたんだね。
……イロハ、その顔は……え、僕、何かした?
キマイラフューチャーだからな、木も踊るよな。僕には分かる――あ、これ怪人か。
薪割りか。資源は大切にしないとな。
相手は動く木……単純な動きのはずなのに、案外攻撃が当たらない……。
なら、凍らせて動きを止めれば良い。
UCを発動して一気に距離を詰め、氷の魔法を放つ。
完全には止まらなかったとしても、イロハなら大丈夫だ。
「今だイロハ!ずばっと割ってくれ!」
イロハ達とハイタッチしてから火を眺めていよう。
……これが本物のキャンプの火、なのかな……。
アミリア・ウィスタリア
【爆発宇宙猫】
飛ぶの、とっても楽しかったです!
あらニイヅキさん。それにキャンプファイヤーの時のケットシーさん……イロハさんですね。
ごきげんよう!
私、アミリアと申します。
お二人はもう飛びました?
まだならこちらのツリーなんて手頃で良いかと思……あら、これもしかして怪人さんかしら。
なら成敗です!
怪人さんもツリーのように飛んでいってくださるなら見逃せますが……
飛ぶのはお嫌なんですか?
では、キャンプファイヤーしましょう!
イロハさんが切ってくださったところ目掛けてUC!
クリスマスにキャンプファイヤーを合わせたらもっと楽しいですよね!
ハイタッチを返して、三人で暫く炎を見ます。
こうした静かな炎も素敵ですよね。
風の便りに、冬原・イロハはピンクの鼻をひくひくとさせ。
これは何かを燃やしたにおい? キャンプの夜に嗅いだのと似てるようなそうでないような、不思議な予感を胸に草むらをかき分けてみれば。
「あ゛ッ……」
くわわっ。思わず牙を見せ口が半開きになるのも、許して下さい。だってこれ、生理現象だから。
「あ、イロハ! それにアミリアも。二人も来てたんだね」
眼前に立っていたのは煤だらけの少女。一瞬泥を浴びた案山子かと思えど、この声は(推定)尾花・ニイヅキに違いない。
「あら、ニイヅキさん。それにキャンプファイヤーの時のケットシーさん……どうされました?」
「……イロハ、その顔は……え、僕、何かした?」
「あ、いえ……とても香ばしい、香りがしたので」
ごにょごにょと釈明しつつも、アミリア・ウィスタリアから漂う煤のにおいでまたもやくわっ。顎が半開きになって咳込むイロハに、さしもの二人も勘付いてあわてて煤を掃う。
「あらためまして、アミリアさん。イロハです」
「イロハさん、とおっしゃるのですね。ごきげんよう! 私、アミリアと申します」
恭しくカーテシーを見舞うアミリアも、じっとしていれば淑やかな乙女。透明なはずの足元は煤けてしまっているけれど、丁寧に挨拶されればこちらの腰も低くなるもの。
「こ、こんにちはー」
精一杯の真似っこお辞儀に二人が笑えば、イロハもレディの仲間入りだ。
「ところで、お二人はもう飛びました? ツリーに乗って飛ぶの、とっても楽しかったです!」
「飛……? え゛??」
「僕はもうさっき飛んだぞ! 仁とははぐれちゃったけど……うん、頑張った」
「二人とも何の話してるのです??」
前言撤回、この人たちレディ(物理)だ。なぜかツリーを空飛ぶ乗り物と勘違いしてる二人に教えてやってほしい、それ一部の愛好家が好むエクストリームスポーツだから。
「もしまだなら、あちらのツリーなんて、いか、が……」
アミリアの指さす先、ちょっと飛び回るのに疲れて休んでた気がハッとしてびゅーんびゅーんどーん。うん、怪人とくればそう来なくちゃ。腰が痛いとか許さない。
「キマイラフューチャーだからな、木も踊るし飛ぶよな。僕には分かる――これ怪人だわ!!」
「はわ、あれ怪人さんなんですか。いろんな怪人さんがいますね……でもツリーなら薪割りしちゃおうかな」
視界を飛び回るツリー怪人につい猫手が動くイロハをよそに、二人もようやく戦いの気配を感じ。
「怪人さん……悪さをしてる、のですね。なら、答えは一つ……成敗です!」
かたや戦斧、かたや蒸気魔導の槍、大柄な得物を引っさげ駆け出す三人衆。そういやこのメンツ、全員乙女(物理)だった。
◇ ◇ ◇
戦斧を担ぎ、イロハの飛び乗るおおきな背中。さわさわと風に揺れる白銀の毛並みは、彼女の相方、グリフォンのラクスのもの。
「風よ、応えてください!」
荒ぶる野生の風に乞えば、グリフォンを乗せた風は上昇気流となり天の階として駆けていく。
「怪人さんも、ツリーのように飛んでいってくださるなら見逃せますが……」
アミリアの眼前に控えるツリー怪人には、飛び回って邪魔する事こそあれ彼方へ飛び去る発想はないらしい。
