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デリシャスノエル・ファクトリー

#カクリヨファンタズム #お祭り2022 #クリスマス

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#クリスマス


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●美味しい聖夜、大集合
 料理自慢の妖怪達が腕をふるうそこは、今日だけ普段と趣が違う。
 どこか工房風なデザインをした屋台の屋根をふんわり白く飾る雪。ぴかぴか光るイルミネーション。中心にどどんと置かれたスペシャルにビッグなクリスマスツリー。
 空をふわふわ駆けるサンタクロース一行は魔法生まれの幻影だけれど、たまに笑いながら放ったプレゼントが本物のお菓子になるサプライズ付き。
 どこからか聞こえてくる美しい歌声は、セイレーン合唱団によるクリスマスソングだ。彼女らの歌を間近で聞く妖怪の中には、皿いっぱいのミンスパイを頬張る者もいた。

 今日はクリスマス。カクリヨファンタズムの屋台街も聖夜に染まって大賑わい。
 ここではお馴染みのおでん、焼き鳥、ラーメンに加え、クリスマスならではのメニューも軒を連ねている。
 香ばしい油を数回かけ、皮はパリッパリ中はジューシーに仕上げたローストターキー。
 ブッシュ・ド・ノエルは、生地もクリームもチョコレートづくしの『ノワール』と、卵色の生地でクリームとカット苺をくるりと巻いてホワイトチョコを纏った『ブロン』の二種類。
 ラムの風味がドライフルーツやナッツと共に豊かに広がるシュトーレンは、カットされたものだけでなく、丸ごと一つも用意されている。
 ラムが苦手ならイタリア生まれのパネトーネがいい。ふわふわ生地の優しい甘さと、生地にしっかり馴染んだドライフルーツのハーモニーは、素晴らしいこと間違いなし。
 パウダースノーのように口に入れればほろりと崩れるポルボロンや、アイシングのマフラーや帽子でお洒落をしたジンジャーマンクッキーといったお菓子だってある。それからそれから――……。

●デリシャスノエル・ファクトリー
「クリスマスアイテムを象った料理も多数用意されております。お財布が喜びの火を吹いてしまいますね」
 楽しげに微笑んだ汪・皓湛(花仙・f28072)曰く、料理自慢の妖怪達が企画したクリスマス立食パーティには、「クリスマスだからこそ!」と作られた限定メニューも盛り沢山なのだという。

 バームクーヘン。ドーナツ。リング形のスポンジ生地やビスケット。
 クリームやチョコレートやキャンディやフルーツやアイシングクッキーなどなど――色んなものでおめかしした大小様々な美味しい輪っかは、どこを食べても大満足のクリスマスリース。
 カップに収まる冷たく甘いクリスマスツリーは、チョコソースやクッキー、それからなぜかぴかぴか光るゼリーで飾った濃厚アイスクリームだ。
 まん丸クリスマスオーナメントは、クリームやチョコでコーティングしたそこに、芸術的かつほの甘いレース模様を施した掌サイズのケーキ達。中は、スポンジとフルーツソースとカットフルーツによる、やはりこちらも芸術的な層を成している。

「プレゼントボックスの形をした一口サイズのプチケーキなど、幾つでも摘めそうだと思いませんか? そうそう、日本ならではのフライドチキンもあるそうですよ」
 毎度お馴染みの屋台もクリスマスだからと用意された屋台も、食べれば幸せ溢れる美味ばかり。そんな美味でいっぱいのパーティを猟兵にも楽しんでほしいと、招待状が届いたのだ。
「件のパーティは今年一年を振り返り、語り合うものですが、そうでなければいけないというものでもありません。ご自由にお楽しみ下さい」
 では。
 柔らかに微笑んだ花神の傍で幽世蝶が誘うように楽しげに舞い、グリモアが咲く。
 向かう先は美味に溢れし聖夜の宴――食べ放題の立食パーティへ!


東間
 ハッピーホリデーのお届けに来ました、|東間《あずま》です。

●受付期間
 タグ、個人ページトップ、ツイッター(https://twitter.com/azu_ma_tw)でお知らせ。オーバーロードは受付前に送信されても大丈夫です。

●出来る事
 お好きに楽しんで下さい。
 食べたり語り合ったり、記念写真を撮ったりなどなど。
 ラーメンのなるとがグルグルではなくサンタだったりと、お馴染み屋台がちょっぴりクリスマス仕様になっていたりもします。

 アイスやプレゼントボックス形プチケーキ、オーナメントケーキなどの味(フレーバーやケーキの中身)は、一般的なものなら普通にあります。お好きに決めて大丈夫です。

 プレイングでお声がけがあった場合、汪・皓湛もお邪魔します。

●グループ参加:三人まで
 プレイング冒頭に【グループ名】、【送信日の統一】をお願いします。
 送信タイミングは別々で大丈夫です(【】は不要)
 日付を跨ぎそうな場合は翌8:31以降だと失効日が延びてお得。

 グループ内でオーバーロード使用が揃っていない場合、届いたプレイング数によっては採用が難しくなる可能性があります。ご注意下さい。

 以上です。皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 日常 『カクリヨ立食パーティ』

POW   :    カクリヨ自慢の屋台料理を食べる

SPD   :    クリスマスらしい料理を食べる

WIZ   :    めったに見られない高級料理を食べる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フリル・インレアン
ふわぁ、クリスマス屋台ですよ。
すごいですね。
飾り付けもクリスマスですね。
あれ?アヒルさんの元気がありません。
そういえば、去年のスペースシップワールドでもそうでしたね。
えっと、そうです。
アヒルさん、アヒルさん。
しょんぼりしてないで、このサンタさんのお菓子を食べませんか?
そういえば、クリスマスのサンタさんは人気者ですよね。
こんなにたくさんのお菓子とかになってあちこちにいるんですから。
でしたら、同じくクリスマスのあちこちにいる鳥さんも人気者って事ですよね。
その人気者のアヒルさんがそんなしょんぼりしてたら、せっかくのクリスマスもつまらなくありませんか?
ほら、人気者らしくクリスマスを盛り上げましょうよ。



 洋風の屋根の形。赤と白と緑のトリコロールカラー。
 ふわふわ覆う雪。カラフルに光るイルミネーション――などなど。
 サンタクロースやお手伝い妖精がせっせとプレゼント作りに励み、配達の準備に大忙し。そんな雰囲気がぴったりのそこは心躍る要素で満ち、テーマパークのよう。
「ふわぁ、クリスマス屋台ですよ。すごいですね。飾り付けもクリスマスです」
『ガァ……』
(「あれ? アヒルさんの元気がありませんね」)
 遠慮がちに目を輝かせていたフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は首を傾げるものの、すぐその理由に思い至った。
(「そういえば、去年のスペースシップワールドでもそうでしたね。えっと、そうです」)
 早速向かったのは聖夜に染まったお菓子の屋台。大きなジンジャーマンクッキーが目印のそこは、クリスマスモチーフのクッキーやキャンディ、グミが所狭しと並んで華やかだ。
「アヒルさん、アヒルさん。しょんぼりしてないで、このサンタさんのお菓子を食べませんか?」
『クァ……』
 お菓子を示されてもアヒルさんの元気は戻らない。しかしフリルの言葉はまだまだ続く。
「そういえば、クリスマスのサンタさんは人気者ですよね。こんなにたくさんのお菓子とかになってあちこちにいるんですから。でしたら、同じくクリスマスのあちこちにいる鳥さんも人気者って事ですよね」
『……グワ?』
 顔を上げたアヒルさんが見たものは、色んな妖怪達が笑顔で買い求めるサンタ形のお菓子達。視線を周りに向ければ、|サンタ《人気者》と同じように、聖夜に欠かせない様々な鳥メニューもバンバン売れていく。
 それを見たアヒルさんの目が少しずつ輝いていくのを見て、フリルは手応えを感じた。
「その人気者のアヒルさんがそんなしょんぼりしてたら、せっかくのクリスマスもつまらなくありませんか? ほら、人気者らしくクリスマスを盛り上げましょうよ」
『グワ……ガァ!』
「ふわぁ、よかったです、アヒルさん元気に……」
『グワグワ、ガーア』
「ふえ? あのサンタさんクッキーですか?」
 アヒルさんの早速のオーダーにフリルは小さく笑って財布を取り出した。良かった、これで今日はハッピーホリデーに――。
『グワワ、グワッ♪』
「ふえ、ここからあそこまで全部? む、無理ですよアヒルさん~~」

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
【金蓮火】アドリブ◎
マフラー
待合わせ前にサンタ帽を配られ被る

澪、メリークリスマ…ふは、随分と大胆だなァ(ニヤ
凄ェ似合ってる
俺が着たら目が死ぬぞイイのか(真顔
下、寒くね?体冷やすなよ(マフラー巻いてやり

色とりどりの屋台を練り歩く

俺に?
ばーか、オニーサンに奢るなんざ百万年早ェよ(デコピン
…例え成人になろうとも何も変わらねェ
それに俺が成人祝いしてェしよ
素直に甘えとけ(頭ぽむ

今、こうして俺と遊んでくれてるだけで十分だぜ
あ、限定クリスマスメニューだとよ
一緒に食ってくれや、澪サンタ
ぱねとーね…?俺でも食えるか?
どーなつやケーキも欲しいなら買ってやンよ

ホットワインで乾杯
屋台のテーブルで食す
思い出がまた一つ


栗花落・澪
【金蓮火】
※ミニスカサンタ服着用

姉さんに着せられたんですぅ
自分の意思じゃないもん
言わないでー!お揃い着せるぞ!
えー絶対可愛いのに
ん、ありがとう(マフラー巻かれ)

今日は僕がサンタさんだからね
クロウさん何食べたい?
僕が奢ってあげる!

あう
だってサンタさんはあげるのがお仕事だもん
うー、じゃあ成人したら奢られてくれる?
お祝いはしてほしい…じゃ、じゃあその翌年……

許可もらえなくてぷぅっと頬を膨らませ
けれど一緒に食べようの誘いに途端にぱぁっと目を輝かせ

はんぶんこ!
あのローストターキー美味しそう!
パネトーネは…クロウさんも食べられる?
ダメだったら僕が食べるよ
あ、ケーキも美味しそう…
やったー!

