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魂に安寧無し

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #第三層

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#第三層


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 ……貴様は、罪を犯した。
「……え?」
 貴様は、逃がした。
 魂人を、逃がした。
「それは……。」
 ……後々楽しむため、か?
 それとも、より苦しめる算段か?
「い、いいえ……。」
 では、罪だ。
 それならば、罪だ。
「何故……何故、いけないのです?」
 何故、だと?
 貴様に此処は相応しくない、ということだ。
「そん、な……。」
 然るべき罰を、与えねば。
 下層だ……下層へ落とせ。
「嫌……下は、下だけは……。」
 ……貴様のような欠陥品は、下層こそ相応しい。
 それとも貴様……罪を雪ぐとでも言うつもりか?
「っ! ……はい……それで、気が済むのでしたら。」
 ならば殺せ、魂人を。
 殺してみせろ……奴らが狂い、倒れるまで。
「……はい。」

 ところ変わってグリモアベース。
「えーと、ですね……今回はダークセイヴァーの上層で、皆さんに調べてもらいたい事があるんです。」
 そう話した影山が掲げた手の上でグリモアが輝くと、壁に映し出されたのは薄暗い古城の入り口。
 開け放たれた扉の中では、壁に掛けられた蝋燭の明かりが揺らめいている……見える限りの薄ら寒い城内には、生き物の気配はない。
「このお城、なんですが……ここは少し前まで、魂人の人たちの集落があったところなんです。
 辺りが暗くなったと思ったら、次の瞬間にはお城に変わってたんです。
 魂人の人たちって、死んだとしてもすぐに蘇ってしまうのに、その姿が無いっていうのもおかしくて……もしかしたら、まだ中に魂人の人たちがいる、かも。」
 城の前へと開かれたゲートからは、冷たい風が吹き込んでくる。
 その中に、かすかに何かが焦げた匂いが混じっていた。
「助けられるなら、助けてあげてほしいんです。
 お城の探索、よろしくお願いします。」


ヨグ
 ヨグです、今回もダークセイヴァー上層です。
 魂人たちを閉じ込めた……とされるお城を探索してもらいます。
 時間は夜ですが、廊下や部屋には蝋燭が点っているので、明かりを用意しなくとも大丈夫です。

※注意点
 第3章のみ、通常の方法ではどれだけ良いプレイングでも成功も難しく、大成功にはなりません。
 第3章開始時の断章に方法を記載しますので、ご活用下さい。
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第1章 冒険 『新築の古城を調査せよ』

POW   :    調査の基本は足、マッピングする

SPD   :    悪辣な罠を看破、解除する

WIZ   :    魔術や最新機器を投入、走査する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シエナ・リーレイ
●アドリブ可
要するにかくれんぼだね!とシエナは理解します。

蝋燭に照らされた城の中、シエナは隠れる者達を求めて探検を始めます
訪れる者の不安を煽る城内をシエナは楽しく歌いながら駆け回り、|聞けば元気が出そうな行進曲《ユーベルの篭った[呪詛]》を城中にばらまいてゆきます

隠れてないで出て来てよ!とシエナは呼びかけます。

城内で騒ぐのは隠れた者を呼び出す為、『お友達』候補が現れてくれるなら大歓迎、|行進曲で元気が出た《『お友達』となった》魂人が来たならば楽しい行進に加えて城内を更に賑やかにしてゆきます



