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慕情にアンジェリク・ブラン

#エンドブレイカー! #お祭り2022 #クリスマス #永遠の森エルフヘイム

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「今年も来たね、リヴァイアサン大祭当日!」
 何やら聞き慣れない言葉。
 いや、エンドブレイカーたちには耳慣れた言葉。
 エルフヘイムではこの日、白雪が羽根のように降り注ぎ、天を仰げば星霊リヴァイアサンが泳ぐように舞い踊る。
 この世界におけるクリスマス。エルフたちがパートナーとの絆を確かめ合う一日だ。
「俺たちエンドブレイカーも、毎年乗っからせて貰ってるんだよね」
 クレープ・シュゼット(蜂蜜王子・f38942)は目配せひとつ。
 誰? と問えば、通りすがりのパティシエだよとにこり笑って。
「今日だけ泉は温泉、小川は甘い蜜。そのお陰でエルフヘイムには露天風呂や、蜂蜜を使ったお菓子が露天に並ぶハニーバザールが出来ててね」
 今回はクレープも、バザールに出店許可を貰っているらしい。
「と言っても、俺は今回飲み物だけなんだけどね。柚子と蜂蜜を使ったホットドリンク。温まるよ」
 後はバザールを回って勉強するつもりらしい。
 だから一緒に、飲み物片手にハニーバザール回らない? と。
「あ、と言っても俺に同行してくれってわけじゃないから、その辺は気を遣ってくれなくても大丈夫だよ。同じ空間で同じ体験を共有してくれたら、俺はそれで嬉しいんだから」
 だってリヴァイアサン大祭は、絆を確かめる日なんだから。
 そういう繋がりだってきっと悪くない。

「だから、ね。一人でも、友達同士でも、恋人同士でも、家族や仲間とでもね。皆でバザール回れたら、嬉しいな」

 そう言って、王子様と呼ばれたパティシエは子供のように破顔するのだ。
 天からは変わらず、雪の羽根が舞っている。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 ゆっくりめ、かつ少人数での完結にはなる予定ですが。
 ご縁がありましたら、お付き合いいただければ幸いです。

 クリスマスシナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章:日常『リヴァイアサン大祭』

 メインはバザール巡りですが、バザールのお菓子を持ち込んで露天風呂でゆっくり、なんて楽しみ方も可能です。
 バザールでは蜂蜜を使ったお菓子なら、大抵のものは揃っている様子。(=プレで指定あれば極力反映します)
 また、クレープがご参加いただいた皆様にホットドリンクを皆様に配らせていただきます。(プレで言及の必要はございません)

 団体様でいらっしゃってくださる場合は。
 バザールで過ごされるのであれば、三名様まで。
 露天風呂など他の催しを楽しまれる方は、二名様までとさせていただきます。
 また、当方グリモア猟兵の内、クレープがバザールにおりますので、お声がけいただければ同行させていただきます。
 (お誘いいただいていない方のところに許可なく首を突っ込むことはありませんのでご安心ください)

 断章なし、公開された時点で受付開始です。
 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『リヴァイアサン大祭』

POW   :    温泉に浸かりながらゆっくりする

SPD   :    お祭りの料理やお菓子を楽しむ

WIZ   :    大切な人との絆を確かめ合いながら過ごす

イラスト:麦白子

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
クレープさん、よかったらご一緒しませんか
やっぱり誰かと一緒の方が楽しいかなと思って
僕も丁度バザールの方回りたかったんですよね
蜂蜜のお菓子、気になるんだ
料理好きとしては色んな味覚えておきたいし、勉強に
クレープさんと目的はいっしょ、かな?
単純に甘いもの好きっていうのもあるんだけどね、えへへ

柚子と蜂蜜のホットドリンクをちびちび飲みながら(猫舌)
一店舗ずつゆっくり回って

クレープさん、パティシエなんだっけ
僕もお菓子作り好きだし色々極めたいけど
あくまで独学と趣味でやってるだけだから
きっと知識差は圧倒的なんだろうな

もし機会があれば、今度お菓子作り学ばせてもらえませんか?
プロの技術見てみたいです…!




