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星海に沈み輝く

#グリードオーシャン #お祭り2022 #クリスマス

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 そこは青い海に沈む深海島。
 あぶくに包まれた白亜のサンゴで作られた箱庭のような島。
 その姿はまるでスノードームの様だという。

 島を訪れたなら、色とりどりの小さな光に気がつくだろう。
 それは辺りに生息する発光する魚やクラゲ達の灯り。
 暗い海の中を泳ぐ姿は、まるでイルミネーションのように美しい。
 生きた煌めきを、海の中の星々と人は呼ぶのだという。

●グリモアベース
「そんな島に遊びに行ってみぬか」
 ふわりと辺りに海の景色が映し出しながらクック・ルウは微笑んだ。

 光り輝く海洋生物は生き物ゆえに、絶えず動きを変えて、万華鏡のように変化する。
 サンゴの島を歩きながら眺めれば、美しい光景が見られるだろう。

 例え海に身を投じても空気の泡が体を包んで守ってくれる。
 おぼれる心配はない。
 海流は穏やかで、冬であっても水温もあまり冷たくはないらしい。
 泳げるものは遊泳を楽しんでもいいかもしれない。
 または空気の泡に包まれた小舟で舟遊びをすることも可能だ。

「海の中で揺蕩うように過ごすのも、たまには悪くはないだろう」

 島には猟兵の他に人はいない。
 静謐な海の中で、その景色を見つけられるのは島を訪れた者だけの特権。
 宝を探す海賊のように冒険心を満たしてみてはどうだろうか?

「あるいは本当に宝を探してみるか? 海に沈んだ宝がどこかに流れ着いていたなんて、この世界ではあり得ないことでもないものな」
 海からのクリスマスプレゼントとして自分の物にしてしまっても誰も文句は言うまい。
 欲する者に祝福を、それが|グリードオーシャン《貪欲なる海》という世界なのだから。


鍵森
 鍵森と申します。
 よろしくお願いします。

 こちらは一章完結のクリスマスシナリオとなります。
 深海島でのひととき。
 白いサンゴの島は空気の泡で包まれ、安全に過ごすことがてきます。
 海の中で光り輝く海洋生物を眺めましょう。
 イルミネーションみたいな綺麗な光景が見られると思います。

●他
 プレイング受付は26日以降を予定しております。
 タグや自己紹介欄にてお知らせ致します。
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第1章 日常 『星の海まで漕ぎ出して』

POW   :    小舟を自ら操り、進路を取る

SPD   :    海の様子を見極め、安全な穴場に陣取る

WIZ   :    満天の星空を眺めて楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サンディ・ノックス
【清濁】
深海島をのんびり歩く
いいね、こういうの
俺も好きだよ
ゆったり雰囲気に浸れるのがいいんだ

宝物探すの?
へー、ふーん(意味ありげな言い方)
いや別に
チェーザレさんってそういうの興味ないタイプかなあと思ったんだけど
そういえばかなりの好奇心旺盛さんだったっけ
ああ、ロマンチストかあ
(算盤についてはふれず微笑んで)
いいよ、探そうか
泳がなくても船で海に繰り出せるって話だったよね
友達と二人きりで船に乗る
そういうのも悪くないなあ、なんて思う

広い海と比べたら宝もちっぽけに感じちゃうね
でももし見つけられたら
初めての友達と見つけたかけがえのないものになるよ
それって素敵じゃない?
(宝は見つかるも見つからないもお任せ)


チェーザレ・ヴェネーノ
【清濁】

あー、綺麗
泳ぐよりもゆっくり景色楽しみたいよね、こういう場所
いや別に俺が泳げないとかじゃなくてね、うん

ねぇねぇサンディ、宝物探そう
なんかあるじゃん、虹の根元に宝物が埋まってるとかいうメルヘンな話
俺子供の頃本気で探してて、まぁ見つかる筈ないんだけどさ
この海ならその与太話よりは宝が見つかる確率が高いと思わない?
え、何その反応?俺は意外とロマンチストだよ
お宝が高値で売れたら良いなって算盤弾いてるけどね、あはっ

