星鐵戰騎スターナイト〜囚われた皇子! バーナムの魔手〜
『走り屋マクベス』――もとい、幕部・スイセイ。
アカツキ皇国の第二皇子であるらしい筈の彼は、しかしと言うべきかやはりと言うべきか、皇城に戻ることなく皇国首都の郊外地区で暮らしていた。
「少し走るか……」
先日、番能・クォーツを手酷く拒絶してから、何となくモヤモヤとした日々を送っていたスイセイ。彼女は、口煩いが政府の中では一番スイセイの立場と心境に理解を示している人間である。
皇子なんてやる気はない。それでも、悪いことをしたという思いくらいはスイセイにもあった。
その心の靄を、振り払いたい気持ちがあったのだ。かつて世話になった施設に置かせて貰っているバイクを取りに、近道の路地裏に足を踏み入れて。
スイセイは、驚くべきものを見た。
「皇子様」
「……ッ」
黒服に顔を隠した男が、施設育ちの少年を拘束し、スイセイを不敵な笑みと共に見据えているのだ。
少年の側頭部には銃が突きつけられており、少なくとも仲良く出来る相手でないことは解る。
「誰だ? 何のつもりだ」
「質問の多い皇子様でございますな。まあ、よろしいでしょう。単刀直入に申します。貴方をバーナム庭王国までご招待したい」
バーナム庭王国。
スイセイは全てを理解した。
だが、彼にも譲れない一線がある。
「俺は皇子だなんて認めちゃいねぇ」
「貴方が望む望まざるとに拘らず、貴方には『皇子』としての価値があるのですよ。そして拒否権がないことも、聡明な貴方にはもうお解りでしょう」
「……マクベス兄ちゃん……」
「………………チッ」
スイセイは不承不承に両手を挙げた。
●
「誰の悪戯だ、これは」
ユリエル・ミズハシ(ジキルの棘とハイドの誘惑・f36864)が不機嫌そうに、タブレットの画面を猟兵たちに見せる。どうやらメモ帳アプリのようだ。
そこには、命令口調でクロムキャバリアのアカツキ皇国と現在紛争状態にある小国家を調べるよう、文章が打ち込まれていた。
どうやらあの偽ユリエル――察するに彼の中の彼ではない人格なのだろう――は、本当にその辺りの調査を主人格である筈のユリエルにさせたらしい。
「……お前達の誰かの仕業じゃないのか。まあいい、丁度予知にも引っかかっているからな」
ユリエルもユリエルで、依頼人不明かつノーギャラの案件を律儀に調べたらしい。お世辞にも態度がいいとは言えない男だが、何だかんだで根が真面目なのだろう。
「現在、アカツキ皇国と紛争状態にあるのは『バーナム庭王国』と呼ばれる小国家だ。殲禍炎剣が稼働するよりも遥か以前には林業が盛んだったようだが、その際のいざこざで皇国を逆恨みし、敵視したまま現在に至るらしいな」
わざわざ気の遠くなるほど長い年月、恨みの炎を焚べ続けてご苦労なことだと、ユリエルは皮肉げな笑みを口元に浮かべる。
だが、その分だけ確執も根深い。
「その一環だろうな。第二皇子スイセイがバーナム庭王国に雇われた傭兵によって誘拐され、庭王国へと引き渡されようとしているらしい」
第二皇子であるスイセイの誘拐。
確かに、国の主要人物の誘拐ではある。だが、何故『第二』皇子のマクベスなのだろうか。
第二と言うことは第一皇子がいる筈だ。流石にそこまでとなると誘拐も困難を極めるだろうから、今はまだ皇家や政府の庇護を受けていないスイセイで手を打ったということか。
「いや、もっと単純な話だ。第一皇子ダンガン……それに先皇もまた、つい最近死んでいる。皇家の血を引いているのが、もうあの不良皇子しかいないというわけだ」
こともなげにさらりと重大な事実を口にするユリエル。
聞けば、先皇は『走り屋マクベス』襲撃事件の半月前に病で世を儚み、第一皇子ダンガン――この国では第一子も皇子と呼ばれるようだ――皇位継承を待たずして、庭王国との防衛線から葬儀のために撤退する途中で命を落としたようだ。
これだけでも国家にとっては大打撃だが、問題はもうひとつあった。皇家の人間の命がが立て続けに失われた事実にすら匹敵する、大問題が。
「皇家が所有し、代々引き継がれてきたスーパーロボット『スターナイト』。皇家の中でも限られた人間しか操縦出来ないとされるこの機体、先皇と第一皇子は生前遂に動かすことは叶わなかった。そして第二皇子マクベス。搭乗機会こそなかったが、奴はスターナイトとの適性が、歴代の皇家の操縦者の中でも五本の指に入るほど高い。訓練を積めば、その性能を最大限に引き出すことの出来る乗り手になるだろうな」
紛争で優位に立つのみならず、スターナイトの操縦者候補――それも、歴代最強格の――を潰すための誘拐だった、というわけだ。
「何にせよ、誘拐の実行犯共が乗ってるのは御多分に洩れずオブリビオンマシンだからな。国家間のいざこざがどうあれ、お前達にはこの破壊に向かって貰うぞ」
幸いにして、スイセイはまだ庭王国入りしていない。今は中継地点にあるプラントに放り込まれているようだ。ここでオブリビオンマシンを全機破壊しつつ、スイセイを皇国まで送り返すことになる。
実行犯の中でも主犯の男は配下とは異なる強力な機体に搭乗している。配下を全滅させても油断は出来ない。
