●雪のちらつく夜空にて
今年のクリスマスには雪は降らないのか。
なんてゴンドラの窓に手をついて空を見上げていたら白い雪がふわり、ふわりと空から落ちてきた。
ビル群の光を反射して。遊園地で遊ぶ子供の鼻頭に一粒。街路樹の通りに淡雪を積もらせて。見上げるほど大きなクリスマスツリーに粉砂糖のデコレーションのように。
街中が白く彩られていく様をとろとろと動くゴンドラの上から眺めた。
空調が完備されたゴンドラの中は暖かい。搭乗口でスタッフにサービスでもらったホットチョコレートが手の中でじんわりと熱を放っている。
柔らかいクッションとソファが身体を支える。
あと何分で駅についてしまうのだろう。三十分という短い時間を惜しみながら、隣に座るキミが美味しそうにホットチョコレートを飲み込むのを目に焼き付けた。
●クリスマスゴンドラに乗って
「はっ!くだらねぇ!」
パンフレットをぐしゃぐしゃと丸めてぽいっとその辺に捨ててしまったのは晒部ちぃと(この《バーチャルキャラクター》は通報対象です・f34654)だ。
「ゴンドラだかマンドラゴラだか知らねえがクリスマスもクリスマスツリーも俺にとっちゃどーでもいいね」
仕事なので一応、彼はだるそうに大きなウィンドウにゴンドラの概要を映し出した。
駅を出たゴンドラは約三十分という時間をかけて、UDCアースのビル群が作り出す夜景をゆっくり周っていく。
クリスマス一色に飾り付けられた遊園地、大観覧車は一時間おきにプロジェクションマッピングで飾られるようだ。
何十億個のカラフルな宝石を飾り付けたように光り輝く街路樹の通り。ゴンドラの上から見るとまるで天の川を空の上から見下ろしているようだ。
そしてゴンドラの高さに匹敵するほどとても大きなクリスマスツリーを周って駅に戻ってくる。
搭乗口で渡されるサービスのチョコレートは濃厚で、冬の冷え切った身体を温めてくれるだろう。
定員は今夜限定で二人っきり。
「[検閲済み]。甘ったるすぎて吐きそうだ、[検閲済み]が。」
オエ、とわざわざ吐く真似をしてみせる。
「まあ、チケットはこんなに余ってるみてぇだし、行きたかったら行けば?あーぁ、なんで俺がこんなこと…」
ぶつくさと言いながら、彼はチケットを宙にばら撒いた。
ミヒツ・ウランバナ
メリークリスマス!ミヒツ・ウランバナと申します。
オープニングご覧いただきありがとうございました。
クリスマスゴンドラに乗って三十分間の空の旅に行きませんか?
サービスドリンクでホットチョコレートが出ますが、基本的に飲食物の持ち込みは大歓迎です。
(※未成年の方の飲酒や喫煙はご遠慮ください)
POW/SPD/WIZはあまりお気になさらず、ゴンドラ内で出来ることならなんでも好きにお楽しみください!
全年齢対象ではないプレイングは採用いたしません。
お声がけがあれば、私の『イラストがある』グリモア猟兵を一人呼ぶ事が出来ます。
どなたも面識の有無に関わらず、一緒に過ごしたいと思ってくださったらお気軽にどうぞ〜。
●参加人数
グループ参加は2名まで。ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけるとありがたいです。
第1章 日常
『イェーガー・イン・ザ・カプセル』
|
POW : なんだか秘密基地みたいで、わくわくしながら過ごす
SPD : さっと寝入って、効率的に体力回復しておこう
WIZ : 今回の依頼について、静かに思いを巡らせる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
栗花落・澪
うーん…折角だし
獏さん、ご一緒します?
あ、抱っこしてあげようか
見える?
以前は綺麗なプールのお誘いしてもらったから
今日は僕から光見のお誘いを
ホットチョコレートを片手で飲んで、ほぅと一息
あ、獏さん見て、丁度プロジェクションマッピングやってるよ
凄く綺麗
獏さんは、今までイルミネーションって見た事ある?