「要するにかくれんぼだね!とシエナは理解します。」
 開け放たれた扉の中、薄暗いホールには冷たい空気が満ちていた。
 壁には静かに蝋燭が灯っている……。
「どこにいるのかな? とシエナは疑問に思います。」
 明るく呟いたシエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)の声が、ホールから伸びる廊下へと吸い込まれていく。
 その声に応えるように、一つの廊下の蝋燭が揺らめき……仄かに暖かい風が奥から吹き抜けていった。
「そっちなの? とシエナは駆け出します。」
 廊下を駆けるシエナの視線の先で、一つの扉の前の蝋燭が揺らめいていた。
「そこだね! とシエナは部屋を覗きます。」
 覗き込んだ部屋の中には、古びた本棚と乱雑に詰め込まれた本……そして壁には、傾いた絵が飾られている。
 額縁の中では、年老いた女性がシエラを見て優しく微笑んでいた。
「……ここじゃないのかな? とシエナは思いました。」
 訪れた者の不安を煽るような薄暗い室内も、怨念や魂で動く呪詛人形であるシエナにとってはただの部屋にすぎない。
 部屋を出た途端に、背後でパタリと本が一冊落ちた音……振り返ると、一冊の本が床で開いていた。
「なんだろう? とシエナは覗き込みました。」
 ……ただの本であれば、シエナは興味を示さなかっただろう。
 しかし、その本からは仄かに人の魂の残滓が燦めいて見えていた。
 綴られているのは日記のようなもの……書き手の少女と、少女に優しく接する孤児院の人々の。
「……誰か見てる? とシエナは振り返りました。」
 感じ取った視線へと向けば、壁に掛けられた女性の絵がまっすぐにこちらを見ていた。
 変わらぬ笑みを浮かべているように見える……部屋を覗いた時と同じように、こちらを見て。
「何なんだろう? とシエナは疑問に思います。」
 絵から視線を外し、ふと廊下へと視線を向けると、廊下の蝋燭の火が揺らめいていた。
 なんにせよ、この部屋には魂人の気配は無い。
「隠れてないで出て来てよ! とシエナは呼びかけます。」
 答える声はないまま、シエナは廊下を駆けていく。
 途中からは楽しく騒がしく歌いながら……隠れている人々が、その声につられて出てくるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
海原・美沙
困るんですよ。
自分と関わると不幸にされるとか、ジンクス背負っちゃった主が居ましてね。

等と誰にともなく呟きながら、基本は足で稼ぐもの。
隠し部屋や魔術機構その他は、必ず違和感があるもの。
それは、音の響に違いが出ようと云う物で。

ジンクスの原因になってるのがちょいちょい出てこられては堪らないんで。
…過去なんざ、知ったこっちゃ無いんですよ。
未来の足を引っ張るなら、消えてもらうに限りますし、「お掃除」は家事の基本ですし。
さっさと帰らないと主の生活が破綻します…

辛気臭い城ですね…文字通りの掃除が必要そうな気もします。
血肉の汚れのお掃除は得意ですが、必要ですかね…?
無駄に家政婦魂を発動させながら探索していくとしましょう。



「困るんですよ。自分と関わると不幸にされるとか、ジンクス背負っちゃった主が居ましてね」
 冷えた古城の空気の中に、海原・美沙(海王の加護・f35716)の呟きがやけにくっきりと落ちる。けれど、その言葉が向けられた相手が誰であるのかは杳として知れない。命の気配のまるで感じられない空間をただ一人、美沙は淡々と歩を進めていく。
 どれほど巧妙に隠したとしても、ある物を完全にないように見せかけることは難しい。必ずどこかに偽装の跡や、綻びや――何らかの違和感がある筈だと心得て、彼女は神経を尖らせる。――怪しげな影も、音も、まだ感じ取れない。まだこの辺りではないかと見切りをつけ、更に廊下の奥を目指して進めば、僅かな空気の揺らぎに合わせて蝋燭の炎が揺れた。けれど、それもまた美沙の動きによって生み出されたものに過ぎない。隠された物を示す『何か』はここにはない。
 ――ただ、何となくではあるが、予感があった。この先にあるのは、己と浅からぬ因縁を持つものなのだと。だからこそ美沙の表情は硬く、険しい。
「……過去なんざ、知ったこっちゃ無いんですよ」
 しがらみも禍根も悔悟も、進むべき未来の前には不要。けれどそれらは枷として誰かの心に纏わりつき、決して離れようとはしないのだということもまた、彼女は嫌と言うほど知っている。そしてだからこそ、『それ』は排除する他ないと美沙は考える。
 廊下はどこまでも薄暗く、長い。闇の種族の城というのは往々にして臓物や血管、異形の神々などといった奇怪でグロテスクな装飾を施されるものだが、この城にはそうした悪趣味の気配はない。それはこの背徳と冒涜の世界において、いっそ異様な光景とも言えた。
 とは言え重々しい石造りの城内は、ひとの気を滅入らせるには充分だ。はあ、と小さく息をつき、美沙は埃っぽい空間に視線を巡らせる。
「辛気臭い城ですね……文字通りの掃除が必要そうな気もします」
 掃除すべきなのは積もった埃だけか、それとも。いずれにせよ、探すものは恐らくこの先にある。