「しかしこの|男《パイロット》、雇われの身にしては異様に庭王国に心酔しているように見えたな。ま、騎乗しているのがオブリビオンマシンだ。多少思想や精神を弄られたっておかしなことじゃないだろうさ」
ともあれ。
無事にオブリビオンマシンを殲滅、スイセイを皇国に送り届けたら、また別件で皇国からの依頼があると言う。
「復興大臣から、スイセイの教育のサポートを頼みたいらしい。どうやらあの不良皇子、スターナイトには興味を隠し切れていない様子だったらしいな。スターナイトを操縦出来るようになれば、多少は皇家に対して態度を軟化させてくれるかも知れないと」
とは言え、モチベーション次第だろうがなとユリエルは付け足す。
もしかすると、猟兵たちの戦いぶりも、その一助になるのかも知れない。
「まずは当初の目的だがな。ほら、世界を繋ぐぞ。行ってこい」
|手帳のページ《グリモア》が、ぱらぱらと捲れ始める。
ひとつの国を、守るために。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
やっと名前が出てきたタイトルの機体。
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:集団戦『シュタインバウアーMk-2STC』
第2章:ボス戦『H・O・P・E』
第3章:日常『新米パイロット育成計画』
第1章では、『シュタインバウアーMk-2STC』に乗り込んだ誘拐犯の配下と戦っていただきます。
現場は遮蔽物などはありませんが、照明が壊れているようで薄暗いです。
光源があれば有利に戦えるでしょうが、敢えて暗がりから奇襲するのも手かも。
第2章では、オブリビオンマシン『H・O・P・E』に乗り込んだ誘拐犯との戦いになります。
傭兵ではありますが、機体の影響か庭王国を異様に信奉している様子。まともな会話も期待出来なさそうです。
遠慮なく倒し切りましょう。
第3章では、スイセイのパイロットとしての訓練をお手伝いします。
適性は高いですが、未だに動かすことは出来ない状況。少しでも潜在能力を高めましょう。
また、第2章の時点での猟兵の言動や戦い方によっては、スイセイ自身も訓練を望むかも知れません。その場合はより訓練が捗るでしょう。
第1章開始前に、断章を執筆予定です。
戦闘パートの地形などの追加情報も、断章での描写という形で公開させていただきます。
断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきますので、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『シュタインバウアーMk-2STC』
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POW : 30mmヘビィマシンガン『ロングロッド』
【重機関銃の連射】を放ち、命中した敵を【キルゾーンに追い込むよう】に包み継続ダメージを与える。自身が【味方と連携】していると威力アップ。
SPD : 連装ミサイルポッド『グレンデル』
【両肩のミサイルポッド】から、戦場全体に「敵味方を識別する【追尾ミサイル】」を放ち、ダメージと【熱量過多】の状態異常を与える。
WIZ : マルチプルディスチャージャー
【煙幕弾やチャフグレネード】を降らせる事で、戦場全体が【光学電子妨害状態】と同じ環境に変化する。[光学電子妨害状態]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:神手みろふ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵たちは、プラント内の通路を進む。ある者は生身で、またある者は愛機ないし皇国から借りた予備機に乗り込んで。
聞き及んでいた通り、内部は薄暗い。遮蔽物はなく、通路とは言っても意外と広いため、キャバリアに機乗しての戦闘にも問題はなさそうだが。
進み続けると、大きな扉――と言っても開け放たれたままになっているのだが――が見えてくる。だが、猟兵たちがそれを視認した瞬間、オブリビオンマシンの大群が一斉に通路へと雪崩れ込んできた!
「何者だ?」
「皇国の手の者か」
シュタインバウアーMk-2STCを繰る、奴らこそスイセイを誘拐した傭兵の配下たちだろう。
トップがバーナム庭王国に心酔している今、その配下たちもまた庭王国の忠実な兵士も同然。そのことに疑問すら抱いていないようだ。
いずれにせよ、奴らを突破しなければ、スイセイと誘拐犯の元に辿り着くことは出来ないだろう。
さあ、奴らを薙ぎ払い、押し通るのだ!
アルジェン・カーム
UC発動中
(天より飛来する漆黒の鴉型戦闘機
ふふ…人型機械に乗って武を示す世界…不思議と心が躍りますね
…とはいえその感情は良い物でも本来ないのでしょう
それでも…
ここから起きる悲劇の終焉エンディング…破壊させて頂きます
【戦闘知識】
敵陣の陣形と動きを捕捉
【念動力・弾幕】
ガトリングガンより念動光弾を乱射して敵を蹂躙
【二回攻撃・切断・オーラ防御】
ではこのモードの十八番で行かせて頂きます
ぷっさん…その力…見せてもらいますね?