僕は毎年あちこち行ってるんだ
今年も、空から海中まで、色んな場所からたくさんの光を見たけど
どの光も不思議と見飽きないんだよね
そうだ
この前のプールで一緒に買ったゼリーの実、僕のやつ育ったんだ
もし獏さんがいればと思って持って来てたから丁度よかった
獏さんとのもう一つの思い出の形
駅に着くまで、一緒に分けて食べよう
●光の思い出、ゼリーの思い出
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は地面に散らばるチケットを一枚、二枚と拾い上げた。
定員は二人っきり、ということは二人いないとゴンドラには乗れないという事だろうか。
「うーん…折角だし…獏さん、ご一緒します?」
自分には縁がない話だと、さっさと聖夜の夜ふかしパトロールに行こうとしていたグリモア猟兵の獏・獏(ばくばくさんは安眠担当!・f29273)は聞き馴染みがある声に耳をピクリと動かした。
「以前は綺麗なプールのお誘いしてもらったから、今日は僕から光見のお誘いを」
「えっ!いいのだ!?」
ぴょんぴょんと全身から嬉しさが隠しきれない様子で獏は飛び跳ねている。
その様子が可愛らしくて澪は思わずクスリと笑みをこぼす。
「ところで、クリスマスゴンドラはペットOKなのだ?」
「ペットとして誘ったわけじゃないんだけど…」
──────────────────────────────
一人と一匹を乗せてゴンドラは駅を離れて、ゆっくりゆっくりと空の旅へと動き出した。
空調の効いた個室は程よく暖かく、ソファにはふかふかのクッションが完備されている。
少し周りが見難いが、明かりがついていないのはイルミネーションがよく見えるようにするための配慮だろう。
澪はソファに腰を落ち着かせてホットチョコレートを片手で飲んで、ほぅと息をつく。
陶器のマグカップに注がれたホットチョコレートには板チョコが丸々一枚溶け込んでいる。
上には真っ白なマシュマロが二つ、小さなオレンジのシュガーフラワーが3、4個プカプカと浮かんでいる。
とろりとした甘い液体を飲み込めばカカオの甘い匂いが鼻に抜ける。舌にまとわりつくようなチョコレートの甘さが、その液体の暖かさが喉の奥に抜けていく。
暖かさがじんわりと体の中心から広がっていく。
「甘くて美味しい…」
「美味しいのだ〜!」
獏も器用に前脚を使ってホットチョコレートを飲んでいる。
澪はふと気が付く。
「獏さん、そこだと窓の外が見辛くないかな?」
獏の視界がちょうど上の窓と下の窓を繋ぐ窓枠に遮られているのだ。
「あー、確かに見づらいのだ。大丈夫なのだ!ばくばくさんはソファから降りて見るのだ!」
そう言って獏はぴょいっとソファから飛び降りて床に座り込んでしまった。
これでは本当にペットのようだ。
「獏さん、抱っこしてあげようか?」
「えっ!?いいのだ!?わーい、ばくばくさん抱っこされるの大好きなのだ〜」
よっぽど嬉しかったのだろう。獏は小型犬のように澪の膝下でわちゃわちゃと抱っこをせがんだ。
お腹に手を回して抱き上げるとむにりと獏は持ち上がり澪の腕の中で落ち着いた。
気がつけば、外には遊園地が見えてくる頃だった。
「あ、獏さん見て、丁度プロジェクションマッピングやってるよ」
「本当なのだ!グッドタイミングなのだ!」
大観覧車はガラガラとブロックのように崩れた。
そして時間が巻き戻るようにブロックが積み重なると大観覧車は大きな時計へと変身していた。チクタクと音立てて針は回る。
ビヨン。音を立てて時計は壊れてしまった。
前方にぐらりと時計が倒れると、そこには暖炉がある暖かそうな部屋があった。炎が揺れる暖炉の上部にカラフルな靴下が四つぴょこんとぶら下がる。そして靴下の中に順番にプレゼントが現れる。
