銀河帝国攻略戦㉔~光の槍を折れ
●光の槍
それはまるで、鋭い槍のような物体だった。
あるいは、もしもそれを根本から見上げれたなら、塔のようだと表現するかもしれない。
しかしその正体とは、その構造物一本をまるまま砲門とする、対艦隊用の兵器であった。
帝国旗艦『インペリウム』のその外郭。宇宙空間へと向けられた兵器の切っ先は、迫りつつある解放軍の艦隊を捉えていた。
白磁器のような潔白のカラーリングに無数に伸びる亀裂のような模様から、ネオンの輝きを発する事によってエネルギー供給のほどを見る者に伝える。
そこから一条の光線が放たれる事によって、解放軍の艦隊に深い傷跡が刻まれるのである。
まるで、威圧するかのように静かに、ネオンの輝きは増し続けていく。
●へし折れ
グリモアベースに映る、対艦兵器の全貌を背に、グリモア猟兵は一度、言葉をまとめる。
「よーするに、でっかいビーム兵器やねんて」
ふよふよと浮かぶ水球に体を浮かせた結晶・アオイ(アクアマリンスイマー・f13387)は、そんな風に言い切ると、集う猟兵たちへと視線を送った。
「そら、解放軍の人らの戦艦吹っ飛ばすためのもんやから。でっかいのも当たり前やねんけど……」
アオイの言葉曰く、その大きさはおよそ20mほど。ビルなどの建造物で例えるなら、約7階立てほどの全高を誇る。
そんな、その高さをイメージする猟兵たちに、付け加えるように。
「足元。ようは近くやね。は、攻撃できへんみたいやねんよ。やから近づいて、皆で攻撃したら、壊せるかもしれんって」
アオイの言葉は続く。当然、だからといって、破壊は容易ではないと。
「代わりに、近くを守る敵さんもぎょうさんおるんやけどな。狙いは、対艦兵器の破壊やから、無理して戦わんでもええんやけど」
時には戦闘も止むを得ないだろう。もちろん最良は、敵の攻撃を全て避け、持ち得る攻撃手段によって対艦兵器に最大限のダメージを与える事である。
宇宙空間という無重力の世界の中で、いかに動けるか。誰しもがアオイのように、サイコキネシスを持つわけではない。が、それゆえに敵の対応にも変化は現れる。
隙に繋がる可能性も含めて。
「そやから。鼻っ柱、へし折ったってね。近くまではウチが送るから。あとは根性、やで!」
そうして説明を終えたアオイは、水球から出した拳をグッと突き上げた。
一兎
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●はじめに
こんにちは、もしくはこんばんは。一兎と言います。
こちら、銀河帝国攻略戦の一端、帝国旗艦『インペリウム』に備わる、対艦兵器の破壊を目的とした戦いとなります。
以下に概要を。
●概要
目的はインペリウムの備える対艦兵器の破壊となっております。
名前は定めておりませんが、便宜上『槍』『光の槍』『兵器』などと扱ってくだされば、これの事だと受け止めます。
オープニングでも触れましたが、ダメージを与える、破壊あるいは無力化ができれば良いので。兵器を守る敵と無理に戦闘を行う必要はありません。
むしろ、戦闘を行うほどダメージは落ちるでしょう。
いかにして、敵を攻撃を避け接近するか(ないし自身の射程距離に至るか)。
どのように兵器を攻撃するか。が要点になると思われます。
また、戦場は宇宙空間になります。念頭にお入れください。
兵器を守る敵は、フラグメントの通りに。
以上それでは、皆さまからのプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『クローンライダー』
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POW : スペーススタンピード
単純で重い【宇宙バイクによる超加速突撃】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : インペリアルライド
自身が装備する【帝国製宇宙バイク】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : サイキックバリアモード
対象の攻撃を軽減する【サイキックバリアモード】に変身しつつ、【宇宙バイク搭載の機銃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
如月・アストレア
【SPD】
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん!くりむちゃん! からの、デストロイド☆ジェノサイダー!」
CMF(クリムゾンフレーム)を呼び出して騎乗からの6.5Mの人型に変形。
そして亜空間から対『艦隊』用超荷電粒子砲を取り出して構える、というか横の銃座に乗り込む。
「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ♥」
対艦隊用超荷電粒子砲が護衛ごとインペリウム対艦兵装群をなぎ払う!
