【戦闘β版】天文学的確率を引き当てた結果、壊れる日常
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希島の居住区の一角には港町風の純和風の家屋が軒を連ねる、
いかにも日本の田舎といったのどかで風光明媚な街並みが広がっている。
その区画の中心となっている高台にある神社に、その場所に似つかわしくないガラの悪い男達の姿が。
男たちの前には神社という和の建築とは真逆の近未来風の扉。
脇にあるロックシステムに求められるは四桁のパスワード。
「俺達にはあれしかあるまい!」「そうだな」「うむ、あれしかない」「ではいくぞ!!!」
分かっているかのように迷いなく淀みなく押される数字達。
「「「「そう、4649だぜぇ!!!!!!!」」」」
んな出鱈目通るのか!と思われた諸君。
『パスワード、認証しました。防衛装置アクセス室への扉、開錠されました』
そう、通って道が開かれてしまったのだ!
そして人が一人通れる通路の先にはこじんまりとした小部屋が。
沢山のレバーやスイッチが並ぶ、防衛装置アクセス室だ!
だが彼らに迷いはない。
「そーれ」「我らが人生」「楽しまないとね!団に」「栄光あれ!!!!」
その操作は出鱈目なはずなのに、
まるで流れるかのようにポチッポチ、ガチャン、ガコン!と操作された見事なモノだった。
次の瞬間、スピーカーから音声が発せられる。
『緊急事態モードへ移行。旧日本家屋居住区画、防衛モードへ』
冗談も大概にしろと言いたいが、発動してしまうのだ。
こいつら、人生の幸運全て使っていないか!?
街を覆う様にせり上がる壁に、街中も至る所で道路が持ち上がる。
『発動者へ緊急事態発動者管理権限を付与』
ならず者を青白い光が一瞬光って。
その様子にならず者たちはご満悦の様子。
「なんかとんでもない事になっているけど」「これはしょうがないようね」
「管理権限きて、色々と遊べそうだぜ!」「なら、人生楽しまないとな!!!!!」
斯くして、古き良き日本の街並みを再現した居住区は、
ならず者たちによって防御隔壁を操作され大混乱となるのであった……。
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「希人や猟兵のみんな、私の急な呼びかけに集まってくれてありがとうだよ!」
そう言って元気よく頭を下げたのは、
女の子から女性へと移り変わろうとしている可愛らしい子であった。
名は玉地・瑠音(ワンマンジーニシアズ・f32184)、
実はこの希望峰アース、希島において人気を獲得しつつある子である。
希人……、正確には猟兵を公言しつつ、
その溢れる才能をそれぞれの外見のイマジネーションで作り上げて。
アイドルに絵画、ゲーマーにと生動画などの配信活動をしており、
そのイマジネーションそれぞれにきちんと人格があるが故に、
それぞれにファンが付いている状態である。
そんな彼女にはもう一つ、もう一つの性質がある。
それは困った事や人を放って置けない正義の味方としての顔。
今はその正義の味方としてのイマジネーションの姿で、皆に語り掛ける。
「私宛にヘルプが届いたの!それは私達がいるこの希島の居住地区なんだけど。
ならず者さん達が防衛装置を誤作動させたみたいで、
防壁が出たり、下がったりして、住民の人がとっても困っているって!」
希島は機械仕掛けの人工島、
そんな機械系装置は普段は一般人が及びもつかない所で管理されているのだが。
非常時に際してのバックアップの一つとして、物理的な操作を用いて人が操作する場所を設けている。
しかし、悪戯対策で普通には作動しないのだが、天文学的な一致でならず者たちは、
緊急装置がある場所のセキュリティー扉のパスワードを突破。
しかも適当にボタンを押したり、レバーを動かしたりで非常時の規定の操作をしてしまったのだ!
