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燈火、闇に光を

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●火刑を前に
 転々と並べられた篝火が石造りの廃墟を明々と照らし上げている。
 領主館がある丘の上に佇む、廃教会めいた催事場である。
「フシュシュシュ、オ前ハ此処で犠牲にナるのダ」
 黒焦げの南瓜に人間の肢体が生えたようなオブリビオンが、道化じみた身振りでけたけたと笑い声をたてる。
 その眼前、薪が積み重ねられた奇妙な祭壇の上では、今、麓の村から連れてこられた妙齢の女が磔にされていた。
「私を焼き殺しても無駄よ。こんなことで皆の生きる希望は奪えはしない」
 女は名をサラと言った。オブリビオンの支配に苦しむ麓の村で、彼女は人々を元気付け、絶望に陥ろうとする人々に手を差し伸べてきた。
 だがそれは村を支配するこのオブリビオンにとって、目障りなものでしかない。だから領主館の敷地内にあるこの催事場で焼き殺し、人々に絶望を与えようというのだ。
「処刑ダ、火炙りダ、抵抗するトこうなるのダ!!」
 これはオブリビオンによる明確な示威行為だった。抵抗の意志を削ぐため、この怪異はこれまでも幾度となく村から人々を拉致し、火刑に処している。
「さア苦しめ、悶エ苦しんで焼け死ぬがイイ」
 サラは目を閉じる。捕まった時、村人には決して抵抗せず助けにも来ないようにと言い残してきた。犠牲になるのは自分だけで十分だ。
 南瓜頭のオブリビオンが薪の祭壇に火をかけようとしている。
 炎がサラの体を焼き尽くすまで、もう余り時間がない。

●グリモアベースにて
「ダークセイヴァーの村で、新たな犠牲者が出ようとしています」
 化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)が出迎えたグリモアベースは、闇の帳が下りた夜の世界へと移り変わっていた。転々と灯りが見える。
「村の名はゼルコバ。この世界の多くがそうであるように、この村もオブリビオンの支配を受けています」
 村を見下ろせる丘の上に領主館があり、そこに巣食った南瓜の化け物のようなオブリビオンが、恐怖による支配を行っているという。
「村人の中に反抗の兆しが見出されるたび、幾人かが領主館の敷地内にある催事場に連れ去られ、処刑されているようなのです」
 処刑の方法は火刑だ。火炙りである。敢えて村人の前で焼殺しないのは、焼き殺される人間の様子を一人で見るのがそのオブリビオンの愉しみだからだろう。
「そして今、また一人、村から連れて来られた女性が犠牲になろうとしています。サラ、という名前のその女性は、オブリビオンの支配下にあって、人々に生きる希望を与えてきた前向きな人物です。どうかオブリビオンを倒し、彼女を救出してあげて下さい」
 村では丁度、蝋燭などを用いた、ほんのささやかなお祭りが行われる予定だった。希望の象徴とも言える人物が処刑されることで、その催しも台無しとなり、村人は失意の底に沈むだろう。
「普段オブリビオンが拠点にしているのは丘の上の領主館ですが、今はその敷地内にある催事場にいます。廃教会のような建物ですね。建物の周囲には多くの亡者が徘徊していますが……領主館そのものを攻略するより警備は薄く、攻め込みやすい状況の筈です」
 転移が可能なのは催事場の前庭まで。
 建物を取り巻くように配下となる亡者の群れが見回っているので、これを全滅させた後、催事場内部にいるオブリビオンを撃破することとなる。
「オブリビオンは処刑対象に恐怖を与えながらじっくりと火炙りにするつもりのようで……まだ救出までに若干の余裕はありますが、切迫した事態に変わりありません」
 集団戦で苦戦してしまうと、救出が間に合わなくなる可能性もある。
「皆さんの力でどうか村を覆う闇を払って下さい。どうぞ宜しくお願いします」


相馬燈
 ダークセイヴァーの村で村人の女性が連れ去られ、見せしめとして火刑に処されかけています。オブリビオンが巣食う廃教会めいた催事場を強襲、敵を全滅させることが今回の目的となります。

●ゼルコバ村
 オブリビオンが恐怖による支配体制を敷いている小さな村です。

●主な戦場
 村を見下ろせる丘の上に佇む、廃教会のような催事場です。建物の周囲には多数の亡者が徘徊しており、ボスと救出対象のいる催事場内に突入するためには、まずこの敵集団を排除しなければなりません。

●救出対象について
 催事場の建物内で、サラという名の女性が磔にされ、その足元の薪に火がかけられようとしています。まだ若干の猶予があるものの(状況の推移にもよりますが)第一章の集団戦で苦戦が重なると焼き殺されてしまう可能性があります。

●討伐後
 無事にオブリビオンを討伐できれば、夜の村を舞台に、蝋燭などを用いたイベントが催される予定となっております。

 以上です。皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 廃教会めいた石造りの催事場の周囲を、篝火を手にした亡者どもが徘徊している。
 その数は侮りがたいほど多く、突破するためには全滅させるべきだ。
 不気味なうめき声をあげて歩き回るその集団は、最後の一体に至るまで戦いを続けるだろう。
ローズ・ベルシュタイン
■心情
火炙りとは、何とも残酷な殺し方でしょうかね。
サラの命は、必ず助けて見せますわよ。

■行動
WIZ判定の行動

『夕暮れ時に薔薇は踊り咲く』を使用して攻撃しますわね。
敵が射程距離に入るくらいまでダッシュを使い、接近して
一気にユーベルコードを使用、範囲攻撃も駆使して攻撃。
同じ戦場の仲間は攻撃対象から外す。

新たなる亡者に対しても
夕暮れ時に薔薇は踊り咲くで、
蘇生した亡者を優先的に倒す様にしますわね。

敵の攻撃は、盾受け、武器受け、見切りなどを使用して防御して
カウンターで反撃するようにする。
避けられそうな攻撃は
スライディング、ダッシュ、ジャンプ等で回避。


上野・修介
【POW】
「悪趣味だな」
時間は掛けられない。
故に呼吸を整え、平常を保ち、命を賭す。
より効率的に、より確実に。
――元よりこの五体はその為のモノ

攻撃前に偵察し、敵の数と位置を把握し、味方に共有。

得物は素手格闘【グラップル】
【覚悟】を決め【ダッシュ】で飛び込み、【捨て身】で相手をぶっ潰す。

基本的にはヒット&ウェイ。
味方と積極的に連携を取る。
篝火の造る影に触れないよう気を配り、狙いを付けらないよう【フェイント】を掛けつつ常に動き回る。
一対多は避け、相手の懐に肉薄し一体ずつ確実に始末する。
復活されても厄介なので、四肢と頭は確実に潰す。

自UCは動き回ってる間は命中重視、肉薄している間は攻撃力重視で。


佐那・千之助
サラ。話を伝え聞いただけで惚れてしまいそうなおんなよの
常夜の世界に灯る一筋の光、決して絶やすわけにはゆかぬ。必ず救い出してみせよう
(サラの生き様に自分の境遇を重ね、強い思いをもって臨む)

戦闘
【千思蛮紅】は予備動作無し、思考するだけで敵を燃やせるから多少は有利かの?
いつ自分が燃やされるか解らぬ状況で敵の集中力も欠けてしまえば幸い。
距離も関係無いから他の猟兵の窮地にも対処できるよう気を配っておく

…炎に炎、暑苦しい戦場にして済まぬの。手数があまり無いゆえ。
ともかく時間が惜しい。カウンター・2回攻撃等の戦闘技能を活かし一刻も早く先を急ごう
接近されたら黒剣で応戦
共闘アドリブ歓迎



