【SecretTale】need to live
●The worst happened.
セクレト機関の内部に警報音が鳴り響く。
赤色灯が点滅を繰り返し、緊急事態であることを知らせてくる。
機械音声が全戦闘員に司令を下す音声も同時に流れてきた。
しかし、その音声の内容に誰もが『あり得ない』と顔を青ざめた。
同時刻、大研究室と呼ばれる大きな書庫で金宮燦斗は天井を見上げてはため息をつく。
これも彼のコントラ・ソール《|預言者《プロフェータ》》によって見えていた未来だと言うのだろうか。手際よく目の前のコンピュータの電源を落とすと、ちらりと視線を横に向ける。
その視線の先にいたのは焦りを見出している男――ジャック・アルファード。ここに来る際に自分がなにかやったのか、と呟く彼に対して燦斗は嘲笑混じりに答えた。
「それは無いでしょう。だって、貴方はこちらでは一般人と変わりありませんからね」
「じゃ、じゃあ、|侵略者《インベーダー》の侵入有りってどういうことだよ!?」
そう、今現在の警報が伝えてきたのは『施設内に|侵略者《インベーダー》の侵入有り』の情報。
本来なら司令官エルドレットとコンピュータによって阻まれるはずのあり得ざる状況。ゲートが施設内部に開かれて、別の世界から|侵略者《インベーダー》を呼び込まれる事態に発展していた。
「おそらく、何者かがゲートを開き混乱に貶めた。……その目的は依然として不明ですが」
「ということは俺らがここにいたら……」
「ええ、危険です。ということで、さっさと出ますよ。その本は必ず守り抜きなさい」
「お、おう」
ジャックの持つ黄土色の本『ゲート構築と■■について』。著者ベルトア・ウル・アビスリンクのこの本を見つけたことでジャックの目的は達成されているが、もう1つの目的……ある研究に携わった者達が残した研究書を守ることも、彼の目的の1つだった。
無事を見届けた今、この大研究室にいては|侵略者《インベーダー》の被害を受けてしまう。故に彼らはこの大研究室の扉を開いて、廊下へと一歩出る。
「っ……!?」
その瞬間、燦斗の目と鼻の先を掠めていった黒い何か――もとい|侵略者《インベーダー》。
ギィ、と濁った鳴き声を出したその|侵略者《インベーダー》の名は、ジャック曰く『モルセーゴ』という。人と同じ大きさ程度の蝙蝠の姿をしているそれは、ジャックの世界に住んでいる魔物のような存在・闇の種族なのだそうで。
「なんでこんなところに……ってか、『見つけた』って……」
モルセーゴの鳴き声を言葉として理解しているジャックはその真意を訪ねようとするが、モルセーゴは濁った鳴き声を出すばかりで話にならない。それどころか鳴き声につられ、彼らを取り囲むモルセーゴの数が増えていくばかりだ。
このままではまずい。そう判断した燦斗は通信を繋げ、エルドレットやエーミールに連絡を入れて刀を構えた。
「今は、ここを切り抜けるために戦ったほうが良さそうですね」
「しゃーねぇ、お前らが呼んだっていう連中が駆けつけるまでの協力体制だ!!」
「猟兵の皆さんが来るまで、持ちこたえられればいいんですが……」
小さくため息をついた後、燦斗は刀を構えてモルセーゴに切りかかっていく。
●緊急指令・|侵略者《インベーダー》排除
猟兵達にもその司令は下りた。……ただし、今回は二手に分かれて欲しいというのがエルドレットの指示だ。
その理由としては、裏切り者がいつどこで見張っているかわからないから、というもの。現状、誰が裏切り者なのかがわからない以上、燦斗達の救助は猟兵達やエーミールに任せたいという。
「彼らも戦う力があるとは言え、この数が押し寄せてきたら無理だからね。討伐する人と、救助する人で分かれて欲しい」
「……しかし、大胆にも仕掛けてきやがったな。直接送り込むのは想定外だし見えなかったぜ……」
エルドレットの声が上ずっている。世界の未来を見ることが出来るといっても、唐突な作戦変更には弱い。現に今回の状況も裏切り者による作戦変更が行われた証拠なのだろう。
だが、それを覆すために猟兵達の協力は不可欠だと言い切ったエルドレット。様々な権限を猟兵達に与え終えた後、彼ははっきりと作戦開始の合図を告げる。
「――世界の守り手の力、ナメんなよ!!」
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
自作PBW「シークレット・テイル」のシナリオ、第三章。
今回はセクレト機関の内部に入り込んだ|侵略者《インベーダー》・モルセーゴの群れを討伐するシナリオです。
シークレットテイルHP:https://www.secret-tale.com/
