熾火は青く昌盛・祈
ステラ・タタリクス
いつも素敵なリプレイありがとうございます。
ずっと思い描いていたシーン、
ブルーアルカディアの頃からずっと追いかけ続けている、
亜麻色の髪の少年『エイル』と自称・彼のメイド(他の人から見ると押しかけメイド)のステラとの交流シーンをお願いします。
時系列としては『熾火は青く昌盛』シリーズ内。
事件と事件の間で、ブルーアルカディアのどこかの浮島にて。
戦闘なしの日常シーン。
のんびりほんわか、あるいはコメディ、あるいはギャグな雰囲気で。
青い鎧の巨人『セラフィムV』の登場有無はお任せします。
あと、ステラの尊厳とか女性としての誇りとかは投げ捨てて大丈夫です。好きに調理してください。
あと、わんこです。主人の後を追いかけるタイプのわんこです。匂い嗅ぎます。
久しぶりのオフ(ステラが)で、真っ先にエイル様に会いに来たステラが全力でエイル少年に付きまとう、そんな感じで。
全編通して、エイル少年の反応、リアクション、ステラに対する態度は海鶴MS様にお任せします。
ステラは不思議なメイドパワーで例えセラフィムVに撃ち抜かれても復活しますが、
ユーベルコードや特別なアイテムなどは使いません。
「え・い・る、さ・まぁぁぁぁぁぁ(はーと)」
こんな感じで突っ込んだ後はフリーダムにお任せします。
基本的に密着しようとします。
「エイル様成分が足りないので補充したいです」
とか言って。
(物理的に)隙(間)の無い後方警備とか、
あーん攻め(ずっとステラのターン)とかできれば嬉しいですが、
正座でお説教とか、全力で逃げられるとかも美味しいので、
海鶴MS様、というかエイル少年が取るであろうリアクションをそのままお願いします。
ノベルの文字数については1000文字とかでも全然良いので
お気になさらずに書きやすい文字数で纏めていただければ。
よろしくお願いします。
それは熾火が煌めく後先の閑話。
だからこ、これはグリモア猟兵の予知に引っかかることのない泡沫のような話である。
泡沫であれど、その形は千差万別であり、一つとて同じ形のものはない。
人がそうであるように同じ人など存在しない。
故に人はそれを慈しむのである。
人の縁というのもまた同様であろう。
時にそれは運命と呼ぶのかも知れない。
亜麻色の髪の少年は、その黒い瞳で青い鎧の巨人『セラフィムV』を見上げていた。
この巨人が歩む先に何があるのかを彼は知らない。
けれど、彼を護り、彼を導くことからも、それが決して悪いことに繋がるものではないことを彼は理解しているようだった。
「わかるよ、『V(ヴィー)』。君のいいたこと。何時までもこんな日々が続けばいいのだと思う。けれど、これは僅かなときのことでしかないってこと」
だから、大切だと思うのだと少年は瞳を伏せた。
思い出せないことばかりだ。
彼がこの地にやってきたのは、この大空の世界にやってきたのは、つい先程だったような気もするし、ずっと前からいたような気もする。
夜空を見上げれば、彼の心は締め付けられるような思いにかられる。
それは望郷の念であったのかもしれないし、思い出せぬ記憶の中にある何かを求めるようでもあった。
夜の空は星々を彼の瞳に映す。
黒い瞳は影ではなく、鏡のようでもあった。
「……」
物思いに耽るような、そんな静かな静寂。だが、それをぶち抜く声が聞こえる。
「え・い・る・さ・まぁぁぁぁぁ」
ハートマークが語尾に付いていそうなほどの声。
いや、その声を『エイル』と呼ばれる亜麻色の髪の少年はよく知っていた。事あるごとに自分に構う女性。
そう、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)である。
彼女は勢いよく、隙のない後方警備を速攻でやる。それに意味あるのかなと少年は思ったけれど、彼女の勢いに圧されてしまう。
抵抗は無意味だってわかっている。
「あの、さ……その、僕は大丈夫だと思うんだけれど」
「いいえ! そんなことはありません! 隙あらば『エイル』様を狙う屍人帝国の追手がいるやもしれませんので!」
「えぇ……」
そんなことある? ともいい切れないのが現状であった。
彼はこれまで多くの追手を差し向けられていた。
屍人帝国『オーデュボン』。
彼等を追い続ける者たち。彼等が自分たちに何を求めているのか、『エイル』少年はわからなかった。
自分たちが何ができるというのだろうか。
わからない。
だからこそ……って色々考えようとしているのに、ステラは『エイル』から密着して離れようとしないのだ。
もうなんていうか、恒例行事みたいになっているのだ。
「『エイル』様成分が足りないので補充したいです」
ステラは息を大きく吸い込んでいる。
なんで!? と『エイル』少年は毎度思うのだが、これが彼女なりのなにかなのだろうともうあきらめムードである。
というより、こんなふうに抱きしめられていると、すこし心の恐れや、不安といったものが和らぐ気がするのだ。
悪い気はしない。
けれど、いつまでもこうしてはいられないのだ。
「あの、でも……ほら、君たちに迷惑がかかるかもしれないし」
「そんなことはございません。世界はあなたを中心に回っているのです!『エイル』様が私の世界の中心ですよ。『エイル』様が私の世界を回しているのです」
「そんな大げさなものではないと思うんだけれど」
「いいえ、あなたは私の『主人様』なのです。誰がなんと言おうと、あなたが否定するのだとしても。それは違えることのないことなのです」
そんな真面目な雰囲気を醸し出しながらも、『エイル』少年は気がついていた。
この隙にとばかりにステラが亜麻色の髪に頬ずりしていることを。
なんだか、過剰な愛情を感じるなぁと思いつつも、決していやではなかったのだ。
「僕は僕自身のことをなんにもわからないけれど……それでも、多くの人を助けたいと思うし、君のように助ける人にあこがれているのかも知れないね。だから、誇らしいと思う」
慕われていることが。
腕の中にあるということが。
決して、それは忘れることのできない経験であったことだろう。
背中に感じる暖かさに『エイル』少年は微笑む。
ブルーアルカディアの夜空をもう一度見上げる。
其処に在るのは星々。
それら全てが祈りであり願いであると知るからこそ、彼は己の道を違えない。
しかし、そんな彼の思いを台無しにするようにメイドのステラは、大変にだらしない顔をして、クンカクンカし続けている。
「ふへへへ、『エイル』様の、でへへへ」
もうダメである。
完璧なメイドの面影など一切ないアレである。
しかし、それが彼女の望みであったのならば、僅かな時でも『エイル』少年は与えることができたらそれでいいと、苦笑いしながらも確かに微笑ましい記憶として心に残しているのだった――。
成功
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