船良いね!
俺友だちいなかったからこういうの普通に初めてだ
海、広いなぁ…お宝とかちっぽけなことどうでも良くなってくる
欲しいけど!
あぁ、それ良いな
それなら売らずに俺の宝箱にしまっておこうかな



 海に沈んだ島は、どこか秘密めいた空気に満ちていた。
 サンゴを礎とした地面は固く、枝状やテーブル状の群落が広がっている。
 踏みしめれば、足の下でコツリと小気味良い音を立てた。
 島を覆う空気の泡越しに見える深海は、発光する魚の群れの輝きに煌いて。
 宛ら星光のパレードのように、頭上を泳いでいく。
「あー、綺麗」
 景色を眺めながらチェーザレ・ヴェネーノ(月に毒杯・f38414)が呟いた。
「いいね、こういうの。俺も好きだよ」
 その隣をのんびりとした様子で歩きながら、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)も頷いた。
 ヒレを揺らして舞泳ぐ魚達が幻想的な模様を描き出す。
 まるで海の中へと誘う灯火のようなそれが、遠くへ近くへ気まぐれに泳ぎ回る様子は見ていて飽きない。
「泳ぐよりもゆっくり景色を楽しみたいよね、こういう場所」
 ――いや別に俺が泳げないとかじゃなくてね、うん。
 誰にでもない言い訳が、滑らかに零れる。子供がするような仕草で、チェーザレは靴底で小石を転がした。
 サンディの海の色にも似た深く青い瞳が、柔らかに細められる。
「そうだね、ゆったり雰囲気に浸れるのがいいんだ」
 穏やかな声色で同意を示したサンディに、チェーザレは「でしょ?」と嬉しそうに返した。空気の泡を壊さぬかのような、淡い笑い声が、互いの耳を擽る。

 穏やかな時間を分かち合うのは楽しいものだ。
 けれど、探検の匂いに満ちた雰囲気には唆るものがあるから。
「ねぇねぇサンディ、宝物探そう」
「宝物探すの?」
「なんかあるじゃん、虹の根元に宝物が埋まってるとかいうメルヘンな話」
 悪戯っぽく笑みを深めて提案すれば、サンディも面白そうに瞳を瞬く。
 意外な一面を見たような、そんな気持ちを抱いたのかもしれない。
 けれどチェーザレは存外に熱心な調子で言葉を継ぐ。
「俺子供の頃本気で探してて、まぁ見つかる筈ないんだけどさ」
「へー……」
「この海ならその与太話よりは宝が見つかる確率が高いと思わない?」
「ふーん」
「え、何その反応?」
「いや別に、チェーザレさんってそういうの興味ないタイプかなあと思ったんだけど」
 そういえばかなりの好奇心旺盛さんだったっけ。呟いたサンディの言葉にチェーザレは口角を上げて笑うと、心外だな。と言うように頭を振る。その仕草はどこか芝居めいても見えた。
「俺は意外とロマンチストだよ」
「ああ、ロマンチストかあ」
「お宝が高値で売れたら良いなって算盤弾いてるけどね、あはっ」
 軽薄に笑って肩をすくめる姿は、とてもではないがロマンチックとは程遠い。
 それでもサンディは、特に気にする素振りもなく、
「いいよ、探そうか」
 と微笑んだ。