攻撃衛星の範囲外である低空飛行で超加速して蒼いオーラを纏って突撃
ブレイドウィングで速さも利用して切り刻む
不殺徹底
…本当は人型で行きたいですがそれは次の楽しみに取っておきます
●
アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は黒翼の戦闘機に乗り、通路内を滑空していた。
「ふふ……人型機械に乗って武を示す世界…不思議と心が躍りますね……」
思わず、ぽつり零れる。
けれど、その感情は本来よいものではないのだろうとも、自分自身で思う。それでも、戦う意思があってここに来た、それは事実だから。
敢えてこの高揚感に身を任せたままで。
(「ここから起きる悲劇の終焉エンディング……破壊させて頂きます」)
それが猟兵でありエンドブレイカーである、自分の務めだ。
世界が繋がる以前から戦い続けてきた、その知識を活かす時だ。
(「まずは敵の陣形と動向を捕捉しましょう」)
心を凪いで、冷静に。
敵を知り己を知らば百選危うからず――それはアルジェンの経験としても身に沁みていることだ。
層の浅い部分を狙い、ガトリングガンを乱射。念動光弾が雨霰の如き弾幕を展開し、敵陣を蹂躙していく。
「くっ……怯むな! 物量で追い込め!」
敵も重機関銃を連射し、連携によってアルジェンを追い詰めようと動くが、ひらりローリングしてその場で回避。敵の思惑通りには動かない。
そのまま低空飛行へ移行。機体を擦らないギリギリのラインで滑空し、敵陣の崩れた地点に狙いを定め。
「ではこのモードの十八番で行かせて頂きます。ぷっさん……その力……見せてもらいますね?」
『ああ、行こう。アルジェン!』
ぷっさん――もとい、冥皇神機『プルートー』。
鴉型の機体に蒼のオーラを纏って身を固め、出力を上げ、ブレイドウイングを展開。
さあ、突き崩せ!
『レイヴンモード維持、超加速!』
「突撃!!」
蒼黒の刃が敵を裂く!
「ぐわぁあ!?」
「ああ……ん?」
シュタインバウアーMk-2STCの機体が次々切断されていく。しかし、乗り込んでいた者たちは多少の負傷こそあれ、生きたまま機体から投げ出されていた。
「不殺を徹底し、あくまで無力化に留めましょう」
『了解!』
旋回。そして再度突撃。
これがレイヴンモードの真髄だ。
(「……本当は人型で行きたいですが、それは次の楽しみに取っておきます」)
冷めやらぬ高揚感はそのままに。
濡羽の鴉が縦横無尽に飛び回る!
大成功
🔵🔵🔵
高吉・政斗
ここが…よし!依頼こなしてから買い物(部品購入)だな!うん。
■戦闘
愛車のFECTを二足型に変形、この世界なら違和感無いなうん。
おっ!誘拐犯発見~、
ってかこれだけ広くて暗いなら此方は手持ちの兵装を全部迷彩モードにして奇襲すっか。序にCUBEを遊撃モードに設定これで勝つぞ!
ってミサイル撃ってくるの?しかも誘導と来たもんだヤバイヤバイ、R2!R2起動だFECT!
●FECT用兵装をに使って特にミサイルポッドを使ってくる機体を集中的に狙う。機動力は無いと見越して突貫して徹底的に無力化する。
●CUBE(に収納済みの全兵装)にスイセイを救出、武器貸与やカバーリングになる様に此方も設定。よしやってやるぜ?
●
「おっ! 誘拐犯発見~」
キャバリア――ではなく、二足型に変形させた局地対応可変走歩行戦闘車、通称FECTに乗り込み後方から様子を見ていた高吉・政斗(戦闘可変式歩行車持ちの・f26786)。愛車と敵の姿を見比べ、この世界なら違和感ないな、うん、と胸中頷きつつ。
(「ってかこれだけ広くて暗いなら、此方は手持ちの兵装を全部迷彩モードにして奇襲すっか」)
折角の舞台だ。活かさない手はない。
ついでとばかりにCUBEを遊撃モードに設定。手慣れたものだ。これで準備は整った。
(「よし、これで勝つぞ!」)
――と、意気込んだはいいものの。
(「ってミサイル撃ってくるの? しかも誘導と来たもんだ……!」)
味方と交戦するシュタインバウアーMk-2STCの両肩のミサイルポッドが稼働する。あれは確か追尾ミサイルだった筈だ。
と、なれば余波で巻き込まれる可能性がある!
「ヤバイヤバイ、R2! R2起動だFECT!」
慌てつつも咄嗟に最適解を脳内で組み立て。
『R2System、起動シマス』
やられる前にやれ。
両腕を纏う光が仄青く灯る。向かい来る追尾ミサイルを受け止め、破壊。お返しと言わんばかりに、ミサイル主体で戦う機体へと、全く同じ攻撃を見舞ってやった。
受け止めたユーベルコードをコピーするこのシステムで、敵陣に混乱を巻き起こす!
「機動力は無さそうだな。突貫して徹底的に無力化するぞ!」
FECT用兵装も駆使して、戦線を押し上げる。
一機、また一機と機能を停止する。着実に敵の数は減りつつある、政斗はその手答えを実感として覚える。
(「スイセイは……この奥だな」)
救出の準備も万端だ。CUBEに収納済みの全兵装の中に避難させてしまえばいい。武器貸与やカバーリングになるように、設定も済ませている。
事前の準備が余裕を生むのだ。だが、だからと言って油断はしない。決戦はこの先に待ち受けているのだから。
「よし、やってやるぜ?」
無事に依頼をこなした暁には、買い物をして帰ろう。FECTの部品の購入もだ。戦場を共に駆ける愛機は、こうして労ってやらなければ。
そのためにもこの戦い、勝ってスイセイと共に脱出するのだ!
