メゥ・ダイアー
メゥ、猟兵になってから
白燐虫たちといっぱい「はじめて」とか「楽しい」を見つけたよ!
新しく食べ物とかね、新しい場所とかね
生きものも乗り物もお友だちもそうだよ!
みんなにどれからお話しようかな。
あ、マスターさんとこうやってお話するのもはじめてだよね?
よし!まずはマスターさんにメゥの「はじめて」聞いてもらおうっと
えっとね…
🏷世界
メゥ猟兵だからどこにでも行けるんだよ
🏷文字数
書きやすい量で大丈夫
🏷分からないところ
おまかせ
メゥも知らないこといっぱいあるから
新しく見つかったらいいね
🏷嫌なこと
こわいのはイヤだけど
……こわいってなに?
🏷ダメ
「ミルク」
ふわり。
メゥ・ダイアー(|記憶喪失《わすれんぼ》・f37609)の白燐蟲が、空中に漂う。
「そっちに、楽しいことが待ってるのかな?」
UDCアースの街中を浮遊する白燐蟲を追いかけるように、メゥは自分の足で歩んでいく。
「楽しみ!」
まだ見ぬ何かとの出会いに、心躍らせて。
やがて、到着したのは……。
「……ケーキ屋さん……」
メゥは、しょんぼりと肩を落とした。
UDCアースには、メゥが食べたことがない食べ物がたくさんある。ケーキも、その一つだ。
けれど、ケーキにはミルクが使われている。メゥは、ミルクがダメなのだ。
その時、白燐蟲がすいとメゥの眼前を横切り、店の看板をちょんちょんと示した。
「……?」
メゥは、看板の文章に目を走らせてみる。
『当店のケーキは全て、ミルクを使っていません』
「……! わぁ!」
メゥは瞳を輝かせる。
はじめてのケーキを食べられる時が来たのだ。
店内にはカフェスペースがあった。メゥの小さな身体には少し高い椅子に、メゥは頑張って腰掛ける。
メニュー表には、様々なケーキが並んでいた。どれもメゥの目には、キラキラしているように映っている。
「あの、すみません」
メゥは店員を呼び止めた。
「このレアチーズケーキも、本当にミルクを使っていないんですか?」
「ええ。豆乳ヨーグルトから作っているので、ミルクは使っていないですよ」
それを聞いて、少し不安げだったメゥの表情が輝いた。
「それなら、そのレアチーズケーキをお一つくださいな!」
「かしこまりました」
元気な様子のメゥに微笑んだ店員は、一皿のレアチーズケーキを持ってくる。
「いただきます!」
フォークを手に取ったメゥは、ケーキを切り分け口に運ぶ。
心のどこかで覚悟していたミルク風味は一切なく、爽やかな酸味とまろやかな味わいが広がった。じっくり時間をかけて水切りされた、豆乳ヨーグルトのクリームだ。
上に掛かったブルーベリーのソースが、豆乳ヨーグルトによく合っている。
「おいしい!」
夢中で食べ進めて、あっという間に皿は空になった。
「ごちそうさま!」
これが、メゥにとって『はじめて』のケーキ。
これから先もきっと、たくさんの『はじめて』や『楽しい』が、メゥを待っているのだろう。
成功
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