猟書家決戦~永劫輪廻
●終わる世界で、
月を覆う『骸』が解けていく。『還って』いく。
僅かに残っていた影すら失われ、カクリヨファンタズムの月は元の輝きを完全に取り戻した。
見よ。この世界の『骸の月』は潰えたのだ。
見よ。我が|可能性《こたえ》は潰えたのだ。
(あーあ、またやり直しか……)
猟書家のくせに本よりゲームな妹に、何とか必要な知識を覚えさせて。
選りすぐりの精鋭をこの世界のあちこちに送り込んで。
どこにいるかもわからない閻魔王を探し続けて。
いつ爆発するかもわからない|偽物の世界《ばくだん》を抱え続けて。
やっとわかったのが、頼みの『|生と死を繋ぐもの《ヤマーラジャ・アイビー》』は閻魔王じゃなくて大祓骸魂が持ってて?
その大祓骸魂も、猟兵に倒されてて?
おまけに、オレ達の|偽物の世界《ばくだん》もそろそろタイムリミットときた。
流石にあーコレ詰んだなーとは思ったよ。もう間に合わねぇと思ったけど。
「お姉様。次の蘇生時にも、また仲良くしてくださいね……」
こいつは。ユリは、そうだ。
ぼんやりしてるようで、強いんだこいつは。
「仕方ねぇな……。でもその前に、ひと仕事待ってるみたいだぜ」
オレの世界がオレごと世界を圧し潰すのは止められない。
なら最後に、世界の存亡ってやつをかけてデカい戦いをしてみようじゃないか。
来いよ猟兵! オレの|偽物の世界《ばくだん》が|本物の世界《カクリヨファンタズム》を潰す前に、間に合ってみせろよ!
●幽銃のシズク
カクリヨファンタズムでオウガ・フォーミュラの姿を捉えたと、グリモア猟兵の出水宮・カガリは伝えた。
「オウガ・フォーミュラとは、オブリビオン・フォーミュラなき世界で暗躍する、猟書家の王……と思ってもらえばいい。
カクリヨファンタズムで、大祓骸魂を撃破した後に現れたのは。『|滅詩《ほろびうた》のユリ』と、『|幽銃《ユウガン》のシズク』という、2人組のオウガ・フォーミュラだな」
この2人は、オブリビオンとして蘇った時から体内に『いつか宿主を圧し潰す偽物の世界』を宿す奇病に冒されており、例え滅ぼされて新たに現界しようと、その度に病も復活してしまうらしい。
その病を断ち切るため、『世界を断ち切る』カクリヨファンタズムの秘宝『|生と死を繋ぐもの《ヤマーラジャ・アイビー》』を求めていたのである。
憐れと言えば憐れではあるが、今は同情の余裕は無い。その時間も無いのだ。
「2人を冒す『偽物の世界』は、その肉体に収まらなくなった時。宿主を食い破るだけでなく、宿主がいた世界にも大きな影響を及ぼすそうだ。
元から不安定なカクリヨファンタズムでそれが起きれば、世界ごと木っ端微塵になってしまうだろうな」
まさに、この2人はその存在だけで『世界を破壊する爆弾』なのである。
猟兵も『|生と死を繋ぐもの《ヤマーラジャ・アイビー》』の所在がわからない今、カクリヨファンタズムを確実に守る方法は唯一つ。彼女達を『完全に』滅ぼしてしまうしかない。
「既に、『|幽銃《ユウガン》のシズク』の内にある『偽物のUDCアース』から。多くのUDCが、カクリヨファンタズムに溢れつつある。
このUDCを滅ぼした後、『偽物のUDCアース』の基点である『柱』を壊せば、シズクの肉体は少しばかり時を稼げるだろう。
『|滅詩《ほろびうた》のユリ』の内にある世界は、別の猟兵が対応してくれる。そうして時を稼いだ後に、カクリヨファンタズムにいる2人を滅ぼす。
くれぐれも、油断のないように。よろしくな」
グリモア猟兵の片手にあった黄金の門のグリモアが、見る間に形を変えて人が通れるほどの大きさになる。
黄金の門を潜れば、その先は――『偽物のUDCアース』だ。
●永劫宿業
UDCアースによく似た世界。深夜の病棟によく似ている。
いつからこの世界に閉じ込められたのかは覚えていないが、最後の『仕事』が廃病棟だったから引き寄せられたんだろう。
あの時殺し損じた邪神はどこへ行ったんだろうな……。
……まあ、そんなことはどうでもいい。
今は俺も化け物の仲間だ。除霊だとか、加害者だとか、被害者だとか仲間だとか、一切を気にする必要が無い。
UDCも人間も、目に映る全てを殺し尽くすだけだ。
どうしたブラッドワーカー。血が欲しい? ああ、お前を撃ち殺せば血が流れるな。
殺されたくなければ『外』まで逃げてみろ。俺は何故か出られないみたいだから。
……逃がすつもりはないが。
旭吉
旭吉(あさきち)です。
猟書家決戦はコンプしたい気持ち。
オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』戦をお送りします。
(彼女達を20シナリオ全てで倒せれば、完全に滅ぼすことができます)
●状況
カクリヨファンタズム、石抱きの井戸周辺。
『|幽銃《ユウガン》のシズク』の周囲には、彼女の内で膨張を続ける『偽物のUDCアース』から溢れ出たUDC怪物であるブラッドワーカー達が現れ、カクリヨファンタズムの各地へ獲物を求めて散ろうとしています。
内側から『逃げてきた』ような個体もいますが、まずはこのUDC達を討伐してください。
演出や台詞は盛っていきたいと思います(特にフォーミュラ戦)
あんまり派手な怪我はしたくないとか、装備に万が一にも傷を付けたくないとか、そういう方には参加をお勧めできないかもしれません(判定次第では軽傷・無傷で済む場合もあります)
ご参加の前に、ご一考くださいませ。
どなたかとご一緒に参加される場合、お相手のIDか【】で括ったチーム名をお願いします。特殊な呼び名などあれば書いて頂けると助かります。
●プレイング受付
1章は【12月16日(月)8:31~の受付予定】です(以降の章は都度ご案内します)
システム的に受付可能な限り受け付けます。
できるだけ多く採用する予定でいますが、キャパ的事情により、問題が無いプレイングでも流してしまう事があるかもしれません。
また、執筆可能な期間が限られるため、サポートも積極採用予定です。
(サポート以外のプレイングが多い場合はその限りではありません)
ご了承ください。
●プレイングボーナス
1章は【血への強い執着を利用する】です。
第1章 集団戦
『ブラッドワーカー』
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POW : 血が欲しい血が欲しい。暖かくて赤い血が、欲しい!
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【血を全て抜かれる事への抵抗感】、否定したら【防具や衣服を含む、身体を守る物の防御力】、理解不能なら【血を流しすぎると生命は死ぬという常識】を奪う。
SPD : 血、血、血!
対象に【絶え間なく血が流れる裂傷】を生やし、自身とのテレパシー会話を可能にする。対象に【血を流すことを快楽に感じる呪詛】の状態異常を与える事も可能。
WIZ : 赤い血全部、ぜぇんぶ頂戴!
