銀河帝国攻略戦㉖~ぐるぐる回るは頭か目か
●ぐるぐる回る蛇の目のような
「……おう、お前らか。銀河帝国攻略戦は順調そうらしいな」
最初、執事が待ち構えていて何かと思った猟兵も居ただろうが、口を開けば粗雑な口調でがっかりした者も居ただろう。それがカイゼル・アーヴェント(蒼雷機身の鉄拳執事・f14268)というグリモア猟兵である。
「今回はちーとお前らに頼みがある。肉体労働にも飽きただろ?頭を使って貰うぜ」
「帝国旗艦インペリウムには『科学技術センター』とかいう場所がある。そこには世界の各所から拉致してきた優秀な技術者や研究者が無理矢理『働かされてる』って話だ。ただ……『生体パーツ』として、働かされてることが発覚したのさ」
カイゼルが言うには、科学技術センターには巨大な機械の大樹の如きコンピューターユニットに囚われた人々が『果実』のように接続されているのだと。
「こいつらもともと優秀なのに加えてドクター・オロチの奴の持ち込んだ技術や知識を蓄えさせられてたっつーのもあって、助けりゃスペースシップワールドの発展にかなり寄与してくれる筈だ。その為にも連中を今すぐ助けに飛んで貰いたい……と、言いたいんだが、なぁ……」
段々執事の持つイメージが不良のような怒気を孕むそれになる。何に対して怒っているのか。
「ただ、問題が1つある。無理矢理外そうとするとセキュリティシステムが作動して、……囚われてた連中が『即死』する。馬鹿なことしねぇで正規な方法で挑めよ。もしそんな事しようとしたら俺がはっ倒す」
ガンをつけるような眼差しで猟兵一同を睨みつける執事。品行方正さは何処にもない。
「で、正規の方法だな。中央コンピューターにパスワードを入力することになんだが……このパスワードっつーのが『謎掛けの答え』を入力するっつー面倒臭せぇ構造だ。無論間違ったらセキュリティが作動して……ってのは言わなくても解るよな。……よなぁ」
眼光が更に鋭くなってきている気がするが、人命に関わることなのだから彼なりに躍起なのだろう。……猟兵達に通じているかは全く以て分からないが。
「ただし。都合の良いことに問題も予知出来た。グリモアスペースで考え事する暇もあるだろうし、事前に考えれるっつーのは有利になる。……これが今回の『問題』って奴だ」
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【問題】
今回は蚊取り線香を用意したよ!
それぞれの1巻が終わる時間が60分と30分で終わる奴だよ。
この蚊取り線香を「どっちも1つづつ」使って「45分」を測る方法。
コレを答えてね!!
あ、蚊取り線香を折るとか、ストップウォッチ使うとかしたらボーンだからねェ!
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「……まぁ、最近は蚊取り線香なんざ使わねェって奴も居るだろうが頭悩ませといてくれ。わかった奴から転送するからな。頼んだぞ」
ぶっきらぼうな言い方をした執事はその中に確かな信頼を滲ませながらも、やはり態度を変えることは無かったという。
逢坂灰斗
蚊取り線香どころか蚊取り系の装置に縁は無いなぁ……。
戦争では何度目ましてって所でしょうか。 逢坂灰斗です。
今回は趣向を変えまして頭の体操です。
今回は『正解に辿り着けた最速1名様』のみ採用致します。
あまりにも回答に辿り着けない場合、ランダムに選出したプレイングを「苦戦」として採用し、ヒントを提示させて頂きます。
シナリオの性質上、連携プレイングは『受付けません』のでご了承下さい。
それでは……解けた方から、宜しくお願いします。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険
『中央コンピューターの謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。
SPD : 素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●確かに45分は測れるんだけど
この問題に『両側から点火する』という発想に至った猟兵は多かったが、マッチを4本擦る者が多かった。彼らが回答を纏める中、先にグリモア猟兵に声を掛けた猟兵が居た。……彼が使用したマッチの本数は「3本」。
トール・ペルクナス
蚊取り線香か最近は使わないが懐かしいな
回答だが
まず最初に二本の蚊取り線香の片側に火をつける
短い方が燃え尽きれば30分経過で残りの長い方も残り30分だ
そのタイミングで長い方の逆側にも火をつける
両方から燃えれば時間は30分の半分で15分
先の30分と合わせて45分
これでどうだろうか?
正解したならば【電磁誘導】を用いて救助を開始しよう
助けた研究者たちにはこれからの戦争の手助けをしてもらわねばな
できるだけ多くの研究者を救おう
それが私の仕事だ
●雷迅の如き閃きと老練
「蚊取り線香か。最近は使わないが……懐かしいな」
トール・ペルクナス(雷光騎士・f13963)はそう語る。
確かに最近は電気蚊取り線香に取って代わられたことも多く、見かけることも少なくなった渦巻きの形。ただ彼の場合は……「何年」使っていた記憶があるのだろうか。この男、一応古稀を過ぎ
「……人には「一応」秘密にしておくべき事もあると思わないか?」
あっ、はい。
「回答だがマッチ3本でも十分に測ることが出来る。私が手順を示しておこう」
【手順】
・両方の種類の蚊取り線香に普通に点火する
・片方は30分で燃え尽きるので、もう片方が燃え尽きた時にまだ燃え残っている方の逆側から点火する
・使用した蚊取り線香が全て燃え尽きた時、30分+15分となり、45分となる
「では、行ってこようか。……出来るだけ多くの研究者を救おう。それが私の仕事だ」
場所は移り変わって『科学技術センター』。科学とは言うがその場所は無機というよりは有機的で、様々な人々が鈴なりのように『実って』いた。
「――これだけの数が囚われているか。やはり早急に多くの人命を救わねばならない、か」
急がねば、とばかりにつかつかと管理端末へと歩み寄り、騎士は『問い掛け』の答えを示した。
「これで、どうだ……?」
「『――回答を認識しました。対象者のセキュリティロックを解除します』」
りんごが地面に落ちるように、片手程の『果実』が重力に引かれて落ちてくる。それを見遣った雷光の騎士は冷静さを崩さずに、その手を伸ばした。
「『――万物を操る雷の理をここに』」
見えぬ電磁の力。今ではリニアモーターカーにも使われるその現象が行使され、『果実』達は緩やかに宙空を舞い、トールの元へと辿り着く。
「た、たすかった……のか……?」
その内の一人が朦朧とした意識の中、呟く。
「そうだ。もういつ帰れるかも分からぬ絶望の中で、死に手を伸ばす必要も無い」
トールの言葉に絶望という軛から解放されたのか、その者は安堵の声を出す。
「ああ、そうか。良かっ……」
安心しきったその瞼は閉じられた。他の人々もそうだ。生命を維持する程度の栄養の供給が切断され、激しく衰弱している。
「これは彼らの早急な治療が必要だな……だが」
オロチが授けたとはいえ、彼らは文字通り『知恵の実』の如く様々な知恵や技術を備えている。助けた研究者達にはこれからの戦争、いや戦後の手助けをして貰わねば。だが、ひとまずは。
「――無事で、良かった」
その安堵の笑みは、誰に見えたものだったのだろうか。
大成功
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