「火炙りにされる者を目の前で見物するとは、悪趣味だな」
 催事場の敷地を崩れかけた石壁が取り囲んでいた。正門の門脇に取り付いた上野・修介(元フリーター、今は猟兵・f13887)は言うと、目前の亡者が背を向けた一瞬の隙を突いて前庭に突入した。
 呼吸を整え、平常を保ち、命を賭す。死地に踏み込む既に覚悟は出来ている。
「――シッ!」
 黒衣の亡者に背後から肉薄すると、体重を乗せた拳で強かに打った。
 気付いた別の亡者により振り下ろされた篝火の杖を避けて、修介は影に触れないよう回り込む。黒衣の上から頭部を掴むと、全力を込めて握り潰しながら群がろうとする黒衣の集団に投げ飛ばした。
 接近までは回避されないように素早く迫り、肉薄すれば必殺の一撃を見舞う。
 それは修介が駆使する基本の素手喧嘩術の賜物だ。
 とは言え、圧倒的な数で押してくる亡者に囲まれれば厄介なことに変わりはない。
「闇にありし魔の理よ、我が呼びかけに応え暴威を振るえ」
 篝火を掲げて修介に炎を放とうとした亡者が、響く声の後に燃え上がった。
 ゆっくりとした足取りで歩み来る佐那・千之助(火輪・f00454)が意識を向けるだけで、数体の亡者が火柱となって炎上する。
 千思蛮紅(センシバンコウ)。
 対象を意のままに地獄の炎で包み込む千之助の力は、接近戦を旨とする修介にとって効果的な援護となる。
「……暑苦しい戦場にして済まぬの。援護はするゆえ、存分に立ち回ると良い」 
 戦場の只中だ。頷きを返した修介は軽快なフットワークを活かして、炎弾を回避しながら亡者の集団を翻弄する。燃え上がる杖を振り回してくる亡者の横をすり抜け、全力の裏拳で弾き飛ばした。骨を砕いた手応えを感じながら別の亡者めがけ走り込む。
 千之助は修介への絶妙な援護を続けながら、ぽつりと呟いた。
「サラ。話を伝え聞いただけで惚れてしまいそうなおんなよの」
 不可視の攻撃の源が千之助であることに気付くと、黒衣の死者達は数に任せて襲いかかってきた。その多くを一瞥するだけで炎上させ、何とか炎を抜けてきた一体を千之助はその陽色の長い髪を靡かせながら、黒剣を振るって一刀の下に斬り伏せた。
 夜風にさらりと揺れる陽光を思わせる髪は、この常闇の世で苦しみ嘆く人々への標となるよう伸ばしたもの。
(「常夜の世界に灯る一筋の光、決して絶やすわけにはゆかぬ。必ず救い出してみせよう」)
 人の盾となることを決めた千之助はサラの生き様に自身の境遇を重ね――その眼差しが蝟集する亡者を見据えると、激しい火柱が立ち上った。
 修介の重い拳撃が黒衣の上から亡者の頭を吹き飛ばす。
「頭を潰しただけでは復活するか……」
「なに、灰にしてしまえば蘇生も何もあるまいよ」
 だが、と千之助は思う。真っ先に戦端を切ったは良いが、如何せん敵の数が多すぎる。
 黒衣を掴んで投げ飛ばし、襲い来る炎の盾にした修介が正門の方を見て言った。
「あれは猟兵か」
 夜の闇に満たされた丘上に転移を果たすと、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は即座に大地を蹴って走り出していた。
「火炙りとは、何と残酷な殺し方でしょう。……必ずサラの命は助けて見せますわよ」
 ローズはその薔薇色の美しい髪と服を靡かせながら風のように駆け、正面から前庭へと迫った。
「一気に片を付けましょう!」
 闇に剣の軌跡が閃き、鋭利なロングソードによって瞬く間に数体が斬り倒された。
 再び火柱が上がり、その間を縫うようにして修介が疾駆し拳を振るう。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい!」 
 ローズは亡者の集団に囲まれながら、夕焼け色の刀身が見事なロングソードに力を込めた。掲げ上げた剣が橙色に染まった数多の花弁と化して旋風に吹かれたように舞い踊る。
 それはローズを中心に半径二十メートルの中で生じた目を奪う程の絶景だ。
 夜闇に溢れた薔薇の花弁はその美しさに秘めた刃を顕し、亡者どもに襲いかかる。篝火から炎を放出しようとした亡者が幾百の花弁に切り裂かれて崩折れたのを皮切りに、包囲していた黒衣の死者達が微塵に刻まれて倒れ伏した。
「ほう、これは見事なものよな」
 千之助が目を細める。
 花の嵐はローズの意思通りに舞い、猟兵達には一筋の切り傷を与えることもない。
 花弁が風に乗って消えた後、周囲には切り裂かれた亡者どもが倒れ伏していた。
 攻撃範囲外にいた亡者達が篝火を手に迫りながら、片手を倒れた同胞達に伸ばして不気味なうめき声をあげる。
「死して尚、働かされ続けるなんて憐れですわね」
 倒れ伏し、戦闘不能に陥っていた筈の亡者どもが傷だらけの体のまま起き上がった。
「せめて一思いに眠らせてあげますわ」
 篝火から放たれた炎を、深紅の薔薇の勲章が中央に施された小型の円盾でローズは防ぐ。
「さあ、第二幕と参りましょう。数多に咲き誇りなさい!」
 ローズが掲げた剣が再び無数の薔薇の花弁と化して舞い散り、亡者達を切り裂いた。
 三人の猟兵により、前庭の亡者達が瞬く間にその数を減らしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パティ・チャン
邪魔者を殺害するにしても、オブリビオンの面前で意識ある状態で焼き殺す、というのは悪趣味にも程があります!

なれば、私の対抗手段は…炎には氷!

世界知識、物を隠す、学習力、情報収集、地形の利用を動員して、亡者の死角となる(かつ、出来れば火炙り用の火種を潰せる)場所を探って、そこから【Congelatio!】発動
(この小さな体躯がモノをいうのは、まさにこの時。潜入や索敵なら任せておいて!>仲間への潜入ルートを探り伝達することも忘れずに)

「体躯こそこれでも、炎を止める位ならいけるハズです!凍ってしまいなさい!」

流石に凍り付くまでは難しいでしょうが、炎の牽制さえ出来ればこの場は問題ナシ。



「目の前で火炙りにするなんて、悪趣味にも程があります……!」
 フェアリーであるパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)は、闇に乗じて、青く透き通る羽根を羽ばたかせながら催事場の西側から近付いていった。彼女の体躯は20cm半ばほどであり、上手くすれば敵に見つかることなく接近できるものと思われた。
「あの篝火のお蔭で大体の位置は掴めますね」
 催事場の敷地は石壁で囲まれていたが、大きく崩れている箇所も多く、その合間から揺らめく炎が確認できた。枯れた灌木の影から飛び出したパティは、石壁の上に軽々と身を躍らせる。石壁の上に残存していた花のような飾りに隠れて、辺りを見回した。
「こちら側の数は少なくなっている……」
 パティの右手側、催事場の前庭では、既に他の猟兵達が亡者を相手に戦いを繰り広げているようだ。この周囲を徘徊していた亡者のうち何体かがそちらに向かったようで、左を見れば、また幾つもの篝火が近付いてくるのが見えた。
「ここに隠れていれば不意を打てそうですね」
 息を潜めて亡者が近付いてくるのを待ちながら、パティは闇に屹立する催事場にちらと視線を向けた。敷地を囲む石垣は見る影もなかったが、建物の石造りの壁自体はしっかりしたものだった。正面扉の他に入り込めそうな場所といえば、かなり高い位置に並んでいる窓か、煙突くらいのものだろうか。
 考えているうちに、篝火を手にした亡者達が眼下を通り過ぎていく。
(「私の対抗手段は……炎には氷!」)
タイミングを見計らったパティが闇に身を躍らせ、背を向けた亡者の集団を急襲した。踊るように宙を駆け、レイピアを模った光剣を縦横無尽に振るう。
「凍ってしまいなさい!」
 一閃ごとに放たれる凍気が亡者に凍傷を与え、氷結させて戦闘不能に陥らせる。
 一仕事を終えると、パティは猟兵達に合流しようと宙を駆けた。
「この小さな体躯がモノをいうのは、まさにこの時。潜入や索敵なら任せて下さい!」
 パティは戦いを繰り広げる猟兵達を見つけてそう告げると、その個性を活かして、催事場内部の様子や侵入経路を探るべく行動を開始するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロベリア・エカルラート
ふふっ、辛気臭い世界でも、やっぱりオブリビオンに立ち向かおうって人はいるもんだね……
ただの綺麗事なら放っておいて見物でもするんだけど、とりあえず助けるだけ助けてみても良いかな、この調子なら

さて、時間もないし雑魚はさっさと片付けようか

血統覚醒を使って、剣での白兵戦で敵を殲滅するよ
一体ずつ確実に、まずは数を減らすことを優先しようか

コイツラも丘の上のオブリビオンに殺されたのかも知れないけど、手加減は必要ないかな
こいつらもサラって人を殺したくはないだろうしね

「さて、さっさと片付けるよ」
「……お疲れ様。もう眠っていいよ」

「ま、村がどうなるか……サラって人を助けた後は保証できないけどさ」



「ふふっ、辛気臭い世界でも、やっぱりオブリビオンに立ち向かおうって人はいるもんだね……」
 ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)は言いながら、黒剣を振るい、篝火を掲げた亡者を一刀の下に切り捨てた。剣を返して背後から迫るもう一体を斜めに斬撃する。
「ただの綺麗事なら放っておいて見物でもするんだけど……とりあえず助けるだけ助けてみても良いかな、この調子なら」 
 包囲しようとする黒衣の亡者どもに剣を構えながら、ロベリアは石造りの催事場につと視線を流した。
 悲惨な出来事など、この世界の到るところで起きている。誰かが犠牲になることなど珍しくもなんともない。ただ、間もなく火刑に処されるであろう女の意志とそれを取り巻く状況について聞けば、多少なり心を動かされるものがあった。
「さて、時間もないし雑魚はさっさと片付けようか」
 敢えて亡者ども引き付けたところで、ロベリアはその身に流れる血の力を解放した。
 緑色の瞳が真紅の色を帯びて輝く。
「亡者、ね。丘の上のオブリビオンに殺されたのかも知れないけど、手加減は必要ないかな」
 戦いながら、ふとそんな風に想像する余裕さえロベリアにはあった。
「こいつらもサラって人を殺したくはないだろうしね」
 今や完全に周りを取り囲んだ亡者達が篝火を掲げて炎を放つ。
 だが覚醒を果たしたロベリアは両手二刀の剣風で舞うように炎を打ち払った。
 包囲の一角に踏み込むと、次の瞬間には黒剣で篝火を持つ亡者の腕を斬り飛ばし、もう片方の手に握った鋏剣で別の亡者を貫いている。刺した際に手首を捻って傷口を刳りながら凄まじい膂力で黒衣の群れに投げ飛ばした。
 火炎の射線上に投げられた亡者が空中で燃え上がる。
 ヴァンパイアと化したロベリアにとって、亡者など文字通り雑魚に過ぎない。
 瞬く間に敵集団を屠り、周囲を取り巻いていた最後の一体がロベリアに片足を切断されて地に転がった。
「……お疲れ様。もう眠っていいよ」
 もがくその背に容赦なく黒剣を突き立てる。
 取るに足らないとばかりに小さく吐息したロベリアは、再び催事場を見上げて言った。
「ま、村がどうなるか……サラって人を助けた後は保証できないけどさ」

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトニア・スカディアナ
オリオ(f00428)と伴に。

炎と廃教会の厳かな綺麗さに、反目する心がざわつきまし。
―えぇ、囚われの姫が気がかりね、オリオ。
でも南瓜なんて美味しそう…
先ず篝火を消し去りましょう。

外套は白陽炎、
揺れて炎を灯すダルファを亡者への遊撃に飛ばし。
互いに篝火の影に触れぬよう【空中戦】で回避しまし。
ダルファは影に触れたら炎を吹きまし。
亡者が回避する先へ
外套から我が四肢を伸ばし亡者の重心を崩す蹴り回して【盗み攻撃】。
…大事な篝火、頂きまし!

