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【戦闘β版】イントルーダー

#コイネガウ #コイネガウβ版 #戦闘β版 #プレイング受付は12月1日の8:31から開始いたします。

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#コイネガウ
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#プレイング受付は12月1日の8:31から開始いたします。


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 深夜の|【希島】《こいねがいじま》・工業地区に警報がけたたましく響き渡ると、無数のサーチライトが獲物を捉えようと地を照らす。

「まだここから出た形跡はない、見つけ出して捕らえるんだ」
 ずらりと並んだモニターの前で、制服姿の男が冷静――を装って――指示を出す。
(なんてこった。システムメンテの隙を突かれるとはな)

 世界でも卓越した技術を持つ【希島】では、その秘密を狙ったスパイへの備えは当然のことであったが、どんなに優れたシステムといえど、メンテナンスの間はその監視力も落ちる。今回のデータ強奪は、それを狙って行われたものであった。

(しかし、重要機密であるメンテナンスの日時を知っているということは、かなり入念に計画されていたということか)
 制服姿の男が帽子をとり、頭をがりがりと掻いた。

 ただ、データのコピーは許してしまったものの、ぎりぎりでアラートが発せられたため、データの島外への持ち出しは阻止できた。
 機密情報の漏洩、そしてデータのコピーまで許してしまったことは後々の問題になるだろうが、まずはスパイを捕らえ、データを取り戻さなければならない。
 制服姿の男が無数のモニター全てを射貫くように睨みつけていると、

「侵入者をC-3区画で発見。どうやら建物の中に逃げ込んだようです」
「C-3だと!?」
 オペレーターからの報告に、制服姿の男は今度こそ動揺を隠さず叫んだ。そしてその動揺を具現化したモノが、建物の壁を吹き飛ばしてその姿を現す。
「熱源反応3、キャバリアタイプです! し、しかしこの機体は……登録情報がありません!」
 それはそうだろう。制服姿の男は思った。警備用という名目で開発されていた軍用キャバリアの試作機。結果によっては闇に葬られる類いのシロモノだ。機体情報など登録などされているはずがない。
 しかも熱源が3。つまりキャバリアが3機ということは、試作され、実験に関わっていた全機が奪われたことになる。

 男はもういちど頭をがりがりと掻いてからその手を止めると、意を決したように命令を下した。

「待機中の|【希人】《ホープ》と、それと|【異界人】《猟兵》にも応援要請を出せ。応援が来るまでキャバリアを区画から出すなよ」


「そんなわけで、緊急要請だよ」
 工業地区警備隊との連絡役を任された支倉・錫華(Gambenero・f29951)が、端末を操作しながらモニターに情報を表示させていく。
 敵はキャバリアが3機。工業地区で試作されていたものだが秘匿扱いの機体なので、情報などはいっさいない。とのことだったのだが、そこは蛇の道は蛇。
 上層部からなんとか引き出した限りの情報によると、軍用を視野に入れた……というよりは軍用を主目的に開発され、量産を目指していたキャバリアで、その装甲や火力は従来の量産型とは比べものにはならないとのこと。
 そしてなにより、この機体の目玉らしい『人工知能による半自動戦闘システム』により、操縦者は必要最小限の命令を下すだけで、とてつもない戦闘力を発揮するらしい。

「作戦の目的は、敵キャバリアと操縦者の沈黙。
 警備隊の隊長さんがいうには、『ここまできたら完全に隠蔽することはできないだろうが、アレの島外への流出だけは、どんな手段を用いても阻止しなければならない』んだって」
 つまりは、機体の全損はおろかパイロットの生死も問わない、ということだ。

 どうやらあの機体には隠さなければならないなにかがあるらしく、それが公になることはなんとしても避けないといけないということらしい。
 使用武装も広域殲滅系を乱射するようなものでなければ、各々の判断に任せるということだ。

「ちょっと慌ただしい作戦だけど、動けるものは参加してほしい、ってことだよ」
 連絡役は引き受けるからみんな頑張ってね。そういうと錫華は手を振ってみんなを送り出すのだった。


