ナイトメア・ビフォー・デッドライン
榎・うさみっち
■内容
年末の同人誌即売会にサークル参加予定のうさみっち。だが、気付けば入稿締切が目前に迫っていた!
助っ人としてデビみっち(※)を召喚し、ドタバタしながらも何とか脱稿するのだった。
※ユーベルコード:よにもおそろしきデビみっちサモン
【うさみっちゆたんぽ】から、【三叉槍によるツンツン攻撃】の術を操る悪魔「【デビみっち(レベル×1体)】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
https://tw6.jp/garage/gravity/show?gravity_id=88373
■内容補足
・原稿締切前の緊迫感やドタバタ感を思いっきりコミカルな雰囲気で書いてほしいです
・うさみっちの頒布物は自作漫画(内容詳細お任せ)。ジョブ神絵師なのでめっちゃ上手い。壁サークル
・デビみっちへの報酬は「打ち上げに焼肉だ!」
・アドリブや自由な解釈大歓迎
■イメージ台詞(不使用や改変OK)
「いやー師走は新作ゲームやソシャゲイベントがいっぱいで時間がいくらあっても足りないぜー」(←締切ギリギリになった原因)
「ハッ!?締切まであと3日!?ま、まずい!俺一人じゃどう考えても間に合わねぇ…!」
「デビみっち集合ー!お前らに任務を与える!さぁ、ペンタブを持て!」
「うるせーぞお前ら!手を動かせー!」
■ノベル文字数
最低1500文字以上はあると嬉しいです。あとは書きやすい文量だけ書いて余った分は返金で構いません。
■その他
・年末ネタですが、制作期限いっぱいかかっても構いません
・可能でしたら、数行程度でも良いので「後書きor前書き(MS様のコメント)」があると嬉しいです。無しでも勿論問題ありません
年の瀬も迫る蒸気魔導都市、アルダワ魔法学園。
学生たちがクリスマスマーケットに繰り出す中、榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は一人自室で絶望の面持ちをしていた。
それもそのはず、目の前には。
液タブの中の原稿、白紙! 行き詰ってラフだけの未完成ページ! あとなんか落書きっぽいもの(飽きた時の産物)。
怖ろしい事にうさみっちが持ち込もうとしている先は『年末の』同人誌即売会なのである。
……え? 来年末? もちろん今年だYO☆
「うわああああん!!」
彼の名誉のため弁明しておくと、決してうさみっち一人が悪いわけではない。猟兵稼業の傍らの同人作家はネタには事欠かないものの、時間はむぎゅっと削られる一方。某世界の猟兵に『ギンギンパゥワー☆』してもらったとて出せる労力には、生命体の埒外とはいえ限度がある。
そう、彼とて悪くはないのだ。一生懸命ここまでやってきた。一生懸命……。
「いやー師走は新作ゲームやソシャゲイベントが目白押し、時間がいくらあっても足りないぜー! お、あとちょいでスタミナ回復するからその間にこっち完走しーよっと」
カチカチカチ。
「ほうほう。ふんふんふん? 19時から限定フィギュア予約開始!? これはもうモニタに張り付くっきゃナッシング☆」
ギンギラギン。
「ちょっとだけ……あとちょっとだけ……周回クエ一周したら……あ、レベルアップでスタミナ満タン、ラッキー!」
きゅららららん。
(「すー……すー……ぐごごごご……夢の中でもうさみっち絶好調だぜー!」)
放置されためざまし、ぽつねん。
前言撤回だ、うさみっち。すべての責任はキミにある!!
「うわああああん!! 締切まであと2日とか聞いてねぇし……!」
そんなわけで冒頭のシーンに戻るのだが、この先何度振り返ったとて過去は変わる事はない。現実を受け入れるべき時である。
「くっそー、俺一人じゃどう考えても間に合わねぇ……こうなりゃ!」
意を決して取り出したるはうさみっちゆたんぽ、彼が持ち歩く能力発現のキーアイテム!
三叉の槍でツンと小突けば、たちまち出てくる彼の分身。
「デビみっち集合ー! 緊急事態だ、お前らに任務を与える! さぁ、ペンタブを持て!」
なんだなんだと集まるデビみっちを否応なしにこたつ机に向かわせるも、今一つ動きが鈍い。
「おーおー、オレら呼び出しといて報酬もなしか?」
「なめてんじゃねーぞこのやろ、みっちみちにしてやんぞー?」
「く……逆らう気かー! そんじゃ報酬は打ち上げに焼肉でどうだ!」
主・うさみっち、デビたちに言う事を聞かせるべく拳を振りかざす、が。
「肉10kg」
「な……」
「肉10kg食わせろ。一人当たりだ」
「……ご、5kg」
「8kg」
「……だー!! それで手を打ってやらあ!!」
薄利多売の同人誌じゃこの時点で大赤字なのだが、これでもうさみっちは壁サークル。原稿を落とし、面目丸潰れになるよりはマシだと要求を呑み、デビみっちたちを一斉にけしかける。
「オラ、そうと決まったら取りかかれー!」
「へいへーい」
ここからの彼らの挽回っぷりは目覚ましく、線画・ネーム切り・ベタに装飾と工場の如きライン作業。途中居眠りしたデビみっちには「寝るなー!」と栄養ドリンクの蓋がパシンと飛んだが、不眠不休にも等しい突貫作業でページは次々と埋まっていく。
紙の時代ならいざ知らず、デジタル原稿の今では機材がなければこうは行くまい。破損に備え、タブレットを多めに買っといてよかった……とうさみっちは心から思うのだった。
◇ ◇ ◇
さて、それから数日後。
同人誌即売会「グリモアマーケット」では、選りすぐりの同人誌に混ざってうさみっちたちのサークルの出店があった。
「あ、どーもどーも! お買い上げありがとございまーす!」
笑顔満面、売り子モード。お客様に愛想を振りまきつつ会計をするうさみっち、どうやら原稿は間に合ったようだ。
実のところ、入稿がギリギリすぎて印刷所にお小言は言われたが、それはそれ。
手慣れた同人作家はカラーモードやインクの特色指定など印刷所の細かい要件も一発クリアし、奇跡的に滑り込み発刊を成し遂げた。
「え、布教用にもう一冊!? あざまっす!」
お買い上げいただいた後のサインも神絵師ならではの流暢なもの。サインペンを走らせるこの作家が前日まで鬼の形相だったとは誰も思うまい。
「あ、●●サークルの! いつもお世話様っす、わざわざどーも!」
時にはお店を任せて出てきた他店の作家の手を握り、時には流し売り目的っぽい人に影でこんにゃろと思いつつ。
どうにか対応を終えた彼の元へ、缶コーヒー片手に現れる友人らしき影。
「ふわ~あ……つっかれた~……でも、何とか乗り切れたし無問題だぜ!」
軽く礼を言ってコーヒーを受け取り、ソシャゲの残りの周回を終える、うさみっち。
学習しない彼は来年同じ光景を繰り返すことになるだろうが、それよりも先に。
打ち上げで肉を奪い合ったデビみっちが盛大に粗相をやらかし、焼肉代・お店の弁償費用・ついでにガチャの爆死代(カードのリボ払い)で地獄を見るのは、わずか数日後の事であった。
【あとがき】
お世話になっております! 最後のオチの書きたさに筆を執りました!
お言葉に甘えてだいぶ盛りましたが、こういう解釈であってましたでしょうか。
本件に関するうさみっちさんご本人様からのクレームはちょっとだけ、受け付けます。
小指の先ぐらい。返済ガンバ☆
明るくめげないキャラクター様、書いていて楽しかったです!
ありがとうございました!
成功
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