槍のダルファを右手に、
篝火を消し左手に。
四肢踊らせて多くの亡者に【串刺し】を。
オリオの剣先と伴に捧げまし。

仕上げに水竜を召喚しドラゴニック・エンドで多く消火致しましょう。


オリオ・イェラキ
アリア【f09479】と供に

おいたの過ぎる南瓜の前に
先ずは亡者のお掃除かしら
アリア、急ぎましょう

さぁ、白と黒の夜が参りましたわ
穢れた篝火等で照らしても消えない星夜をどうぞ堪能して
ただし、今夜は早い見納めを

放たれる炎はメテオリオの星花で迎え撃つ
黒薔薇の花弁は燃やせてもわたくし達には届きませんわ
更に荒れ狂う優雅な花嵐、炎が追いつかねば自身が切り刻まれますの
ご注意を
その間にこの夜が貴方の側に参りますわ
空を舞うアリアの影を利用して突き進む
影には影を。迷彩の如き黒いわたくし、気付かなかったでしょう?
認識した時その眼に映るのは、星空を切り取った剣の一閃
確実に仕留めますの

この流れで素早く片付けて行きましょう



「おいたの過ぎる南瓜の前に、先ず亡者のお掃除かしら」
 催事場を囲む崩れた石壁の間から敷地内を窺いながらオリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)が言った。十数メートル程のところで篝火を手にした亡者が群れを成している。
「南瓜なんて美味しそう……」
 黒衣の亡者が掲げる篝火に照らされた廃教会めいた催事場――敵地ながらその一種荘厳にさえ思える光景を前に、アルトニア・スカディアナ(隻眼よりあまねく白夜・f09479)は心がざわつくのを感じていた。南瓜頭というオブリビオンのことも気になる。
「さあアリア、行きましょう。急がなくてはいけないわ」
「えぇ、囚われの姫が気がかりね、オリオ。先に篝火を消し去りましょう」
 頷き合い、崩れた石壁の間から二人は殆ど同時に敷地内へと飛び出した。
 アルトニアが纏う白陽炎は、ミレナリィドールの駆動部を阻害せず、空さえ翔けることが出来るという特別性だ。
「ダルファ」
 地を蹴って飛び上がり、手にした赤竜の牙槍を放つ。
 槍は亡者を貫通すると、紅蓮の小竜へと姿を変えて飛翔した。
 アルトニア自身は、篝火から炎を放出しようとした亡者の背後を取る。篝火を手にした死者の腕を蹴り上げ、連続して回し蹴りを叩き込んだ。
「……大事な篝火、頂きまし!」
 空中に放られた杖を掴んで飛ぶアルトニア。一方、ダルファと名付けられた赤の小竜は揺れて炎を灯し宙を翔け、回避しようとした亡者達めがけて広範囲に炎を噴いて燃え上がらせた。
 亡者の群れは数に任せて尚も四方から迫り来る。
「さぁ、白と黒の夜が参りましたわ。穢れた篝火等で照らしても消えない星夜をどうぞ堪能あれ」
 一人と一匹の立ち回りに小さく笑みを見せたオリオが、そこで一振りの剣を掲げ上げた。
 亡者どもが篝火を燃え上がらせ、炎で侵入者達を焼き尽くすかと思われた直後、オリオの燦たる剣が輝きを放ち、満点の星空さながらの光を夜闇に描き出す。
「――ただし、今夜は早い見納めを」
 鍔に咲いた夜薔薇の一輪が揺れたかと思うと、剣そのものが無数の花弁と化して溢れ出した。闇に燦然と光を放つ星々さながらに、煌きを纏う黒薔薇が周囲を星雲の如く彩る。
 篝火より放たれた炎は花弁の紗幕に包まれて流星さながらに燃え尽きた。
「残念ですけれど。黒薔薇の花弁は燃やせても、わたくし達には届きませんわ」
 勿論、舞い飛ぶ花々の威力はそれだけに留まらない。
「炎が追いつかねば自身が切り刻まれますの。ご注意を」
 輝ける黒薔薇は荒れ狂う優雅な花嵐となって、周囲を取り囲む亡者を千々に切り裂く。
「串刺しにしてあげまし!」
 奪い取った篝火の炎をぶんぶん振り回して消したオリオはそれを左手に、そして再び赤竜の牙槍と化したダルファを右手に、空中で四肢を踊らせて亡者どもを貫いて回る。その重心を崩す蹴りを喰らってぐらついた亡者の背に、オリオが迫った。
「影には影を。迷彩の如き黒いわたくし、気付かなかったでしょう?」
 影を影で塗り潰す――オリオと呼吸を合わせたアルトニアの絢爛たる一振りが闇に軌跡を描く。星空を切り取ったかのような刀身を持つ大剣が亡者を容易く両断した。
 仕上げとばかりにアルトニアが召喚した水竜が、地面で爆ぜて延焼する炎ごと亡者を呑み込む。
 二人の息の合った連携攻撃により、周辺一帯の亡者が着実に駆逐されていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・零
シャオさんと連携

【首狩り女王の死刑執行】を使いディミオスとともに戦闘
ディミオスの巨躯を活かして相手の気を引きよせたり、鎖で引き寄せ周囲に多数の敵をおびき寄せ


自身も【毒使い】を活かしマフェッドスレッドを引っ掛け引き寄せ
猛毒で倒せるならそれもよし

『ディミオスを踏みつけるとはいい度胸ですね。僕の友達を踏みつけたんですからちゃんとお願いしますよ?』


敵が凍ったらディミオスの巨躯と巨大な鎌の射程で周囲広範囲の敵を砕いて一斉に一掃


攻撃は星天の書-零-でオーラの霊の璧で【オーラ防御】しながら戦う



首狩り女王の死刑執行のオブリビオンの口調
私+貴様、お前、零のことは名前で+-だ、だよな、だろう?と女王様らしい喋り方


シャオ・フィルナート
零と連携
呼び方→零さん

全滅狙い…
ただ、何体いるのかわからないから…
可能な限り多目に、狙った方がいいね…

★二対の罪咎の剣を手に
素早さを活かした【暗殺】技術で
まずは近場にいる敵を着実に処理
炎を向けてくるようなら
氷の【属性攻撃】による冷気を自身と武器に纏わせ
敵ごと凍らせて対処

零達を巻き込みそうな範囲内から敵を消したら
★蒼笛の【楽器演奏、誘惑】で
遠くにいる敵も誘き出し

ディミオス…背中を貸して

多数集まって来たらディミオスの巨体を駆け上がり
頭部を踏み台に高くジャンプ
背中に★氷の翼を形成し
足を振り抜く反動で体を回転させながら
羽根を模した氷の弾丸を【一斉発射、範囲攻撃】

逃れた敵にはUCによる氷の竜巻で
範囲追撃



「おいで、僕のお友達。首狩りの女王が求めるのは汝の首と血なり」
 催事場の敷地内に入るなり数多の亡者に囲まれた天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)は、しかし落ち着いた態度を些かも崩すことなく呼び声を口にした。
 零の眼前に夜の帳より濃い闇、篝火でさえ照らし切れない暗闇が凝集する。大きく渦を巻いたかと思うと、その中から禍々しいオブリビオンが顕現した。
 首狩り女王の死刑執行(ディミオス・クイーン・オブ・ザ・ハート)。
 巨大な骨の山羊の姿を取った禍々しい人型――ディミオスは、片手には大鎌を携え、もう片方に鎖の音を響かせて亡者の群れを睥睨する。
『斯様な亡者が相手か。数は多いと言えども狩り甲斐のなさそうな獲物だな、零よ』
「全滅させないと後々邪魔になりそうですからね」
 ゴールドとワインレッドの瞳で迫りくる亡者を見渡しながら零が言う。
『では我が大鎌で一息に刈り取ってやろう』
 女王然とした尊大な声を響かせると、ディミオスは大鎌を構える。
 暁音の星天の書――その禁書版を手にした零がオーラの壁を形成。飛来する炎がぶち当たって爆ぜた。それに乗じてディミオスが黒衣の集団に迫り、寄り集まっていた者どもがその大鎌で纏めて首を飛ばされる。
 零は夜闇に映える金髪を靡かせながら接近してきた亡者に向けて片腕を振った。猛毒の鉤爪を先端に取り付けたワイヤーが飛び出し、黒衣を引き裂いて飛ぶ。
「ああ、死者にも毒は効くものですか」
 膝を突いた黒衣の亡者を前に冷然と零が言う。
 と、彼の背後から忍び寄ろうとした亡者がびくりと跳ね、前のめりに倒れた。
 その背に突き立っていたのは、蝙蝠と薔薇の装飾があしらわれた銀色のナイフだ。
 警戒するように左右を見回した黒衣の喉元に同じ形状の小刀が突き刺さる。
「全滅か……ここにいるだけでもこれ程だから……可能な限り多めに狙ったほうがいいね……」
 シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)が倒れようとする亡者の喉からナイフを抜き取り、また投擲した。篝火を掲げようとした別の亡者の腕にそれが突き立つ。凍気を纏わせた刃に傷付けられたことで氷結し、腕そのものが砕け散る。
「零さんに……ディミオスもいることだし……何とかなるか……」
 シャオは先程から夜陰に隠れ、攻撃態勢を取った敵を中心に仕留めていたのだった。愛用のナイフに氷の属性を纏わせ、暗殺技術を駆使して着実に。
「……無駄だよ」
 亡者が黒衣の中から片手を伸ばして倒れた同胞を蘇生させようとするが、背にナイフを突き立てられていた亡骸は凍結していて、動き出そうと藻掻いただけで砕け散った。
「遠くにいる敵も……誘き出した方が良さそうだね……」
「ええ、ディミオスもまだ刈り足りないでしょう」
 女王が呵々と嗤う。
 シャオは頷くと懐から楽器を取り出した。それは青薔薇の紋様が美しい銀の篠笛だ。
 彼の呼気と指先からあやつり出された笛の音に引き寄せられて、亡者どもが集まってくる。首狩り女王は我先にとその集団に突入し、大鎌を振るって圧倒した。
「ディミオス……背中を貸して」
 シャオは前傾したディミオスの巨体を駆け上がると、頭部を踏み台にして高く跳躍。
「ディミオスを踏みつけるとはいい度胸ですね、シャオさん。僕の友達を踏みつけたんですからちゃんとお願いしますよ?」
「大丈夫……これで終わらせよう……」
 シャオは空気中の水分を集めてその背に冷たく輝く氷の翼を形成した。ジャンプと共に体を捻って回転、氷翼から氷の羽根の形をした弾丸を氷雨の如く降り注がせる。
 シャオと零、そして強大な首狩り女王の連携により、大勢いた辺りの亡者どもがあっという間に全滅を遂げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ジャック・ザ・カーニバル』