【針先から血の流れる巨大注射器】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【注射器の針】で必ず防御し、【大量の血を奪う注射針の刺突】で反撃できる。
イラスト:安子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●溢れ出る
少女の肉体に収まりきらなくなった世界は、少しずつその中身を溢し始めた。
|幽銃《ユウガン》のシズクの周りに一体、また一体と数を増やしていくのは、巨大な注射器を携えた黒衣の女性型UDCだった。
『血……血ィ……』
注射器の先端だけでなく、自身も全身から流血し続けている彼女は、見境なく血を求めるブラッドワーカー。
自らの意思で出てきた個体の他に、四つん這いになって何かから必死に逃げてきたような個体もいた。
人間らしい感性も常識も持ち合わせない彼女らでさえ恐れるような何かが、シズクの中の世界で起きている可能性はある。
『血……血、血! ぜんぶ頂戴!!』
だが、いずれにせよ同じだ。
何かに追われていたから、可哀想だから見逃そう、という判断は許されない。
このカクリヨファンタズムは、彼女達の住む世界ではないのだから。
ちなみに、彼女達の発生源となっている本人は。
「なんだこいつら……オレ注射は嫌だってのに……」
「触ったら、わたくし達もピチュってしまうでしょうか。ここは、弾幕を避ける要領で……」
「あああ弾幕ゲーと一緒にすんな! じっとしてればこっちには来ないみたいだから!」
御魂・神治
なーんか、辛気臭い姉妹がやらかすそうやな
本人の意思で猟書家になったワケじゃなさそうやし、黒幕がおるみたいやし
...それに、ワイに因縁ありそうなヤツの気配するしな
わっけもない血に執着しとるな、吸血鬼かいなこいつらは
はいはい、そんなに血ぃ欲しいんやったらくれたるわ
『大国』の【結界術】で覆った状態でな
出血も大国の反転結界で実質ノーカンや
して、気ぃとられて接近した所に、天地もしくは森羅の【範囲攻撃】射撃で【浄化】の銃弾至近距離から片っ端から撃ち込んだるわ
しがみ付いてきた輩には高天原の【零距離射撃】のヘッドショットであの世行ってもらうでな
●除霊開始
少しばかり、同情の余地はある気がした。
もしかしたら、本人の意思で猟書家になったわけではないのかもしれない。それどころか、このような病を仕込んだ黒幕までいるのではないか。
放置できるかは別にして、「辛気臭い」と御魂・神治(|除霊師《物理行使》・f28925)と感じたのだ。
(……それに、ワイに因縁ありそうなヤツの気配するしな)
未だ目には見えなくとも、強く、強く、すぐ近くに感じ取れた。
どうしようもなく邪で、生きながら死んでいて、救いようのない――そのような縁の力を。
そこへ到達するためにも。
『血、血ィ……!!』
「わっけもない血に執着しとるな、吸血鬼かいなこいつらは」
血を流しながら血を求める吸血鬼型UDCがいるとしたら、何と非効率的なことか。慢性的に血が足りないからこそ血を求めることもあるのかもしれないが、今はとにかくこの執着が鬱陶しい。
「はいはい、そんなに血ぃ欲しいんやったらくれたるわ」
『アア、ァアアア血血血血ィィィ!! ぜんぶ! ぜぇんぶぅぅぅ!!』
血の滴る巨大注射器を構え、ブラッドワーカー達が待ち構える。
彼女達の元へ無防備に歩み寄り、その注射器へ身を晒す――と見せかけて。
『ア……? 血、なんで……? 出ない、出ないのぉぉ!!』
「そら『大国』の結界があるしな」
【|病魔排撃《ビョウマハイゲキ》『|大国《オオクニ》』】――あらゆる『負』を『正』へと転換し、更には戦闘力を増して敵の生命力も吸収するという結界だ。
ブラッドワーカー達が注射器を突き刺しても、『負傷』は『治癒』へと転換される。更には、逆にブラッドワーカーから生命力を吸収するのだから驚いたことだろう。
「ほな、|除霊《物理》といこか」
『天地』『森羅』と号した二挺のハンドガンを構え、浄化の銃弾を絶え間なく撃ち込んでいく。彼女達も注射器を構えカウンターのユーベルコードで防御するが、そのカウンターは結界に阻まれ効果を為さない。
|除霊《掃射》は、あまりにも一方的であった。
『あ、ああ……』
「ん? 成仏し損ねたんか」
多くが跡形も残さず浄化されていった中、死にきれなかったブラッドワーカーの一体が神治の足首を掴んだ。
『血、欲しい……ちょう、だい……』
「そかそか。しんどいなー」
ハンドガンを収め、護符塗れの外套の陰から取り出したのはブランダーバス型旧式神器銃『高天原』。広く開いた砲口の狙いを、彼女の額へピタリと定める。
「ほな、さいなら」
軽い言葉。重い銃声。
何の感慨もなく、彼女は送られた。
大成功
🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ(サポート)
使用UCはPOW/WIZの内でお任せ。
態度口調、一人称までも気分次第、嘘吐きで気紛れなお調子者。
オブリビオンは喰らうもの、猟兵業は餌場で狩場、悪食。
楽しい事と人の笑顔が好きで戦闘中も飄々と笑みを絶やさない。
敵に対しては嫌味や挑発もよく吐く。
※妖孤だが耳と尻尾は晒さない
・以下PC口調
『範囲攻撃/マヒ攻撃』からの『2回攻撃/傷口をえぐる/生命力吸収』の流れが多いかしらネ、負った傷分喰らってやるわ。
『見切り/オーラ防御』で防御はするケド、怪我とか気にしないタイプ。
敵へ言葉掛ける時は呪詛や誘惑目的が多いねぇ。
自分の価値観が一番ダケド、公では公序良俗には反しないようにしてるヨ。
敵を喰らう事以外は、ネ。
●されど虚ろは埋まらない
姉妹の周囲に数を増やしていくブラッドワーカー達。
個体によって多少の積極性の違いはあるようだが、コノハ・ライゼ(空々・f03130)にとってはどれも|同じ《餌》だ。
病に冒されているというオウガ・フォーミュラの二人すら、病に食い尽くされる前に自分が味わいたいと思うくらいだ。
「一人だけ残されるのってさみしいからねぇ。仲良し姉妹、二人ともちゃんと一緒に食べてアゲル」
ただし。がらんどうの嘘吐き狐は非常に気紛れで、すぐに気が変わってしまうのだが。
「デモその前に、ね?」
主食の前の前菜とか、そんなお行儀の良いものでは無くて。
ただ、食べたいから食べる。
誘うように突き出した左手から灰の雲が立ちこめれば、群がる女達に雷が縦横無尽に落ちてその自由を奪った。
「君がどんな味するのか、教えてヨ」
その手にあるのは、黄金のカトラリィ。
比喩ではなく、これは獲物を食するためのものだ。痺れて動けないだけの、まだ生きたままのオブリビオンを。
『い、ィィイイ……血……、血……ッ』
「くーちゃん、|つかまえて《・・・・・》て」
全く表情を変えないまま短く指示を出すと、コノハの影から旋風と共に黒い管狐が現れ、その風は運良く雷撃を免れたブラッドワーカーを縛った。これでは反撃のユーベルコードはもちろん、注射器による攻撃もできないだろう。
「そうだ。素材の味が一番だケド、色んな味付けも試してみたいね。雷とくーちゃんで縛り方を変えたら、味も変わったりして、ネ?」
薄氷の瞳を細め、ちろりと舌を覗かせる。
幸い、この場にいる猟兵は一人だ。誰に遠慮をする必要も無い。
「一匹ずつ、飽きるマデ。色んな方法で味わってあげる」
血を流し続ける肉体はどのような喉越しだろうか。
血を求めるからには、瑞々しさが足りないのだろうか。
それともオブリビオンだから、見た目からは想像できない味なのだろうか。
未知とは期待だ。どうしたって興奮する。
悲鳴と活きの良い断末魔を聞きながら、心ゆくまで堪能する。
これだから――狩りを、やめられない。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。
その|理不尽《エンディング》を認めない。オブリビオンであることが問題なら、オブリビオンになる前の、奇病を植え付けられる前の存在に再孵化させればいい。人が想像しうることは必ず人の手で実現可能であるのだから。
さて、血が欲しいとな?いいわよ、そんなものいくらでもくれてあげるわ。だって、私にとって肉体なんて衣装と同じだもの(|封印を解く《幽体離脱》)。
その代わり、あなた達の肉体を貰うわね。|降霊《憑依》して、化術肉体改造で作り変えれば、|早着替え《お着替え》完了ってね♪
ああ、|多重詠唱人工生命の創造《分身もたくさん用意》したから|大食い《おかわり》はいくらでも☆
●エンドブレイク・クローゼット
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔王少女・f05202)は、博愛の少女であった。
正確には、彼女が与える|博愛《快楽》とは対価である。寄生し、糧としてエナジーを吸い上げる行為に対する対価だ。寄生の手段として癒しを施すこともある。
これまでにも多くのオブリビオンやそのフォーミュラに対して、愛や癒しを与えてきた。この世界のオウガ・フォーミュラにも同じように――という気分には、なれなかった。
永劫輪廻が彼女らに定められた|終焉《エンディング》なら、それはあまりにも理不尽だと感じたのだ。
(相手がオブリビオンなら、その|理不尽《エンディング》を|終焉《ブレイク》してはいけないの?
だったらオブリビオンになる前、奇病を植え付けられる前の存在に再孵化させればいいじゃない)
人が想像しうることは、必ず人の手で実現可能である。想像からの創造を行うユーベルコードが、それを可能にすることだろう。
『血……欲しい……頂、戴……』
寄り集まるブラッドワーカー達が、血を要求する。
姉妹の|理不尽《エンディング》を|終焉《ブレイク》させる前に、まずは彼女達を撃破せねばならない。
――しかし、アリスにとってはそこまでする必要も無い。
「血が欲しいって? いいわよ、そんなものいくらでもくれてあげるわ。だって、私にとって肉体なんて衣装と同じだもの」
力を抜くと、アリスは肉体の器から魂となって抜け出る。無防備な肉体から一滴でも血を搾り取ろうと、ブラッドワーカー達が小さな肉体へ我先に群がり注射器の針を突き刺していく。
その少女が、|どのような生命体《・・・・・・・・》の猟兵であるかなど知る由もなく。
「その代わり……あなた達の肉体を貰うわね?」
そうして集まっていた彼女達の1体に、今度は『降霊』し憑依する。更にその肉体を自ら肉体改造し変化すると、『それ』はもはや『ブラッドワーカー』という定義を失い『アリス・セカンドカラー』という定義へ|書き換えられた《早き替えした》。
「はい、お着替え完了♪ 血はまだ必要かしら? おかわりはいくらでもあるわよ☆」
今度は人工生命として分身を創造し、彼女達の永遠に満たされぬ欲望に捧げる。集まってきたブラッドワーカーの一人にまた憑依し、『おかわり』を用意してはまた『着替える』――それは戦いというより、高度な『戯れ』と称すべき姿であった。
その『戯れ』の真に恐ろしい所は、別のブラッドワーカーへ|着替え《・・・》られた後に『古着』として捨てられた『アリス・セカンドカラーの形をしたもの』――もはや元の形へ戻ることもできないブラッドワーカーの死骸が、累々と増えていくことであった。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
○☆
…話を聞く限り、どうやらあっちも被害者ではあるようだけれど。だからって世界フッ飛ばさせるわけにはいかないものねぇ…
血への執着、かぁ…
それなら目立つのがいれば、そっちをターゲットにしてくれるかしらぁ?
|マン《自分自身》を核に●忙殺・写身を起動、内訳は○挑発・誘惑・悪目立ちに集団戦術が5。前者を囮にして構えさせたところに後者でバックアタックかけるわぁ。
…ところでこのUC、生み出す分身は9体なんだけど。残り一体は何処でしょう?
…正解は、あなたのすぐ後ろ。あたしたち全部をさらに囮にして○だまし討ち仕掛けてる、でした。
こういう時こそ、視野は広く持っておかないとねぇ?