大成功
🔵🔵🔵
疋田・菊月
おやおや、どうやら我らがシュタインバウアーのカスタムのようですね。
うーむ、これは分が悪いですよ
ま、なんとかしてみましょう
ブースターや正面装甲、武装などあらゆる部分でこちらのほうが見劣りしますが、小回りでは負けないはずです
小狡い立ち回りをお見せしましょう
盾を構えつつ後退。敵方の重機関銃の最大効果範囲より外側を意識して、包囲から外れるよう下がります
カミオさん、追跡しつつ陣形を構築し始める筈ですので、機を見て教えてください
薄暗いので相手はカメラの採光感度を上げているはずですね
相手の好機に合わせて、閃光焼夷弾投射。同時に光学センサーカット
相手の目が潰れている間にセンサー再起動、接近戦で仕留めます
●
通路を埋め尽くさんばかりのオブリビオンマシン『シュタインバウアーMk-2STC』。
疋田・菊月(人造術士九号・f22519)は、その機体に見覚えがあった。
(「おやおや、どうやら我らがシュタインバウアーのカスタムのようですね」)
とある地下帝国――菊月自身も縁のある――で広く普及するシュタインバウアー。菊月も所有しているそれの、同系統のキャバリアだったのだ。
更に言うなら菊月の騎乗するそれが量産型であるのに対し、あの機体群は強襲型にチューンしたスペシャルターボカスタムタイプ。陸戦において安定した性能と乗り手の生存性を強みとしている。
その上、何せ数が多い。その厄介さが、菊月にはよく解る。
(「うーむ、これは分が悪いですよ。でも……ま、なんとかしてみましょう」)
逆に言えば、敵を知っているということ。
そこを突き、上手く立ち回れば勝機のない戦いではない筈だ。
(「ブースターや正面装甲、武装などあらゆる部分でこちらのほうが見劣りしますが、小回りでは負けないはずです」)
――小狡い立ち回りを、お見せしましょう。
囁くように独り言ち、シュタインバウアーmk-2にて盾を構えつつ後退。
意識するのは敵方の重機関銃の最大効果範囲。その外側に位置取れれば、詰めてくる包囲からも外れられる。
「カミオさん、追跡しつつ陣形を構築し始める筈ですので、機を見て教えてください」
「めんどくしゃー……」
名前を呼ばれたクロウタドリの悪魔は、気怠げに溜息のようなものを吐いた。
「まあまあそう仰らずに」
「はぁ、仕方あらへんがね」
それでも菊月に請われれば、何だかんだと渋々ながらその望みを叶えるのだ。
赤目が鋭く戦場を睨め回す。その間に菊月は、敵方がカメラの採光感度を上げていることを確認した。
(「薄暗いですし、今のままじゃ視認し辛いですからね」)
だが、それこそが付け入る隙だ。
「今だで!」
黒嘴が声を上げた。
「猟兵の皆さーん、目を瞑ってくださいねー!」
とっておきをお出ししますから、と!
菊月も、負けじとばかりに声を張り上げる。
『味方を巻き込まないために』。
刹那、強い光を内包する焼夷手榴弾――エレクトロン閃光焼夷弾が炸裂。
タイミングを合わせて菊月は光学センサーをカット。光が戦場を支配し、敵の目を眩ませる。
立ち直れない敵陣を、菊月の騎乗するシュタインバウアーmk-2が、盾を構えて突き崩す――!
大成功
🔵🔵🔵
シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』
ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
(「誘拐なんて……放っておけない!」)
シフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)はその一心で、助太刀にやってきた。
個人的に所持しているキャバリアはないものの、互角以上に渡り合えるのならば生身でも問題ないと聞いたので。
ここは、勇者としての力の見せどころでもあると、気を引き締める。
味方の活躍で、敵ももう残り僅かではあるが、油断は出来ない。彼らの後顧の憂いを断つためにも、討ち漏らしを一掃するのだ。
「ここは任せて!」
先行した味方に呼びかければ、敵もシフィルへと視線――キャバリアの頭部を向けて。
「臆するな! 生身の人間一人なら……!」
一見すると柔和で可憐な少女にしか見えないシフィル。だが、その判断は誤りだ。
奴らは身を以て、それを思い知ることになるだろう!
「スイセイさんを助けるためにも、絶対に負けられない! 勇者シフィルの力を見せてあげるよ!」
勇気の力が、纏う正義の白き光を強くする。
今のシフィルは、キャバリアにすら劣らぬ攻撃力を手に入れた。このまま、一息に蹴散らしてしまおう!
「行くよ!」
「ッ! 速い……!!」
金の髪をたなびかせて。
地を蹴って駆け出した、その速さを敵は捉えられない。
包囲の間をするすると潜り抜け、あっという間に敵陣の背後に辿り着くと、理想郷の名を冠した輝く聖剣を振りかざして、薙ぎ払う!
「うわぁああああ……!!」
少女勇者の一薙ぎに、キャバリアすらもたまらず吹き飛んで。
残る敵もこれで瓦解した。
「後は……敵のボスを倒すだけ……!」
シフィルは背後を――通路の奥、開け放たれたままの扉を顧みる。
――天使の如き機体が、猟兵たちを待ち受けていた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『H・O・P・E』
|
POW : Harmony=Origin
【高速】で敵の間合いに踏み込み、【爪による攻撃】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
SPD : Origin=Peaceful
【機械仕掛けの無数の羽根】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : Peaceful=Emotion
【操縦サポートAIが起動し、自動操縦モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:落葉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠斑星・夜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「――、ッ――!!」
猿轡を嵌められ、背中に回した両腕を柱に縛りつけられていたスイセイだが、耳に飛び込んできた絶叫や爆発音などに、状況を察して顔を上げる。
猟兵たちが、並み居るオブリビオンマシンを撃退し、部屋に雪崩れ込んでくる!
