銀河帝国攻略戦㉖~誰が嘘つきだ?
●彼は語る
「アマルテア情報艦隊で得た情報から、分かったことがあるぜ。スペースシップから拉致された有能な科学者や技術者が、帝国旗艦インペリウムの科学技術センターで働かされている、ってことだ」
宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)が説明を始める。
「働かされてる、っていうかさ……拉致された彼らは、生体コンピューターの部品として、科学技術センターの中央コンピューターに組み込まれてる。無理やり引きはがせば死ぬ……だから、彼らを安全に中央コンピューターから切り離して、無事に連れ帰って欲しいんだ」
コンピューターの一部とされたことで高度な技術と知識を得た彼らを救出できれば、今後のスペースシップワールドの発展に役立つ、と推測できる。
「何より、罪もない人達が機械に繋がれて自由を奪われてるってのは、俺としては見過ごせない。頼む、彼らを助けてくれ」
中央コンピューターは、機械の大樹に、まるで果実のように、『技術者や科学者が直結されたコンピューターユニット』が無数にぶら下がっているような、グロテスクな見た目である。
「コンピューターユニットは、『謎』を提示してくる。これに対して、『正しい解答』を入力することで、安全に、技術者や科学者を救出することができるようになるぜ」
それから拓未は、こう続けた。
「皆に向かって欲しい場所のコンピューターユニットは、最初に、ドラマ仕立ての映像を見せてくるんだ。こんな感じだぜ」
●映像の内容
『あるところに、嘘つきウィルスが蔓延した宇宙船がありました。そのウィルスに蝕まれた人は、嘘しか言えなくなってしまうのです。決して嘘を言わない正直者ばかりの船だったのに、可哀想に……』
「――俺は嘘つきなんかじゃない!」
青年シンは、怒気を露わにし叫んだ。
「彼を、シンを信じてはなりません。彼こそが嘘つきなのです」
シンを指さし、ユウという名の若い女性が言う。
「……どこにもいないね、正直者なんて。ここには、ウィルスに蝕まれた者しかいないんだよ」
少年、リツが溜め息と共に言う。
「違うわ、私はウィルスに蝕まれてなんかいない。嘘つきは、リツ、ユウ、あなた達二人でしょう?」
少女、アイが、真っ直ぐな眼差しと共に告げた。
『それでは問題です。あなたの手元には、ウィルスを解毒する特効薬のアンプルが複数本あるものとします。あなたが特効薬を使うべき嘘つきは、誰でしょうか? ただし、ウィルスを発症していない者に特効薬を使った場合、拒絶反応が起きて対象は死亡するものとします』
●拓未の激励
「解答として、『特効薬を使うべき、嘘つきウィルスの発症者』の名前をコンピューターユニットに入力すればいいみたいだな。正解すればドラマの登場人物達も助かるし、現実でも技術者や科学者達が解放されるってわけだ」
拓未は、こう締めくくった。
「皆ならできる。全員まとめて、救ってやってくれ!」
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願い致します。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
なお、『出題しているナレーター』は嘘つきではありません。
また、部分的に嘘を、部分的に真実を言っている登場人物はおらず、嘘つきと正直者に分かれています。
間違った事実を信じ込んでいる登場人物もいません。
皆さんの鋭い解答を、お待ちしております。
第1章 冒険
『中央コンピューターの謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。
SPD : 素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
亜儀流野・珠
まだ捕まっている者たちはいる。
どんどんいくぞ!
〇シンは俺は嘘つきではないと言う。
×ユウはシンが嘘つきだと言う。
×リツは皆が嘘つきだと言う。
〇アイはリツとユウが嘘つきだと言う。
リツの発言はどうしても矛盾するからリツは嘘つきだな!
アイが正直者だとするとユウも嘘つき、シンは正直者だ。
で、皆矛盾無いな?よし特効薬はリツとユウに使用だ!
無事科学者たちを救出できたら体調チェックだ。
食事が喉を通るなら饅頭を分けてやろう!
他の捕まっている者たちの救出は俺たちに任せてゆっくり休んでいてくれ!
ミニステリアリス・グレイグース
ふう……それにしても、一体どれだけの科学者を抱え込んでいるんでしょうか?