そうしてキラキラと光る妖精のような軌跡がMerryChristmasの文字を描く。
「凄く綺麗」
思わず声が溢れる。
鮮やかなイルミネーションの光が琥珀色の瞳に瞬いて見えた。
──────────────────────────────
「獏さんは、今までイルミネーションって見た事ある?」
UDCアースのビル群の夜景を眺めながら澪は腕の中の獏に尋ねた。
「う〜ん、何処かへ移動中にちらっと見たことはあるけど、こうやってちゃんと見たのは初めてかもしれないのだ!」
「そうなんだね。僕は毎年あちこち行ってるんだ」
色んな場所で見てきたイルミネーションの話を澪は獏に話して聞かせる。
不思議なしきたりのある宇宙の雪の街や銀誓館学園の屋上カフェから眺めた街の風景、自らイルミネーションのために巨大なモミの木に花園を広げたこともある。
「今年も、空から海中まで、色んな場所からたくさんの光を見たけど、どの光も不思議と見飽きないんだよね」
「それは不思議なのだ!ばくばくさんも色んな場所に行って色んな光を見てみたいのだ〜!」
「じゃあ今度は獏さんがいっぱいイルミネーションを見て、そこで体験したことを僕に聞かせてくれたら嬉しいな」
「わかったのだ!ちゃ〜んと覚えておくのだ!」
キャッキャとこれから見たいイルミネーションの話や澪が見てきた他のイルミネーションの思い出話に花を咲かせる中、ゴンドラは二人に気づかれることなくゆっくりと復路の道へと差し掛かった。
──────────────────────────────
「そうだ。この前のプールで一緒に買ったゼリーの実、僕のやつ育ったんだ。もし獏さんがいればと思って持って来てたから丁度よかった。」
「すごいのだ!ばくばくさんのはまだ花も咲いてないのだ!」
澪は持参していた袋からゼリーを取り出した。
それは林檎のように赤く丸い形をしていて、中には角切りの林檎がぎっしりと詰まっている。
「何故か木に生ってる時から包装までされてたんだよね」
「キラキラしていて美味しそうなのだ!早く食べたいのだ!ばくばくさんのも育つのが楽しみなのだ〜!」
「…ふふっ」
「何かおかしい事言ったのだ?」
「獏さんとのもう一つの思い出の形。駅に着くまで、一緒に分けて食べよう」
「いいのだ!?やった〜!」
スポンと澪の腕の中から飛び出すほど喜ぶ獏の姿に、澪は少し驚くもののすぐにクスクスと笑い出した。
駅につくまで後少し。
それなのに、林檎のゼリーはゆっくりと少しずつ食べたくなるほど甘くて美味しい。
中の林檎はシャクシャクと新鮮で、普通のゼリーとはちょっと違う少し不思議な感覚。
艶々と赤い表面がイルミネーションの光を反射し、まるでイルミネーションそのものを食べているような、そんな気分。
駅につくまで後何分?
そんな事も気にせずに二人はひんやり冷たい夏の残り香を口に運びながら談笑を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「オー! ワタシはバルタン・ノーヴェ、デース!」
日常を満喫しマショー! アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
得意な技能:【奉仕・料理・掃除・裁縫・救助活動】デスネ!
たぶん戦闘はないと思いマスガ、バトルの時は元気に暴れマスネー!
料理が得意ですが、奉仕や救助活動(介護や子守り含む)といったメイド・アクションも可能デース!
にぎやかしとしてワイワイはしゃいでもOK!
こっそり裏方で労働に勤しんでもOKデース!
他の猟兵の方々と楽しめるように努めてマース!
公開UCやバルタンズ、アイテムの使用も問題なくOKデスヨ!
よろしくデース!