㉔の戦場全参加で全部ぶっ飛ばすぞー☆
【吹き飛ばし】
ダビング・レコーズ
空間戦闘に対応する為SF-2エウロスに騎乗
敵防衛網を突破し破壊目標への攻撃を行います
既に迎撃体勢を整えているであろう敵護衛機群に対してメガ・ガトリングカノンの掃射を実行
防御陣形を崩しそこを突破点とします
追撃は機動力と回避性能で振り切りますが、接近を強行する敵機はプラズマブレードを使用したユーベルコードにて排除
減速しないまま最優先破壊目標への到達を最優先とします
敵大型ビーム兵器に接近成功後は再度ユーベルコードによる攻撃を実行
構造維持に必要と思われる支柱類ないし外装を切断
機能を無力化させます
●至る道
暗黒の宇宙空間に浮かぶ白亜の超質量物。
転移を果たした猟兵たちを迎えたのは、そのような超質量の、まるで城壁のような外郭部と、そこに備えられた無数の対艦兵装群。
そして、それら対艦兵装を守ろうとする敵兵の群れ、であった。
「どけどけ☆ー! 道を開けないと、くりむちゃんでぺしゃんこにしちゃうぞー!」
「敵戦力、グループAからDの沈黙を確認。敵防衛網の形成率90%」
ウォーマシン、スペースライダー、小型スペースシップ。
雑多に構成された敵勢の中の一端。
クローン兵を乗せた宇宙バイクの群れに、白銀のウォーマシンと真っ赤なスペースノイドの少女が、立ち向かっていた。
「突破可能域までの予想値、残り15%」
その身に備えた機関砲から弾を撒き散らし、白銀のウォーマシン、ダビング・レコーズ(RS01・f12341)の告げる状況報告が、戦場を巡る。
「よって、現状における強行突破成功確率……」
彼が絶えず捉え続ける目標は、分厚い防衛陣形の層を形作る、クローン兵たちの向こう。『インペリウム』の備える対艦兵装の一本、光の槍にあった。
「……10%未満」
しかし、ダビングの思考が弾き出す計算結果は、勝負を仕掛けるには、低い数値を叩きだす。
既に、この宙域における戦火が開いてから、しばらくの時間が経過している。
それを踏まえた上でのこの計算結果は、いささか遅れていると言わざると得ないものであっただろう。
何より。
「敵対艦兵装、予想充電率65%」
その兵装の巨大さゆえに、遠方からの目視でもわかる。
エネルギーの供給率を表しているのだろう明滅する外部の光源がまるで、猟兵たちを煽っているかのように、段々と強く。着実に明るく、その輝きを増しているのである。
もしも、そのエネルギーが放たれる時が来たならば、その時は、解放軍の艦が沈められる時を意味している。
「何か、決定打を……」
状況の進展。
一刻を争う状況であるがゆえに、停滞だけは避けるべきだと、ダビングが口にした時。
「ふっふーん♪ それじゃ、アストレアちゃんの出番、だねっ☆」
真っ赤なスペースノイドの少女、如月・アストレア(クイック ビー クィーン・f13847)が声を挙げた。
同時に、彼女の駆る人型戦闘機が、敵と距離を取るようにバーニアを噴かせる。
人の身でありながらも、彼女のシルエットはダビングのそれを凌ぐものだった。
それもそのはずである。アストレアの身に着ける人型戦闘機、クリムゾンフレームは、戦闘機とは名ばかりで全高はおよそ6m半。実に、ウォーマシンであるダビングの倍の大きさを持つのだから。
「いっくよー♪ 亜空間転送システム、起動!」
その戦闘宙域において、最も巨大な姿を持つアストレアは、それでも足りないとばかりに、クリムゾンフレームを腕部をかざした。
すると。
「かもーん! くりむちゃんうぃーず、デストロイド☆ジェノサイダー!」
腕先が亜空間を割き、6mを越えるクリムゾンフレームをさらに超える、巨大な兵装を呼び出してみせる。
もちろん、光の槍ほどではない。しかし、光の槍にも負けず劣らずといった、砲座を備えたソレは、間違いなく戦艦を撃ち落す事を想定した物体であろう。
アストレアの言葉通りであるなら、その名はデストロイド・ジェノサイダー。
二重に破壊を刻む名を持つソレは、まさに状況を進展させる一手でもあった。
「3、2、1のカウントはなし。銀河の果てまで、吹っ飛んじゃえー☆彡」
引き金となるアームレバーを握る手とは逆の手で、握り拳を突き出し。
何の躊躇もなく、デストロイド・ジェノサイダーの砲口が光を放つ。