ミカエル・アレクセイ(サポート)
●戦神は戦の中で生きる者
●殺す者で生かす者ではない
●生かして救うことは不得手
●殺して救う事に躊躇いはなく、それこそ自分の仕事
等の思考回路
相手の勢いを使って投げ飛ばす
ユーベルコードで相手の技を反射する
等、自滅を誘う戦い方をする
自分が傷つくことは厭わず痛みは感じるがそのせいで行動が鈍るなどはない。
戦場で何千年と生きてきた為痛みとの付き合い方は心得ている。
女性は誉めるもの。
賛辞はストレートに口にするし、貶すことはあり得ない。
容姿を褒められることを苦手とする相手の場合は行動や性格に褒めるところを見つけて口にしたりする。
冷静沈着、臨機応変
人心掌握、指揮、等が得意
無能力者故か神族であることは普段忘れている
●ヴィジランテ×ヴィジランテ
いくらかブラッドワーカーが溢れてくる勢いは落ちてきたものの、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)はその細い眉尻を下げていた。
「……話を聞く限り、どうやらあっちも被害者ではあるようだけれど。だからって世界フッ飛ばさせるわけにはいかないものねぇ……」
偽物の世界の爆発は、本人が望んでのことではない。彼女達をそのように改造した悪魔こそ、真に打ち倒すべき黒幕なのだろう。
しかし、今となってはその黒幕を探し出す時間も残されていない。
対症療法的に、偽物の世界の発生源である彼女達を打ち破る他ないのだ。
「殺すことで少女を救えるなら、俺としては幸いだ。俺はどこまでいっても、命を刈り取るしか能の無い男でな」
女性は女性であるというだけで賛辞の対象となるミカエル・アレクセイ(山猿・f21199)。憐れな少女達が、己が得意とする死によって救済が叶うのであれば喜んで。
そして、彼女達の周りに湧くブラッドワーカー達もまた女性型である。ただし、そちらは賛辞の声は届きそうにないが。
『赤い血……ぜんぶ、ぜぇんぶ……欲しい……ちょうだぁい……』
「ねぇ、こういう相手ってあなたはどう攻めたいかしらぁ?」
「俺は痛みを恐れることはないが、無限に血を与えられる甲斐性もない。つまり、こうだ」
ミカエルが外套を翻すと、ユーベルコードにより召還された大型バイクが唸りを上げて着地する。バイクは刀と機関魔銃で武装されており、更に紅い目をした黒猫の幽霊達がわんさかと乗っていた。
なお彼自身、なぜこういうものが召喚されるのか未だに理解できていない代物ではある。閑話休題。
「目立つのがいれば、そっちをターゲットにしてくれるかもってことかしら。
それならあたしも手伝えるわよぉ」
ティオレンシアもペンの形をした『ゴールドシーン』を呼び出し、ルーンの|マン《自分自身》を刻み祈りを込める。祈りに応えて展開されたユーベルコードは、彼女の数々の分身を生み出した。
「さあ、いくらでも血はあるわよぉ」
「辿り着ければの話だがな!」
まずはミカエルのバイクがブラッドワーカー達へ向けて突進する。
彼女達は巨大な注射器を構えるとバイクの衝撃を受け止め、更に受け流すと、太い注射針でバイクの猫へ反撃する――が、幽霊達に流れる血はないため攻撃が通らない。
「血の流しすぎかしらぁ?」
「こっちはちゃんと血があるわよぉ」
「ちゃんと狙わないと当たらないわ」
挑発、誘惑、悪目立ちにそれぞれ長けた3人の《ティオレンシア》達がブラッドワーカー達を誘うと、今度はその血を求めて移動を始める。それを、集団戦術に長けた5人の《ティオレンシア》達が背後から回り込み、各種グレネードを投げ込んでいく。
『ああっ 血ィ……足りない、血、血……頂戴……!!』
苦しんでいる様子のブラッドワーカーに、攻撃の手を休めない『自分』達。
「『自分が何人かいたら』って、考えたことくらいはあったけれど……ホントにやると結構シュールねぇ、この絵」
「しかし、なかなか見事だぜ。向こうもまだ数はいるようだが」
追加で湧いてきたブラッドワーカー達。その規模を把握すると、二人で視線を合わせる。
「今度は俺も殺しに行くとしよう」
「壊さないと終わらないみたいだから、お願いするわぁ」
宣言通り、再びブラッドワーカーへ突っ込んでいったミカエルの武装バイクは彼女達の反撃を受けるだけでなく、積載した刀で突き刺しながら機関魔銃の掃射を行っていく。なお、猫の幽霊達は「うー!」「にゃー!」と可愛げのある鳴き声をあげているが、これは鳴き声であって呪詛とかではない。
そして、《ティオレンシア》達も残ったブラッドワーカー達を誘き寄せ、一掃していく。
――しかし、それでもまだ残った1体が、血を求めて戦場を離脱しようとした。
「ちょっと簡単なクイズなんだけど。このユーベルコード、生み出す分身は9体なのよねぇ」
これまで戦いに参加させたのは、挑発、誘惑、悪目立ちに長けた分身が1人ずつ、集団戦術に長けた分身が5人。まだ、8人しか出していないのだ。
「残り1人は、何処でしょう?」
『うう……血……どこ……いっぱい、どこ……』
「教えてあげるわ。正解はぁ……」
ズドン、と銃声。
ブラッドワーカーの背後に回り込んだ9人目の分身、だまし討ちに長けた《ティオレンシア》が銃で頭部を撃ち抜いたのだ。
「こういう時こそ、視野は広く持っておかないとねぇ?」
地面へ倒れ伏す黒い女を見下ろしながら、ティオレンシアは微笑んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
月白・雪音
…かの邪神が用いた世界をも殺める刃。内に孰れ爆ぜる世界を宿す貴女がたの有り様に終焉を齎すとあらば、あれ程の呪具を求むるも道理です。
されど、其れは既に行方も知れず手は届かない。
なればこそ猟兵として立つこの身の責務を以て、破滅の箍と致しましょう。
UDCの怪異、この様子を見るに『内側』には彼女らも恐れる何かが潜むのでしょう。
おそらくは其れこそが柱…。されど今はこの場を収めねばなりません。
UC発動にて、怪力、グラップル、残像を用いた高速格闘戦にて戦闘展開
刻まれる傷は激痛耐性も併せそのまま血で誘う餌とし呪詛は落ち着きにて振り払い
野生の勘、見切り、殺人鬼としての技巧にて急所を見極め一撃一殺を以て仕留める
●破滅の箍
|幽銃《ユウガン》のシズクから溢れ出すブラッドワーカーも、残るは数体。
これなら全てを一撃で一掃とはいかずとも、一打一殺にて各個撃破も可能だろう。
「うう……偽物の世界から溢れた奴らが片付くと思うと気分いいような、猟兵に追い詰められてると思うと悪いような……」
「お姉様……多分、わたくし達の残り時間は変わらないので……わたくし達だけが爆死して終わり、ということも……」
「なんか盛り上がらないからやっぱり嫌だなそれ!」
そのような話をする姉妹が求めていたものに、月白・雪音(|月輪氷華《月影の獣》・f29413)は少しだけ思いを馳せる。
(『|生と死を繋ぐもの《ヤマーラジャ・アイビー》』……かの邪神が用いた、世界をも殺める刃。内に孰れ爆ぜる世界を宿す貴女がたの有り様に終焉を齎すとあらば、あれ程の呪具を求むるも道理です)
しかし、かの刃は既に行方知れず。姉妹にも、猟兵にも、今は手の届かない所にある。
最後の持ち主であった大祓骸魂を破ったことで彼女らの可能性を奪ったというなら、その猟兵の責務を以て全ての破滅の箍とするまでだ。
『血……血、血!!』
細腕で巨大な注射器を振り回すと、雪音を傷付けようと襲いかかってくるブラッドワーカー達。
重量に任せた出鱈目な攻撃は、研ぎ澄まされた勘の前には静止に等しい。
「これこそは、我が戦の粋……」
必要なのは鍛え抜いた呼吸と、拳と脚のみ。
あらゆる武具、爪牙、闘気すらも纏わぬ身ひとつで、ユーベルコードの域に到達した雪音の技が唸る。
「ふ、ッ!」
向かってくる敵に低く飛び込み、その勢いを利用して掌底を。続いて拳を連続して打ち当て、最後に脇腹を脛で蹴り飛ばすことで間合いを切る。
「次」
『気持ちいいでしょ……気持ちいい……血……血ィ……!!』
突き刺すのではなく、凪ぐように振るわれる注射器の切っ先。
その先端を見切ることで少しだけ狙いをずらすと、腹を穿つが如く両脚で跳び蹴り込む。
『ア……ッ』
(あのUDCは……『内側』から『逃げてきた』のでしょうか)
残った1体は、少しだけ戦うことに消極的だった。それどころか、明らかに何かに怯えている。
目の前で仲間達が倒されていったこともあるかもしれないが、それにしては『内側』――発生源であるシズクから距離を取ろうとしている。
この世界で獲物を探すというより、一刻も早く危険な場所から逃げるように。
(『内側』には、彼女らも恐れる何かが潜むのでしょう。おそらくは其れこそが倒すべき柱……。されど)
『アッ、アアァッ!! ア――』
それでもオブリビオンとしての性なのか、最後には立ち向かってくる最後のブラッドワーカー。
彼女の視界には、勇気を振り絞った己の針が突き刺さる幻でも見えていたのか――どこか喜色を感じさせる奇声が、最期の声となった。
雪音の怪力により掴まれていた白い細首が、卵でも潰すように、嘘のように握り潰される。
それで、終わったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『物理除霊師・魔叉斗』
|
POW : 殺戮式神【黒龍】
【声なき声の詠唱 】によって、自身の装備する【簪から召喚した、黒龍に変化可能な式神】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
SPD : 呪詛煉獄【無情】
攻撃が命中した対象に【継続的に生命力を吸収する真紅の銃創 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の身体の内から次々と噴出する血の刃】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 狂鬼神楽【禍乱】
自身に【飛び道具や魔法を反射する結界 】をまとい、高速移動と【刀から真紅の衝撃波、銃から拡散焼夷弾】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:きな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「御魂・神治」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●宿業
「マジかよ……あんなにいたのに、うぐぁっ」
一掃されたブラッドワーカーに|幽銃《ユウガン》のシズクが驚いたのも束の間、いよいよ彼女の内の偽物のUDCアース自体が肉体の外に滲み始める。
幸い、ここまで膨張すれば彼女の肉体を保ったまま偽物の世界へ飛び込むことも可能だろう。むしろ、この機を逃せばもう彼女達の肉体が保たない。
猟兵達が迷わず歩みを進めれば、数歩の内にその足は石抱きの井戸ではなく――何処かの廃病院へ辿り着くだろう。
切れかけた電灯が頼りなく照らす、深夜の廃病棟。
あてなどあるはずも無く――しかし、嫌でも目に付いた。
外からのものを導くかのように、壁に塗りたくられた赤く大きな矢印。
そして、その下に転がって大量の血を流しているUDCや人間の死体。
この矢印の先にいる者の感性を示すと共に、その力の大きさも感じさせるものだった。
*
――何だ?
