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雪と光と櫻の煌響曲

#サクラミラージュ #お祭り2022 #クリスマス

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「みんなー! メリークリスマース!」

 ミーシャ・フェイ(光のマジックナイト(自称)・f36917)は満面の笑顔である。
 しかも、クリスマスっぽい恰好で、尻尾に鈴のついた|赤緑金《クリスマスカラー》のリボンが飾られていて、先程からご機嫌に揺れる尻尾にあわせてちりんと軽やかな音をたてている。

「サクラミラージュでキレイなイルミネイションやってるんだって!」

 と、言いながら、手元の板状の――人によってはスマホのようにも見えるグリモアを向けてくるが、当然ながら詳細は見えない。それを指摘すると、融通が利かないなあ、などとどこか拗ねたような顔をして呟くものの、説明を始める。
 いわく、サクラミラージュのとある街で、幻朧櫻の袂の広場に至る大通りにアーチ型のイルミネーションが立ち並び、広場の入り口には一際大きな光の門が人々を出迎える。光の門の向こうにも、幻朧櫻の邪魔にならない程度ではあるが、光の装飾壁が作られており、幻朧櫻の花片や舞う雪と共に煌めく協奏曲を奏でている。
 本来は幻朧櫻に一年の無事平穏を祈り寿ぐ側面があったこともあり、屋台のようなものは並んではいないが、広場の一角で暖かい飲み物くらいは買う事ができるので、回廊を歩く間に冷えた身体を温める事はできるようだ。

「そんな感じだから、防寒はちゃんとしてった方が良いよ。
 あと、回廊は混んでるのもあって、羽目外し過ぎたら連れ出されちゃうかもしれないから気を付けてね」

 それは結構大事な話ではないのだろうか。
 そんなことを思いながら、猟兵達は雪と櫻の花片の舞うサクラミラージュへと送り出されていった。


白神 みや
 お世話になっております、|白神《しらかみ》です。
 雪と光と櫻のクリスマスをお届けに参りました。クリスマス全身絵頼んでおけばよかったですね。後悔先にたたず。

 光の回廊を通り抜けて、広場で雪と光と櫻に包まれたひと時をお楽しみください。
 フラグメントからすると、幻朧櫻の袂メインに見えそうですが、回廊の入り口から袂の広間まで描写予定ですのでそんな感じでひと時の過ごし方をイメージしていただければ幸いです。
 ミーシャは皆様を送った後見物に来ているようですので、お声がけ頂ければ同行いたします。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 受付期間については、都度タグにて告知いたしますので、参照ください。
 基本的には、期間中にいただいたプレイングで進行予定ですが、締切後🔵状況等によっては追加を受付る可能性があります。……が、特大繁忙期の波状攻撃を喰らっております。諸々変則進行だったりゆっくり進行になったりする可能性もあります。(目指せ年内。年を越してもエフェクト集計には間に合わます)
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第1章 日常 『幻朧桜の木の下で』

POW   :    幻朧桜を見上げ、心が洗われるのを感じる

SPD   :    幻朧桜の下で軽く飲食を楽しむ

WIZ   :    幻朧桜に想いを馳せ、祈りを捧げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神臣・薙人
【キアラさん/f11090】と

わあ…きらきらですね
自然の光も好きですが
こんな風に綺麗に飾られたものも素敵です
キアラさん、お誘いありがとうございます

道中はキアラさんとはぐれないよう注意
私の方がお兄さんですからね
手繋ぎは喜んで
こんな可愛い妹がいたら
毎日楽しいでしょうね

雪と、桜と、イルミネイション…
こんな不思議な景色が見られるのも
この地ならではでしょうね
キアラさん、どうかなさいましたか?
ふふー
大丈夫ですよと手を握り返して
むむ
着膨れは私も負けてないですよー
もこもこアピールです