「ほう、思ったより早かったな」
スイセイに対する慇懃な態度も、最早必要ないとばかりに。
主犯の傭兵――H・O・P・Eのパイロットがふてぶてしく嗤う。
そこは巨大な倉庫のような場所で、広々とした空間だった。また、こちらには問題なく光源が存在している。
コンテナなどの遮蔽物はあるが、全て壁際に寄せられており、進んで利用しようとしなければ戦闘に影響は及ぼさないだろう。
スイセイは――高所のキャットウォークにいるようだ。壁際に伸びる柱に縛られているらしい。
とは言え、敵にとっては国に送り届けるまで大事な身体だ。彼を人質に取ったりするなどは考えにくい。放置していても問題はないだろう。
つまり、何を気にすることなく思う存分戦えるというわけだ。
さあ、囚われの皇子を取り戻せ!
アルジェン・カーム
人型形態に変形
希望という意味でしたか
ですがその偽りの希望
之より怒るだろう悲劇の|終焉《エンディング》…破壊させて頂きます
【戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖と能力の把握
また周辺地形も解析
特にスイセイさんの位置は把握
この世界については知っています
その機体は貴方の心も狂わせるという事も
なので…壊させて頂きますね
英霊剣群発動
共闘している方々も同時に支援
UC発動
【空中戦・念動力・弾幕・砲撃・貫通攻撃】
破壊の波動を込めた念動光弾乱射
但し皇子は決して巻き込まない立ち位置と射線を維持
【二回攻撃・切断・串刺し・オーラ防御・武器受け】
宝剣と槍による斬撃から刺突による猛攻
敵の攻撃は英霊剣と宝剣や弾幕で迎撃!!
●
その名は――『希望』。
敵機に冠された名前に、アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は僅かに眉を顰めた。
(「希望……でしたか」)
確かに、庭王国とやらにとってはこの誘拐も希望なのだろう。
皇国と庭王国との確執など、説明された以上には知らない。だが、如何なる理由があろうとも、戦うことの出来ない――少なくとも今はまだ――人物に悲劇をもたらすことで成り立つ希望など、認めるわけには行かない!
「その偽りの希望、これより起こるであろう悲劇の|終焉《エンディング》……破壊させて頂きます」
|終焉を終焉させる者《エンドブレイカー》として!
「はいそうですか……と、やられてやるわけにはいかんな。庭王国の礎としてくれるわ!」
敵の背負った、純白の機翼が威嚇するように広がる。かと思えば、そこから抜け落ちたかのように見える機械仕掛けの羽根が、無数の弾丸のように射出された。
アルジェンは敢えて反撃せず、回避に徹する。プルートーは既に人型形態へ変形しており、生身の人間のような滑らかな動きで敵を翻弄する。
だが、射出時の挙動、壁や床に突き刺さったそれの威力の確認も忘れない。コンテナの詳細位置や照明の強度などの解析も同時進行で行いつつ、改めてスイセイのいるキャットウォークへと視線を上げた。
この分なら敵の動きを誘導してやれば、スイセイへの流れ弾は避けられるだろう。けれど念の為、柱を目印にその位置を頭に叩き込み。
反撃の準備は、整った。
「この世界については知っています」
「何を……」
「その機体は、貴方の心も狂わせるという事も」
相手はただの傭兵でしかない筈だ。
だと言うのに、この入れ込みよう――既に機体の、ひいては庭王国の支配下にあるとしか思えない。
「なので……壊させて頂きますね」
言うが早いか、英霊剣群を発動。
我が身のみならず、味方も同時に支援出来るよう展開し、同時にユーベルコードでプルートーの力を解放する!
「全力で行きましょう……ぷっさん!」
『ああ、任せてくれ!』
理不尽な終焉を、共に打ち砕く!
軽やかに宙へ舞い上がるプルートー。そのまま破壊の波動を込めた念動光弾を、数は弾幕、大きさは砲弾のようにして、絶え間なく連射する!
広範囲ながら的確に敵機のみへと飛来するその猛攻に、太刀打ち出来る者などなく。
「く……っ!」
反撃すらも英霊剣や弾幕で弾き返せば。
最早敵に、打つ手はなかった。
大成功
🔵🔵🔵
高吉・政斗
■戦闘
●対応
Mk-2STCとほぼ同じ対応で…ただしスイセイが見ているのでチョイと泥臭いが、真っ向勝負っと行こうかい…ガラクタにしてやるよ。
●FECT
【WRF】起動…二足型で対処、左右ステップ・ダッシュを駆使し奴の機体を中心に位置取りながら回りこみ、FECT用兵装(主砲1発だけ明後日のほうに撃って穴を開ける)などを近接範囲で撃ち捲る…寧ろ俺の間合いに入ってこれる様に誘う…最低でも「3回まで連続で奴の攻撃を受けられる」って事、少々が無茶出来るって事は…
●自立系兵装
・迷彩機能発動中
俺が囮こっちが本命
倉庫内の四隅に沿ってCUBUとα9は高所のキャットウォークに向かってもらいこっそり救出&脱出する設定。
●
(「成程な、対応Mk-2STCとほぼ同じでよさそうだ。ただ……」)
高吉・政斗(戦闘可変式歩行車持ちの・f26786)はちらとキャットウォークを見遣る。スイセイは、じっとこの戦いに見入っているようだった。
(「チョイと泥臭いが、真っ向勝負っと行こうかい……」)
皇国へのわだかまりはあれど、何だかんだ言ってスイセイも、鋼鉄の騎士への憧れがあるのだろう。ならば、生半可な戦いは見せられない。
……正確にはFECTはキャバリアではないのだが、そんなことは些末な問題である。大事なのは気持ちだ。
「ガラクタにしてやるよ」
「ほう、やってみろ」
ならば、遠慮なく。
敵の表情は窺い知れない。それでも真っ直ぐに見据えた政斗の双眸は――その片側、左の眼が青白く、仄かな光を放っていた。
「WRF、起動!」
『System【WRF】:【対象機器との融合を開始……融合、完了』
FECTの機械音声が呼応し、その姿は瞬く間に二足型形態へと変形。
左右ステップやダッシュを駆使し、敵機を中心に位置取りながら回り込む。
そして敵が反応するより速く、主砲を掲げ至近距離で放つ!
