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ちいさなゆきの、たからもの

#カクリヨファンタズム #ノベル

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エール・ホーン
記載のない点はすべてお好きに描写してください

●内容
【カクリヨでの妖怪の少年or少女との出会いから別れまで】
何かを抱えた彼らの心の救いになれたら幸せです

切なかったり温かかったり楽しかったり
切なさ或いは嬉しさに涙は溢れても
最後にはまたねと笑顔で

●鍵
自慢の蹄や角、翼
物語の展開に使っていただけたら嬉しいです

●台詞参考
強い拘りはないのであくまで参考程度にお願いします
内容に合わせて、マスター様のお好みにアレンジしてください

『もちろんだよっ。だってボクたち、友達でしょ?』
『かっこいい? ありがとうっ
ボクの自慢なんだ!』
『行こうっ、ほらっ!』
『えへへ、うれしいな
もっとたくさん、君のことを教えて?』
『ボクはね
君が笑っていられる優しい物語を彩る
キャストになりたいんだ』

●他
甘いものと野菜が好き
いっぱい食べる
いつでもきらきらにこにこ
アクティブでポジティブ
寄り添って悲しんでも、すぐに前を向く
泣き虫なのは内緒だけど、溢れてしまうものは止められない

内容に合わせて登場人物の追加や
マスター様のグリモア猟兵さんの登場も歓迎



 ひらりと、今年も冬空から舞い降りはじめた雪たちを見上げて。
 エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)は、いつもの洞窟アパルトメントで大家さんの雑用に勤しむ千々波・漣音(漣明神・f28184)へと、ふとこう訊ねてみる。
「ねえ、漣音さん。今年も、あの子に会えるかな?」
 そんなエールの声に、漣音も舞い降る雪に気付いて。
 共に見上げながらも呟く……あれからまた冬が来たんだなァ、って。

 これは、ひとつ前の冬のおわりに出逢った、『あの子』とのおはなし。

●さがしものはなんですか
 あの時も、カクリヨファンタズムには雪が降っていて。
「ボク、おいしくて、いっぱい食べちゃった!」
「うん……よーく知ってるぞ」
 例の如くすごいかみさまに、おなかいっぱい目一杯、大好きな野菜料理を奢って貰った帰りであった。
「はらはちぶんめ、がちょうどいいって、ボク聞いたしっ」
「うんうん……って!? あの量食って八分目……!?」
 そんな会話をキャッキャ交わしながら、ふたりで歩いていた……その時だった。
 エールはふと足を止め、首をこてりと傾ける。
「あれ? あの子、どうしたのかな?」
「ん? 何か探してるみたいだなァ」
 きょろきょろと探し物をしているように周囲を見回す、小さな男の子の妖怪を見つけて。
 そしてエールはその子に声を掛けてみる。
「こんにちは! 何か探してるの?」
 そんなエールの問いかけにこくりと頷くのは、小さくて真っ白な雪ん子であった。
 そして雪ん子はエールを見上げ、こう続ける。
『ぼく、ひらひら空からふってくるときに、見たんだ。赤くてキラキラきれいなもの! それをね、近くで見てさわりたくて、探してるの』
「赤くてキラキラきれいなもの……なんだろう?」
 エールがもう一度そう首を傾げつつ、連れの彼へと視線を向ければ。
 その瞳に宿るいろに、漣音は頷いて返す。
「んじゃ、一緒に探してみるか」
『えっ、一緒にさがしてくれるの?』
「うんっ、一緒にさがそう! ボクはエールというよ。きみは?」
『ぼくは、名前がない雪ん子だから……じゃあ、ユキ、で』
「俺は漣音だ。ユキ、よろしくなァ」
 ということで――3人のたからさがしの、はじまりはじまり。