POW   :    汝、肉に別れを告げよ
戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【炎が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    ヘルファイアゴースト
レベル×1個の【髑髏】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    ジャックブレイズ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【頭頂部の炎に映し出し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はネフラ・ノーヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は、その優れた技能と巧みな連携を駆使して、瞬刻の内に敷地内の亡者どもを殲滅させていた。まさに大戦果であり、もはや行く手を阻むものは何もない。
 建物内を窺った猟兵により、まだサラの救出が十分に可能なことも周知された。
 催事場正面の扉を開け放てば、教会めいた朽ちた席が並ぶ広間の奥で、オブリビオンが驚愕に満ちた様子で猟兵達に振り向き叫ぶ。
「ナんだオ前らは……猟兵ダと……馬鹿ナ……!!」
 木組みの祭壇に火が灯され、木が爆ぜる乾いた音が響いているものの、炎はまだ磔にされたサラの爪先さえ焼いていない。
「何故、ここに……」
 村人達が助けに来たのだと考えたサラは、しかし村人とは明らかに異なる猟兵達の姿に言葉を失った。
「邪魔者メらが! オ前らモ焼キ殺シてくれル!!」
 侵入者によって愉しみを妨害された南瓜頭のオブリビオンは、怒りに燃えて猟兵達を迎え撃つ。
ローズ・ベルシュタイン
■心情
サラは必ず助けだして見せますわ。
その為には、この南瓜頭を倒してしまいましょう。

■行動
WIZ判定の行動

暗闇でも見える様、暗視使用

スチームエンジンを使用して
自身の武器を強化しておきますわね。

後は、ダッシュで一気に敵との距離を詰め
フェイントを駆使しつつ確実に攻撃を当てる様にし、
気絶攻撃、マヒ攻撃、鎧無視攻撃で
攻撃していきますわね。

ジャックブレイズでユーベルコードを借用されたら
逃げ足で距離を開け、見切りやジャンプで避ける様にする。
どうしても避けられないときは、
武器受けや盾受けで防御しますわね。
上手く防御出来たら、カウンターを試みますわね。

無事に南瓜頭を倒せたら、
磔になったサラを救出しますわね。



 広い催事場の左右に転々と灯された篝火は周囲を照らしあげていたが、闇が完全に払われているわけではない。
(「サラを助け出すには、まずあのオブリビオンを引き離しませんと」)
 ローズは夜目をきかせて状況を把握、長椅子に挟まれた通路を駆け出した。
「わザわザ焼かレに来タか、猟兵!!」
 祭壇を背にしたジャック・ザ・カーニバルが叫び、大口を開ける。南瓜頭の口内に蠢いていた数多の骸骨が燃え上がりながら飛び出した。
「誰も殺させはしませんわ!」
 弾道を予測したサラは左手の椅子席に跳び乗って座席を蹴る。空中で骸骨を斬り、数列飛ばして前の座席に着地すると盾で防いで再び跳躍。多少の火傷を負いながらも軽やかにジャックの前に降り立った。
 夕焼け色のロングソードが薄闇を切り裂いて幾重にも軌跡を描く。
「遅イ遅イ遅イナァァ!!」
 ジャックは軽業師めいた動きで避け、宙返りを打つが、
「読みが甘いですわよ!」
 閃いた太刀筋はすべて敵の注意を引く牽制に過ぎない。
 深く踏み込み振り上げたローズの剣が白い蒸気を纏い、急加速した。あらゆる魔法属性に親和性を持つ『夕の憩い』――その美しくも鋭利な刃が蒸気噴射の後押しを受けてジャックに迫る!
「ギェェェエエ!!」
 ジャックは咄嗟に後退しながら両手で防御したものの、痺れる程の斬撃に指ごと頭部を斬られて転がった。
「痛イ痛イ、イタイヨウ……!! お返シしテやる、お返シだ!」
 泣き叫ぶジャックが次の瞬間、頭から蒸気を噴きながら突進してきた。
「やはり来ましたわね」
 防がれた時点で見切っていたローズは軽やかに身を翻し、一閃。噴進弾さながらに飛んできたジャックが空中で斬られ、祭壇脇の木箱に突っ込んだ。
「無様ですわね」
 ローズは夕焼け色の長刀をジャックに突きつけて言い、サラを横目で確認する。
「待っていて。すぐに助けますわ」
 凛と響くローズの声と目くばせに、サラが応援するような眼差しを向けて頷いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
【POW】
「ここまで来て、むざむざと焼かせるつもりは無い」
味方と連携しボス殲滅

得物は素手格闘【グラップル】
身を焼かれてとも南瓜頭を叩き割る【覚悟+勇気+激痛耐性】

初撃は座席を盾【地形の利用】にしつつ【ダッシュ】で懐に飛び込み【捨て身】のタックルで祭壇から引き離す。

以後はそのまま、敵の口と手、頭部の炎を警戒しつつクロスレンジを維持。
味方の攻撃の邪魔にならない位置取りしつつ、脚部(特に関節部)を重点的に狙い、機動力を奪い、体勢を崩し、いけ好かない南瓜頭に拳を叩き込む。

敵SPD系UCを使用したら、そちらの迎撃を優先。
特に祭壇に向かう炎は最優先で叩き潰す。

自UCは基本攻撃強化、敵UC迎撃時は防御強化。



「何人こヨうが同じこトだ! アの女もろトも黒焦ゲにしテくれル!」
 頭部に深い斬り傷を刻まれたジャックが叫び、口から40を超える骸骨を放つ。だがそれも修介にとっては覚悟の上だ。
「ここまで来て、むざむざと焼かせるつもりはない」
 呼吸を整え闘志を滾らせると、凄まじい力で傍らの長椅子を持ち上げ、投げ飛ばした。
 炎弾と化した骸骨に長椅子がぶち当たり、木っ端微塵に砕け散る。
 修介は両腕でガードしながら椅子席に挟まれた通路を疾走、襲い来る骸骨に噛みつかれ焼かれる激痛に耐えながら猛進した。
「こノ猪武者ガ!」
 修介の一撃を軽々と避けるジャック。
 だが修介は尚も食らいつき南瓜頭に拳打を繰り出す。
「見切ったぞ、そこだ!」
 飛び跳ねて避けたジャックが着地した瞬間を狙い、突進した。
「ギャァ!!」
 吹っ飛ばされ、椅子席に墜落するジャック。
「祭壇からは引き離せたか。……だが」
「グヌヌゥゥゥ!!」
 南瓜頭が再び骸骨を飛ばそうとした時、修介は既に祭壇から離れて駆け出していた。
「こっちだ、来い!」
 椅子席を足場にして駆け跳ぶ修介。
 追うように着弾した骸骨が並べられた長椅子を破砕する。
 祭壇から十分に距離をとったところで修介は通路に飛び降り、飛来する骸骨を両の拳で次々に打ち砕いた。
 こちらに跳ね飛んでくるジャックを引きつけ、クロスレンジで格闘戦を仕掛ける。
「人の形をしているならば……」
 繰り出される連撃。
「遅いゾ、動キが止まッてイる――グ、ギッ!?」
「足元がお留守だ」
 敢えて避けさせ、修介はジャックの脚にローキックを叩き込んでいた。狙ったのは膝の関節部だ。
「――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く――その南瓜頭、叩き割る!!」
 ぐらりと態勢を崩したジャックの頭に渾身の右ストレートが叩き込まれ、ひび割れた南瓜頭が悲鳴を上げて吹っ飛んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトニア・スカディアナ
オリオ(f00428)と伴に。

何故?…猟兵だからでありましょう。
姫は無事ね、
サラ様の捕縛を切るようダルファに命じ飛ばしまし。

それにしても…
南瓜と聞きましたのに、
食べられないなんて…
えぇ、オリオ。
せめて割いて参りましょう。

炭の怒りは哀しみに。
オリオに続き亡者の杖で口を刺し。
抜き割きのヒット&アウェイを繰り返し。
此からでありなんし?

髑髏の炎は杖で受けてジャックへ猛攻を。
真の姿の白翼で【空中戦】をアクロバティックに蹴り回し、
戻るダルファを槍に変え【串刺し】で負わせた傷から【生命力吸収】。

オリオの星夜に包まれるなんて、光栄ね?
わたくしの光も御覧あそばせ!
神へと祈り
リライトを放ち白夜から星夜へ紡ぎまし。


オリオ・イェラキ
アリア【f09479】と供に

あれが悪戯南瓜ね
ご希望は南瓜のパイ?…いいえ
シンプルに輪切りが宜しいですわね、アリア

さぁ、極夜に更けるわたくしをご覧になって
貴方の炎だって照らしきれない深い夜を
飲み込んで、差し上げますわ

なんて下品な口
狩の最中に食事だなんて
そんなに食べたいのであればご馳走しますわ
踏み込み、かの口へと大剣の一振りで先制攻撃
お味は如何?

