新田・にこたま
【お任せコズミック】
ビハインドさん、一緒にスシでもどうですか？
ざぁざぁと骸の海を彷彿とさせる、サニド・オイルが降り注ぐ中、メカニカル・サウンドの下を往く影がふたつ。ひとつは意味も無く左右に身体を揺らし今にも矢鱈と回転しそうなメイド・フォルム。もうひとつはサイバーザナドゥで良く見かける武装警官の格好をしていた。あ、隣人さん、久しぶりに休暇をもらえたんで一緒にスシでもどうですか？ えっ。隣人ちゃんを誘うのは好いですけど大丈夫です？ スシが回転するんじゃなくて客が回転するスシ屋に行く事になるかもしれませんよ？？？ その心配は無用です。最近はコイン式が流行ってますから――いや随分安っぽくねぇです？ その店タマゴしか置いてねぇとかいうオチじゃありません？ その点も問題ありません。知り合いから『造り物の中で一番うまい』ってオススメされたんですよ――合法阿片も骸の海もキメている隣人さんなら、どっちでも楽しめるでしょう。そんなワイワイとした会話を垂らしながら、どろどろ、スシ屋の前に到着した――新鮮な大タコあります。
スシ屋『ルルイエ』、看板メニューは如何やらナチュラル・タコ・スシのようだ。なんでも朝一番に獲れたタコをその場で解体しているとか。これ好いですね。大将、ナチュラル・タコ・スシお願いします。意気揚々と注文したにこたま、普段おしゃべりな隣人が黙っているのに気付いて――珍しいですね。この店の椅子は確か固定されてますけど。あー。まあ。隣人ちゃんちょっとお花畑に行ってきますね、昨日のぐるぐるバットがぶり返してきました。いそいそと立ち上がる隣人、その数分後……。
ナチュラル・タコ・スシ、お待ち！
オマエの目の前に置かれた『それ』はタコではあった。タコ部分を頭として人のような胴体が生え、竜のような翼がトレードマーク。あ、あの。大将さん？ これはスシでしょうか？ どっからどう見てもスシだね。文句は受け付けないよお客さん。
シャリがないじゃないですか。それとショウユもお願いします。
済まねぇな。ちょっと待っててくれ。
もぐもぐ。もぐもぐもぐ。
あ、隣人さん、遅かったですね。もう半分ほど食べ終わっちゃいましたよ。いやぁこんなに新鮮なタコ、私初めて食べました。コリコリしてて美味しいですね。たまにイアイアって鳴くのが面白いと思います。
……どうしたんですか。顔色が悪いですよ？
やっぱアンタ正気じゃねぇわ。サニド・※※※※よ。
いやいや、そんな、私は――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