『何か』を感じる。自分と繋がっている『何か』。
化け物になってからこのかた、感じたことが無かったものだ。
「ぁ……、い……で……! 来ない、」
何か言っていた子供を撃ち殺す。UDCだったか? どっちでもいい。
寝ても覚めても――否、寝た記憶が無いな。どうでもいいが。
いくら殺しても、殺し尽くしても、果ても無ければ変わり映えもないこの世界に流石に飽きてきた。
そろそろこの廃病院の外も殺しておくか。
その前に、この『何か』をこの世界から|除霊して《殺して》おくべきか。
何でもいい。殺せるなら。
===============
第2章のプレイング募集は【1月4日8:31~7日25:00】とします。
トドメ狙いなどの参考になさってください。
魔叉斗は元々本物のUDCアースでオブリビオンを排除する組織の人間でしたが、生前から一般人の犠牲に抵抗がない傾向があり、ある意味現在も生前とそう変わらない性格ではあります。
廃病院じゅうの壁に描かれた血の矢印を辿れば、必ず彼の元へ行けるでしょう。
この偽物の世界の『柱』である彼がこの病院を出ることはできませんが、彼が殺しながら歩いた分だけ世界が膨張します。
殺す対象は、運悪く迷い込んでしまった一般人や、同じく紛れ込んだUDCなど、特に区別をつけません。生きているなら殺します。
第2章のプレイングボーナスは【偽物の世界の住人を殺さない】ことです。
『柱』が無くなった後、迷い込んでいた彼らのことは――無事の帰還を祈るしかありません。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、お好きに。
ふむ、偽物世界の住人も護れと、ならばこうしましょう。
|高速詠唱早業先制攻撃《タイムフォールダウン》、|重量攻撃、凍結攻撃、封印術、マヒ攻撃、気絶攻撃《時間質量を解放し時を凍結させる》。強固に固めた時の封印は彼らを護る鎧となるでしょう。
さて、|多重詠唱結界術、情報収集《空間を掌握》、魔叉斗の位置を確認したらその場所に空間を切断解体し切断部位の接続で再構築しての空間ジャンプで転移するわ。
悪いけど、なんらかのエナジーを伴ってるならそれは|大食い、魔力吸収、エネルギー充填《私にとっておやつでしかないわ》。その結界もね。
|化術肉体改造先制攻撃《こう見えて私、格闘戦もいけるのよ》
●浸食
偽物世界の外まで溢れていたUDCはどこへ行ったのか。
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)が偽物のUDCアースである廃病棟の廊下をどれほど進んでも、目にするのは死体となった人間とUDCばかりだ。
そして、死体の近くには流された血で描かれたと思しき矢印。矢印は死体の数だけあるため、死体が増えれば廊下の壁は矢印で埋め尽くされることとなる。
見る者が見れば、その異様な景色に恐怖を覚えたことだろうが――|混沌魔術師《ケイオト》アリスにとっては、趣味の違い程度の印象しかなかった。
「――、――!」
「……!! ……すけてぇ!!」
何かの声と、助けを求める声がする。ちょうど周りの矢印も示してくれている方向だ。
(魔叉斗は銃を使うんだったかしら。それにしては銃声がないけど……普通に、この世界の中でも一般人がUDCに襲われてるのかしら)
偽物世界の住人も護れという話であるし、どうせ通り道ならついでに助けていくべきか。
「……タイムフォールダウン」
まずは己の時間を高速の次元へ高める。全ての事象が静止に近い状態になるまで時空の流れをずらした後、声の方向へ向かう。
走る必要は無い。ただ歩いて到着するだけで、現実では瞬間移動のような時間しか経過しないのだから。
声が聞こえたのだから、そう遠くは無いはず――案の定、階段の踊り場でUDCに追い詰められている人間の少女を見つけた。
「この子を狙って襲ってるのか、魔叉斗から逃げる途中で鉢合わせちゃったか……どちらにせよ、と」
当面、この時間が動き出さないように『凍結』させる。時間に物質としての質量を持たせれば、どこぞの『時間凍結』の秘法に頼らずとも時を凍らせることができる。
再び時が動き出した時には、凍結中の出来事は全て無かったことになる寸法だ。
「まずはこれでよし、と。さて魔叉斗は……」
この偽物世界がどこまで広がっているかはわからない。しかし、壁の矢印の先にいるとわかっているならある程度範囲は絞られる。
いくつもの結界を同時に展開させながら廃病棟の探索を続けていると、その中のひとつが目標を捉えた。
より正確には、捉えたというよりは『不自然に捉えられない『移動する領域』』を見つけただけだが、これ以上怪しい目標も無いだろう。
「見つけた。私からは逃げられないわよ」
エプロンドレスから伸びる触手が空間を切断し、切断面の向こうに別の空間を接続する。
あとはそこへジャンプすれば、いとも簡単に『柱』の魔叉斗とご対面だ。
「小細工を使う……化け物か」
「能力の無い人間以外が全て『化け物』なら、私も『化け物』で合ってるわ。|混沌魔術《ケイオスマジック》の、だけど」
空間を裂いたことも、自身が発見されたことにも大して表情を変えない魔叉斗を、アリスは指差す。
「悪いけど、なんらかのエナジーを伴ってるならそれは私にとっておやつでしかないわ。その結界もね」
「ならば、そんな悪食は殺すしかないな」
悪食であろうがなかろうが、魔叉斗は生きているものを殺す。
エナジーを持つなら万物を糧とするアリスとは本質的に似通っている部分もあったが、決して相容れることはない。
「出番よ“私”。この世界を、私達の領域に書き換えちゃいましょ♡」
ユーベルコードによって呼び出した自身の人工未知霊体『アリス・セカンドカラー』へと変化すると、色違いのドレスへ着替えた『アリス』はまず彼を覆う結界を食らわんと向かっていく。
――と魔叉斗が彼女の動きを認識した頃には、もう彼の結界は触手達に蝕まれていた。
「邪魔だ」
ゼロ距離で放射される拡散焼夷弾。多くの触手達が被弾するも、食らった結界から得たエナジーで即座に回復する。
「こう見えて私、格闘戦もいけるのよ。あなたはどう?」
「では死ぬまで踊れ」
魔叉斗が瞬時に抜刀し、アリスを斬り付けて間合いを取る。
距離を離した先で、魔叉斗は己の刃が溶けたように失われている事に気付いた。
この接触でさえ『食われた』のだ。
「悪食が」
「だって、ここはもう――全部がおいしい、私達の領域だもの」
食べられる前に、殺してみて、なんて誘いながら。
触手達は一斉に魔叉斗を覆い尽くした。
成功
🔵🔵🔴
月白・雪音
…此処が偽りの世界とあらば、此処で失われた命もまた偽りであるのでしょう。
されど、此方にとって偽りなれど紡がれた命の営みは確かに真実。
故に為すべきは変わり無し。迷うモノを誘うとあらば、その殺戮を止めるに動くのみです。
UC発動、矢印に従い残像の速度にて疾走し迅速に敵のもとへ
相対すれば怪力、グラップルでの無手格闘にて戦闘展開
野生の勘、見切りにて攻撃の起こりを感じ取り呪詛の銃弾に触れることなく回避、
殺人鬼としての技巧も併せ敵の急所を見極め打ち抜く
…或いは、貴方が犠牲に目を向けぬ事もより大きな脅威より世界を守らんとした意志の表れであったのでしょう。
過去の残滓と歪んだその業を、此処にて討たせて頂きます。
●殺しの業
死体が転がる廊下を進む。
点々、というレベルではなく、どう視点を移動させても死体が目に入るレベルに大量に殺されていた。
(……此処が偽りの世界とあらば、此処で失われた命もまた偽りであるのでしょう)
本物の世界から紛れ込んだのではなく、あくまで偽物世界に住まう偽物の住人ならば、この世界を壊した後彼らの脱出を気にする必要は無い。
しかし、そうだとしても命は命である。本物か偽物かはこちらにとっての違いに過ぎず、彼らにも本物同様の感情があったはずだ。
故に、なすべきことに変わりは無い――月白・雪音(|月輪氷華《月影の獣》・f29413)の心中は凄惨な世界の中に在って凪いでいた。
(迷うモノを誘うとあらば、その殺戮を止めるに動くのみ)
|眼《まなこ》を見開き、ユーベルコードを発動させる。爪先から指先まで気力を漲らせると、残像を残す速さで駆け出した。
行き先は周囲の矢印が教えてくれる。後はその通りに走ればいい。一人でも、犠牲者が少ない内に。
いくつかの曲がり角と十字路を越えて、気配があった。
次の瞬間に相対するはずのそれに向けて、有無を言わさず怪力の拳を撲ち当てる。
「ぬ……」
雑魚ならこの一撃で終わっている所だが、『柱』というだけの力はあるのかそうはならない。
ならば、続けざまに、確実に、何度も撲ち込んでしまえば良いだけのこと。
しかもこの拳は――どう撲てば人を殺すことができるか、知っている。
無言で放たれる銃弾は、発射の瞬間の銃口を見切って射線を回避する。
「その動き。お前も殺すために鍛えた技か」
「殺すのは過去の残滓です。貴方のような」
間合いを詰め、次の歩を踏もうとした瞬間にどうしようもなく嫌な予感がする。
強引に体勢を崩して回避すると、踏もうとしていた地には銃痕が。
「そら、そらそら。止まれば当たるぞ」
いっそ愉しんでいるかのように連射を続ける魔叉斗。
素早く転がり、射線から距離を取れた隙に地を蹴って立ち上がる雪音。
「貴方の殺しの業……或いは、貴方が犠牲に目を向けぬ事も、より大きな脅威より世界を守らんとした意志の表れであったのでしょう」
「どうだか。もう忘れた」
放たれた弾丸と刺し違えるように、瞬時に彼の首を掴む。
「ならば……過去の残滓と歪んだその業を、此処にて討たせて頂きます」
雪音は指先に怪力の全てを集中させると、彼の首の骨を破壊した。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
うーんこの実にわかりやすく目的と手段逆転してる感。流石に生前はもう少し穏当にわきまえてた…と、思いたいんだけどねぇ…
とりあえず、|エオロー《結界》と|ラグ《浄化》で〇呪詛耐性のオーラ防御を展開して、と。時間かけてられないし、急いで追っかけないとねぇ。
○生命力吸収に継続ダメージ…長期戦にしろ短期戦にしろ腐らないし、生前はさぞ優秀だったんでしょうねぇ。この手の業って○結界術なんかで防御しても命中判定されること多いし、地味に面倒なのよねぇ…
――まあ、それはそっちにも言えることなんだけどね?