貴方も穢れた炎を使いますのね
ならばその火すら切り裂くのみ
当たる直前にルーンソードを振り抜き武器受けからの斬り払い
残る火の粉は星雲彩のオーラ防御に消えて行きますわ

アリアに気を取られますと、ほら
すぐ目の前に星夜が広がりますの
優雅に微笑み、瞬く星で斬り伏せますわ



「ナぜだ! ナゼこんナ時ニ邪魔ガ!」
 怒りに燃えた南瓜頭から邪悪な黒炎が噴き上がる。領主館内であればまだしも、まさか此処で妨害されるとは――ジャック・ザ・カーニバルは儘ならぬ事態にガチガチと歯を鳴らした。
「何故? ……猟兵だからでありましょう」
 亡者から奪った杖を突きつけながらアルトニアが言い、槍に変身させたダルファを密かに解き放つ。
(「姫は無事ね。それにしても……」)
 奥の祭壇に磔にされているサラの状態を確認してのち、アルトニアは敵に杖を向けたまま、心底残念そうに溜息を吐いた。
「南瓜と聞きましたのに、食べられないなんて……」
「期待はずれの悪戯南瓜ね。南瓜のパイが出来ると思ったのだけれど」
 肩を落とすアルトニアに、瓦礫と化した長椅子を踏み行くオリオがジャックとの距離を詰めながら小さく笑ってみせた。
「シンプルに輪切りが宜しいですわね、アリア」
「えぇ、オリオ。せめて割いて参りましょう」
「食べラれるノはオ前らノ方ダ!! こノよウにナ!!」
 ジャックは壊れた声で叫ぶと長椅子の影から拾い上げた何かを口に放り込んだ。過去の犠牲者だろう。黒焦げになった人の腕――瞬時に見て取ったオリオが咎めるように目を細める。
「なんて下品な口。狩の最中に食事だなんて」
 入り口から見て催事場の右側中程にジャックは立っていた。
「さア次はオ前」
「そんなに食べたいのであればご馳走しますわ」
「グガァアァァァ!?」
 夜空を駆ける流れ星さながらに加速したオリオがジャックをして予想外の速さで迫り、その大口に大剣を突き込んでいた。アルトニアもまた、驚愕する南瓜頭に亡者の杖を突き立てる。
「お味は如何?」
 オリオの問いに返す余裕もありはしない。壊れた発声機さながらの悲鳴をあげた後、ジャックがガチリと歯を噛み合わせた。大剣は引き抜かれたが、杖は骸骨に深く刺さって抜け切らず先端部を噛み折られる。
「杖が……でも此からでありなんし?」
 後ろへ跳んだジャックが口から折れた杖を引き抜くと炎上させ、燃え盛る骸を吐き飛ばした。砕けた頭蓋骨も火山弾の欠片さながらに噴出し襲い掛かる。
「貴方も穢れた炎を使いますのね。ならばその火すら切り裂くのみ」
 オリオが距離を取り、骸骨を引きつけながらルーンソードを舞うように振るって、襲来するそれらを切り捨てる。生じた火の粉が彼女の纏うオーラを湛えた星雲彩のヴェールに降り注ぎ、星のように瞬いては消えた。アルトニアも折れて随分短くなった杖で骸骨を叩き落としながら、ちらと祭壇の方に視線を流す。
 サラは自身を縛っていた拘束が断たれたことに、目を瞬かせていた。
「槍……? いえ……」
 槍と化したダルファが雁字搦めになっていた縄を切り、サラの解放に成功したのだ。サラは足元にまで迫っていた炎を避けつつ、複雑に組まれた祭壇の上から飛び降りる。
「ええ、と……ありがとう、助かったわ」
 その傍らを竜となったダルファが浮遊すると、主人の元へと駆け飛んでいった。
「まるで奇跡みたい……」
 サラは目を奪われていた。星々の光を集めたヴェールを纏い戦場を舞うオリオと、真の姿を開放し白い影より形を成した翼で縦横無尽に飛翔するアルトニア――その極夜と白夜の共演に。赤き竜は御使いの手に戻り槍となる。
「オリオの星夜に包まれるなんて、光栄ね?」
 呼吸を合わせてアルトニアが宙を駆ける。
 誘導弾さながらに飛来する幾多の骸骨を空中で身を翻して回避し、円を描くような動きで南瓜頭の背後に回り込んで赤の槍で突き傷口から生命力を吸収する。オリオが流星さながらに迫って鍔に一輪の夜薔薇が咲いたルーンソード振るうたび、星々の輝きが闇を彩る。
「わたくしの光も御覧あそばせ!」
 アルトニアが祈りを込めると、黄泉より出でしオブリビオンから幻想的な生物が分離して光を放ち、辺りを照らし出した。
「ガ……アアァッ……!?」
 広げた両手で頭を押さえて足を止めたジャックの目前に、オリオが迫る。
「気を取られている暇はありませんわよ」
 優雅に微笑み、散光星雲を描き出す一閃が南瓜頭を深々と切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

佐那・千之助
「直ぐ助けるからの」とサラに向けた声でUC【とこしえの枯渇】を発動
これで敵以外の全員を強化できればよかろう

・敵が肉を食べて自己強化を狙ったら、その肉をUC【千思蛮紅】で焼く
(もしも食べようとした肉が人の肉だった場合は良心が咎めてできない)
・味方を攻撃する骸骨はどんどん燃やし、敵への攻撃に集中できるように努める
・敵が味方の強力なUCを写し取ったらUC【咎力封じ】で威力減退もしくは技封じを狙う
・戦闘中余裕がありそうならサラの戒めを炎で解く(他の猟兵と救出行動が被ったら譲る)
・サポートが十分そうなら敵に【千思蛮紅】を放つ。…炎効くかえ?

共闘アドリブ歓迎です
齟齬があれば状況に合わせてアレンジして下さい


パティ・チャン
危機にある人を助けられずして、どうして騎士と名乗れようぞ!
サラさんは絶対に村へ返して見せます。

さて、敵への対応は先程と同じで大丈夫かしら?
【Congelatio!】
炎には氷で対抗させます!
UCの転写出来るかしら?炎のオブリビオンさん?
(不敵な笑い)

今度は数ではなくて、南瓜頭を確実に倒させらればよし!ですので、可能ならば確実に凍らさせます。
(2回攻撃となぎ払いを乗せて、物を隠す、変装、学習力、情報収集、地形の利用で身を隠す行動をとりながら。今度は私の体躯からいって、一対一になったら勝てませんし)

※仲間との連携は歓迎



 狂的に笑い叫びながらジャック・ザ・カーニバルが飛び跳ねる。既にかなりの傷を負っていながらも、怒り、泣き、笑い、道化けた振る舞いを取り続けるその様は、まさに恐るべき怪異そのものだ。
「直ぐ助け出すからの。あの南瓜頭を討つまで待っているが良い」
 千之助が付近に着弾した骸骨の破片からサラを庇ってやりながら囁いた。
「あ、ありがとうございます…………でも、あんな化け物を……」
「案ずることはない。見たところあと一息ゆえな」
 サラは千之助の声を聞きながら、不思議と体中に力が満ちてくるのを感じていた。まるで春の日差しを浴びて芽吹く草花のように新鮮な活力が全身を巡る。
 とこしえの枯渇――声を聞いて共感を覚えた者すべてに、戦い抗う力を与える千之助のユーベルコードだ。
「貴女は絶対に村へ返して見せます」
 背後から羽根を羽ばたかせて飛んできたパティがサラの肩の辺りで浮遊しながら言った。彼女も千之助の声を耳にして力を賦活させ、いつも以上に軽快に飛び回れるようになっている。
「危機にある人を助けられずして、どうして騎士と名乗れようぞ……!」
 凛とした声を響かせると、ひらりと宙を舞い、薄闇に軌跡を描いてパティは行く。勿論、小柄な体躯の彼女のこと、正面からそのままぶつかるのは蛮勇である。まずは長椅子の陰に滑り込み、障害物に隠れながら今も猟兵と激しい戦いを繰り広げるジャックに迫る。
「アアァ腹が減っタ、でモこんナ燃えカス不味くテ敵ワん!!」
 戦いながらもジャックはそこら中に投げ捨てられているらしい焼け焦げた人間の腕や足を拾い上げ、口に放り込んでいた。 
「既に見る影もないとは言え、あれも人の体……流石に気が咎めるの」
 意識を向けた対象を地獄の炎で包み込む、千思蛮紅――その力を用いれば遺骸とて焼滅させることも出来るのだが、千之助は首を振った。
「なに、燃やす対象は他にもある。流石にあの骸骨はやむを得んであろうしの」
 大口を開けた南瓜頭から噴出する火山弾めいた骸骨を、千之助は空中で次々と爆破した。闇に満たされた催事場内に爆発が花開く。
「数を相手にするのでなければ、こういう戦い方も出来るはず……!」
 パティは長く伸びる椅子の下を高速で飛び、爆発が南瓜頭の視界を遮った拍子に椅子の下を潜って敵に近い列の長椅子に滑り込んだ。千之助が破壊しきれなかった骸骨がいま通り抜けた位置に着弾するが、それでも援護のおかげで随分と接近し易くなっていた。
(「あともう少し……氷が効きそうだけれど、どうなのかしら?」)
 不気味なほど陽気な笑い声を響かせるジャックが、パティの潜む長椅子のすぐ脇に着地する。攻撃のタイミングを見計らうパティが、次の瞬間、南瓜お化けの顔面にどこからか飛んできたロープが巻き付くのを見た。
「ナんダこレは……! 目ガ、目ガ見えン……!!」
「思いのほか上手く行ったものよ。が、やはり猿轡までは噛ませられなんだか」
 咎力封じ。
 千之助が放ったロープが南瓜頭を目隠しするように巻き付き、手枷が両手を縛り付けていた。
「それでは写し取ったところで使えまい?」
 南瓜頭の天辺の炎が燃え上がり、千思蛮紅を模倣しようとしたジャックは、しかし意識する対象を掴みきれず力を使いこなすことが出来ない。
「ぐるぐる巻きでは転写出来ないのね? 炎のオブリビオンさん?」
「ナんダと……!?」
 絶好のタイミングで飛び出したパティが不敵に笑い、腰に帯びた柄を取って力を込めた。レイピアを模った光剣が輝き、美しく軌跡を描く。
「凍ってしまいなさい! Congelatio!」
 目にも留まらぬ突きで南瓜頭を刺し貫き、剣に纏わせた凍気が南瓜頭を凍結させる。炎で氷と拘束を一気に燃え上がらせるも、ジャックの負ったダメージは大きなものだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・零
シャオさんと連携