すい

 当シナリオは『コイネガウ』の【β版】は連動シナリオで、PBWアライアンス『コイネガウ』のMSチーム9人による共催です。
【β版】とは、来年4月から始まる学園入学前の物語です。【旅団β版】、【色気β版】、【日常β版】、【戦闘β版】と其々の編が分かれていますが、何れも『コイネガウ』の希島を舞台にしたシナリオです。なお、各シナリオは内容が独立している為、重複参加に制限はありません。

 PBWアライアンスのシナリオですが、第六猟兵のキャラクターで通常のシナリオと変わらず参加できますのでお気軽にご参加いただけますと嬉しいです。


 PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細は以下でご確認をお願いします。
・公式サイト:https://koinegau.net
・公式総合旅団:https://tw6.jp/club?club_id=4737


 連絡役(第六猟兵でいうところのグリモア猟兵)として、第六猟兵の支倉・錫華が現場にいますが、今回は連絡役に徹しますので、なにか行動をすることはありません。


 シナリオにおける敵キャバリアのスペックなどは以下の通りです。

・名称【キャバリア・タイプX-6】×3機

・ホープコード
 POW : Vibration Knife
 両手に装備された、ジャマダハル型の超振動ブレードで攻撃してきます。
 
 SPD : fusillade Vulcan
 両肩に装備されたガトリング砲で攻撃してきます。

 WIZ : Delude Waves
 電子兵装と光学兵装で目くらましをかけてきます。
 
●プレイングについて
 プレイングは12月1日8:31から受付開始いたします。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

イラスト:YoNa

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

コニー・バクスター
●心情
「そ、そんなぁ……。まずいことになったね、錫華?
 よぉし☆ 希島を護る為、公認パイロットのコニーが出撃!」
動揺するコニーだが、量産型キャバリアに関する依頼の為、決意を改める。

●行動
「敵のキャバリアは、機動力も高そうで強そうだね……?」
BRRに搭乗して登場したコニーが友軍の遊撃手として参戦。

「だったら、コニーらしく、ヒット&アウェイの奇襲で行くよ☆」
EPミラージュユニット(Code:BRR)で敵機を撹乱するよ。
区画に散らばる障害物に隠れながら密かに接近して行く。
UC電光石火で、敵機を奇襲しては直後に隠れるを繰り返す。
武器はRSパルスマシンガン(Code:BRR)を使用。

アドリブ・連携歓迎。




「そ、そんなぁ……。まずいことになったね、錫華?」
 連絡役の支倉錫華に話しかけながら、ブリーフィングルームに映し出された中継の映像を見て、コニー・バクスター(ガンスリンガー・ラビット・ガール・f36434)がトレードマークの金色のツインテールを揺らし、すこし不安げにモニターを見つめた。

 緑の瞳が見つめる先には、破壊された建物を背にして立つ3体のキャバリア。シルエットから見ると3体とも同型のようだが、コニーの記憶にも錫華の記憶にも……いや、それどころか【|希島《こいねがいじま》】のデータバンクにも登録されていない。
 だからこその応援要請であり、『手段を問わない』沈静化という作戦なのだろう。

 そして、相手のデータが解らないということに不安はあるものの【希島】で開発されていた量産型の機体ということは、公認パイロットであるコニーとしては、自分が乗る可能性もあった機体だ。こんな事件の後では開発がどうなるか解らないが、島外に出られる前に取り押さえないわけにはいかない。
「よぉし☆ 【|希島《こいねがいじま》】を護る為、公認パイロットのコニーが出撃だよ!」
 性能もちょっと見ておきたいという気持ちも手伝って、コニーは自らの愛機に向かっていった。


「応援はまだか? もう保たんぞ」
 いままで指示を飛ばしていた無線機のスイッチを切ってから呟くと、現場指揮官は指揮車の中から3体のキャバリアを睨み付けた。

 希島・工業地区C-3区画。

 強奪され、起動された3体のキャバリアは、警備隊の攻撃で足止めされてはいたが、たいしたダメージを負っているようには見えず、現場指揮官からは、むしろ突破のタイミングを計っているように思えた。
 なぜすぐに離脱しないのか、その意図はわからないが、このままではおそらく相手が体勢を整えたなら容易く突破されてしまうだろう。