●消殺、自動展開。どう考えてもこれ、立派に「状態異常」よねぇ?
起動したのはニイドの逆位置――すなわち「傲慢による失態」。あなた仮にも呪詛使いなんだもの、返しの風くらいは想定してしかるべきじゃないかしらぁ?
さぁさ、それじゃあ追いかけっこといきましょうか。幸いここは屋内、しかも狭い廊下の多い構造。あたしの一番得意な戦場ねぇ。
やぁねぇ…散々好き放題殺しまわって積もり積もった因果があなたに追いついただけよぉ?
●因果
ゴールドシーンに|エオロー《結界》と|ラグ《浄化》のルーンを刻ませ、敵の呪詛に備える。それ以上の対策は実際に接敵してから考える事にして、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は廃病棟の廊下を矢印に導かれるまま駆け出した。
(それにしても、うーん……この実にわかりやすく目的と手段逆転してる感。流石に生前はもう少し穏当にわきまえてた……と、思いたいんだけどねぇ……)
敵――この偽物世界の『柱』である魔叉斗は、生前はオブリビオンを排除する側の人間だったという。実際に任務ヘ当たる際に、どうしても一般人の犠牲が出てしまうこともあったのかもしれない。そういった事情自体は理解できる。
ただ、魔叉斗の場合はそれが完全に逆転してしまっている。「オブリビオンを撃つ為に一般人も巻き込んでしまう」ではなく、「一般人もオブリビオンも殺す」となってしまったのだ。これではただの殺人狂だ。
たとえ生前からその傾向があったとしても、もう少し人間としてマシな……と、信じたいが。
そして、懸念はもうひとつ。オブリビオン殺しに長けた、彼自身の能力だ。
(とち狂っちゃわなければ、生前はさぞ優秀だったんでしょうねぇ。こういうのが殺人鬼になっちゃうと、地味に面倒なのよねぇ……)
あたし強くないし、どうしようかしら。
そんなことを考えている内に、やがて辺りの矢印が示す方向が一箇所へと収束し始める。敵が近い。
――そして。
「っとぉ!」
前置きなしに飛んでくる銃弾。それも一発ではなく、手足と急所を明確に狙ってきていた。『結界が無ければ』深刻な傷を受けていただろう。
そう。ティオレンシアは、そのための結界を用意していたのだ。|ニイド《不足》の逆位置――『傲慢による失態』を仕込んだ結界がユーベルコードとして発動し、呪詛の銃弾を悉く反射する。
「ぐぅっ……」
「あたしねぇ、このテの術には散々煮え湯飲まされてきたんだもの。対処や仕込みの一つくらいしておくに決まってるでしょぉ?」
廊下の先に、よろめいている人影が切れかけた電灯に照らされて見える。あれが魔叉斗だろう。彼は呪詛の弾丸を反射された結果、自らの弾丸に生命力を奪われながら、自身の体から噴出した血の刃に傷付け続けられているのだ。
「あなただって仮にも呪詛使いなんだもの、返しの風くらいは想定してしかるべきじゃないかしらぁ?」
「ふん……これだから呪詛だの呪詛返しだのは面倒くさい……」
帰ってきたのは、呪詛使いとは思えない脳筋とも思える発言だった。
「だったら、『殺せ』ばいい」
彼が続けて放ったのは、呪詛を込めない『ただの』弾丸。
呪詛を無力化することに特化した結界は、純粋な物理攻撃に対しては壁となってくれない。
「術者を物理で殺せば済む話だ」
「なぁに、あなたの『殺し』ってそういう脳筋思考なわけぇ?」
放たれた弾丸を咄嗟に見切って直撃を避けたものの、肩に一発貰ってしまった。防具に物理属性への刻印呪紋を刻んでいなければどうなっていたことか。とは言え、これで止まっていては続く弾にトドメを刺されるのは見えている。
「それじゃあ、追いかけっこといきましょうか」
即座に駆け出すティオレンシア。追いかける弾丸。
一見魔叉斗が一方的であるように見えるが、ここは屋内だ。しかも狭い廊下でもある。跳弾が多く発生する環境なら、銃器使いにとっては決して有利とは言えない。
むしろ、彼自身が継続ダメージのハンデを負っている今、ティオレンシアにとって一番得意な環境だ。
魔叉斗が銃撃で弾幕を張り物理の結界と成すのを、|イス《停止》と|エオロー《結界》のルーンで瞬時に結界を貼り直し接触する弾丸の動きを止める。
そのまま距離を詰めると、ガンベルトからオプシディアンを抜き取った。
「散々好き放題殺しまわって、積もり積もった因果。それがあなたに追いついただけよぉ?」
狙うはヘッドショット。
互いの弾丸が、一直線に交差した。
大成功
🔵🔵🔵
御魂・神治
何処行ったんやと思ったら、んなとこほっつき歩いとったんか魔叉斗
生前と何も変わっとらん、アンタは見境の無い殺し屋やな
アンタの仕事現場にたまたま近かった理由で、ワイは一時期マッポの世話になったんや、ホンマええかげんにせえよ?
黒龍の遊び相手は武神の天人形態になった天将や
殺すつもりで相手したれや天将
一般ピーポーが入ってこれやん様に、【結界術】の内部で片付けたる
アンタの相手はワイや、魔叉斗
年貢の納め時や、ワイの家賃代になるんやで
※戦闘描写はマスター様にお任せします
トドメはUC『神器神弾・天照大神』
アドリブ可〇
●決着
「何処行ったんやと思ったら、んなとこほっつき歩いとったんか魔叉斗」
廃病棟の廊下の奥。血の矢印に導かれた先で、非常灯に赤く照らされた彼を見つけた。
壁の上方には『非常口』とあるのに、肝心の扉はどこにもない。
魔叉斗はこの偽物の世界の『柱』だ。彼が歩く場所は常に世界の中心であり、外への出口は存在しない。彼はどうあっても外の世界へは出られず、外の世界から発見することもできなかったのだ。
『オブリビオンスイーパー』――かつて、そういった仕事の同僚でもあった御魂・神治(|除霊師《物理行使》・f28925)は、ようやく彼を見つけ出したのだ。
「生前と何も変わっとらん、アンタは見境の無い殺し屋やな。
アンタの仕事現場にたまたま近かった理由で、ワイは一時期マッポの世話になったんや、ホンマええかげんにせえよ?」
「ああ……お前だったのか、この感覚は。やっとわかった」
「聞けやホンマに。確かにそこまで仲良うしとったわけでもないけど」
生前から、死んだ目をしているという認識だった。神治自身はここまで死んだ相をしているつもりはないのだが、どうにも外見が近いというだけで彼の不必要な殺しによる風評被害を受けることも少なくなかったのだ。風評被害だけでなく、|出る所《・・・》まで出向かされたこともある。
こういう形ではあるが、今回はそんな彼を直接殴ってやれる好機でもあった。
「アンタの相手はワイや、魔叉斗」
|この世界の一般人《邪魔者》が入ってこられぬよう、結界を敷く。
「結界か。ならば俺も、お前をまず『殺す』」
魔叉斗は、神治と同じく『物理行使』による除霊を最適解と見出した同士だ。
解呪や結界破りなどの術式に頼らず、物理行使によって壊し、殺す。
そういった一点においては、通じ得る理解者でもあり――
「殺すつもりで相手したれや天将!」
決して交わらない敵対者でもあった。
神治の人工式神『天将』が迎え撃つのは、魔叉斗が徐に外した簪から召喚された式神。飾りの彼岸花が黒く染まったかと思うと、みるみるうちに形を変えて結界内を縦横無尽に翔ける黒龍へと変化したのだ。
『命令が違うンよ。|殺《や》られる前に|殺《や》れくださいお願いします的にプリーズ』
迎え撃つ姿勢はしてくれているが、積極攻勢に出てくれない『天将』。彼女の言う事は尤もではあるのだが――!