「!?」
だが、弾は明後日の方向へ飛び、倉庫の壁へ風穴を開けんばかりの勢いで凹ませた。
それを好機と見た敵は、爪を蒼く光らせ政斗とFECTへ猛然と斬りかかる。しかしそれこそ政斗の狙い通り。ありったけの砲弾を連射し応戦する。
(「『奴の攻撃を四回受けると死ぬ』……つまり裏を返せば最低でも『三回まで連続で奴の攻撃を受けられる』って事、少々が無茶出来るって事は……」)
敵の攻撃の癖や軌道を見極めながら、応戦していく。その動きは敵を倒すと言うよりは、敵の気を引き時間を稼ぐような立ち回りだ。
「!」
その様子を見守っていたスイセイが、あることに気づく。
『何が』が、自分の拘束を解こうとしているようだ、と。
政斗の自立系兵装が、迷彩機能を発動して隠密。救出を試みているらしい。敵を倒してから助けに向かっても問題はなかったのだが、政斗は手酷い扱いを受けているスイセイを、見過ごしてはおけなかったのだ。
戦いは未だ続く。その間にこちらでも、密かな戦いが続いている――。
大成功
🔵🔵🔵
疋田・菊月
ふーむ、大事にしている割に剥き出しとは、なかなか豪気ですねー
せめて、当てないよう、なんとかしてみましょうか
なので、そちらもあんまり飛んだりしないでくださいね
さてさて、相手の主武装は、あの羽のようですね
踏み込まれては困りますが、弾幕勝負であれば、こちらも手がありますよー
とはいえ、駆け回るにはもっと遮蔽物がほしいところ
手投げ弾で少々現場を荒らしてから、ブーストを使って身を隠しつつ常に動いて、モストロで羽の迎撃に勤しみましょう
おおっと、この弾頭では相殺が精一杯!
いやー困りました
と、こちらに打つ手なしと油断してもらえれば幸い
慣れたところに強装弾など、如何でしょうかー
●
「ふーむ」
疋田・菊月(人造術士九号・f22519)は冷静に、敵とスイセイの様子をそれぞれ観察する。
(「大事にしている割に剥き出しとは、なかなか豪気ですねー」)
何と言うか、身も蓋もなく言ってしまえば、肝心なところでスイセイの扱いが雑だ。
敵は庭王国に忠誠を誓っている様子だが、所詮は傭兵上がりに過ぎないということか。
「せめて、当てないよう、なんとかしてみましょうか」
菊月が、その駆るシュタインバウアーmk-2が、突撃銃モストロ・ノインを構える。
その銃口は、しっかりと敵機を捉えていた。
「なので、そちらもあんまり飛んだりしないでくださいね」
「ならば飛ばせぬよう励むことだな!」
先行した味方との戦いで消耗している筈だが、敵はまだ余裕と言った声音を響かせている。
それは傭兵なりの矜持か、庭王国の希望気取りの去勢か、それとも――自分の限界すら、もう判断がつかないのか。
いずれにしても、目標は変わらない。
(「さてさて、相手の主武装は、あの羽のようですね」)
敵機が広げたその翼を、菊月は注視する。
手数に物を言わせるスタイルのようだ。はらはら、舞い落ちる純白の数多、敵意を持って菊月へと向く。
「踏み込まれては困りますが、弾幕勝負であれば、こちらも手がありますよー」
その為には、準備が必要だ。
壁際の大きめのコンテナ群を狙って、柄付きの手投げ弾を投擲!
場を荒らして遮蔽物を作り出し、その影に隠れながらシュタインバウアーmk-2をブースト、駆け回る。捕捉されないよう常に移動しながら、モストロで羽根を迎撃、撃ち落としていく。
だが、防戦一方だ。反撃の機が巡ってこない。
「おおっと、この弾頭では相殺が精一杯! いやー困りました……」
敵機の様子を窺いながらリロード、しかし敵の手数が多すぎて、菊月も苦笑いするしかない。
菊月に打つ手なし――それを察知した敵は勢いづき、更に機翼を羽ばたかせ、その切っ先をぎらりと菊月へと向ける!
「万策尽きたようだな。だが、健闘は認めてやろう。せめて一瞬で楽にしてやる」
羽が、幾重にも連なって、シュタインバウアーmk-2ごと菊月を取り囲む!
たが、それこそ。
「上手い具合に油断してくださいましたね」
「……何だと?」
狙い通りだ!
「慣れたところに強装弾など、如何でしょうかー」
「うおぉっ!?」
とっておきの銃弾が一条、敵機の心臓部を穿ち、貫く――!
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織(サポート)
何か、お手伝いできることはありませんか?