●誰にとっても最高の
「オー!ミナサン、クリスマスを楽しんでマスネー!」
聖夜をゆっくりと進んでいくクリスマスゴンドラ。
ふとバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が外に目をやると一つのゴンドラに目がいき、チョコレートの香りが充満する調理室の中、ゴンドラに向かって敬礼のポーズをとった。
バルタンがなぜこんな場所にいるのか。
時を数分前に戻す。
「ナルホド、これは緊急事態デスネー!」
ホットチョコレートの鍋を覗き見ると、残りは十数人分といったところだろうか。
“在庫が無くなったため提供を終了します”
と札を出すのは簡単だ。
しかし、せっかくの聖夜だから、と調理場スタッフは買い出しに走り、材料だけは潤沢に揃っている。
果たして残ったホットチョコレートが尽きるのが先か、それとも間に合うか、と言ったところでゴンドラの乗降口で配っていたサービスのホットチョコレートが底を尽きそうだとの声を聞きつけ、急遽バルタン・ノーヴェがたくさんのバルタンズを引き連れて“特別ホットチョコレート製造係”として馳せ参じたのだった。
「レッツ クッキングタイムデース!バルタンズ!」
『『バルバルバルバル!』』
わーっと一斉にバルタンズはチョコレートに飛びかかる。
包装紙を剥がすチームA、チョコレートを刻みまくるチームB、刻まれたチョコレートと牛乳を程よいバランスに配合して鍋にかけるチームCに作業を分担して超スピードでホットチョコレートが作られていく。
バルタンもミルクチョコレートやブラックチョコレート、ルビーチョコレートにホワイトチョコレートを包丁でテンポ良く刻んでいく。
テンポ良く、とは言うもののユーベルコード“バルタン・クッキング”のおかげでバルタンズの作業スピードとは比べ物にならないほどの速度で事が進んでいるのだが。
温まった真っ白の牛乳にトロトロとチョコレートが溶けていく。
鍋をぐるぐるとかき混ぜれば、濃厚なホットチョコレートがたっぷりとその中に出来上がっていい匂いを部屋中に漂わせていく。
あっという間にしばらくの間困らないであろう量のホットチョコレートが完成する。
その量はおよそ大鍋二十個ほどである。
「いやーバルタンさん助かりました。これでなんとかなりそうです!」
「Oh、ノープロブレムデース!」
スタッフさんたちも大喜び。
しかし、バルタン自身はなんだか物足りない気分だった。
普段からとんでもない種類の料理をとんでもない量作る事が多いため、その弊害とも言えるだろうか。
チョコレートを刻んで温めた牛乳と混ぜるだけの料理をたったの鍋二十個程なんて肩慣らしのレベルだ。
「Ah…スタッフサーン、他にお手伝いすることはないデスか?ワタシも、バルタンズもなんでもお手伝いしマース。」
「いいんですか?でしたら…トッピングや、他のメニューを作るのを手伝ってくれませんか。普通のホットチョコレートだけだったら物足りない人もいるかもしれないので。」
「オフコース!そのくらいのことならピースオブケーキデース!」
『『バルバルバルバル!』』
早速バルタン達は調理場にある食材を物色し始めた。
卵白と砂糖をツノが立つまで泡立てて、様々な色の着色料と混ぜ合わせる。
コルネの中に色とりどりのメレンゲを詰めて、ハートや星、小さな花の形などを描いていく。
ホットチョコレートの上に乗せれば、見て楽しく、混ぜれば溶けてなくなるトッピングの完成だ。
バルタン&バルタンズはトッピングの量産体制に入った。
この他にもホイップクリームを泡立てたりナッツを砕いたりして、味飽きしないようにたくさんのトッピングを量産していった。
また、ホットチョコレートにブランデーをいれた大人のホットチョコレートや、アフォガードのようにバニラアイスにホットチョコレートをかけた冷たいホットスイーツのレシピ制作など聖夜を楽しむ全ての人のために調理を続けた。
「バルタンさん!今夜はお手伝いいただきありがとうございました!」
スタッフはみんな頭を下げてバルタンに礼を言った。
「どう致しましテー♪お手伝いできて楽しかったデース!」
満足げな表情のバルタン。
「スタッフの皆さんもお疲れ様デシター!バルタンサンタからのプレゼントがありまーす!」
そう言ってバルタンズが立ち並んで隠していた背後のクリスマスディナーをスタッフにお披露目する。
スタッフ達は歓声をあげる。
「皆さんメリークリスマスデース!」
バルタンが作った料理は夜遅くまで働いたスタッフの心も体も癒し、誰にとっても最高のクリスマスを作り上げたのだとか。
成功
🔵🔵🔴