キアラさん、寒くはありませんか?
温かいお茶、買って来ますね

最後に幻朧桜へ祈りを
これからも
私の大好きな人達が
幸せに過ごせますように


キアラ・ドルチェ
薙人さん(f35429)と

こちらこそ、お付き合いありがとですっ

んー…じゃあ。手繋いでも良いです?
「おにいちゃん」と手を繋いで歩くってシチュに憧れてて(てれてれ

ええ、桜と雪と光のコラボ…綺麗♪
薙人さんもこの光景に溶け込んでて綺麗で…
でも…薙人さんが綺麗すぎるから?
光景の中に溶けてしまいそうで
心配で握った手を更に強くぎゅっと

それでも心がざわざわするから
「薙人さん、ほら、ゆきだるまー! この景色にマッチしてません? えへへ♪」(着膨れな自分をふざけてアピール

あ、ちょっと寒かったので…温かいお茶お願いします

幻朧桜よ…こんな楽しい時間がずっと続きますよう
大切な方たちすべてが…ずっとしあわせでありますよう



●光櫻の煌めきのもとで
「……きらきらですね」

 神臣・薙人(落花幻夢・f35429)が、イルミネイションを反射して煌めく雪を見つめ感嘆の声を零した。元々樹木医をしていた出自故か、桜の精となったためか、人工物よりも自然の物を好む薙人ではあるが、このように飾られた景色も悪くはないものだと思う。

「キアラさん、お誘いありがとうございます」
「こちらこそ、お付き合いありがとですっ」

 薙人が、傍らで同じく光景に目を輝かせていたキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)へと頭を下げると、キアラも同じように頭を下げた。二人綺麗に相似形を描く姿に、どちらからとなく笑いが零れる。

「いきましょうか。はぐれないようにしてくださいね」
「んー……じゃあ。手繋いでも良いです?」

 二人で笑いあった後、薙人がそう促すと、キアラははにかんだ様子で薙人を見上げながらそう言う。薙人が不思議そうに首を傾げると、キアラは少し恥ずかしそうに続ける。

「「おにいちゃん」と手を繋いで歩くってシチュに憧れてて……」
「私の方がお兄さんですからね。喜んで」

 迷惑ではないかと思いながらそう零したキアラの手を取る薙人のマフラーで隠れた口元の代わりに、その髪を彩る桜の花が綻ぶように揺れた。



「こんな不思議な景色が見られるのも、この地ならではでしょうね」
「ええ、桜と雪と光のコラボ……綺麗♪」

 光の回廊では、雪と幻朧桜の花弁とイルミネイションの景色に重なるように、静謐な音楽が更に幻想的な景色に彩を添える。そんな中を、二人は手を繋いで歩く。
 そんな中キアラは傍らの薙人の横顔を見上げる。桜の精である故に、この景色と溶け込む姿は綺麗だなと、笑みを浮かべるが、ふと不安がよぎる。この雪と桜の景色の中に、薙人が溶けてしまうのではないかと。元々彼は、キアラの故郷でもある|銀の雨降る世界《此処とは別の世界》から、この世界に攫われて桜の精へと生まれ変わったのだという。それは、幻朧桜が彼を喚んだのではないのか。それならば、彼自身が再び喚ばれたのならば……。思わずよぎった可能性を打ち消すように、繋いだ手をぎゅっと握る。

「……キアラさん、どうかなさいましたか?」

 不意に手を握られて、薙人が不思議そうに視線を向けた。そうして向けられた優しい視線に、キアラは今抱えた不安を口にしそうになる。が、言霊、という言葉が心の隅に過る。口にしてしまえば、いつかそれが事実になってしまいそうで、ざわざわとキアラのこころを煽る。だから、それを飲み込んで。

「薙人さん、ほら、ゆきだるまー!」

 雪降る寒さ故に防寒対策をしっかりしてきたため、可愛らしく膨らんだキアラは確かに雪だるまのように見えなくもない。

「この景色にマッチしてません?」

 キアラが抱いていた気持ちが何がしかの不安であることは、薙人も察していた。だが、それを押し隠したキアラの様子に、薙人もまた言いたかった言葉をおさめざるを得なかった。ならば、と。