「今そういうのええから! 頼むて!」
『命令』
「あ~~~~もうホンマにどっち見ても」
神治が渋る間に、黒龍の牙が襲いかかる。すんでの所で『天将』が大量の破邪の刃を浴びせるが、猛烈な勢いを殺しきれない。
『はよ』
「わかった! 黒龍を殺せ、天将!」
『殺すつもり』でなく『殺せ』という明確な『対象の破壊』命令を受けて、『天将』の出力が目に見えて上がる。次に浴びせた一撃は、黒龍が押し返されるほどの火力だった。
「それで?」
式神同士の戦いが五分に持ち込めそうかというところで、今度は魔叉斗が神治へ直接仕掛けてくる。彼は式神の操作に集中する必要が無く、背負った刀を抜いて斬り付けてきたのだ。
「く……っそぉ……!」
紙一重でスタンロッドの『叢雲』で防御する。しかし重量と勢いの差か、見る間に神治が押されてゆく。
「天将!」
「呼べば黒龍の顎がお前を砕く。このままでもお前は斬られて死ぬ。あとは死ぬだけだ」
「ほ、ざけ……こちとら|家賃《・・》溜めとんねんで、アンタのせいでなぁ!」
気合いで少しだけ押し返すが、魔叉斗が神治へ足払いをかけた。
体勢を崩した。
防御が崩れた。刃が迫る。
これは、あかんやつや――――。
『アホくさ』
こんな時でさえ言葉に優しさの欠片も感じられない相棒。
しかし、それもこれが最期となると少し――。
『何のための式神なン。アホ』
再度の辛辣。しかし、死ぬ者に対しての言葉としては何か違う気がする。
思わず閉じていた目を開けば、姿がノイズ塗れになってしまった『天将』が目の前にいた。彼女が戦っていたはずの黒龍は近くにはいるのだが、こちらを発見できていないようだ。
魔叉斗の刃は――かなり狙いがずれて、致命傷となり得るはずの傷は与えられなかった。
「……認知の妨害か」
人工式神の『天将』が持つ、ジャミングのような能力によるものだ。物理行使の相手だからこそ、認知情報が狂えばその影響が大きい。
『ま、流石に次はないンよ』
ノイズは更に濃くなっていく。魔叉斗の刃の直撃こそ避けたが、彼女はその衝撃波をもろに浴びたのだ。
「ああ……ありがとさん、『天将』。『次』はいらんわ」
電源が切れるように、彼女の姿がぷつんと消える。衝撃波で損傷した媒体を修復すれば復活できるはずだ。
今できるのは、彼女の作ってくれた活路を無駄にしないこと。
「年貢の納め時や、ワイの家賃代になるんやで」
「小賢しい。お前を俺は殺して外へ出る」
ユーベルコード【|神器神弾・天照大神《ジンギシンダン・ライジングサン》】――神器銃である『天地』『森羅』『天誅』『出雲』『高天原』の全てに天照の閃光を宿して強化すると、残弾の限り撃ち込む。
命中せずとも弾丸一発が強力な火力と吹き飛ばし力を持つようになった神器銃を使った猛攻は、銃の種類で劣る魔叉斗を圧倒する。
「耳揃えて――払えや!!」
決死の一撃。
眉間に撃ち込まれた弾は、偽りの世界と縁ごと彼を崩れさせた。
殺すために殺すことしかできなかった魔叉斗とその世界を、ようやく――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『滅詩のユリと幽銃のシズク』
|
POW : 滅びの詩
【周囲を消滅させる効果を持つ、魔法の弾幕】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 幽銃(ユウガン)
レベル分の1秒で【指先から膨大な魔力で「幽銃(ユウガン)」】を発射できる。
WIZ : 記憶の詩
【あなたの過去を写し出す「トラウマ」、】【あなたの記憶を回想させる「歌」、】【膨大な魔力で「過去と同じ背景」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:あさぎあきら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノラ・ヘルブラウ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●戦う理由
崩れ去った廃病棟の世界から弾き飛ばされると、元のカクリヨファンタズムに戻っていた。
目の前には驚きの表情で互いを見る『|幽銃《ユウガン》』のシズクと『|滅詩《ほろびうた》』のユリ。
「オレたちの中の世界が……」
「無くなりましたわ、シズクお姉様。わたくし達、不発弾だったようです」
「まあ正直オレも爆死すんのは嫌だったけどな!」
はっはっはと笑うシズク。そして沈黙。
発作の原因となっていた偽物の世界は消え失せてしまった。
偽物の世界がないなら、もう猟書家として『|生と死を繋ぐもの《ヤマーラジャ・アイビー》』を求める必要もない。
この世界へ来た理由が、本当になくなってしまった。
「お姉様。それでも……戦う理由は、あると思いますわ」
「だよな。病気だっていつ再発するかもしれない。第一オレ達は猟書家、オブリビオンだ。猟兵と会って戦わずに別れる選択肢は無いな」
日傘で宙に浮かぶユリと共に、その傘へ入るように寄り添うシズク。
「この戦いに勝ったら、発作を気にせず好きなだけゲームができます……わたくしのゲーム時間を、勝ち取ります」
「だからもっと本読めっつってんだよお前は!!
ま、そういうことだ猟兵。偽物の世界を取っ払ってくれた礼は、この戦いで返すとするぜ!」
周囲に光弾の弾幕を浮かび上がらせながら、戦意を露わにする姉妹のオウガ・フォーミュラ。
シズクの日傘の内からオーロラのような巨大な帯が溢れると周囲を覆い尽くし、そこは猟兵達の過去の景色が広がる場所となっていた。
懐かしい景色。それは過去の幸せか、地獄か。
あなたの原風景の中で、あなたは刃を握るのか。
===============
第3章のプレイング募集は【1月17日8:31~20日25:00】とします。
トドメ狙いなどの参考になさってください。
(募集期間外に頂いた場合、内容的に執筆可能な場合のみ採用、執筆致します。ご了承ください)
『|幽銃《ユウガン》』のシズクと『|滅詩《ほろびうた》』のユリは、「妹のユリが『触れた者を消滅させる魔法弾幕』で敵を追い込み、姉シズクが『幽銃による膨大な魔力を込めた射撃』で撃ち抜く」という連携を必殺の戦法としています。
POWでは、シズクはSPDのユーベルコードで連携を。
SPDでは、ユリはPOWのユーベルコードで連携を。
WIZはユリにより景色として常時発動の上で、シズクによりユーベルコードとして解放されると説明文通りの効果を発揮します。
第3章のプレイングボーナスは【姉妹の連携を崩す】ことです。
ちなみにシズクは少年漫画的展開が、ユリは弾幕ゲー的お約束が割と好きです。
御魂・神治
少年漫画と死ぬがよい的なヤツが好きなんか
熱い展開の欲張りセットやな
生憎ワイはトリガーハッピーや、望み通りにしたるわ
大家とその事務員に家賃催促されとる時とか、実家の宮司の跡継ぎで家族会議になった時の光景か
嫌やのは確かやけど、見慣れた光景や、なんともないわ
天将、修復完了したやろ?武神しょいこんで協力せえ
全面弾幕は【結界術】で相殺、自機狙い高速弾は【破魔】で威力上乗せしたハンドガン形態の三神の【弾幕】で打ち消しや
その間『浅間大神』全方位カウンター発動まで耐えろ、天将
何やて天将?防ぎきれんかった弾幕回避はアンタの【情報収集】で弾道計算してガチ避けや
弾幕が途切れた瞬間に反撃や
浅間大神のカウンター超弾幕や
●浅間大神
ある意味、御魂・神治(|除霊師《物理行使》・f28925)と姉妹は相性が良かったのかもしれない。
(少年漫画と死ぬがよい的なヤツが好きなんか。熱い展開の欲張りセットやな)
これが所謂ノリの悪い性格であればご期待に添うことは難しかったかもしれないが、神治は生粋のトリガーハッピーに分類される人種である。そういったノリを大事にしてくれる人種はむしろ願ったり叶ったりだ。
「なあ、オレが言うのもなんだけどさ……」
「おう何や」
「これ本当にお前のトラウマ風景なんだろうな!? まんじゅう怖い系じゃないだろうな!?」
ユリによって再現されている『神治のトラウマ』であるはずの景色にシズクが突っ込む。
辺りに再現されているのは大家とその事務員による家賃催促の現場だとか、実家の宮司の跡継ぎで家族会議になった時の光景だとかで、いかにも面倒くさそうで気持ちのいいものでは無いだろうがトラウマと呼べる程かと言うと疑問が浮かぶ景色ばかりだったからだ。
「あ、少年漫画的にはちょっとおもんない絵面やったな。堪忍やで」
「それもあるけどそうじゃなくって! 猟兵ならもっとあるだろえぐいの!」
「そら誤解やがな、猟兵の皆が皆そないにえぐいトラウマ持ってるかいな」
偽物の世界で片付けてきた因縁はその生前に犠牲者こそ出してしまったが、神治にとってのトラウマかというとやはり違う。あくまで彼自身にとって思い出したくない光景と言えば、こうなるのだ。
「戦いに慣れていると、日常こそが怖いということも……あるのかもしれません……」
「こいつらは別に怖くもなんともないけど、物理で除霊っちゅうわけにいかんからなぁ。ある意味強敵なんや」
「いや最初から金払っとけよ!」
ユリは納得している様子だったが、そもそも悪いのは家賃を滞納している神治ではないのか。ツッコミが自分しかないと自分が間違っている気がしたりしなかったりしたシズクだった――。
「天将、そろそろ修復完了したやろ? 武神しょいこんで協力せえ」
『|式神《しき》遣いが荒いンよ』
先の戦闘での損傷から回復した頃を見計らって声をかけると、人工式神の『天将』が再び姿を現わし強化外骨格の『武神』を纏う。これである程度の被弾にも耐えられるはずだ。
「ステージとしては地味ですが……日常ステージでの弾幕というのも、なかなか」
「まあお前がやる気出てんならいっか。じゃあおっ始めるぜ猟兵!」
まず襲いかかるのはユリの滅びの詩。周囲に魔法陣のような光弾を一斉に浮き上がらせると、それらを全てぶつけてきた。微妙にタイミングをずらしてぶつけてくる辺りに殺意の高さを感じる。
「天将! 結界で相殺や!」
二人で結界を張り巡らせ、光弾の直撃から身を守る。完全に弾幕が止むのを待ってから結界を解くと、今度はシズクが人差し指をこちらに向けていた。
「そこ、狙い撃ちだぜ! |幽銃《ユウガン》!!」
シズクの|幽銃《ユウガン》。拳銃を模すように人差し指だけを出すと、その指先から光弾を連射してくるのだ。指の構えから発射までがあまりにも速く、最初の数発は食らってしまったほどだ。
「天将、『三神』使え!」
『ホンッマに荒いなー……』
『三神』は、人工式神がこの外骨格を纏っている時に限って装備可能な大型の可変式銃だ。文句を垂れつつも、天将はハンドガン形態の『三神』で次から次へと銃撃を撃ち込んでくれる。
「やっぱ物理に限るなぁ!」
『いつまでやるんコレ』
気分爽快になってきた神治へ問う天将。問われた神治は「そんなん、」と何でも無いことのように答える。
「ワイのユーベルコードが発動するまでや」
『いつなンよそれ……アホくさ……帰っていい?』
「何やて天将?」
二人の応酬を繰り返す間にも、姉妹の弾幕や弾丸が飛んでくる。
『いくら外骨格あっても、その内当たるわこんなん』
「そこはアンタの弾道計算でガチ避けや」
『ええ加減にしときよ?』
確かに人工式神はAIのような存在である。電子計算も得意とはしているが、相手の発射頻度と速度がケタ違いなのである。
「そらそらそらそら! 防戦一方だとジリ貧だぜ!」
「弾幕……狭めていきますね……」
ミサイルのように連射されるシズクの光弾と、その隙間をしっかり埋めてくるユリの弾幕。
このままでは光弾と弾幕の両方に圧し潰されてしまう。しかし、こちらの作戦は――