紅茶片手に乾杯を



 首にマフラーを巻き、頭には配られたサンタ帽子を。
 同じように配られたサンタ帽子を被り、ラーメンラーメンと合唱しながら走っていく子供達は寒さなんてへっちゃらのようだ。子供は風の子っつーよなァと眺めていた杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、自分を呼ぶ聞き慣れた声に「お、」と楽しげに笑って振り返る。
「澪、メリークリスマ……ふは、随分と大胆だなァ」
「姉さんに着せられたんですぅ。自分の意思じゃないもん」
 唇を尖らせ頬を膨らませた可愛らしいミニスカサンタクロース天使こと、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は遺憾の意を示すものの、クロウの楽しげな笑みは全くもって薄れない。ニヒルでクールなサンタクロースは、澪の頭のてっぺんから爪先までを「ほほーう」と見て、
「凄ェ似合ってる」
「言わないでー! お揃い着せるぞ!」
「俺が着たら目が死ぬぞイイのか」
 わかってんのかミニスカだぞオイ。
 真顔になったクロウに今度は澪が楽しげに笑う。
「えー絶対可愛いのに。クロウさんは定番の赤も似合うと思うけど、黒とか青とか……」
「可愛かねぇ、カラバリ提案すんな。つーか下、寒くね? 体冷やすなよ」
「ん、ありがとう。えへへ、あったかーい」
 巻いてもらったマフラーの温かさと贈られた気遣いの温かさで、クロウがミニスカサンタルートへ行くか否かはいったんお預けだ。色とりどりの屋台の間を練り歩けば、どの屋台も「うちが聖夜のお腹を満たすのにピッタリ!」とアピールするように、心とお腹を刺激する。
「今日は僕がサンタさんだからね。クロウさん何食べたい? 僕が奢ってあげる!」
「俺に? ばーか、オニーサンに奢るなんざ百万年早ェよ」
「あう」
 澪サンタの額にクロウのデコピンがぺちん。目をきゅっとさせた澪は、先程とは違う理由で唇を少しだけ尖らせた。
「だってサンタさんはあげるのがお仕事だもん」
 聖夜の贈り物は笑顔と幸せを咲かせてくれる。澪はデコピンされた所を指先でさすりながら、ちらりとクロウを見た。百万年早いと言われてしまったけれど――。
「うー、じゃあ成人したら奢られてくれる?」
「……例え成人になろうとも何も変わらねェ」
(「う。ダメかぁ」)
 ヤドリガミであるクロウからすれば、確かに自分が成人したところで変わらないのだろう。しょんぼりしつつも納得した様子の澪のサンタ帽子に、ぽん、と触れるものがあった。
「それに俺が成人祝いしてェしよ。素直に甘えとけ」
 どこか優しく感じたそれはクロウの大きな手だ。ぱっと瞳を輝かせた澪だが、心の中で二つの気持ちがぽこぽこぶつかり始める。
「お祝いはしてほしい……じゃ、じゃあその翌年……」
「今、こうして俺と遊んでくれてるだけで十分だぜ。あ、限定クリスマスメニューだとよ。一緒に食ってくれや、澪サンタ」
 それでも許可はもらえず、ぷぅっと膨らんだ頬。けれど『一緒に食べよう』という誘いが魔法のように煌めく笑顔へ変えた。
 ぱぁっと輝いた目はクロウが目をつけた屋台に向き、美味しい幸せプレゼントの為、他の屋台チェックもと抜かりがない。
「うん、はんぶんこしよ! クロウさん見て、あのローストターキー美味しそう!」
「おう、確かに美味そうだ。流石だな澪サンタ」
「えへへー。パネトーネは……クロウさんも食べられる?」
「ぱねとーね……?」
 聞き慣れない名前は味の予想もつけにくい。現物を前に店主に説明してもらえばある程度わかるものの、シュトーレンとはまた違った甘みがある様子。ふむ、と考えるクロウに澪サンタはすかさず助け舟を出した。
「ダメだったら僕が食べるよ。あ、ケーキも美味しそう……」
 見つけた屋台は食べやすい一人用サイズのホールケーキ屋だ。王道の苺ショート、チョコレート、フルーツいっぱいのタルト、ティラミス――豊かな品揃えが澪サンタの選択を困難にする。しかしサンタクロースはもう一人いる。
「どーなつやケーキも欲しいなら買ってやンよ」
「やったー!」
 クロウサンタの太っ腹かつ粋な計らいに澪サンタの歓声が咲いた後、二人はあれをこれをと順調に買い物を済ませ、屋台のテーブルへ。
 全てを並べたそこはプレゼントが集まったクリスマスツリーの下のよう。華やかで夢広がる様には、ホットワインと紅茶が昇らす湯気がふんわりと温もりを添えている。
「それじゃあ」
「おう」

 メリークリスマス!

 乾杯の声と共に軽やかな音を響かせて、クリスマスメニューに舌鼓。
 思い出というプレゼントを贈り合う二人のサンタの頭上で、ホウホウホーウと笑う声と鈴の音がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鉄・悠生
【鉄家双子】

弥生にプレゼントしたコートと同じデザインの、グレーのジャケット
黒のデニムパンツ
首には弥生から貰った緋色のニンジャマフラー!

弥生と手を繋いでニコニコ
へへ、コート着てくれてんの嬉しいんだよな
おう、勿論!すげー似合う!最強に可愛い!
なあ弥生、俺のマフラーもどうよ?似合うか?
俺スゲー気に入ってんだけど

既にこんなに楽しいのに更に美味しいもの沢山だろ?
わくわくするな!

何から行くか…弥生、何食べたい?
一種類ずつか、ナイスアイデア!
じゃ、まずはローストターキーから行くか?
二人で半分こするのいいな!気に入ったのあればまた戻ってくればいいし
ケーキはブッシュ・ド・ノエルどうよ?
どっちの味も弥生好きだろ?


鉄・弥生
【鉄家双子】

悠生からの贈り物
真紅の生地に黒レース、ダブルブレストのロングコート姿
きらきら輝くボタンはツリーのてっぺんのお星様みたい

手を繋いで歩く最中、ふと聴いてみる
ね、似合ってるかな?
褒めてくれる彼の首には私からの贈り物
うん、勿論似合ってる。最高に格好いい!

自然と笑顔になっちゃう
楽しい日になりそうだな

たくさんあって悩んじゃうけど…
クリスマスらしいメニューを
一種類ずつ試してくのはどう?

ターキー、いいね
私も良い香りが気になってたの
とりあえず、二人で一匹分で…足りる?
でもいろいろ試すなら
これくらいが丁度いいかな

ケーキはどれにしようか
ブッシュ・ド・ノエル!
うん、どっちも食べたい!
これも二人で半分こしよ



 鉄・弥生(鉄家次女・f35576)と手を繋いでお出かけ。それだけで鉄・悠生(鉄家次男・f35575)の心はぽかぽか温かな幸せに染まり、ニコニコが止まらない。
 それに加え、嬉しい事がもう一つ。
 笑顔で隣を見れば、弥生が金色の双眸を柔らかに細めて微笑んだ。
「ね、似合ってるかな?」
「おう、勿論! すげー似合う! 最強に可愛い!」
 真紅の生地に黒レースをあしらったダブルブレストのロングコートは、悠生からの贈り物だ。
 屋台やツリーの灯りがとけあって生まれた光が、ボタンに受け止められてはきらきらと輝き、纏う弥生を気品ある薔薇の如く魅せている。
「なあ弥生、俺のマフラーもどうよ? 似合うか? 俺スゲー気に入ってんだけど」
「うん、勿論似合ってる。最高に格好いい!」
 早速着てくれている嬉しさを笑顔いっぱいに浮かべた悠生の首には、弥生からの贈り物、緋色に染まったニンジャマフラーがある。
 それだけじゃない。今日の悠生が着ているグレーのジャケットは弥生に贈ったコートと同じデザインだ。そこに黒のデニムパンツを合わせたコーディネートに、弥生も満面の笑顔で力いっぱい褒め返したのも当然な事。
「ふふ、自然と笑顔になっちゃう。楽しい日になりそうだな」
「わかる! 既にこんなに楽しいのに更に美味しいもの沢山だろ? わくわくするな!」
 二人はこぼした笑みと一緒に繋いだ手を前後にゆらゆらさせながら歩く。屋台を見ながらの歩みは心の弾む様と比べゆっくりだ。その分、笑顔と瞳はきらきら輝いている。
「何から行くか……弥生、何食べたい?」
「たくさんあって悩んじゃうけど……クリスマスらしいメニューを一種類ずつ試してくのはどう?」
「一種類ずつか、ナイスアイデア!」
 すれ違いざま偶然二人の会話を聞いた妖怪が「エッ、一種類ずつって言った!?」という顔をしたまま過ぎていくが、二人は全く気付かない。
 なぜなら、鉄家の双子は仲良く元気に健やかにめいっぱい食べるのが当たり前。
 何種類あるかもわからないのに、そんなに食べられるかな――なんて心配の生まれる余地が全くと言っていいほどない二人は、『一種類ずつ楽しむプラン』が決まった嬉しさと楽しみで無邪気に笑っていた。
「じゃ、まずはローストターキーから行くか?」
「ターキー、いいね。私も良い香りが気になってたの。とりあえず、二人で一匹分で……」
「二人で半分こするのいいな! 屋台は……あそこなんてどうだ?」
「うん、美味しそう!」
 それじゃあ早速と向かった弥生の笑顔が、注文の番が来た途端、真面目なものに変わった。
 目の前のローストターキはそれはもう素晴らしいこんがり狐色をしている。食べれば皮も中の肉も美味しいに違いありませんッ! と嗅覚は報せているけれど。
「……足りる?」
 口にしたばかりの「足りる?」は勿論、「これだと少ないかな?」の意味だ。
 プロである店主がサッと一回り大きいサイズを見せてくれた。弥生は二つのローストターキーを見比べた後、どこか納得した様子で元々見ていた方へと視線を定める。
「でもいろいろ試すならこれくらいが丁度いいかな」
「そうだな。それに、気に入ったのあればまた戻ってくればいいし」
 だよね、と安心笑顔になった弥生がこっちを下さいと指したものは、食べる時にどうぞと付けてもらったナイフやフォークと一緒に、冷めないようにと蓋付きのパックに入れてもらえた。
 弥生と手を繋ぎ続ける為に片腕でしっかり抱えた悠生は、パック越しに伝わるローストターキーの熱に食欲を刺激されながら歩く。クリスマスといえば欠かせない料理が沢山あるけれど。
「悠生、ケーキはどれにしようか?」
 そう、ケーキ。
 日本式クリスマスには欠かせない、主役といっても過言ではないものだ。
「ブッシュ・ド・ノエルどうよ? 確か、チョコとホワイトチョコの二種類あるって話だよな。どっちの味も弥生好きだろ?」
「ブッシュ・ド・ノエル! うん、どっちも食べたい! ブッシュ・ド・ノエルの屋台は……あ、見つけたよ悠生。あそこあそこ!」
「ナイス弥生!」
 出逢った『ノワール』と『ブロン』は、その見た目とサイズでも二人の目を輝かせた。
 丸太を模したクリスマスケーキはどちらも一般的なサイズだけれど、それを両方買って食べるとなると――お腹の方は、まだまだ余裕がある。それでも。
「ね、悠生。これも二人で半分こしよ」
「賛成!」
 二人で半分こすれば他のクリスマスメニューも楽しめる。
 それに、二人で半分こするからこそ、制覇した時には「美味しかった!」と幸せもセットの満腹心地になれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
怜惺(f31737)と

こんなにたくさんの屋台は初めて見るかも
そうだねえ、じゃあ今回は甘いものメインで行ってみようか
どうしようか悩んでいる間にも怜惺があれこれ買っていてくれるから
早さに笑いながら、持つのを手伝おう

実はどれもはじめて食べるんだけど
ブッシュドノエルはオレもブロンのが好みかな
シュトーレン?オレねえ、洋酒はしっかり効いてる方が好き。怜惺は?
このオーナメント、見た目があんまり綺麗だからフォークを入れるのが勿体ないな……

一人じゃこんなに色々食べることはないから
一緒に楽しめて嬉しい
うん、誘ってくれてありがとう、怜惺
そうだね。じゃあこのパネトーネとブッシュドノエルを
お土産に包んでもらおうか


樹・怜惺
ディフ(f05200)と

すげェな、屋台
どうする?
やっぱ甘いモン気になるんだよなー
基本は甘い系攻めてみてェんだけど大丈夫か?
ブッシュ・ド・ノエルにシュトーレン、オーナメントにボックスケーキ
一通り買い込んで、種類制覇の為に分けられるものは二人でシェア計算で
ノワールの濃厚さもイイけど、ブロンの苺が入ってンのもアリだな
俺的にシュトーレンはマジパン入ってるヤツのが好みだけど
ディフはラムが強いめと弱いめどっちがイイと思う?
俺もラム強めの方が美味いと思う。食べてるって感じするじゃん
喋りながら一つずつ摘まんでいく