今回は施設内での戦いとなります。
天井は2mちょっとある程度。人が6人分並んで通れるほどの通路となります。
モルセーゴは人と同じくらいの大きさはあるので、だいぶ狭いです。
多数の部屋が並ぶ廊下での戦いという形でオープニングは描写されていますが、室内へ入り込んでの戦いも可能です。
そして今回は金宮燦斗&ジャック・アルファードの保護もプレイング対象となります。
こちらはプレイングがなければ無いで問題ありません。多少大筋の流れが変更されるのみです。
またどちらのプレイングも合間に情報を収集することも可能です。
その場合、何故その情報を収集しようと思ったのか、理由を掲載してプレイングを下さい。
その理由に整合性があれば、新たな情報をお渡しいたします。整合性が取れなければ一旦プレイングをお返しします。
皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Mission-03
シナリオのクリア条件
『|侵略者《インベーダー》・モルセーゴの撃破』あるいは『金宮燦斗&ジャック・アルファードの保護』
※どちらかのみ可能。両方不可。
|侵略者《インベーダー》・モルセーゴ フラグメント内容
POW:大きく口を開けて噛みつき。
SPD:翼を広げ、滑空状態で突撃(※室内なので多用させると……)
WIZ:超音波による攻撃。直撃すると一定時間聴覚が使用不可となる。
燦斗&ジャック保護 フラグメント内容
POW:モルセーゴを無理矢理ふっとばして彼らを見つける。
SPD:敵の位置を把握し、一気にくぐり抜けて彼らを見つける。
WIZ:大研究室の居場所をマップで把握し、彼らの行動に予測を付けて見つける。
黒木・摩那
侵略者がここまで来るなんて、敵も手が早いですね。
もうなりふり構っていられないのか、それともよほど自信があるのだか。
ともかく侵略者を撃退しないと話になりませんね。
金宮さん達はしばらくは何とかなるでしょう。
魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
室内で暴れられると面倒なので、UC【矢印過流】で侵略者達の動きを制限しつつ、1匹ずつ【重量攻撃】や【衝撃波】を付けて、潰していきます。
ここや大研究室にピンポイントで侵略者達が現れたということは何かの手引で導かれたのでしょう。
スマートグラスでそうした痕跡が残っていないか、【情報収集】してみます。
●Case.1 誰の手引?
セクレト機関内に侵入者あり。
その放送を聞いて、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は眉をひそめる。手を出してくるのは、まだ早すぎるんじゃないかと。
「……もうなりふり構っていられないのか、それともよほど自信があるのだか……」
ともかく、|侵略者《インベーダー》を撃退しなければ話は始まらない。彼女は片手に魔法剣『緋月絢爛』を構え、急ぎセクレト機関内を走った。
施設内は阿鼻叫喚の嵐となっている。
これまで|侵略者《インベーダー》によってセクレト機関内に入り込まれる事象が起こった試しがなかったためか、研究員達は必死で逃げ続けている。
戦闘員達はそれぞれ配置についているものの、非常にタイミングが悪く任務で出払った戦闘員が多くて人手が足りていないのが現状だ。
「室内に入って暴れられると面倒ね……それなら」
剣でモルセーゴを叩き潰し、衝撃波を与えながら討伐していく摩那はモルセーゴの動きを封じ込めるため、ユーベルコード『|矢印過流《ベクトル・ボーテックス》』によって自身の半径133m内を空間を浮かぶ多数の矢印で覆い尽くす。
矢印の順方向でまっすぐ加速し、逆方向で減速する空間を作り出し、モルセーゴの群れは逆方向の矢印で覆い尽くし、研究員達を事前に聞いていた避難場所まで案内する順方向の矢印で送り出して救助活動を行っていた。
「あ、ありがとう!」
「助かります! どうか、無理はなさらず!」
様々な研究員達の感謝の言葉を背に、摩那は軽く手を降って応答。彼らが無事に現場を離れたことを確認すると、容赦なくモルセーゴを叩き切る。
切られたモルセーゴはその瞬間に身体が黒い霧へと変貌し、霧散する。死んだというよりは概念が消えたというのが正しいのか、エルグランデという世界から文字通り塵1つ残さずに消え去った。
「塵1つ残さないとは……不思議な生態ね」
そんな生物が別の世界にもいるんだ、と軽く呟きながら摩那はどんどん通路を進む。
第一研究棟にいたモルセーゴは彼女によってどんどん塵へと帰っていった。
「それにしても……」
摩那は少し気になっていた。