「着膨れは私も負けてないですよ」

 同じように防寒具で着膨れた姿をアピールしてみる。お互い抱えたものをそっと隠しつつも、辿り着いた幻朧桜の袂で二人其々に願いを祈る。

(これからも
 私の大好きな人達が
 幸せに過ごせますように)

(……こんな楽しい時間がずっと続きますよう
 大切な方たちすべてが……ずっとしあわせでありますよう)

 祈る二人に、幻朧桜の花弁と雪が光を纏って優しく舞い降りた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
今年は【ロランさん/f04258】とイルミネーションを鑑賞しに来ました。
咲き誇る桜と雪、そして光……こんな取り合わせもあるのですね、とても美しいです。
ちゃんとコートを着てきましたが、やはり中々の寒さですね……ロランさん、何か温かい物でも頂きませんか?甘酒とか。

手を繋いで光の門を潜るたび、今年の事を思い出します。
二人で遊びに行った事も多いですが、やはり戦いに行った事の方が多かった気がしますね。
何度も戦争に出陣し、大物相手でも何とか無事に勝利して帰って来られたのもあなたのお陰です。
……そうですね、二人だったからかも知れません。
来年も共に戦い、無事でいられるように……幻朧櫻に祈りましょうか。


ロラン・ヒュッテンブレナー
【ハロちゃん/f13966】と参加なの

わぁ、すごい
光の門がずらっと並んでるね
幻朧櫻の所が楽しみだね
ん、ぼくもしっかり着込んできたよ
甘酒、ちょっと大人な感じなの
買ってから行こっか?
(手を差し出して進み始める)

今年は戦争から始まって、あちこち行ったよね
確かに、一緒に戦ったことが多かったね
門の光に、あの時の光景が浮かんでくるの

(幻朧櫻の元までやってきて)
ううん、一緒だったから、乗り越えられたと思うの
一緒なら、辛い戦いも超えて進めるの
来年も、その先も
もっといい来年になるように、この櫻に祈るの

手を強く握って温めるようにしながら、聞いてみるの
今のぼくたちは、このイルミネーションのように輝いてるかな?



●巡る|一年《ひととせ》を、君と
「ハロちゃん、すごいよ! 光の門がずらっと並んでるね」
「……こんな取り合わせもあるのですね、とても美しいです」

 ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)とハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は、櫻と雪と光の競演にそれぞれに目を奪われ、驚きと称賛を言葉にした。

(コートを着てきましたけど、やはり中々の寒さですね……)

 その最中に、零した吐息の白さに、ハロは寒さを思う。

「ロランさん、光の回廊を抜けたら、何か温かい物でも頂きませんか?」
「ん、そうだね。何にするかは、広場に着いてからから決めようね」

 そう言ってロランが手を差し出すと、ハロは嬉しそうにその手を取る。二人は少しくすぐたそうに微笑みあって、光の回廊へと足をむけた。



「今年は戦争から始まって、あちこち行ったよね」
「やっぱり、思い出しますか?」

 色とりどりの光に彩られたアーチをくぐる度、共に過ごしたこの1年を思い出していたハロは、ロランの言葉にこくりと頷いた。
 唐突に始まった戦争から始まった1年だったが、その戦争はもちろん、共にに遊びに行ったり、他の戦争や依頼に赴いたり。その中で共に大物と対峙し、無事に勝利を収めることもできた。
 優しく、時に鮮やかに降り注ぐ光に、それらの光景を思い浮かべながら、手を繋いで二人は進む。

