ライスメキア|MMM《3000》世とピルグリム
●巡礼者
謎の怪物。
白き存在。
意志疎通可能なる侵略者。
その名は『ピルグリム』。
彼等は人間・オブリビオンの区別はない。ただ知性体を襲って卵を植え付け、増殖する。ただそれだけの目的のために彼等は生き続ける。
かつてスペースオペラワールドに置いても猛威をふるい、多大な犠牲を払いながら完膚なきまでに駆逐されたと言われている。
しかし、この無限に広がる大宇宙において、完膚なきまでに滅ぼしきれるものなど存在するだろうか。
星より砂金の全てを拾い上げることが不可能なように、『ピルグリム』という存在もまた完璧に滅ぼすことはできなかったのかもしれない。
蠢く白き者たちは言葉無く、意志無く、息を殺し、ただひたすらに伏せ続ける。
そして、漸くにして彼等はたどり着いたのだ。
『惑星バブ』――そこは一人の皇女によって統治された惑星。
平和を謳歌する惑星だったのだ。
だが、今やそれは白き侵略者たちによって脅かされる。
「何事です!」
「はっ、オメガケンタウルス星人の襲撃です!」
臣下からの言葉に『ライスメキアMMM世』は驚愕する。
『オメガケンタウルス星人』、それは嘗て銀が一つを略奪しつくしたと言われる古代スペース騎馬民族。
侵略行為によって栄えたが、既に滅んだ星人だ。
その『オメガケンタウルス星人』が何故『惑星バブ』に襲来しているのか。
「スペースオペラグラスを此処へ」
皇女『ライスメキアMMM世』は、超技術で作られたオペラグラスを覗き込む。
そこにあったのは、荒野を駆け抜ける甲冑纏う人馬。
簡素な鎧に思えるだろうが、それら全てが超技術が一巡したがゆえに中世文明の如き様相をしめした強靭なる甲冑である。
しかし、その甲冑の下から這い出すのは、『白濁した触手』であった。
「……ッ! あれは|『巡礼者』《ピルグリム》の『刻印寄生』……!!」
「ま、まさかあれが文献に記された白き存在だとでも……!?」
「星滅ぼす生物……絶滅させたはずでは!」
臣下たちの言葉に『ライスメキアMMM世』はオペラグラスから顔を離し、青くなった顔色を隠すように掌で顔を覆う。
しかし、彼女は毅然とした態度を取り戻す。
「かの『寄生刻印』を刻まれた『オメガケンタウルス星人』がどれほど我が『惑星バブ』に到来したのかはわかりません。ですが、事態は一刻を争います。我が臣民を守らねばなりません……――!」
●スペースオペラワールド
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドの外側に広がるスペースオペラワールド……その惑星の一つ『惑星バブ』において『ピルグリム』の存在を予知いたしました」
その名を聞いたことのある猟兵も少なからずいるだろう。
猟兵たちにとって、初めて遭遇したのはブルーアルカディアにおける『アルカディア争奪戦』の折においてである。
オブリビオンも猟兵も関係なく、生命体と見れば構わず襲ってくる怪物。
己たちにとっては緩慢な動きで強敵とは言い難い。
しかし、その頭部と尾の針の一撃は絶対に受けてはならぬと言明されていた。
「そうです。『ピルグリム』の針は産卵管です。そして、卵を産み付けられた生命体は必ず絶命します。そうして寄生しながら増殖し、星一つ……言え、銀河系一つ容易く滅ぼしてしまうのが『ピルグリム』なのです」
ナイアルテの言葉には生理的嫌悪感が滲み出るようであった。
その『ピルグリム』が『惑星バブ』に到来するという予知が為されたのだ。
だが、予知である段階であったのはしわいであった。
「はい、まだそれほど『ピルグリム』の増殖が進んでいないことが幸いです。『惑星バブ』に降り立ったのは『白濁した触手』を全身からはやしたオブリビオン『オメガケンタウルス星人』です。彼等の触手の先端には『針』が付いており、執拗にこれをもって人々を刺そうと襲いかかっています」
つまり、これらの行動は全て産卵管を植え付けるための行為。
悪いことには、『オメガケンタウルス星人』は人馬型の星人である。その馬の脚部を使った移動速度は尋常ではない。
猟兵たちが駆けつけなければ、人々は瞬く間に針を持って産卵管を撃ち込まれ『刻印』によって寄生されてしまうだろう。
「『オメガケンタウルス星人』のユーベルコードに加え、触手の針を打ち込もうとする攻撃に対処しつつ、『惑星バブ』の人々を退避させなければなりません」
それは難しいことだろう。
しかし、それでもやらねば『ピルグリム』の増殖は止められない。
さらに言えば、人々の生命が必ず喪われてしまうということだ。
「……幸いであったのは、皆さんが『惑星バブ』の人々が犠牲になる前に駆けつけられるということ。そして、不幸であったのは……これだけでは『ピルグリム』の脅威を取り除いたことにはならない、ということです」
ナイアルテの予知では、『オメガケンタウルス星人』だけではなく、親玉の存在が『惑星バブ』に潜んでいるのだという。
どうやら『オメガケンタウルス星人』たちが乗ってきた宇宙船からシグナルが発せられているのだという。
しかし、弱い信号故に辿るのは困難を極める。
「恐らく、その宇宙船に『ピルグリム』の親玉が存在しているはずなのです」
それを見つけ出し、倒さねば『ピルグリム』の脅威は完全に取り除けないのだ。
「この白き怪物の脅威を『惑星バブ』から取り除くために、どうかお力をお貸しください……」
そう言って頭を下げるナイアルテ。
言うまでもなくこの事件は危険極まりない。
例え猟兵であろうとも『ピルグリム』の針によって産卵管を埋め込まれれば、絶命を免れぬのだ。
だからこそ、ナイアルテは猟兵たちを送り出すことに不安を覚える。
しかし、それでも征かねば『惑星バブ』が亡びる。
これは一つの星の問題ではない。
スペースオペラワールドという宇宙そのものの危機なのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
スペースオペラワールド、皇女『ライスメキアMMM世』が統治する『惑星バブ』に到来した『ピルグリム』の脅威を取り除くシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
皆さんが転移して降り立つ『惑星バブ』は、今まさに人々を襲わんとしているオブリビオン『オメガケンタウルス星人』によって蹂躙されようとしています。
ですが、通常の『オメガケンタウルス星人』とは違い、彼等は全身から『白濁した触手』を生やし、その『針』を執拗に人々に刺そうとしています。
幸いなことに未だ刺された人々はいませんが、人馬としての機動力を持つ『オメガケンタウルス星人』から逃れることはできないでしょう。
通常ユーベルコードに加え、触手の『針』による攻撃を仕掛けてきます。
これに対処しつつ、人々を退避させてあげましょう。
●第二章
冒険です。
触手を生やしたオブリビオン『オメガケンタウルス星人』をひとまず殲滅した皆さんは、グリモア猟兵の言葉を思い出すでしょう。
『刻印寄生』を受けたオブリビオンは何処からやってきたのか。
そして、グリモア猟兵曰く、未だ親玉を倒せていないということから、彼等が乗ってきた宇宙船を探さなければなりません。
その宇宙船が最後にシグナルを出した反応は残っていますが、どこに存在しているのかがわかりません。
これを探し出さなければなりません。
●第三章
皆さんがたどり着いた先にいたのは、一体の強力なオブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』でした。
ですが、その腹部からは絶え間なく触手を全身から生やした『オメガケンタウルス星人』がこぼれ落ち続けています。
まるで母体である『スペースヴァンパイアレディ』を守るかのようにうろついており、皆さんに襲いかかるでしょう。
生まれ落ち続けるオブリビオンともどもにこれを撃破しなければなりません。
それでは、無限に広がる大宇宙を舞台に皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『オメガケンタウルス星人』
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POW : スペース騎馬盾叩き
自身の【特殊超合金製の対ビーム盾】に【膨大なスペースエネルギー】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : スペース騎馬槍投げ
【膨大なスペースエネルギー】を宿した【特殊超合金製の炸裂槍】を射出する。[特殊超合金製の炸裂槍]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
WIZ : スペース騎馬突撃
【宇宙をも駆けるスペース騎馬軍団による突撃】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
イラスト:はちなな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『惑星バブ』の荒野を砂塵舞い上げながら疾駆する人馬の姿があった。
あれなるは『オメガケンタウルス星人』。
かつて略奪によって銀河一つを手中に奪い、収めた星人たちである。
その人馬たる体躯が生み出す速度は凄まじく、圧倒的な機動力でもって『惑星バブ』の人々に襲いかからんとしていた。
「う、ア、お、オ、グ……」
だが、その口からこぼれ出るのは苦悶の声であった。
そう、甲冑の隙間から溢れるようにして『白濁した触手』が蠢いている。
それは針を持ち、うねるようにして動いている。まるで獲物を捜しているかのようであったし、触手が動く度に『オメガケンタウルス星人』の上半身が痙攣するように動くのだ。
そう、もはや彼等は生物であって、生物ではない。
白き怪物。
『ピルグリム』によって『刻印寄生』された異形なるもの。
憐れなる存在であるが、彼等はその触手でもって己と同じ存在を生み出そうとするように荒野を疾走り、『惑星バブ』の人々を犠牲にしようとしている。
「な、なんだよあれ! 触手……!?」
「ま、まさかあれって……『ピルグリム』だっていうのか!?」
「い、いやだ! 逃げろ! 逃げろおお!!」
『惑星バブ』の人々は『ピルグリム』の恐怖を知っているのだろう。
体内に産卵管を埋め込まれれば、絶命するしかない。
痛みと苦しみに悶え、狂うようにしながら死ぬしか無い運命など到底受け入れられるものではない。
だが、『オメガケンタウルス星人』たちには、そんな拒絶も受け入れられるわけもない。
己たちと同じものを生み出すため。
ただそれだけのために、彼等は『白濁した触手』を唸らせ、人々を襲うのだ――。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「“賊”と言えども憐れ…その苦悶から解放しよう」
『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』でファンネルビットを創造して展開し警戒・捜索・索敵・連絡ビットを飛翔させて退路などを住人に知らせながら防御ビットと攻撃ビットで“賊”の攻撃を防ぎながら殲滅を計ります。
住人で危険や退避に間に合わないならファンネルでテレポート退去を手伝いながらレーザービームで先制攻撃しクリアボディ+アストラル・エレメント・ヴェールで透明化し視聴嗅覚を阻害しながら的確な敵の各個撃破を仕掛けます。周囲に猟兵が存在するなら連携と連絡を取って最適で効果的な攻勢を務めます。
「“寄生獣”を駆逐し殲滅する」
『惑星バブ』の大地を疾駆する人馬。
その身にまとう甲冑は強靭にして強固。
されど、その鎧下から這い出す『白濁した触手』は、彼等が既に『刻印寄生』によってピルグリムの産卵管を撃ち込まれている証左に他ならない。
呻くような声は、たしかに彼等が生きている証拠であろう。
しかし、すでに彼等の――『オメガケンタウルス星人』たちの運命は決定している。
そう、痛みと苦しみの果の死。
己が腹から食い破るようにして生まれる『ピルグリム』たち。
それによって絶命する運命しかないのである。
「“賊”と言えども憐れ……その苦悶から開放しよう」
ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は『オメガケンタウルス星人』たちから放たれる炸裂槍の一撃が己に迫る光景を見やりながら、静かに呟く。
そう、これは開放のための戦いである。
適切対応可変型サイコミュ・ファンネルビットが、ティティスのユーベルコードの輝きとともに射出される。
想像された子機は一気に空を駆け巡る。
放たれる光条が、ティティスに迫る炸裂槍を貫き、空中にて爆散せしめるのだ。
「当たらなければ無意味……住人たちへの危機があるのならば、此処で全て迎え撃つのみ」
『ピルグリム』の『刻印寄生』が刻まれた『オメガケンタウルス星人』たちの強みは、その速度と機動性である。
人馬そのものたる彼らにとって荒野こそ本領を発揮する戦場となるだろう。
ならばこそ、ティティスは距離を取れる内にこそ、ファンネルビットでもってこれを迎撃するのだ。
光条が乱舞し、迫りくる『オメガケンタウルス星人』たちの体を貫く。
寄生している体が危機に陥ったことを理解したのだろう、その腹から蠢く触手が一斉にティティスを排除……いや、その体を母体とすべく、鋭き針でもって襲い来る。
「なるほどな。生命体と見れば見境なく襲う……そして産卵管を埋め込む、か。それがかの白き怪物『ピルグリム』の特性か」
ティティスはレーザービームの光条が乱舞する戦場にありて、落ち着いていた。
周囲の状況は理解している。
人々に襲いかからんとする『白濁した触手』が全て己に向けられているのならば、逆に好都合であるとさえ思っただろう。
迫りくる触手を焼き切る光条。
ユーベルコードに輝く彼女の瞳が、その切っ先を逃すことはない。
「他の猟兵は……まだ転移していない。ならば」
ティティスは猶予無き時間をこそ守るために周囲にファンネルビットを展開する。
敵は多く、そして厄介な性質を持っている。
ならばこそ、ティティスは人々を守るための戦いをこそするのだ。
「“寄生獣”を駆逐し殲滅する」
宙を舞うファンネルビットが放つ光条が乱舞し、ティティスの座す一線より先を超えさせぬと『オメガケンタウルス星人』たちを穿ち、撃滅していく。
「ぐ、ォ、ア――」
「憐れ、とは思う。だが、君たちがもたらす災厄の意味を考えれば、それさえも圧してしまえわねばならぬと知っている」
ティティスはユーベルコード輝く瞳のままに子機たるファンネルビットを操り続け、光条の壁と化した護りでもって白き怪物……銀河さえ滅ぼしかねぬ災厄の種をこれ以上まきちらせはしまいと、『惑星バブ』の荒野に立ち続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡宮・ノエル
あ、この間来た惑星だね?いい本に出会えたんだ。
そこが大変なことになりかけてる、か…。
そのピルグリム?ってやつは詳しく知らないけれど、寄生って嫌なものだね。
さて、ヴァーイに乗って行こう。【神の手】で援護するから、その速度も回避も頼むよ。
万一のときは、『桜學府制服・和』による錯誤で位置を間違えさせる。
僕はレグンレグナとソーリグクラートで連射攻撃だよ。
ここで負けるわけにはいかないんだよね。寄生された人たちを『解放』するってのもあるけれど。
だからさ…連射も多くするってものだよ。
『惑星バブ』は一度、オブリビオンによる襲撃を受けている。
巨大隕石による滅び。
それを猟兵達の働きによって回避したのだ。
けれど、再び平穏なる『惑星バブ』に脅威が迫っている。
それもただの滅びではない。
かつて、白き怪物『|巡礼者《ピルグリム》』と呼ばれた存在が、オブリビオンに寄生することによって増殖しようとしているのだ。
「寄生って嫌なものだね」
鏡宮・ノエル(よく圖書館にいる學徒兵・f38658)は、『ピルグリム』のことを詳しくは知らない。
グリモア猟兵からの説明をかいつまんで聞いただけだ。
生命体に寄生し、増殖していく怪物。
その増殖速度の凄まじさは言うまでもない。
この広大なるスペースオペラワールドであってさえ、彼等を放置すれば尽くが亡びる。その恐ろしさを知るのならばこそ、『ピルグリム』は確実に葬り去らねばならないのだ。
「この間来た惑星が大変なことになりかけている、か……なら、助けないといけないね。此処には良い本があるんだ。それに、また新しい本との出会いがあるかもしれない」
ノエルは、大狼『ヴァーイ』に跨り、『惑星バブ』の荒野を走る。
迫るのはオブリビオン『オメガケンタウルス星人』だ。
彼等は人馬の体を持ち、その超技術でもって作られた甲冑を纏っている。
手にした炸裂槍の投擲は、凄まじいエネルギーを持って迫る敵を薙ぎ払う。オブリビオンになるまで彼等が多くの銀河系でもって略奪を繰り返してきた事実を顧みれば、脅威というほかない。
だが、それ以上に脅威であるのは、その甲冑の下から蠢く『白濁した触手』である。
その全てに針が備えられ、その針こそが産卵管であることをノエルは知るだろう。
「『ヴァーイ』、頼んだよ」
跨る大狼首元をなで、ノエルが告げる。
瞬間迫る投擲されし炸裂槍の爆風がノエルたちを襲う。
大地を蹴って俊敏に、それこそ飛ぶように走る『ヴァーイ』は爆風を物ともしない。
「ん……! 来るよ!」
ノエルの手にしたリボルバーと拳銃が火を噴く。
弾丸が『ヴァーイ』に迫る『白濁の触手』を撃ち抜き、寄せ付けない。
交錯した一瞬で襲い来る触手は、油断ならない。
あの針の一撃を受けてしまえば、産卵管が埋め込まれ、寄生された生命体は絶命するしかなくなるのだ。
絶対に受けてはならない一撃をノエルは、銃弾で持って弾き、また撃ち抜くのだ。
「ここで負けるわけにはいかないんだよね」
敵はオブリビオン。
けれど、それ以上に『ピルグリム』によって『刻印寄生』でもって新たなる犠牲者をだそうとしている。
この『惑星バブ』の人々を彼等の触手に晒すわけには行かない。
「それにあなたたちを『解放』するってのもあるけれど……」
ノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
神の手(グッドゥ・ハン)は、ノエルの手にある『卵形の宝石』に溜め込まれた神力を発露し、彼の手にした拳銃の銃口が取られた『白濁した触手』を的確に撃ち抜く。
さらに『オメガケンタウルス星人』たちさえも一瞬で撃ち抜いて、撃滅していくのだ。
「これが見えざる手、とかかな。そういうのって、あるじゃない。だから、あなたたちの行動は全部僕には届かないんだよ」
ノエルは『ヴァーイ』と共に『オメガケンタウルス星人』たちをひきつけ、荒野を走り抜ける。
自分たちに注意が惹き付けることができたのなら、『惑星バブ』の人々が襲われる可能性も低くなるだろう。
後は自分たちが『白濁した触手』もつオブリビオンたちを倒し切るだけだ。
一体も残してはならない。
ただの一体から即座に数を増やし、簡単に銀河系一つを滅ぼしうる存在。