エルグランデではゲートが作られるのはよくあることだと情報では貰っているが、ピンポイントでセクレト機関や大研究室を狙ったりするのは何かの手引がなければ出来ないこと。
……故に今回、モルセーゴを呼び寄せた犯人がどこかに必ずいるはずなのだ。
「今でも情報は貰えるかな……?」
情報を探るため、摩那はモルセーゴを討伐しながらもスマートグラス『ガリレオ』を通して辺りを見渡していく。
すると、ガリレオを通してのみだが、セクレト機関の情報伝達ネットワークに繋げることが出来た。緊急事態というのもあって、猟兵に直接情報を渡そうというエルドレットの粋な計らいなのだろう。
しかし現在、|脳を酷使しすぎた《・・・・・・・・》エルドレットは緊急睡眠中だと連絡が入っており、代わりにマリアネラ・ヴェレットという人物が摩那と繋がった。
声は聞こえないが、ガリレオを通して文章で会話ができる人物のようだ。摩那の声に対して文字列を並べて返答してきてくれた。
「エルドレットさん、寝ているんだ……」
――|はい《YES》。
――彼は身体と脳を動かしすぎました。
――代わりに|我々《・・》が貴方に情報提供を行います。
「まあ、いいでしょう。何かによってこの|侵略者《インベーダー》は入り込んだみたいですが、痕跡などは見つかっていますか?」
――痕跡は見つかり、ゲートの情報もすべて入手してます。
――……ですが……。
「……なにかありましたか?」
摩那の問いかけに、マリアネラの答えは……数分の間が出来た。
というのも、マリアネラからの答えは下手をするとセクレト機関全体を揺るがすものだったからだ。
――エルドレット・アーベントロートがモルセーゴを誘導するゲートを開いた。
マリアネラからの答えはその1つだけだった。
「ふむ……」
考える。摩那は考える。
偽装方法の全てを頭の中に並べて、可能性としてありえる物を少しずつ導き出す。
……それでも今は、エルドレットがゲートを開いたという事実が残るのは間違いないのだが。
「それだけで断定するのはまだ早いので、もう少し情報収集をします。いいですね? マリアネラさん」
――|はい《YES》。
――他猟兵の皆様にも、この情報は伝達いたします。
そうと決まればと、摩那はマリアネラから1番危険な区画がどこかを教えてもらい、モルセーゴの討伐と情報収集を担当することに。
まだ、この騒動にはなにか裏がある……そんな気がしてならないからだ。
●Case.? 一方その頃
「こ……のっ!!」
レイピアでモルセーゴを突き刺して霧散させるジャック。その手応えのなさに苛立ちを覚えているようだが、それ以前に彼はモルセーゴの言葉を聞けるためにイライラし続けていた。
『見つけた』『返せ』『取り返す』『戻ってきて』などなど、彼に聴こえてくるのは様々な言葉。他にも『待ってる』『帰ろう』『謝れ』『謝罪しろ』と言った言葉も聞こえているようで、ジャックは逐一モルセーゴの言葉を呟いては記憶していった。
が、流石に多量の言葉をぶつけられれば、限界に達する。一時的に攻撃の終わった現場の床にレイピアを突き刺して、その怒りをぶちまけた。
「あ"ーー! イライラする!! コイツらの喋りは慣れてるけど、なんか腹立つ!!」
「それは超音波の影響などではなく?」
「違う!! なんかこう、なんか、こう、よくわからん!!」
「知ってました、貴方が説明できないことぐらい」
「なんだとォ!?」
燦斗の煽り構文とジャックの怒号が通路に響き渡る。喧嘩が絶えない2人なのだが、モルセーゴの討伐だけはきっちりと行い、全てを塵に返していく。
だがやはり、モルセーゴの群れは止まらない。むしろ先程よりも増しているぐらいだ。
「……――は何を考えているんでしょうかね」
はぁ、と大きくため息をついた燦斗。
誰のことを指したのかは、ジャックにも聞き取ることが出来なかった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
HAHAHA!
お待たせしマシタ、燦斗殿! ジャック殿!
救助に参上であります!
モルセーゴが視覚でなく聴覚で索敵するなら音波系の武装が効果的デショーガ、あいにく火力重視の武装しか持ち合わせはないゆえ。
ここは防御を優先しマショー!
「六式武装展開、金の番!」
我が身を防具に変形させて、……少し考えて、ジャック殿に装備してもらいマショー!
何だか狙われてるようなので。
狭い戦場はちょうどビッグサイズの兵装で足止めできマスネー!
側面からチェインハンマーやパイルバンカーを射出して援護しマース!
モルセーゴがどうやって侵入したかの調査は他の方に任せて、ワタシはお二人の警護に専念しマスヨー!