狙いは、『インペリウム』に備わる対艦兵装に向け、真っすぐと。しかし、その巨大さゆえに、射線に並ぶ敵勢は巻き込まれていく。
「これなら!」
半ば規格外と言えるアストレアの一撃に、ダビングも動き出した。
進む道は、デストロイド・ジェノサイダーが作り出した、敵防衛網の『穴』。
「強行突破成功率……60%!」
それでも計算式は100%に満たない。しかし、決して賭けだけではない、勝負に出れる数値を叩きだす。
だからダビングは勝負に出た。
「当機と同宙域に滞在する猟兵へ。これより強行突破を行います。続ける者は、続きなさい!」
敵の戦力は、いくら倒そうとすぐに穴を埋められるほどの兵力を持つ。ゆえに、一切の戦闘を避け、光の槍に至れる可能性のあるその一瞬を逃すまいと。
ダビングの声が聞こえたのだろう。その背に、動き出す者の気配を感じて。ダビングもまた、その身に備えるバーニアの出力を上げる。
「リアクターユニット稼働。エネルギー供給を推進部に直結。超高速機動モード……ON!」
瞬間だった。
急加速を得たダビングの身体が、彗星のように宇宙を疾っていく。
「道を、開く!」
彼の進路にいたクローンライダーは、災難であっただろう。
認識する間もなく、自らの駆る宇宙バイクを、切断されていたのだから。
クローン兵たちが悲鳴を上げる頃には既に、ダビングの姿は後方の彼方へと。
まるで、自らの跡に道を築こうとするかの如く。
こうして生まれた一瞬の進展は、数人の猟兵たちを『インペリウム』の外郭へと送り出した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
カリオン・リヴィエール
敵の様子を見るに、攻撃の直撃は避けるのが賢そうですね。ただ、瞬間移動や、返り討ちは難しそうですから、ユーベルコードを利用して、移動を先回りします。他の猟兵方も必要なら状況のフォローを行います。
共闘、アドリブ歓迎します!
セシル・バーナード
この艦、ハリネズミだね。小惑星を宇宙船に改造してあるの?
まあ、危ないものは壊しておかないと。
近づくまでは敵に気付かれないようにしないとね。
歩哨に見つかったら、催眠術で僅かな時間でも隙を作って、殺傷力の高い人に瞬殺してもらおう。
目当てのものが見えてきたけど、防衛戦力がうじゃうじゃいるなぁ。
ぼくが囮になって引きつけるから、皆はあの槍を壊して。
「歌唱」でフォックスファイアを制御しつつ「範囲攻撃」。
さあ、鬼さんこちら!
敵の攻撃はできるだけ「見切り」、「時間稼ぎ」をしながら槍の元から敵群を引き離すように後退していく。
槍が崩壊したら、もう用はない。フォックスファイアを全力でばらまいて、ぼくもさっさと撤収。
●戦場の歌
「皆、随分と派手に盛ってるね」
一瞬の進展の後。
その一部始終を目にしていた妖狐の少年、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)は、宙域を漂うデブリの一つの上に佇み、そんな風に口にしていた。
「まあ、おかげで身を隠す必要もなくて済んだけど」
そのまま猟兵たちの姿を追うように動かしていた首を、右から左へ。
首だけを動かすというよりは、体ごと振り返るように。
「さて、随分と残りものが多いね?」
その視線の先に捉えるのは、強行突破を為した猟兵たちに必死に追いかけようとする、クローンライダーの群れだった。
「まるで金魚のフンみたいだ。烏合の衆って、ああいうのを言うんだろうね」
セシルの皮肉を込めた呟きが聞こえていれば、クローンたちの銃口は向けられたのだろうが、生憎と防衛網を突破された彼らには、セシルの潜むデブリに注意を向ける余裕などないようで。
「けど、それじゃ困るんだ。ね?」
状況を一つ一つ摘み取るセシルの視線は今度は、隣に佇む女性へと。
視線を送られたカリオン・リヴィエール(石を愛す者・f13723)は、その言葉に頷くように。その視線を真っすぐに、クローン兵たちへと向ける。
「その通りだ。でなければ。私達がここに来た意味がなくなる」
間もなく、彼らはセシルとカリオンの潜むデブリ帯を過ぎていく。
そうなる前に。
「それじゃ、デュエットを始めようか」
「あぁ!」
二人の口は、唄を紡ぎ始める。
力強さがありながらも女性的な、包み込むような温もりを帯びた歌声はカリオンのもの。