それが恐ろしき怪物、『ピルグリム』なのだ。
「これは……優しい物語とは言えないよ。だから、ここで全部終わらせなければいけないんだ」
ノエルは唸るようにして己に迫る『白濁した触手』を撃ち落としながら、荒野を疾風のように駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
サタニア・ダイモーン
ピルグリムか。かなり長い間見なかったので殲滅に成功したのかと思っていたが残っていた様だな。
アレは危険だ。惑星バブには何の義理も所縁もないが存在が確認された以上、滅ぼしておかなければな。
『魔術術式Ⅰ』で漆黒の鱗を持つ暗黒竜に変じます。
空中から極限まで威力を減退させたブレスでピルグリムに侵されたオメガケンタウルス星人を駆逐していきましょう。
人々の避難に興味はなし。とは言え悪戯に傷つける趣味もなし、ということでブレスを放つのは混戦状態の場所を避け、オメガケンタウルス星人だけを滅ぼせる場所を狙って放ちます。
細かい救助は他の猟兵がやるだろう、という割り切り。
白き存在。
意思疎通不可能なる侵略者。
数々の仇名で呼ばれる存在、それが白い怪物『ピルグリム』であった。
彼等の恐るべき点は、その増殖力である。
一体残るだけで再び圧倒的な数を増やしていく。生命体であれば、如何なる存在であろうと関係なく、産卵管たる針を突き立て寄生した存在の腹を食い破って増えていく。
際限なく。
どこまでも増えていく。
ただ増えることだけが目的であるという家のように、彼等は生命体を拠り所にして、増え続けるのだ。
その恐ろしさは言うまでもない。
『惑星バブ』を襲ったオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちもまた、その犠牲者であるといえるだろう。
彼等の超技術の結晶たる甲冑も、『ピルグリム』にかかれば無いも同然である。
生身の部分に針を撃ち込まれれば、産卵管を埋め込まれば腹を食い破って『ピルグリム』たちは寄生した宿主を絶命せしめる。
それは猟兵であっても変わりな意事実であった。
「『ピルグリム』か」
サタニア・ダイモーン(暗黒竜・f39306)は黒き六対の翼を広げ、『惑星バブ』に降り立つ。
未だ猟兵達の活躍によって『ピルグリム』の跋扈は食い止められているが、いつまた『ピルグリム』が爆発的に増殖するとも限らない。
彼女のこれまでの人生においても長い間『ピルグリム』の存在は確認出来ていなかった。
スペースオペラワールドに置いても、『ピルグリム』の存在は脅威そのもの。
多大な犠牲を払って殲滅したはずだった。
「だが、それでも取りこぼしていたか。広大なる宇宙にあっては仕方のないことであったのかもしれないが……」
危険であることをサタニアはよく理解していた。
この『惑星バブ』には何の義理も所縁もないが……『ピルグリム』の存在が確認された以上、滅ぼしておかなければな」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「ハル・シラニ・ナン・ゴドワタ」
魔神術式 Ⅰ(スコタディ・ドラコーン)によって彼女の姿が無敵の『暗黒竜』の姿へと変じていく。
その姿に『オメガケンタウルス星人』たちは本能的に悟ったのだろう。
サタニアの変じた『暗黒竜』の口腔に湛えられたエネルギーの奔流を。
構えた盾から凄まじいエネルギーが発露する。
構え、己達の身を守ろうとする彼等をサタニアは睥睨する。
「無駄だ」
サタニアにとって近隣の住人たちの避難に興味はない。
けれど、徒に傷つける趣味もない。
確かに己の力は恒星を破壊するほどの威力を持っている。
だが、分別というものもまたサタニアは弁えている。極限まで威力を減退させたブレスが『オメガケンタウルス星人』たちの構えた盾ごと吹き飛ばす。
「『ピルグリム』……ただの一体だけでも残せば禍根となって世界を滅ぼす。過去の犠牲を憂うわけではないが」
だが、危険であることは変わりない。
吹き荒れる恒星を破壊するかの如きブレスでもってサタニアは『オメガケンタウルス星人』たちを吹き飛ばす。
自分自身が住民たちを救助する気はない。
「細かい救助というのは猟兵に任せればいい。見ての通り、私の力は加減が難しいのでな」
強大なる力。
圧倒的なまでの破壊の力であっても、『ピルグリム』は滅ぼしきれなかった。
今度こそ滅ぼさなければならない。
ただの一匹も残しはしないと、サタニアの放つブレスは『惑星バブ』の地表を舐めるように広がっていき、『オメガケンタウルス星人』たちの体から蠢く『白濁した触手』ごと焼き払っていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
触手……。
メイドに触手はかなりの危険度。
だけど今日はだいじょうぶ。
なぜならもっと危険なクノイチさんがいるから!
触手にクノイチは世界の摂理だし、今日は動画撮影が捗っちゃうね!
と、今回はマジモンのカメラ担いでサージェさんを……。
え? 『見せられないヨ』案件で、垢バンされちゃう?
それに一般の人にも迷惑がかかちゃう?
そっかー。ならしかたない。
ま、サージェさんのチョコパイは触手にはもったいないね。
【M.P.M.S】を設置して斉射。
サージェさんのブラックホールに触手群を追い落としていこう。
あ、でも【偽装錬金】で触手作ってみて、
サージェさんにちょっと悪戯、とかはしかけてみたいかも?
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、触手が天敵とかそんなことないもんっ!!
いやガチでダメだと思うんですよ触手にクノイチとか
色が白濁とか本当、最悪な相性だと思います
そう思いませんか理緒さん!?
あるぇ?!カメラナンデ?!
メイド人気の方が高いですよ!?
ま、とにかく一般の人に犠牲が出るのは良くないと思うので
クノイチ全力いっきまーす!!
ミルクがけチョコパイとかカロリー高すぎ!!
【VR忍術】ブラックホール付き落とし穴の術!!
騎馬隊には落とし穴
基本ですね
空飛ぶのでブラックホールで吸い込みたいと思います
触手など当たらなければどうということはない!
ひゃうぅっ?!
理緒さーん!!(てしてしてしてし
広大に広がる大宇宙に木霊する声がある。
そう、もはやお馴染み。
これがないと始まった気がしない前口上ってやつである。
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、触手が天敵とかそんなことないもんっ!!」
いや、ある。
大いにある。
だいたいの女性の敵。
それが触手である。偏見であることは否めないし、肯定しよう。だがしかし『惑星バブ』には今、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)というクノイチと、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)というメイドの可愛らしい二人組がいるのである。
ここで触手が向かわねば無作法というものである。
いや、とうの『ピルグリム』の『刻印寄生』が為されたオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちはそんなことまるで考えていない。
ただの主観である。
第三者的視点から見た時、まあ、そういう感じに見えなくもないよなぁってなるだけである。
「触手……」
理緒にはそれはわかっていた。
メイドに触手はかなりの危険度。鴨が葱を背負って来るアレくらいアレである。しかしながら、それはメイド単体であればの話である! そうかな?
「なぜならもっと危険なクノイチさんがいるから! 触手にクノイチは世界の摂理だし、今日は動画撮影が捗っちゃうね!」
確実に違う目的にすり替わっているメイドの理緒であるが、そんな理緒にまだ理性残っている感じのクノイチであるサージェは思わずツッコんでいた。
「いやガチでダメだと思うんですよ触手にクノイチとか色が白濁で本当最悪な相性だとお思いますそう思いませんか理緒さん!?」
『オメガケンタウルス星人』の甲冑の下から這い出す『白濁した触手』がサージェに襲い来る。
さらに『オメガケンタウルス星人』たちの膨大なエネルギーを湛えたシールドから発露する衝撃はサージェは翻弄される。
更に悪いことには『惑星バブ』の人々を避難させなければならない。
それほどまでに『ピルグリム』の触手は脅威なのである。産卵管を植え付けられては、猟兵であってもオブリビオンであってもか関係なく壮絶な死が待っている。
理緒やサージェが考えているような、まだ生命がある感じのあれそれどれそれではないのである。マジのマジで! ヤバイのである!
「え?」
そんなサージェと天の声的なあれの言葉に理緒はマジモンのカメラを担いで振り返っていた。
照明付きの、まじでデカイカメラである。
その筋の人です、と言われた信じてしまいそうなほどのカメラ。
むしろ、それどうやって手に入れてきたのであろうか。
偽装錬金(ギソウレンキン)である。理緒のユーベルコードは見たことがあるものであれば、造り出してしまう。
「あるぇ?! カメラナンデ?! メイド人気のほうが高いですよ!?」
サージェは必死に抵抗している。
迫りくる触手を切り裂き、蹴り飛ばし、『オメガケンタウルス星人』のユーベルコードを躱して、それはもう七面六臂の大活躍である。
そんなサージェを理緒はカメラで追っている。
「そうかな? あー、触手さん惜しいね!」
「どっちがどっちの応援してるんです!?」
「いけ! そこだー! がんばえー!」
緊張感がない戦いが続く。
「みるくがけちょこぱいとかカロリー高すぎ!!」
「そっかー『見せられないヨ』案件で、アカウントBANされちゃうー?」
それならしかたないなーと理緒は担いだカメラを下ろす。
しかたない。とてもしかたない。
サージェのチョコパイは触手にはもったいないと理緒は頷く。漸くやる気になってくれた理緒の言葉にサージェはやっと、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「もうっ、ほんとうに遅いですよ! でもしかーし! 騎馬には落とし穴! 基本ですよね! というわけで!」
VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)。
専用メモリをコンソールにインストールする。
術の名は『ブラックホール付き落とし穴の術』! もう術の名前が全部説明してくれている!
そう、大地に穿たれた落とし穴は確かに人馬たる『オメガケンタウルス星人』たちにとっては脅威。
だが、あるとわかっていたら躱せばいいのである!
しかしながら!
「ブラックホールがついてれば吸い込んじゃうもんね! そしてわたしがミサイルランチャーで追い込んじゃえばー?」
理オンお言葉通り、『オメガケンタウルス星人』たちは理緒の放つミサイルランチャーの砲撃によって走るコースを制限されてしまう。
そうなれば、ブラックホールは掃除機よろしく彼等を吸い込んでいくのだ。
「触手など当たらなければどうということはない!」
クノイチ賢い強いかわいいヤッター!
だが、そんなサージェの足元に迫る触手があった。それはぬるっとつるっとすべっとサージェのあんよに絡みつく!
「ひゃうぅっ?!」
「あーいいよ、いい顔だよーサージェさん」
振り返れば、そこにあったのは理緒の良い笑顔であった。当たり前のようにカメラが向けられている。
そう、ユーベルコードで作っていたのはカメラだけではないのだ。
そう、触手だって。ユーベルコードならね!
「理緒さーん!!」
てしてしてしてしデヘヘ!
そんな声が『惑星バブ』に緊張感なく響き渡るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
なんの納得ですか!?
そしてどんなプレイですか!?
さすがの勇者でも、そのファン層にはお応えしたくないですよ!
だいたいステラさんのほうが、なんといいますか、その、
ファン多そうなスタイルじゃないですか!
って、いやそれもどうかな、と思うのですが。
え?……なんだかすごく不穏なセリフが聞こえました!?
盾も蜂の巣ものーさんきゅーです!
慌ててステラさんに飛び乗……って、あれ?
これ、盾にされる危険は変わらないどころかアップしてません?
なんだか最近耳栓されたり盾にされたり、扱い酷い気がします……。
勇者だって傷つくんですよ!
【勇者の憂鬱】を発動させて、周囲から吸い取った幸運で逃げ回りたいと思います!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
……なるほど?
ルクス様の触手プレイが見たいというコアなファン層がいるのですね?
敗北勇者強制触手苗床、みたいな
え?私ですか?
私は、その、エイル様の子供しか産みませんので(ぽっ)
まあいざとなればルクス様を盾にすることは決定事項としつつ
アレに対処せねば一般人の犠牲が出てしまいます
早急に排除しましょう
というわけで【ガレオンチェンジ】です
空から【エールプティオー・プルウィア】で一掃です
ルクス様、乗り遅れると蜂の巣にされますよ
色んな意味で
盾は酷いと言われても耳栓は自然の流れだと思うのですが??(宇宙メイド顔
油断してると突撃されそうですね
常に移動しつつ
高い位置のポジション有利を取りましょうか
「……なるほど?」
他の猟兵達の活躍という名のなんかそういうあれをみていたステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はなるほどなーと呟いていた。
なるほど、そういうのもあるのか。
そんな具合である。
「なんの納得ですか!?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、はちゃめちゃに嫌な予感がして思わずステラを見る。
メイドの顔は、なんかあれであった。
「ルクス様の触手プレイが見たいというコアなファン層がいるのですね?」
別に美少女勇者のルクスならコアでもなんでも無い気がしないでもないのであるが、まあ、この話には関係ないので置いておくとする。
「どんなプレイですか!?」
字面だけ見たら、あれ、ルクスさん興味津々? となるような発現であるが勇者ルクスの名誉のために言っておく。
ツッコミである。
「はいぼくゆうしゃきょうせいしょくしゅなえどこ、みたいな」
「さすがの勇者でも、そのファン層にはお応えしたくないですよ!」
当然である。
ステラはなんとなく頷く。まじで何の首肯なのかわからんとルクスは半眼になる。
「大体ステラさんのほうが、なんといいますか、その、ファン多そうなスタイルじゃないですか!」
「え? 私ですか? 私は、その」
なんか急にしおらしくなるメイド。そこだけ見たらまじで美少女有能メイドなのである。
「『エイル』様の子供しか産みませんので」
ぽっ。
ぽっ。じゃないが? そういうとこやぞ。
「……いや、それもどうかな、と思うのですが。っていうか、そんなことしている場合じゃないですよ! 人馬のうねうねがきてますよ!?」
ルクスとステラの毎度おなじみのやり取りを邪魔するかのように『惑星バブ』の荒野を走る人馬のうねうねこと『オメガケンタウルス星人』の姿が見える。
あの『白濁した触手』に捉えられてしまえば、如何なる猟兵であろうと壮絶なる死は免れない。
それほどまでにあの触手、『刻印寄生』は危険な存在なのである。
銀河一つ容易く滅ぼして見せることができるというのは語弊でもなければ、大げさでもないのである。
「まあ、いざとなればルクス様を盾にすることは決定事項としつつ」
早急に排除しなければならない。
ステラは飛空艇の姿に変身し、『オメガケンタウルス』たちを空から一層しようと飛び上がる。
「……なんだかすごく不穏な台詞が聞こえました!?」
「ルクス様、乗り遅れると蜂の巣にされますよ。色んな意味で」
どんな意味で!?
「盾も蜂の巣ものーさんきゅーです!」
ルクスは慌てて飛空艇に変身したステラに飛び乗る。
しかし、危険度は変わらないのである。盾にされるとかされないとか些細な問題なほど、勇者の憂鬱(ユウシャノウラノカオ)は募るばかりである。
最近、ステラのルクスに対する扱いが雑な気がするのである。
耳栓されたり盾にされたり、とても酷いのである。勇者だって傷つく時は傷つくのである。
そう、ストレスフルなのである!
勇者とは人々の希望やら願いやら祈りやらを一身に受けて戦うもの! ならばこそ、彼女の心に掛かる負荷はとんでもないものである。たまにそうなのかなーって思う時もあるが、最近のステラの扱いは目に余るほどにアレなのである。
そんなストレスが彼女のユーベルコードとして発現し、『オメガケンタウルス星人』たちの元気やら運気やら、ポジティブなもの全てを根こそぎ奪い取って己の幸運とするのだ。
「盾は酷いとは思いますが、耳栓は当然の、自然の、それこそ真理的な流れだと思うのですが?」
ステラの宇宙メイド顔が見えるようであった。
そんなにストレス溜まっていたのだろうかとステラは思わないでもない。
だが、耳栓はガチである。
だって、そうしなければルクスの演奏は耳栓すら突き抜けてくるのである。
メイドにはメイドの言い分があり、勇者には勇者なりの理由があるのである。ならばこそ、二人のやり取りは平行線である。
「それはそれとして! 天使核誘導弾、装填。さあ、サーカスの開幕です!」
ステラはルクスの憂鬱により、あらゆる幸運をバフったユーベルコードのエールプティオー・プルウィア……すなわち、天使核より生成したミサイルを解き放ち、大地を疾駆し、迫る『オメガケンタウルス星人』たちを滅ぼす。
触手の一片すら残さぬ勢いの爆撃は、此処が『惑星バブ』の荒野でよかったと思うべきであろう。
「後でしっかり演奏聞いてもらいますからね! わたしのとっておきですよ!」
ルクスの言葉にステラは今度こそ自分の鼓膜が持たぬ時が来ているのかも知れないと、そんなふうに思いながら、天使核ミサイルが荒ぶ爆音の中で聞かぬふりをするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
大町・詩乃
一体だけでも逃げ延びたら、あっという間に増殖して猛威を振るうなんてゴ●ブリみたい…。
いえ、殺されてしまう分、もっと性質が悪いですね。
バブの皆さんを護らないと。
近づくと危険なので、《煌月舞照》で遠距離から包囲殲滅を図りますよ。
煌月の複製に炎の属性攻撃を籠めての(鎧の隙間を貫く)貫通攻撃・鎧無視攻撃で倒していきます。
バブの住民の皆さんには退避を呼びかけます。
必要に応じて結界術・高速詠唱で作った防御壁で相手を足止めしたり、天耀鏡による盾受けで自分も住民も護る。
オーラ防御も纏います。
近くまで来た敵は念動力・範囲攻撃・捕縛でまとめて金縛りにして、炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で焼き払います!