「今や! 景気よういくで!!」
攻撃を防御していた時間だけ数を増す紫電符を、全方位へ放つ避けても当たるまで球電が追尾するこのユーベルコードは『|浅間大神《フジヤマヴォルケイノ》』。
このカウンター|大噴火《爆発オチ》こそが、このユーベルコードの真骨頂なのである。
成功
🔵🔵🔴
コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド
性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます
・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●翠の剣閃、悪夢の弾幕
舞台背景を変えるように、景色が入れ替わる。
ユリの日傘がくるくると回るのに合わせて揺らいだ景色は、宇宙船の生活区域のような場所へ定まった。
「今回もそこまでトラウマっぽくない景色だなー」
「他人にはそう見えるだけ、ということも……」
(これは……私がまだ生身のスペースノイドだった頃の)
シズクとユリには物足りなくとも、コノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)には覚えのある場所だった。まだサイボーグとしてのボディを手に入れる前、今ほどの力が無かった頃だ。あの男とはもう出会った後だろうが。
この景色にどんな意味があるのか、あの二人に教えてやる必要も無いだろう。それより、連携される前にあの二人を確実に撃破してしまうべき――そう判断すると、コノカは勇翠の薙刀に一撃必殺のフォースを溜め始めた。
「あ……それ、だめです。敵のチャージを待ってあげるターン制バトルのボスじゃないので、わたくし」
「自分自身のバトルまでゲームにすんなよ! わざわざ待つ訳ないのは確かだけど、な!」
翠のフォースが集まりきる前に、ユリの弾幕が展開されシズクの幽銃が連射される。中途半端な体勢で対応できるのはどちらかひとつだろうが、自分を含めた全方位に弾幕を張られてしまってはフォースを溜め続ける事すら――。
「なっ、嘘だろ!?」
シズクの驚く声も無理はない。フォースを集めることに集中しているコノカを、レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)が割って入って庇ったのだ。シズクの連射を完全に受け止め、それでもなお脱力状態で立っている。
オペラツィオン・マカブル――彼女が受け止めたユーベルコードの弾丸は、全て人形へと排出されたのだ。
「助かったわ、ありがとう」
「間に合って良かったです。シズクは今から私が。貴方はユリを」
「ええ。これで互角に戦えそうだわ」
フォースで満たした薙刀の刃をはち切れんばかりの翠に輝かせると、コノカは駆けてユリの元へ向かう。
阻もうとしたシズクの元へは、宣言通りにレインが立ちはだかった。
「ちくしょう、各個撃破か!」
「弾幕は私も得意なんですよ。妹さんと、どちらが優れたシューターか……体験してみませんか?」
返事を待たずに、レインはサイレントナイトメアを連射する。静かに、しかし確実に、悪夢へ誘うように甘やかで優しい弾幕がシズクを襲う。
「だあぁぁ! くそ、ユリ! 援護……、……おいユリ!」
援護を頼もうとして振り返った先、シズクは信じ難い光景を見た。
あの妹が、白兵戦で押し負けていたのだ。
「…………」
「わ、わ。わわ」
口は閉じたまま。しかし視線は力強くユリを見据えたまま、コノカは次々と薙刀の刃を繰り出していた。
「くっそ、何とかそっちに」
「させませんよ」
「この!」
シズクの幽銃とレインのサイレントナイトメアの弾丸が乱れ飛ぶ。その間にも押されているユリは日傘で浮かぼうとするが、その動きを阻むようにコノカの薙刀が袈裟に薙ぎ払った。
「あ……」
「ユリ!」
シズクの注意が大きく逸れた瞬間、こちらも勝負が付く。
「よそ見厳禁、です」
音も無く発射されたレインの一発で、シズクの肩が撃ち抜かれる。指から発射するシズクの幽銃は、指が構えられなければ満足に発射できない。それでももう片方の手で腕を支え幽銃を撃とうと構えるが、やはり狙いが定まらず思ったように撃てないようだった。
「ち、くしょう……大丈夫か、ユリ……!」
「うーん……」
日傘ごと斬り付けられ、空へ浮かべなくなったユリが呻く。それまで一人ずつに分かれて相手取っていたコノカとレインは集合すると、コノカが薙刀を構えて一歩前へ出る。
「纏めて――仕留める」
翠の軌跡が一閃。悲鳴を上げさせる間もなく、勇翠の刃が煌めいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ティオレンシア・シーディア
○☆
…あー…とりあえず解決したとはいえ、流石にお手々繋いで仲良しこよし――とは、いかないわよねぇ。
やっぱりそうなっちゃうかぁ…
防御無視の|範囲攻撃《バラ撒き弾》とバ火力の|速射砲《自機狙い弾》のコンボとか正直勘弁してほしいわねぇ…
こっちは生まれてこの方残機1だってのに。
触れたら消滅する以上結界での防御はちょっと厳しいわねぇ。…なら、撃ち落としましょうか。|ソーン《障害》で●黙殺・砲列を起動、○弾幕ぶつけて相殺するわぁ。
――で、追い込み漁仕掛ける以上シズクちゃんはこっちを確認する必要があるわけよねぇ?閃光弾で〇目潰しすれば、十分連携は崩せると思うのよねぇ。
こんな詐術二度は通じないし○体勢を崩せたら乾坤一擲。●黙殺・絶吼を起動して○全力魔法のレーザー砲撃ブチかますわぁ。見た目は光線でも実質は弾幕の集合体、多少消された程度じゃ小動もしないわよぉ?
やぁねぇ、こっちからしたらそっちは弾幕STGのボスだもの――|切り札《ボム》の一つくらい用意しておくのは嗜み…どころかむしろ礼儀じゃないかしらぁ?
月白・雪音
…然り、我らが此処に来たるは此度にて貴女がたを滅し世界の脅威を払わんが為。
元よりそう在ったのではなく、貴女がたを『そうした』者が居るのでしょう。
されど既に過去の残滓と変じたとあらば我が手を届かせる術は無し。
故にただ我が武を以て、貴女がたの想いに応えましょう。
広がる情景は白い月が浮かぶ雪原。己が師と出会い、『月白雪音』の名を得た原点
UC発動、野生の勘、見切りにて弾の軌道を感知しつつ大きく動きすぎることなく回避
落ち着き、高速思考力にて弾幕のパターンを予測し、自機狙いの幽銃は回避が困難ならばアイテム『薄氷帯』の効果にて正面から受ける事は避けて弾く或いは逸らす
弾幕のパターンの間隙を見切ればアイテム『氷柱芯』をユリに向けて飛ばし巻き付け怪力で引き寄せシズクと分断
グラップル、及び殺人鬼としての技巧も併せユリの意識を即座に奪いユリを盾にする形で残像にてシズクに肉薄、2名ともの急所を打ち抜く
…貴女がたと私は相容れない。それでもお二人の間に在る絆は確かに真実。
それを裂く業を、この身を以て背負いましょう。
●せめて最後の
他の猟兵によって負った傷か、姉妹には大きな刃物でつけられたような深い切傷があった。洒落た大きな日傘も、傘の部分から切り裂かれてしまっている。
そこまで傷付いていても、新たな猟兵が近付くと姉のシズクが妹のユリを抱き起こして戦いの構えを取ろうとする。
「ユリ……、おいユリ!」
「あと五分……」
「寝惚けてる場合か! まだ仕事終わってないんだぞオレ達!」
『仕事』――彼女達にとって猟兵と戦うことは、好き嫌いや善悪を越えた『やるべきこと』であり、彼女達がオブリビオンである限りその定義は変えられない。
(……あー……やっぱりそうなっちゃうかぁ……)
黒髪をかきあげ、溜息をつくティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。爆死の危機は去ったとは言え、流石に『お手々繋いで仲良しこよし』とはいかないようだ。
「元よりそう在ったのではなく、貴女がたを『そうした』者が居るのでしょう。されど既に過去の残滓と変じたとあらば我が手を届かせる術は無し」
柔らかい草を踏む音と共に現れた月白・雪音(|月輪氷華《月影の獣》・f29413)も、その手に拳を握る。
「……貴女がたと私は相容れない。それでもお二人の間に在る絆は確かに真実。それを裂く業を、この身を以て背負いましょう」
「|大事《おおごと》だなおい! よせやい、まだこっちの負けって決まってないんだぜ?」
「でも、そういうの好きですよねシズクお姉様……。不利な状況からの逆転とか、ライバルとの熱い戦い……みたいなの」
抱き起こされたユリの腕の中で、ゆっくりと日傘が廻り出す。慣性に任せてレース飾りがたなびき、やがて日傘の内側から新たな景色へ塗り替えられていく。
そこは、真白の原。
白い月が浮かぶ雪原は、雪音が師と出会い、『月白雪音』の名を得た原点の景色だ。
何者にも染め得ぬ原風景は、雪音自身にも『戦いの原点』を改めて思い出させる。
猟兵が、雪音が戦う理由とは。
「……我らが此処に来たるは、此度にて貴女がたを滅し世界の脅威を払わんが為。故にただ我が武を以て、貴女がたの想いに応えましょう」
改めて腰を落とし、拳を構え、気力を練る。それだけが彼女のユーベルコードだ。
「とは言え、防御無視の|範囲攻撃《バラ撒き弾》とバ火力の|速射砲《自機狙い弾》のコンボとか正直勘弁してほしいわねぇ……こっちは生まれてこの方残機1だってのに」
本当に困ったといった表情で眉尻を落とすティオレンシア。防御無視――つまり、触れたら即終了だと思ったのだ。結界を張っても一瞬で消し飛んでしまうだろう。
「正面から受け止めるは困難かと。回避か軽減の後に攻めへ転ずる一手が肝要と思われます」
「あたしもそうかなーって思ってたトコ。攻撃は最大の防御、っていうし?」
――なら、撃ち落としましょうか。
早速飛んできた滅詩の弾幕を、まずは雪音がその隙間へ最小限の動きで潜り込み軌道から外れる。ティオレンシアはゴールドシーンに祈りを届け、自身に従う|ソーン《障害》のルーンを並べると弾幕を放つ砲列となす。
弾幕同士が激しく衝突し、砕き合って消滅する。ティオレンシアの砲列はただのルーン魔術ではなく|黙殺・砲列《ユーベルコード》によるものだ。
「ユーベルコードで、相殺……」
「だが、あいつは今ので打ち止めのはずだ。貰ったぜ!」
シズクの指先から|幽銃《ユウガン》が放たれる、その一瞬。
「あ、お姉さ」
次の弾幕を準備していたユリが、突如シズクの隣から引きずり出される。雪音の氷柱芯に絡め取られ、彼女の元へ巻き取られてしまったのだ。
「ユリ!!」
「あら、シズクちゃんはこっちよぉ?」
幽銃の標的を変えようとしたシズクの眼前に飛び込んできて炸裂したのは閃光弾。目を閉じても眩むほどの閃光をまともに浴びたシズクは、両目を手で覆いティオレンシアから距離を取ろうとする。
「くそっ、見えない……! ユリ、大丈夫なのかユリ!」
「ちょっと可哀想だけど、こっちも手加減してあげられないのよ。ごめんなさいねぇ」
再びゴールドシーンへ祈るティオレンシア。先ほど描いた砲列のルーン達を、今度は一点へ『固める』。
極小の一点、意味消失の寸前にまで凝縮した一点から――
『|Take That, You Fiend《これでもくらえ》、なぁんてね?』
|黙殺・絶吼《デザイア・デストラクション》。極小から放たれた極大威力の光線は、幾百幾千もの弾幕の集合体。一度で滅詩を相殺できる弾幕が、集合体で放たれるのは――もはや、超威力の|爆弾《ボム》である。
「ぐ……ぁあああっ!!!」
視界を塞がれたシズクが爆弾を避ける術はなく、臨界した弾幕を浴びた彼女はその場へ膝を付いた。
「ユーベルコードはひとつしか使えないはず、って?