成功 🔵​🔵​🔴​

七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自信過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言

戦闘は戦場で技術を覚えて自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘スタイル。
多彩な戦闘スタイルを理屈でも説明できる。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 
怪我は厭わず行動します。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。



「魂人を逃がした、か……」
 予知で語られた敵の『罪』をなぞり、ふむ、と七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)は己の顎を擦る。
「まるで『弱い者への慈悲を捨てきれず、優しさに負けた』ようにも見えるが……しかしな」
 闇の種族。それは下層のヴァンパイアとは比べるべくもない程に――そう。あれらを比較基準にしてなお『もっとずっと酷い』と言わざるを得ない程に、強く悪辣なひとならざる怪物たちだ。今一度そのことを思い返し、龍厳は冷静に首を横に振る。
「……期待はすべきじゃないか」
 どのみち、おそらくこちらの論理も倫理も通用しない相手だ。甘く見るべき相手はないと告げる龍厳の戦士の勘は、恐らく正しい。
 蝋燭に淡く照らし出される廊下を進むうち、そうして彼はふと壁の一点に目を止めた。――ほんの少しだけ、石の色合いが違って見える。掌を添え、力を籠めて押し込めば、案の定そこは重い音を立てて滑り出し、地下へと繋がる階段を露わにする。
「……隠し階段か」
 耳を澄ませば、その奥底から空気の流れに乗って微かにむせび泣くような声が聞こえる。魂人が囚われているのだろうか――その可能性に思い至り、龍厳は迷うことなく地下へと飛び込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『魂檻人形』

POW   :    こんな事したくないのに、身体が勝手にっ!
単純で重い【武器】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    お願い、避けてっ!
予め【意思に反し、今から攻撃するのを警告する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    もう…楽にして…
自身の【生きる気力】を捨て【るが、逆に簡単に死ねない呪われた体】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。

イラスト:バスター

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 隠し階段の先に設えられていたのは、まるでダンスホールのような空間だった。四方の壁にはそのまま巨大な飾り棚が据え付けられており、幾つもの絡繰人形がそこにずらりと並べられている。
 ――否。
「お願い……お願い、助けて」
「私たち、生きていたのに」
「いいえ、魂人になってまだ生きているのに」
 嘆きの声を上げながら、ひとつ、またひとつ、人形が立ち上がる。手に手に凶悪な形状の武器を取り、侵入者である猟兵へとにじり寄りながら、人形は――否、人形に魂を閉じ込められ、何処からか操られているのであろう魂人たちはなおも泣き叫ぶ。
「出して! この身体から出して!」
「……さもなくば、いっそ殺して!!」
シエナ・リーレイ
●アドリブ可
わたしと遊んでくれるのね!とシエナは喜びます。

隠れていた者達と無事に見つけたシエナ
素敵な道具を片手に行われるお遊戯への誘いにシエナは喜んで応じます
『お友達』の言葉に併せて道具を躱し地形の破片を[激痛耐性]で[気合い]で耐えつつ踊ります

その身体は嫌なの?とシエナは問い掛けます。

『お友達』が肯定すればシエナは『お友達』の道具を持つ腕を[怪力]で砕きつつ『お父様』の侍らせる巨大な繰り手へ投げ渡します
無事に『お友達』が毛糸や布となり『お父様』に新しい身体に作り替えられればシエナは『お友達』が望む遊びの相談を始めます