デブリを震わせるその歌声は、奇跡を呼ぶ。
また、少年が発するものでありながらも、大人が甘やかすような博愛を潜めた歌声は、セシルのものだろう。
時に気まぐれに、時に一点に注ぐように、形を柔軟に変えていく歌声は、焔を呼ぶ。
『な、どうして、宇宙に炎がっ!?』
『避けっ、避けられないっ?! うわぁぁああ!!』
次々と挙がり始める、クローン兵たちの悲鳴は、二人の歌声の前では不協和音でしかなかった。
セシルの呼んだ焔は、宇宙バイクを走らせるクローンたちの進路を遮るように、無数に浮かんでは、彼らの身を焦がしていく。
例え、宇宙バイクの軌道を逸らそうと、結果は変わる事はない。
「カリオンの歌を聴いてると、敵の動きが見えるみたいだ」
「ああ、ここのデブリが。鉱物たちが教えてくれるんだ」
デュエットの合間に差し込まれる、何気ないやりとり。
その力の在処を、躊躇いなく口にするカリオンは、デブリと語り合うように、その歌声を拡げていく。
石が教えてくれる。一見して、途方もない話である。
しかも、ここは無限の暗黒が広がる宇宙、命無き空間の代表であるそこを漂うデブリに、まるで命を見出したかのような言葉は本来、首を傾げざるを得ないものであったろう。
「へぇ、そっか」
しかしセシルは、否定はせず。かといって強い興味を示したようでもなく。ただ頷き返した。
全てに寛容で、全てを愛する。そんな気質を持つ彼だからこそ、そのように返したのかもしれない。
だからこそ、二人の歌は不協和音とならなかったのかもしれない。
『いたぞっ、敵だ!』
戦場の中でありながらも、どこか優雅な時間の流れるデブリの中のやりとりは、二人の姿を捉えた敵兵の発した声によって、遮られる事になる。
「見つかったね。人の逢瀬を邪魔するなんて、野暮な奴らだ」
「ああ、そうかもしれないな。……右から来るぞ」
その身の幼さを感じさせないセシルの物言いに、どこか冗談めいたもの感じたカリオンの苦笑が重なる。
その数瞬をおいて、二人はデブリから飛び退いた。と、途端に宇宙バイクから放たれたのだろう機銃の雨が、二人のいたデブリを打ち砕く。
カリオンはユーベルコードによって既にこの結果を知っていた。そして次に打つべき手が何であるかも。
「セシル、上だ」
新たなデブリの上に降り立つ二人は、また新たな唄を紡ぐ。
すると、焔が生まれ、二人の頭上に位置する方向から迫る宇宙バイクの一台を焼き焦がす。
「これじゃ、デュエットどころじゃないね」
言いながらも、どこか狙い通りといった表情を見せるセシル。
「それでは、演目を変えるとしようか」
応じるカリオンの声は、どこか楽しげな響きを以て。
あるいは、デブリという鉱物に囲まれた空間が、彼女に力を呼んでいるのかもしれない。
二人は、二人の存在に気づいた宇宙バイクに囲まれていながらも、その場違いな空気を壊す事なく。新たな演目を始める。
「僕らなんかにかまってていいの? なんて、聞こえてるわけないか」
セシルとカリオン、二人の目的も当然、光の槍の破壊にある。それを考えた上で、セシルが選んだのは、囮となって時間を稼ぐという道だった。
「ならばせいぜい、踊り明かすとしよう。光の槍が折れるまでな」
付き添うカリオンもまた、内から湧き出す音色に従い、新たなステップを刻み始める。
宣告の通り、光の槍が折れるまで。
まるでクローンライダーたちを惹きつけるように、二人の歌声が紡がていく。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ユーリ・ヴォルフ
アドリブ共闘大歓迎です
無重力とは厄介だな
何か乗り物でもあれば良いのかもしれないが…
無ければ無いで何とかするまで!
槍で壁を突き【吹き飛ばし】で後方を蹴り速力を上げ
大きくジャンプし天井や壁を活用しながら立体的に走り敵を避ける
可能であれば【ドラゴニアン・チェイン】を敵へと放ち
引きずり降ろしてバイクを奪いたいが流石に難しいだろうか?
上記の方法に加え【ドラゴニアン・チェイン】を
遠い遠方の壁に放ち手繰り寄せ距離を詰め辿り着いたら
【属性攻撃】で炎霆(槍・アイテム)を具現化し
渾身の力で『光の槍』を攻撃
既に猟兵によるダメージの痕跡があるならば狙いを付けて脆い部分を突く
砕け散れ!