「クレープさん、よかったらご一緒しませんか」
 ペーパースリーブ越しにホットドリンクを両手の中に収めた、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)からのお誘いに、クレープはきょとんとその栗蜂蜜色の目を丸くした。
「そりゃあ俺は喜んで、なんだけど。いいの?」
「はい! やっぱり誰かと一緒の方が楽しいかなと思って。僕も丁度バザールの方回りたかったんですよね」
 蜂蜜のお菓子、気になるんだ――と、添える表情は心からこの大祭を楽しんでいるそれで。
 それに、料理好きとしては色んな味を覚えておきたいというのもあって。そう、これは澪にとって、異世界スイーツの勉強でもある。
「クレープさんと目的はいっしょ、かな? ……まぁ、単純に甘いもの好きっていうのもあるんだけどね、えへへ」
 はにかむような柔らかい笑顔を前にして、クレープの表情にも釣られるように満面の笑みが広がった。
「そういうことならお言葉に甘えて! よろしくね」
 二人並んで、いざハニーバザールへ!
 はらはら、羽のように舞い散る雪も、時折吹き抜ける冬の風も、身体を冷やしてゆくけれど。
 人々の活気と、掌に優しい熱を伝えるホットドリンクが温かく包んでくれるから、大丈夫。
 とろり柔らかな黄金色の、柚子と蜂蜜のドリンクを、実は猫舌な澪はちびちびと飲みながら。
「あっクレープさん、あれって何でしょう?」
「ん? ああ、あれはクッキープディングだね。蜂蜜の他にも林檎が入ってるみたいだ。近くで見てみる?」
 一店舗ずつゆっくり、丁寧に見て回る。ひとつひとつ、見て、聞いて、時に味わって。
 楽しい時間は、まるで雪が溶けるように、羽根が風に攫われるように、あっという間に過ぎてゆく。


 バザールの外れに設置されていた、木製のベンチに二人で並んで座り、ドリンクの残りとまだ食べかけのお菓子を口に運びつつ。
「クレープさん、パティシエなんだっけ」
 澪の問いかけに、そうだよーと笑うクレープ。
 聞くところによると、マギラントという都市国家に自分の店も構えているのだとか。
(「僕もお菓子作り好きだし、色々極めたいけど……あくまで独学と趣味でやってるだけだから、きっと知識差は圧倒的なんだろうな」)
 バザールのお菓子について語っていた時の、クレープの様子を想起する。きらきら、楽しそうに表情を輝かせていた。自分のことのように。
 望んで、学んで、経験して、そうしてパティシエになった人なのだと、澪は思った。
 自分は職業としてお菓子作りをしている身ではないけれど、それでも作ること、食べて貰うことが楽しくて、嬉しいのだ。
 だからきっとこれからも、お菓子作りはやめられない。彼も、自分も。
「あの、もし機会があれば、今度お菓子作り学ばせてもらえませんか?」
 意を決して口にすれば、クレープは再びきょとんと目を丸めたけれど。
「プロの技術、見てみたいです……!」
 自分を見上げる琥珀の瞳に宿った熱意が伝わったのか。
「うん、解った! またどこかで俺の姿見かけたら、いつでもおいで。準備しておくからさ」
 仲間を見つけた少年のように、朗らかに笑う。
 澪の表情もぱっと輝き、笑顔が伝搬していった。
 今日はリヴァイアサン大祭。絆を確かめる日。
 これもまた、ひとつの絆の形だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
こっちではクリスマスのことをリヴァイアサン大祭っていうんだ。
何でもお祭りはいいね!
珍しいおいしいものがいっぱい食べれて、楽しいし。