次は何をして遊ぼうか?とシエナは『お友達』に問い掛けます。



 操られるままに襲い来る人形の――人形の中へ押し込められた魂人の群れを前にしてシエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)がまず覚えた感情は、純粋な歓喜だった。
「わたしと遊んでくれるのね! とシエナは喜びます」
 振り下ろされる物騒な器具も、涙混じりに逃げろと叫ぶ魂人の声も、彼女にとっては素敵なダンスの誘いと変わりない。ひらりひらりと蝶のような所作で人形たちの攻撃をかわしながら、無邪気に彼女は微笑み、問いかける。
「その身体は嫌なの? とシエナは問い掛けます」
「い――嫌、嫌、助けて! 私たち、こんな――」
 その先の言葉が声になることはなかった。少女の怪力が人形の四肢をいとも容易く捩じ切り、背後に侍る巨大な『繰り手』へと残る胴部を投げ渡す。
「なら、新しい体をあげるね! と、シエナは――」
 言いかけ、瞬いたシエナの瞳に、白く靄がかった影のようなものが映る。ごく一瞬しか目で捉えることはできなかったが、あれは恐らく――。
「――『お友達』。もしかして、お気に入りの身体がまだあるのですか、とシエナは更に訊きます」
 怯え震える声で、それでも人形の中の魂人は肯定を返す。彼らはまだ、その肉体を失ってしまったわけではないのだ。恐らくは肉体と心を引き離され、心の部分だけがここにいる。そう心得て、シエナは呪術師の霊へと再び心のうちで呼びかけつつ前を見た。――ならばまずは、彼らをこの操り人形の中から解放することだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

海原・美沙
その程度の拷問で死にたがるとは。

今更見慣れた光景に苦笑すらする。
こんなのばかり居るから、主が殺し慣れちゃうんですよ。
連れてこなくてよかった…というのは本人居ませんしどうでもいいとして。

お前達の事情など知らない。
消えるまで|破壊《そうじ》するだけのこと。お望み通りになるんだから、少し耐えてください。
何しろ私は主みたいに上手に殺せたりはしないもので。
ぁぁ、戦神の側仕えに、生かしてくれと望まないでくださいね。

戦は殺すものです

相手の数は多い、標的に当たらないまでも、撹乱の上敵の攻撃が敵に当たるなどすれば良いですし…武器はその辺にあるものとか、敵の武器を奪うなどしますかね。
敵の攻撃は別の敵を盾にします。


バルタン・ノーヴェ
全員リクエストによる、各シナリオへの救援プレイングです。
長らく滞っていたり人手が足りてない時など、ご自由にご利用ください。
アレンジ、アドリブ、連携歓迎。自作PBWも採用歓迎です。
ユーベルコードも指定外の、公開中から適当なものを使用してもらって構いません。

HAHAHA!
グリモア猟兵殿の要請に応じて参上デース!
お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!
アタック、ディフェンス、他の方への支援! おまかせくだサーイ!

白兵戦、射撃戦、集団戦もボス戦もオーライ!
冒険の踏破や日常への奉仕活動も得意であります!
|臨機応変に対処可能《好きに動かしてOK》デース!
よろしくお願いしマース!