「住民の人達や警察も追い出して元に戻そうとしたみたいだけど、
図らずも規定の操作をしたならず者たちを緊急事態発動者として認識しちゃっていて。
システム側のガードが加わって排除が難しいそうなんだよ」
という訳で希人ならばホープコードという超常の力もある為、
どうにかなならないかと瑠音に連絡が来たわけだ。
「私は住民の人々が混乱を鎮める為に動画配信で作業中だとお伝えして、楽しんで貰ってる間に。
皆にはならず者たちの制圧をお願いしたいよ!
意識を失えば緊急事態発動者不在とシステムが判定して、システム側に権限が戻るから。
あっ、思いっきりやってもガードシステムで死にはせずに意識失うだけだから。
あとの復旧作業をやってくれっていうから、後先は考えなくて大丈夫だよ!」
事件現場の場所の地図を渡した後、大丈夫かな?と聞いた後。
「これは私個人のお願いなんだけど、住民の方々を安心させる為にも、
皆の戦う姿も、配信しちゃだめかな? NGな人はカメラに映らなくするので!お願いだよ!」
瑠音はぺこぺことお願いの頭を下げて。
「答えは現場到着時に聞くからよろしくだよ。
それじゃあ、みんなが現場に着くまでに住民の方々に向けて生動画配信、スタートするね!
ならず者たちの事よろしく頼んだよ、みんな!」
義助次郎
義助次郎(ぎすけじろう)と申します。
今回、ご縁がありましてPBWアライアンスの一つ、
「コイネガウ」のMSとして【β版】シナリオをお届けする事になりました。
最近ヴァーチャルなアイドルに嵌っていまして。
コイネガウ担当のこの子は元々持っていた設定と合わせて動画配信者となりました。
どうしてこうなった!?
そして事件は単純明快、ちょっとバカな奴らをぶっ飛ばせ!という事になりました。
ならず者たちに特別な背景もない、その日、思った事を実行してしまう奴らなのですので。
遠慮なく、ぶっ飛ばしてお縄に付かせてください。
PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細は以下でご確認をお願いします。
(公式サイト:https://koinegau.net)
(公式総合旅団:https://tw6.jp/club?club_id=4737)
当シナリオ『コイネガウ』の【β版】は連動シナリオ、
PBWアライアンス『コイネガウ』のMSチーム9人による共催です。
【β版】とは、来年4月から始まる学園入学前の物語となっています。
【旅団β版】、【色気β版】、【日常β版】、【戦闘β版】と其々の編が分かれていますが、
いずれも『コイネガウ』の希島を舞台にしたシナリオとなっています。
なお、各シナリオは内容が独立している為、重複参加に制限はありません。
PBWアライアンス『コイネガウ』は共通フレームが一つで、内容自体はマスターが考えるとの事ですので。
今回では以下の様になります。
POW:とにかく何も考えずに力押しだけの相手をぶっ飛ばす。
SPD:速さで突っ込んで来る相手をぶっ飛ばす。
WIZ:策や術などの悪知恵を使う相手をぶっ飛ばす。
それでは、皆様のご参加と活躍をお待ちしております!