やっべ無限に食えそう
来て良かったなァ、ディフは付き合ってくれてサンキュ
よし、皆に土産も買ってくか



「すげェな、屋台」
「本当だね。オレ、こんなにたくさんの屋台は初めて見るかも」
 夜という時間と冬の空気をきらびやかに彩るだけでなく、美味しい香りも添える屋台の数々――クリスマス仕様でファンシーな工房風、を前に、樹・怜惺(Guardiano della Dea Verde・f31737)とディフ・クライン(雪月夜・f05200)は揃って足を止めていた。
 シャンシャンシャン――……。
 心地良い鈴の音が降ってきたのに気付いて視線を上げれば、ほんのりと透けているサンタクロース一行が穏やかに駆けていく。二人の視線は頭上をゆくサンタ達から地上の屋台へと戻り――「どうする?」と口を開いたのは怜惺だ。
「やっぱ甘いモン気になるんだよなー。基本は甘い系攻めてみてェんだけど大丈夫か?」
「大丈夫だよ。そうだねえ、じゃあ今回は甘いものメインで行ってみようか」
 苦手じゃなかったかと気遣う言葉にディフが柔らかに返し、怜惺は安堵とこれから出会う料理への期待や楽しみを共にした笑みを浮かべた。
「まずはケーキにすっかな。お、話に聞いたブッシュ・ド・ノエルだ」
 『ノワール』『ブラン』を揃って購入した怜惺の目は、流れるようにシュトーレンを捉えた。客が探しやすいようにとケーキはケーキ、肉は肉である程度纏まっていたなのだけれど――。
(「オレが悩んでいる傍から怜惺が解決してる気がする」)
 ディフがこぼした笑みは降る雪のように静かで、けれど、楽しげな彩がうすらと宿っていた。
 ブッシュ・ド・ノエルからシュトーレン、そこからオーナメントケーキやプレゼントボックスケーキ――ディフが“どちらにしよう”“どの屋台にしよう”と思考を始めている間に、怜惺の瞳がきらりとお目当てを見つけ、定め、これにしようぜと買っていく。
 あれこれ移りサッと買っていく様は自由気ままな風のようで、不思議と心地良い。
 その早さに、始めはちょっぴり驚いたかもしれないけれど。
「怜惺、オレも持つのを手伝うよ」
「すげェ助かる。丁度腕が塞がる頃だったわ」
「もしかしてまだまだ買うのかな?」
「まぁな。一通り買って、種類制覇してみてェなって」
 楽しげな問いにニヤリと肯定が返る。
 怜惺の歩みは、プレゼント配達に勤しむサンタクロースのように巡った。ディフの両手も無事塞がった後、二人が見付けたテーブルの上はクリスマス料理でぱあっと華やぐ事となる。それ以上に彩られたのは、一品ずつ味わっていく二人の胃袋と瞳だ。
 ブッシュ・ド・ノエルにぷすりと刺し込まれたフォークが、丸太の断面を覗かせる。まずノワールを頬張った怜惺の目がぱちっと瞬き、続いてブロンを食べると緩やかに丸くなった。
「ノワールの濃厚さもイイけど、ブロンの苺が入ってンのもアリだな」
「実はどれもはじめて食べるんだけど、オレもブロンのが好みかな」
 フォークを入れて現れる断面は、苺色の欠片と共に白い年輪を刻む柔らかな卵色。ふわりと優しい印象を与えるそれを見た後に食べて広がる味は、印象通りの優しさだけでなく、素材それぞれが一つになって出来た華やかさもあった。
「苺の酸味がイイ具合にチョコやクリームの濃さを軽くしてるよな」
「そうそう」
 聖夜彩る丸太ケーキの次は、二人で切り分けても少々余るシュトーレン。一口、もう一口と食べていけば、今味わっているシュトーレンの個性が豊かに広がった。
「俺的にシュトーレンはマジパン入ってるヤツのが好みだけど、ディフはラムが強いめと弱いめどっちがイイと思う?」
「シュトーレン? オレねえ、洋酒はしっかり効いてる方が好き。怜惺は?」
「俺もラム強めの方が美味いと思う。食べてるって感じするじゃん」
 まだ残っている部分はきちんとそのままに。出番を待っていた他のケーキにも二人のフォークはちゃんと向かっていく。
「このオーナメント、見た目があんまり綺麗だからフォークを入れるのが勿体ないな……」
「ディフが大口開けて一口で食ったらみんなすげェ驚くだろうな……」
「え、そんなに驚くかな?」
 冗談も交えながら一つずつ摘み、笑みを交わす。テーブルに並ぶ料理の数も、交わす言葉も、一人だったなら生まれない量だ。一人ではないからこそ、そして一緒に楽しめるからこそのものに、ディフの宝石眼が静かに細められていく。
 その様子に怜惺も満足気に笑い、満足感が増えゆく腹に手を添えた。結構食べたが、うーん、これはアレだ。
「やっべ無限に食えそう。来て良かったなァ、ディフは付き合ってくれてサンキュ」
「うん、誘ってくれてありがとう、怜惺」
「よし、皆に土産も買ってくか」
「そうだね。じゃあこのパネトーネとブッシュドノエルをお土産に包んでもらおうか」
 二人占めも美味しくて楽しかったけれど。
 |お土産《プレゼント》を持って帰って、聖夜の続きを、もう少しだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

邨戸・嵐
千隼(f23049)と

空からお菓子まで降って来るんだから
この日が一生続いてくれていいぐらい
寒くなければさ

やっぱ薄着じゃ凍えそう
動きにくいのヤだから着込みたくないの
貸してくれるって約束だったよねえ
借りた襟巻ぐるぐるで満足顔
君が捕まえててくれるなら遭難の心配がないや

ターキーってのは絶対食べたい
あれはミートパイ?
君は甘いのが欲しいんだっけ
ならではってやつを両手一杯に

賑わいからは少し離れて食事にしよう
俺だってひとりじめばっかしないよ
先に食べたいもの選ばせてあげる
一口食べたらもっとたくさん尽きるまでって
君は思わないんだねえ

…ひとが食べてるのって美味しそう
ね、千隼、そろそろ満腹じゃない?
食べてあげよっか


宵雛花・千隼
嵐(f36333)と

本当に賑やかね
人が多いのは苦手でも、今夜ばかりは心和んで
…一生続く聖夜は、それはそれで悪夢じゃないかしら

サンタをこうして見るのは初めてよ
何か落ちて…勝手に先に行かないの
機嫌良いその首元に、薄手でも暖かな灰色の襟巻きを掛け
その先を掴んでおきましょう
約束通り持って来てあげたのだから、荷物は宜しくね

買い込むのを感心して見てしまうわ
そう、ノワールがいいわ
林檎の何かも見つけたらその手に押し込んで

移動をしたら少しほっとする
ふふ、なら全部一口頂戴な
行儀も悪いし遠慮だってないけれど
嵐なら全部食べてしまえるでしょう?

…あら、まだ食べれるわ
でもそうね、今日はクリスマスだもの
一緒に食べましょうか



 クリスマスカラーに染まり飾り付けもバッチリの屋台。
 集まった妖怪達の声とセイレーン合唱団のクリスマスソングが溶け合い、生まれる音。
 宵雛花・千隼(エニグマ・f23049)の目と耳に届くものは豊かなものばかりで、人が多い所が苦手なその心は、浮かべた表情と同じく柔らかに和んでいた。
「本当に賑やかね」
「空からお菓子まで降って来るんだから、この日が一生続いてくれていいぐらい」
 寒くなければさ。にぃと笑って付け加えた邨戸・嵐(飢える・f36333)が、袖口から覗いていた手を中に引っ込め、上を見る。
 嵐の視線を追って見上げた千隼の目がぱちりと瞬いた。
 それは確かに嬉しくて、買いに行く手間も省けるから良さそうだ。けれど。
「……一生続く聖夜は、それはそれで悪夢じゃないかしら」
 何もない普通の日がなければ心と体が――特に胃袋が疲れてしまいそう。
 千隼の冷静な指摘に嵐は目と口で孤を描き、袖の中に引っ込めたままの両手をポケットに入れて「そう?」と首を傾いでいる。シャンシャンシャン、と音が聞こえれば、ぱちっと覗いた銀の瞳が空をゆくサンタクロースを追い始めた。
「噂をすれば。あれ、例のサンタだよねえ。実物見たことある?」
「どうかしら。でも、サンタをこうして見るのは初めてよ。あ、何か落ちて……」
 ぽーんと放られた光る球体は、掌で受け止めた瞬間に何かを包んだ銀紙へ。開けばそれはポインセチアの形をした一口チョコで――と、千隼の目がふらり行こうとする黒髪に気付く。
「嵐、勝手に先に行かないの」
「だってやっぱ薄着じゃ凍えそうでさあ。動きにくいのヤだから着込みたくないし。……貸してくれるって約束だったよねえ」
 機嫌の良さを浮かべた銀の眼差しは、首元に掛けられた灰色の襟巻きでにんまりと笑う。
「これで凍える心配はなくなったのではないかしら?」
「あと、君が捕まえててくれるから遭難の心配もなくなったや」
「ここで遭難……屋台があなたに食べ尽くされる心配のほうが浮かぶのだわ。それじゃあ、約束通り持って来てあげたのだから、荷物は宜しくね」
「はぁい」
 掛けられたばかりの襟巻きは薄手だけれど、露わになっていた首元をしっかりと温めてくれる。先程よりもご機嫌になった嵐の目は、気になるものを映しては次々に「これ」と定めていった。
「ターキーってのは絶対食べたい。美味しそうなお肉だよねえ。あれはミートパイ? 中の味付けが俺好みだといいな。君は甘いのが欲しいんだっけ。確か丸太みたいなケーキで、二種類あるやつ」
「ブッシュ・ド・ノエルね。そう、ノワールがいいわ」
 チョコレートのほうよと付け加えながら手に押し込んだのは、星を模るカット林檎を使ったリースケーキだ。それは指に嵌めたなら「ちょっと大きいかな」という指輪になれそうなサイズで、食べ歩くのにも丁度いい。
 早速ひょいと口に放り込んだ嵐は“聖夜ならでは”を更に買い求め、両手一杯に抱える事となる。赤い服を着てトンガリ帽子も被ったなら、そこから配達に大忙しとなっただろう。
 しかしこれは自分達への贈り物。嵐は賑わいから離れたテーブルに広げ――ふと向かいに目をやると、買い物中よりもリラックスした様子の千隼へと掌を向けた。
「俺だってひとりじめばっかしないよ。先に食べたいもの選ばせてあげる」
「ふふ、なら全部一口頂戴な」
「一口食べたらもっとたくさん尽きるまでって、君は思わないんだねえ」
 一口では到底足りない嵐の言葉に、千隼はかすかに笑ってターキーを一口分に切り分ける。
 ターキーは皮のパリッとした質感と香ばしさ、その後に来るジューシーな味わいが満足感を広げ、ミートパイはパイ生地も中身も味付けがしっかりとしていて、こちらも良い。
 全部一口という提案は行儀も悪いし、嵐への遠慮だってなかったけれど――向かいに目をやれば、一口分貰われた後のターキーを頬張っている銀の目が、チョコレートづくしの丸太ケーキをじいっと見つめていた。
(「ひとが食べてるのって美味しそう」)
 どうしてか、何が違うのか嵐はわからない。けれど。
「ね、千隼、そろそろ満腹じゃない? 食べてあげよっか」
「……あら、まだ食べれるわ」
「なぁんだ、残念」
「……でもそうね、今日はクリスマスだもの。一緒に食べましょうか」
 少しばかり違う言葉で向いた“頂戴”に、どうぞと静かな微笑みが返る。
 だって今日はクリスマス。腹ペコのまま今日を終えるより、その方がずっといい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

すっげぇ
めっちゃ屋台ある
瑠碧何か気になる奴ある?
…あ
ブッシュ・ド・ノエルじーっと見つめ
…二種類ある
あれ二人で食べ比べねぇ?