『まるで魔女裁判じゃないかと思って来てみれば‥なかなかどうして勇敢な魔女ですか。生きてるようで何よりです。』

その後人格を替えて別人格の夕夜で戦う

連携し(A)Punishment Blaster
(B)Ø、(C)グレイヴ・ロウで戦う

Bで近接しつつも背後からAやCを使って攻撃や、近接してる時に相手に隙があるならAで【零距離射撃】

万が一に備え【第六感】
合間に【フェイント】を入れ言葉巧みに(右に気をつけろよ!とか言いつつ相手の左から攻撃など)【騙し討ち】


二人で敵の気を引いてる間に『オルタナティブ・ダブル』を使って零も参加
零は『死した嘆きの魔女』で砲撃
救助者を巻き込まないよう

口調はステシ



「まるで魔女裁判じゃないかと思って来てみれば……なかなかどうして勇敢な魔女ですか」
 爆ぜ飛んできた長椅子の破片を、零が地面から出現させた十字架で防いでいた。
「生きてるようで何よりです。離れてて下さい」
 零は優しそうな笑みを浮かべて、ゴールドとワインレッドの瞳を跳ね回るオブリビオンに向けた。薄闇の中、少年のその美しい金髪が銀色に移り変わったように見えて、サラは思わず目を瞬かせる。
「ああ、後は俺に任せろ!」
 先程までの落ち着いた表情が一変したかと思うと、浮かび上がった裏人格の夕夜が強い意志をシルバーとマリンブルーの瞳に宿して言った。虚空から頭身程もある刃物を呼び出して、敵めがけて走り出す。
「食ラってヤるぞ猟兵ガアァァ!!」
「嫌な趣味……さっさと倒しちゃうね……おいで、翠狼」
 冷たい輝きを放つ氷翼で体を包み、乱射される骸骨の余波を防いだシャオが、傍らに視線を流す。水の渦が吹き上がり、中心から紺碧色の大狼が飛び出した。
『我を喚んだか。余程の相手と言うことだろうな? 主よ』
「……炎には水を……だよ……」
 床を蹴って駆ける翠狼に並走したシャオが飛び乗り、ジャックめがけて疾駆する。
「うるさい南瓜だぜ。骨を使うならこれくらいやってみな」
 距離を詰める夕夜の背後に頭蓋骨の形をした遠隔砲撃ユニットが浮かび上がった。四基が一斉に口を開いて砲撃を開始。爆炎があがり長椅子が木っ端微塵に吹っ飛ぶ中、夕夜は差し渡し160cmにも迫る刃を操って投擲。
「ギャハッハハ! 豪快愉快! 今ノ攻撃はイいゾ!!」
 砲撃を両腕で防いだジャックが避けて後ろへ飛ぶと、頭頂部の炎に頭蓋骨を浮かび上がらせて砲火を放つ。着弾し爆発する炎弾を騎乗したままくぐり抜けたシャオが翠狼の背に足をかけて跳んだ。敵に突っ込んだ翠狼が巨大にして鋭利な爪を振るい、ジャックの体が引き裂かれて水飛沫を被る。
「その南瓜頭、斬り落としてやるぜ」
 夕夜が壁に突き立った刃を引き寄せて南瓜頭を斬撃するがまだ浅い。片手を掲げると同時、鋭利な無数の骨が地面から突き出してジャックに襲いかかる。
「さあ、次は右からだ!」
「馬鹿メ、自分かラ作戦ヲ……グギッ!?」
 ジャックが左へと跳躍、その着地の瞬間を狙って夕夜が『左の』地面から斜めに骨を突きださせる。
「馬鹿はお前だ。敵の言うことを信じるなよ」
 骨の槍に突かれたジャックが床を転がり、起き上がった瞬間に背後からシャオが迫った。水をも操る氷麗ノ剣が死角から迫りジャックの南瓜頭を刺し貫きながら激流を浴びせる。
 そこへ翠狼が水飛沫をあげながら突進した。
 全身を湿らせながらも辛くも跳躍して避けるジャック。
 シャオが突っ込んできた翠狼の背を蹴って跳んだ。
 回転運動と共に氷翼から氷の弾丸を一斉発射。
 弾幕がジャックの身に降り注ぐ。
 翠狼が笑い声をあげた。
『貴様、逃げ回るだけでこの二人を凌げると思ったか』
 着地したシャオが再び氷麗ノ剣を一閃すると、迸った凍気が濡れそぼったジャックを見る見るうちに凍結させていく。
『否……三人、だったな』
「ガッ……マ、さか……オ前……このたメに……!?」
「トドメは……任せたよ……」
「だってよ、零」
 二人が同時に背後に視線を送る。
 金髪の少年が微笑み返した。
 オルタナティブ・ダブルで独自行動し、最適な召喚地点に立った零だ。
「魂よ集え……空は翳り、地は呻く。腐敗する血肉……亡者が知るのは癒えぬ苦しみ。今一度の命を得、奈落の底に沈む、嘆きを解き放て!!」
 氷漬けになったジャックが口を開けてその姿を目にする。
 燃える十字架に磔にされた女の顕現。
「さあ、これで終わりにしよう」
 死した嘆きの魔女(アンダーヘイル)に零が言う。
 それは皮肉と言えば余りにも皮肉な結末だ。サラを磔にして焼き殺そうとしたジャックを、十字架に縛り付けられた女が見下ろす……。
「グ、ガアァアァアァァァァ!!」
 恐慌に駆られて後ずさる南瓜頭のオブリビオン。
 魔方陣が描かれると、赤紫色の高密度レーザーが光の帯となってジャックの体を粉砕した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャオ・フィルナート
零さんと連携

嫌な趣味……
さっさと倒しちゃうね……
おいで、翠狼

基本戦術は翠狼との連携
翠狼が起こす水飛沫や素早さを活かした爪、牙による攻撃と
俺自身の【暗殺】技術を駆使した
水・氷の力を纏わせた★氷麗ノ剣による死角からの【属性攻撃】で翻弄

敵の炎は通常攻撃、UC問わず
剣から放出可能な激流や
★氷の翼から【一斉発射】可能な氷の弾丸による【範囲攻撃】で相殺
ついでに敵自身も濡らしていく

万一WIZ技仕掛けて来たら★翼を盾代わりに

敵がある程度濡れたら
氷の【属性攻撃】による鋭い冷気で一気に凍結

トドメは…任せたよ……

※翠狼
一人称:我
シャオ:主
その他:お前、貴様
口調:〜だろう、だな
クールで高貴な皮肉屋だが実は仲間思い



 怪異が潰え去った後、催事場内は先程までの激闘が嘘のような静寂に包まれていた。パチパチと篝火の燃える音だけが響く。それも放置しておけばやがて燃え尽きるだろう。
 かのオブリビオンによる悪しき支配も、ここに尽きることとなった。
「……終わったね…………」
 シャオが言い、周囲を見渡した。見たところ、サラにも目立った外傷はない。猟兵達による迅速な行動が功を奏して、救出は成功し、オブリビオンの討伐も果たすことができた。それは猟兵達の勝ち取った確かなる大戦果だった。
「ありがとうございます……本当に、なんとお礼を申し上げたら良いのか……」
 猟兵達に、サラは深々と頭を下げる。
「あの、もし宜しければ麓の村までご案内させて下さい。是非、村の皆にも会って頂きたいのです」
 連れ去られた人間は、今日この夜までは、尽く殺害され戻ることはなかった。しかし、かの悪辣なオブリビオンによるその凶行も猟兵達によって完全に打ち砕かれたのだ。
 サラが先頭に立ち、猟兵達を村へと誘う。
 闇の中に沈む家々にぽつりぽつりと光を灯した村人達は猟兵の来訪とサラの帰還を驚きと喜びを以て迎えるだろう。


※天星・零さんのリプレイ欄にシャオ・フィルナートさんの連携分を書いて送信しまったため、上記、次幕への引きとなります。大変失礼致しました。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『キャンドルナイトで慰労会』

POW   :    会場の設営などの力仕事、周辺の不安要素の排除、大規模なパフォーマンスなど。

SPD   :    食事の用意、会場の飾りつけ、人々が集まれるよう呼びかけるなど、場を和ませる工夫を。

WIZ   :    悩み相談を受けたり、安心できる言葉をかけたり、唄や踊りの披露をしたり。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「サラだ、サラが帰ってきた……!」
 最初にその姿を見つけ出したのは、丘へと続く道を悔しげに見上げていた少年だった。サラを伴って麓の村に着いた猟兵達を村人達は家々から飛び出して出迎え、取り巻いた。殺されたと思った、と言いながら恰幅の良い婦人がサラと抱き合う。
「あの支配者は討ち果たされました。この方達がやって下さったのです」
 嬉しさに泣く者がいた。何も出来なかった不甲斐なさに拳を握りしめた者も。
 ともあれ村人達は一様に猟兵達に感謝の言葉を述べ、歓迎したのである。

 村の広場に面した、石造りの村役場の中には、幾つかのテーブルが並べられていた。卓上に蝋燭を並べ、仄かな明かりの中でささやかな食事会を行う――それはサラと村人達が苦しい生活の中で準備し考えた催しだった。

 だが、丘上の支配者が討たれた今、もはや誰の目を気にすることもない。
 粗末ではあるものの、村中が賑やかな祝祭に沸く。
 猟兵達も、工夫次第で様々な行動を取ることができるだろう。
オリオ・イェラキ
アリア【f09479】と供に

手伝いもそこそこに
さぁアリア、わたくし達に出来る事を致しましょう
彼らに必要なのは明かりを灯す暖かな夜
となれば、そうね
先程アリアが残念がってた南瓜でスープでも作りましょうか
悪夢は美味しく頂いて、安心の糧に