 半ば諦め、現場指揮官がシートに身体を預けたそのとき、闇を裂いて電磁徹甲弾の雨が、敵キャバリアに降りそそいだ。
 敵キャバリアは、警備隊のそれとは明らかに違う火力の着弾をステップと装甲で受けきると、発射点を探してモノアイを輝かせる。

「敵のキャバリアは、機動力も高そうで強そうだね……?」
 警備隊への援護のための射撃だったとはいえ、不意を打ったはずの【RSパルスマシンガン(Code:BRR)】の斉射を難なく凌がれ、【|ブラック・ラピッド・ラビット《Code:BRR》】の操縦桿を握るコニーの手に力がこもる。
 さすがに軍事用との噂もあるほどの新型量産機。一筋縄ではいかないようだった。

「だったら、コニーらしく、ヒット&アウェイの奇襲で行くよ☆」
【EPミラージュユニット(Code:BRR)】の起動準備を整えたコニーの瞳がエメラルドの輝きを放つと、それに応えるように【|ブラック・ラピッド・ラビット《Code:BRR》】の姿が霞のようにブレる。

 足場の悪さを逆に味方につけながら、工業地区の建物の間を跳ぶように駆け抜けると、予想できない角度から【RSパルスマシンガン(Code:BRR)】を撃ち込み、四足特有の強靱な四肢の機動力で急速離脱。

 3対1の数の差もコニーの操縦技術と【|ブラック・ラピッド・ラビット《Code:BRR》】の機動力で補いながら、突破の隙をうかがう3体のキャバリアにヒットアンドアウェイを繰り返し、コニーは味方の応援がくるまでの時間をしっかりと稼いでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
面白そうな物がありそうだから来てみたけれど、秘匿扱いの試験機ね…
1機位行方不明になってもバレないわよね?
ん?私何か言ったかしら?

さて…島外流出は絶対防げって注文だったわね
おいでなさい、ゼルグ・ジール
この巨体で通せんぼするのよ
動くより耐える戦い方で行くわ
ガトリングはプロテクトフィールドで防ぎましょう
万が一抜かれても装甲厚もあるから大丈夫よ

機体は壊してもOKなのよね?
じゃあギガブラスターキャノン…はここじゃ流石に不味いわね
有線式クローアームで捕まえるわ
こういう相手には小回りの効く武器の方がお似合いだものね
捕まえた後はちょっと握り潰すなりビームソードで一刺しするなり…原形が残る程度に壊しましょうか


セレーネ・ジルコニウム
「あれがターゲットのキャバリアですか。
オブリビオンマシンではないようですが……」
『セレーネよ、今回は本業の傭兵稼業じゃ。
赤字を補填せんといかんから、しっかり働くのじゃぞ』
「うぐ、わかってますよ、ミスランディア。
スティンガーⅡ、光学迷彩解除です」

希島に雇われた傭兵として、お仕事開始です。
機体の光学迷彩を解き、キャバリアの相手をしましょう。

「ミスランディア、肩部ミサイル発射してください!」

火器管制をAIのミスランディアに任せ、私はキャバリアブレードを構えたスティンガーを突撃させます。

「大人しく投降してください。
さもなくば強引に制圧します」

背後関係を知りたいので可能なら生かして捕らえましょう。




 煙の向こうで佇む3機のキャバリアのコックピット中で、実行犯達は焦れていた。
 ラボに潜入し、開発中の量産型キャバリアのデータと実機を奪取して本国へ帰還する。簡単な任務ではなかったが、それでも潜入までは順調だった。
 順調すぎたからだろうか、肝心のデータコピー時に油断が生じた。セキュリティのアップデートが予想以上に早かったのだ。結果、セキュリティに引っかかり、今に至っている。
 自分たちのミスとはいえ、本当ならばもうとっくに脱出できている時間である。しかし実際は、工場地域に足止めされたままだ。