去年瑠碧も作ってくれたよな
チョコの奴はよく見るけど
白いの俺初めてかも
な、雪積もってるみてぇ
どっちから食う?
白い方を一口取って差出し
どうだ?
おお俺も!まずチョコの方がいいなー
出して貰いぱくり
んっチョコばっかで
濃くて旨い
もう片方も一口差出し
瑠碧俺にも白い方くれ
んっ苺入ってる
苺のお陰てさっぱり食えるな

くっ
俺の瑠碧が可愛すぎる
でもツリーのアイス俺も食いたい
ああ
寄り添ったら寒くないしな

な、瑠碧
あのツリー近くまで見に行きたいんだけどいい?
近くで一緒に写メ撮ろうぜ
ってマジででけぇ


泉宮・瑠碧
【月風】

本当、どれも美味しそうと楽しそうで…
目移りしますね

理玖の視線を追い掛けて
ブッシュ・ド・ノエル、二種類ありますね
私も気になります

去年はチョコクリームで作りましたけれど
白いノエルもあるのですか
では、白い方から先に一口…
ん、苺とクリームにホワイトチョコで、美味しいです
理玖の言葉にチョコの方を差し出して
理玖、チョコ好きですものね
私も一口
チョコはチョコでまた違った味わい…
ほんのりビターです
白いノエルを一口、理玖へあーん

は、アイス…!
理玖、素晴らしいです、アイスがありますよ
手を引いて駆けて行って
アイスのカップを手にほくほく
寒空の下のアイスも格別です、ね

ツリー…大きいですね
近くに寄ってお疲れ様と一声



 屋台定番のものだけでなく、クリスマスならではの料理やクリスマスモチーフそのものまで。
 そう聞いていたものの、実際目にした光景は予想していたもの以上。
 手を繋いでやって来た陽向・理玖(夏疾風・f22773)と泉宮・瑠碧(月白・f04280)は、仲良く目を丸くしたまま、ゆるりとあちこち巡っていた。
「すっげぇ、めっちゃ屋台ある」
「本当、どれも美味しそうで楽しそうで……目移りしますね」
「瑠碧何か気になる奴ある? ……あ」
 理玖の丸くなった目がじーーっと注がれ、動かなくなる。視線を追いかけた瑠碧も、あ、と目を丸くしてそのままになった。二人の視線を浴びているものは丸太を象ったクリスマスのケーキ、ブッシュ・ド・ノエルだ。
「……二種類ある」
「二種類ありますね。私も気になります」
「瑠碧も? ……な。あれ二人で食べ比べねぇ?」
「はい」
 チョコレートとホワイトチョコ。ノワールとブロン。二種類のブッシュ・ド・ノエルを買うというなかなかの贅沢は、二人一緒だからこそ出来る楽しみへと向かっていく。
 一人で二本とも買って食べるなんて事は、男である理玖でも苦しくなるかもしれず――少食の瑠碧なら尚更だ。一人で二本とも買って食べるという選択自体、現れなかったろう。
 二人は丁度空いていたテーブルへとブッシュ・ド・ノエルを置く。二種類買ったそれ以外の料理は置いていないけれど、丸太を模したケーキはあるだけでちょっとした華を添える。加えて、とある思い出も連れてきた。
「去年瑠碧も作ってくれたよな。チョコの奴はよく見るけど白いの俺初めてかも」
「去年はチョコクリームで作りましたけれど、白いノエルもあるのですね」
「な、雪積もってるみてぇ。どっちから食う?」
「では、白い方から先に一口……」
 わかったと頷いた理玖は雪化粧を纏ったようなケーキにフォークを刺し、一口分のそれを差し出した。今ではすっかり当たり前となった“瑠碧への「あーん」”に照れはない。それは瑠碧にとっても当たり前で――。
「どうだ?」
「ん、苺とクリームにホワイトチョコで、美味しいです」
「おお俺も! まずチョコの方がいいなー」
「理玖、チョコ好きですものね」
 ブロンを貰ってふんわり咲くように笑った瑠碧は、ぱっと目を輝かせた理玖の口元へと微笑みながらノワールを差し出した。自分の時よりも大きめの一口分は、ぱくっと咥えられて――。
「んっ。チョコばっかで、濃くて旨い」
「チョコはチョコでまた違った味わい……ほんのりビターです」
 濃厚だけれど、決してしつこくない。上品に広がる風味に理玖も笑顔で頷き、ブロンを見てまた笑顔になる。
「瑠碧俺にも白い方くれ」
「ええ。はい、あーん」
「あーん。……んっ、苺入ってる。苺のお陰でさっぱり食えるな」
 二人で分け合って、食べさせ合って。二人は雪も溶けそうな温かさで二種類のブッシュ・ド・ノエルを味わい――何気なく周りに目を向けた瑠碧は、あるものを見つけエルフ耳をぴこっと跳ねさせた。
「は、アイス……! 理玖、素晴らしいです、アイスがありますよ」
 見つけるやいなや、瑠碧は理玖の手を引いてクリスマスツリー・アイスの屋台へと駆けて行く。手を取られた時は驚いていた理玖も、大好きなアイスを見つけ、子供のように無邪気に喜ぶ恋人の姿で胸がいっぱいに――――つまり、物凄くキュンとしていた。
(「くっ、俺の瑠碧が可愛すぎる。でもツリーのアイス俺も食いたい……!」)
 ブッシュ・ド・ノエルとは違う味わいのツリーアイスは、下に載せた途端優しく溶けながら、アイスとトッピングの味わいを広げていく。それをしっかり楽しむように目を閉じていた瑠碧の顔は、勿論ほくほくとした幸せ笑顔だ。
「寒空の下のアイスも格別です、ね」
「ああ。寄り添ったら寒くないしな。……な、瑠碧。この後さ。あのツリー近くまで見に行きたいんだけどいい? 近くで一緒に写メ撮ろうぜ」
「はい。思い出の一枚ですね」
 ケーキもアイスも美味しく幸せに味わい終えて、ご馳走様。
 テーブルからよく見えていたツリーは、近くへ行くとその理由をドドンと教えてくれた。
「ってマジででけぇ」
「ツリー……大きいですね」
 こんなに大きなツリーだ。パーティ会場のどこからでも見えるだろう。
 そしてその大きさは、今日という日を、パーティを見守るようでもあったから。
「お疲れ様です」
「そうだな。お疲れ様だ」
 揃ってツリーに声をかけた二人は優しい笑顔を交わし、上を見る。
 ツリーのてっぺんでは、金の星飾りが夜空に輝く目印の如く煌めいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
リュカさんf02586
今日は楽しいクリスマス
となると我々がすべき事は一つですよね
違う、そうじゃない

今日は楽しいクリスマス
ゆえにジェントルなひと時を過ごしましょう
いつものラーメンとは違いますよ、何と本日はクリスマス料理ですからね
正直ラーメンとかでも良かったんですが!

しかし今年も語り合える程に様々な事がありましたね…うわコレ凄く美味い最高
ほら、あったじゃないですか。色々と
ちょっと今出てこないですけど色々と

お、来年の抱負というやつですね
では私の抱負は…え、何故ステイ
いやハレルヤも(料理を食べ)来年に向けて(食べ)美味すぎる…これはおかわりしたいレベル
ですね。来年も沢山食べるのを共通の抱負としましょう


リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と
楽しい…?
何だ?殴り合いか?
いいよ受けてたとう

え。違うんだ
ジェントルって何、美味しいの
いつものラーメンとは違うの?そう…
クリスマス料理なんてよくわからないけれども、とりあえずお兄さんにお付き合いはするよ
それにしても、ラーメンとおでんじゃダメだったの?
(※基本何でも美味しく食べます

語り合う…なんかあったっけ、去年
とりあえず頭の悪そうな会話しかしてないことはなんかよく伝わってきた
おかしいな…
よし、来年はもっと頭のよさそうな会話をする
あ。お兄さんはそのままでいいよ。ステイ
それはそれとして確かに美味しい
頭の良しあしは兎も角として、来年もいろいろ沢山食べられるといいね



「今日は楽しいクリスマス。となると我々がすべき事は一つですよねリュカさん」
(「楽しい……? 何だ?」)
 聖夜である今日も今日とて自信に満ち溢れている夏目・晴夜(不夜狼・f00145)
の問いかけに、同じく今日も今日とて凪いだ表情のリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)は考えた。
(「殴り合いか?」)
 ぐっ。リュカは両手を拳にして僅かに腰を落とし、視線を晴夜の顔面にぴたっと定める。
「いいよ受けてたとう」
「違う、そうじゃない」
「え。違うんだ。ていうか何その両手、お兄さんどこ指してるの」
「おかしいですね、体が勝手に……」
 サングラスも掛けたくなった気がしたけれど気のせいだろう。
 晴夜は気を取り直し、いいですかリュカさんと再びドヤスマイルを浮かべた。
「今日は楽しいクリスマス。ゆえにジェントルなひと時を過ごしましょう」
「ジェントルって何、美味しいの。いつものラーメンとは違うの?」
「いつものラーメンとは違いますよ、何と本日はクリスマス料理ですからね」
「そう……」
 戦場から戦場へという日々が殆どだった為、クリスマス料理といわれてもよくわからない。けれど話から察するに、普段提供されている屋台料理に加え、今だけの特別な料理も沢山あるらしい。
 どちらも腹が膨れるのならばいい事だ。食べられる時に食べなければ後々「食べておけばよかった」なんて結果も回避出来る。
「とりあえずお付き合いはするよ。それにしても、ラーメンとおでんじゃダメだったの?」
「正直ラーメンとかでも良かったんですが! クリスマス料理といえばコレというものを、晴夜が選んでさしあげますよ」
 ローストターキーは丸ごと一羽分。かなり大きい。
 二種類あるブッシュ・ド・ノエルは勿論、両方とも。折角ですからねと、もう一つクリスマスらしいものをと決めたリースのケーキは、バームクーヘンのものを。
 シュトーレンとパネトーネは二人で分けるのに良さそうなサイズに切ってもらい、ある程度食べた後、ジェントルに過ごす時に摘むものとしてクッキーをいくつか。
 晴夜チョイスの料理でテーブルを埋めた二人は、それぞれ気になったものから手を伸ばしていく。
 リュカは真っ先にローストターキーを半分――より多めに切り、自分の皿へ。鮮やかな手際に晴夜は「あっ」という顔をするものの、残りが載った皿を自分の方に引き寄せて確保し、肉とケーキ――と少し考えた後にチョコレートづくしの丸太ケーキにフォークを立てた。
「しかし今年も語り合える程に様々な事がありましたね……うわコレ凄く美味い最高」
「語り合う……なんかあったっけ、去年」
「ほら、あったじゃないですか。色々と。ちょっと今出てこないですけど色々と。ノワールでしたっけこれ。白い方は……うわこれも最高に美味い」
「とりあえず頭の悪そうな会話しかしてないことはなんかよく伝わってきた」
 今も何だかそんな感じだ。
 リュカは晴夜があまりにも絶賛するケーキに興味がわき、厚めに切った一切れにフォークをぷすり。黒い方はまあ、もう少し濃厚でもと思うが悪くない。白い方はと目を向け――、
(「おかしいな……」)
 料理の味付けが少し物足りないものの、疑問を覚えたのはそこではない。
 確かに晴夜と一緒に何かしたりさせる事はあった。あったけれども。一緒にいて頭の悪そうな会話しかしてない率100%だったろうか?
 リュカは考えながらローストターキーにナイフとフォークを入れ、ぎこぎこと切っては口に運び、噛み、考え――飲み込んだ。
「よし、来年はもっと頭のよさそうな会話をする」
「お、来年の抱負というやつですね。では私の抱負は……」
「あ。お兄さんはそのままでいいよ。ステイ」
「え、何故ステイ。いやハレルヤも」
 ローストターキーをもぐもぐ、の後に、ごくり。
「来年に向けて」
 バームクーヘンのリースケーキもぐむぐ。そしてごくり。
「ふむ、どれも美味すぎる……これはおかわりしたいレベル」
 リースケーキは、土台であるバームクーヘンに生クリームを纏わせたそこに、クッキーやチョコレートで作った星や花、雪の結晶に加えてフルーツもたっぷり載せた豪奢なものだ。
 同じものを食べたリュカは、「ふーん」と味に納得したような呟きの後、ミートパイをがぶり。狐色に揚げられたそれは香ばしく温かで、一人分がそう大きくない為、あっという間に平らげてしまった。
「確かに美味しい。頭の良しあしは兎も角として、来年もいろいろ沢山食べられるといいね」
「ですね。来年も沢山食べるのを共通の抱負としましょう」
 どこかでラーメンやおでんも楽しめればいい。“頭のよさそうな会話をする”は――美味しいと美味しいの隙間、気が向いた時にでも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

くりすます屋台も楽しいだろう?
愛しい巫女に笑めば、満開の笑顔が咲くのだから堪らない

サヨ、何から食べよう
ケーキにターキーにシュトーレン
目移りしてしまうね
くりすますならではのご馳走を……え?