ユキ・パンザマスト
あのデカブツを皆で圧し折る。いいですねえ、分かりやすいや。
宇宙でのドンパチは何気初めてなんで、わくわくしちゃうっすわぁ。
やることもシンプルにいきましょっか! 最速で突っ切る!
逢魔ヶ報の衝撃波でブーストを掛けて、ダッシュで兵器の足元に、藪椿の刻印で捨て身の一撃、鎧無視攻撃を決めましょう!
ああその前に、周りの敵に邪魔されちゃ面倒ですからね。
事前にユキの端末から情報収集とハッキングで、敵の乗るバイクの機構に暗号作成で電子ロックを掛けちまって、動きの妨害をしましょうか。
ま、上手い事いかなかったら、そん時ぁそん時! 力づくで押し切るまでですがね!
さぁ、夜も朝もねえ宇宙ですが、夕焼け放送の時間です!
●炎もまた光成り
ウォーマシンの切り開いた道を、追従するように、あるいは競うように進む、二つの影があった。
「ほらほら、どうしたんですか? そんなじゃ、花火の時間に間に合わねぇっすよ?」
「うっ、ぐっ……これ以上はっ……!」
この世界に生きる種族のように、彼らに相応しい移動手段はない、はずである。本来は。
それでも編み出すのが猟兵という道を選んだ人の生き方というものなのだろうか。
宙を漂うデブリの一つに真紅の竜槍が突き立つ、と思うその瞬間、爆ぜる炎が槍の持ち主。ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)の身体を反対の方向へと、光の槍の方へと加速させる。
しかし加速の度。人体が持ち得るべきでない速度に達した体が、内蔵が揺さぶられ、吐き気を催す。
「っいや、まだだっ!」
こみ上げるモノを堪え、それでもなお光の槍を目指すユーリの姿に対して。
「アハハァッ! 兄さん、ヤワっすねぇ。ユキはもう、楽しくて仕方ねーですぜぇ!」
デブリに、戦いの中で生まれ出た鉄片に、『インペリウム』から剥がれた残骸に。次々とユーベルコードによる椿のホログラムを植え付けては、そこから発する衝撃波によって、自らの身を吹き飛ばし続ける、ユキ・パンザマスト(禍ツ時・f02035)。
彼女もまた、ユーリと同じように。いや、ユーリ以上に歪な軌道を描いているはずにも関わらず。その口ぶりは力強いもので。
「おーおーっ、こうして近くで見ると、デケェッすねぇ!」
むしろ、普段に比べて力強すぎる程のユキの言動は、彼女の内蔵器官にも異常をきたしていると報せるものであったのだが。
「ぅぷっ……!」
ユーリは、そのような余裕もなくした様子で。しかし、眼下に迫る巨大な対艦兵装の姿に、目を見開いた。
慣性の働かない宇宙空間で、その速度のままに迫る『インペリウム』の外郭は、瞬く間に視界を白く塗り替えていく。
景色の変化に、全身の血が沸き立つのを感じ、自らの得物に自然と力が入った。
「さぁさ、出てましたっすねぇ!」
気づけば、超質量を持つインペリウムの引力に身体が引かれ始めている。そんな事を思い至るユーリの前方に、ユキの言葉の意味を理解させるように。少数のクローンライダーたちが現れる。
「さすがに、根本の守りもゼロではない、か」
身体は厳禁にも、戦いの予感を前に。それまでの吐き気を拭い去っていった。
目的は、光の槍の破壊であるのにも関わらず。
「ヒャッホォ!!」
自嘲の思いをよぎらせるユーリをおいて、いち早くユキの身体が、クローンライダーへと迫る。
進行方向を真逆とする互いの姿は、瞬く間に零距離へ至り、瞬間。ユキはクローンライダーの宇宙バイクを蹴りつけ、その軌道を光の槍に向けた。
「テメェらにかまってる暇なんざ、ねぇんだよっ!」
そのままユキは汚い言葉を吐き捨てるとともに、ビルの壁面と見まごうばかりの光の槍の側面部に爪を立て、外周を螺旋を描くように駆け下りていく。
「よォしよし、ウォーマシンのダンナが見立てた弾痕、使わてもらうぜェ!!」
駆け下りながら、白椿のホログラムを、側面の各所に見られる弾痕に重ねるように植え付けていく。