 は、と海原・美沙(海王の加護・f35716)は嘲るように――或いは呆れたように笑う。
「その程度の拷問で死にたがるとは」
 上層に住まう魂人は、多かれ少なかれ戦う術を、心意気を知っているのではなかったのか。自身にとっては今更見慣れた光景とは言え、悲痛に叫ぶ魂人たちの姿は美沙にとってはいっそ醜く映る。この場におらぬ主の姿に想いを馳せかけ、すぐに思考を切り替えて、美沙は冷徹に目を細めた。
「お前達の事情など知らない。消えるまで|破壊《そうじ》するだけのこと。お望み通りになるんだから、少し耐えてください」
 手近に落ちていた、恐らくは人形のどれかが握っていたのであろう鈍器を拾い、構える。主のように上手く殺してやれはしない。さりとてそうしてやる義理も慈悲もない。地を蹴り、人形の群れの只中へ飛び込んで行こうとする彼女の前を切り開くように、後方からガトリング射撃の雨が飛んだ。
「まずはお掃除、異論なしデース! ……だけど、ちょーっとだけ優しくしてあげた方が良さげと予想しますヨー!」
 機械仕掛けの肉体から展開した火器をしかと構えたまま、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が陽気な声音で叫ぶ。振り抜いた鎚で人形の首をひとつへし折りながら、その慣性に任せる形で振り返り、美沙は低く短く問う。
「なぜです? 戦とは殺すものでしょう」
「HAHAHA、そこを否定するつもりはありマセーン。ワタシが言いたいのは……多分、『この人たちの』力を借りるタイミングがどこかでありそうだなーってコトですヨ。ほら、この後きっと大物とやり合うデショ?」
「……永劫回帰、か」
 バルタンにわざわざそこまで強調して言われたならば、美沙にもすぐに思い浮かぶものがあった。――永劫回帰。致命の一撃ひとつを、己の幸福な記憶ひとつと引き換えに無効化する魂人の力。ダークセイヴァー上層を支配する闇の種族との戦いにあっては、手練れの猟兵とて致命傷のひとつふたつを避け得ぬタイミングは、確実にある。
「……言っておきますが、殺さないのも慈悲をかけるのも、上手く殺す以上に不得手ですよ」
「ドントウォーリー! まずはこの外殻だけをぶっ壊して、魂人の皆さんを救出するだけデース!」
 交わした言葉は、それで最後だった。互いに一度だけ視線を合わせ、即座に己が薙ぎ払うべきターゲットへと向き直って、二人はほぼ同時に石造りの床を蹴る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔(サポート)
UCでフレアライザーや派生形態に変身するか
イグニシオンに【騎乗】して戦う
死角を突いたりといった戦法に躊躇はない
戦いでは取れる手を全力でとる
ただ人質を取ったりなんて義にもとる真似はしないけどな
救助対象がいる場合それ優先で動くぜ

変身・騎乗どちらの場合でも基本的に【空中戦】を仕掛ける
飛行系UCの速度やワイヤーを使った【地形の利用】【ダッシュ】による高速機動戦闘だ
相手の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】や【各種耐性】で受け流しながら【カウンター】の
【生命力吸収】する黒焔で対象を【焼却】する【2回攻撃】【範囲攻撃】を叩き込む戦術になる



 地下ホールは最早瓦礫と埃に埋もれ、惨憺たる有様へ変じつつあった。だというのになお、人形たちは己の負傷も仲間の破壊も厭うことなくといった様子で武器を振り上げ、向かってくる。――『肉体』のその動きに抗おうとし、けれど決してそれを許されず、ただ許しを、或いは引導を乞う魂人の声がなければ、もしかするともう少しだけ冷徹に戦えただろうか。
「これも闇の種族のやり方だってのかよ……!」
 久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)の口元から漏れる声には、明らかな怒りの色が滲んでいた。黒剣を抜き放ち、残り少ない人形がまっすぐにこちらへ向かってくるのを正面から見据えて、彼は高々と剣を掲げる。
「心配するな。今ここで、君たちを解放してみせる……!」
 黒き刀身の上を、焔が立つようにして真紅の光が駆け上る。それを合図にしたかのように、どこからか軍馬の嘶きが重なり響いた。ユーベルコードによって召喚されたのは、いかめしい武装に身を包んだ古代騎士の軍勢。百は下らぬその隊列に、ただ一言短く遥翔は命じる。
 突撃、と。
 蹄が蹴散らし、剣が撫で斬り、脆い人形の身体を次々に打ち砕く。瓦礫の上にまた瓦礫が降り、その上を解き放たれた魂が揺らめきながら駆けて行く。
 そうして城内に再びの静寂が訪れるまで、さほどの時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『火焔の魔女』