暖かな湯気立つスープを皆さまに振舞って
わたくし達も頂きましょう、アリア
小さな灯火が揺れる夜もまた素敵ね
でも、と視線は助けた姫へ
村人達にとっての一番の灯りを消さずに済んで良かった

そう、もしお邪魔でなければ
そっと戯れにメテオリオの花弁を夜空へ放つ
煌めく流星群を村人の皆さまに楽しんで頂けたら幸いですわ
アリアの歌声を聴きながら灯火の夜を過ごせるなんて
暖かくて、良い祝祭でしたわ


アルトニア・スカディアナ
オリオ(f00428)と伴に。

仄かに温もる祝祭に、ほっと一息。
頂いた杯を一口含み、
空に焔を息巻き煙で環を作るダルファの芸を眺めて。
わたくしは何ができませう?
…そうね、オリオ。手伝ってくださいまし。
こんな時こそ【料理】で皆様を癒しましょう。

ジャックの南瓜代りに南瓜でスープを作りましょう。
照り焼きの鳥ももを添えて♪

サラ様…希望の元へ料理を運びまし。
そうね、オリオ。
希望の勇敢に、ここは、民は救われまし。
たくさんの灯火と食事で、民は姫を救いましょう。
ダルファを手元に呼び、サラ姫へ感謝を。

いつか、わたくし達も頼られましょうか…
幸せに身を委ね小さな願いを花弁に、
流星群に祈りをのせて
静な調べを歌に奏でまし。



 祝祭となれば、やはり準備もより大々的なものになる。テーブルや食器の運び出し、余興の準備が進められていく中、アルトニアはほんの僅かに首を傾げた。
 赤く小さな竜のダルファには、人々を楽しませる芸をさせられるだろうけれど、
 ――わたくしは何ができませう?
 思案するアルトニアに、食器の籠を村娘に笑顔で手渡してオリオが言った。
「さぁアリア、これよりはわたくし達に出来る事を致しましょう。彼らに必要なのは明かりを灯す暖かな夜、となれば……そうね」
 周囲には準備を手伝う子供達もいて、オリオはそっとアルトニアに耳打ちした。
 ――先程アリアが残念がってた南瓜で、スープでも作りましょうか。
「ええ、オリオ。手伝ってくださいまし。こんな時こそ料理で皆様を癒しましょう」 あれこれと準備のために動き回るサラに二人で声をかけると、驚いた顔をされたものの、厚意にお礼の言葉もないと言った様子で、
「そこまでして頂けるなんて……。料理道具もご自由にお使いください。炊事場は、そうですね――」
 村で一番大きな家の台所を借りることができ、オリオとアルトニアは二人で料理の腕を振るうこととなった。
 ナイフで小気味の良い音と共に割られたのは、色も形も良い大きな南瓜だ。
「ジャックの南瓜よりこちらの方が美味しいスープになりまし」
「悪夢は美味しく頂いて、安心の糧に――ですわね」
 南瓜も料理してしまえばその味わいで人々の心を満たすはず。
 ミルクやバターはあるものを使い、その他の必要な具材も入れて大鍋でぐつぐつと煮込む。美味しそうな香りが漂う中、
「照り焼きの鳥ももを添えましょう♪」
 アルトニアが身につけた調理技術を活かして、オリオと共に手際よく仕上げていく。
「サラ様……希望する方の元へ料理を運びまし」
「美味しそうな匂い。皆がどれほど喜ぶでしょう……私もお手伝いします」
 様子を見に来たサラも一緒になって、料理を宴会場に運び出した。
 その姿を見た村人達の喜びようと言ったら――日頃、そうそう味えない料理に、子供達は我先にとオリオとアルトニアのもとに集まり、親達はこぞって二人に感謝を告げた。
「さあ、わたくし達も頂きましょう、アリア」
 席に着き、テーブルの上で揺らめく灯火を瞳に映しながら、オリオが優雅にスープを口に運ぶ。
「小さな灯火が揺れる夜もまた素敵ね」
 言うと、談笑しているサラに視線を流してオリオは小さく吐息した。
「でも何より――村人達にとっての一番の灯りを消さずに済んで良かった」
「希望の勇敢に、ここは、民は救われまし。たくさんの灯火と食事で」
 アルトニアも頷き、杯を一口含んで、辺りを見渡した。
 空に焔を息巻き煙で環を作るダルファ――その芸当に人々がどよめき、感嘆の声をあげる。宙返りして軽やかに飛び回る赤き竜を見上げながらオリオはふと思いついて、
「そう、もしお邪魔でなければ」
 剣の柄を握り、力を込めた。そっと戯れにメテオリオを――星の煌き纏う黒薔薇の花弁を夜空へ放った。ダルファが煌めく流星群の中を飛び回る。
 その光景にアルトニアの歌声が重なった。
 流星群に祈りをのせて静かな調べを。
 ――いつか、わたくし達も頼られましょうか。
 歌いながら、アルトニアは思う。
「アリアの歌声を聴きながら灯火の夜を過ごせるなんて。暖かくて、良い祝祭ですわ」
 舞い踊る星々を見上げ、アルトニアの歌に耳を澄ませながらオリオが微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天星・零
シャオさんと行動


『やっぱこういう雰囲気は苦手だ‥』
【変幻自在の影の住人】を自分に化けさせ自分は離れたところで景色を見ながら星空を見上げる


シャオが来たら

『おや、見つかってしまいましたか折角隠れていましたのに。シャオさんは参加しないんですか?』

素から喋り方を戻して

『ふふ‥僕のおかげではありません。皆さんのおかげですよ。それにあの方が諦めなかったのが一番ではないでしょうか。それを含めて今回の結果です。犠牲者は出てしまいましたが‥あとはそれを踏まえてこの村がどう進むかですよ』


無言のヘルプがきたら

『仕方ないですね‥』
指定UCで手品でも披露

ウェビルの口調‥語尾、一人称、二人称常に安定してないのでお任せ


シャオ・フィルナート
零さんと行動

翠狼に指示出し
村人達の中に入らせ
水技や狼の特性を生かして芸をさせておく
乗せてあげてもいいんじゃない…?

俺は…あまり、こういうの…慣れてなくて……
輪には入らず零さん(本体)の隣でちょこんと座りつつ
少しだけ貰ってきた食事を摘む

サラさん…ちゃんとまた幸せそう
よかったね
サラさんを横目で見つつぽつり

敵もきっと…零さんのお陰で
犠牲者の気持ちわかったね…
恨みは、晴らした
今は村全体が、笑顔で溢れてる
俺には……眩しいけど
これがきっと、供養になる

村人達に気付かれ連れ戻されたら

えっ、あ、あの、えっと…!
戸惑いと気恥ずかしさにおろおろしつつ
視線でチラチラと零に無言のヘルプ

…仕方ない
じゃあ…笛でも吹くよ…



「やっぱああいう雰囲気は苦手だ……」
 村のすぐ近くに高台を見つけた零は、坂を上がり、開けた場所に腰を下ろして呟いた。村役場で開かれている祝宴への参加は、自分自身に偽装した『変幻自在の影の住人(ドッペルゲンガー)』に任せてある。姿形はもとより、口調さえも模倣し装える霊となれば、村人達に気付かれる心配はまずない。
 ここからは動き回る村人達も見下ろせたが、零は夜空を見上げていた。
 時折吹く風に、その金色の髪が揺れる。
 夜風は冷気を孕んでいたが、あの賑やかな集いの中にいるよりは良い。
 散会になるまで任せたまま、ここで空を眺めていることも可能だろう。
 微かに子供達の楽しげな声が聞こえ、ちらと目を向けると、篝火が焚かれた村役場前の広場に、見覚えのある大きな狼が見えた。噴水さながらに水を操って、子供達の相手をしている。
 翠狼だ。
 主の姿は見当たらない。
 ふと気配が近付いてくるのを感じて、零はそちらの方を見た。
 姿を現したのはシャオだった。
 零はいつも通りの優しげな笑みを浮かべながら、素から喋り方を戻して、
「おや、見つかってしまいましたか折角隠れていましたのに。シャオさんは参加しないんですか?」
「俺は……あまり、こういうの……慣れてなくて…………」
 そう言いながら零の隣にちょこんと座ったシャオの手には、食事の盛り付けられた皿があった。貰ってきたものだろう。豆や保存用の果実と言ったもので、シャオはそれを摘みながらぽつりぽつりと言葉を口にする。
「翠狼には……指示を出してきたから……」
 眼下の光景を眺めながらシャオは言った。
 始めは圧倒されていた村の子供達も、すぐに翠狼の周りではしゃぎまわるようになっていた。乗せてあげてもいいんじゃない……? とまで言ったシャオの言葉通りに、翠狼は少年や少女を存分に楽しませているようだ。 
「サラさん……ちゃんとまた幸せそう。よかったね」
 はしゃぎ回る彼等の傍で笑顔を見せるサラを見つけて、シャオはぽつりと言うと、思い出すように続けた。
「敵もきっと……零さんのお陰で……犠牲者の気持ちわかったね……」
 零の力により、最期を迎えたオブリビオン――その瞬間をシャオは思う。零は穏やかに微笑したまま、小さくかぶりを振った。
「ふふ……僕のおかげではありません。皆さんのおかげですよ」
 その視線が、広場で笑うサラに向けられる。
「それに、あの方が諦めなかったのが一番ではないでしょうか。それを含めて今回の結果です」
 二人を撫でて風が通り過ぎていく。零は一拍置いて続けた。
「犠牲者は出てしまいましたが……あとはそれを踏まえてこの村がどう進むかですよ」
「今は村全体が、笑顔で溢れてる……俺には……眩しいけど……」
 これが亡くなった人々への供養になるとシャオは思う。
 二人のもとに村人がやってきたのは、暫し語らいを交えた後のことだった。
「……っと、こんなところに居なさるとは」
 どうやら酔い覚ましに夜風に当たりにやってきたものらしい。もしや歓迎がお気に召さなかったのでは……と言いたげな顔をした村人に、シャオが咄嗟に言葉を詰まらせた。
「えっ、あ、あの、えっと……!」
 戸惑いと気恥ずかしさで何と応えたら良いのか分からなくなったシャオの無言のヘルプに、零が笑みのまま小さく吐息して、助け舟を出した。
「仕方ないですね……戻って手品でも披露しましょうか」