「飛ぶのはお嫌なんですか? では、キャンプファイヤーしましょう! ……って、あっ」
言葉に嫌な予感を感じ、即座に飛び立つツリー怪人。このままでは捉えるのも至難の業だ。
「相手は動く木……単純な動きのはずなのに、案外攻撃が当たらないな……」
手をこまねくのはニイヅキも同じくで。ご丁寧にもサンタ帽をかぶり、次々とプレゼント爆弾やオーナメントを投げ付けてくるのに、こちらの狙いはよく定まらない。あと臭い靴下はやめろ。
「当たらないなら、凍らせて動きを止めてしまえば……!」
魔力のマントを瞬時に纏い、全身を冷却。軋む関節を犠牲にして氷点下の蹴りを放てば、触れた先から氷の花が咲きツリー怪人の自由を一時的に奪った。
「今だイロハ! ずばっと割ってくれ!」
「はい! イロハ、いっきまーす!」
叫ぶ声に身を躍らせるイロハは戦斧を担ぎ、縦に回転。自身よりも大きな斧をぶんぶんと振り、凍てついたツリー怪人の幹へ一気に叩きつける。
年輪を重ね、早幾年。だいぶ無理もし、空洞もできていたのだろう。ツリー怪人は叫びをあげる間もなく縦に裂け、そこから虚ろな洞ががらりと姿を現した。
「ふぉーーうっ!?」
「アミリアさーん、薪割りできました~」
仲間のグロテスクな様相にツリー怪人がたじろぐのもよそ目に、渾身のヴァイオレンスを見舞ったイロハはとてとてとアミリアの元へ駆ける。
「では、今度こそ!」
夜色の本を紐解けば、めくるめく|輝ける焔の思い出《キャンプファイヤー・インフェルノ》。トラウマを呼び覚まされたイロハが再びフレーメン反応になったのはさておき、輝かしきキャンプの思い出から焔の球を取り出し、乙女は笑う。
「あの火は、とても綺麗でした。貴方にも、お裾分けしますね?」
地獄の業火が、敵を焼く。火球が過ぎ去った後にはもう、ぱちぱちと燃え残るツリー怪人の骸以外に残るものはなかった。
◇ ◇ ◇
冬の空に、虫の声はなく。あの日の思い出は綺麗なままに、寒空に重ねて。
「お疲れさま、でした。こうして火を見てると、夏の日を思い出しますね」
「……これが本物のキャンプの火、なのかな」
ぱちぱちと爆ぜる、いまだ水分を含んだ生木の音。独り言ちるニイヅキの目も、どこか遠くに思い馳せるよう。ハイタッチの感触は手に残れど、こうして火をぼうっと眺めていると、如何な出来事も夢幻の彼方の蜃気楼のよう。
「クリスマスにキャンプファイヤー……格別な楽しみをかけ合わせれば、もっと楽しいですよね。それに、こうした静かな炎も……素敵」
ほう、とついた白息が空へと昇り、冬の星座と溶け合っていく。三人穏やかな時を過ごせるのも、無事すべてを乗り切ったから。
「ところで……何か、忘れてるような」
「奇遇だな。僕も……」
微かに胸を騒がせるものは、なんだろうか。こうして腰を落ち着けている場合では、ないような。
「私たち、怪人すべて倒しましたっけ……?」
「……それだ!!」
どうやら、三人は休息を取るにはまだ早かったようで……残りは、彼らに締めてもらいましょう!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
杜環子(f33637)先輩と共に。アドリブ歓迎
見てください先輩、モミの木を飛ばしたと思ったら今度はクリスマスツリーが自ら動いていますよ。この世界は凄いですね
という事は、もう一回飛ばせますね。先のリベンジが直ぐにできるなんて感激です!
早速ロケットに……むぅ、ロケットには括れないのですか?
なら人力で飛ばすまでです
モミの木が超高速で接近してきたら動きを見切り、モートスプーンを野球のバットのように振ってツリーを吹っ飛ばします
我ながらナイスショット、いえホームラン?最初からこうすれば先のロケットも……おや、あれh(入れ替わるように空から帰還した英霊怒りのクロスチョップが見事に決まりそのまま撃沈
壽春・杜環子
【ディルくん(f37834)】と
アドリブ歓迎
うわ動…
え
え、待ってこっち来―…きゃー!
いやぁなにあれ気持ち悪いですー!ぐにゃぐにゃしてますー!(ディルくんを盾に隠れ
ね?ね?帰りましょ?なんですそのもう一回遊べるみたいなてんしょん!さっき英霊様飛ばしたでしょ!もう!めっ!
あ、あぁ…全然聞いてない…
人力で飛ばすってディルくん貴方…
おかしいわ?あのスプーンってあの使い方良いんです?
わぁすごぉい飛んで―…ん?何か、降っ…
(後輩にクロスチョップ決める英霊にぎょっと
きゃー!やだやだ置いて行かないで!んもうっ!英霊様のばか!あれ誰が始末―…
い、いやー!