POW   :    御母様…どうして助けてくれないの
対象への質問と共に、【納得のいく答えを得るまで消えない炎】から【巻き込まれた家族の霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、巻き込まれた家族の霊は対象を【ユーベルコードを反射すること】で攻撃する。
SPD   :    御母様…助けて…助けて…!
【掲げた手のひら】から、戦場全体に「敵味方を識別する【触れた敵のユーベルコードが暴走する炎の渦】」を放ち、ダメージと【催眠】の状態異常を与える。
WIZ   :    御母様…御母様…
自身が【祈りを捧げて】いる間、レベルm半径内の対象全てに【白き炎の翼】によるダメージか【黒き炎の翼】による治癒を与え続ける。

イラスト:koharia

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は海原・美沙です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブ他の猟兵との絡みカオス?も歓迎
見方によってはギャグキャラ化する

 怪我は厭わず積極的に行動する。むろん各種技能は使うが。
何らかの事情で必要がある場合以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしない。

 我輩の応援は森羅万象の全てが鼓舞する対象だ!
それは巻き込まれた一般人から士気の足りぬ兵達。
たとえ枯れ果てた森だろうと、
無念にも死んだ者達の魂や死体であろうとも!
我輩の迸る『気合い』と滾る『情熱』で
ありとあらゆるものを鼓舞するのだッ!
(というある種の狂人?らしきもの)

だが、意外と常識的に考えて普通に戦闘をする事もある。



「――嗚呼。折角、折角あの子たちを大事に隠しておいたのに」
 石造りの急な階段をゆっくりと下って来た足音の主は、ひどく悲しげな声で呟く。
「貴方たちに見つかりさえしなければ、私の罪は雪がれたことにできたのに――あの子たちを殺さずして、私はここに留まれたのに――!」
「……異なことを言うではないか。第三層の領主が、魂人を捕らえ、閉じ込め、『殺したふり』に留めようなど。……聞かせてはもらえないか。君は、一体何を望んでいる?」
 女の言葉にやや困惑したように眉を寄せ、それでも誠実な語調で七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)は問う。森羅万象を鼓舞する応援団長にしては静かな声音が、重苦しいホールの空気を僅かに揺らす。
 女は答えない。ただ頭を抱え、焼けた蝋を滂沱の涙の如く流しながら、ぶつぶつと低い声で繰り返す。
「嗚呼、嗚呼――またなの……またなのね……? 全てを私から奪い取り、全ての罪を私に着せて、お前たちばかりがのうのうと……!」
「……やはり言葉は届かぬか、致し方なし!」
 応、と叫ぶ漢の声が、高い天井に響き渡る。ユーベルコードに喚ばれた応援団の演舞を導きながら、兵衛は力一杯に声を張り上げた。
「聞け、魂人諸君! 我ら猟兵此処に在りッ! ――どうか、共に戦ってくれッ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

海原・美沙
【f21199】と一緒に

貴女の母親は死にましたよ。
主の娘というだけで、拷問されて、死を望み、隙を見て主が殺しました。
主の娘というなら、何をされても死にたがらない強さを受け継げば良かったものを。
…まぁ、本人がそうでも周りが死んでったのが問題か……今どうでもいいや。

取り敢えず、貴女の母が来ないのはそういうことなので、諦めていただけますかね?
主が来ちゃうじゃないですか…せっかく内緒で来たのに。

なんでここに居るんですか、そう問うことは許されず、一喝されて内心でアッカンベー
ここは戦場であるから、戦の神が絶対なのだと、最早骨身に染み付いた感覚だ。
こうなったからには、主が最後まで立っていられるように補佐するだけ。
炎に触れないようにした方が良さそうですね。