雪女の月光の魔女×ファンガス共生者、28歳の女性。元能力者で現在は銀誓館の中等部で理科を教えている。
口調は丁寧「私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?」
落ち着いた物腰で、大抵のことはソツなくこなす一方実は方向音痴でよく道に迷う。またホラーも実は苦手。でも意地っ張りなので平気なふりをしがち。
学生時代に天文部を設立するほど星が好きで天文分野に詳しい。
戦いの際には|起 動《イグニッション!》し、髪を解き瞳は青く変化、白い着物を纏う。
UCは指定した物をどれでも使用、多少の怪我は厭わず積極的に行動。他人に迷惑をかけたり公序良俗に反する行動はしない。
18禁NG
●
(「……酷い」)
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は乱暴に拘束されたスイセイの姿に、憤懣やるかたない思いを抱えずにいられなかった。
詩織は|異世界《シルバーレイン》の教師である。担当は中学だが、学生ほどの年齢の若者が手酷い扱いを受けているなんて、見過ごしてはおけなかった。
敵は既に機体を動かしているのがやっとの状態まで追い込まれているようだ。尤も、パイロットは未だ余裕のように振る舞っているが――。
「必ず、助けましょう。お手伝いします」
「ハ――生身の人間に何が出来る!」
敵は、知らない。
猟兵は、生身でもキャバリアと対等以上に渡り合えるのだということを!
敵の振るった蒼の刃が、詩織へと振り下ろされる。
――が、その時。
蒼が、どろりと溶けた。
「な……!?」
赤熱して、どろり、どろり。
それは爪のみならず、本体へも広がってゆく。
「誰かを傷つける希望なんて」
詩織は、認めない!
「赤い月の光で、全て溶かしてあげます」
「ぁ……あ……」
純白は真紅に侵され、溶け落ちる。
かくして庭王国の希望は潰え、その名残の赤い海。
そこに、一人の男が倒れ伏した。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『新米パイロット育成計画』
|
POW : まずは体力。多彩な運動メニューで基礎体力を身に付けよう!
SPD : ここは技術。シミュレーターでキャバリアを操縦してみよう!
WIZ : やはり知識。機体性能や戦術等を教えていこう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
遂に敵機は崩れ去り、戦いは終わりを告げる。
――と、同時。
「ッてて……まだ肩痛ぇな……っと」
キャットウォークから、スイセイがその足で降りてきた。
猟兵のひとりが戦力の一部を救出に割いてくれたお陰で、戦闘終了後に救助する手間が省けた形である。
「悪い、手間かけさせたな」
ぶっきらぼうながら、二度も猟兵たちに救われたスイセイは彼なりの礼の言葉を述べて。
そんな彼を伴って、一同は皇国へと帰還する。
●
「全く、我ら臣下一同どれほど殿下の御身を案じ申し上げたと……ッ!!」
「………………」
皇国に戻ればすぐに復興大臣クォーツに出迎えられ、スイセイは彼女の大目玉を食らうこととなっていた。
とは言え彼は腕を組み、つーんとそっぽを向いているが。罪悪感はあっても、まだ皇家に心を許したわけではないらしい。
「……まぁ、今回は無事でしたのでよしといたします。猟兵の皆様方も、殿下をお救いいただき、心よりお礼申し上げます」
猟兵たちのクロムキャバリアでの活動については、クォーツには改めてグリモア猟兵から説明してくれていたらしい。
まずはスイセイ救出の謝礼を受け取り、次の依頼について話を促す。
「はい。皆様にはスイセイ様のスターナイト操縦訓練にお付き合いいただきたいのです」
勿論、救出とは別に謝礼も追加で支払うとクォーツは言う。
改めてクォーツから詳しい話を聞くところによると、スイセイはスターナイトの操縦適性が極めて高いことが(以前に無理矢理受けさせた)検査で判明している。しかし、今の彼の潜在能力では、スターナイトの操縦は愚か、動かすことすら叶わないだろうと言う。
「スターナイトはスーパーロボットではありますが、サイキックキャバリアに近い一面を兼ね備えています。その性能を最大限に引き出すためには『自分ではない他者のための怒り』が必要になりますが……操縦自体に必要なのは『卓越した精神力』なのです」
つまり、クォーツの見立てによると、今のスイセイにはそれがない。
その点は本人にもある程度自覚があるのか、不満そうにしながらもスイセイから反論が述べられることはなかった。
「皆様にはスイセイ様がスターナイトを操縦するための精神力を身につけられるよう、訓練のサポートや提案をしていただきたいのです」
訓練のための運動場やシミュレーター室、座学のための書庫に至るまで訓練メニューには事欠かないようだ。
だが、皇国の固定概念に囚われない、猟兵独自のメニューの提案も、きっとスイセイの力になるだろうと。
二度もスイセイを救った実績から、クォーツは猟兵たちの能力を高く買っているようだ。
「スイセイ様も、ご理解いただけますね」
クォーツは有無を言わせぬ勢いではあったが。
「……解ったよ」
それでも、スイセイも、間はあったが素直に頷いた。渋々、といった風情ではなかったのだ。クォーツが、僅かにその銀の目を丸くする。
「正直、皇家のことはまだ信用出来ねぇし、何度でも言うが皇子になるつもりもねぇ。けど、意地張ってたって俺には皇家の血が流れてることは確かで、そのせいであいつらが、庭王国とのゴタゴタに巻き込まれるって言うなら」
スイセイは睨むように、しかし確かにその金の双眸をクォーツへと向けて。
「『スターナイトの|乗り手《パイロット》』になら、なってやるぜ!」