ラーメン?
た、確かに食べた事がなかったが
くりすます…
可愛い巫女の願いならば

私は味噌にする
サヨは、豚骨かい?
きみらしいね
割り箸が上手く割れなかったのでサヨにやってもらい、髪を結って貰ってから食べよう
!!
サヨ!なるとがサンタで、味玉がツリーっぽく切ってある!
熱々の味噌は濃厚で美味…サヨ、食べてみる?
分けっこだ
うむ
豚骨も美味…麺が固めが好きなのかい?

聖夜に、並んで
ラーメンを啜る…はは!
こんなくりすますも悪くない


誘名・櫻宵
🌸神櫻

かぁいい屋台がたくさん
皆楽しそうだわ!
勿論、私も
私の神様もご機嫌で自然と桜も咲く

プチケーキをパリッとしたターキーも絶対美味しいわ…けど
ラーメンよ
カムイの手をとって、屋台にGO
クリスマスにラーメンは食べた事がないわ

私、豚骨!
カムイは味噌?定番ね
割り箸割が下手な神様を手伝い髪も結い
いざ!
美味しい〜
この歯応えも濃厚さも堪らない
あ、本当
海苔にツリーが描いてある!
小さなクリスマス発見ね

カムイのもおいし
モチモチ麺が堪らないわね
私のも食べさせてあげる!あーん
そ、私は固めが好き

甘いケーキを沢山食べて
イルミネーションを歩み
特別な夜を楽しむのも良いけれど
あなたと過ごす少し特別ないつもの夜だって
素敵でしょ?



 普段はラーメンにおでんに焼き鳥と、UDCアース日本の屋台で定番のものが多く並ぶという空間は、クリスマスというお祭りに染まって朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)と誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)を迎える。
 赤と緑と白。雪。イルミネーション。
 様々なクリスマスの装いで満ちたそこは、冬の寒さを忘れてしまいそうなくらい温かい。
 けれど一番の温かさをくれるのは、隣を歩く愛しいひと。
「サヨ、くりすます屋台も楽しいだろう?」
「そうね、かぁいい屋台がたくさん、皆楽しそうだわ! 勿論、私も」
 櫻宵に笑いかけたカムイの胸がすぐ隣で咲いた満開笑顔で満たされる。カムイが纏うご機嫌な空気は、ふんわり笑った櫻宵の枝角に更なる開花を齎した。
 胸の裡と花、そして笑顔に春を浮かべた二人の歩みは穏やかで、屋台へと向ける眼差しは温かい。漂う香りは、そんな二人を早く早くと誘うようだ。
「サヨ、何から食べよう。ケーキにターキーにシュトーレン……目移りしてしまうね」
「プチケーキやパリッとしたターキーも絶対美味しいわ……けど」
「けど?」
「ラーメンよ」
 くりすますならではのご馳走をと考えていたカムイは、浮かべていた笑顔をそのままに目をぱちくりさせた。
「……え?」
 そんなカムイの様子に櫻宵はくすくす笑い、手を取ると軽やかに駆け出した。向かう先は、ラーメン鉢一杯に美味しいと幸せがいっぱいのラーメン屋台、クリスマスなトリコロールカラーの屋根の下で“ラーメン”の文字が鮮やかに揺れる暖簾の先だ。
「クリスマスにラーメンは食べた事がないわ」
「ラーメン? た、確かに食べた事がなかったが……」
 ケーキ。ターキー。シュトーレン。
 遠く離れていくそれらの屋台をカムイは振り返るも、すぐに首を振る。
(「くりすます……可愛い巫女の願いならば……!」)
 暖簾をくぐって「二人なんだけどいいかしら」「どうぞどうぞ!」と明るいやり取りは、湯切りのようにサッと終わり、続く注文も同じようにあっさりだ。
「私、豚骨!」
「私は味噌にする。サヨは、豚骨かい? きみらしいね」
「カムイは定番ね」
 出来上がりまで待つ間は漂う香りで期待に胸を膨らませ、お喋りを楽しんで――そして目の前に置かれたラーメン鉢が、ほかほかっとした湯気を食欲刺激する香りと一緒にたっぷりと漂わせる。
「では割り箸を……あれ?」
 ぺきょり。
「かぁいい神様ね。割ってあげるからそれを使って。髪も結いましょ!」
「ありがとうサヨ。ふふ、これで安心してラーメンを食べられるね」
「でしょう? きっと凄く美味しいわよ、カムイ。いざ!」
 両手を合わせて、頂きます。
 仲良く揃った声の後、ラーメンを啜る音は――櫻宵のものだ。スープを纏った細麺が桜の唇へと吸い込まれ、笑顔と花がぱっと咲く。
「美味しい~♪ この歯応えも濃厚さも堪らないわ……!」
 その隣。カムイも箸を入れ――ようとして、ハッと瞠られた目が櫻宵に向いた。
「サヨ! なるとがサンタで、味玉がツリーっぽく切ってある!」
「あ、本当。……ん? 見てカムイ、海苔にはツリーが描いてあるわ! ふふっ、小さなクリスマス発見ね」
「ラーメンとクリスマスの共演だね。味噌ラーメンはどのような味だろう……?」
 カムイは興味津々の様子で麺を掴み、持ち上げる。ほかほかと漂う湯気と熱を、軽く息を吹きかけ丁度いい具合にして――ちゅるり。頬張った神の目が緩やかに閉じられ、弧を描いた。
「熱々の味噌は濃厚で美味……サヨ、食べてみる?」
「ええ! ……う~ん、カムイのもおいし。モチモチ麺が堪らないわね。私のも食べさせてあげる! はい、あーん」
「分けっこだ。……うむ、豚骨も美味……」
 麺が纏うスープは味噌とは違った濃厚さ。
 もぐ、と噛んだカムイはもう一つの違いに気付いた。
「サヨは麺が固めが好きなのかい?」
「そ、私は固めが好き。……ね、カムイ」
「何だい?」
「甘いケーキを沢山食べて、イルミネーションを歩み、特別な夜を楽しむのも良いけれど……あなたと過ごす、少し特別ないつもの夜だって素敵でしょ?」
 私は豚骨ラーメンであなたは味噌ラーメン。
 嬉しそうに目を細め囁いた櫻宵に、カムイの目もふんわり細められていった。
 目の前にあるのはケーキではなく、暗闇を煌々と照らす美しいイルミネーションもない。屋台の照明が赤いリボンを結んだ金色のベルの形という、クリスマスらしさはあるけれど――。
「聖夜に、並んでラーメンを啜る……はは! そうだね。こんなくりすますも悪くない」

 王道の過ごし方でゆく特別な夜。そうではない少し特別な夜。
 愛しいひとと過ごすなら、どちらの夜もどんな夜も、替えのきかない贈り物。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

海藤・ミモザ
【兎花】

ツリーを見ると、クリスマス気分が一気に湧いてくるよねー!
こんな日までお仕事なの!?
ふふ、なら誘った甲斐があったなー♪
今日は思いっきり満喫しよー!

ウーシャンくんはどれから食べたい?
やーん!歩いてるだけで可愛い~~!(≧▽≦)
なんとー!じゃあときめくままに言葉にしちゃう!

チキンとケーキはやっぱり定番だよね!
幾つか種類あるんだ―…ここは全種類でしょ♪
ふふ…妖精の胃袋は無限大なんだよー!(所説あり
わーい!じゃあ美味しいもの満喫しよう!

いいの?ありがとう…!
綺麗な星型…食べるの勿体ないけど、食べない方が勿体ない!
はう~~!食べてる姿も可愛い~~!
私も隣で食べ

そうだ!お返しにデザートは私が奢るね♪


ウーシャン・ラビットポスト
【兎花】
 リヴァイアサン大祭…じゃなくてクリスマスね
うーしゃん基本この日は予定ないからホリデーカード配りの仕事入れられるのが常だから誘ってもらえてほんと嬉しいうしゃよ、ありがとね💗


何が良いしゃねー。チキンとケーキは捨てがたいうしゃ(ミモザの隣をぽてぽて歩く)
…ふへへ、可愛いコールが気持ちいいうしゃ。もっと褒めて良いしゃよ?

全種類ってミモザ、実は結構食べるタイプ?でもいいしゃ、うーしゃんもどこまでも最後まで付き合うしゃ!