蜂蜜はいいね!
どばっと垂らせば、なんでもおいしくなる魔法の滴だよね。
蜂蜜のお菓子がこんなに並ぶなんて、これは迷うな……

そこのお兄さん(クレープ)、オススメ教えてよ。
さずがにここの全制覇無理だから、オススメ食べていくからさ。

さぁ、オススメも教えてもらったし、いざ参る。
これは楽しみだな。




 街はクリスマスムード――ならぬ、リヴァイアサン大祭ムード一色。
(「こっちではクリスマスのことをリヴァイアサン大祭っていうんだ」)
 心の赴くままに世界を巡り仕事を請け負う猟兵にして傭兵、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)。そんな彼女も今日はオフ、新たな世界のクリスマス的行事に興味津々。
「ま、何でもお祭りはいいね! 珍しい美味しいものがいっぱい食べれて、楽しいし」
 名前は世界で違っても、楽しいイベントであることには変わりない!
 聞くところによると、ここでは蜂蜜を使ったお菓子が店中にずらりと並ぶ、ハニーバザールが名物だそうだから、シモーヌとしてはそちらも期待大。
 楽しいことと美味しいものは、是非堪能しなければ。
「ん〜、この香り。蜂蜜はいいね!」
 思い切ってどばっと垂らせば、あら不思議。何でも美味しくなる魔法の滴だ。想像すればそれだけで口内が潤う。
 お菓子は美味しい。蜂蜜も美味しい。美味しいと美味しいの掛け算で、美味しくならないわけがない。と、立ち並ぶ店をざっと見て、改めて確信する。
 何せこのシモーヌ、美味しいものは大抵好きだが、特に甘いものは別格なもので!
(「蜂蜜のお菓子がこんなに並ぶなんて、これは迷うな……」)
 とろりと輝く黄金色に、練り込まれて程よくついた焼き色も、どれもとっても魅力的で。
 どれにしようか、悩んでいるだけで大祭が終わってしまいそう! それはよろしくない。これは非常に由々しき事態だ。
 ならば、シモーヌが取るべき手段はただひとつ。きょろりと周囲を見渡し、先程のクレープと名乗った青年を発見。すぐさま彼の下へと歩を進めて。
「そこのお兄さん、オススメ教えてよ。流石にここの全制覇無理だから、オススメ食べていくからさ」
「はぁい! オススメか、そうだなぁ……やっぱり定番のワッフルとか、蜂蜜バター入りの焼き林檎は人気だね。後は……個人的にはフィナンシェもかな。プレーンのも檸檬が入ってるのも美味しいから、食べ比べもいいかもね!」
「ワッフルと焼き林檎……それにフィナンシェか、いいね。じゃあ早速行ってみるよ!」
 そう、詳しい人に聞く!
 これなら外れはないだろう。更にこの男性、パティシエだと言うのだから、甘味に関する評価は信用出来る筈だ。
 オススメも聞いたことだし、ホットドリンク――蜂蜜多めに入れて貰った――も受け取って、バザール巡りの準備は万端。
「さぁ、オススメも教えて貰ったし、いざ参る。これは楽しみだな」
 上機嫌に、足取り軽く。
 全制覇はやむを得ず断念したけれど、パティシエのオススメを中心に、美味しいお菓子を探しに行こう。
 これはこれで、宝探しのようで楽しいじゃないか!

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

新世界へ初めて渡るのワクワクするね

や、勿論断じてそれだけじゃないよ?
オブリビオン退治、世界の安寧
それは何時も考えてるけど…
今日は良い、よね?お祭りだしはちみつ大好きだし

苦笑いしつつ俺に付き合ってくれた陸井を
引っ張り甘い香りを吸い込んで…
あ、と急ブレーキ

クレープ居たから!
危険ないし転送後こっち来てたんだね
此処出身って聞いたからお薦め聞きたくて
「ね、何が美味しい?甘いの教えて?」
聞いたの沢山あったら陸井にも覚えて貰おう

もし案内して貰えたら一緒に、忙しそうなら
きちんとお礼言ってから甘味探検
沢山買って満足してお祭り楽しむ人たちと交わって

「必要な時…絶対護りに来ようね、陸井」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

エンドブレイカーの世界には初めて来たけど
エルフヘイムの壮大さには本当に圧倒される
相棒は相変わらず甘い香りに誘われているようだけど
何処に来ても変わらない相棒に安心もする
「わかってるよ、相棒。まずは色々買いに行かないとな」

