ベルカ・スノードロップ
〇ウェスタとの出会い
――学園の教務課
生徒を指名してのクエスト発行を申請。
指名した生徒の名前は、ウェスタ・ミストバレー。
指定した生徒の学費を出している身分、ということで
クエストの申請はすんなりと、通りました。
クエストの内容は『派遣任務』。
彼女自身が猟兵として目覚めたという事もあり
他の世界でいう『インターンシップ』のようなもの。
――というのは、|学園《表》向きのもの。
彼女を呼び出してもらい個室で、面談。
「はじめまして。ベルカ・スノードロップといいます」
学園の教務課から、私が学費を出していた事の説明と
クエストの説明がされました。
その後は、2人きりにしてもらい。真の目的もストレートに伝えます。
「貴女に妻として、私のハーレムに入って貰うため、です」
私が拠点としているキマイラフューチャーでは、婚姻年齢制限がありません。
建前もなく『妻』です。
「もう、あと何年か待つというのも我慢が出来ません。
今すぐ、ウェスタが欲しいんです」
「なので、このクエストを受領してください」
「その瞬間から、貴女は『ウェスタ・スノードロップ』。私の妻です」
ウェスタがクエストを受領してくれるのと同時。
学園でのウェスタの登録名も『ウェスタ・スノードロップ』に更新されました。
そして、私はウェスタの事を、お姫様抱っこして
連れて帰ることにするのでした。
アルダワ魔法学園の中等部に校内放送が流れた。
『ウェスタ・ミストバレーさん、ただちに教務課まで来てください』
「えっ、私っ!?」
驚きの声を上げたのは、猫の耳を生やした少女だ。猫耳と尻尾以外は人間とまったく変わらない外見はキマイラの特徴である。
「ウェスタちゃん、また何か変な発明して事件起こしたの?」
「こ、今回は、そんなことはしてない……はずだよっ!」
ツナギ風の上着を身に着け、腰にはスパナやハンマーを下げたキマイラの少女――ウェスタ・ミストバレーが、友人の言葉に自信なさげに答える。
『繰り返します――』
「と、とにかく、教務課に行ってくるねっ!」
ウェスタは、慌てて教室から駆け出していった。
――その先に運命の出会いが待つとも知らずに。
「クエスト? 私一人で?」
「ええ、依頼人の指名です。応接室でお待ちですので、直接内容を聞いてください」
職員に告げられたウェスタは一人で応接室に向かい、部屋の中へと足を踏み入れ――。
――そこで待っていたのは、緑色の長髪に美しく輝く琥珀色の瞳をした、まるで可憐な少女のごとき外見の男性だった。
男性は優雅な仕草で椅子から立ち上がると、呆然とするウェスタに向かって微笑みかける。
「はじめましてウェスタさん。私はベルカ・スノードロップといいます」
「あなたが依頼人なの? なんで私のことを……」
「それは、私がウェスタさんの学費をお支払いしている後援者だからですよ」
「ええっ、あなたが――!?」
孤児であるウェスタが学園に通えているのは、見知らぬ人物が彼女の学費を負担してくれているからだ。ウェスタは、その『あしながおじさん』への感謝の念を忘れたことはない。
「それで――私からのクエスト、受けていただけますか?」
「も、もちろんっ! これまでの恩を返すためにも、どんな困難なクエストでも達成してみせるよっ!」
勢い込むウェスタに、ベルカは苦笑を返す。
「はは、ありがたいですけど、そんなに難しいお願いではないんです。――いえ、ある意味、ウェスタさんの覚悟は必要になると思いますが」
「大丈夫、どんなことでも――するよ!」
しっかりとベルカの瞳を見つめ、ウェスタが答える。
それを聞き届け、ベルカが口を開いた――。
「それでは、ウェスタさん。私のハーレムに入って妻になってください」
「えええっ!?」
こうして、学園の名簿に、ウェスタ・スノードロップという名前が刻まれたのだった。
成功
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