「あなたのお陰です、ロランさん」

 桜の袂の広場の入り口でもある一際大きな光の門をくぐりぬけたところで、ハロがロランへと言う。

「ううん。違うよ」

 ロランは微笑んで手を繋いだまま、ハロを幻朧櫻の元へと誘った。

「一緒だったから、乗り越えられたと思うの」

 そう言って繋いだ手と反対側の手も取ったロランがハロを見つめる。

「……そうですね、二人だったからかも知れません」

 少年兵として、|闇深き世界《ダークセイヴァー》で戦い、苦難を経て猟兵となったハロには、その言葉はとても暖かく染みわたった。だから、素直にその言葉を受け入れた。

「一緒なら、辛い戦いも超えて進めるの」

だから、と、ロランは続ける。

「来年も、その先も。もっといい来年になるように、この櫻に祈るの」
「はい。来年も共に戦い、無事でいられるように……幻朧櫻に祈りましょうか」

 そうして、二人は幻朧櫻に、これからも共に支えあっていけることを、お互いが無事でいられることを祈る。

「ねえ、ハロちゃん」

 祈りをささげた後、ロランはハロの手を改めて握って声を掛ける。

「今のぼくたちは、このイルミネーションのように輝いてるかな?」

 その問いかけに応えるように、ハロは手を握り返して、微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ミーシャさん
へへ、夏ぶりです
よかったら一緒にどうですか?

※服装は南瓜SD2021参照
ケセランパサランの仮装だけど
冬服としてもあったかくてお気に入りなんだよね

凄い、光がいっぱいだ
年中桜が咲いてるサクラミラージュだと
この輝きもなんだか特別に見えるよね
満開の桜とイルミネーションの組み合わせなんて
他の世界じゃ中々見れないし

混んでるから逸れないようにだけ気をつけて
とりあえず、何か温かい飲み物は買っておこうか
折角招待して貰ったんだもん
ミーシャさんの分は僕に奢らせてよ

自分の分は温かい紅茶を
ミーシャさんにも希望のドリンクを渡して
吐息で軽く冷ましながら

ところで…ミーシャさん、今日の服装可愛いね
良く似合ってるよ



●白い綿毛は光に煌めいて
「ミーシャさん、夏ぶりです」

 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、猟兵達を転送し、自分もとやってきたミーシャに声をかける。

「あ、ひさしぶりー! 元気だった?」
「うん、ミーシャさんも元気そうだね」

 手を振るミーシャに雪にのようにふわふわとした服装の澪も笑いながら手を振り返す。

「よかったら一緒にどうですか?」

 澪の誘いにミーシャは喜んでと頷くと、二人は並んで光の回廊へと歩き出す。

「凄い、光がいっぱいだ」
「でしょ、でしょ? だからいろんな人に見て欲しくって」

 きらきらと降り注ぐ光と雪と花弁に、澪が驚きの声を漏らす傍らで、ミーシャは得意げな笑顔を向けた。
 逸れないように並んで歩きながら、二人は光の回廊の向こうに咲く幻朧桜に視線を向ける。

「満開の桜とイルミネーションの組み合わせなんて、サクラミラージュならではだね。他の世界の出身だからかな、なんだか特別に見えるよね」
「そうかも。ココの人たちだと、いつも桜が咲いてるのが普通だしね」

 そう言い交わしながら、一年を通して幻朧桜に見守られ、共にある|朧桜舞う世界《サクラミラージュ》。その象徴たる幻朧桜が立つ広場へと二人は辿り着く。それまでの道のりで冷えた手に息をかけるミーシャに気が付いた澪が、声を掛ける。

「何か温かい飲み物は買っておこうか。あ、ミーシャさんの分は僕に奢らせてよ」
「え、いいの?」
「折角招待して貰ったんだもん。そのくらいはさせてよ」

 そうして澪が買ってきた暖かい紅茶を手に、二人は互いの服装を褒めあいながら笑いあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリルーン・アーンスランド
夫の陸井さま(f35296)と