クレープくんからホットドリンクを受け取ってバザールへ
持ち帰り用に包んでもらったクッキーにスコーンはしまって
持ち帰るのが難しそうな物は此処で食べて行かないとな
歩きながらホットドリンクで焼き立ての菓子を食べようか
「ふむ…やっぱり蜂蜜の質の良さなんだろうな。本当に美味しい」

でも、確かに祭りを楽しみながら時人と同じ気持ちになる
「あぁ…必ずだ。護ろう」




 まさに『剣と魔法とファンタジーの世界』を体現したような世界のひとつが、このエンドブレイカーだ。
 中でもこのエルフヘイムは巨大樹木群を基に形成された都市国家であり、その特異性と神秘性は他に類を見ない。
「この世界には初めて来たけど、エルフヘイムの壮大さには本当に圧倒されるな」
「ん、新世界へ初めて渡るのワクワクするね」
 凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)もまた、一際高く聳え立つ世界樹を見上げていた。
 とは言え、である。ちらと傍らの時人を見遣る陸井。
「……まぁ、相棒は相変わらず甘い香りに誘われているようだけど」
「えっ」
 苦笑する陸井に、解せぬと言わんばかりの表情を向ける時人。
 尤も、あながち的外れでもないのであるが。何故ならこの時人、魔神の称号を獲得するほどには甘党なのである。そこにこのハニーバザールへのお誘い。
 だがちょっと待ってくれ、と。
「や、勿論断じてそれだけじゃないよ? オブリビオン退治、世界の安寧……」
 このエンドブレイカーにも、エリクシルやらマスカレイドやら、平和を脅かす敵が存在しているわけで。
 今はあくまで祭の誘いだが、いざとなればすぐに動けるように心がけてもいる。
「それは何時も考えてる。考えてる、けど……」
 でも、まぁ。
「今日は良い、よね? お祭りだし、はちみつ大好きだし」
 えへへ、とはにかむように笑う、少年の面影を残した相棒の所作に、陸井は思わず苦笑する。
「わかってるよ、相棒。まずは色々買いに行かないとな」
 それに、どこに来ても変わらない相棒に、陸井は安心もしている。それもまた事実だから。
 陸井の了承が取れた時人はぱっと表情を輝かせて、そのままその腕を引っ張って、バザールへ。
 入口に近づいただけでも蜂蜜の甘い香りがその胸を満たしていく。いよいよ足を踏み入れようとした――ところで。
「あ」
 時人、突然の急ブレーキ。
 勢い余ってややつんのめる陸井。
「っと……どうした?」
「クレープ居たから!」
 ほらあっち、と時人が視線で示す先。
 確かに、出店でホットドリンクを配っているその姿がある。
 声をかければ、笑顔でひらりと手を振ってきた。
「危険ないし、転送後こっち来てたんだね」
「俺も楽しみにしてたからね! 楽しんでる?」
 これからだよ、と陸井が微笑みつつ返せば、二人にもホットドリンクの差し入れが。
 蜂蜜の甘さと柚子の酸味、そして何より温かさが身に沁みる。
「ね、何が美味しい? 甘いの教えて?」
 クレープはこの世界の出身だと聞いた。ならば、このバザールにも詳しいだろう。
 だから、時人としてはオススメの品を聞いておきたかった。出身者の推しなら間違いはないだろうから。
「甘いのかぁ。甘さで言うなら生クリームとベリーが乗ったハニープリンとか、蜂蜜入りの焼き立てストロベリーカスタードクレープとかかな? ……あ、俺じゃなくて食べる方のね!」
 他にも……と結構色々と教えてくれたので、陸井と二人で覚えながら。
 折角なのでクレープも一緒に、と誘えば。
「いいの? 行く行く!」
 と、嬉しそうに同行してくれたので、三人で今度こそバザールへ。
 時人はクレープのオススメをメインに目指しつつも、その青の双眸をきらきらさせながら目移りさせていて。
 陸井は、それよりはちょっと控えめにクッキーやスコーンを。持ち帰り用にも包んで貰いつつ。
「持ち帰るのが難しそうな物は此処で食べて行かないとな」
「だね。……あっプリン! それお願いします!」
 祭を楽しむ人々や、バザールの売り子たちとの交流も、目一杯に楽しんで。
 そうやって両手に抱えた沢山のお菓子を、ホットドリンク片手に味わって。
「ふむ……やっぱり蜂蜜の質の良さなんだろうな。本当に美味しい」
「わ、ホントだ。しっかり甘いけど、蜂蜜の風味もちゃんと出てるよ」
「あはは、そう言って貰えると地元冥利に尽きるかな」
 噛み締める。
 この豊かな甘みも、行き交う人々の活気も、平和であればこそだ。
 生まれ育った世界は違えど、変わらず護られるべき、生命の営みだ。
「必要な時……絶対護りに来ようね、陸井」
「あぁ……必ずだ。護ろう」
 時人も陸井も、思いは同じだ。
 護るのだ。この世界の平和が脅かされる、その時は。
 そんな二人の横顔に、クレープはどこか嬉しそうに微笑んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
今年のクリスマスは兄様といっぱいさんかで嬉しいの!
綺麗な雪と蜂蜜のあまーいかおりがいっぱいなの!
クリスマスってとっても幸せいっぱいなの!
雪きれいだからばふーって飛び込んでみるの!
「わわー!さむいけどふわふわー!」