…彼女が誰だか分かってたんじゃないですか。
さぁ、帰って夕飯でもつくりましょうか。ちゃんと食べてくださいよ。

ごめんなさい、あなたの母とあなた達を幸せにしてあげられなくて。
私は我が子を愛せる女じゃ無かったんですよ。
帰り際、もう居ない彼女に内心で詫びる。


ミカエル・アレクセイ
【f35716】と一緒
開口一番、「余計な気をまわして、単独で面倒事に巻き込まれてるんじゃねぇ」、と一喝

こいつに何かあってこいつの旦那に怒られるのは俺だ。めんどくせぇ。

俺のことを知っているのか?
神だなんて言ったところで殺し稼業。
殺した相手をいちいち覚えちゃいないが…もう開放してくれと懇願してきたやつらの誰かか?
にしては焼け死んだっぽいが…俺は綺麗に殺すぞ?

普段人の世話ばかり焼いている此奴が自分の用事で出かけるからには相当の相手と思ったが…
母親が俺に似てる?その痕跡も掴めぬ姿で言ってくれるな。
相当な死に方をしたと見るが、だからと言って此奴を泣かしたらあと面倒だからやめてくれ。

ユーベルコードと相性が悪そうだな…でも俺ヴィジランテだし、まぁ、|戦神《おれ》のすることなんて一つだろ。
ミサ、敵への道をつくれ。

炎には当たらぬように。
止めは聖剣をもって苦しまぬように。
運が悪かったんだ、お前の母親が俺の娘になんて産まれてくるから。
次の生があったら、俺とは関係ないところで、幸せにな。

…ぇ、お腹すいてないぞ…


シエナ・リーレイ
●アドリブ絡み可
あなたの御母様は何処にいるの?とシエナは問い掛けます。

母親の助けを求める『お友達』候補と相対したシエナ
肝心要の母親が見当たらないのでまずはそれについてきいてみます
そして、返答を得たシエナは『お友達』候補と仲良くなる為に行動を起こします。

助けたくても助けられない状態なんだよ!とシエナは予想を告げます。

御母様が助けに来られないのならばこちらから赴けば良い
これが最善だと結論を出したシエナは炎をユーベルによる強化で耐えながら『お友達』候補とその家族を[呪詛]に満ちたハグで『お友達』に迎えようとします