やぁねぇ、こっちからしたらそっちは弾幕STGのボスだもの――|切り札《ボム》の一つくらい、用意しておくのは嗜み……どころか、むしろ……礼儀、じゃない…………かし、ら…………」
遅れて、ティオレンシアも座りこむように崩れ落ちる。複数のユーベルコードを間髪入れずに行使した上、無数の弾幕を臨界させながらぶつけるというマルチタスクは、彼女の魔術回路にとってあまりにも過負荷であった。
今の彼女は、目の前のシズクへとどめを刺すだけの意識すら働かない。
そして、姉がそのような状況になっていても、妹の声は一切あがらなかった。
巻き取られ、雪音の元へ引き寄せられた瞬間、腹を撲たれたユリは意識を失っていたのである。
(このユリを盾に、シズクへ迫るつもりでしたが……)
どうやら、この仲睦まじい姉妹にそこまでの仕打ちはせずとも片が付きそうだ。
雪音は念のためユリを前面に抱えながら、互いに動けないでいるシズクとティオレンシアの元へ向かった。
「……とどめは」
「ごめん、なさいね……あたし今……しゃべる、のも……やっと……」
「わかりました。では私が」
瀕死のシズクは、未だ両目を押さえながら唸っている。
唸り声の間に、ユリの名を呼びながら。
「ユリ……返事、しろよぉ……やられちまったのか、ユリ……ユリ……」
「…………」
何も聞かなかった事にして、淡々と殺してしまってもよかった。
元より相容れない同士だ。雪音は殺人鬼だ。できない理由は無い。
それでも、敢えて不安を駆り立てる理由も無く。
「ユリ……? ユリだな? なんだ生きて、」
気を失ったままのユリをシズクの身体に重ね、温もりを感じた彼女が安堵したのも一瞬。
重ねた身体の上から、心の臓を砕くひと突きを見舞ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
そういえば、指定UCがあるの忘れてわね。
私はエナジーを糧にするサイキックヴァンパイアなのでその料理は感情エナジーであり、その食材はつまりエナジーを生む人間である。つまり、このUCはオブリビオンを|食材《人間》化できるわね。
そして、UCが指定の一個しか使えないなら入れ子構造にすればいいじゃないと|『夜』に堕とす《デモンズ・ディール》。対象に存在しない記憶を植え付けて現代・過去・未来を|操作《料理》するわよ。|奇病《毒の部位》の排除は料理の基本よね。植え付ける記憶は|愛しい人《ハニー》だったというものにしましょうか。さぁ、私をお姉様とお呼びなさい、百合的な意味で❤
そんな感じでユリとシズクはオブリビオンでなくなりました、奇病も料理の過程でぽいぽいしました、もう戦う理由はありません解散☆
住む場所はそうねUDCアースの私の部屋へいらっしゃいな。
魔法の弾幕も幽銃も|大食い、魔力吸収、魔力供給、エネルギー充填《上質エナジーをありがとう☆うまー、おいしい♪》よ。
●次の蘇生時にも、なかよく、してくださいね――
アリス・セカンドカラー(|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)が二人の元へ到達した時、『それ』が生きているようには見えなかった。
折り重なって俯せに倒れている二人は、心臓の位置を穿たれている。人間であれば生きているはずがない致命傷だ。
|人間であれば《・・・・・・》。
「ぅ、う…………お姉、様…………?」
上に重なっていたユリが目を覚ます。
「重、たい……」
続いて、下に倒れていたシズクが。姉の文句にユリが身体を退かすと、シズクも目を擦りながら起き上がりユリを観察するように見る。
「……無事、じゃないが。生きてるな。よかった」
「あまり、無事ではないですが……。あと、シズクお姉様……先程からお客様が、」
「ぁあっ!? 早く言えバカ!!」
ようやくアリスの存在に気付き、ユリを背に庇いながら|幽銃《ユウガン》の構えを取るシズク。アリスとしてはこのまま|姉妹愛おいしいです《百合うまー》と観察を続けることもまあ吝かではなかったが。
むしろ、かなり本気で混ざりたい。自分をお姉様として。
そうするにはどうすればいいか、観察しながら本気で考えていた。
「ユリ、弾幕は!」
「いけます……十分、ぐっすりしましたので……」
「人間なら永遠にぐっすりだったけどな!」
心臓への一撃を受けていながらオブリビオンとしての脅威の再生力で立ち上がり、滅詩の魔法弾幕が迫り来る。
アリスはそれに対して何をするでもなく、ただシャワーでも浴びるようにじっとしていた。触れた者全てを滅ぼす弾幕は確かに無防備なアリスの服をいくらか傷付けたが、弾幕はアリスを通過することなくそのまま吸収される。
「んー♪ 上質エナジーをありがとう☆」
「あら……?」
「……じゃねーよ、どいてろ!」
不思議そうに首を傾げるユリを押しやり、一瞬で|幽銃《ユウガン》を打つシズク。しかし、こちらもアリスは心地よさそうに浴びた。
彼女は、あらゆる概念をエナジーとして取り込むサイキックヴァンパイアなのだ。
「怖がらなくていいわ。二人を引き離すつもりはないの、そんな悲しいコトしないわ。痛いコトももう終わり♪ もう十分でしょう?」
「ハァ? 何言って――」
シズクが言葉の意味を理解するより速く、アリスの魔術が姉妹の『時間』を捉える。過去、現在、未来、と切断して、|都合よく設定を改変して《美味しく加工して》、もちろん|奇病なんて排除して《毒なんて切除して》、できあがった『食材』は――
「だめ、です。それは、ちがいます。ちがいます、おねえさま」
記憶を改変され呆然とするシズクに、完全には書き換えられなかったユリが縋り付く。
「ふうん……? 中途半端はよくないわよ、苦しいだけだもの。私の所に来れば、姉妹仲良くオブリビオンじゃなくしてあげるのに」
「あなたの、餌として、ですよね。ヴァンパイア、なのですから」
「私は人間になった二人の感情を糧にもらえる。二人はいつまでも平和に一緒にいられる。それの……――何が不満なのかしら?」
今度こそ完璧に、と触手を伸ばすアリス。ユリが縋るシズクはぼんやりとアリスに視線を合わせ、言葉を発した。
「……姉、様……?」
「……あ。ああ。シズク、お姉様……」
アリスを『愛しい姉』と慕う記憶を植え付けられたシズクは、そのままアリスへ歩み寄る。悲しそうに姉を見送るユリを、触手はひと息に呑み込んだ。
「泣かないで……あなたもこちらにいらっしゃいな♪」
抵抗のなくなった相手の記憶を書き換える。彼女にも自分を愛しく思う気持ちを芽生えさせてあげる。
こうしてアリスの『食材』となった二人は、オブリビオンではなく『人間』に違いないのだ。
「さぁ、私をお姉様とお呼びなさい❤ 三人で一緒に住みましょうね。UDCアースの私の部屋なんてどう?」
「姉様……」
「……嬉しい、です……お姉様……」
弱った肉体を愛しい人に預けながら、恥じらう少女の声でアリスを姉と呼び慕う二人。
それは――間違いなく、幸せに違いないのだ。
成功
🔵🔵🔴
最終結果:成功
完成日:2023年01月29日
宿敵
『物理除霊師・魔叉斗』
を撃破!
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