 それでも警備隊程度の戦力ならば、この【タイプX-6】3機をもってすれば、難なく突破できるはずであった。しかし……。


「あれがターゲットのキャバリアですか。オブリビオンマシンではないようですが……」
 自らの愛機でありガルヴォルンの旗機でもある【スティンガーⅡ】のコックピットで、セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)がモニター越しに【タイプX-6】を見つめ呟いた。
 敵のキャバリアは立ち上る煙の中、警備隊の包囲と|猟兵《仲間》の出足を挫いていく攻撃に、いまだ足止めされ、包囲網の突破を果たせないでいる。

「なんとか間に合いましたね。このままタイミングを合わせて殲滅して……」
『セレーネよ、今回は本業の傭兵稼業じゃ。赤字を補填せんといかんから、しっかり働くのじゃぞ』
 言いかけたセレーネに|サポートAI《お目付役》であるミスランディアが釘を刺す。
「うぐ、わかってますよ、ミスランディア」
 モニターに映し出されたミスランディアの見事なまでのジト目に、セレーネの真っ赤な瞳が若干泳いだ。
 そんな動揺を気取られないようになのか、気合いを入れ直すためになのか、セレーネが自らに指揮をするように凜々しく指示を出す。
「スティンガーⅡ、光学迷彩解除です!」
 びしっと声に出して言いながら【バリアユニット】のスイッチを弾くように切ると、それまでなにもなかった空間から滲み出るように【スティンガーⅡ】が姿を現した。

 いきなり姿を現した白い機体に戸惑いながらも、1機の【タイプX-6】がセレーネに対応するべく【スティンガーⅡ】に向き直り、歩を進めようとしたそのタイミングを見極めて、
「ミスランディア、肩部ミサイル発射してください!」
 セレーネがミスランディアへと命を飛ばした。
(全弾発射ではない、じゃと!?)
 釘刺しが効いたのか、それともセレーネの成長なのか――。
 出足を止める完璧なタイミングよりも、全弾発射でないことにちょっと驚きながらも、ミスランディアは遅滞なく、そして正確にその命令を実行する。

 どんなに高性能な機体であっても、行動の瞬間には隙が生まれる。
 ほんのわずかなその隙を狙い【タイプX-6】の脚部へと向けて放たれたミサイルは、強引すぎるステップで躱され、飛び交う破片は装甲で弾かれ、決定的なダメージを与えるまではいかなかったが、前進を阻むことには成功したようだった。


 そんな工場地区の戦況を遠くから見下ろす影がひとつ。
(面白そうな物がありそうだから来てみたけれど、秘匿扱いの量産型試験機ね……)
 駆動音、エンジン音、そしてそこから生まれる熱量。ここからスキャンした限りではあるが、はじき出された予想スペックはとても民間のものとは思えない。
 少なくとも深海や高所などの特殊任務機。ふつうに考えれば軍用、それもクロムキャバリアに準じた出力を持つ高性能機だ。しかし、まだそれだけではない気がする。
 なにかが科学者としての桐嶋・水之江(|機巧の魔女《モーラットイーター》・f15226)の勘に引っかかるのだ。
 それがなんなのか、ここからでは解らないし、しっかりきっちり解るためには……。
「1機位行方不明になってもバレないわよね?」
 ぽつりと、形の良い唇が動いた。
「ん? 私何か言ったかしら?」
 おっといけない、そんなお茶目な表情で心の声をだだ漏れさせながら、水之江は紫の瞳を輝かせると、
「おいでなさい、ゼルグ・ジール」
 と、その名を喚んだ。

 そして現れた全長40mにも及ぶ紫のモノは、決して揺らがぬ信念と魂――多少禍々しくはあったが――の象徴。まるで水之江の精神そのものを形にしたかのような巨大なる存在。
 キャバリアというには巨大すぎ、しかし戦艦というには異質すぎるそれは、機動兵器と呼ぶべき威容を持って【タイプX-6】の前に立ちはだかった。


