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銀河帝国攻略戦㉖～整列行動せよ。

作者：硅孔雀

●グリモアベース
「皆様、アマルテア情報艦隊で得た情報により、スペースシップから拉致された有能な科学者や技術者が、帝国旗艦インペリウムの科学技術センターで働かされている事がわかりました」
　恭しく礼をするアンバー・スペッサルティン。
「働かされている、と申しましても……それは、動かされているといった方がいいでしょう」
　彼らが拉致されているのは科学技術センターの中央コンピューター。そして、彼らは機械でできた木々に実った果実のようにコンピューターの一部と化している。
「銀河帝国側は、効率的な手段で動かせるよう、人々を操っているようです」
　コンピューターは人間の知識、思考力を吸収している。
　そして、自我すら持ったメインシステム。通称【巨木】は自らの解除キーとして
「人に謎を問いかけ、それに正解すれば、降伏し解除すると言っていましたのを予知しました」
　【巨木】を無視し、無理に捕らわれた人々を助けようとすれば、既に身体の隅々まで潜り込んだ機械製触手が暴れだし、全ての叡智は失われてしまうだろう。
「ドクター・オロチの研究に携わっていたコンピューターの一部であった彼らの得た高度な知識や技術が、スペースシップワールドの発展の支えとなることは確かです」
「どうか、この謎に対し答えを求めてください」
「それと……少し、こんな言葉が聞こえました、『後ろより考察せよ』」
　
●巨木
　グリモア猟兵の言っていた通り、【巨木】にはいくつものモニターが取り付けられ、各木々へと指令を伝えるであろう装置が取り付けられている。
　巨木の中央には火時は大きいモニターが設置され、そして、とつぜん字幕と共に画像と音声が流れだした。

【再現実験】
『これより、職員にそれぞれ身分証として青と赤の帽子を配る！』
　縦一列に並んだ４人の男。（その頭上には画像加工で前から順にＡＢＣＤと浮かんでいる）
　上官らしき男の手には４つの赤い帽子と３つの青の帽子。
　ＡＢＣＤはその場から動かず、目線を向けその色と数を覚える。
『よし、色と数の把握は出来たな！それではこれよりＡより帽子を渡すのでかぶれ！』
　ＡＢＣＤは再び一列に並ぶ。
　自分より前に並んだ人間の被っている帽子は見えるが、ＡＢＣＤは自分を含め後ろの人間の被った帽子の色が分からない。
　作業を終え、上官はＤ、Ｃ、Ｂの横に立ち、自分が今何色の帽子をかぶっているのかわかるか？とＤ、Ｃ、Ｂの順に尋ねた。
　３人は聞かれるたびに「私にはわかりません！」と叫んだ。
　そして最後に上官がＡにＤＣＢと同じ質問を尋ねた。
　Ａは大きな声を上げ、叫ぶ
「はい、わたしは分かっております！」
　驚いた上官が耳打ちするように手招き、Ａのいった言葉に、上官は驚く。
『おお、これは優秀な隊員がいた！皆、これにて解散だ！』

　ぶつり、と映像が切れた後モニターに浮かび上がる文字列
　１.（A）青（B）青（C）青（D）赤　
　２.（A）赤（B）青（C）赤（D）青
　３.（A）青（B）青（C）赤（D）青
　４.（A）青（B）赤（C）赤（D）赤
　５.（A）青（B）赤（C）青（D）赤

『５つの可能性、その内１つが映像の中の真実』
『さあ、えらべ、そして入力せよ』
　【巨木】から低い声があげられ、ケーブルと端末が一体化したものが猟兵達の前に現れた。１２３４５。５つのボタン。

第1章 冒険 『中央コンピューターの謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

【交流回路と交流会話】
『きまったか、応えよ』
　カーバンクル・スカルン（無邪気な暴走少女・f12355）は考えこみながら。
　グァーネッツォ・リトゥルスムィス（超極の肉弾戦竜・f05124）はぴょんぴょんはねながら。
　渡塚・源誠（旅好きの猟兵・f04955）は敵さんとこんな形で対決するとはねぇとぼさぼさの髪をなでながら。
　ミニステリアリス・グレイグース（夢に囚われし灰塵の徒・f06111）は周りの人とぶつからないように。
　パルミリーリル・アーティルノッド（くるくる少女・f14000）ハイテンションに。
　竜胆・エレナ（ドラゴンお姉さん・f08680）はいつものえがおで笑顔でニコニコと。
　全員が、端末のボタン【２】を一斉に指さします。

　巨木は取り付けてあったセンサーをぐるぐると目のように回転させ、機械音声が流れます。
『６人の人間が偶然同じ数字を選ぶ確率……ガ、ガガガ』
いやあ人間はボクだけなんだけど、と渡塚は苦笑しました。ミニステリアリスをちらりと見ましたが、彼女はこくんと頷きます。
「ふふ、巨木さん、ここにいる皆は、理論に基づいて正解を出したのよ」
　竜胆は巨木、そして皆に向かってニコニコします
「考えるのは手間でしたが、いやいやブルートフォースは正義でございます！一大大作戦！」
　パルミリーリルは自分のユーベルコード：レプリカクラフトで帽子を作り出し、ふよふよとあたりに浮かせます。
「解きたいと思って折角考えたんだから聞いてよ！」
「と、皆言っている。考え方もほぼ一緒だったから解説するぜ」
　カーバンクルの横でグァーネッツォは自信満々に言います。
「重要なのは『D、C、Bの答えを皆聞いていた事』。じゃ、これに基づいて話を聞いてくれるか？」
『承知。収音装置の稼働と、論理器官内より問いへの過程に対する考察案提示開始……』
　こうして、巨木と６人の対話が始まります。