その言葉に、クォーツは何も言わなかったが――徐に、少しだけ嬉しそうに、その表情を和らげた。
●
――皇族専用の格納庫。
スターナイトは、夢見るように眠っていた。
大柄な巨躯に無骨で簡素なフォルム、山吹色と黒で統一され、胸に掲げるのは輝く大きな星のシグナル。
お世辞にも最新鋭の機体とは言えず、寧ろレトロな出で立ちだが、その風格は証明の落ちた空間で機能を停止した今もなお威風堂々たるや。
星と鐡の騎士は静かに、目覚めの時を待っている。
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
●
(「……ふむ」)
シミュレーター室、隠し部屋。
そこに、スターナイトに寄せたシミュレーターがあると、スイセイと共に案内されたアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。
彼もまたキャバリアを駆る身だ。その見立てからして、スターナイトは動かせてさえしまえば、操縦は簡単な部類であると察した。
(「その動かすところが難所のようだが」)
アスとクォーツが見守る中、シミュレーターを操作し、敵機を攻撃していくスイセイ。
そんな中、アスはスターナイトの特徴を分析していた。
(「攻撃手段は近接、威力は弱いが消耗が少ないものと、威力は高いが消耗の大きいものの二種か……後は広範囲に雷撃を伴う|光線《レーザー》を合わせて三種……余り多くはないな」)
クォーツによると、スターナイトは強力ではあるが型が古く、多機能ではないと言う。
けれど、それはスイセイにとっては逆に好都合なのではないかとアスは考えていた。
(「スターナイトに限らずキャバリアの操縦経験がないのであれば、戦術が多岐に渡るといざという時に混乱してしまいかねない」)
そのため、覚えることが少ない方がよいだろうと判断したのだ。
だから、アドバイスも最低限でいいだろう。元々、スイセイ自身も義理堅くはあるが、基本的に人と余り群れないタイプであるようだし。
「基本的に、接近されるまでは光線で迎撃。接近されたら、強力な近接攻撃を主体に。消耗が激しくなってくれば、低威力のものに切り替えて手数で押し込みつつ、持ち直すのがいいだろう」
「消耗具合か……」
「シミュレーターでは精神力を消費する必要がないから、今はピンと来ないかも知れないが……余り高威力の攻撃一辺倒になりすぎない方がいいということだ」
見たところこのスイセイという少年、地頭は悪くなさそうだ。後は実践でも覚えていくだろう。
スイセイの撃墜ペースが遅くなった。その代わり、精神力の代わりに削れていく画面下部のゲージも緩やかになってゆく。
大丈夫そうだなと、アスは頷いた。
成功
🔵🔵🔴
高吉・政斗
■訓練項目思案中
精神力……精神力?…スパロボとサイキックか…
そっくりだな?この手の機体…星騎士?ん!(ピコーン☆…っと閃く)
あ、キャバリアを…そうアイツ仕様に…うん彼に是非…えぇ1機だけでも…
あぁそう「X系兵装」もあるだけ……そうそうオネガイシマス…
■実戦
(WRF起動…体高は「大」)
(外部出力の音声で…)
あ、あ、…俺の住む世界に似ているこの世界、唯一違うのは文明LV云々よりも「各世界の文明に触れえる機会がココは比較的大きい事」
つまりは単純に「使う事に慣れろ!」って事だ気にすんな、四六時中互いに手合わせして星騎士のる…コレを繰り返すぞソレ!構えろ…ん?適当じゃねぇって安心しろ…俺も初めてだ。
●
高吉・政斗(戦闘可変式歩行車持ちの・f26786)もまた、スイセイに施す訓練の項目について思案していた。
(「スパロボとサイキックか……」)
スターナイトの場合、超能力の前段階である『精神力』で起動のトリガーを引き、その力を『義憤』によって増強するという仕組みなのだろう。
(「しかし……そっくりだな? この手の機体……」)
政斗は、そんなスターナイトに何らかの既視感を覚えたようだ。
(「スターナイト……星騎士? ん!」)
その時。
ピコーン、と。何やら閃いた政斗。
善は急げ、と言わんばかりに政斗はすぐさま準備を始めた。キャバリアを一機と『X系兵装』をあるだけ仕入れ、そして――、
●
「………………何だこれ?」
スイセイは、屋外の演習スペースでキャバリアに乗っていた。
但し、スターナイトではない。今の彼でも動かせる、スイセイ仕様に改造を加えて貰った、また別のキャバリアである。
その眼前には、高機動可変戦闘形態に変形したFECTが立ちはだかっていた。
因みに、政斗はFECTと融合する形になっているため完全拘束状態だが、意思の疎通と機体の操縦に支障はない。
(「体高は『大』になってるな、よしよし。あとは外部出力の音声で……」)
声がスイセイにも聞こえるよう調整し。
あ、あ、と実際の響きを確認してから。
「聞こえるか? 早速だが始めていくぞ。……俺の住む世界に似ているこの世界、唯一違うのは文明Lv云々よりも『各世界の文明に触れえる機会がココは比較的大きい事』だ」
「はぁ」
現にFECTもあくまで可変式の戦車であり、キャバリアではない。それでも、キャバリアと互角以上に戦うことが可能だ。
キャバリアとぶつかり合ったところで、そう簡単に押し負けるほどヤワじゃない――現に誘拐犯との戦いで、それを証明している。
「つまりは単純に『使う事に慣れろ!』って事だ!」
「は!?」
俺が相手になってやる! とやる気の政斗に面食らうスイセイ。
「気にすんな、四六時中互いに手合わせして星騎士のる……コレを繰り返すぞ!」
ソレ、構えろ! と|政斗《FECT》自身も兵装を構えるが。
「いや大雑把過ぎねぇか!?」
「ん? 適当じゃねぇって安心しろ……俺も初めてだ」
「余計に不安しかねぇ!!」
しかし、政斗から仕掛ければスイセイも応じないわけに行かず。
何だかんだで、政斗流実践訓練でみっちり鍛えることになったのだった。
大成功
🔵🔵🔵