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
イラスト:YoNa
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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居住地区に広がる緊急事態のアラート。
それに伴う防壁の展開によってパニックへと陥いる居住地区。
その混乱を鎮めるべく、居住地区の警察・消防、公務員たちがそれぞれの立場で行動を開始。
瑠音の現状の説明を行う動画配信も始まり、最初期の混乱は収まりを見せていくが。
その原因を作ったならず者たちが排除出来ない為に、
緊急事態のアラートは解除されないどころか。
ならず者たちのその場のノリで新たな混乱が生み出されて。
住民たちはこの事態を収拾してくれる者達―希人を強く望むのであった……。
黒雪騎・実夢
●心情
「え、……何、これ? 住居地区のあちこちが閉鎖されてるけど……?」
住居地区の神社にお守りを買いに来たみゆ。
可愛らしい猫の恋愛運のお守りを手元に握りしめて閉鎖する街を唖然と見ていた。
●行動
「ともかく……非常事態だね? 一応、私服警官だからあたしも事件対応するね」
みゆは仕込み杖を抜刀して、探偵騎士の構えで剣を掲げて神社周辺の調査を始める。
すると、面白半分に暴れるならず者達が停車された無人の自動車を破壊していた。
「こらっ! 破壊行為を止めない場合は……希島国警官のあたしが逮捕するけれど?」
UCの警察手帳で警告。
力任せの彼らだが、みゆが剣技を翳して片っ端から撃退していく。
アドリブ・連携歓迎。
事件が起きたこの日。
黒雪騎・実夢(希島国警察所属のクーデレ私立探偵・f38169)は、
日本の田舎風の居住地区の中心でもある神社に御守りを買い求め訪れていた。
「可愛い猫さんの御守り……無事に購入っと。これなら普段付けてても違和感ない……かな?」
鳶色の瞳を緩めなら見つめる手にした猫の御守り、そのご利益は恋愛運の上昇である。
そんなほのぼのとした日常はけたたましく緊急事態を告げるアラートと、
居住地区に展開され始めた防壁によって終わりを告げる事となる。
「え、……何、これ? 住居地区のあちこちが閉鎖されてるけど……?」
閉鎖された街並みを唖然と見下ろし、手元の御守りを思わず握りしめてしまう。
しかし、そこは希島国警察に所属する希人であり、普段も私立探偵として活動する実夢。
呆けていたのは一瞬、すぐさま解決に向けて行動を開始する。
「ともかく……非常事態だね? 一応、私服警官だからあたしも事件対応しないと」
猫の御守りを大切にしまい込むと、手にしていた杖にある動作を行う。
するとカチリという音と共に仕込み刃が姿を見せ抜刀、剣を掲げると。
神社周辺の調査を始め、周辺の状況から推理を組みたてると、犯人の行動を予測。
推理から導き出された予測された地点へと向かうと、
停車された無人の自動車を破壊し面白半分に暴れる一人のならず者の姿が。
「こらっ! 破壊行為を止めない場合は……希島国警官のあたしが逮捕するけれど?」
警察手帳を見せ、動くな!と警告を行う実夢に対して。
これまで対応できなかった警察官と同様と見做すならず者。
「寝言は寝ていいな!俺の人生のお楽しみ時間、邪魔するな!今の俺、無敵なんだぜ?」
自信満々に襲い掛かるならず者だが、その速度は明らかに遅い。
「な、なんじゃこりゃあ!!!!?」
「あたしからの警告……無視したからですよ。貴方を器物損壊の現行犯で逮捕です!」
実夢は剣を翳すと幾筋の煌きとなり、
冴える剣の技はならず者に残らず吸い込まれて地に伏せさせると、手錠をかけるのであった……。
大成功
🔵🔵🔵
比嘉・縫愛怒雌
【学園組】
学園ではぼっちっすけど、今のワタシには希人仲間がいる…こんなに嬉しいことはないっす!(希人の集まりなので|真の姿《ヒーロースタイル》で参加)
この繋がりを継続できるように神頼みしておくっす。あとは来年度に進学する中等部での楽しい青春あたりを。
というか、友子ちゃんがなんか凄いことに―――って隔壁が!?
あー、そうっすか、島を荒らす馬鹿が出たってことっすか…ぶっ潰す。この怒りがワタシのHCの燃料になるっすよ。
西行寺くんが囮、OKっす。システムは友子ちゃん、了解っす。
ならワタシは闇に潜む猫のように【目立たない】隠密行動で敵に接近してこの爪で程々に引き裂くっす。
あっ!シロンくん、援護どもっす!
相沢・友子
【学園組】
絨毯に座り、硝子の寝ず見たちに運ばれながら。銀治朗さんとシロンさんとぬめぬめさんと神社へ。
3人の視線は、私の頭の上で20段重ねグラスラットの上で旗を振ってる子が、代わりに全部受け止めてくれるよ。
神社についたら、晴れ着で、学業祈願。
(今度こそ授業に出なくても卒業できますように…)
参拝後は、餅つき大会をやってたりしないか周囲をキョロキョロ。
神社だし、なにかやってるはずだよ…
集団発見、4649?