●Ｄ
「Ｄは前の３人が青帽子の時、青帽子の数から自分は赤帽子と分かる。けど、分からないといった」　
「はい、もし前の３人が全員青い帽子をかぶっていたらＤは「自分は赤」って答えられる。前の３人のうち赤をかぶっている人が最低でも1人はいることがわかるね」
「重ねるけど、青は3つしかないのでＡ、Ｂ、Ｄの３人が青ならＤは己のは赤だと分かるが実際には赤が混じっていたからＤには己の色がわからなかったんだな」
「こっちも重ねるがＤの『わからない』はＡＢＣ全員が青だから自身は赤だ、っていうのを否定したことになるね」
「ここからは選択肢を消去していくことになるわね。皆の意見の通り『ＡＢＣ』が全員青帽子のパターンはないわ」
「さようでございます！青、青、青。そんなものございません！１ありえません！」
　１の選択肢に×を描いたオブジェクトが張られます。
●Ｃ
「さて次の選択肢を決めるのもＣが『わからない』といったこと。Ｃからみて前、ＡＢが青ならＣは自分は赤だとわかるけど、そうじゃないからＣは『わからない』と答えた」
「Ｄの分からない、からＡＢＣは全員が青帽子ではないので前二人が青帽子ならＣは赤帽子と分かるはずですね」
「ＡＢＣの内最低1人は赤帽子だってわけだ。つまり、ＡＢが両方青でＣ自身は赤だってことをＣは否定したのが『わからない』って発言さ」
「重複するけど、Ｄの発言をきいてＡＢがどっちも青なら赤なのは己と分かるが。実際には赤が混じっていたからＣは己の色がわからなかったわけだな」
「Ｃの目には「赤・青」か「青・青」か「赤・赤」が見えてる。つまりＡＢ二人が青のパターンはないわけね」
「そう！Ｄが分からないと答え、ＡＢが青青であればＣは自身をもって自分は赤であると言えるはず！消える選択肢はこちらでございます！」
　３の選択肢に×を描いたオブジェクトが張られます。
●Ｂ
「ここはボーナスゾーンでございますね！一気に選択肢が消えますよ！ハイ消えました！」
「Ｂに考えられるのはＡＢの並びが青赤、赤赤、赤青のパターン。なのにＢは『わからない』っていっちゃたわね」
「ああ、ＢもＣと同じように『わからない』といった。Ｂも自分の可能性を否定したってことだ」
「ＢはＣＤの答えを踏まえると、ＡＢＣは全員青帽子ではない。ＡＢは片方または両方が青帽子ではないのでＡが青帽子の場合、Ｂは自分が赤帽子だと分かるはずです」
「Ａが青ならＡとＢどっちも青じゃないからＢは己は確実に赤だと分かるがＡが赤だったから己は赤・青どちらもありえるので『わからなかった』」
「ＢにはＡの色だけが分かる。Ａが青だったら自分が赤だと分かるのに答えられなかった……つまりAが被っている色は赤で確定！」
「Ａが青帽子の場合、Ｂは自分が赤帽子だと分かる。逆にＡが赤帽子だとＢは「ＡＢが赤帽子でＣが青帽子かもしれない」という可能性を否定できなくなります」
　だからＡの視点では後ろ三人が分からないと答える時、
「自分は赤帽子だとわかるという事になりますね」
　２つの×オブジェクトが４と５の選択肢に張られます。
●Ａ、そして結論
「Ａが被っている帽子の色が赤である選択肢は２しかない。よって、答えは２」
　全員の推測、そして結論が一致しました。
　端末に手の届かない猟兵を背の高い猟兵が抱え、全員が２のボタンを押しました。
　そして巨木はしばらく沈黙し、再び機械音声を発します。

【巨木の応え】
『……消去法からの、推測及び考察。６人の叡智、確認』
『ここに鍵の解除を宣言する』
『論理的思考能力の高さに敬意を表します。手伝えることがあれば命令を』
　巨木からそう機械音が発せられると、果実たちは床へとゆっくり降ろされていきます。
　冷たい床に投げ出されていく研究者達を見てカーバンクルが装備していた『どこでも熱湯風呂』を使います。
　そこに現れるのは温かい浴槽。
「あら、温めるのも回復にいいわね」
　竜胆は笑います。
「むむ、このパルミリーリルが命令いたしますよ！巨木さん、彼らを湯船に入れてあげましょう！あ、お風呂に入るときはお洋服を脱がせてあげてくださいね！」
『承知しました』
　巨木は端末から電子音を発すると、木々は果実たちを浴槽へと静かに入れます。
「……皆さん、もう大丈夫です」
　ミニステリアリスは湯船につかり、顔色がよくなってきた研究者たちの手当てを行い始めます。

「さて、頭も使ったことだし、これからはいよいよ前に進めるねえ！」
　改めて巨大な斧を抱え、グァーネッツォの金の瞳が見つめるのは研究所の向こう。
「そうね、ちょっと頭を使ったけど、ここまできたら後には引けない。答えがわかったならもう足踏みしてる暇はないわよ！ 」
　さっきまでのお姉さんモードが一瞬消えた竜胆も立ち上がります。
「それじゃあここで俺は、回復した人の脱出ルートを探ってみるとするか」
『ガ、ガガ、叡智ある者。ルート案内ならお任せください』
　繋がりあっていた木々、そして巨木から機械音声が流れます。

『さらなる知識、論理的思考を学習した今、我々は敵対行動はしません』
『これより先、叡智ある者達の検討をお祈りします』
　そして、猟兵達はそれぞれの道を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月19日