もうっ!もうなんで当たらないの!
うええんディルくん起きて…
――†Final Judgement†――
「……なんです? いまの……」
虚空に現れた謎のヘリオンサイン(推定)に壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)が目をひん剥いたのも束の間。光り輝いて見えた文字はいつの間にか、夜空の星たちの合間に消えていた。そんな文字はなかった。いいね?
「何か、ありました?」
「いえ、確かにあそこに……あれ?」
振り向く後輩、ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)の不思議そうな顔にも説明の言葉は見当たらず。「それより見てください」と促され、杜環子の目は空の文字と同じくらい奇怪なものを捉えた。
「うわ、動……」
「モミの木を飛ばしたと思ったら今度はクリスマスツリーが自ら動いてますよ。躍動感に満ちてて凄いですね、この世界は」
「いやぁなにあれ気持ち悪いですぅー! ぐにゃぐにゃしてますー!」
思わず後輩を盾にして隠れる杜環子に、いつもの先輩の余裕はない。
「という事はもう一回飛ばせますね」
「え」
「先のリベンジがすぐにできるなんて感激です!」
「ちょっと、なんですそのもう一回遊べるみたいなテンション。ね、ね、あんなの相手せず帰りましょ? さっき英霊様飛ばしたでしょ、もう。めっ!」
「ソームーリーエの母がいる~♪ ソームーリーエの父が……」
「あ、あぁ……鼻唄まで歌って全然、聞いてな……もうっ、知らないですからね……!」
引き留めようと掴んだ裾も空しく、ぐぐいのぐい。今日のディルはクラス・狂戦士、杜環子の努力はむなしく空回りするばかりだ。
「早速ロケットに……むぅ、ロケットに括るには動きが機敏すぎますね」
「それ見た事ですか! さ、ここは他の方に任せて」
「なら人力で飛ばしましょう」
「人力で飛ばすってディルくん貴方……もー!」
ああん、よよよと力なくしなだれる杜環子。この後輩、頭のネジが元からないのか聞いちゃいない。
「まずは近づいたところを見計らって、このモートスプーンを」
「モートスプーンを?」
茶漉しに用いるのと同じ形の、ティーソムリエの巨大武器を大きく振りかぶり。超音速で突っ込んでくるツリー怪人……を、かっきーん☆とストライク。
なぜか入る集中線と黒塗りのエフェクト、SMAAAAAAASH! とか出た気がする。
「野球のバットのように振ってツリーを吹っ飛ばします」
「そのスプーンって使い方それであってます? もう一回ソムリエ講習受け直した方がよろしいんでなくて??」
思わず強火になる後輩への当たりにけふこふしつつ、改めて空を見遣れば確かに高威力。
「うーん、我ながらナイスショット。いえ、ホームラン? 最初からこうすれば先のロケット、も――おや?」
「わぁ、すごぉい飛んで――……ん? 何か、かわりに降っ……」
キラーン。彼方に輝く十字の星。それがシュワッチ! の体勢で飛ぶマッハ10の英霊様だと気付いても逃げる猶予はディルにはなく。
「あ、あれ――」
言葉の続きは英霊シウム光線とクロスチョップに飲まれ、土煙の後には巨大なクレーター。後輩の身に何が起きたかを探るまでもなく、杜環子の顔は青ざめていて。
「きゃー! やだやだ置いて行かないで! んもうっ! 英霊様のばか、今このタイミングでなくてもいいじゃない! あれ誰が始末……って」
復讐を果たした英霊様が空へ飛び去るのと入れ替わりに、杜環子の元にはツリー怪人の残党がわんさと押し寄せていて。
「い、いやー! もうっ、なんで当たらないの! うえええん、ディルくん起きて……!」
結局、腰の抜けた杜環子では残敵を倒し終えるには至らず、駆け付けた猟兵たちに救われるのだった……し、締まらない。
●聖なる木よ、またいつか
さて、それからというもの。
一部壊滅的な打撃を受けたにもかかわらず、キマイラフューチャーの技術者は然る者で。
AIブルドーザーに修復ドローン、テーマパークは猟兵達の見守る合間にも復旧を遂げていく。
何者かの衝突で地に穿たれたクレーターも、特撮ごっこをする格好の場としてしまったのだから、ある意味この世界の住民は逞しい。
あわただしくもクリスマスムードは取り払われ、来たるべき新年花火の発射台が備え付けられ。
こうして時は巡り、また来年の今頃には家族が集い、カップルたちが愛を囁くのだろう。
願わくば、その日こそは。
今日のような喧騒もなく、誰もが落ち着いて想いを告げられる日になってほしいと。
人々の願いを受けたモミの木たちは、今は静かに眠っている。
♪We wish your Merry Xmas――またあの歌と鐘の音が聞こえる、その日まで。
今はしばし、別れを告げようではないか。
【ディル・ウェッジウイッター専用 生死不明判定】
あなたは地面に『1d100』m埋め込まれた事により『1d10』日後に生還できるでしょう。
がんばれ☆
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