兄様といっぱいバザール歩いて決めるの!
で、でもこんなにあると迷っちゃうの!
「兄様!あれなんだろー?あ、あっちも綺麗なお菓子!」
あっちこっちってしてからお店のお兄さんに聞いてみるの!
あれもこれもおいしそうでとっても迷っちゃうけど
お勧めの蜂蜜のケーキって決めたの!
みつかは我慢できる偉い子なの
「兄様兄様!晩御飯もちゃんと食べるからこのケーキお願いなの!」


深山・樹
妹の光華(f37163)と 呼び方は「みつか」

新世界って聞いて登校前におねだりしてきた
みつかぜったい行くの!って
お祭りなら様子見られるしいいねってOKして
すごく喜んだから僕も笑顔なって

門くぐったら雪!
みつかすぐ寝転がって型押ししてる
にいさまも!って言われて僕も
面白いけど…さ、寒い
みつかもくしゃみしてる

転送のお兄さんがあったかい飲み物くれたから
ちゃんとありがとうございます言うよ

みつかが名物とかお兄さんに聞いてる
じゃあみつかが食べたいの買いたいな
…お小遣い足りるかな…
でもみつかもお兄さんもすごく楽しそう
頑張って買うよ
せっかくのお祭りだもん

けどそれ…みつか今日寮のごはん食べられないんじゃないかな…?