 あまりに巨大な壁の出現にその場にいた全ての者の動きが一瞬止まる。そんな不自然に流れた静寂を破ったのは【タイプX-6】のガトリングガンの斉射音だった。
 だがしかし音速に近い速度で打ち出されていくガトリングガンの銃弾は【ゼルグ・ジール】の【プロテクトフィールド】に全て弾き返されていた。

 銃弾を受けながらも周囲の大気を震わせ【|ゼルグ・ジール《壁》】が、じり、と圧力を強めると、その状況を見たセレーネがすかさずコックピット内のマイクを手に取った。
「大人しく投降してください。さもなくば強引に制圧します」
 外部スピーカーを使って向けられる降伏勧告に、【タイプX-6】のモノアイが消え、脱力したかのようにその構えが解ける。
「武装解除したのか」
 そんな期待が現場に一瞬流れるが、それを裏切るように数瞬の後【タイプX-6】のモノアイが再び点灯すると、レーダーロックを放ち、1機が【ゼルグ・ジール】へと突撃を……かけてくる、と思ったときにはすでに構えた超振動ブレードが【プロテクトフィールド】を切り裂き、【ゼルグ・ジール】の装甲にまで傷をつけていた。

「「速い!?」」

 水之江とセレーネが驚きの声を上げた。
 比喩ではなく、目にもとまらぬ高速の突撃。しかし驚いたのは『速度』にではない。
 これまでに計算した相手のスペックから、このくらいの機動力をだせることは予想済みだった。でもそれは『中にいる操縦者のことを考慮しない場合』だったからだ。
 猟兵の瞳をもってしても捉えられない速度の突撃に、いくら訓練を受けているといえども一般の人間が耐えられるわけはない。

「ミスランディア、火器管制任せます!」
 セレーネがコックピット内でそう叫ぶと、固定火器の制御をミスランディアに一任し、自身は【スティンガーⅡ】に【キャバリアブレード】を抜き放たせると、操縦に全てのリソースをつぎ込んで【タイプX-6】の1機に突撃をかける。
 だがしかし、|セレーネ《猟兵》の全力の一撃を、【タイプX-6】は受け止めてみせた。キャバリアブレードと超振動ブレードががっちりとかみ合い……じりじりと【タイプX-6】が押し始める。
 押し切られる、そう思われた瞬間、ミスランディア制御のランチャーが至近距離で炸裂した。反動で仰け反る【タイプX-6】のパワーを、セレーネが【キャバリアブレード】を滑らせていなし、たたらを踏んでバランスを崩したその脚部を後ろから膝を蹴り砕くと、背中からキャバリアブレードを突き刺し、機体を地面に縫い止めた。

 そして……水之江は怒っていた。
 桐嶋技研自慢の【ゼルグ・ジール】に傷をつけられたのだ。それも|処女任務《ヴァージンミッション》で。
「機体は壊してもOKなのよね?」
 背後に黒いもやが立ち上りそうな声音で水之江が笑うと、【ゼルグ・ジール】の胸部装甲が開き、鈍い光を放つ【ギガブラスターキャノン】の砲身から甲高いチャージ音が周囲に響き渡る。
 その圧倒的な出力に動きを止めた【タイプX-6】を、放たれた【有線式クローアーム】ががっちりと捕らえた。
「いくらわたしでも、こんなところで撃たないわよ」
 水之江はしれっといいながら、でもね、と笑うと、そのままクローで【タイプX-6】の装甲を砕いて、コックピットを引きずり出した。
 そしてその操縦席には、気絶し、泡を吹いた操縦者の姿。

 それを見た水之江とセレーネは、納得した。
 あの強引を通り越し、無謀ともいえる機動。やはりパイロットのことをまったく考えていないものだったのだ。おそらくは残る1機も同じ状態なのだろう。

 そしてそれはつまり、操縦者を生体ユニットとしか見ていないAIによる自動操縦。
 水之江とセレーネが機体を押さえ込んでおかなければ、また動き出す可能性があるということだ。

 2人は2体の【タイプX-6】をそれぞれ押さえ込みつつ、最後の1機を射撃で足止めし、次の一手を探すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
アドリブ歓迎