白き怪物『ピルグリム』。
意思疎通不可能。
その怪物は、此処スペースオペラワールドにおいても災厄の名として知られている。
嘗て多大なる犠牲を払って殲滅されたはずの『ピルグリム』たちは、やはり何処かで潜伏していたのだろう。
「一体だけでも逃げ延びたら、あっという間に増殖して猛威をふるうなんて……」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は思わずGなあれなあれを想起して身震いしていた。
一匹見かけたら三十はいると思えというあれである。
こんな時に『ピルグリム』ほいほいがあったのならばよかったのに、と思わないでもない。
一撃必殺『ピルグリム』ほいほい。
そんな商品があったのならば、どんなに良かっただろうか。
しかし、『ピルグリム』はそんな甘い相手ではない。
Gで黒くて素早いあれよりも脅威であるのは、生命体であればなんであれ『刻印寄生』でもって産卵管を埋め込み、その宿主を食い破って増殖する点にある。
あの触手の針を撃ち込まれて助かる生命はないのである。
「『惑星バブ』の皆さんを護らないと」
詩乃は、瞳をユーベルコードに輝かせる。
荒野をゆくオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちは人馬。
その超技術によって作り出された甲冑の下からは蠢くようにして『白濁した触手』がうねり、獲物を求めている。
彼等はユーベルコード以上に、その触手でもって獲物に針を突き立てることを優先している。
ならばこそ、詩乃は己のユーベルコードで遠距離から包囲殲滅することを選ぶのだ。
「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」
煌月舞照(コウゲツブショウ)たるユーベルコード、詩乃の神力でもって想像した薙刀の群れが一斉に『オメガケンタウルス星人』たちを取り囲む。
千を超える薙刀の群れが、一斉に幾何学模様を描きながら複雑に飛翔する。
如何なる超技術で生み出された甲冑であろうとも、詩乃の神力を込めて複製されたオリハルコンの薙刀の刃は、それらを飴細工のように切り裂き、その身の内にある触手ごと切り裂いて霧消させていくのだ。
「後は……いえ、まだですね!」
詩乃は此処が荒野であれ、人が存在してるかも知れないという懸念を捨てきれなかった。
だからこそ、彼女は大地を疾駆するオブリビオンの姿を捉える。
彼等は敵を、生命を奪うというより、己達の増殖、その礎にしようとする行動を優先する。それ以外は必要ないと言うかのように追い立て、必ずその触手の針を打ち込んでは生命を己たちが増殖する糧にしようとするのだ。
「逃げ遅れた方はいらっしゃいませんね!」
念動力で『オメガケンタウルス星人』の脚部を縛り上げながら、さらに己に迫る触手の一撃を結界術の障壁で受け止める。
敵の構成はユーベルコード以外は大したことはない。
あの触手の一撃に気を取られて、ユーベルコードへの対処が疎かになれば、必ず隙を突かれて触手の一撃を受けてしまうだろう。
詩乃の行動は攻防において優れていたといえるだろう。
我が身を護り、そして『惑星バブ』の人々に累が及ぶことのないように触手の興味を己に引き付け付ける。
「グ、ォ、あ、ああ――」
寄生された『オメガケンタウルス星人』たちの呻くような、苦悶の声のような音が響き渡る。
それはもう悲鳴ですらなかった。
ただの生物的な反応でしかなかったのだ。
だからこそ、詩乃はためらわずに飛翔する薙刀の一閃でもってこれを切り裂く。
「此処は私達が護ります。どれだけ白き怪物『ピルグリム』の脅威があるのだとしても!」
犠牲になる生命などあってはならないと詩乃は神力の発露を持って『ピルグリム』に『刻印寄生』された『オメガケンタウルス星人』たちをひきつけ、撃滅し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
烏護・ハル
……ヤな感じ。
ならず者とかの方がまだ可愛いじゃない。
式神さんを多数召喚。
半数程に結界を編ませ、住人の避難まで時間稼ぎを任せる。
残る半数には結界とオーラでの防御や、呪殺弾で援護をしてもらう。
相手なら私たちがするわ。
……楽に喰えるとか思わないで。
残像やフェイント、第六感や気配感知を駆使して針を回避。
躱しきれなければ盾で受け流す。
一撃でも喰らえば拙いものね……!
大地に転がるあれこれ、呪符そのもの、敵の放った質量攻撃さえも、UCで支配。
即席の弾丸、刃に仕立て上げ、降らせる。
式神さんにも呪殺弾で追撃してもらう。
ここに踏み入ったのが間違いだと教えてあげる。
……呑まれなさい!
式神さんも!遠慮なくブチ込んで!
オブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちの呻くような、苦悶の声のような、そんな唸り声が『惑星バブ』の荒野に響いている。
「う、グ、ごっ、ア……」
もはやそれは、生物的なただの反応でしかなかった。
意志は感じられず、その超技術の結晶たる甲冑の下から覗く、蠢く『白濁した触手』は、ただ己達の増殖を目的とするように生命体を求めていた。
その触手の先にある針こそが産卵管である。
どんな生命体であれ、その針を撃ち込まれれば、寄生されて、いずれは腹を食い破るようにして生まれる『ピルグリム』に殺されてしまう。
その痛みは壮絶なるものであったことだろう。
どんな強靭な肉体を持っていたとしても関係ないのである。
「……ヤな感じ」
思わず、烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は『オメガケンタウルス星人』たちと対峙して呟いていた。
白き怪物『ピルグリム』。
その実態は、数多の世界を渡り歩いてきた陰陽師であるハルをして悪辣と言わざるを得ない生態を持っていた。
ならず者の方がまだかわいいと思えてしまうほどである。
だが、それで逃げ帰ることなどない。
ハルは幼き頃から多くのものを失ってきた。両親と兄弟弟子たちと。多くの家族というものをオブリビオンとの戦いで失ってきた。
『ピルグリム』の来訪したこの『惑星バブ』でも己と同じ境遇が生み出されようとしている。
誰一人として失ってはならない。
彼女は残像を残すように高速で戦場となった荒野を走り抜ける。
式神たちを多数召喚し、結界を編ませながら住人たちの避難の時間を稼ぐ。
「お願いね、彼等は絶対に護らないといけないから」
ハルは放たれる炸裂槍の爆風を式神が編み上げた結界で防ぎながら、呪殺弾でもって応戦する。
爆風の中から触手が迫りくる。
「……ッ! 一撃でも喰らえば拙い……!」
恐るべきことである。
ただの一撃が致命傷になる。そして、その致命傷は、不可逆であるからこそ脅威なのだ。
たった一刺し。
それだけで強靭な肉体など無用の長物とばかりに『ピルグリム』は食い破って増殖し、あらたなる犠牲者を生み出す。
そう、オブリビオン『オメガケンタウルス星人』のように、この『惑星バブ』の人々も死んでしまうかもしれない。
また多くがハルの掌の間からこぼれ落ちてしまう。
「そんなことをさせないために私は……!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
式神が織り成した結界が触手の一撃を受け止める。既のところで止まった針をハルは見ただろう。
けれど、彼女の瞳は輝き続ける。
失い続ける恐怖ではなく、守るべきものを見定める光満ちた瞳がユーベルコードを発露させる。
「飲まれなさいっ!」
ばらまかれる符。
それは転移術式を施した符であり、戦場に呪符の嵐を撒き散らす。
それらは一瞬で周囲にあった岩や、他の猟兵によって撃破された『オメガケンタウルス星人』たちの甲冑の破片すらも硬度を帯させ、己に迫りくるオブリビオンを取り囲む。
いや、押し寄せるのだ。
全ての無機物を支配するかのようなハルのユーベルコード。
敵の放った炸裂槍すらも全て彼女が支配する。
「此処に踏み入ったのが間違いだと教えてあげる」
彼女の掲げた掌が振り降ろされた瞬間、支配された全ての無機物が刃となり、弾丸となって一気に『オメガケンタウルス星人』たちに降り注ぐ。
「式神さんも! 遠慮なくブチ込んで!」
その言葉に呼応するように呪殺弾が奔る。
そう、ハルは見つけたのだ。
己がすべきこと。
生き残り、悲嘆にくれることもあっただろう。家族も家族同然のものも奪われた。失った。
けれど、それでも彼女は、彼女自身に紡がれてきたものを護るために戦う。
それこそが。
「私のすべきこと!」
今、『惑星バブ』に濤式(トウシキ)たる符が嵐のように舞い散る――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
任務了解、作戦目標「ピルグリム殲滅」…
ミレア・ソリティス、出撃します
敵との距離があるうちにジャミングミサイルでのジャミングを展開しその後アクティブステルスを起動、
同時に自身を対象に【コード・アルクス】を発動して私自身におよそ12mの重機動外装ユニットを装備させ、無機物変換と仮想物質実体化を用いて多量の戦闘機械を生成・配備
敵がこちらを認識し突撃を行う前に敵密集地点へとノヴァ・バスターによる砲撃を行い、
散開した各敵個体をLレンジブラスターで狙撃、接近を試みる敵には各種防衛火器と『ヴィントシュティレ』での弾幕で迎撃し、残りは戦闘機械群による物量戦にて包囲・殲滅を試みましょう
『ピルグリム』は撃滅せしめなければならない。
その認識はスペースオペラワールドにおける共通認識であったことだろう。
一匹でも残せば、其処からたちまちに銀河全体を震撼させるほどの脅威へと膨れ上がってしまう。
嘗て多大なる犠牲を払ってでも殲滅した生き残りがあったことを今は悔いる時間など無い。
『惑星バブ』に降り立ったオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちの姿を見れば、もはや一刻の猶予すらないことを教えてくれることだろう。
「グ、ガッ、アア、あ、ウ……」
もはや言葉すらない。
彼等がオブリビオンであったとしても、そうでなかったのだとしても、生命体であれば『ピルグリム』は『刻印寄生』によって、その身に産卵管を穿ち、食い破るようにして成長する。
宿主に残された道は狂うような痛みと苦しみの中の絶命しか無いのである。
「任務了解、作戦目標『ピルグリム殲滅』……」
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)にとって事態は平素とそう変わらぬものであった。
いつだって彼女は機械めいた冷静さで戦場を渡り歩くウォーマシンである。
個であり軍である存在。
彼女にとって『ピルグリム』はどのような存在に映ったことだろうか。
彼等は増えることだけを目的としている。
奪うわけでも、何かを為すためでもない。
ただ増える。
それだけの一念において行動するのだ。
「ミレア・ソリティス、出撃します」
そんな彼等の一念すら今のミレアには関係がない。ただ滅ぼし尽くす。ただそのために己の力を使うのだ。
ステルス機能を起動し、己の姿を隠しながらジャミングミサイルが飛ぶ宙を奔る。
敵の攻勢はわかり易いものだ。
ユーベルコードでの攻撃より何より、『白濁した触手』による針、すなわち産卵管の植え付けを優先する。
『オメガケンタウルス星人』たちとしての意志はもはやない。
あるのは増殖、という一念のみであるがゆえに、ミレアは読みやすいと理解するだろう。
「マザー・コンピュータ、並びにヘルメスデウス・ブレインコアとの交戦データをロード、対象用の追加鎧装ユニットの構築を開始します」
彼女の体におおよそ12mはあろうかという重機動外装ユニットが展開し、覆っていく。
それはコード・アルクス。
装甲と隠密力を増加させ、さらには周囲に無人戦闘機械群を想像し、その火器でもって迫りくる『オメガケンタウルス星人』たちを寄せ付けないのだ。
例え、その重火器の雨をかいくぐる『オメガケンタウルス星人』があろうとも、彼女には近づけない。
それは鎧装事態を保護するバリア機能。
拒絶するように弾かれる『オメガケンタウルス星人』の突進はあえなく止められ、重火器で蜂の巣にされてしまうのだ。
「敵の数は確かに多いですね」
だが、ミレア戦場を俯瞰して見る。
巨大な装甲に覆われているからこそ、『ピルグリム』の針は例えバリアを抜いたとしても、届くことはない。
いわば、要塞。
それが今のミレアであった。そして、その生命体に針を打ち込むことだけを目的としている『ピルグリム』にとって、最大の障害がミレアそのものなのだ。
「ぐ、あ、ア――」
それでもユーベルコードによる突進力を強化された『オメガケンタウルス星人』たちの突進は止まらない。
バリアごとミレアを押し出そうとしてくる。
「それこそ狙い目というものです」
防衛用の拡張サブユニットが宙を舞い、空より弾幕を張り巡らせ、突進しようとする敵を殲滅していく。
確かに彼等の突進力は宇宙を掛け、銀河一つを略奪した力に相応しいものであろう。
だが、それは対人同士であればの話だ。
騎兵が要塞に勝てる道理などない。
「ロングレンジブラスターライフル……照準」
ミレアの冷静な瞳が遠方より土煙を上げて迫る『オメガケンタウルス星人』たちの群れを見据える。
此方に標的を向けたのだろう。
彼等の増殖するというただ一つの目的を逆手に取って、ミレアは『オメガケンタウルス星人』たちを要塞と化した己にひきつけ、そしてブラスターライフルの長大なる砲身を向ける。
放たれる光条が荒野を舐めるように放たれ爆炎が上がる。
「敵勢力の減退を確認……これより掃討、大元を叩きます」
ミレアは燃え盛る荒野を見やり、この事件の大元たる『ピルグリム』の母体を叩くために大型兵装と共に飛び立つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
テスティナ・ヴァシリッサ
「ピルグリム」……うっすら憶えがあるようなないような
……多分私ではない|中枢個体《コア》が記憶していたのでしょうね
産卵管除けもかねてコルピオス号に乗り、空中からサイキックガンを向け、UCを。
衝撃波をぶつけて気絶を狙いつつ思い切り吹き飛ばしていきましょう
気絶することで産卵管の動きが止まるならばコルピオスの鋏を伸ばし切断して止めを
そうでないのならば動かなくなるまで延々衝撃波で吹き飛ばし続けます
……オメガケンタウルス星人にピルグリム、情報採取したいところですが……
いえ、やめておきましょう
今の|私《ゼルガリアス》はまだ|私自身《コア》と|コルピオス《繁殖器官》を失う訳にはいきませんから
ゼルガリアス星。
それは既に失われた母星の名であったことだろう。
そして、ゼルガリアス星人もまた僅かな民しか残っていない。宇宙船でもって放浪する彼等の王女たるテスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)は、たまたま立寄った『惑星バブ』を襲う脅威、『ピルグリム』という存在の名にうっすらと覚えが合った。
「『ピルグリム』……うっすら覚えがあるようなないような……」
既視感とでも言えばいいのだろうか。
『白濁した触手』の蠢き。
『刻印寄生』によって宿主となった『オメガケンタウルス星人』。
彼等のうめき声は痛みと苦しみというより、もはや意志の欠如した生物的な反応でしかなかった。
その光景は災厄と呼ぶに相応しい。
彼女の脳裏に浮かぶ知識が湧き水のように広がっていく。まるで『ピルグリム』というおぞましき怪物を呼び水にして|中枢個体《コア》が記憶していたものを呼び起こすようでもあった。
「多分私ではないぴる……ええ、ですが、アレが如何なるものであるかわかりますぴる」
滅ぼさなければならない。
猟兵であるテスティナであるからではない。
このスペースオペラワールドに生きる者であるからこそ、『ピルグリム』は一匹残さず殲滅しなければならないと脳裏に警鐘が鳴り響くのだ。
彼女の乗艦でもある円盤型宇宙船『コルピオス号』に彼女は乗り、『惑星バブ』の空より、己のサイキックエナジーを増幅させた指向性のある弾丸を放ち『オメガケンタウルス星人』たちを撃ち抜いていく。
「あれなる触手に触れられてしまえば、それだけで生命体は絶命するしかないぴる……ええ、ならば」
円盤型宇宙船にすら迫る『ピルグリム』の触手。
それらをはねのけるためには、念動力による吹き飛ばし(仮)(サイコショック)が残当であろうと、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「少し、距離を取らせてもらいますぴる」
放つは不可視の衝撃波。
サイキックエナジーによる一撃は、放たれる触手ごと『オメガケンタウルス』たちを吹き飛ばし、気絶させる。
だが、それでも彼等の体内に蠢く触手は止まらない。
まるで別の意志が宿っているかのように蠢き、一気にテスティナに襲いかからんとする。
「……やはり『刻印寄生』は、宿主がどうであれ生命体を襲うぴる……ならば」
円盤から伸びる鋏が迫る触手を断ち切り、トドメを刺す。
本来であれば『オメガケンタウルス星人』や『ピルグリム』といった存在の情報を採取したいと願うところである。
彼女は好奇心旺盛なる王女。
多くのことを知りたいと願うのならばこそ、目の前の存在の情報を採取したい。
だが、やめておくべきだと理解している。
これがどんなに危険な行為であるのかを。
そして『ピルグリム』はそんな生命体の一分の隙にすら巧妙に入り込んで、全てを滅ぼしていく。
まるで白き怪物である己達で世界を埋め尽くさんとしているかのようですらあったことだろう。
「ええ、今の|私《ゼルガリアス》はまだ|私自身《コア》と|『コルピオス』《繁殖器官》を失う訳にはいきませんからぴる」
母星を失い、民を失ってもなお宇宙の大河を征く旅は続く。
そのためにこそテスティナは猟兵として戦う。
目の前に白き災厄たる『ピルグリム』が立ち塞がるのならば、それすらも排して進まねばならぬ道ならぬ道が目の前に広がっているのだ。
吹き荒ぶサイキックエナジーの衝撃波が迫りくる白き大群を吹き飛ばし、押し止める。
敵の数は減り、他の猟兵達の放つユーベルコードの輝きが消えた時、漸くにして『惑星バブ』の荒野に静寂が戻るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『ロストシグナル』
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POW : 最後にシグナルが送信された場所を探す
SPD : 痕跡からシグナルの発信地点を捜索する
WIZ : シグナルを受信出来るようにアンテナを張る
イラスト:ヒミコ
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『惑星バブ』の来訪した『オメガケンタウルス星人』たちの全てが荒野にて猟兵たちに倒された。
体からうごめいていた『白濁した触手』は動きを止め、オブリビオンとして消滅すると共に消えていく。
脅威はひとまず去ったと見ていいだろう
だが猟兵たちは思い出す。
『刻印寄生』。
それは『ピルグリム』が産卵管たる針を打ち込んだという証明であり、また『オメガケンタウルス星人』たちの体内から蠢く触手を見ればわかることだ。
彼等は一体『何処』で『刻印寄生』を撃ち込まれたのだろうか?