その後、街の封鎖。
パスワードは4桁。
ヨロシクだぜだよ。ぽちぽち。
私は、ホープコードで増やした寝ず見たちと、システム側の配線を切るよ。
信号が途絶えれば別の箇所から防衛機構の解除ができるかと期待だよ。
兎塚・シロン
【学園組】
この科学の島にも神社があるんだね。
オレ自身は特にお祈りすることもないけど、まぁ付き合いで参拝するのも悪くないだろう。
って非常事態か。
犯人のならず者…… 事件に希人が居合わせるとは、運が良いんだか悪いんだか。
いや、これから僕たちにぶっとばされるんだから、最悪だね? せっかくだから厄祓いしてもらうと良いよ。
【行動】
ひとまず様子を見て……たら銀治郎が囮になってくれたね。
相手の隙を伺って奇襲攻撃をしよう。
ホープコード【ヴァリアブル・ウェポン】で兵器を展開。縫愛怒雌を射撃で援護するよ。
西行寺・銀治郎
【学園組】
「俺は学業のお守りでも買おうか。学園で皆と上手く行く様に祈っておく」
神社へ参拝に来た、希島の旅団での学園友達グループの俺達だが。
「な、バカなっ!? 街が……閉鎖される、だ、と?」
参拝中の俺達の眼前で住居地区の街がまさかの事態。
俺達はならず者共を止めるべく事件へ介入。
「よぉ、柄の悪い兄さん達? 俺は……今、何人いるでしょう?」
HCで擬人化の分身を何人も呼び出すとジャグリングをして挑発。
俺は囮役だ。配線を切る友子ちゃんを隠す為に。
「つ、つぇえ……!? すまん、俺が悪かった!!」
俺は分身共々、叩きのめされる。
無論、負けた振りだ。奇襲するシロンくん、ぬめぬめちゃん、頼んだぞ!
希島、日本の田舎風の居住地区の中心でもある神社、
境内の参道を歩く四人の学生と思われる四人組のグループの姿があった。
「この科学の島にも、こんな神社があるんだね。
付き合いで参拝するのも悪くない」
鳥居をくぐり境内の神社の趣に驚きを隠せない兎塚・シロン(試される改造人間・f39184)。
「ここいいところっすよね!
そして!学園ではぼっちっすけど、今のワタシには希人仲間がいる……。
こんなに嬉しいことはないっす!」
比嘉・縫愛怒雌(国立希島学園の放課後キャットヒーロー・f39245)の猫耳と尻尾は、
ピコピコ、ブンブンと彼女の感動の心情を表すように動く。
希島における希人達が集まる旅団、その中で国立希島学園の友達グループで参拝に来たという事で、
縫愛怒雌は真の姿を隠さずに参加している。
「だね。かわいいその姿のぬめぬめさんが見れて……、うれしい。
……あと、参拝後は何か食べたい。
神社だし、年末年始の時期だし、御餅つき大会とかなにかやってるはずだよ……」
友人に同意しつつ、猫要素ににほっこり愛でているのは相沢・友子(水使いの淡水人魚・f27454)である。
人魚―下半身の三角形の尾びれ魚要素部分を絨毯に乗せ、
父が作ってくれた硝子のネズミ―寝ず見たちに運ばれながら、参拝が主目的なはずなのに食欲に喰われ気味。
「いや、やってるかもしれないが。まだ参拝前なのにするのは早くないか?
あと、先程から気になってのだが友子ちゃん。
晴れ着は年末年始の神社だからとして。頭のそれは、どういうことだ?」
西行寺・銀治郎(国立希島学園の一般的な残念男子学生・f38167)は思わず友子に対してツッコミを入れる。
そう、他の二人も視線を送っていた、友子の頭上。
縫愛怒雌は友子ちゃんなんか凄いこと―という感想を抱いていたが、銀治郎もシロンもほぼ同様な感想だった。
友子の頭上ではグラスラットが20段重ねの上で、てっぺんの寝ず見が旗を振っているからだ。
「これ? 私の目代わり。目線を皆に合わせる為の」
理由は一応納得するとして、それならば旗を振る意味って?