こちらの対象は、最後の1機ですね

シェンヌ・ダルジャンを伸ばして、敵キャバリアの四肢の関節に巻き付け
【ロープワーク】による【捕縛】で【逃亡阻止】
魔力で編み込んだ銀鎖なので、引きちぎることは、そう簡単にはさせません

撃ってきたガトリングは、サント・クロワを回転させて【武器受け】で弾きます

「おいで。イシュタル」
そういって呼び出すのは、キャバリア
搭載するのは『RXS|マチロク・クロワーゼ《十字砲火》』
その十字砲火による《零距離連射》でトドメと行きましょうか
「|これで、トドメですよ《C'est le fini.》」



 もうもうと煙の上がる中に佇むキャバリアのシルエット。その周囲では2機の【タイプX-6】が警備隊の援軍――おそらくは|異界人《猟兵》――のキャバリアに押さえ込まれ、その動きを封じられている。
 こうなれば、今動けるこの1機だけはなんとしても本国へ持ち帰らなければいけない。そしてそのためには|異界人《猟兵》のキャバリアが動けない今しかチャンスはない。
 おそらく仲間は犠牲になるだろう。いや、仲間だけではない、おそらくは自らも……。

 【タイプX-6】のコックピットで覚悟を決めたパイロットは、戦闘用AIを起動させ、そして、自らの意識を手放した。


 それまで佇んでいた最後の【タイプX-6】の姿が、モノアイの真っ赤な軌跡を残してブレるようにぼやけた。
 それは人では決して為しえない、『機械』としての限界を引き出したがゆえの高速機動。動き出した【タイプX-6】はガトリングの雨を振らせながら包囲していた警備隊へ突撃をかけていく。

 しかし、速度をそのままパワーに変えて、包囲を突破すべく突っ込んでいく鉄塊の四肢に、黒金の鎖が絡みつくと、その凄まじいまでの速度と圧力をあっさりと止めた。それを力任せに引きちぎろうとする【タイプX-6】に、
「その鎖は特別製です。魔術法則を断ち切らない限り決して切れませんよ」
警備隊の中から歩を進めたベルカ・スノードロップ(【中将】少女を愛に染め救済せし夜の王・f10622)が、機械には無理でしょうけどね、と、 静かに笑う。

 そんなベルカの姿を『敵』と認識した【タイプX-6】が、ガトリングをベルカに向かってロックオンさせ銃弾の雨を降らせるが、ベルカは手にした自らの身長ほどもある|巨大な十字架《サント・クロワ》を回転させると、その悉くを弾き返していく。

「おいで、イシュタル」
 戦場に似つかわしくないベルカのメゾソプラノに呼ばれ現れたのは、【タイプX-6】とはまた違うタイプのキャバリア。
 艶めく鋼鉄の肌と金色に輝くモノアイを持つ威容が【タイプX-6】の前に立ちはだかり、その背に背負うRXS|マチロク・クロワーゼ《十字砲火》を突きつける。
「|これで、トドメですよ《C'est le fini.》」
 ことさら優しく語りかけたベルカの言葉が終わるか終わらないか、刹那の瞬間で四肢を吹き飛ばされ、胴体部だけになった【タイプX-6】が轟音と共に地面に転がる。

「コックピットに当ててはいませんが、中の方は無事でしょうか?」
 機体に歩み寄ったベルカが【タイプX-6】のハッチを強制開放すると、中には泡を吹き、気を失ったパイロットの姿があった。

 ほぼベルカの予想通りだった。

 この機体が秘匿とされた最大の理由。それは、人を生体ユニットとしか認識せず、肉体の限界を考えずに戦闘行為を行うAIの実験と開発だった。
 ベルカをはじめ、猟兵たちは似たようなものを何度も見ている。人を道具としか見ず、戦うことを最優先に使い潰す行為。そう『オブリビオンマシン』だ。

 人の作ったオブリビオン。そんなものもそのうち生まれてしまうのかもしれない。願わくばこの事件を教訓に、そんなことにならないよう戒めてほしい。【タイプX-6】のコックピットを見下ろしながら、ベルカはそう思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月05日


挿絵イラスト