「皆様、『惑星バブ』のために戦ってくださったこと、感謝いたします」
荒野に降り立つのは、『惑星バブ』を統治している皇女『ライスメキアMMM世』であった。
彼女は猟兵達に一礼し、災厄を振り払ってくれたことがどれほどまでに感謝に耐えないことであるのかを伝えるだろう。
「『ピルグリム』の『刻印寄生』に冒された『オメガケンタウルス星人』……彼等は略奪をこそ旨とする者たち。ならば、此処でない何処かで『ピルグリム』と遭遇したと見ていいでしょう。そして……」
彼女の言葉に猟兵たちも頷く。
グリモア猟兵の予知では、『オメガケンタウルス星人』たちが乗ってきた宇宙船こそが怪しいといえる。
「はい、その宇宙船の所在は目下総力を上げて捜索しているところです。ですが、まだ発見には至っておりません……」
最後にシグナルを出したであろう電波反応は残っているのだが、それを辿ることができないでるようである。
猟兵たちのユーベルコードならばあるいは、と『ライスメキアMMM世』は期待しているようでもあった。
「……どうかお願いいたします。『ピルグリム』の存在は星の……いえ、銀河、宇宙の危機ともいえるでしょう。どうかお力をお貸しください」
手がかりはシグナルのみ。
この広大な『惑星バブ』は、荒野と竹林に覆われている。
ここから存在するであろう『オメガケンタウルス星人』の母船を見つけ出し、そこに存在するであろう母体を倒さねば、再び銀河を巻き込む白き災厄に苛まれることだろう。
やはり、事態は一刻を争う。
そのことを猟兵たちは胸に刻み、『オメガケンタウルス星人』たちの宇宙船を捜索するのだ――。
鏡宮・ノエル
さてと…まだ【神の手】は必要だな。皆と手分けしてるけど、打てる手は打っておかないとね。
よし、行こう。僕はヴァーイに乗って…ブレックもぺたぺた乗ってる。
クローカは空からの捜索になるね。
でも、総力を上げて探してるのに見つからないってことは…偽装されてるか、本当に見つかりにくいところにあるか、かな。
うん、ブレック。地中潜航してくれるかい?その方がいい気がしてきた。
大丈夫、思念は僕に届くから。
僕はこの惑星が好きでさ。だからここにいるんだけれど。
ピルグリムになんか、やらないよ。
『ピルグリム』によって『刻印寄生』を施されたオブリビオン『オメガケンタウルス星人』。
彼等の脅威は去ったが、未だ問題は解決していない。
そう、彼等が『惑星バブ』にやってきたというのならば、生身単身である可能性は低い。
人馬である彼等は宇宙船に乗って、この惑星に降り立ったはずなのだ。
その証拠に『惑星バブ』に突入した彼等の母船の発したシグナルの痕跡が残っているのだ。
ただ、そのシグナルの痕跡が惑星に突入するのを最後に途絶えているということ。
「さてと……まだ神の手(グッドゥ・ハン)はまだ必要だな」
鏡宮・ノエル(よく圖書館にいる學徒兵・f38658)は自分の手の内にある卵形の宝石から発露する神力の輝きを見下ろす。
確かに直近の脅威は過ぎ去った。
けれど、根本的な解決が為されていないのならば、ノエルは己の持てる手の全てを売って置かなければならないと考えていた。
大狼である『ヴァーイ』に再び跨るノエルを『ライスメキアMMM世』が頭を下げて見送る。
「どうかお願いいたします」
「いいんだ。僕はこの惑星が好きでさ。だからここにいるんだけれど」
「そう言って頂けて私自身も、そして臣民たる者たちも皆感謝に絶えません」
「大丈夫。『ピルグリム』になんかやらないよ」
それじゃあ、とノエルは短く一礼してから皇女『ライスメキアMMM世』と別れる。
大狼である『ヴァーイ』に跨り、また蛸である『ブレック』、そして鴉の『クローカ』と共に空と大地の両方からシグナルの痕跡を捜し始める。
『オメガケンタウルス星人』はたしかに宇宙船から飛び出してきたのだろう。
ならば、母船の存在は必須。
この広大な惑星の何処かに着陸、もしくは落着したというのならば、必ずシグナル以外の痕跡もあるはずなのだ。
「この惑星の人たちの総力を上げて捜しているのに見つからないってことは……」
通常の手段では見つからないということだろう。
目視、探索。
あらゆる手段を超技術によって『惑星バブ』の人々は『ピルグリム』の影を探すはず。それでもなお見つからないということは、あまりにも不可解だった。
「偽装されるか、本当に見つかりにくいところにあるか、かな?」
例えば地中。
ぺたぺた大狼たる『ヴァーイ』に乗っていた蛸の『ブレック』にノエルは、ぱちっと目配せをする。
「うん、『ブレック』。きっと僕と君とが考えていることは一緒だよ」
頷く所作を見せる『ブレック』が『ヴァーイ』の背から飛び降りる。
瞬間、その体が削岩機のように地中に潜っていく。
その光景を見やり、ノエルは瞳を閉じる。
手にした卵形の宝石の神力は未だ衰えない。彼の考えが正しいのならば、きっと空でもなければ、大地でもない。地中にこそ痕跡が残っているはずだからだ。
「『ピルグリム』は一匹からでもすぐに繁殖することができる……母船に母体があるのなら、きっと『オメガケンタウルス星人』たちは斥候……」
いや、違うなとノエルは思う。
斥候だとかそういう考えを『ピルグリム』は一々持たないだろう。
ならば、あれらはきっと先行した部隊のようなものだ。
「……うん、そうだよね」
ノエルは『ブレック』からの思念を受け取る。
地中に潜航して音の反響を拾っていたのだ。やはり、とノエルは理解する。
「地中、じゃない。空でもなければ、陸上でもない。これって……洞窟の何処かってことかな?」
反響するシグナルを捉えた『ブレック』。
そして、ノエルが理解する。
『オメガケンタウルス星人』たちは斥候ではなく先行部隊。
ならば、きっと今、『ピルグリム』の母体は己を守るために防衛を厚くしようとしているはずだ。
そして、この惑星の何処かに在る『洞窟』こそが、『ピルグリム』の母体の潜む場所であると突き止めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
でむぱ…。
自然神の私には難易度高めです💦
スマホをしばらく操作してみるが、(当たり前だが)そんな所に答えは無い。
途方に暮れて空を見上げると、神社に置いてきた焔天武后が降下してくるのに気づく。
「これはまさかナイアルテさんが私の苦境を察して送ってくれた!
ありがとう、ナイアルテさん♪」
《焔天請来》で焔天武后にシグナルの記憶と発信源を捜索させて、大体の地点に当たりをつけたら、詩乃も失せ物探し・心眼・第六感で捜索。
バブ星の人々が見つけられないという事は、向こうにきっと隠蔽機能があるのでしょう。
でも大体の地点が判れば、後は私でも見つけられるかも。
行き当たりばったりですが、詩乃は幸運なので何とかなるかな~?
「でむぱ……」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)はちょっと途方に暮れていた。
超技術が一巡して中世のような様相を呈しているスペースオペラワールドにおいて、そうしたものは当然の知識として出回っているものである。
『惑星バブ』に降り立った『オメガケンタウルス星人』たちの乗っていた宇宙船もまたシグナルを発していたのだ。
けれど、そのシグナルが途絶えてしまった。
同時に『ピルグリム』の母体が存在するであろう宇宙船の所在がわからなくなってしまっている。
総力を上げて捜索している、と皇女である『ライスメキアMMM世』は言っていた。
それでも見つからない。
明らかにおかしなことである。
超技術が発達しているスペースオペラワールドにおいて、存在を完璧に隠匿することなど可能であっただろうか?
また『ピルグリム』というおぞましき災厄を知る彼等は躍起になって捜していることだろう。
それでもなお、見つからない。
ということは、確実にユーベルコードないし、『ピルグリム』の巧妙なる隠し方があったのかもしれない。
でもでも、詩乃にとってはそれ以前の問題であったのだ。
「えーと、えーと、タップにスヌーズ、スワイプに、ピッチャー交代……?」
詩乃は手にしたスマートフォンをタプタプしていた。
色んな情報が検索できて便利だよ、と彼女の神社にやってくる子供らに教えてもらっているのだが、ちんぷんかんぷんである。
自然神である詩乃にとって、それは難易度高めであったのは当然であったのかもしれない。というか、スマートフォンで調べて『ピルグリム どこ 』でわかるもんであったのならば、本当に簡単で良かったのだ。
現実はそうではない。残念なことに。
あと、多分、スヌーズは目覚まし機能だし、ピッチャー交代は多分、ピンチアウトのこといいたかったのかも知れないぁって『ライスメキアMMM世』はちょっとだけ思った。思っただけで言わなかったのは、彼女の優しさだったのかもしれない。
そんなこんなで詩乃は途方に暮れていた。
だが、見上げた先に突如として現れるのは神社に置いてきたキャバリア。
そう、『焔天武后』である。
真紅の装甲美しい女皇帝型スーパーロボットは主たる詩乃を見下ろす。
まさかグリモア猟兵が運んでくれたのだろうか。
詩乃は感謝してもしきれないとばかりに意気揚々と『焔天武后』に乗り込む。
これならば、ユーベルコードによって探索が可能になる。
「『焔天武后』、世の為、人の為、我が意を受けて、全てを焼き清める貴方の力を振るいなさい――焔天請来(エンテンショウライ)!」
神力によってコントロールされる『焔天武后』が『惑星バブ』の空を飛ぶ。
シグナルの消失した地点はわかっている。
惑星の自転を考え、そして侵入した角度を割り出す。
そして、自分たちが戦っていた荒野の位置。
それらを合算して考えるのならば、闇雲に惑星内を探し回るより、ある程度の範囲を絞ることができる。
「『惑星バブ』の皆さんが見つけられないということは、向こうにもきっと隠蔽機能があるのでしょう……そうでなくても、擬態する可能性だってあるわけですから……」
詩乃はコクピットの中から周囲を見回す。
神性たる彼女であれば、心眼や第六感での探索も可能であろうと思ったのだ。
見回す。
何処を見ても竹林と荒野ばかり。
いきあたりばったりである。
しかし、詩乃は神性。その身に宿した幸運はなんとかなるかもしれないと思わせるには十分であった。
「先程の猟兵の方の話では地中……ないし、洞窟とおっしゃっていました……なら、当たるべきは地形の変化ですよね……」
竹林の中を見て回っても、存在を感じない。
やはり、洞窟なのかだろうか?
いや、もしかしたのならば、と詩乃は閃く。
「洞窟がある、ではなく、洞窟を作った、とすれば……?」
宇宙船の姿が見えないのはそういうことなのかもしれない。
詩乃は、周囲を見回し、大地を穿った痕跡を捜し始めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「“賊”の次は宿主刈りは必然か、捜索する」
『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』で猟兵と手分けして痕跡などを足跡や飛行船などを姿形だけで無く温度や微かな痕跡も見逃さない様にサーモセンサーや阻害シグナルなどを注視ながらファンネルビットで猟兵と密に連絡を取りながら、映像と音声も交えて情報交換をしながら、ティティス自身はあらゆる情報に検索してみて僅かな“道標”を見逃さない様に尽力します。
「寄生体は隠れる事象に特化しているから、慎重に探査・捜索しなけろばな」と慎重に慎重を重ねて探します。
「寄生獣は駆逐して殲滅し根絶すべし。見つけ出してやる」
「“賊”の次は宿主狩りは必然か、捜索する」
ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は他の猟兵たちと共に戦った荒野に朽ちるように撃滅した『オメガケンタウルス星人』と、その身に宿した『刻印寄生』の証たる『白濁した触手』が霧消していく光景を見やる。
この場の戦いはひとまず終わりを見せた。
だが、未だ『オメガケンタウルス星人』たちが乗ってきたという宇宙船は見つかっていない。
恐らく、猟兵たちが戦った『オメガケンタウルス星人』たちは先遣隊だ。
ただ先行し、彼等の本能に従って触手の針を生命体に突き立てようとしていただけなのだ。
ならばこそ、大元がいる。
「マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット、ゆけ」
ティティスの言葉と共にファンネルビットが飛ぶ。
他の猟兵達と連携し、この広大な『惑星バブ』から宇宙船を見つけ出すのは骨が折れることだろう。
最後に宇宙船が発したというシグナルを辿るのは難しいだろう。
なにせ、超技術が発展した『惑星バブ』の人々が総出で探索しても未だ見つかっていないのだ。
「『ピルグリム』は、ただの一匹たりとて残してはおけない」
「はい、彼等は一匹からでも増殖し、すぐに銀河を滅ぼしうる数へと増えていきます」
この『惑星バブ』を統治する皇女『ライスメキアMMM世』の言葉にティティスは危機感を覚えるかもしれない。
これだけ広大な惑星一つに残された痕跡を探す。
海落ちた針を探すようなものであったからだ。
けれど、ティティスの操るファンネルビットは宙を舞い、空より宇宙船を探す。
彼等が使う宇宙船が通常のものであるというのならば、確実に着陸ないし、落下した痕が残っているはずなのだ。
それを逃さぬように探す。
温度や微妙な痕跡すらもつぶさに。
「……サーモセンサーに切り替えろ。シグナルを阻害するものを発している可能性もある」
ティティスはファンネルビットから送られてくる情報を注視する。
他の猟兵からの情報を元に探索の範囲は狭められているが、未だ有力な情報に至れていない。
「寄生体は隠れる事象に特化しているから、慎重に探査、捜索しなければな」
しかし、それでも得られた情報をピースのようにはめ込んでいく。
ある猟兵からは、宇宙船は陸上にないのではないかという言葉を受けた。そして、ある猟兵は洞窟のような場所であれば、『ピルグリム』の母体が座す宇宙船は隠れることができるとも言った。
けれど、この『惑星バブ』は多くが竹林と荒野で形成されている。
洞窟らしいものも見当たらない。
「……地中にいる、ということか? いや、しかしどうやって……」
ティティスはサーモセンサーでもって地中を探査する。
洞窟はこの近辺にはない。
けれど、他の猟兵達のとの情報を統合すれば、この周辺に宇宙船が存在しているはずなのだ。
だというのに姿がみえないということは、なんらかの偽装が施されているということだろうか?
「宇宙船事態に偽装できる機能がある……? いや、『ピルグリム』に寄生された『オメガケンタウルス星人』たちがそれを行うとは考えがたい……なら」
ティティスは思い至る。
洞窟。
地中。
情報が集まっている。洞窟はない。ならば。
「洞窟を『作って』しまえばいい……ということか――?」
大成功
🔵🔵🔵
サタニア・ダイモーン
母艦から出撃したオメガケンタウルス星人共は空を翔けてきた訳ではあるまい。奴等の数、体重から考えれば進軍経路に何らかの痕跡が残っているであろうよ。それを辿ればよい。
うん? 私のユーベルコードに期待しているのか?
まあ、よかろう。茶ぐらいは出すのだろうな?
『魔神術式Ⅲ』で偵察能力に長けた怪鳥をLV×2召喚。
上記の推論を基に偵察に放ちます。
地上は勿論、空中、水中、地中どこであろうと痕跡を見逃しません。
さあ、後は結果を待つだけだ。茶はまだか?