疑問の解決は新たな疑問を生む結果になったが、一先ずそれには触れず。
四人は手を清めて、神社の本宮をお参りする。
「オレ自身は特にお祈りすることもないけど」
「俺は学園で皆と上手く行く様に祈っておく」
「じゃあ、オレもそれでいく」
銀次郎とシロンの男性陣の願いに、縫愛怒雌と友子の女性陣も同様に祈りを重ねる。
「この繋がりを継続できるように私も神頼みしておくっす。
(あとは来年度に進学する中等部での楽しい青春あたりを)
「私もそう祈っておくよ。あと学業祈願も」
(今度こそ授業に出なくても卒業できますように…)
ただ、女性陣は心の中で追加の願いもあったようだが。
それぞれの祈願も終って。
今度は学業成就の御守りを買いたいという銀次郎に一同は社務所へ。
そんな彼らの脇を信心深い神社にはまず来ないと思われる、ならず者の一人が境内を走っていく。
友子は女の勘から何処となく気になり、立ち止まってならず者の後を視線で追うと。
そこには神社には似つかわしくない近未来的な扉。
その前にはさらに多くのならず者たちの集団が騒いでいる。
(よろしく? 扉が開いて……。…中に入って、大丈夫?)
中へと入っていくならず者達を訝しげに思いながらも、
三人を追って社務所に向かって合流した瞬間。
けたたましく緊急事態を告げるアラートと、自動放送。
そして旧日本家屋居住地区のあちこちに防御隔壁がせり上がってくる。
「っ……、隔壁が!?」
「な、バカなっ!? 街が……閉鎖される、だ、と?」
希島出身者である縫愛怒雌と銀次郎にとっては何が故郷たるこの島を襲ったのかと、
驚愕と動揺に染まる。
「非常事態か?」
「ううん、あいつらが、元凶?」
シロンは冷静に事態把握に努めようとすると、島の外へと目を向けるが。
友子が指差す先には反対の神社側にある近未来的な扉。
そして程なくヒャッハーと扉から飛び出してくる、ならず者たちの姿が。
四人は流れるアナウンスと合わせて、状況を把握する。
「なるほど、犯人はあいつらか……。事件に希人が居合わせるとは、運が良いんだか悪いんだか」
様子観察をするシロンに友子は寝ず見たちを更に増やすと。
「システム側の配線、切るよ」
一部を不可視化させて護衛として、一部を自身の足周りに強化して音も無く扉の方向へと向かう。
そんな友子の動きを悟られない様に、そして彼らが悪さをするのを防ぐ為。
シロンとにアイコンタクトをした後。
囮の役割を買って出るべく、一足早く動く銀次郎。
(西行寺くんが囮、OKっす。システムは友子ちゃん、了解っす)
(治郎が囮になってくれたね。なら、相手の隙を伺って奇襲攻撃だね)
シロンと縫愛怒雌はその意図を組み、奇襲の為に気配を消す。
それを確認した銀次郎は複数人で行動して早速悪さを始めたならず者たちの前へ立ち塞がった。
「よぉ、柄の悪い兄さん達? 俺は……今、何人いるでしょう?」
ファンタスティックパレードによって大道芸の道具たちは擬人化した者達が囲み、立ち塞がる。
(俺は囮役だ。配線を切る友子ちゃんを隠す為に)
ジャグリングをして挑発までする銀次郎に、沸点は激低いならず者たちは見事に怒りを爆発。
「おいおい兄ちゃんよ、突然なんだなんだ!」「今は大道芸なんて見てる暇ねぇんだよ」
「そうだそうだ!」
「俺達の人生の楽しみを邪魔するなら、痛い目にあって貰おうか!」
管理者権限で痛い目に合わないと思っているのか。
とにかく何も考えずに力押しだけ相手に、しかしながら分身共々、叩きのめされる銀次郎。
「つ、つぇえ……!? すまん、俺が悪かった!!」
しかしそれは囮の意味を為さないと負けた振り。
(奇襲するシロンくん、ぬめぬめちゃん、頼んだぞ!)