 空気の泡に包まれた二人乗りの小舟が、島の周りをゆっくりと進んでいく。
 サンゴの骨格が複雑に絡み合った地形をなぞるようにして、どこかに隠れているかもしれない宝を思い描きながら二人は船を操った。
 友達と二人きりで子供の頃の夢の続きに漕ぎ出すような、小さな船旅だ。
 そういうのも悪くないなあ、なんて。
 サンディが胸の内でこっそりそんな事を思っていると、チェーザレが不意にぽつりと呟く。
「俺友だちいなかったからこういうの普通に初めてだ」
 魚達から発せられる光に照らされた横顔は、此処ではないどこか遠くを見つめているようにも見えた。
 広大な海はまるで底なんてないようにも、果てなんてないようにも思える。
 途方もない時間の中で生まれ落ちた生命達の揺籃であり、母なる海とはきっとこんな光景を指すのだ。
 そんな風にすら感じられるような深い青が、船をゆるやかに揺らす。
「海、広いなぁ……お宝とかちっぽけなことどうでも良くなってくる」
「本当に?」
「いや、欲しいけど!」
 聞き返せば、慌てたように否定の言葉が飛んできた。
 クスリと笑みを漏らしながら「確かに、広い海と比べたら宝もちっぽけに感じちゃうね」とサンディは続けた。
「でももし見つけられたら……初めての友達と見つけたかけがえのないものになるよ」
 例えばそれが金銀財宝であれ、ただのガラクタであれ。
 二人の冒険で見つけたものは、この世で唯一つのものになる。
「それって素敵じゃない?」
 チェーザレは一瞬だけ、きょとんとした表情を浮かべた。けれどすぐにころりといつもの顔に戻ると唇に笑みを浮かべて頷く。
「あぁ、それ良いな」
 どこか隠しきれない期待が滲んでいるような声でチェーザレが言う。
「それなら売らずに俺の宝箱にしまっておこうかな」

 やがて船はサンゴの間に隠された空洞へと入っていった。
 深まる海の闇を辺りに潜む生き物が灯りとなって、ぼんやりと照らし出す。
 此処へたどり着いた途端、空気が一変しシンと冷えたような、そんな気配がした。
「今あの奥で何か光らなかった?」
「嘘、どこどこ! 魚じゃないよね?」
「いやちがう。なにか金属のような――」
 サンゴの隙間に手を伸ばす。指先に触れた冷たくて硬い感触に、息を呑む。
 遠い過日に沈んだ宝飾品が放つ微かな光が、海中でゆらりと揺れていた……――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【対の華】

サンゴの島の中
誘うように百鬼さんの手を引いて
ほら凄いよ、見てごらん
とまずは天を指し
輝きながら優雅に泳ぐ魚やクラゲ達を眺め

百鬼さん、水中は初めてだよね
海と水族館じゃあ規模からして違うもんねぇ
何度か二人でイルミネーション見てるけど
こういう自然の生き物が発する輝きも良いものだよ
海の中の星々、だって

海中だとね、深度が深くなるほど薄くはなるけど
見上げた時に海上からの光がカーテンのように差し込んで
揺らめいてる光景も好きなんだ
魚達が星なら、さながらオーロラってところかな

少し落ち着いたら
魚達と一緒に泳いでみようか
百鬼さんも泳げたよね?
これから僕達もあの星の一部になるの
ね、どう?
ふふ、でしょー


百鬼・智夢
【対の華】
澪君に手を引かれながらサンゴの島を歩けば
揺らめく青の中に沢山の光を見て

凄い……
は、はい…初めてです…
水中を泳ぐお魚自体は、水族館で見たことありますけれど
それとはまた全然違うというか…
そうですね
人口的な輝きも綺麗ですけれど
自然の輝きも、とても素敵です

オーロラ……そうなんですね
そういえば、水族館で大水槽?
見た時に、そんな感じだったかもしれないです
本物のオーロラは見たこと無いですけど
なんだか、澪君の言いたい事、わかる気がします

え、泳ぐんですか?
ええ……一応、泳げはします、けど
星の一部に……?
はい、いいですね…!
とてもロマンチックで、素敵だと思います
星の一部…なってみたいです…!