『刻印寄生』の為されたオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちとの戦いは終わりを見せた。
一体たりとて逃してはならぬがゆえに、戦いは通常のそれとは異なり、殲滅戦の様相を呈していたが、猟兵たちにとっては『惑星バブ』が『ピルグリム』に汚染されるかどうかの瀬戸際であったのだ。
この結果は幸いであるといえるだろう。
だが、この事件はそれで終わりではない。
『オメガケンタウルス星人』たちがいた、ということは必ず『惑星バブ』に降り立った宇宙船が存在している。
ならば、この宇宙船こそが『ピルグリム』の大元であるだろう。
これを倒さない限りは、後顧の憂い断ったとは言えないだろう。
「こやつらの母艦から出撃したのはこれだけではあるまい。また空を駆けてきたわえでもない。ならば、奴らの数、体重から考えれば進軍経路に何らかの痕跡が残っているであろうよ」
それをたどればよいのだと、サタニア・ダイモーン(暗黒竜・f39306)はにべにもなく告げる。
彼女にとってこれは前哨戦に過ぎない。
確かに『刻印寄生』された『オメガケンタウルス星人』たちは厄介なものたちであったが、しかしそれ故に大元を辿るのは苦ではないと彼女は思っていた。
それに自分だけではない他の猟兵もいる。
自分一人が動かなくてもきっと大元を見つけ出すことだできるであろうと彼女は推測していたのだ。
「ですが、その……」
そんな様子のサタニアに『惑星バブ』を統治する皇女『ライスメキアMMM世』は、なんと言っていいか、恐縮した様子で告げる。
「うん? 私のユーベルコードに期待しているのか?」
「それは、はい。サタニア様のお力添えがあれば、瞬く間に解決することでしょう。我が『惑星バブ』の住人ともども、サタニア様のお力に期待しているのです」
その言葉にサタニアは軽く息を吐き出す。
「世辞を言えとは言わない。まあ、よかろう」
ただし、とサタニアは告げる。
「茶ぐらいは出すのだろうな?」
「……はい、それはもちろんでございます」
その言葉にサタニアは己の魔神術式 Ⅲ(トゥリス・イピレティス)を発動する。
彼女のもとより飛び立つのは怪鳥の群れであった。
サタニアは『オメガケンタウルス星人』たちが進軍してきた痕跡を探すために怪鳥たちに指示を出し、その場で『ライスメキアMMM世』に目配せする。
彼女はまだなにかあるのかと思って首を傾げる。
「茶はまだか?」
偵察に怪鳥を出した以上、もう自分のすることは結果を待つだけだとサタニアは言う。
そして、結果が出るまで彼女は此処を動くつもりはないのだ。
ということは、何もせずに無為に時間を過ごす必要など無い。ならばこそ、この時間を無駄にしないためには茶が必要なのだ。
それに茶ぐらいは出すのだろうな、と彼女は言った。
「はい、それではご用意致しますね」
漸く得心がいったのか『ライスメキアMMM世』はうなずき、彼女に従う部下たちにお茶の準備を告げて微笑む。
その間も高速で怪鳥が空を飛ぶ。
大地の痕跡を辿る。
猟兵たちが見出した結論から言えば、この『惑星バブ』は荒野と竹林ばかり。
ならばこそ、姿が見えないという時点でおかしなことである。
そこから導き出されるのは何らかの隠蔽機能が働いているのではないかということだ。
最後に放たれたシグナルとサタニアが見出した人馬たる『オメガケンタウルス星人』たちの進軍の痕跡。
それは徐々に線と線とを結ぶ。
他の猟兵たちが範囲をしぼり、サタニアの放った怪鳥が『オメガケンタウルス星人』達の降り立った宇宙船が存在する場所を特定する。
「ふむ。姿見えずとも、痕跡は残る。後はそれを裏付けることと、実物を捜しだすだけか……うむ、なるほど。笹の葉茶というのも悪くない。竹林が多いこの惑星ならではといえるな」
「ありがとうございます。お気に召したようで」
たまにはこういう茶も悪くないとサタニアは告げ、『ライスメキアMMM世』からお土産の茶葉を受け取って、彼女は『惑星バブ』に潜まんとする『ピルグリム』の大元の元へと飛び立つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
敵性体の潜伏場所捜索ですね、了解しました
電波反応の最終確認地点及び時点、敵性体の進軍速度から
大まかな敵集団の「出発地点」の逆算を試みます
逆算ができたのであれば、候補地へと向かい現地でUC【コード・モルフェウス】を発動、
付近一帯を半電脳領域化し、情報収集と解析を開始しましょう
周囲と異なる組成の物質の存在、何かの着陸痕、あるいは隠蔽工作の痕跡……
そうした母船の痕跡に加え、先程の先行部隊には高度な隠蔽能力がない事は確認済みですので、「母船より出撃した部隊」による痕跡も探りましょう
発見した場合は、可能であればこの後の攻撃に備え
電脳領域化した地形へのハッキング・データ攻撃による戦場の調整を試みます
「敵性体の潜伏場所探索ですね、了解しました」
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は『惑星バブ』を統治している皇女『ライスメキアMMM世』の言葉に頷く。
「お手を煩わせて申し訳ございません。本来ならば私達が皆様に情報を提供する側であるのですが……」
彼女の心苦しそうな表情をミレアは見る。
確かにそうなのかもしれない。
けれど、『ピルグリム』の問題は『惑星バブ』だけの問題ではないのだ。
一匹でも逃せば、銀河の危機に陥ってしまう。
だからこそ、迅速果断な判断は間違いではない。そして、宇宙船のシグナルが最後に発せられた場所、という情報があるのならば、ミレアは特に問題はないと頭を振る。
「電波反応の最終確認地点及び時点、敵性体の進軍速度から大間から敵集団の『出発地点』の逆算を行います」
ミレアは情報を元にマッピングを構築していく。
自分たちが戦った荒野を終点に『オメガケンタウルス星人』たちの痕跡を捜していく。
これは他の猟兵達が得た情報をそのまま使えるので、さらに時短できる。
それから算出した地点こそが『オメガケンタウルス星人』たちの宇宙船が座す場所である。
「逆算完了。現地へと飛びましょう」
ミレアは飛翔し、算出された地点へと向かう。
敵の軍勢は確かに多かった。それ故に痕跡が多く残っている。けれど、『惑星バブ』の超技術でもっても、敵の存在を確認できなかった。
ならば、と彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「コード・モルフェウス、アクティブ。半電脳領域構築……完了。領域内への事象干渉・改変を開始します」
実体化した電子情報で出来た電子の杭が撃ち込まれる。
それは実体があると同時にデータ化した半電脳領域へと変わったことを意味する。
この場こそ彼女の領域。
「周囲にと異なる組成の物質の存在……何らかの着陸痕……あるいは、隠蔽工作の痕跡……やはり」
ミレアは隠蔽工作の痕跡を見つける。
いや、だがこれは、とミレアは電脳情報を見やる。
「洞窟化している……? これはブラフのうちの一つ、ですか」
面倒なことをする、とミレアは電脳情報を精査していく。
『ピルグリム』にこんな知恵が回るとは思えない。恐らく『オメガケンタウルス星人』か、もしくは宇宙船事態の機能だろうか。
囮を用意して、敵の目を欺くことをしているのだ。
「……ならば、これは時間稼ぎと見て良いでしょう。敵の動きは雑ですが、たしかに機能している所を見るに、敵性体の宇宙船の自動的な機能と見るべきでしょう」
『オメガケンタウルス星人』は略奪を繰り返して銀河を手に収めてきた星人である。
今は滅びたのだとしても、オブリビオンとして蘇ったのならば、その当時の戦法をそっくりそのまま使うことも容易に予想できたことだった。
「一つ一つブラフを潰していくのみです。これらの情報を他の猟兵に転送。全て尽く潰しましょう」
ミレアは情報を他の猟兵に転送する。
さらに『惑星バブ』の住人たちにも同様だ。
敵がこうやってブラフを積み重ねるというのならば、自分たちはこれを全て踏破していくだけのことだ。
ミレアは次々と電脳領域化した地形をハッキングし、データ攻撃によって洞窟化した地中を埋め立てていく。
こうしておけば『ピルグリム』が洞窟化した地形を使って逃走する可能性を潰すことができる。
ミレアはそれを為すために己のユーベルコードでもって次々と半電脳領域の改ざんを為していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
さて、当面の脅威と敗北勇者シリーズは回避できたようです、ちっ(舌打ち)
え?メイドセンサーですか?
|エイル様《主人様》関係しか反応しませんけど?
メイドたるもの、主人のことが一番
……は?いまエイル様をダシにしました?
ルクス様がエイル様に当ててんのよしたことは許してませんよ私??
ですが
ええ、メイドの本気をお見せしましょう
【メイドズ・ホワイト】で超有能スーパーメイドに
微弱とはいえ電波が出ていて
先の襲撃もそれに誘導されていたなら
触手の破片でもあれば受信機にできそうですね
産卵管は避けておきます
ほら、ルクス様いきますよ
『フラーメン』をつかってルクス様と移動開始
ルクス様の勘あてにしてますからね?
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
信号をキャッチして、
さっきの触手さんが乗ってきた船をみつける、ですか。
そういうことなら、ステラさんの|センサー《鼻》が役に……。
え?エイルさんにしか反応しない?
やっぱりですか。
有能メイドもこういうのでは無理ですかー、そうですかー(棒)
(よし、計画通り!)
わたしのセリフにノってくれたステラさんを見て、
影で小さくガッツポーズ。
わたし探索系苦手ですから、ステラさんにお願いするしか、って。
怨み、深すぎませんか!?わざとじゃないのに!
あ、でも、成功するように【勇者ルクスちゃん】に聞いてみましょう。
えっと……え?棒倒して倒れたほう?
どう行ってもみつかるからいい?それが勇者?
なるほどです!
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思った。
あの白いうねうねの触手たちが生えた人馬のオブリビオンの大元を叩くためには、シグナル……すなわち信号をキャッチして、宇宙船を見つけなければならないのならば、センサーが役に立つのではないかと。
そう、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の|鼻《センサー》である。
彼女は常々言っていたのだ。
香りがするのだと。
ならば、怪物の匂いもわかるのではないかと思ったのだ。
だが、その期待はあっさり裏切られる。
「メイドセンサーですか?|『エイル』様《主人様》しか反応しませんけど?」
こともなげにステラが言う。
え、とルクスは思った。他の匂いと主人の匂いを分別できるのではないだろうかと。だが、ステラは頭を振る。できないものはできないのである。
だが、やっぱりかとも思う。
「有能メイドもこういうのでは無理ですかー、そうですかー」
はーあ、がっかりである。
これだから、とルクスは棒読みで言った。ちょっと役者が大根すぎるよ、と誰かが思わないでもなかったが、しかしステラはカチンときた。
そんでも思い出さなくてもいいことを思い出し始めたのだ。
|「……は?」《!?》
ビキン! となんか音が鳴る。
多分空気が鳴っただけである。多分。ビキビキってステラの背後になんか『!?』とか浮かんでいそうな雰囲気である。
ルクスはしかし、計画通りであると心でほくそ笑む。
「いつも有能メイドって言ってますけど『エイル』さんもがっかりしますよー、銀河の危機を救ったと成れば、それはそれは主人様も鼻が高いでしょうねー」
棒である。
しかし、効果はてきめんである。
「いま『エイル』様をダシにしました?」
ステラはビキビキしていた。そんなにビキビキしては、美人が台無しである。ヤンキー漫画の雰囲気しかない。
「ルクス様が『エイル』様に当ててんのよしたことは許してませんよ私??」
「って、怨み深すぎませんか!? わざとじゃないのに!」
「そんなことは関係なのです。したか、やったかが問題なのです。ですが、ええ、メイドの本気を見せしましょう」
ギラリと輝くステラの瞳のユーベルコード。
彼女のユーベルコードは宣言と共に超スーパーアルティメイトメイドになることである。今余計な単語を付け足した気がするが、まあ、気のせいである。
「微弱とは言え電波がでていますから。先の襲撃もそれに誘導されていたなら、触手の破片でもあれば受信機にできそうですね」
ステラはメガネを装着していた。
丸メガネは知性の証。
そうですねーってルクスはまだ棒であっった。
けれど、ルクスもこの事件に置いては想起の解決を望んでいる。『ピルグリム』の脅威は、言うまでもなく理解しているからだ。
「やっぱり『光の勇者』ちゃんもそう思いますかー……え、えっと? え?」
耳元でささやく『光の勇者』ルクス。
そう、こういう時は棒倒しである!
何言ってんのかさっぱりわからないのだが、棒を立てて倒れた方角にこそ失せ物があるのだと言うのだ。
非常識にもほどが在る。
オカルトというにはあまりにも雑なあれ!
けれど、ルクスは頷く。
「どう行っても見つかるからいい? それが勇者?」
その言葉にルクスは含蓄があるように思えたのだろう。それもそうである。全ての道がローマに通じるように、勇者の道も全ての解決の道へと繋がっているものである。
「なるほどです!」
「はいはい、ルクス様行きますよ」
そんなルクスを抱えて天使核反重力フローターに載せる。
「ルクス様の勘を当てにしていますからね?」
あと、『エイル』様のことは後で追々詰問しますから、と思いだ無くていいことを思い出したステラにルクスはこってり後で搾られる未来のことを思い描くことなく、棒倒しの倒れた方角を指指す。
「あっちです! さあ、行きましょう、ステラさん! そういう雑念はぽいっと明後日の方角に!」
「いえ、忘れておりませんから。まだ許しておりませんから」
ギギギ、と音がなるようなステラの顔から目をそらしてステラは反重力フローターでふよふよと万事順調とは行かぬまでも、勇者の道を征くのだ。
勇者の明日はギャグかシリアスか。
どっちだ――!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サージェ・ライト
【理緒さんと】
クノイチ大勝利!
というわけで天敵は滅ぼしましたご安心ください!
皇女さまお久しぶりでーす
お?ハグ?
いいじゃないですかお任せください!
全方位から(高速移動して)撮りますね!
激写たーいむ!
悪いことには使いませんので!
さてさて
元凶を潰さないといけませんね
え?私、解析系は苦手ですけど?
バーチャルってついてますけど完全に理緒さん頼みですけど??
しかしまぁ人海戦術ならお任せください!
【ちまっとかぐや隊!】を理緒さんに預けて
私は【かげぶんしんの術】でこう、竹林と荒野を蹂躙……じゃなかった
あらゆる場所を目視していきましょう
理緒さんがあらぶっておられる
何が理緒さんのツボに入ったんですかね?
菫宮・理緒
【サージェさんと】
ライスメキアさん、おひさしぶり!
感謝が「意」だけだとさみしいなー♪
と、両手を広げてハグ待ち。
してくれるといいなぁ。
そしたらサージェさん、証拠……記念写真よろしく!
え?そんなことしてる場合じゃない?
だいじょぶだいじょぶ。シグナルがでてるなら問題なし!
そういうの辿ったり解析したりは、
サージェさんもわたしも得意分野だからね!
【Greasemonkey】を召喚したら、デバイスをフルドライブして、
信号の発信方向や強度から、位置を割り出していこう。
サージェさんにも【ちまかぐやさん】呼んでもらって、
わたしの妖精といっしょに人海戦術で探していくね!
……さらなる感謝、されたいよね!(でへへ
猟兵達は『刻印寄生』によって『白濁した触手』を蠢かせるオブリビオン『オメガケンタウルス星人』たちを駆逐しきった。
殲滅しなければただの一体であっても増殖していくのが『ピルグリム』である。
その尖兵たる『オメガケンタウルス星人』を尽く打倒できたのは、『惑星バブ』にとって幸いであった。
「クノイチ大勝利! というわけで天敵は滅ぼしましたご安心ください!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は猟兵たちに戦ってくれたことへの感謝と、未だ脅威が過ぎ去っていないことを告げる皇女『ライスメキアMMM世』に向かって報告する。
「ありがとうございます。感謝に絶えぬことではございますが……」
「皇女さまお久しぶりでーす」
「ライスメキアさん、おひさしぶり!」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は両手を広げている。
何事か『ライスメキアMMM世』には理解できなかったかもしれない。けれど、理緒は構わず続ける。
「感謝が『意』だけだと寂しいなー♪」
まさかのおねだりである。
「お? ハグ?」
「え、あ、ハグ、ですか……? そ、それは親愛の意味で、でしょうか」
なんで照れる。
ハグ一つである。しかし、『ライスメキアMMM世』はもじもじしている。なんで? と思ったかも知れない。
「……それは、少々私にはハードルが高くございます。その、殿方ではないとは言え……その、『あの方』に申し訳が立たないといいますか」
激写の準備をしていたサージェは、ん? と思った。
けれど、『ライスメキアMMM世』はこれも『惑星バブ』を統治する者の務め、とえいやって理緒にハグをするのだ。
女性にしては高身長な『ライスメキアMMM世』。
あ、流石皇女。いい匂いがするなぁって理緒は思ったかも知れない。してくれるといいなぁと思っていたので、本当にしてくれると嬉しさが倍増である。
「証拠……じゃない、記念写真よろしく!」
「はい! 悪いことには使いませんので!」
「言え、そういう意味ではないのではないでそうか!? それにこうしている暇はないのですが!?」
それもそうだと理緒とサージェはすぐにお仕事モードに変わる。
高低差すごい。気圧でも此処まで乱高下しない。
「さてさて元凶を潰さないといけませんね」
頼もしいことこの上ない。
「シグナルがでてたんなら問題なし! そういうのたどったり解析したりは、サージェさんもわたしも得意分野だからね!」
「いえ、私解析苦手ですけど。バーチャルって付いていますけど完全に理緒さん頼みですけど??」
これからは似非って頭に付けなければならない。
「しかぁし! まあ人海戦術ならお任せください! ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)せいれーつ!」
サージェのユーベルコードによってゲーミングかぐや姫たちが整列する。
はいどうぞと、理緒に彼女たちを預け、サージェ自身は影分身の術でもって竹林と荒野を蹂躙……じゃなくって、あらゆる場所を目指して駆け抜ける。
「みんな、手伝ってー!」
さら理緒が電子の妖精たちを召喚する。
ものすごい数の人海戦術。
まるで波のように『惑星バブ』の至る所を虱潰しにするかのように一気に理緒とサージェのユーベルコードが煌めく。
さらにデバイスをフルドライブして、最後に発せられた信号の発信方向から強度、さらには位置を割り出していく。
他の猟兵からの情報も統合して精査していけば、十分絞り込めるはずだ。
「……さらなる」
理緒の頬が緩んでいる。
ハグしてもらった時『ライスメキアMMM世』は良い香りがした。
とっても良い香り。
あれは恋する乙女の香りである。
ならばこそ、理緒はでへへ、と顔を緩ませる。いいのだろうか、美少女がしていい顔をしているだろうか?