そう言えばさっきジンジャークッキー貰ったからあげる
形は色々だけど星型の奴。クリスマスにぴったりしゃ

という事で食べ歩きしながら全制覇しゃ~!(兎らしくクッキーをサクサク食べながら



 屋根に真っ白な雪を被って、ぴかぴかキラキラのイルミネーションでお化粧も。
 美味しい香りを漂わす屋台は『せっかくのクリスマスなんだから』と、どれもこれもが可愛らしい装いだ。甘く澄んだ歌声のクリスマスキャロルも、心がキラキラ弾むよう。
(「そういえば、セイレーン合唱団が歌ってるんだっけ」)
 歌声の旋律そのものが煌めいて実際に見えちゃいそう。海藤・ミモザ(millefiori・f34789)は笑顔をこぼしながら、ここを訪れた時からずっと見えていたものをしっかりと見た。
「ツリーを見ると、クリスマス気分が一気に湧いてくるよねー!」
「ふむふむ、これがここのリヴァイアサン大祭……じゃなくてクリスマスね」
 この世界では聖霊ではなくお爺さんがトナカイ繋いだソリで空を駆け、三角帽子みたいな木を色んなもので飾り、美味しいものを食べたりお喋りしたりするらしい。
 ハハーンなるほどうしゃねと兎耳をぴこぴこさせたウーシャン・ラビットポスト(バルバ「ウサギ」のスカイランナー・f39076)の視線は、クリスマスツリーからミモザへ、ピッと移った。
「うーしゃん基本この日は予定ないから、ホリデーカード配りの仕事入れられるのが常だから誘ってもらえてほんと嬉しいうしゃよ、ありがとね💗」
「こんな日までお仕事なの!? ふふ、なら誘った甲斐があったなー♪ 今日は思いっきり満喫しよー!」
 ウーシャンが美味しいものを沢山食べれて、羽根を伸ばせて、疲れも癒やせるように――文字通りハッピーホリデーな一日にしたい!
「ウーシャンくんはどれから食べたい? メイン料理からスイーツまで色々あるよ」
「何が良いしゃねー。チキンとケーキは捨てがたいうしゃ」
 あっちを見てこっちを見て、ふむふむ、うーん。
 ミモザの隣を歩きながら考えるウーシャン。そのお手々とあんよはちまっと、ぼでぃらいんはころっと。そして足音は――ぽてぽて、であった。故に!
「やーん! 歩いてるだけで可愛い~~!」
 ミモザはとってもとってもトキめいた。瞳がキラキラ潤んで頬が桃色に染まる。
 そんなミモザの燦々笑顔と一緒に向けられる真っ直ぐな「うーしゃん可愛い!」に、ウーシャンはというと、当然とってもいい気持ちなのだった。
「……ふへへ、可愛いコールが気持ちいいうしゃ。もっと褒めて良いしゃよ?」
「なんとー! じゃあときめくままに言葉にしちゃう!」
 二人はときめきいっぱいのひとときを楽しみながらも、本来の目的を忘れてはいない。
 クリスマスの定番はやっぱりチキンとケーキ、と心弾ませ覗いた屋台はチキン専門。しかも蒸す、焼く、揚げると調理方法は鶏肉それぞれに合わせており、スパイスも拘っているらしい。
 ふむふむ成る程。ミモザは真剣な顔で頷き――ぱあっと笑顔を輝かす。
「ここは全種類でしょ♪」
「全種類ってミモザ、実は結構食べるタイプ?」
「ふふ……妖精の胃袋は無限大なんだよー!」
 ただし所説あるといわれており専門家の間でも意見がウンタラカンタラ。
 ウーシャンは耳をぴょこぴょこ揺らしながら、ぽむっ。お手々で胸を叩いた。
「でもいいうしゃ、うーしゃんもどこまでも最後まで付き合うしゃ!」
「わーい! じゃあ美味しいもの満喫しよう!」
「楽しみうしゃねー。あ、そう言えば……」
(「はうっ、可愛い……!」)
 鞄をごそごそするウーシャン。それは大変凄まじく可愛い絵面だった。
 トゥンクと強くトキめいた胸を思わず押さえたミモザの前に、はい、と差し出されたのは綺麗なお星さま――のような、
「さっきジンジャークッキー貰ったからあげる。形は色々だけどミモザには星型の奴。クリスマスにぴったりしゃ」
「いいの? ありがとう……! 食べるの勿体ないけど、食べない方が勿体ない!」
「その通りうしゃ。という事で食べ歩きしながら全制覇しゃ~!」
 頂きます!
 二人の声は仲良く揃い、最初の一口もぴったり重なる。
 ジンジャークッキーを噛んだ瞬間の歯ごたえは気持ちがよく、そこから広がる風味は、次の一口までの時間を華麗に短縮するほど。ウーシャンの口もモニモニモニモニとずっと動いており、クッキーをサクサク吸い込んでいく様は、とっても兎のバルバらしさに溢れていて――、
「はう~~! 食べてる姿も可愛い~~! お口が、お手々が~~!」
 ミモザに何度目かのトキメキクリティカルを決めていた。
「うーしゃん可愛いから食べてる時も可愛いしゃ」
「ほんとだよ~! もうウーシャンくんの可愛さですっごい元気……あ、そうだ! クッキーのお返しにデザートは私が奢るね♪」

 沢山の可愛い、プラス、沢山の美味しい。
 イコール?

 ハッピーハッピーホリデー!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

太宰・寿
【ミモザ】
大変だよ、英…
ここには誘惑しかない…!

私、もしかして英を誘う場所の殆どが食べ物関係じゃない…!?
付き合いはじめて一年経とうというのに、付き合う前と変わらなさすぎ…?
そんな事を考えながらも、手にはローストターキーとブッシュ・ド・ノエル(二種類)を持つ私です

人ごみを避けた場所に腰を落ち着けて
はい、英の分!
ローストターキーを差し出して
ふふ、うん。デザートは半分こしよ
ポタージュ美味しい、あったまるね

これ?もちろんしてるよ!
去年の秋、露店で英が買ってくれた指輪は今でも宝物
…あの頃は戸惑ったりもしてたけど
今思えば、あの頃にはもう好きだったのかなって思うんだ
うん、私も好き!
これからもよろしくね?


花房・英
【ミモザ】
誘惑されすぎないようにね
諌める声は柔らかい

全部がそうじゃないけど、そうかもな
結構楽しいよ…ってまた聞いてないし
考え込みはじめた寿の隣で
コーンのポタージュと
プチケーキをいくつか選んで

ありがと、これ寿の
交換するようにポタージュを渡して
こっちは半分こ、だろ?
寒いから余計に美味しいだろ
今日はアイス選んでなくて安心した、と笑い

それ、今日もしてくれてるんだな
右手の指輪を見て
俺も…特別でずっと一緒にいたくて、でも伝えるだけの言葉が分からなくて困らせたな
そうなのか?…なんだ、そっか…や、でもだからどうってこともないか
今もこうして一緒にいられるんだから
好きだよ
いつもは素直に言えない言葉
うん、よろしくな



 ジングルベルの歌が聞こえる。
 楽しげで、笑顔で歌う様がはっきり思い浮かぶような、そんな歌が。
 けれど太宰・寿(パステルペインター・f18704)の煌めく眼差しの行き先は、クリスマス屋台が独占していた。
「大変だよ、英……ここには誘惑しかない……!」
「誘惑されすぎないようにね」
 そう諌める声は毎度お馴染みのようでいて、寿だけに向く柔らかさがある。
 感動のキラキラを瞳いっぱいに浮かべていた寿が、ハッと肩を跳ねさせ英を見て――えへへ。照れを含んだ笑顔がまた、何かに気付いてハッとなる。
「待って。私、もしかして英を誘う場所の殆どが食べ物関係じゃない……!?」
 あの時も、あの時も――!
 人差し指、中指。思い出を遡る寿の右手、立てられる指が順調に増えていく。寿としてはあまり増えてほしくないのだけれど、どこへ行って何をしたのか食べたのかをしっかり覚えているから、また一本指が立った。
「付き合いはじめて一年経とうというのに、付き合う前と変わらなさすぎ……?」
「全部がそうじゃないけど、そうかもな。けど結構楽しいよ……ってまた聞いてないし」
 付き合う前から途切れず繋がっている関係を考えたら、付き合う前と変わらなすぎなんて何の問題もないのに。
 考え込み始めた寿の隣で、英は小さく笑みをこぼしてコーンのポタージュとプチケーキをいくつか選んでいく。
 ぐるぐる考え悩んでいた寿の両手にも、屋台グルメが確保されていた。
 ふわわんと鼻腔をくすぐった香ばしいもの――ローストターキーへふらふらり。続いてクリスマスのもう一つの主役であるケーキ、二種類のブッシュ・ド・ノエルにも、ふらふらり。
 気付けば持っていたものに寿は自分の変わらなさを痛感してしまう。けれどいつの間にか英が両手に持つものを見て、移動しなきゃ! ときょろきょろり。ご馳走を味わう為のテーブル、人混みから離れた場所に落ち着ければ、ぐるぐる思考も同じように落ち着いた。
「はい、英の分!」
「ありがと、これ寿の」
 寿から英へ。英から寿へ。交換するように移ったローストターキーとポタージュはどちらも出来たてだ。口をつければそれぞれの美味しさと一緒に、口から喉、そして体全体へと熱が広がり、冬を遠ざけていく。
「寿。こっちは半分こ、だろ?」
「ふふ、うん。デザートは半分こしよ」
 二つのブッシュ・ド・ノエル、ノワールとブロン。
 どちらか一つではなくどっちも一緒に。
 食べ比べも楽しめるなんて贅沢。嬉しさと楽しみで寿は笑顔を浮かべ、ポタージュで満ちたカップを両手で包むように持ったままこくりと飲む。はふ、とこぼした吐息はポタージュのおかげで真っ白だ。
「ポタージュ美味しい、あったまるね」
「寒いから余計に美味しいだろ。今日はアイス選んでなくて安心した」
「もう英ってば……!」
 あれ、でも確かアイスもあるって聞いたような。そわっと周りを確認する寿に相変わらずだなと思うも、浮かぶ表情は呆れではなく微笑だ。付き合う前から、寿はこうだった。だから――。
「それ、今日もしてくれてるんだな」
 静かな言葉と視線。右手の指輪に注がれてのそれに、寿はきょとりとしてから笑う。
「これ? もちろんしてるよ!」
 去年の秋、露店で英が買ってくれたペアリング。あの時は今のような関係ではなくて――けれどあの時からずっと――今でもこの指輪は寿の宝物だった。
「俺も……特別でずっと一緒にいたくて、でも伝えるだけの言葉が分からなくて困らせたな」
 器用に伝えられないから、“お揃い”を借りて示した。
 不器用さの中に、恋情という真心を込めて目に見える形にした。
 当時を思い出して少しだけ泳いだ英の視線に寿はくすくす笑い、英が嵌めているものと同じ指輪をなぞる。温まっていた指先に、指輪のひんやり感が心地良かった。
「……あの頃は戸惑ったりもしてたけど。今思えば、あの頃にはもう好きだったのかなって思うんだ」
「そうなのか? ……なんだ、そっか……」
 当時の自分が今の寿の言葉を聞いたら、どんな反応をするだろう。今の自分みたいに目を丸くして、きょとんとして――ああ、そうだ。それから、同じ気持ちになるんだろう。
「や、でもだからどうってこともないか。今もこうして一緒にいられるんだから」
 あの時からずっと指に在るペアリング。
 あれからも増えていく、食べ物が中心になりがちな思い出。
 英の普段は静かな双眸が柔らかに細められ、寿を映す。
「好きだよ」
 いつもは素直に言えない言葉が、自然と溢れた。そこはあの頃とは違うななんて思う英の目を、花のように綻んだ笑顔が彩る。
「うん、私も好き! これからもよろしくね?」
「うん、よろしくな」
 変わらないもの。変わったもの。
 どちらも大切に抱えて、育んで、|一日《今日》を重ねて――二人一緒に、その先へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
はおじゃん、皓湛!
メリークリスマスでごきげんようっ
拱手で合わせた挨拶は、今日ならではで盛沢山
万狼は今日はいらっしゃらない?
あなたが抱える万禍と、
お会い出来たら、同じようにご挨拶して
ご紹介頂いた屋台街に目を輝かす

あのね、私も今年はサンタさんのお手伝いしに行くのよ
サンタさんみたいに華麗にね煙突さんを登りたいのと、
楽しみを描いて
その前に英気を養いたいから
ね、ね、皓湛たちもご一緒してくださる?