●Case.2 モルセーゴの生態
ギィ、ギィと鳴き続ける|侵略者《インベーダー》・モルセーゴ。
群れは何かを探すようにセクレト機関の内部を走り回り、時には研究者を、時には戦闘員を襲う。
その相手は何も一般研究員や戦闘員だけではなく……。
「あ"ーー! イライラする!!」
何度も何度も、声を上げて襲い来るモルセーゴ達にレイピアを突き刺してはとどめを刺していくジャックと。
「まだ、声は聞こえているんですね……」
ジャックを支援するように背後を守り続けていく燦斗の姿。
彼らは今、大研究室を出ようとしていたところでモルセーゴに襲われていた。
その数はセクレト機関に放たれた殆どが集結していると言っても過言ではないだろう。
「HAHAHA! お待たせしマシタ、燦斗殿! ジャック殿!」
「誰だッ!!?」
そんな彼らのもとに駆けつけたのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。彼らの危機をエルドレットから聞きつけ、大研究室までの道をミニ・バルタン達に教えてもらいながらやってきた。
ジャックは一瞬だけの面識だが、燦斗は繋がりのある猟兵が来てくれたことにほっと胸をなでおろす。体力が激減した今、このタイミングでの救援は非常にありがたいもので。
「ああ、バルタンさん。ありがたい救援です!」
「救援っつーならなんとかしてくれよ! コイツら、音に弱いからよ!」
「うむー、そうしたいのは山々ではあるのデスガ……ワタシ、あいにくと火力重視の武装しか持ち合わせはないゆえ」
そう、バルタンの手持ちは超火力の火炎放射器や一撃で家屋を破壊できるような武装しか積まれていない。少し遠回りな音波系の武装は控えておらず、下手をするとセクレト機関が木端微塵になってしまうわけで。
ジャックが悲鳴を上げた。どうするんだよ、と。
セクレト機関は壊しちゃダメだし、モルセーゴは撤退させなきゃだし、モルセーゴはうるさいしで色々と頭が混乱し始めているのか、ジャックの目が回っていることにバルタンは気づく。
「ジャック殿、前を失礼!」
「おっ、おぉ?!」
バルタンがジャックの前を陣取ると、ユーベルコード『|金城鉄壁《インバルナラブル》』を使い、全身を状況に適した防具へと変化させる。
現時点でジャックが狙われていると見てわかったので、彼が装備できるように盾状の防具として変化していた。
「なんだか狙われているようなので、ジャック殿を優先的に。何故狙われているのかわかりマスカ?」
「ん、なんだ、お前さんらには伝わってねえのか。俺がアイツらから聞こえてる言葉」
「ほう? その辺りはまだ、情報として届いてマセンネ。どのような言葉デショウ?」
猟兵達には届いていない、モルセーゴ達の言葉。それを知ることで状況が大きく変わることはないだろうが、一応、敵陣の意図を汲むためにもバルタンはジャックに問いかける。
戦いながらも、少々言い淀んだ様子のジャック。
しかしバルタンに大切な情報だからと言いくるめられると、前から来るモルセーゴ達を上手く押しのけつつ、ジャックはバルタンにモルセーゴ達の言葉の内容を伝えてくれた。
「ほとんど代わり映えのない言葉ばかりだ。『戻ってきて』だの『許さない』だの、本当に何言ってんだ……」
「まるで……ジャック殿を連れ戻すためにここに来たような言い方デスネ?」
ゲートを通り、エルグランデへ降り立ったジャックを連れ戻すために、モルセーゴがこの世界にやってきたのだとしたら、その通りにジャックを帰してしまえば彼らは収まるのだろう。
だが、ジャックはそれだけでは終わらないのだと告げる。ジャック曰く、|何者かによって操られている《・・・・・・・・・・・・・》のだそうだ。
「操られている、ということは……ゲートを開いた犯人と繋がりがあるかもしれマセンネ?」
「その犯人の特定がうまくいけばいいんだが……アンタ、何も知らねぇのか?」
「ワタシはお2人の救援が先決と判断し、他の方々にお任せしマシタ!」
「そうか。……んなら、ついでだ。そのお仲間達に伝えろ」
「なんデショウ?」
ジャックは真剣な目つきで、しかし少し何処か信頼に不安が残ると言った様子のままに、バルタンにある情報を提供してくれた。
それは……『モルセーゴを操ることが出来るのはジャックともう1人だけ』という情報。
そのもう1人はこの世界にはおらず、ジャックと同じ世界にいる人物。故にゲートを開いた犯人と操っている犯人は別の可能性もある、と言い出した。
「もちろん、声色を変えて命令が出されればモルセーゴに判別はできない。アイツらは見ての通り、音で判断しているからな……」
「ふむ。燦斗殿、データベースを介して皆様に届けることは?」
「可能ですよ。とはいえ……父が現在眠っているようなので、他の方々にお願いすることになりそうですが」