●たからさがし大作戦!
「その赤くてキラキラきれいなもの、って、どのへんで見たの?」
『んとね、たかくて大きなたてもののちかくにあったよ』
「たかくて大きな……このあたりだったら、石段の上にある神社とかか?」
「じゃあ、いってみようっ!」
 ユキの証言から、長い石段の上にある神社へと目星をつけて行ってみることにする3人。
 けれど、ただ石段をのぼるよりも、もっと楽しくって思うから。
「よーし、ジャンケンだなァ!」
『わぁっ、たのしそう!』
「ボクも負けないよ!」
 パーで勝ってパイナップル、チョキで勝てばチョコレイト……階段といえばそう、ジャンケンゲーム!
 そしていざ始まれば、勝ちを重ねた漣音が一歩先に階段を上っていくけれど。
 彼を見上げた後、そうっとエールは、ユキとナイショの作戦会議。
「ね、ね、ユキ。今度ボクたちが勝ったら――」
 それからもう一度――じゃんけんぽん!
「わぁっ、ボクとユキの勝ち! じゃあ、いくよ……パイナップルッ!」
「!?」
 刹那――ばさり、と。
 雪空にエールが意気揚々と広げるのは、自慢の翼。
 そしてキラキラと雪が踊る中、エールはこれまた自慢の蹄で大きく地を蹴って、天へと飛び上がる。
 ユキをその背に乗せて。
『わぁっ、すごーい! エールかっこいい!』
「かっこいい? ありがとうっ。ボクの自慢なんだ!」
 だって、空を飛んじゃえば……パイナップル、だけでも、階段の頂上までひとっ飛びだから。
 そして、こりゃ参ったなァ、と漣音もようやくふたりに追いついて。
 楽し気にキャッキャはしゃぐエールとユキに、笑顔で降参宣言。
 それから今度は3人並んで、雪が積もる境内を歩いてみれば。
「これは赤いけど……ちがう?」
『ちょっとちがうけど……でも、その赤いのもきれい!』
 見つけたのは、白雪に赤を添える南天の実。
 ユキはちょこんと屈んで、エールが見つけた赤い実をいくつか楽し気に拾って。
 ほら見てみて! って、にこにこ笑顔。
 それからふと――あっ、と声を上げる。
『あ、あった! ぼくが見つけた、赤くてキラキラきれいなもの!』
 ついに探し求めていた、おたからを見つけて。

●たからもの、みつけた
 ユキのその声を聞いて、彼の視線を追ったエールと漣音だけれど。
 探していた『赤くてキラキラきれいなもの』を見て、思わず足を止めてしまう。
 だって、それは――。
「炎……篝火、か」
「でも漣音さん、ユキは……」
 そう留まって呟きを落とすふたりに、ユキはキラキラした瞳を向けて。
『みんなで見つけた、たからものだ! やっと見つけた、近くで見てさわりたいな』
 そして、こう続けるのだった。
『ぼく、さわったらとけちゃうと思う。でもね、みんなで見つけたたからものを、手にしてみたいんだ!』
 ――それがぼくの『夢』だから! って。
「そういえば、舞い降る雪たちも炎を避けることはしないよなァ」
 ……たとえ、溶けてしまっても、と。
 そう紡ぐ漣音と嬉しそうなユキを交互に見上げてから。
 エールはいつものように、笑顔をぱっと咲かせてみせる。
 だって、やっぱり思うから。
「ボクはね、君が笑っていられる優しい物語を彩るキャストになりたいんだ」
 ――だから。
「行こうっ、ほらっ!」
 伸ばした手と手をしっかりと繋いで、ユキと歩き出す。
 彼が望むたからものを、一緒に手に入れるために。
 そして炎に彩られた真白の笑顔が、キラキラとより輝きをみせれば。
『ふたりとも、どうもありがとう! 来年雪が降ったら……またボクと、あそんでくれる?』
「もちろんだよっ。だってボクたち、友達でしょ?」
『うん、友達! これお礼に……友達のふたりにプレゼント!』
 そう告げると同時に、すうっと冬空に溶けてゆくユキ。
 夢が叶った、嬉しそうな笑顔で。
 そしてふたりは暫く、ユキを見送るように空を仰いで。
 白い息に思いを乗せて、笑顔で紡ぐ――またね、って。
 友達がくれた赤い南天の実を、そうっと大事に掌で包みながら。

●だから、今年も
「たからさがし、楽しかったよね!」
「ああ。でも、あの階段ゲームは反則だっただろ……!」
 あの時のことを思い返し、話しながらも。
 やっぱりふたりに宿るのは、笑顔。
 そして漣音は、先程向けられた問いの答えをエールへと返す。
「んじゃ、一緒に探してみるか」
 友達との約束を果たす為に。
「うんっ、行こう!」
 今年もたからものを探しに――あの子にこれから、会いに行く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年12月22日


挿絵イラスト