 深い海の青に浮かぶ泡の中にある島。
 周囲には人の気配もなく、不思議な静けさに満ちている。
 踏み出せば皓白サンゴの地面が、硬い感触を靴裏に伝えた。
 そのまま進むのをためらうような心地がしただろうか。
「百鬼さん」
 先へ行こうと誘うように百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)の手を引いて栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は歩き出し、空いた方の手で天を指差した。
「ほら凄いよ、見てごらん」
 瞳に飛び込んでくるのは、泡を隔てて広がる海と発光する魚の群れ。
 煌々ときらめきながら海の中を優雅に泳ぎ回り、時に戯れるように目の前で踊ってみせる。
 その光景はまるで海中のイルミネーション。
「凄い……」
 思わず感嘆の声を上げる智夢に、澪は微笑む。
「百鬼さん、水中は初めてだよね」
「は、はい……初めてです……」
 こくりと小さくうなずいた智夢は嬉しそうに周囲を見回して目を輝かせた。
「水中を泳ぐお魚自体は、水族館で見たことありますけれど。それとはまた全然違うというか……」
「海と水族館じゃあ規模からして違うもんねぇ」
 ゆっくり辺りを眺めながら歩いてみると、あちこちに小魚やクラゲなど海の生物の姿を目にすることができた。
 光り輝くその姿は綺麗で、見る者の心を楽しませる。
「何度か二人でイルミネーション見てるけど、こういう自然の生き物が発する輝きも良いものだね」
「そうですね。人口的な輝きも綺麗ですけれど、自然の輝きも、とても素敵です」
「海の中の星々、だって」
「きらきらと美しいですね」
 ふふ、と二人は可愛らしい笑みを交わした。

 ゆるりとしたひと時の中、澪は透明な泡の天蓋を見上げると目をやわく細めた。
「海中だとね、深度が深くなるほど薄くはなるけど、見上げた時に海上からの光がカーテンのように差し込んで揺らめいてる光景も好きなんだ」
 紡がれる声は優しい音をしていて。
 いつか見た景色を思い出しているのだろうかと、そんな風にも感じさせるだろう。
「魚達が星なら、さながらオーロラってところかな」
「オーロラ……そうなんですね」
 それはきっと幻想的で綺麗な光景なのだろう。
 智夢は想像を馳せ、それから「あっ」と小さな声を上げた。
「そういえば、水族館で大水槽? を見た時に、そんな感じだったかもしれないです」
 ゆらゆらと水面の光に揺れる青の世界。
 水槽を泳ぐ魚が差し込む光と戯れるように泳いでた。
 記憶の中から呼び起こされた光景を、智夢は目の前の海へと重ねる。
「本物のオーロラは見たこと無いですけど、なんだか、澪君の言いたい事、わかる気がします」
 そう言って、智夢は嬉しそうにはにかんで見せた。
 澪は「そっか」と言って優しく笑うと、繋いだままの手を引いて歩き出す。
「いつか本物のオーロラも見られるといいね」
「そうですね、いつか……」
 そっと呟くように言葉を返して、智夢もまた引かれるままに歩みを進める。
 二人の間に漂う空気は穏やかで。
 まるで、海の中を漂うような心地を覚えるようだった。

「ねえ、百鬼さん」
 ふいに澪は足を止めて囁く。
「魚達と一緒に泳いでみようか」
「え、泳ぐんですか?」
 提案に智夢は、ぱちくりと瞳を瞬いた。その様子に澪はころりと笑みを零す。
「百鬼さんも泳げたよね?」
「ええ……一応、泳げはします、けど」
 躊躇する彼女を後押しするように、澪は海に輝く魚達を指差した。
 その眼差しは楽しげで、キラキラとしている。
「これから僕達もあの星の一部になるの――ね、どう?」
「星の一部に……?」
 繰り返し呟きながら、智夢は澪の視線を辿る。
 海に散りばめられた光達が燦然ときらめくあの景色の中へ行く。
 思わず胸がときめくような誘いだった。
「はい、いいですね……!」
 やがて決意を固めたのか、智夢は大きく首を縦に振る。
「とてもロマンチックで、素敵だと思います。星の一部……なってみたいです……!」
「ふふ、でしょー」
 嬉しそうに笑った澪の背中で翼が広がって羽ばたく。
 ただ、飛び込むように海へ入ればいい。
 空気の泡が二人を包んでくれるだろうから。

 手を繋いだまま、二人は星を目指して踏み出した。
 色鮮やかな魚達がひらり、ひらりと身を翻して招く。
 光が彩る静かな海の中へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月29日


挿絵イラスト