クリスマスリースのケーキにわーっと駆け寄り
可愛くって、食べられるなんてすてき!
ちょっと大きいけれど…皓湛となら平気だわ
今年の、レモンケーキぺろんちょお代わり事件を思い出し
ふふっと咲って

そうだ、お土産もできるかしら?
お酒とか、お酒を使ったお料理を探しているの
…お酒がね好きなコ、強いコが楽しめそうなの
私は詳しくないから…
皓湛のお勧めがあったら教えてほしいな

…そういえば、皓湛はおいくつなのかしら
首傾げつつ
皓湛ともいつか、お酒を楽しめたら良いなぁ
ね、ね、また来年も
色んな福を、一緒に楽しみましょうね



 聞こえた鈴の音が真冬の空気を美しく震わせる。
 もしかしてと音のほうを見た城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は、ほんわりと光を放ちながら空を駆けゆく一行を見つけ目を輝かせた。ちょっぴり透けているものの、トナカイに繋いだソリで空を駆けるあれこそはサンタクロース!
 嬉しさでふくふく咲った時、ゆるり歩く花神を見つけた花緑青にぱあっと輝きが散った。
「はおじゃん、皓湛! メリークリスマスでごきげんようっ」
「おや、いばら殿。ふふ。メリークリスマスで、御機嫌よう、ですね」
 目が合って一回。お互い近付いて、もう一回。
 拱手で合わせた挨拶は“聖夜ならでは”な盛り沢山仕様。心地良いおかしさにまた咲ったいばらの目が皓湛の抱える神剣に止まり、万禍にも拱手をした後、周囲へひらひら向かう。
「万狼は今日はいらっしゃらない?」
「ええ、万狼は他の所に。ですが、この子らは一緒ですよ」
 嬉しそうに微笑んだ皓湛の手が示したそこ、漢服の帯に結ばれた一匹と一羽――揃いのリボンをつけた狼と兎にいばらは笑顔を咲かせ、仲の良い彼らにも拱手を一回。周りの屋台街を映すとより目を輝かせ、「あのね、」と紡いだ声にとびきりの光を宿した。
「私も今年はサンタさんのお手伝いしに行くのよ」
「なんと、サンタクロース殿の……! それは凄いですね……」
 プレゼントを待つ人々の為、世界の空を魔法の橇で駆けるいばらサンタを想像したのだろう。静かに目を輝かす皓湛に、いばらは「だからね」と両手をきゅっと拳にした。
「サンタさんみたいに華麗にね、煙突さんを登りたいの」
 サンタクロースといえば空駆けるソリを使うだけでなく、煙突のあるお宅へは煙突からお邪魔するもの。帰る時だって煙突をシュシュッと――。
「サンタさん、登る時はスルスル……かしら?」
「サササ、やもしれませんね……」
 二人は首を傾げ――お手伝い本番のお楽しみね。いばらは笑みを浮かべ、少し遠い所を駆けている幻影サンタ一行に目をやった。
「その前に英気を養いたいから……ね、ね、皓湛もご一緒してくださる?」
「勿論、お供致します」
「ふふっ、ありがとう!」
 それじゃあ早速と歩き始めて少し。いばらの心を掴んだのは、クリスマスシーズンを迎えた家々の玄関を飾る輪っか――クリスマスリースのケーキ達だ。輪っかのタイプも色もデコレーションも様々な彼らに、いばらはわーっと駆け寄った。
「可愛くって、食べられるなんてすてき!」
「ええ、どれも素晴らしいですね。見ているだけで心が躍り、食欲が湧いてきます」
 いばらの後をおやおやあれはと付いてきた皓湛も釘付けだ。
 小さなもの、大きなもの。いばらの視線はついあちこち移ってしまう。それでも絞りに絞って決めたリースはバームクーヘン製で、厚めの輪っかに雪色チョコをとろりと纏っている。ふわり爽やかに香ったそこにはオレンジの気配がほんのりとあり、チョコの星や雪だるまが生クリームと一緒に飾り付けられていた。
(「ちょっと大きいけれど……」)
 隣の皓湛をちらりと見て思い出すのは、レモンケーキぺろんちょお代わり事件。
 ふふっと咲った理由が春の思い出と知らない皓湛は、首を傾げつつも、お手伝いサンタの為のケーキ決定に嬉しそうだ。良かったですねと微笑む皓湛に、いばらも咲って頷いて――ぱちり。目を瞬かせ、周りを見る。
「そうだ、お土産もできるかしら? お酒とか、お酒を使ったお料理を探しているの」
「ふむ。何かご希望はありますか?」
「……えっとね。お酒がね好きなコ、強いコが楽しめそうなのがいいなぁって。私は詳しくないから……皓湛のお勧めがあったら教えてほしいな」
「でしたら、あちらへ参りましょう。色とりどりの酒瓶が並ぶ屋台があるのですが、その酒に漬け込んだ林檎などもございました。どちらも大変美味しそうで……」
(「……そういえば、皓湛はおいくつなのかしら」)
 口ぶりからして酒を嗜んで良い年齢なのだろう。はっきりとはわからないけれど春にレモンケーキと紅茶を楽しんだように――、
「皓湛ともいつか、お酒を楽しめたら良いなぁ」
「でしたら、あまり強くないものをご用意しましょうか」
「わぁっ、本当? ね、ね、皓湛。また来年も色んな福を、一緒に楽しみましょうね」
「ええ、喜んで」
 去年の春、天燈の下から始まり、様々な世界を経て続く縁。
 今日という美味しい聖夜でいっぱいの先もと交わした満福満腹な約束に、ふたつの花緑青が揃って咲う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵雛花・十雉
【天竺葵】

本当だ、大きいね
今年もなつめと一緒に聖夜を過ごせて嬉しいな、なんて

うん、たくさん食べよう
なつめが美味しそうに食べてるところ、大好きだからさ

う、うん
オレも食べるよ
栄養とって筋肉つけて、なつめみたいに男らしくなるんだ
素直になつめと同じものを食べていく…けど、もしもミニサイズがあったらそっちをお願いしたいな
お肉もラーメンも美味しいね

もしかしてブッシュドノエルのこと?
見た目も切り株みたいで可愛いんだよね
なつめの好きなアイスも食べよ
折角だから、あーんしてあげようか

オレはもうお腹いっぱいかも…
ありがとう
温かい汁物が胃に沁みるよ

プレゼント交換だね、大賛成
…へへ、ちゃんと覚えてくれてたんだ
想いが通じ合った記念日
うん、キャンディブーケも買お

帰ったら家でクリスマスの続きしようか
手、繋いで帰ろうね
あったかいなぁ…幸せだよ、すごく


唄夜舞・なつめ
【天竺葵】
うぉー!でっけークリスマスツリー!!クク、俺も嬉しーよ!

ここでしこたま飯食えンだろ?
そンなら食わなきゃ損だよなァ?
行くぞときじ!
お!肉だ!肉食えときじ!
おでんもラーメンもいいなァ!
くえ!!!

見るもの全部美味そうだから
愛方のときじにも食わせたくて
あれこれ手渡してしまう。
コイツ細っこ過ぎて心配になンだ。
筋力も欲しいみたいだし
それならまずは食うのが一番だ…多分!

へへ、うめーな!
次はデザートいくかァ!
お…!ぷっしゅ、の、える?みたいなのもうまそーだし、ケーキも美味そう!!!ウワッ!なんかぴかぴか光るアイスもあるぞ!
んァ!(素直に大口開けてパクッ)
…うめぇ!!

あ?ときじ、もうギブか?
しゃーねェ。ほら、味噌汁。
これ飲んで胃休めときなァ。

はー、食った食った!
折角だし帰りにお互いの
クリスマスプレゼントでも
買いに行くかァ

そうだな聖夜の夜は
まだまだこれからだァ
それにクリスマスは
俺らの記念日だからよォ

──飛びっきりでけェ
キャンディブーケも買うかァ!

おう。手、貸しなァ
お前の手冷っこいから温めてやるよ。



 いくつものオーナメントとストリングライトで着飾った姿は、今日ここに存在する何よりも華麗で、何よりも豪奢。だからこそ、その足元まで行くと実際の大きさが感覚となって降ってくるようだった。
「うぉー! でっけークリスマスツリー!!」
「本当だ、大きいね」
 唄夜舞・なつめ(夏の忘霊・f28619)は少年のように笑って面白がり、宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)も目を丸くしながら見上げ――あれ、見えない。もう数歩下がってぴかりと見えたベツレヘムの星に微笑んだ。
 クリスマスツリーの一番上を飾る星、ストリングライト、屋台の灯り。いくつもの光と色が、冬特有の冷たくも真っ直ぐ澄んだ黒色夜空を綺麗に照らしている。そこから自分の隣へと視線を移せば、なつめはまだツリーを見上げ、笑っていた。それが嬉しい。
「今年もなつめと一緒に聖夜を過ごせて嬉しいな」
「クク、俺も嬉しーよ!」
 湧き上がった想いを素直に紡げば、なつめも龍尾の先でぴたぴたと地面を叩きながら同じ事を言う。
 今年も一緒に。それは当たり前のようでいて、かけがえのない奇跡のような今。お互い伝え合える事がまた嬉しくて笑顔になった十雉の手を、なつめが握る。その目はきらきらと周りに向いていた。
「ここでしこたま飯食えンだろ? そンなら食わなきゃ損だよなァ? 行くぞときじ!」
「うん、たくさん食べよう。なつめが美味しそうに食べてるところ、大好きだからさ」
 その言葉になつめは龍尾に喜びを宿して揺らし、握った手はそのままにずんずん、ずん。
 右の屋台、左の屋台と、なつめの目はウキウキワクワクをめいっぱい浮かべ、その足は興味と食欲のまま縦横無尽に巡っていく。
「お! 肉だ! 肉食えときじ!」
「わあ、美味しそうだね」
 なんて会話をした数分後には――。
「おでんもラーメンもいいなァ! くえ!!!」
 という具合に、あれもこれもと十雉に手渡される出来たてほかほか屋台飯。それもこれも見るもの全てが美味しそうだから。何より、愛方である十雉にも食べさせたくなるから、こうなってしまうのも仕方がない。
(「コイツ細っこ過ぎて心配になンだよな」)
 あぐ、と買ったばかりのチキンにかぶりつきながら、同じくチキンを食べようとする十雉――の手を見る。長袖を着ている為に判りづらいが、十雉の手首や腕は自分と比べてだいぶ細かった。
「う、うん。オレも食べるよ。栄養とって筋肉つけて、なつめみたいに男らしくなるんだ」
「その意気だときじ! 筋肉つけンなら、まずは食うのが一番だからな! ……多分!」
 にかっと笑って大きくがぶり。
 なつめの気持ちのいい食べっぷりに十雉は表情を綻ばせ、頂きますとチキンを齧った。
 カリッと揚げられた狐色の皮は、それだけでも美味しく香ばしさもたまらない。その下からは、ほかほかの熱と共にぷりぷりとした肉が現れた。
 筋肉育成にタンパク質は欠かせないよねと十雉はしっかり噛んで味わって――ちらり。ほっかほかの湯気を昇らすラーメンのサイズは、なつめが味わっているラーメンよりも小さめだ。
(「ミニサイズでお願いしてよかった」)
 チキンからラーメン、ラーメンからおでん。食べる量が違っていても、こうすれば『なつめとゆく聖夜のグルメツアー』が中止になるなんて事はない。
(「筋肉がついたら、食べる量も増えてもっと一緒に楽しめるようになるかな?」)
 そんな未来がほかほか昇る湯気の向こうに見え隠れする中、ラーメン鉢の中は空になり、ゆで卵や大根を始めとしたおでんも、二人の口内をアツアツにしながら無事胃袋へと収められ――ごちそうさま。
「お肉もラーメンも美味しいね」
「へへ、うめーな! 次はデザートいくかァ!」
 飯の後はデザートだろとその場から次の屋台物色を始めたなつめの目が、何かを映してパチッと瞬いた。
「お……! ぷっしゅ、の、える? みたいなのもうまそーだし、ケーキも美味そう!!!」
「もしかしてブッシュ・ド・ノエルのこと? 見た目も切り株みたいで可愛いんだよね」
 視線を追った先にあった屋台は予想通りの、それもブッシュ・ド・ノエル専門屋台。
 早速向かった二人は、チョコレート色や雪色、淡い苺色や渋い緑そしてオレンジ色と、様々なケーキに迎えられる。悩んだ末に二人はオレンジ香るチョコレートを纏った一本を買い――。
「ウワッ!」
「えっ、どうしたのなつめ?」
「見ろときじ! あそこになんかぴかぴか光るアイスもあるぞ!」
 そう言うなつめの瞳も喜色に染まってぴかぴかと輝くかのよう。純白にチョコソースを纏ったクリスマスツリー・アイスを買えば、更にぱあぁっと輝いて――ひょいっ。十雉の手がスプーンを取り、なぜか光っているゼリーとアイスを一緒に掬う。
「ほら、なつめ」
「んァ!」
 あーん、の気配で素直に開けられた大口へアイスとぴかぴかゼリーが運ばれて、パクッ。
 バニラアイスにチョコの存在感抜群のソース、そしてゼリーは――これは! メロン味!
「……うめぇ!!」
「良かったね。オレはもうお腹いっぱいかも……」
 笑った後、はふ、とこぼれた吐息。ツリーアイスの残り全部を受け取ったなつめは、嬉しいものの目をぱちぱちさせた。
「あ? ときじ、もうギブか? しゃーねェ。ほら、味噌汁。これ飲んで胃休めときなァ」
「ありがとう。温かい汁物が胃に沁みる……」
 受け取った味噌汁は白味噌で、サイコロ状の小さな豆腐に細めの輪切り葱と具がシンプルな所も有り難い。
 ゆっくり味わう表情が和らいでいくのを見ながら、なつめはアイスをひょいパクひょいパク。あっという間に平らげ、空にしたカップへスプーンをころんと放る。
「はー、食った食った! 折角だし、帰りにお互いのクリスマスプレゼントでも買いに行くかァ」
「プレゼント交換だね、大賛成」
 どんなプレゼントにしようかなと周囲に向く穏やかな横顔に、なつめも優しい笑みを浮かべた。自分はどんなものを贈ろうか。考えながら周りを――十雉を見る。
「聖夜の夜はまだまだこれからだァ。それにクリスマスは、俺らの記念日だからよォ」
「……へへ、ちゃんと覚えてくれてたんだ」
 オレ達の想いが通じ合った記念日。温もり秘めた囁きは十雉となつめ両方の心に光を灯し、笑顔を咲かせた。
「──飛びっきりでけェキャンディブーケも買うかァ!」
「うん、買お」
 帰ったら家でクリスマスの続きしようか?
 おっ、いいなァ!
 そんな会話をしながら屋台へ向かう間も、二人の笑顔は薄れない。十雉の前へ、すっと手を出したなつめが笑う。ニィと上がった口、ちらりと覗く歯はギザギザとして鋭いが、笑顔はどこまでも温かい。
「おう。手、貸しなァ。お前の手冷っこいから温めてやるよ」
「ありがとうなつめ。あったかいなぁ……幸せだよ、すごく」
 手も心もぽかぽかだ。全然寒くない。
 全てを温かく刻みながら歩く二人の足取りは、夜明けと共に春も夏も超えるだろう。
 そして次の冬も、その更に先の季節も。二人一緒に、幸せを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
【彩】トーゴと