そんな顔をしている理緒をサージェは見やる。
「さらなる感謝、されたいよね!」
「……おおぅ、理緒さんがあらぶっておられる」
何が理緒のツボに入ったのかなぁってサージェは他人事である。しかし、『惑星バブ』を救うために必要なことなのだ。
『ピルグリム』の母体を捜して三千里。
いや、惑星全土をくまなく駆け抜けるゲーミングかぐや姫と電子の妖精、そしてサージェの分身たちが、さらに宇宙船の探索範囲を絞り続ける。
ちょっと動機が不順すぎる気がするけれど、まあ、結果良ければなんとやらである――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
烏護・ハル
超文明さえ欺いて、覆す。
猟兵に頼らざるを得ない程の状況。
……ユーベルコード?
空振りでもいい。
私にできる事は……!
索敵、破魔用に術式を編み込み、UCを発動。
同時に多数の式神さんを広範囲へ展開。
護符の効果を中継してもらう。
なるべく遠くまで、お願いね。
魔力の充填役に傍にも式神さんに待機してもらう。
……いつもよりキツイな、これ。
式神さん、どんどん魔力回して。
ぶっ倒れる前に気合い入れてちょうだい。
意図的な物なら痕跡を残すはず。
……逃がさない。
でも、私が見つけられなくてもいい。
仲間の、次の一手にさえ繋がれば上出来よ……!
……いやホントにキツイなこれ。
式神さん、魔力。
ビシバシ気合い入れて。
割と本気でキツい。
スペースオペラワールドは、スペースシップワールドを内包する広大な世界である。
その広さは凄まじいものであり、ワープがなければ到底知りようもないことばかりだ。しかし、それ以上に世界は広がりを見せている。
未知なるものばかりが広がるが故に『ピルグリム』という存在が隠れ潜むにはうってつけの世界であったのかも知れない。
そんな『惑星バブ』において、この地の住人たちの持つ超技術すら欺いて、覆す。
『ピルグリム』に果たしてそんなことができるのだろうか。
『オメガケンタウルス星人』たちの宇宙船は確かに『惑星バブ』に降り立っているはずなのだ。
しかし、未だ猟兵達と『惑星バブ』の人々による捜索にあっても見つかっていない。
「猟兵に頼らざるを得ないほどの状況……」
烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)はそのことから類推する。
『ピルグリム』にとって隠れる、ということ以上に優先されるのが増える、ということだ。
彼等がそんなことをするとは思えない。
ならば、宇宙船そのものの機能で考えるのが無理筋のない推察だといえる。
「……ユーベルコード?」
ハルは一つの結論に至る。
これが間違いであっても彼女は構わなかった。
事態は一刻を争うのだ。
時間こそが『ピルグリム』の味方であり、猟兵たちにとってはそれこそがこの状況を悪化させるものであった。
時間さえかければ銀河一つすら容易に滅ぼすことのできる数に至るのが『ピルグリム』だ。
「空振りでもいい。私にできることは……!」
手にした護符に術式を編み込んでいく。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「七星七縛符! 式神さんたち、これを運んで片っ端からばらまいて!」
彼女の魔力が護符に吸い込まれていく。
その符はユーベルコードを封じる力を持つ。
ただし、解除するまで彼女の寿命を毎秒削っていく諸刃の剣。
「なるべく遠くまで、お願いね」
式神を伝うようにして広がる探索網。それは彼女の魔力を吸い上げていく行為だった。
「……いつもよりキツイな、これ」
体が重たい。
命を削るユーベルコードは、彼女の体に負荷をかけるだろう。けれど、ハルはそんなことお構いなしだった。
充填される魔力を受けて彼女の瞳は未だ輝いていた。
倒れそうになっても、気合を入れてくれと式神に頼んでいたのだ。痛みも、苦しみも、ハルはこれ以上にないくらい味わってきた。
今までだってそうなのだ。
これからは違うといいたい。そのために彼女は得た力を鍛え、紡ぎあげてきたのだ。
その連綿と紡がれたものから逃げるわけにはいかないのだ。
「……逃さない」
でも、自分が見つけられなくていい。
仲間の、次の一手にさえなれば上出来だと彼女は己の生命を使う。魔力が補填されても、次から次に消費していく。
「……いや、ホントにキツいなこれ。式神さん、魔力。ビシバシ気合い入れて!」
重たい体をもたげるようにハルは式神とのつながりを切らさない。
敵の隠蔽が意図的ならば必ず痕跡を残す。
それは他の猟兵から伝えられた情報とも合致する。
「地中に隠れているのだとしても、洞窟を自分たちで作るのだとしても、必ず痕跡が残ってる……なら!」
彼女の式神が触れた瞬間、違和感がある。
ある、と彼女は目を見開く。
しかし、式神の視界から伝わる情報には、何かがあるようには思えない。
だが、わかるのだ。これまで他の猟兵が紡いできたものをハルが今掴む。
「そこ! 式神さん、そこだよ!」
最後だと放たれる護符が地面に貼り付けられた瞬間、そこにあったのは地中に穿たれた穴。
それはまるで洞窟のようであった。
だが、わかる。これは宇宙船によって穿たれ、隠蔽されたもの。その奥でハルは式神の視界で以って見たのだ。
蠢く『白濁の触手』を――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『スペースヴァンパイアレディ』
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POW : 魔眼
【バイザー越しの魔眼】が命中した対象に対し、高威力高命中の【背部アームによる吸血】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : (*宇宙服のスイッチを押す音*)
【宇宙服を高出力モード】に変形し、自身の【高貴さや優雅さやその他諸々】を代償に、自身の【スラスターとアームの操作】を強化する。
WIZ : 宇宙吸血魔術『天蓋』
戦場全体に【超絶な夜や暗闇】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【紫外線カット】による攻撃力と防御力の強化を与える。
イラスト:滄。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フォルティナ・シエロ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが『惑星バブ』にて探索した結果、ついに見つけ出した『オメガケンタウルス星人』たちの宇宙船。
それは『ピルグリム』の母体が存在する宇宙船であり、その機能によって巧妙に隠蔽されていた洞窟であった。
いや、洞窟である、という表現は正しくないだろう。
宇宙船によって大地に穿たれた地中の穴。
多くのうねるような坑道は、敵に襲撃されても『ピルグリム』の逃走経路にするためだろう。しかし、これは完璧に猟兵によって潰されている。
洞窟の中、その奥に蠢く『白濁した触手』があった。
それは、一体のオブリビオンの腹部から湧き出すようであった。
いや、それだけではない。洞窟の穴から這い出しているのは、『刻印寄生』によって触手蠢かせる『オメガケンタウルス星人』たちであった。
「あ、あ、あ……痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い、いやだ、いや、だ、もう」
それは漆黒の宇宙服に身を包んだ『スペースヴァンパイアレディ』の変わり果てた姿であった。
裂けた宇宙服の腹部からは次々と『刻印寄生』たる触手を生やした『オメガケンタウルス星人』たちが生まれ落ちている。
「あああああッ!!!!」
叫び、苦しみ、悶え、嘆きながらも死ぬことなく次々と『オメガケンタウルス星人』を溢れさせ続ける『スペースヴァンパイアレディ』のユーベルコードが煌めく。
そして、同時に侵入者に気がついたであろう『オメガケンタウルス星人』がギラつく狂気に満ちた瞳でもって、猟兵たちをねめつけるのであった――。
鏡宮・ノエル
うわぁ…これってあれだね。とっとと倒した方が、あっちにもいいやつ。
ピルグリム…いやな存在だね。
さてと、ブレックには地中からの攻撃を任せよう。一番気づかれてないはずだし。
僕はヴァーイに乗ったまま、レグンレグナを連射。ヴァーイには見切りと回避を任せてるよ。
クローカは空からの急襲で…増えたという過去を攻撃している。つまりは増えない。
そして…あのスペース…長いな。宇宙吸血淑女が範囲に入ったら。魔力を溜めたクラウ・ソラスを用いて、【神剣クラウソラス】を使う。
今回、あなたには同情するよ。これはひどい。
だから…その痛みからの、永遠の解放を。
これは、僕からの慈悲だよ。
くぐもった悲鳴が宇宙服の内部から響き渡る。
バイザーの奥にあるであろうオブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』の顔は苦痛に歪んでいる。
彼女の腹部は無残にも割かれ、中からは『刻印寄生』の証たる『白濁した触手』を蠢かせる『オメガケンタウルス星人』たちがこぼれ落ち続けている。
「ああああっ、いやだっ、いたいっ、もう、嫌だっ!」
ごぼ、と血反吐を吐き散らしながらもオブリビオンであるが故であろうか。
『ピルグリム』の母体となっった『スペースヴァンパイアレディ』は未だ己のサブアームを動かし、オブリビオンとしての本能からか迫る猟兵を打倒しようと力を行使する。
どちらに進んでも地獄しかない。
「うわぁ……これってあれだね。とっとと倒したほうが、あっちにもいいやつ」
鏡宮・ノエル(よく圖書館にいる學徒兵・f38658)は思わず口元を覆う。
あんまりな光景だ。
オブリビオンであるからと言って許容できないほどの光景。
悲鳴は苦痛に喘ぐものであり、またこれが『ピルグリム』が災厄と呼ばれる由縁である。
いっそ狂い、死ねたのならばよかったのだろう。
「『ピルグリム』……いやな存在だね」
だからこそ倒さなければならない。此処で倒さなければ、オブリビオンと言えど彼女のような目にあう人々が加速度的に銀河に広がっていくのだ。
「だから、此処で断ち切らせてもらうよ、『ヴァーイ』!」
ノエルの言葉に応えるように彼を載せた大狼が洞窟の中を疾駆する。
迫る『オメガケンタウルス星人』たちをかいくぐり、リボルバーから放つ弾丸で持って触手の脅威を振り払う。
「『クローカ』、『過去』を攻撃して!」
ノエルの言葉に共に宙を舞う鴉『クローカ』が『オメガケンタウルス星人』が増えたという『過去』を切り裂く。
鉤爪の如き足が引き裂き、嘴がついばむ過去。
それは傷となって、増殖したという結果を霧消させる。
「う、ううううっ、あああああっ――!!!」
叫びとともに『スペースヴァンパイアレディ』のアームユニットがノエルを襲う。
その一つを『ヴァーイ』が顎で噛み砕きそして、地中より飛び出した蛸の『ブレック』が弾き飛ばす。
触手がノエルに迫る。
あの触手の先にある針がノエルに触れてしまえば、絶命という未来しかない。
「今回、あなたには同情するよ。これはひどい」
そう、酷いことだ。
痛みに喘ぐのも、苦しみに満ちるのも、オブリビオンだから良いのだということはない。
『ピルグリム』の為す未来は、こんな未来がいくつも広がっていく。
苦しみと痛み。
狂うような思いをして漸く手に入るのは死しかない。
だからこそ、ノエルは頭を振る。
「だから……その痛みからの、永遠の解放を」
きらめくユーベルコードが、ノエルの手にある。
掲げた手のあるのは、神剣クラウソラス。
神殺したる力を発露する剣より放たれるは光線の一撃。
それがあらゆる光を遮断する『スペースヴァンパイアレディ』の宇宙服を切り裂き、その内側にある『スペースヴァンパイアレディ』の体内に巣食う『ピルグリム』の触手を焼き切る。
それで痛みが、苦しみが紛れることはないのかもしれない。
いずれにしたって滅びなければならないことは言うまでもない。
けれど、それでもノエルは『スペースヴァンパイアレディ』に同情を示す。
これ以上の痛みがないようにと。
敵であり、滅ぼし滅ぼされる間柄でしかないのだとしても。
それでも他者の痛みに寄り添う事ができる優しさを持つのが己達であると示すように。
「これは、僕からの慈悲だよ」
放つ光条が『スペースヴァンパイアレディ』の体を一閃となって貫く――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
なぜこうなったのかは判りませんが、彼女を安らかに死なせてあげるべきだというくらいは判ります。
禍根を絶つ為、ピルグリム共々倒しますよ!
UCとピルグリムの集団攻撃に対するには、と《花嵐》を発動。
花びらの光で暗闇を退け、全てを浄化消滅する力でピルグリム達を消滅させます!
護りとしては結界術・高速詠唱で自身の周囲に防御結界を構築し、天耀鏡の盾受けで備え、オーラ防御も纏います。
更に第六感・心眼で危険を察知して、いつでも見切りで躱せるようにしますよ。
ピルグリム達を消滅させて、スペースヴァンパイアレディへの道が見えたら、雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・スナイパー・貫通攻撃による雷を放ちます。
どうか安らかに。
「あああああっ――!!!」
悲鳴のような叫びと共に洞窟の中に広がるのは暗闇。
ユーベルコードによって生み出された暗闇は、オブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』と、その腹部からこぼれ落ち続けている『刻印寄生』の証たる『白濁した触手』を蠢かせる『オメガケンタウルス星人』を強化する。
暗く、狭い洞窟の中にあって、母体を守るように迫る『オメガケンタウルス星人』たちの触手は必ず躱さなければならない。
あの触手の先にある針に触れてしまえば、彼等と同じ様になってしまう。
「何故こうなったのかはわかりませんが……」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、事の発端を知る由もない。
誰もが知りようがなかったのかもしれない。
『ピルグリム』の母体となった『スペースヴァンパイアレディ』でさえ、もう語ることはできないだろう。
彼女が紡げるのは己の体を貫く狂おしいほどの痛みと、悲鳴だけだ。
「痛い、痛い痛い痛い、痛い、もう、痛いのは嫌だああああああ!!!」
叫びと共に放たれる触手が詩乃を捉えと迫る。
あが、それでも詩乃は禍根を立つべく洞窟の中を奔る。
彼女の瞳に輝いているのはユーベルコード。
『スペースヴァンパイアレディ』のユーベルコードがさらなる暗闇に洞窟内部を染めるのだとしても、彼女のユーベルコードは、其処を桜花舞う佳景へと変貌せしめるのだ。
彼女の手にあった薙刀が、光を纏い、全てを浄化消滅する桜の花びらへと変じさせる。
まさに花嵐(ハナアラシ)と呼ぶべき光景が、暗闇の中を染め直していくのだ。
「貴女に安らかな死を……どんな理由であれ、その苦しみは見るに耐えません……」
互いに滅ぼし、滅ぼされる間柄。
それが猟兵とオブリビオンの関係だ。
違えるつもりはない。
けれど、『スペースヴァンパイアレディ』が苦しみ続けていいとも思わない。
「退きなさい。憐れなる落し子たち」
詩乃の言葉とともに花嵐が舞い散る。
『オメガケンタウルス星人』たちは、詩乃に触手を伸ばすが、その先から桜の花びらによって消滅させられていく。
彼女の瞳が真っ直ぐに消滅し、道となった『オメガケンタウルス星人』たちの骸に奔る。
「これが『ピルグリム』……白き災厄。かつて銀河そのものを、このような……同じ光景に叩き落としたのでしょう」
それが『ピルグリム』という存在の意義であったというのならば、全生命体の敵であると言わしめるほどに脅威。
何故存在するのか。
何故増えようとするのか。
其処に理由らしい理由はなかったのかもしれない。
ただ、増えることだけをする種。
意志などなくとも、ただ害するためだけに存在しているのならば。
「それを私は許しておくわけにはいかないのです」
植物と活力を司る神として。
何より、人々を守らんとする猟兵として。
『ピルグリム』の存在は許してはおけない。
みなぎる力が詩乃の指先から発露する。
「どうか安らかに」
雷発露する力は、迸るように宙を駆け抜け『スペースヴァンパイアレディ』を穿つ。
その腹部から溢れる触手も、苦痛に喘ぐ悲鳴も。
何もかも雷鳴の轟音と閃光とに塗りつぶされていく。
暗闇にこそ生きる『スペースヴァンパイアレディ』の体を貫く光は、これまで彼女が行ってきたであろう非道を浄化する一撃。
詩乃は願わずにはいられない。
たとえ、亡びるべき過去の化身であったとしても、その最期は安らかであってほしいのだ。
『ピルグリム』によって狂おしいほどの痛みを植え付けられた彼女にとって、今回の滅びこそが唯一の救いであったことだろう。
詩乃は、雷鳴の中にあってさえ、届く悲鳴に悲痛なる思いでもって、ユーベルコード輝く瞳と、桜花嵐の向こう側に『スペースヴァンパイアレディ』を送るのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
サタニア・ダイモーン
随分と酷い有様だな。滅ぼしてやるのが情けとなるか。
(『魔神術式Ⅳ』を発動。青紫色の炎がその身を包む)
一歩一歩ゆっくりとスペースヴァンパイアレディに近づきましょう。
その間に押し寄せるケンタウルス星人は絶大な焼却能力により100m以内に入った段階で燃やし尽くします。
『天蓋』による暗闇は自らの炎が光源となり辺りを照らし、ダメージを与えようと近づく暗闇を燃やし尽くして歩みを止めません。
至近距離に近づいたら『魔神の槍』に魔力を注いで威力をマシマシにしてスペースヴァンパイアレディに慈悲となる一撃を。
光条が、花嵐と雷がオブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』の体を貫く。
だが、それでも止まらない。
確かに消耗し、その腹を割くような痛みを超える痛みで持って上塗りしてなお、宿主を死なさぬとばかりに『ピルグリム』の触手は蠢き、新たなる獲物を求めて宙を斬る。
さらに腹からこぼれ落ちるのは無数の『オメガケンタウルス星人』たち。
引き裂かれた宇宙服の中から後から後から溢れ出し続けているのだ。
その痛みは想像を絶するものであったことだろう。
オブリビオンであるからこそ、死ねないのかもしれない。
「いや、だ、いやだ、いやだいやだいやだ、もうこれ以上痛いのは嫌だああああああ!!!」
もはや咆哮じみていた。
それほどまでの激痛に狂いながらも、されど死ねぬ身ゆえに『スペースヴァンパイアレディ』はユーベルコードによって洞窟内部の暗闇を、さらなるユーベルコードの暗闇でもって塗りつぶしていく。
『オメガケンタウルス星人』たちが溢れ、再び母体である彼女を取り囲み、壁と為す。
「随分と酷い有様だな」
そんな様子をサタニア・ダイモーン(暗黒竜・f39306)のユーベルコードに輝く瞳が見据える。
彼女にとって、『スペースヴァンパイアレディ』は憐憫も同情も浮かばぬ相手であった。
敵はオブリビオン。
ならば、どれだけ苦痛に塗れていたとしても情けは無用。
されど、それでもサタニアは苦痛に喘ぐ悲鳴を受けて息を吐き出す。
滅びることさえ許されぬオブリビオン。
耳障りだと思ったのかも知れない。
もしくは、それもまた情けの一つの形であったのかもしれない。
「滅ぼしてやるのが情けとなるか……ならば」
短く呟く。
「タリヤ・ナ・モリシ・オ・シタ」
魔神術式 Ⅳ(マジンエンキ)によって自身の魔力からなる魔神炎気を纏う。
青紫色の炎は、迫りくる触手を焼滅していく。
サタニアにふれることさえ許さぬとばかりに燃え盛る青紫の炎は、次々と迫る触手の針から滅ぼしていく。
彼女を中心にして渦巻く魔神炎気は、熱無き炎。
だが、確かに触れた瞬間焼却されるかのような勢いで持って『オメガケンタウルス星人』たちの触手は焼ききれていくのだ。
「無駄だ。お前たちの触手は私に届くことはない」
彼女の周囲を取り囲むのだとしても全てが無駄だ。
意味のない突撃を繰り返す『オメガケンタウルス星人』たちに踏み出す。いや、違う。
『スペースヴァンパイアレディ』に迫っているのだ。
一歩一歩、ゆっくりと。
それこそランウェイを歩くかのような優雅さでもってサタニアは歩む。
「この炎の前にはお前の『天蓋』とやらも意味がない。我が炎は熱無き炎なれど、影を照らし出す明るさは十分だろうよ」
暗闇ごと燃やし尽くすかのような魔神の炎。
サタニアの所作は優美であった。美しいともいえる歩み。
その手にあるのは魔槍。
魔神の槍と呼ばれる己の魔力を注ぎ込むことによって力をます漆黒の槍。
「死は慈悲か無慈悲かと問われたのならば、それは状況に寄る、としか言えぬのだろうな」
ならば、とサタニアは槍を構える。
それは突き、ではなく投擲の構え。
遥か遠くに投げ放つ一撃。ぎしり、とサタニアの肉体が軋む。膨大な魔力を込めた魔神の槍は『スペースヴァンパイアレディ』に向けられて放たれる。
轟雷のごとき空を斬る音が、その投擲が音速を超えたことを知らしめるだろう。
「いた痛い痛い痛い、いたい、いた――あ」
叫ぶ声も。
悲痛なる叫びも、何もかもサタニアの槍の投擲がかき消す。
「だが、今は慈悲の一撃となろう」
慈悲はあれど、躊躇はない。
オブリビオンである以上滅ぼすのは必定。
故にサタニアの放った魔神の槍の一投は、『スペースヴァンパイアレディ』の腹部の触手を巻き込みながら、その胴を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
烏護・ハル
討つべき存在に変わりないけど。
……生きてるって言えるのかな、あれ。
本番だよ式神さん。用意はいい?