 天使の羽根が降る如く。
 はらりはらり舞い散る純白、足元にも広がる雪景色。
 幼い兄妹は圧倒され、しかしそれ以上に感動していた。
「すごい……門くぐったら雪!」
 深山・樹(処刑人・f37164)が思わず感嘆の溜息を漏らす傍ら。
「わわー! さむいけどふわふわー!」
 ばふーっと、雪の中へとダイブする妹――天風・光華(木漏れ日の子・f37163)の姿が。
(「みつか、すぐ寝転がって型押ししてる」)
 はしゃぐ妹の様子を前に、思い出す。
 新世界に行けると聞いて、光華は登校前に樹へとおねだりしてきた。
 みつかぜったい行くの! と、熱心な眼差しで。
 お祭りなら様子見られるしいいねと承諾すれば、ぱっと華ひらくように光華の表情が綻んで。
 すごく喜んだ、その様子に自然と樹も笑顔になった。
 そして、今。
(「えへへ、今年のクリスマスは兄様といっぱいさんかで嬉しいの!」)
 世界各地で開かれている、クリスマスのイベント。
 光華と樹で色々回ると約束したのだ。
 ここもそのひとつ。雪が綺麗で思わず飛び込んだら、寒風に乗って運ばれてくる甘い香りを胸一杯に吸い込んで。
(「綺麗な雪と蜂蜜のあまーいかおりがいっぱいなの! クリスマスってとっても幸せいっぱいなの!」)
 満たされた気持ちで笑顔も深まる。
 寒さ? 嬉しい、と、幸せ、の前では少年少女は無敵なのだ!
 この気持ちを兄様とも共有したい!
「にいさまも!」
「えっ? わ、わかったよ」
 雪の上にその身で天使を描いた妹が、そのままの体勢で手招きをしてくるので。
 樹もいざ、白銀の世界へダイブ!
(「面白いけど……さ、寒い」)
 お兄ちゃんは、ちょっと無敵にはなれなかったようです。
 隣を見遣ればかく言う光華も、きゃっきゃと笑いながらもその中にくしゃみをひとつ。
 風邪を引いてはいけないから、先に樹が起きて、立たせてあげて。
 いざ、バザール巡り! ……の前に。
「はい、これであったまってねー」
「ありがとうございます」
「ありがとうございますなのっ」
 ここまで転送してくれたクレープお兄さんから、ホットドリンクを受け取り。
 樹が礼儀正しくしっかりお礼を告げれば、光華も倣ってぺこり。お兄さんもニコニコ笑顔になっていた。
 楽しんでね! との言葉を背に、今度こそ出発。
 ウキウキワクワクと、見ている樹も楽しくなってくる様子でバザール見て回る光華……だったが。
 ふと、困ったようにキョロキョロし始めて。
「みつか、どうしたの?」
「兄様といっぱいバザール歩いて、食べるの決めるの! で、でもこんなにあると迷っちゃうの!」
 そんな可愛らしい悩みでした。ふふ、と思わず樹の口元が柔らかく三日月を描く。
 だがすぐにはたと顔を上げる光華。
「兄様! あれなんだろー? ……あ、あっちも綺麗なお菓子!」
「みつか、はぐれないようにねー?」
 はーい! と元気よくお返事ひとつ返ってきた後、光華はあっちこっちと気になったお店に突撃しつつ。
(「みつかが名物とかお兄さんに聞いてる……」)
 結局決めきれなかったようで、オススメを聞く作戦に出たようだ。
 だってどれも美味しそうだし素敵だし。あれもこれも気になっちゃうお年頃。だからしょうがないのです。
(「じゃあ、みつかが食べたいの買いたいな」)
 兄としては、妹の願いは叶えてあげたいもの。
 けれどひとつ、不安もあって。
(「……お小遣い足りるかな……」)
 もどかしいけれど、やっぱり自分の経済力だと沢山は心許ない。
 どうしたものかと思案していると、さくさくと雪を踏んで光華が戻ってきた。
「とっても迷っちゃうけど……お勧めの蜂蜜のケーキって決めたの!」
 樹に報告する光華。ちゃんと絞りました!
 みつかは我慢できる偉い子なの、と胸張りえへん。
 でも比較的お高そうなやつですね、それ。
(「でも、みつかもお兄さんもすごく楽しそうだった」)
 あれがいいこれがいいと話していた、二人の表情を思い出す。
 楽しそうで、幸せそうだった。だから。
「頑張って買うよ。せっかくのお祭りだもん」
「わーい! 兄様だいすきなのー♪」
 ばんざーい! と全身で喜びを表現する光華。
 ああ、その笑顔が見られるのなら、偶には奮発するのも悪くないかななんて、樹は思った。
 思った、のだが。
「けどそれ……みつか、今日寮のごはん食べられないんじゃないかな……?」
 樹の言葉に、はたと動きを止める光華。
 それはいけない。折角作ってくれるごはんを残すわけにはいかないのだ。でも折角のケーキ。兄様も買ってくれると言っている……。
「兄様兄様! 晩御飯もちゃんと食べるからこのケーキお願いなの!」
 お残ししません、お願いします!
 そう、熱心におねだりする妹に苦笑しつつも、樹はケーキ屋さんの店先に足を向けたのだった。


 今日はリヴァイアサン大祭。
 パートナーとの絆を確かめる日。
 どんな絆だってきっと、|天使《雪》は祝福してくれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月27日


挿絵イラスト