確かに、きらきら煌めくようなクリスマスの屋台たちは是が非でも楽しみたいケド
だからってナンでこのおっさんと……?
行くに決まってるでしょ、とそっけなく言ってみせても
近頃妙に行動を読まれてる気がするのが尚腹立たしい

とはいえ居並ぶ屋台には心も踊るし、何なら全制覇したい
ターキーもパイもいつもとちょっと違うおでんやラーメンも
選んでは半分をにこにこ笑うばかりの相手に押し付け
……なあに辛気臭い顔してンのよ
はあん、さてはクリスマスにおセンチな思い出でもあったり?
イイ気味だこと

……残念ね、クリスマスなら素敵な思い出ばかりよ
バルの仲間と騒いだり……失くしたものを想う暇もないわ
アタシわね、失くしたものを取り返したいンじゃない
自分が『なに』か知りたいだけ

プレゼントボックスのケーキは眩しい時間をくれる仲間へのお土産にたくさん買って
切り株のケーキはどちらの色も食べていこう
さあ、まだデザートが沢山残ってるンだからギブアップするんじゃナイわよ
誘ったからにはとことん付き合ってもらうからネ


明空・橙吾
【彩】コノハ君と

すごいねぇ、クリスマスの屋台だなんて初めてだよ
相手の渋い顔はもう慣れっこで
沢山の美味しいものを前に回れ右出来ない事も知ったから
期待を言動に隠しもせず引き連れて歩く

クリスマスを楽しむのはもう随分ぶりでね……
今なら教え子達にもこんなイベントをもっと楽しませてあげるべきだったのではと過るも口には出さず
目の前のご馳走たちを堪能せねばと首を振る
意地が悪いねと言えばどっちがと返るのも、想像できたから

そういえば君は昔の記憶を失くしたと言っていたけれど、クリスマスの思い出も?
やや不躾に問うたのは
彼が気を悪くする性質ではないと知ったからで
その上で何か彼へ確かな『答え』をあげたいとの気持ちもあったからだけど
……そうか、そうだね
君には確かに君の時が流れているんだった

ああ、勿論最後まで付き合うつもりだけれど
甘いものも全部食べていく気かい?
ううん、まだまだ君を甘く見ていたようだ
胃袋の方は、少しばかり手を抜いてもらえると助かるなあ



 どこにいても必ず見えるビッグなクリスマスツリー。
 いつもよりもファンシーかつ聖夜に染まった屋台。
 更に提供される料理全てが美味ばかり! ――と来れば、コノハ・ライゼ(空々・f03130)が行かない理由ど無い。というより、そもそも存在しない。
 けれど今、コノハの表情はウキウキ笑顔とは程遠かった。
(「きらきら煌めくようなクリスマスの屋台たちは是が非でも楽しみたいケド。だからって」)
 ちら。
「すごいねぇ、クリスマスの屋台だなんて初めてだよ」
(「ナンでこのおっさんと……?」)
 言葉にしなくとも『ナンでこのおっさんと……?』が伝わる渋さ満点の顔に、明空・橙吾(かけら・f35428)の笑顔は柔らかなまま。聖夜モード全開のおでん屋台を指し、「見てごらんよコノハ君」と楽しげに笑いかけるのだから、コノハの表情は更に渋くなる。
 そんな反応に橙吾はもう慣れっこだ。
「あそこのおでん屋、はんぺんが星形らしいよ。あっちのラーメンも美味しそうだ」
 行く? と尋ねるのではなく、行こうと気軽に誘う空気。
 猟兵となったばかりの頃であれば、渋い顔を見て気にかけただろう。けれど顔を合わせ言葉を交わしていくうち、|相手《コノハ》の人となりをそれなりに、だけれども自分は知った。――と思うくらいは多分許してもらえるかな、と思っている。
 そして、コノハが沢山の美味しいものを前に、回れ右など出来ないタイプだという事も。
 だからこそ橙吾の言動からは期待の二文字が隠れる事なく見えていて、行くに決まってるでしょとそっけなく言ってついて歩くコノハに対し、特別驚いたり、喜ぶ事もしない。
(「……なーんか、妙に行動読まれてる気がするわ」)
 にこにこと楽しげな様から、それをそこはかとなく感じ取ったコノハは薄氷色をじとりとさせる。しかし今日ここに集った屋台には心も躍るし、何ならお馴染み屋台もクリスマス屋台も制覇したい。
「……ねェ、ちょっと」
「え、何だい?」
 一言だけ掛け、きょとりとした橙吾を隣にローストターキーを二つお買い上げ。ああ美味しそうだねと笑う橙吾に片方を押し付けると、早速むしゃりと味わっていく。
 一羽丸ごとの豪華さもいいけれどこういう手軽に一本もイイわねと舌鼓を打ちながら、視界に入ったミンスパイの屋台に「次はあそこね」とロックオンも忘れない。
 食べ終えたなら雪結晶の細工が蓋をするミンスパイを。続いて、いつもとちょっと違う聖夜なおでんにラーメンにと、美味なる聖夜を選んではその半分をにこにこ笑うばかりの橙吾に押し付けていった。
「アラ、サンタさん」
 箸で器用につまみ上げたなるとには、笑顔のサンタがフォフォフォと笑っている。
「そっちはどうなの?」
「トナカイだったよ。ほら」
 透き通ったスープの上でぷかぷか漂うトナカイなると。そこから箸で持ち上げられている麺へ、その先へとコノハの視線は移り――男の顔を見て、ふうん? と細められた。
「……なあに辛気臭い顔してンのよ」
「クリスマスを楽しむのはもう随分ぶりでね……」
 自分の出自世界にもクリスマスはあったものの、当時を思い返すと『教え子達にもこんなイベントをもっと楽しませてあげるべきだったのでは』と後悔に似たものが過る。
 けれどそれを口には出さず、目の前のご馳走達を目に笑って首を振れば、それを見ていたコノハがにやりと笑った。
「はあん、さてはクリスマスにおセンチな思い出でもあったり? イイ気味だこと」
 楽しげな様子に意地が悪いねと言えば、どっちが、と返るのだろう。
 そんなやり取りが想像出来た。
 今の自分達に橙吾は静かな笑い声をひとつこぼして、摘んだままだった麺を啜り、しっかり噛んで飲み込んでから口を開く。
「そういえば君は昔の記憶を失くしたと言っていたけれど、クリスマスの思い出も?」
 ぱちり。瞬いた瞳の向かう先が、男から自分のラーメンへと緩やかに移った。
「……残念ね、クリスマスなら素敵な思い出ばかりよ。バルの仲間と騒いだり……失くしたものを想う暇もないわ。アタシわね、失くしたものを取り返したいンじゃない。自分が『なに』か知りたいだけ」
 そーよと返事代わりのようにズズッと立てられたラーメンを啜る音に橙吾は笑む。
 やや不躾な内容とわかっていても問いかけた理由は、コノハが気を悪くする性質ではないと知ったから。その上で、何か彼へ確かな『答え』をあげたいという気持ちもあったからだ。しかし。
「……そうか、そうだね。君には確かに君の時が流れているんだった」
 色々話をして、食事を共に――させる流れにしたりもしたけれど。まあ、一緒に色々食べもして。そうしてコノハ・ライゼという人のカタチを知った。
 けれど彼は子供ではない。手を引いてあれこれ教えて守らねばならない、かよわきものではない。前を向く意思も、進む足も、ちゃんと持っている。
(「うっかりしてたなあ」)
 もしかして年かな、と考えたくない言葉がふっと過りかけたので、美味しいラーメンを食べて事なきを得たその向かい。コノハは眩しい時間をくれる仲間へのお土産、沢山のプレゼントボックスケーキがきちっと詰められた袋を見て、ニコリと機嫌良く笑った。
 ラーメンを完食していそいそと手にしたフォークは、ブロンとノワール、二つの切り株ケーキを見る薄氷と一緒に左右に揺れて――コッチ。ブロンの一番端っこへと下ろされ、一口分を取り上げる。
「さあ、まだデザートが沢山残ってるンだからギブアップするんじゃナイわよ。誘ったからにはとことん付き合ってもらうからネ」
「ああ、勿論最後まで付き合うつもりだけれど……甘いものも全部食べていく気かい?」
 ブロンとノワールはどちらも華やかで美味しそうだ。食べれば間違いなく美味しくて、幸せになれるだろう。
 けれど仮に半分ずつ食べるとして。43歳の胃袋がこの後も元気いっぱいでいられるかというと、全くもって自信がない。なのに向かいのコノハはニーッコリと綺麗な笑顔を浮かべ、今度はノワールへとフォークをすとん。
「トーゼンでしょ」
 笑った口が、フォークで切り分けた一口を「あーん」と頬張る。そして幸せそうに味わった後、そのまま流れるようにもう一口。全くもって淀みない動きだ。
「ううん、まだまだ君を甘く見ていたようだ。胃袋の方は、少しばかり手を抜いてもらえると助かるなあ」
 あと10――いや、15年早かったら余裕だと思うんだけどね。
 困ったように笑いながらも、ケーキを食べた瞬間に陽色の目にぱっと散った感動を、美食家で料理人でもあるコノハは見逃さない。
「アタシの全部を知ろうだなンて、百年早いわ。ま、ガンバって?」
 それは、このケーキの事? それとも君の事?
 どっちの意味だいと橙吾が訊く前に、コノハのフォークがケーキ彩る苺へとぷすり。艶々鮮やかな紅色は、あーん、とご機嫌に開いた口の中。
 苺ならあまり胃もたれしないかなぁ。のんびり笑った男のフォークも苺に向かい――聖なる食宴は、きらきら美味しく満ちていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月13日


挿絵イラスト