式神さんから詠唱の強化と補助を受けつつ、UCを広範囲に展開。
炎の属性を増強してより一層燃え滾らせ、
敵陣に綻びが見えるまで薙ぎ払う。
閉ざしきれると思わないで。
いくらでも焼き払うまでよ。
第六感、気配感知で猛攻を見切り、残像、フェイントも駆使して捌く。
掻い潜られてもオーラ防御と結界、盾受けで凌ぐ。
綻びを捉えたら本命の一発。
呪詛を込め続けた呪殺弾。
元凶たる核、彼女の腹腔を貫く。
式神さん、今だよ。
魔力、ありったけ回して……!
……せめてもの祈り、っていうのも変かな。
でも、これ以上見てらんないから。
……じゃあね。
穿たれた腹。
しかしオブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』の穿たれた腹部からは、湧き出すように触手が溢れ出す。
その傷口は、『刻印寄生』たる証を持つ『オメガケンタウルス星人』をこぼれ落とすには好都合だとばかりに広がりを見せ、溢れ出る触手が猟兵たちに迫る。
「あ、あっ、あっ、あっ、あ、が……!!」
狂うような痛みが『スペースヴァンパイアレディ』の宇宙服のバイザーの奥から溢れるように聞こえる。
痛みが走り、苦痛ばかりが彼女の中を支配しているのだろう。
なまじ強靭な肉体を持っているばかりに死ぬこともできないのかもしれない。
オブリビオンである彼女を捨て置けば、いずれはスペースオペラワールドに破滅をもたらす。
オブリビオンとはそういう存在だ。
けれど。
「……生きてるって言えるのかな、あれ」
烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は洞窟の奥に潜む『ピルグリム』の母体たる『スペースヴァンパイアレディ』を見やる。
猟兵達の攻勢によって『オメガケンタウルス星人』たちはある程度蹴散らされていた。
けれど、その腹部からこぼれ落ちる数は『ピルグリム』が災厄と呼ばれる証左であった。
ただの一体でも残っていれば、このような事態を引き起こす。
「けど、討つべき存在に変わりはない。本番だよ、式神さん。用意はいい?」
彼女の手にした護符から強化を受けて、ハルの瞳がユーベルコードに輝く。
滾る炎は闘志であろうか。
放たれるフォックスファイア。
狐火が戦場たる暗闇包む洞窟を奔る。強化された狐火は一気に洞窟内部を舐めるように広がり、影を色濃くする。
だが、それ以上に『オメガケンタウルス星人』たちを薙ぎ払う。
根比べだとハルは思っただろう。
これは母体たる『スペースヴァンパイアレディ』を守る『オメガケンタウルス星人』たちを退けるための戦いだ。
「うぐっ、ぁ、ああああ、痛い、痛い痛い痛い……!!」
叫ぶばかりだった。
声が聞こえる。泣き叫ぶような声であった。
けれど、ハルは前に進む。どれだけユーベルコードの暗闇が迫ってくるのだとしても、その悲鳴を聞いて心が切りつけられるような痛みを覚えるのだとしても。
「閉ざしきれると思わないで。いくらでも焼き払うまでよ」
迫る触手も、『オメガケンタウルス星人』も狐火が焼き払う。
さらに暗闇が閉ざす影の中を彼女は奔る。
手にした護符。
叩き込まなければならない。己の中に在る魔力のありったけを込めた一撃を叩き込む。それだけのためにハルは迫る『オメガケンタウルス星人』たちの猛攻をしのぎながら、火花散る槍と結界の激突の最中をくぐり抜ける。
「抜けた……! 式神さん!」
ハルは『スペースヴァンパイアレディ』の眼前に躍り出る。
もはや、自分で動くこともできないほどに『スペースヴァンパイアレディ』の体は大きな穴が穿たれている。
彼女は言った。
あれを生きているとは言えないのかも知れないと。
そのとおりだ。あれはもう生きているわけではない。ただ白き災厄を生み出すためだけの存在。
だからこそ、討たねばならない。
「ありったけを……!」
「ああああああ!!!」
叫びが交錯する。
けれど、これは祈りだ。変だとハルは自覚している。
相手がオブリビオンであることも理解している。
「これ以上見てらんないから」
魔力を呼び水にして呪詛を込め続けた呪殺弾の一撃が護符より開放された力と共に『スペースヴァンパイアレディ』に叩き込まれる。
元凶たる核。
その腹部に蠢く触手を穿つようにハルの呪殺弾の一撃が吹き飛ばす。
「……じゃあね――」
大成功
🔵🔵🔵
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「元は高貴でも寄生されれば無惨な者だな…駆逐し撃滅する」
『三女神の加護と粛正を』で敵のUCを封印/弱体化させへ、他の猟兵と連携を計りレーザービームで先制攻撃をしファンネルビットでピルグリムを備に映像化/可視化して尽くわを殲滅し根絶させます。
「元・高貴な“賊”よ、猟兵には【慈悲】がある。安らかに滅亡して、正しく生まれ変わり暮らせ」
と言って躊躇も加減も微塵も無い絶対的全力総火力を持ってファンネルビットで囲みつつ他の猟兵と手分けして痕跡も残さずに殲滅して駆逐します。
倒した後にも“漏れ”が無いかを徹底的に調べて回り、「現状では駆逐し尽くした」と報告をします。
『スペースヴァンパイアレディ』は高貴なる存在であったのかもしれない。
そう思わせるだけの何かをティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は舵取ることが出来たのかも知れない。
宇宙の吸血鬼。
ノーブルブラッドとでも言うべきか。
しかしながら、もはや目の前の『スペースヴァンパイアレディ』には、その面影はない。
猟兵達の攻撃によって彼女の体を包み込む宇宙服はズタボロであった。
いや、もとより腹部は裂けていた。
そこからこぼれだすのは『オメガケンタウルス星人』たちである。
そのいずれにも『刻印寄生』が施されている。
まるで母体たる『スペースヴァンパイアレディ』を守るようであった。
しかし、その体に蠢く触手は獲物を求めるように奔る。
「元は高貴でも寄生されれば無惨な者だな……」
迫る触手を前に彼女は、三女神の加護と粛清を(ウルド・スクルド・ベルダンディ)与えんとファンネルビットが飛ぶ。
放たれるレーザービームが触手を焼き切り、さらに糸のような細いビームの光条が『オメガケンタウルス星人』たちを溶断するように放たれる。
「……駆逐し、撃滅する」
巨大レーザービームが洞窟の中を走り抜ける。
その攻勢は苛烈であった。
『ピルグリム』の全てを滅ぼすかのような火線の乱舞。
「ああ、痛い、痛い、苦しい、もう、痛いのは、いやだ、痛い痛い、いたい!!!」
『スペースヴァンパイアレディ』の叫びが聞こえる。
オブリビオンであるが故に、絶命するのに時間がかかっているのかもしれない。
もしくは『ピルグリム』の母体であるがゆえに死ぬこともできないのかもしれない。彼女の裂けた宇宙服の腹部からこぼれ続ける『オメガケンタウルス星人』たちがその証拠であったのかもしれない。
彼等は、その『刻印寄生』たる触手を持ってティティスへと迫る。
しかし、それらを尽くビームでもってティティスは焼き切る。
「元・高貴な“賊”よ、猟兵には慈悲がある。安らかに滅亡して、正しく生まれ変わり暮らせ」
それは躊躇の理由ではない。
彼女にとって己の火力の全てを費やして滅ぼすに値すると理解しているからだ。
ファンネルビットが洞窟の中を飛ぶ。
一匹たりとて逃すつもりはない。
ここで逃してしまえば、元の木阿弥だ。必ず撃滅せねばならない。
自分たちがしくじれば、また早かれ遅かれ、こんな苦しみと痛みが銀河に蔓延してしまう。
それはしてはならないことだ。
「故に、ここでお前たちを全て滅ぼす」
他の猟兵によって、この洞窟内の坑道は全て埋め立てられている。
ならばこそ、逃さない。
「“漏れ”など許さぬ」
命の尊厳を貶める『ピルグリム』の寄生。
ティティスにとって、それは怒りであっただろうか。
その感情の機微は彼女自身にしか理解できぬものであった。けれど、彼女は言ったのだ。
猟兵には慈悲があると。
自分自身もまた猟兵であると自覚するのならば、生命を冒涜する存在を許してはおけぬという感情があるのだ。
その感情の揺らぎを反映するようにファンネルビットが苛烈なる攻勢でもって『ピルグリム』の痕跡を何一つ残すことなく駆逐するように『スペースヴァンパイアレディ』の体を光条で以って切り裂くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
テスティナ・ヴァシリッサ
ぴる……先程までは全く役に立てませんでしたから
此処で名誉を……返上?しなければなりませんね
『防衛個体』を護衛にし、入れるならばコルピオスも連れましょう
サイキックガンを向け周囲のピルグリム寄生体を念動波で気絶させ、そのままUCを用いて「念動力の力場」で掴み他の個体や母体へとぶつけたり叩き付けたり盾にしたりしましょう、「サイコキネシス」ですね
コルピオスは居るならば他の寄生体を切断し止めを
防衛個体には私が集中している間敵攻撃から私を庇ってもらいます
その結果、彼が寄生されるならば即座に介錯を
……私も|民《セル》もコルピオスも全て|ゼルガリアス《宇宙怪獣》の|一部《構成細胞》、これは互いに承知の上です
宇宙服のバイザーの向こう側で魔眼が煌めく。
それはユーベルコードの輝き。
宇宙の吸血鬼、『スペースヴァンパイアレディ』は魔眼によって吸血すべき相手を見定める。その背に負ったアームが吸血器。
同時に腹部から這い出すように溢れる『白濁した触手』、そして生まれ落ちるようにこぼれ出し続けている『オメガケンタウルス星人』たち。
それらが猟兵達の攻勢を受けてなお、洞窟の中に満ちていく。
「ああああっ、いやだ、いやだ、もう痛いのは嫌、だあああああああああっ!!!!」
叫ぶ声が聞こえる。
『ピルグリム』の母体になるということはそういうことなのかもしれない。
永遠に続くかのような痛み。
残されたのは狂気に落ちるか、狂気に落ちてなお、その身を苛む痛みに翻弄され続けるか。
『ピルグリム』が白き災厄と呼ばれる由縁は此処にある。
一体でも残してしまえば、そこから他の生命体を苗床にして増え続ける。
もしも、この母体を放置すれば、銀河のあちこちで同じような光景が広がるだろう。
「ぴる……先程まではまったく役に立てませんでしたから、此処で名誉を……返上? しなければなりませんね」
そう言うのは、テスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)であった。
汚名返上である。もしくは名誉挽回である。
しかし、それは些細なことである。
彼女は『ピルグリム』探索の折に自分が役立てなかったことを恥じているようであるが、猟兵達の戦いはそもそもが繋ぎ紡ぐ戦いである。
一人では強大なオブリビオンに打倒することは難しい。
だからこそ、猟兵たちは共に一つの事件に立ち向かうのだ。
「ああああっ、ああ、がっ!!」
痛みに狂いながらも『スペースヴァンパイアレディ』のアームがテスティナを襲う。
それを全身鎧のごとき防衛個体が防ぐ。
しかし、吸血の攻撃はその動きを止め、更に迫る『白濁した触手』によって針を打ち込まれる。
その針は生命体であれば何でもいいのだ。
生命あるのならば、産卵管を埋め込み、苗床とする。
「『防衛個体』であっても、生命体と認識すれば針を埋め込もうとするぴる……なら」
即座に他の『防衛個体』が針を打ち込まれた個体を切り捨てる。
彼等は確かに彼女の民である。
しかし、彼女たちは全て|ゼエルガリアス《宇宙怪獣》の|一部《構成細胞》。
「互いに承知の上ぴる」
やっかいな増力能力は此処で止める。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
洞窟内部にあっては、彼女の力場を発生させる超思念波は、むしろ好都合であったことだろう。
彼等が掘り進めた坑道は他の猟兵によって埋め立てられている。
ならば、逃がす可能性は限りなく低いのだ。
「外見で非力な小娘と侮るのは早計ですよ」
洞窟内部に念動力による遠隔攻撃(仮)(サイコキネシス)が迸る。
迫りくる『オメガケンタウルス星人』たちを吹き飛ばしながら、『防衛個体』たちが超思念波によって持ち上げられ、一気に母体である『スペースヴァンパイアレディ』を守る囲いを飛び越えるようにして突破する。
「大元を叩けば、終わるわけではないですけれど……それでも溢れ出す『ピルグリム』は止められるぴる……!」
そうすれば、銀河に迫る危機の一つは免れる。
白き洪水のごとき触手の群れは、それでも己達の本能に従うように生命体を求める。
『防衛個体』が針を打ち込まれ、『刻印寄生』の証である星型の痣が生まれた瞬間、他の個体によって切り捨てられる。
これは個の戦いではない。
個と群の戦いである。
『スペースヴァンパイアレディ』とテスティナの存在同士がぶつかる戦い。
共に物量で激突すれば拮抗する。
しかし、ただ一人で戦うものではないのならばこそ、テスティナの群としての力は、『ピルグリム』の災厄の如き力を前にしても引けを取らぬ物量で持って押し留め続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
うわぁ。
これはライスメキアさんにはとてもお見せできない光景。
え?サージェさんはもっとすごいことされてるよね?