『さあ皆々様、これよりはとっておきの手品を御覧に入れましょう!』
 宴もたけなわとなった村役場に道化師の声が響き渡る。
 ウェビル・ジョーカー・オブ・ウィスパー。
 零が召喚したピエロ姿の霊は、トランプを用いた多彩な手品で観客である村人達を沸かせようとしていた。何しろトランプの手品など、見たことがない村人達だ。華麗なシャッフルを見せるだけでも喝采が上がる。
 シャオによる笛の演奏が、観衆の期待を高めていた。
『それではそちらのお嬢さん、どうぞお好きなカードをお選び下さい!』
 ウェビルは大仰にして精密な手さばきでトランプを操ると山札を作り、女の子を指名してカードを選ばせた。おっかなびっくり示されたそのカードが皆に示され、山札の中に戻される。それが掛け声一つで山札の上に瞬間移動したのを見て、村人達がどよめいた。
「すごーい、どうやってやったの!」
 これはまだほんの序の口。
 次々と繰り出される手品の数々に会場は大盛り上がりとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パティ・チャン
【WIZ】
魔弾の射手を発動。
といっても、攻撃では無くて、舞台照明代用ですけどね。
(仲間が同行するようでしたら、私の出番あるまで、舞台袖で動かします。)

さて、私は獣奏器(カリンバ・指で弾くオルゴールみたいな楽器)を持ち出しますね。
騎士が本職ですけど、ビーストマスターでもあるのですよ。

仲間(動物たち)と心を通わせるために、これ(カリンバ)はあるのです。

曲は、ここは賑やかにやりましょう!
音量が心配ですが、そこは動物や鳥たちを召喚して音をあわせましょう。
演目は……そうですね~。ダンスミュージックをやってみますか。

※仲間との連携は歓迎致します。


ローズ・ベルシュタイン
■心情
オブリビオンも無事に倒してめでたしめでたし、ですわね。
後は、村人たちの心も深い傷を負っているでしょうから
皆で励ましてあげましょう。

■行動
WIZ判定の行動

村人たちに安心させてあげる言葉を掛けてあげますわね。
「また、この村に危機が訪れても、必ず私達猟兵が助けに参りますから
これからはご安心下さいませ」
と、優しさ、コミュ力、礼儀作法などで
安心させてあげますわね。

後は、唄や踊りの披露もしてみましょうか。
パフォーマンスを駆使して、皆さんが楽しめるような
芸を行って、元気づけてあげますわね。

後は食事会ですわね。
皆で美味しいものを食べて元気を出しましょう。
「んー、この料理、凄く美味ですわね♪」


上野・修介
※絡みOK
「さて、どうすっかなぁ」

根城にしていた領主館とその周辺を探索し残党などを確認。
問題なければ、今までの犠牲者の墓に手を合わせ、力仕事で手伝えることがあれば協力。

祭に参加はせず村の周囲を警戒。
(戦闘の振り返りや軽くシャドーをしながら、遠巻きに灯りを眺めつつ)

警戒は半分建前。

今回は助けられたが、すでに失われた命があり、残された人々もいつ殺されるとも知れない恐怖が日常にあり、それの日常がこの世界ではありふれている。
それでも希望を捨てずに生きる人々がいる。
だがその世界と、今まで己が生きてきた世界とを比べてしまった自分がいて、それが罪悪感を生んでいて。

――せめてこの夜は安心して過ごせるように



「探索しておくに越したことはなさそうだ」
 催事場から出た修介は、まず周辺を見回ることにした。あの南瓜頭のオブリビオンは領主館を根城にしていたのであり、まだ残党が潜んでいる可能性も十分に考えられた。物事には楽観して良い事柄と、安易に考えてはいけない事柄がある――修介は油断せず、領主館周辺を見て回った。
「問題なさそうか」
 足を使って一通り調べ、敵勢力が完全に消滅していることを確認した修介は、村へと続く坂道を下り、人々が楽しげに行き交う夜の村へと下りていった。
 既に村中が賑やかな祝いの準備に賑わっている。
「さて、どうすっかなぁ」
 犠牲者の墓に手を合わせた後、修介は暫し思案していたが、村人達が家々から重そうなテーブルや椅子を運んでくるのを見て声をかけることにした。
「手伝いますよ。あの村役場に運べばいいんですよね」
 言葉遣いを普段の丁寧な口調に戻して修介は確認する。
「え、でも……いいんですか?」
 二人で運ぼうとして途中で難儀していた村娘が、遠慮がちな素振りを見せたが、さりとて辛そうだ。見て取った修介は頷き、軽々と肩にテーブルを担いだ。傍で見ていた少女達もその姿に黄色い声をあげる。
 称賛を背に受けながら、修介は照れ隠しなのか黙々とテーブルを運んでいった。


 祝宴の会場となった村役場は、燈火による温かな光に包まれていた。
 設えられたテーブルには幾つもの蝋燭が置かれ、あちこちで炎が揺らめいている。
 村中からかき集められた食器の上には、パンの他に、チーズや果実、畑で採れた野菜を用いた温かなスープなど、村人達の日常からすれば贅沢な料理が盛り付けられていた。
「こうして仄かな明かりの中で食卓を囲むのも、良いものですわね」
 そう言って優雅に笑うローズの周りには、同年代やそれよりも下の少女達が自然に集まっていた。彼女達にとって、華やかなローズは早くも憧れの的になっているようだ。
「どうかなさいましたの?」
 と、談笑中、向かいの席に座る少女の顔に影が差したのを見てローズが声をかけた。
「こんなこと、まるで夢のようで。でも、すぐに覚めてしまうんじゃないかって」
 それは誰もが胸に抱きながら、なかなか口にし辛い不安だった。
 小さく頷いたローズは周りの少女達をも見渡して、
「ご安心を。またこの村に危機が訪れても、私達猟兵が助けに参りますから」
 救けられる命があり、如何に手を伸ばそうとも届かない命もある。たとえそうだとしても、ローザのその言葉は、村人達の心に燈された新たな希望となった。
 災厄の魔物に抗い、討ち果たすことのできる者――猟兵の存在を知ったことの意味は大きい。目前の少女の瞳にも光が戻るのを見てローズは微笑み返した。
「私も何か演じてご覧に入れましょうか」
 暫く食事を続けた後、そう言って立ち上がったローズに村人達が表情を輝かせた。
 会場となっている村役場の奥には、即席の舞台が設営されていた。と言っても、両脇の衝立に布をかけ舞台袖を作っただけの簡素な作りなのだが。
――皆さんが元気を取り戻して下さるのでしたら。
 人々の前で拍手を浴びるローズを、舞台の袖から飛んできた幾つもの炎が舞台照明さながらに照らし出した。
「魔弾も敵を倒すだけではないのですよ」
 舞台袖、カーテンの裏で、パティが魔法の炎を作り出し、それを自在に操ることによって演出を加えていたのだった。任意に消せる炎なので、火事になる心配もない。
 ローズがちらと袖の方に視線を流すと、パティが頷いた。彼女が手にしていたのは、小さな獣奏器だ。
 カリンバ――別名をハンドオルゴールと呼ばれる楽器に似たその獣奏器が、パティの演奏で明るく澄んだ音を奏で始める。
 それを前奏としてローズが美しい歌声を響かせ、さながら舞台上に咲いたオレンジ色の薔薇のように優雅に絢爛に舞い踊る。パティの操る炎が絶妙な舞台演出となり、村人達が感嘆の声をあげてその共演に見入っていた。
 喝采を浴びながらローズが舞台袖に隠れ、やがて高らかで優しい音色が響き出す。
 パティが獣奏器を奏でながら、子ライオンほどの獅子の背に乗り、動物達を伴って現れると、村人達はその光景にまたしても目を奪われた。
「仲間と心を通わせるために、この楽器はあるのです」
 仲間とは即ち動物達。本職は騎士であるパティだが、ビーストマスターでもある彼女にとって動物と心を通わせるのもお手の物だった。
 パティの獣奏器を用いた巧みな演奏によって、躍動感のある音楽が紡ぎ出され、鳥達が歌をさえずり、栗鼠が軽やかに踊る。パティは獅子の背から飛び上がると、演奏を続けながらもその透き通る羽根を羽ばたかせて飛び、鳥達と宙を舞った。
 魔法の炎もまた音楽に合わせて楽しげに飛び交い、幻想的な光景が描かれる。
 それは村人達にとって生涯胸に刻まれる一幕となったに違いない。


 村役場の窓から光が溢れ、風に乗って賑やかな声が聞こえてくる。
 修介はその様子を、外でシャドーボクシングしながら遠巻きに眺めていた。
 軽業師めいた動きを見せたオブリビオンとの戦いを思い返し、今後に活かそうと拳で空を切る。それに此処でこうしていれば、万が一、敵の残党が逆襲してきてもいち早く対応することが出来るはずであり――それも実のところ、半分は建前だった。
「いつ襲われるかも分からない日常か」
 今回は無事に救けることが出来たが、既に失われてしまった命もある。
 オブリビオンによる支配が続くこの世界では、いつまた別の魔手が忍び寄るかも分からない。その中にあっても、希望を捨てずに生きている人々がいる。今まで己が生きてきた世界と比べてしまった自分がいて、修介は罪悪感に駆られもしたが、
「ダークセイヴァーか……」
 虚空に腕を振り抜き、修介は拳を握り締めて目を閉じた。
 今はただ祈り願うのみだ。
 ――せめてこの夜は安心して過ごせるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月04日


挿絵イラスト