これまでユキの身体を吹き飛ばしてきたこのホログラムは、念じれば一斉に衝撃波を放つものである。そしてそれは当然、植え付けられた発信源そのものにも衝撃を与える。
この痕を刻んだ者の見立てが正しければ、これらの痕は全て、この巨大兵装の弱点ともいうべき点であるはずなのだ。
それが重なるという事はつまり、意味するところは言うまでもないだろう。
(そうだな。俺たちの目的は……)
そんなユキの姿に、またも心中に自嘲を浮かべるユーリ。
「どうやら俺は、根っから戦う事が好き、らしい!」
そして吹っ切れたように、今度は言葉にして、叫ぶ。
「ハァッ!」
同時に、自らの波動を込めた掌を、向かいあうクローンライダーの一体に放つ。
「だからこの思い、全てぶつけさせてもらう!」
狙いは違わず、クローンライダーの騎乗する宇宙バイクへと。この速度の中、互いに攻撃を放てば、躱す事はまず不可能だろう。
「これを守るためにいるお前たちは、弾を打つ事はできまい」
この方法を思いついたのは、戦う者の心理を知るからこそか。
果たして、ユーリの放った波動は騎乗するクローン兵を衝撃によって吹き飛ばし、波動は鎖の形を伴い、ユーリと宇宙バイクを繋ぐ。
「あの子が駆け下りていったのなら、俺は……!」
繋がった波動の鎖をロープ代わりに、まるでターザンかのように弧を描いてユーリの身体もまた、光の槍の側面へと。
「駆け上がる!」
ユーリは手にしていた竜槍を手放すや、両手で握りしめた炎の大剣を、光の槍の側面部に突き刺した。刺したまま、駆け出した。
ユキとは真逆に、外周で螺旋を描いて駆け上がっていく。
ユキと同じように、弾痕に大剣の切っ先が重なれば、自らの炎を送り込む。
「ウオオオオオォォ!!」
「ヒャッハハハハァッ!!」
光の槍の上端と下端で、二人の雄叫びが呼応する。
「これで、最後だっ」
槍の先端部に至ったユーリの身が、再び宇宙空間に飛び出す。
飛び出すや、傍に漂う鉄片に大剣の切っ先を突き立て、反動で自らの軌道を再びの光の槍の、先端部へと反転させる。
反転して、自らの纏う炎を全て、片腕一つに収束させる。
生まれ出るのは、炎のみで構成される一本の槍。
その時、ユキの体もまた、駆け下りた先。『インペリウム』の外郭である真っ白な地に降り立っていた。
「白椿の総数は六六六っと。自己記録かもなァ?」
真っ白な地に相応しくない真っ黒い笑みを浮かべて、ユキは光の槍を見上げる。その視界に、一本の槍が降ってくるの見えた。
「っとォ、危ねぇ!? ……って、こいつァさっきの兄さんが持ってた」
思わず受け止め見れば、それはユーリが先ほど手放した真紅の竜槍で。
それを見てとったユキの口の端が、ニヤリと弧を描いた。
「面白ェぜ、兄さん。その誘い、乗ったァ!!」
叫びを挙げるや、その場から駆け出す。光の槍の根本へと真っすぐに。
そして。
「「これで、砕け散れ!!」」
知ってか知らずか。先端と根本、それぞれにいた二人の放つ渾身の一撃は、同じ叫びと共に、叩き込まれた。
二人の刺した槍から放たれる炎の力は、瞬く間に光の槍の内部を満たし。ユキの植え付けた六六六輪の白椿から、一斉に衝撃波が放たれる。
「おーおー、盛大に火を噴いてらァ」
至る所に生まれた亀裂から噴き出る炎を呑気に眺めるユキ。
「これは、逃げられないですかね?」
落ち着きを得たのか、先ほどまでの荒っぽい言動こそなりを潜めたが、何気に危ない事をケラケラと笑い飛ばしながら言う。そこに。
「置いていくわけないだろう」
先ほど鎖で結びつけたものだろう、宇宙バイクに乗ったユーリが舞い降りた。
「槍も置いていきましたですもんね。ほら、ハイタッチしましょう。破壊記念に」
皮肉を込めながらも、ユキは片手をあげる。
「普段はしない。ただ、破壊記念か。……物騒だな」
妙な表現に、眉をひそめながらも、ユーリも応えるように片手をあげる。
そうして二人は、互いの手を打ちあい、帰路を共にした。
大成功
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