人が楽し気にゆきかう場所が好きですの
流るる時そのもののような命の交差
まさに一期一会ですから

ゆっくりこの世界を堪能したかったので
良い機会を得て尚嬉しゅうございます

愛しい背の君に身を預け
美しいイルミネイションを一つずつ
感嘆の声と共に堪能致します
「まさに天門の如くでございます…」

幻朧桜もなんと美しい…
夢幻と言う形容はこの為にあるかのよう

何を見てもお傍の陸井さまと心ゆくまで
ゆったりとお話をし
笑顔を交わすのも…まさに至福にて

あら、ミーシャさまごきげんよう
転送のお礼を述べてお話を
可愛らしいお姿と尾に和みますわ

「陸井さま…また必ずとおねだりさせて
頂いて宜しゅうございまして…?」


凶月・陸井
妻のシリル(f35374)と参加

デートは何度しても良いものだけど
クリスマスはやっぱり特別だ
気合を入れてエスコートしないとな
「行こうか、シリル」

楽しそうな妻に寄り添って光の中を進むけど
思っていた以上の光景に一緒になって思わず声が漏れる
「本当に綺麗だな…」
サクラミラージュには何度か足を運んでいて
世界にも慣れてきたと思っていたけど…この光景は凄い
幻朧櫻も光も、二つが合わさって今の美しさが此処にある
「それに、一緒に見れる事もだな。二人で見れたから猶更だ」

進んだ先で出会ったミーシャさんには挨拶とお礼を
こんな光景に出会えたことも彼女のおかげだしね

最後に妻とは約束を
「勿論。また沢山思い出も作らないとな」



●護りの風は煌めく微笑みと共に
 シリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)は、この場に舞い降りたその時から、人々が集まり行き交う様を嬉しそうに見ていた。流れる時が目に見えるカタチになったかのような、人々の命の交差は、その時々にしか見れない景色を見せてくれる。そんな一期一会の光景が、シリルーンは好きなのだ。

 そんなシリルーンの名を囁いて抱き寄せるのは、夫である凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)。シリルーンは恥ずかしそうに身じろぎをするものの、抗う素振りは見せない。常であれば、恥ずかしさの余りにするりとすり抜けてしまうなんて事もあるが、今日はクリスマス。幾度逢瀬を重ねても、契りを結んでも、やはりこういう時節に二人で共に居るというのは、陸井にもシリルーンにも特別なのだ。

「――行こうか、シリル」

 だからこそエスコートをする陸井も気合が入るというもので。そんないとしいひとの誘いにシリルーンも素直に頷いて、共に人の流れにのって光の回廊へと向かう。



「まさに天門の如くでございます……」
「本当に綺麗だな……」

 二人寄り添って光の回廊を進みながら、どちらともなく感嘆の声が溢れ出た。
 美しさに半ば飲まれるように歩むうちに、二人は幻朧桜が立つ広場へと辿りつく。

「夢幻と言う形容はこの為にあるかのよう」

 光の壁を従えて咲き誇る幻朧桜を見上げながら、圧倒されたかのように吐息を零しながらシリルーンが呟く。
 そんなシリルーンを抱き寄せて陸井が頷いて同意を示す。イルミネイションと雪であれば、故郷たる世界でも見る事が出来る景色だが、そこに自分達が識る桜と似て非なる幻朧櫻が咲き誇る様とその花弁が加わる事で神秘さと美しさがこれほどにも増すとは思っていなかった。
 世界を渡ることのできる猟兵となって1年を越え、この|朧桜舞う世界《サクラミラージュ》へも何度も訪れたが、自分達が知らない景色はまだまだ隠されているようだ。
 そんな二人の視界に、見覚えのある青と紫のグラデイションが目に入る。此処へ導いてくれたミーシャがそこに居た。

「あら、ミーシャさまごきげんよう」
「やあ、ミーシャさん」
「あ、やっほー。楽しめ……てるみたいね」

 楽しめているかと聞くよりも前に、寄り添い立つ二人の姿はこの景色を十分に楽しめてることを物語っていた。二人で案内への礼を伝えると、この景色をみんなが楽しめてくれるのが一番なのだと、少女は笑って答えた。
 デートのお邪魔をしちゃうのは悪いからと去っていく背を見送った後、シリルーンは少し背伸びをして陸井の耳元へ囁く。

「陸井さま……また必ずとおねだりさせて頂いて宜しゅうございまして……?」
「勿論。また沢山思い出も作らないとな」

 雪と桜と光の煌響曲は、笑顔で囁き交わされた約束と共に二人の大切な思い出の一頁となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月03日


挿絵イラスト