バーチャルって基本無制限だし、なんたってクノイチだし!
さすが年齢×チョコパイのボリュームだね!
ま、それはいいとして、
これはライスメキアさんのとこに行く前に止めないとだね。
助けたいところだけど、これはちょっと手遅れっぽいかな
サージェさんが守ってくれるっていうし、綺麗に焼いて上げちゃおう。
あ、あとわたし、巨乳は|愛でる《揉みしだく》もので敵じゃないからね。
さ、【Nimrud lens】で、しっかり焼却……って。
ナンデタタミ、ナンデ!?
それじゃいっしょに燃えちゃうよー!?
サージェ・ライト
【理緒さんと】
うわあ
これはお子様にはお見せできないヤツ!
つまり私には不適切表現なのではないでしょうか!
大人の理緒さんに頑張ってもらう方向でぜひ!!
え?年齢詐称してる?
またまたー、どこからどう見ても14歳のクノイチ少女ですよ?
あんな状態でもヴァンパイアの性質は保っているようです
理緒さん血を吸われないように
支援しますね!
【VR忍術】畳返しの術!!
説明しましょう!
この術はバーチャル畳をばんっとひっくり返して敵の突進とか触手攻撃とかを防ぐのです!
理緒さん、私が敵を食い止めている内に!
スペースなヴァンパイアレディということは宇宙服の中はたゆんたゆんなはす
宿敵(?)倒してください!
揉みしだいてもいいから!
オブリビオンと言えど、己の体に寄生し蠢く『ピルグリム』の胎動に耐えられるものではなかった。
狂ったかのような悲鳴が洞窟の中に響き渡る。
宇宙船の隠蔽と、新たなる繁殖地を手に入れた『ピルグリム』が如何なる悲劇を生み出すのか、その一端を母体にされたオブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』は示していたのかも知れない。
痛みに喘ぐ声が響き渡る。
悲痛すら感じさせる声は、聞くものの耳を、そして精神を切り刻むようであった。
しかし、そのバイザーの奥にある魔眼は狂気を宿しながらも、目の前に現れる猟兵を滅ぼさずにはいられない。
腹から蠢く『白濁した触手』と共に『オメガケンタウルス星人』たちが溢れるように溢れ出し続けている。
彼らの個としての力は大したことはないだろう。
けれど、蠢く触手、その針だけは脅威であった。例え猟兵であろうと、あの針の一撃を受けては、待つのは『スペースヴァンパイアレディ』と同じ末路であろう。
「うわぁ」
思わず言葉が重なってしまっていた。
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は一斉に目を覆いたい気分であった。
「これはお子様にはお見せできないヤツ!」
「うん、『ライスメキア』さんにはとてもお見せできない光景」
二人の意見は同じであった。
どちらにしたって『ピルグリム』の本当の脅威はこの程度では済まない。
彼らが数を増やせば、その数だけ目の前の凄惨な光景が銀河に広がっていくのだ。
「つまり私には不適切っ表現なのではないでしょうか! レーティング的に! 此処は一つ大人な理緒さんに頑張ってもらう方向でぜひ!!」
その言葉に理緒は首を傾げる。
「え? サージェさんはもっとすごいことされてるよね? バーチャルって基本無制限だし、なんたってクノイチだし!」
「クノイチへの風評被害が酷い! そんなことないですよ! それは多分別の種類のやつです! クノイチとは似て非なる、えっと、魔を退治する忍び的なやつです! 私はクノイチ! です!」
その言葉に、一緒じゃないかなと理緒は思った。
「それにですね、私はどこからどう見ても14歳のクノイチ少女ですよ?」
たゆん。
お前のような14歳がいてたまるか。
そんなふうに思っていたが、猟兵の皆様方を見ているとそういう理屈は通用しないものであるとつくづく痛感するものである。
生命の埒外ってそういう? 多分違う。
「さすが年齢×チョコパイのボリュームだね!」
ま、それはいいとして、と理緒は迫る『オメガケンタウルス星人』たちの群れを見やる。
こちらを生命体と認識している以上、こちらに針を打ち込んで寄生しようとするのは彼らの本能として当然の行いであったことだろう。
「『ライスメキア』さんのとこに行く前に止めないとだね」
「ええ、とはいえ、あの母体……あんな状態でもヴァンパイアの性質は保っているようです。理緒さん、血を吸われないように!」
サージェは迫る触手の一撃を手にしたカタールで切り裂きながら、一気に進む。
自分へと注意をひきつけ、一気に殲滅する。
数で勝る敵を打倒するためには、時に危険に飛び込むことをしなければならない。
だが、彼女とて無策で飛び込んだわけではないのだ。
「メモリセット! チェックOK! 参ります! VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)!」
彼女の手が地面に触れる。
次の瞬間、一気にバーチャルな畳がひっくり返り、その畳が壁となって『オメガケンタウルス星人』たちの突進や触手、そして『スペースヴァンパイアレディ』の放った吸血アームを防ぐのだ。
「説明しましょう! これがバーチャル畳返しの術! 敵は止まる! 以上でーす!」
「さ、敵の突進が止まったからNimrud lens(ニムルド・レンズ)でしっかり焼却……って。ナンデタタミ、ナンデ!?」
理緒は驚愕した。
バーチャルと言えど畳。
畳は燃えるもの。ならばこそ、彼女のユーベルコードは大気を屈折させて収斂、熱を放つ力であるがゆえに畳ごと敵を燃やしてしまうだろう。
けれど、サージェは問題なしとばかりにサムズアップしてみせるのだ。
「大丈夫です、理緒さん、これはバーチャル! バーチャルなんです! だから宿敵を倒してください! 私のバーチャルアイは『スペースヴァンパイアレディ』の宇宙服の中はたゆんたゆんのはずなんです!」
サージェは誤解している。
いや、『スペースヴァンパイアレディ』の宇宙服の中がたゆんたゆんであるかどうかではない。
理緒は、たしかにその、なんだ。
あの、慎まやかである。けど、それがいいっていう言説だってしっかりあるのだ。
いや、話がどうしても逸れる。
違うのである。いいたことはそういうことなのではないのである。
「あ、あとわたし巨乳は|愛でる《揉みしだく》もので敵じゃないからね」
「あれ!?」
あの執着はきっと自分にないものへの憧れがなんかこう捻れて拗れたやつだとばかり思っていたサージェは意外そうな顔をする。
「ほら、やっぱり誤解しててる! あとでサージェさんは|愛でる《もみしだく》からね!」
「なんで!?」
そんなやり取りの中、洞窟の中に輝くユーベルコードの輝きが『ピルグリム』を焼き滅ぼすように奔り、理緒の言葉通り焼却されるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
……はっ!? 危なかったです。
ハイライトが家出どころか実家に帰っちゃうところでした。
なんだかこれもうR18のGですよね。
わたしみたいなぴゅあっぴゅあは、
触れてはいけない案件みたいな気がします。
ここは大人なステラさんにお任……。
(がしっと首根っこを掴まれて)
覚悟良くないです! できてませんー!
ぢたぢたしても逃げられないので、とほほ顔で諦めますね。
とはいえこれは、歪んだ存在なのは間違いないですね。
ここは【世界調律】で、元の姿に戻ってもらいましょう。
ステラさんのフレイムランチャーに援護してもらいながら、
鈍器音叉に光を纏わせて、叩きつけます!
良い子が観ていいレベルにまで、静まれー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
これは……ルクス様には刺激的すぎますね
というかハイライト帰ってきて家出ダメ絶対
ぴゅあぴゅあ……(審議中って顔
望まぬ命を産まされ続ける呪いのようなモノ
これをメイドでもなく猟兵でもなく
ひとりの女として許すわけにはいきません!
ルクス様、いきますよ
覚悟は良いですか?(首根っこ掴む
【テールム・アルカ】起動!
召喚する武器は人型サイズにリサイズを
右手にパルスマシンガンを、左手にフレイムランチャーを
パルスマシンガンで制圧しつつ
フレイムランチャーで燃やし迎撃です
ルクス様、洞窟内であんまり派手に動けませんので
今のうちに溜めてちょっとデカい一撃かましてください
その間は私が押し留めますので!
目の前の光景は壮絶という言葉がしっくり来る光景であった。
オブリビオン『スペースヴァンパイアレディ』の腹を引き裂くのは『白濁した触手』。そして、その裂けた腹からこぼれ落ち続けているのは『刻印寄生』の明かしたる触手を蠢かせる『オメガケンタウルス星人』たちであった。
猟兵たちが幾度となく焼き払い、その大波の如き群れを洞窟の外に出さぬように戦っていたが、木霊する悲鳴は心を切り裂くナイフのようであった。
「痛いイタイ、痛い痛い痛い、どうしてどうしてどして、わたしがこんなめにあわないとっ、がっ、ああああああっ!!!」
叫ぶ声と共に蠢く触手が新たなる獲物を求めて這い出しては、猟兵たちに襲いかかり霧消させられていく。
何処までも広がる凄惨たる光景にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の瞳のハイライトは何処かに消え去ってしまっていた。
そんなルクスの様子にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はさもありなんという様子であった。
「これは……ルクス様には刺激的すぎますね。というかハイライト帰ってきて家出ダメ絶対」
ぴゅあぴゅあなルクスには些か精神的負荷がすごい光景である。
しかし、なんとかルクスは正気に戻るのだ。
これも光の勇者たる由縁であろうか。いや、まあ、その、ハイライトが家出したのは、こういうレーティングがGなあれなときだけじゃなく、たまに師匠絡みでハイライト逃げ出した時もあったので、大丈夫じゃろって思っていましたまる。
「……はっ!? 危なかったです。実家に帰っちゃうところでした」
「ぴゅあぴゅあ……」
審議である。まあ、だいじょうぶじゃろ。
「なんだかこれもうR18Gですよね。わたしみたいなぴゅあっぴゅあは、触れてはいけない案件みたいな気がします」
「確かにそのとおりです。望まぬ生命を産まされ続ける呪いのようなモノ。これをメイドでもなく猟兵でもなく、ひとりの女として許すわけにはいきません!」
「ええ、本当に! でも此処は大人なステラさんにお任……」
「ルクス様、いきますよ。覚悟は良いですか?」
がっしりルクスはステラに首根っこを掴まれていた。
え!? と思わず唸ってしまう。
「覚悟よくないです! できてませんー!」
「テールム・アルカ、起動!」
ステラの瞳がユーベルコードに輝き、リサイズされたキャバリア兵器が彼女の手に収まる。
右手にパルスマシンガン、左手にフレイムランチャー。
そう、この洞窟内部では派手に動くことはできない。ならば、面制圧攻撃でもって敵をひきつけ、撃滅しつつ力を貯めるときである。
すなわち、ルクスが切り札なのだ。
「いいえ、ルクス様ならばできます。いっぱつデカイのをかましてください。その間は私が押し留めますので!」
「そうは言われましても!」
弾丸が迫る『オメガケンタウルス星人』たちを押し留め、フレイムランチャーの炎が唸りを上げる『スペースヴァンパイアレディ』の叫びを塗りつぶす。
ルクスはどうにか逃げられないものかと、ぢたぢたしていたが、彼女の運命はこういうものであったのだろう。
もはや諦めるしかない。
どんなにグロテスクであっても、逃れ得ぬ戦いというものが勇者にはあるのである。
ならばこそ、ルクスは覚悟を決める。
ここまでステラが援護してくれているのだ。
迫る触手の脅威は頭から振り払っていい。そして、『スペースヴァンパイアレディ』の母体となった有様もまた同様だ。
あれはとてもじゃないが全年齢で見せていい代物ではない。
「そうです! 良い子が観ていいレベルにまで!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
世界調律(セカイチョウリツ)。それは在るべき姿に世界を戻すユーベルコード。
巨大音叉剣が彼女の手の中にある。
光り輝くのは、彼女が受けた精神的負荷が凄まじかったことを示していた。
強烈なる光を解き放つ音叉剣の一閃が『スペースヴァンパイアレディ』に振り降ろされる。
「静まれー!」
ステラの放つ弾丸と炎さえも切り裂いて光の剣が『スペースヴァンパイアレディ』を切り裂く。
それは『ピルグリム』という存在が世界にいてはならぬと思う人々全ての代弁であったことだろう。
誰もが『スペースヴァンパイアレディ』のような凄惨たる状況に身を起きたくないと思う。
けれど、『ピルグリム』を放置しておけば、遅かれ早かれあのような光景が銀河全土に広がっていく。
残されるのは壮絶な死と滅びだけだ。
ならばこそ、ルクスとステラはそれを為してはならぬと、その一撃で持って母体たる『スペースヴァンパイアレディ』を切り裂くのであった――。
大成功
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ミレア・ソリティス
敵退路の封鎖を確認、残存する敵性体……生産母体の撃破へと移行します
近接兵装へと換装、ジャミングミサイルによるジャミング展開とステルスで寄生体及び敵アームの目測を狂わせ、ショートブラスターとプラズマ蹴撃、Gフリューゲルの射出式クローで攻撃と迎撃を行いつつ、
ヴィントシュティレの支援弾幕も合わせ母体へのルートを拓きましょう
ルート確保後インパクトランス及びシールドを装備、護りをシールドとバリア機能に任せ最大推力でのランスチャージを狙い、そのまま【コール・レギオン:2α】を。
周囲に生成した追撃役兼囮(すぐ崩壊する為)の急造の簡易型ミレア122機の集中射撃と、ランスからの内部への直接砲撃を叩き込みましょう
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は半電脳化した『惑星バブ』の荒野からのデータを受け取り、己が成した改ざんが効果を発揮したのを確認する。
敵の『ピルグリム』の母体は『スペースヴァンパイアレディ』。
そして、その腹から溢れ出すのは『刻印寄生』された『オメガケンタウルス星人』たち。
彼らの宇宙船は、オブリビオンになる前の『オメガケンタウルス星人』たちの略奪の戦法をそのまま取り入れている。
惑星に降着して、大地に坑道を穿ち、退路と進路を確保する。
それが『ピルグリム』の性質と合致したことは、偶然であろうが、悪辣であると言わざるをえない。
もしも、そのまま猟兵たちが戦っていたのならば。
「そのまま敵性体の逃走を許していたかもしれません」
ミレアはその可能性を潰したのだ。
一匹たりとて残す理由は『ピルグリム』にはない。あの災厄は宇宙にあっても、何処の世界にあっても凄惨たる光景を広げることしかしない。
「……生産母体の撃破へと移行します」
ミレアは戦いが繰り広げられている洞窟へと近接兵装へと換装し、ジャミングミサイルと共に突入する。
ジャミングを展開し、『オメガケンタウルス星人』たちの連携を裁ち切る。
さらにステルス機能によって此方に迫るであろう『白濁した触手』を躱す。
「あああああああああっ!!!」
『スペースヴァンパイアレディ』の叫び声が聞こえる。
猟兵達の攻勢による痛みか、それとも腹を引き裂きながら蠢く触手によるものか。
どちらにせよ、彼女のバイザーの奥にある瞳は狂気しかない。
絶望すら塗りつぶす痛み。
それが『ピルグリム』の母体になるということなのならば、それはなんとむごたらしいことだろうか。
しかし、ミレアにためらう理由はなかった。
その躊躇いが『ピルグリム』に付け入らせる隙になるのだから。
「母体へのルートが開かれたことを確認」
迫る触手をブラスターと蹴撃でもって切り裂きながら、射出クローが洞窟内部の壁面に突き立てられ、一気に巻き取るように『オメガケンタウルス星人』たちの頭上を飛び越えていく。
砲撃サブユニットの支援を受けてなお、『オメガケンタウルス星人』たちの防衛網は厚いと言わざるを得ない。
けれど、猟兵とはただ一人で戦う者ではない。
多くのユーベルコードが煌めき、ミレアの道を切り開いていく。
「ルート確保」
行ける、とミレアは判断した。
手にしたインパクトランスが煌めく。その鋭き切っ先を叩き込む。そのために彼女は開かれた道をひた走る。
シールドを弾き飛ばす触手。
しかし、バリアが更に迫る触手を防ぐ。針の切っ先がミレアの眼前にまで届く。
「コール・レギオン:2α(コールレギオンツーアルファ)発動。
けれど、それは急造した簡易型ミレアたちが塞ぐ。
「内部に異常を検知」
針が打ち込まれた、と簡易型ミレアは理解する。だが、内部で『ピルグリム』が育ち切る前に彼女たちは崩壊していく。
そう、彼女たちは囮なのだ。
本命たるミレアは、インパクトランスを構えて、母体たる『スペースヴァンパイアレディ』へと迫る。
「が、あっ……!!」
「それが最後の痛みです。敵性体への命中を確認……」
インパクトランスの一撃が『スペースヴァンパイアレディ』に叩き込まれる。
次の瞬間、簡易型ミレアたちの手にした重火器の銃口が彼女に向けられる。一斉に。全ての照準が叩き込まれたインパクトランスをマーカーにしている。
「……ふぁいあ!」
トリガーが引かれるのは一瞬。
そして、雨のような銃弾が次々と『スペースヴァンパイアレディ』に叩き込まれ、その母体としての役目を、そのオブリビオンとしての存在を霧消させていく。
永遠に続くかのような痛み。
それを終わらせる一撃が、『スペースヴァンパイアレディ』にとっての救いであったのならば。
『ピルグリム』の悍ましき存在は、此処で一欠片とて見逃してよいものではないと知らしめるように猟兵たちは洞窟内部の全てを焼滅し、白き災厄の種を滅ぼすのだった――。
大成功
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