銀次郎の内心に呼応する様に仕掛けたのは、縫愛怒雌であった。
(あー、そうっすか、島を荒らす馬鹿が出たってことっすか…ぶっ潰す)
希島を荒らされた怒りを力に変えつつも、闇に潜む猫の様に近づくと。
ならず者の一人を手に装備した身に付けた三本の鋭い刃がついた鉤爪で引き裂く。
「希島を荒らされた怒りが燃料に、反省するまで許さないっすよ!」
怒りの鉤爪の引っ掻き回しに、保護機能もダウンして伸びたならず者が一人。
「やりやがったな、この猫女!だが、運気は俺達に向いている!このまま……!?」
仲間を倒されて怒りに燃えるならず者。
しかし、縫愛怒雌もただ闇雲に出てきたわけではない。
「いや、これから僕たちにぶっとばされるんだから、最悪だね?
せっかくだからここで厄祓いしていくと良いよ」
シロンが展開したヴァリアブル・ウェポンの兵器群からの一斉射撃で吹き飛ばされるならず者。
「あっ!シロンくん、援護どもっす!」
交差した際にお互いに一瞬笑顔を交わすと、残るならず者たちを無力化するべく動く。
銀次郎も、演技はおしまいとばかりに絡むならず者たちを吹き飛ばす。
三人の希人の連携した動きに勢いだけで戦いのノウハウもないならず者達は、
程なく無力かされていくのであった。
一方の友子は扉の前に到達。
脇にあるロックシステムにパスワードを要求されていた。
「パスワードは4桁。ん~~、……あっ、なるほど。ヨロシク(4649)だぜだよ」
先程のならず者たちのやり取りはこういうことだったのかと、
納得しつつ淀みなくポチポチと番号を入力。
システム音声と共にガチャンとロックが外れ、扉を潜って細い通路を抜け、防衛装置アクセス室へ。
そこにはガチャガチャと隔壁を操作して遊ぶならず者の一人が。
友子を護衛していた寝ず見たちは敵を発見するやいなや、即座に反応。
不可視のガラスラットたちは敵を迎撃、ならず者たちを倒してアクセス室の安全を確保する。
「……ありがとう。お父さんが作った、この子達は、私よりも賢くて、何をすべきか理解ってる。
そう、信号遮断、お願いするね」
そのまま寝ず見たちはこのアクセス室からの信号遮断するの作業を行う。
作業時間にして数分、スピーカーからシステム音声によるお知らせが入る。
『このアクセス室からの信号途絶。及び緊急事態発動者の意識消失。
旧日本家屋居住地区の緊急事態におけるシステム権限をメインコントロールに移譲』
すると、アクセス室にいたならず者に青白く光ったと思った次の瞬間、
ガラスの音を立てて輝きが砕け散っていくのであった。
友子が自分の役割を終えて寝ず見と簀巻きにしたならず者と共に外に出ると。
銀次郎、シロンに縫愛怒雌も倒したならず者たちをお縄にして待っていた。
「どうやら上手く行ったようだな、友子ちゃん」
「お疲れっす。西園寺さんもシロンくんもありがとっす」
「いや、疲れさん。そっちにもいたんだね」
三人の労いの言葉に友子(と寝ず見)たちはこくりと頷くと。
「いたね……、みんな、お疲れ。じゃあ、お餅、お餅食べよ……」
そのまま寝ず見たちに運ばれて、続きは運動もしたしお餅、
と言外に言いつつ餅つき会場へ向かっていく友子。
そんな友人に三人とも苦笑しつつも、
異議はないとばかりに今回の出来事を話しながら神社の散策の続きを再開するのであった―。
大成功
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