「では、お願いシマス。この情報もいずれ使えそうな気がするので」
「わかりました。……ところで、前危ないですよ?」
「ハッ!?」
「うおっ!?」
燦斗の言葉でジャックとバルタン、同時に前を見る。
噛みつかれそうになる寸前、本当に紙一重という瞬間。バルタンは咄嗟に側面からチェインハンマーを射出し、モルセーゴを叩き潰す。
あまりにも素早すぎる刹那の時に周りのモルセーゴたちも一時停止するほど。まさに、ぽかんとした様子だった。
「おっしゃ、今のうちに畳み掛けるぞ!!」
「OKデース! 蹂躙し尽くしてしまいマショー!」
ジャックとバルタン、脳筋異世界人と脳筋仕様メイド。
あまりにも息ぴったりな蹂躙速度に、モルセーゴたちも泣いて喚くほどの現場が出来上がっていったという。
●Case.? 司令官室の状況
所変わって、司令官室。
こちらでもモルセーゴによる襲来はあった。
あった、はずなのだ。
とうの昔に片付いてしまったが。
「ったく、ドレットの奴……寝るなら寝るって先に言えっつーの」
「まったくですのー。マリアさんやアレンさんが起きてるからいいのですが……」
大きくため息をついたのはヴォルフ。次にエミーリア。
司令官補佐という立場上、彼らは司令官室を守るのが役目ではある。
しかしモルセーゴの討伐速度はどの戦闘員よりも早く、既に司令官室からそこへ至るまでの通路全てのモルセーゴを討伐し終えていた。
「それにしても、数が少なかったですの。何処に行っちゃったのでしょう?」
「さァね。アイツら、見た感じ知能はそこまで無いみたいだな。音でこっちに来ていただけかもしれん」
「ということは、本命は他にいらっしゃると。うーん、エーリッヒお兄様じゃないことを祈りますの」
「ともかく、俺らが出来ることは全研究員と戦闘員の安否確認。リアちゃんは研究員の安否確認よろしくな」
「はいですの!」
2人はそれぞれ、数多のモニターとタッチパネルが並んだ機械の前へと座ってそれぞれの役割を果たす。
エルドレットがいない分の仕事は、自分たちが引き受けると告げるように。
***************************************
・モルセーゴの言っている言葉が以下のように判明しました。
『帰ってきて』『許さない』『謝れ』『待っている』
『助けて』『怖い』『帰ろう』『一緒に来て』『可哀想』
・モルセーゴの操る条件『ジャックともう一人の声』が判明しました。
***************************************
大成功
🔵🔵🔵
ユーノ・フォンベルジュ
🔷アドリブ歓迎します!
🔷NPCさんとの対話歓迎!
遂に来たか…。世界を滅ぼすモノの尖兵…… インベーダー・モルセーゴ!
我が剣にてお前たちを討つ!……いくぞ、能力解放!《魔剣》
侵略者インベーダー・モルセーゴ POW:大きく口を開けて噛みつきに対抗してコントラ・ソール《魔剣》を扱います。
ユーノはST:使い慣れた極東の刀(日本刀)を構えて
噛みつき攻撃に対してはカウンター狙いで戦います。攻撃に関して、敵モルセーゴに対して斬撃を放ち《魔剣》の能力によって、その斬撃は見えない攻撃となります
避難者がいれば声掛け
「さあ、ここは危険です!早く退避をお願いします!
ここより後方の敵は撃退したので安心して下さい!」
●Case.3 |侵略者《インベーダー》は全て倒すのみ
その一方で、第二書庫周辺の|侵略者《インベーダー》・モルセーゴを討伐していたユーノ・フォンベルジュ(《黒魔》エルグランデの魔剣士・f38624)。
同行していた高位研究者フェルゼン・ガグ・ヴェレットを安全な場所に送るまでは、気を抜かずに戦い続けていた。
「我が剣にて、お前たちを討つ! ――能力、解放!!」
コントラ・ソール《魔剣》による力を使い、自分と自分の武装を視聴嗅覚での感知を不可能にしたユーノ。
これにより視覚を持たない、嗅覚と聴覚を用いて生きるモルセーゴの持つ探知能力は全て使えなくなり、辺りをキョロキョロと見渡してしまった。
ちなみに、フェルゼンの方は特別な方法を使っている様子はない。ただ、音を立てず息を止めればある程度は隠せると気づいたようで、ユーノが《魔剣》の力を使っている間はじっと立って息を殺している様子だった。
数匹。たった数匹。
ユーノの周辺にいるモルセーゴの数は、そこまで多くはない。
視聴嗅覚での感知を不可能にした今ならば、どんなに近づこうがモルセーゴ達は気づかないし、何が起こってもわからない。
ゆっくりと精神を研ぎ澄まし、確実に仕留められる瞬間を待ち……。
「――そこだっ!!」
何も気づいていないモルセーゴが通り過ぎようとしたその時、斬撃さえも隠された使い慣れた極東の刀を用いてモルセーゴを一突き。
刀で心臓を貫かれたモルセーゴは驚きの表情を残したまま、一瞬のうちに生命力を奪われて塵へと変わって消えていく。