気を取り直して謎解きです
ふむ、嘘つきが誰かを当てればいいんですね
ここでまず着目すべきはリツでしょうか
これが本当だと「正直者はいない」という発言と自己矛盾を起こします
よってリツは嘘つき
次はアイ
これが嘘だと既に自己矛盾を起こしているリツが正直者になってしまいます
よってアイは正直者
となると連鎖的にユウも嘘つき、残ったシンは正直者になります
なので答えは『ユウ』『リツ』です
技術者さん達の救出後は応急処置を施しつつ、生還を祝福する言葉を掛けておきます
その後に「万能錬成カミヤドリ」で担架などの搬出器具を作って慎重に運び出しましょう
謎解きの時間の始まりである。
挑戦者は二人。銀の髪にリボンをつけた妖狐、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)と、ナノマシンのヤドリガミである、ミニステリアリス・グレイグース(夢に囚われし灰塵の徒・f06111)。一見すれば、共に10代の少女に見える、二人の猟兵だ。
「ふう……それにしても、一体どれだけの科学者を抱え込んでいるんでしょうか?」
「そうだな、まだ捕まっている者たちはいる。どんどんいくぞ!」
ミニステリアリスが吐息と共に言い、珠は気合十分にコンピューターユニットに向かう。
モニターに流れ始めるのは、予知にあった通りのドラマ映像。
それが終われば、画面には特効薬の画像と、名前の入力欄が現れた。
「まず着目すべきは、リツでしょうか」
ミニステリアリスは静かに言った。チーズケーキにナイフを入れるように、謎の切り分けが開始される。
「そうだな。リツの発言はどうしても矛盾するから、リツは嘘つきだな!」
珠が勢いよく頷いた。
「ええ。これが本当だと『正直者はいない』という発言と自己矛盾を起こします。……よって、リツは嘘つきで間違いないでしょう」
リツの発言の矛盾、それは謎を解くための切り口となる。二人は、正確にそれを見抜いた。
「次はアイだな! リツが嘘つきということは、アイの発言は正しいはずだな」
「はい。アイの発言が嘘だと仮定すると、既に自己矛盾を起こしているリツが正直者になってしまいます。よって、アイは正直者」
珠とミニステリアリスは、謎の解明を進める。意見は一致しており、息を合わせて考えを進めていくことができている。
「連鎖的に、ユウも嘘つき」
「シンは、正直者だ」
――答えは出た。
「皆、矛盾ないな? まとめるぞ!」
珠が総まとめを述べる。
〇シンは、俺は嘘つきではないと言う。
×ユウは、シンが嘘つきだと言う。
×リツは、皆が嘘つきだと言う。
〇アイは、リツとユウが嘘つきだと言う。
「分かりやすいですね。間違いないはずです」
ミニステリアリスが率直に言った。
「つまり、特効薬を使う相手は……」
珠がモニターに向かい、ミニステリアリスは後方でそれを見守る。
『ユウ』『リツ』と、珠は入力を終えた。
すると、ドラマ映像の続きが流れ始める。
「……僕とユウさんだけに特効薬を使うの? 嘘つきは全員だよ?」
光宿らぬ目でリツが呟く。
「間違っています、あなたは間違っています! 嘘つきはシンです!」
暴れ、抵抗しようとするのはユウ。
だが、やがて、二人の首筋にアンプルは注入され……二人は目を閉じた。
ほどなくして、ユウとリツは目を開ける。
「……ごめんなさい。僕、ウィルスにやられてたみたいだ……」
「ああ、ああ……! 私、シンにとんでもないことを言ってしまいました……!」
正気の色を取り戻したリツの瞳。ユウは、おろおろし始める。
シンはひしとユウを抱き締め、アイは安堵の表情を浮かべて微笑んだ。
『Happy End――Congratulations!!』
そのメッセージがモニターに表示された直後、どさどさという落下音と共に、科学者や技術者達が解放された。
「う、ううん……」
「私達は……」
意識を取り戻した彼らに、珠とミニステリアリスが駆け寄る。
「ご生還、おめでとうございます」
ミニステリアリスがかけるのは、祝福の言葉。それと共に、応急処置を施してゆく。
「体調はどうだ? 食事は喉を通るか?」
珠は、頷いた彼らに饅頭を分け与えた。
「……食べ物なんて、最後に食べたのはいつだったかな……」
感極まって、男性の一人が泣き出す。
よく見ると、その顔立ちはリツに似ていた――ユウ、シン、アイに似ている者もいる。登場人物のモデルとして、コンピューターに使われたのかもしれない。
「他の捕まっている者たちの救出は俺たちに任せて、ゆっくり休んでいてくれ!」
珠は彼らへと、人懐っこい笑顔を向ける。
「はい……!」
「本当に、本当にありがとう……!」
感謝の言葉を、科学者や技術者達は口にする。
ミニステリアリスの『万能錬成カミヤドリ』で作成された担架で、彼らは運び出されていった。
猟兵達は、謎を解き明かし、彼らの命を救うことに、無事に成功したのである。
大成功
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