その様子に他の個体が驚き、焦り、何が起こっているのかわからないと言った様子で鳴いているのが伺える。言葉がわからない以上、彼らが何を言っているのかまではユーノは判断がつかないのだが。
もう一度姿を隠し、その瞬間を待つユーノ。もう一度同じように見えぬ斬撃を放とうとしたのだが……ユーノの動きを止める『声』が聞こえてきた。
『全く、新手を呼び出されちゃ難しいんだよねぇ』
「誰だ!!」
突如響き渡った若い男の、少し高めな声。それはユーノのみならず、モルセーゴ達にも聞こえているようだ。
声の主はモルセーゴ達をいろいろと叱った上で、モルセーゴ達にユーノがどのように隠れているかを告げていく。
「な、何故それを……!」
『何故って言われてもね。僕は神様だから、なんでもわかるよ?』
「神……様……??」
――何を言っているのかよくわからない。
神様なんて存在が、世界を守る者であるセクレト機関の人間や猟兵を襲う。そんな間違いが起こり得るのか、と。
ユーノの頭に色々な考えが広がったが、声の主はクスクスと笑うと、違うよ、といった。
『正確にはこの世界の神様じゃあない。僕は別の世界の神様なのさ』
「別の世界……だと……!」
『うん、そう。キミも知ってるよね? ゲートの存在は。それを通って行ける世界の神様なんだよ、僕は』
声の主はまたも小さく笑って、エルグランデが如何に驚異的で恐ろしいものかを告げていく。
異世界を守るという名目の上に、様々な犠牲を生み出しながらなおも異世界の知恵と知識を求め続ける異端者達。
そんな異端者達が自分の世界を壊しに来てしまうのは怖いから、先に壊してしまおうと思ったのだと声の主は言う。
ユーノはそんな言葉を聞いて、拳を強く握りしめた。
――|そのような事実は何処にもない《・・・・・・・・・・・・・・》ことをよく知っている。
素晴らしい最新鋭の技術と知識は、全て世界のために使われている。エルグランデという世界のみならず、様々な異世界に行ける技術は異世界をも守ろうという意志があるからだ。
声の主には惑わされない。朱と金の双眸はしっかりと前を見据え、手に握った刀を大きく振ってモルセーゴを切り裂いていく。
「お前が何を言おうとも、この世界を脅かす存在ならば、神様だろうと俺たちの敵だ!!」
『――まあ、そういう結末に行くのはわかっていたけどね』
小さく、嘲るように笑った声の主。彼はユーノに名を尋ねたが、返す名はない、とユーノは答える。
それどころか、ユーノの動きは俊敏になっていく。本来倒すべき相手がわかった今、やるべきことは1つなのだと全身で理解するように。
周囲のモルセーゴを討伐し終えた後、もう一度声の主に呼びかけるが……もうその返答はない。
モルセーゴの消滅とともに繋がりが消えてしまったのだろう。色々と考えたいことはあるが、ユーノはふるふると首を横に振り、フェルゼンの無事と他の研究員達の無事を確認し、安全な場所まで連れていく。
「うむ、見事な動きだった。……だが、あの声は……」
「知っているんですか、フェルゼン様?」
声の主に心当たりがあるといったフェルゼンは、あの声は『アマベル・オル・トライドール』の声だと言う。
しかしアマベルという人物は30年ほど前に『箱庭研究』という研究での事故で姿をくらましてしまい、以後消息不明と言われ続けてきた。
「あれ……? でも、確か30年前にいなくなった人って」
その話を聞いたユーノはふと思い出す。ジャックが探していた書籍の著者、ベルトアもまた同じようにいなくなっていることを。
アマベルという人物と、ベルトアという人物。どちらも30年前の研究でいなくなっており、今になって再び名前が上がってきた。
「……何か、関係があるのでしょうか……?」
「さてね。……ああ、此処から先は気をつけて進み給えよ?」
「は、はい!」
考えることは多いが、まだまだ救助すべき人々はたくさんいる。
故に、ユーノはまずモルセーゴの討伐のために再び戦場へと走った。
●Case.? 迷子のモルセーゴ
「|ぎぃ~~《ここどこ》~~」
迷子の迷子のモルセーゴ(1匹)。
縦にも横にもでっかい施設のセクレト機関を超音波で探って進むとなると……マップが見れない分、把握が難しい。
この個体はどうやら操られてはいたようだが、皆とはぐれてしまったせいで幾分洗脳状態が解けている様子だ。
本来の主の名前を呼びながら、辺りを飛び回っていた。
「|ぎーぃ《ジャックさま》ー……」
呼べど呼べども、声を聴きたい相手からの反応はない。
それどころか、どんどん奥に入り込んでしまっているものだから、余計迷子になりつつある。
「|ぎ~ぃ《まよった》……」
しょもしょもぺしょんとなりながら、休憩のために地面にぴったりくっついたモルセーゴ。
やがて誰かが来ることに気づいたようで、顔を上げた。
「うわっ、びっくりした!?」
声の主はエーミール。同じようにモルセーゴの討伐をしていたようで、生き残りがいるとわかった途端にナイフを構える。
対するモルセーゴは人が来たことで嬉しそうにぎぃぎぃと鳴く。
彼に言葉が通じていないのは百も承知だが、身体を動かせばなんとかわかってくれるのかな? と、元の主に教わった方法でエーミールと対話を試みていた。
「え、え? 何、このモルセーゴ……」
攻撃もしてこないで体を動かすモルセーゴにちょっとドン引きしているエーミール。
ドンビキされているとも知らず、モルセーゴは体を張っていた。
「|ぎっ《ぼく》! |ぎ~《まいごに》……|ぎっ《なった》!」
「ん、んん?? なんか、この個体だけ違う……??」
「|ぎぃ~《ぼくは》、|ぎぎっ《わるいこじゃ》! |ぎぃ~《ないです》!」
「え、なんか会話してる? ……どういうことでしょう?」
なんとかエーミールの敵対心を解くことに成功したモルセーゴ。
このおかげで、群れとはぐれることで洗脳が解けるという情報が手に入ったのだった。
***************************************
・洗脳相手の名前が『アマベル・オル・トライドール』ということがわかりました。
・モルセーゴの洗脳解除条件の1つが『群れとはぐれる』ことだとわかりました。
はぐれたモルセーゴはエーミールによって保護されているようです。
***************************************
大成功
🔵🔵🔵
二本木・アロ
急ぎのお仕事ってんであたし参上! ブットバースでーっすうぇーい!
よくわかんねーけどもるせーごっての倒せばイイって聞いた!
ん-と噛みついて飛んで。ちょーおんぱ……あたし賢いから知ってんぞ。
なんたってよく|森の賢者《ゴリラ》って呼ばれてるからな。
でっかい音でふらっふらにしてやれば、みんな迷子になって群れがバラバラになるはず!
そしたら勝手にせんのー? 解けるんじゃね?
ってコトで、ココペリ様ココペリ様、でっかい音でみんなをびっくりさせてやってー!
(からくり人形『ココペリ様』に神頼み)
……ぶっふぉあひゃひゃひゃ!(品の無い笑い)(笑い転げている)
(NG無し、何でもアリの、アドリブ歓迎です。おバカです)
●Case.4 わひゃひゃひゃ!
「数、減ってきましたかね?」
「|ぎっ《多分》?」
洗脳が解けた|侵略者《インベーダー》・モルセーゴ――ややこしいのでエーミールは彼を『ウェスペル』と名付けたが――と行動を共にするエーミールはセクレト機関の中を少しずつ歩き回っていた。
既に兄の燦斗の救出は完了していると聞いてホッとしているのだが、それだけでこの事件が終わるわけではない。
侵入してきたモルセーゴをすべて討伐し終えるまでは気が抜けないのだから。
「しかし、群れと一緒になったらあなたはどうなるのでしょうね……」
ちらりと側にいるモルセーゴに向けたエーミール。洗脳が解けたとは言え、それは一時的なものにすぎない。
彼はまた群れに戻れば同じように洗脳され、エーミールやセクレト機関に害をなす存在へと成り下がる。心苦しいが、そうなってしまえば討伐してしまうしか無い。
だが、彼らは洗脳されているだけ。それがわかった今、彼の仲間達に手をかけるのも少々ためらってしまうのだ。
「ほうほう、なるほど。そしたらぐるぐるぱーにしたらいいんじゃないのか?」
「そうですね、ぐるぐる…………んっ??」
「よっ! ブットバースです!」
エーミールの隣にいつの間にか立っていたのは、猟兵の傭兵チームから派遣された二本木・アロ(ガードカツィナの娘・f02301)。グリモア猟兵という立場から彼女とはちらりと顔を合わせたことがあるエーミールは、まさかの、という一言を残した。
しかし今となっては救い主のような存在だ。人手の足りない状況を、こうして駆けつけてくれたことにはしっかりと感謝の言葉を述べた。
「あの、アロさん。つまりどういうことですかね?」
「んー? 簡単だ、ちょーおんぱってのを使ってるんだったら、でっかい音でぐるぐるぱーにしてやれば良いんだ! あたし賢いから知ってんだぞ!」
「……ああ、そうか。確かに彼らは目が見えていない。音を使って場所を調べているのであれば、アロさんのいう作戦は有効かもしれません」
「だろー! もっというと、ぐるぐるぱーになったら群れから散り散りになって、勝手にせんのー? が解けるんじゃねぇ?」
「なるほど! ぐるぐるぱー!」
「|ぎぃぎぃ~《ぐるぐるぱ》~!」
……なんだか、エーミールもモルセーゴもアロに侵食されつつあるのだが、本人達はそれに気づいていない……。
「ん~と……あっちだな!」
「みたいですね!」
ぎぃぎぃと大量の鳴き声が聞こえる方向へ、アロとエーミールは走る。
エーミールと行動を共にしていたモルセーゴはアロのやることに巻き込まれてはまずいからと、エーミールのメモを持たせて別の場所へと向かわせた。
すたこらさっさと走る中、ふと、アロはエーミールに問いかける。
「ところで、けっこーおっきな音出すけど大丈夫か?」
「大丈夫です! |司令官《父上》やヴォルフやエミーリアはダメって言うかもしれませんが|同僚《猟兵》のよしみで大丈夫です!!」
「そっかー! 派手にやらせてもらうぜ!」
――このやり取りにより、エーミールが後で司令官補佐の2人に怒られるのは言うまでもないのだが……。
やがて2人は大量のモルセーゴがいる地点へと到達。誰かを探す様子のモルセーゴだが、敵の存在に気づけばそちらを振り向く。
ぎぃぎぃと鳴き叫ぶ大量のモルセーゴ。噛みついて、アロの身体も叩き潰してやろうかと襲いかかってきた。
「ココペリ様、ココペリ様ー! でっかい音でみんなをびっくりさせてやってー!」
その瞬間、アロの背後に現れた戦闘人形のココペリ様が突如昔懐かしのダイヤルアップ接続音を鳴らし始める。最初は小さな音から始まったが、アロの願いを聞き届けるかのように大音量のダイヤルアップ接続音が辺りに鳴り響いた。
ピィ~ヒョロロロ、ガガガガガッ、というエルグランデではとうの昔に滅したという懐かしの音。一部の世界では今もなお使われているらしいが、エーミール曰く、今の研究員や戦闘員達はこの音を知らないんじゃないかと。
「え、じゃあなんであんたは知ってるんだ」
「こう見えて私、こちらの世界ではある研究で90歳超えてるので……」
「ウッソだぁ~!? 見た目若いじゃんー!」
ぺちんぺちんとエーミールのちら見せしている腹を叩くアロ。ハリ・ツヤの良い肌は若人そのもので、アロでさえも彼が高年齢だとは思えないようだ。
……実際には、エーミールの話は本当である。ただ、今はこの話は割愛するとしよう。それどころではない。
しばらく大音量のダイヤルアップ接続音を鳴らしていると、ぐるぐる、ぐるぐるとモルセーゴの動きが変わる。
超音波による特定が難しくなり、更には聞いたことのない音が聞こえてくるので混乱しているようだ。
「おっ! 見ろ、エーミール! なんかぐるぐるぱーになってるぞ!」
「ええ、そうみたいですね! この調子で続ければ……」
「そうだな! ぐるぐるぱー……ふひっ、ぐるぐる……ふひゃ!」
「……アロさん?」
ダイヤルアップ接続音が長く続くに連れて、アロの様子がおかしくなっている。それに気づいたのは、モルセーゴ達が散り散りばらばらになってからのこと。
ココペリ様の音が止み、オフライン状態になってから段々とアロの様子が狂っていくのを見てしまったエーミール。狂っているというよりは、大爆笑が止まらないといった異常事態に見舞われているのだが。
「ふひゃひゃひゃ! あっひゃ! わーっひゃっひゃっひゃ!」
「ちょっ、アロさん!? どうしたんですか!?」
エーミールは気づいていない。この窮地はアロの使ったユーベルコード『|世界接続音《ココペリサマモフザケタイ》』の力で救われたということに。
見た目には撹乱した直後にアロが状態異常を発症したように見えるため、モルセーゴからの攻撃を受けたと捉えられても仕方がない。エーミールの混乱はますます広がった。
「ちょっと~!? アロさん、しっかりして~!!」
「ぶひゃひゃひゃ! あーっひゃっひゃひゃっひゃー!」
……しばらく後、ヴォルフとエミーリアからの連絡があっても、アロの大爆笑は続いたという。
●Case.? 司令官の苦悩
「……」
暗い闇の中で、エルドレットは色々と考える。
自分が|侵略者《インベーダー》・モルセーゴを呼び寄せるゲートを開いたとされている状態。
失踪したはずの研究者、アマベル・オル・トライドールが神と称してモルセーゴを操っていること。
そして……この騒動に紛れて|裏切り者が動いた《・・・・・・・・》事実。
モルセーゴ強襲事件は猟兵達のおかげで一旦は片付いた。
だが、また新たな問題が露出してしまって、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっていた。
「……これから先、どうしようかねぇ?」
ふう、とため息をついた彼はくるりと振り向いて、数多の『自分』に――。
――数多に並ぶ培養液の中の脳達に向けて、問いかけていた。
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『need to live』 complete!
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大成功
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