わたしと一緒なら何処でも連れ言ってあげられるよ!とシエナは笑顔で告げます。



 女の上げる怨嗟に満ちた声は、幼子の泣き声のように震えていた。それを正面で聞く海原・美沙(海王の加護・f35716)の瞳が一層険しい光を宿しつつあることに気付いてか気付かずか、死して闇の種族へ変じた女は虚ろな瞳で宙を仰ぐ。
「御母様……ねえ、御母様、助けて……どうして私ばかり、このような……」
「あなたの御母様は何処に――」
「貴女の母親は死にましたよ」
 シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)の問いを遮る形で冷徹に、端的に美沙は言い放つ。女の目尻がぴくりと震えたのは、動揺ゆえか――或いは、憤怒によるものか。あり合わせの武器を無造作に担いだままの姿勢で、そのまま美沙は言葉を続けた。
「拷問されて、死を望み、隙を見て主が殺しました。主の娘というなら、何をされても死にたがらない強さを受け継げば良かったものを」
 女を包む紅蓮の炎が、まるで彼女の激情を表すかのように勢いを増す。侮蔑すら感じさせる声音で美沙が投げかけた言葉の意味を噛み締めて、シエナはスカートの裾を握る。
(「あのお友達候補に、お母様はもういない……探しに行っても、どこにも? ……それなら」)
 会いたくても会えない、助けられない状況にお母様とやらはいるのだと、そう説得するのは恐らくこの流れでは逆効果。お友達になるどころか、怒らせて嫌われてしまうかもしれない――そう考え、シエナは一旦口を閉ざして己の『お友達』たる人形たちを制することにした。
 女は答えない。ただ憤怒の色を瞳に灯し、己を焼き続ける炎を揺らめかせながら、闇の種族は狂気に染まった目で猟兵たちを見つめていた。
「取り敢えず、貴女の母が来ないのはそういうことなので、諦めていただけますかね?」
「黙れ――黙れ、黙れ黙れ黙れ! 御母様は、御母様は私を見捨てたりしない!」
「うるさいですよ。主が来ちゃうじゃないですか――」
 放たれた炎の渦が肌を焼く感覚に耐えながら、それでも平然とした声でそう言いかけた美沙の言葉が不意に途切れる。ひどく不服そうに顔を歪めた彼女の目には、グリモアで次に転送されてきたのだろう金髪の美丈夫だけが映っていた。男――ミカエル・アレクセイ(山猿・f21199)は、美沙の言葉を待つことなく即座に剣を抜き、ついでとばかりに一喝する。
「余計な気をまわして、単独で面倒事に巻き込まれてるんじゃねぇ」
 彼女に何かあった時、怒られるのは己の方だ。それが面倒でたまらないという内心がありありと浮かび上がるその声に、美沙は返事をすることはせず、ただ胸のうちだけで密かに舌を出す。――ここは戦場、なれば戦の神に従うのは彼女にとって当然の理だ。
「――あ、あ、あぁ」
 一方、女の方もミカエルの到来にはひどく大きく反応していた。目を見開き、両手を伸べて、彼女は狂喜とも狂気ともつかぬ震え方をする喉で切れ切れに言葉を吐き出す。
「御母様、御母様……? いいえ違う、貴方は女ではないでしょう……ああ、だけれどその姿は、私の――!」
「……? どうしたのでしょう、お友達候補は嬉しそうです。とシエナは感じます」
「バカバカしい。その痕跡も掴めぬ姿で言ってくれるな」
 恐らくは『御母様』と呼ぶ誰かの面影を、ミカエルの中に見て取っているのだろう。けれどその言葉をあっさりと切り捨て、ミカエルは渦巻く炎の向こう側に佇む女を睨む。
「相当な死に方をしたと見るが、だからと言って此奴を泣かしたらあと面倒だからやめてくれ」
 とは言え、言ってまともに受け取ってくれる敵ではないのは百も承知だ。現にこうして言葉を交わす間にも、焔の波は十重二十重にも押し寄せ、あらゆる調度品を焼き壊し、救出された魂人たちに息を呑ませ続けている。触れればユーベルコードを狂わせ、暴走をもたらす炎は、言わば殆どの猟兵にとっての天敵だ。無暗に前に出ることは、いたずらに魂人たちの精神を壊し続けることと同義だろう。
 ――けれど。けれどそれを恐れぬ者が、ここにひとりいた。
「わたしと一緒に遊びましょう! とシエナはお友達候補との交流を始めます」
 無邪気に飛び出していく少女の背に一瞬目を瞠りかけ、けれどミカエルは戦神として即座に彼女の意図を理解する。
「……あぁ、『そういう』ユーベルコードか、あれは」
「さあ、さあ! まずは何をしますか? とシエナはあなたの意見を聞きます!」
 押し寄せる炎を、シエナはまるでバレエでも踊るようにひらりと跳躍してかわす。肌を舐めようとする炎を潜り抜け、怨嗟を叫ぶ霊体たちの手をすり抜けるその様は、まるで鬼ごっこを楽しむよう。勿論、中には魂人たちがその身を挺して無効化せざるを得ない一撃も混じるけれど――それでも確実に、予想より遥かに軽々と彼女は女の懐まで駆け寄っていた。じゃれつくように近付いてくるシエナの姿に、女の顔がぐしゃりと歪む。それを見て、ミカエルは剣を正眼に構え、片足を僅かに引いた。
「ミサ、敵への道をつくれ」
 今なら敵の意識はあの少女に向いている。それ単体では決して大きな機とは言えないが――それでも、それをミカエルに捧げる『必殺の一瞬』に押し広げるくらいなら、美沙にできない訳もない。視線すら向けることなく投げかけられた信頼に、美沙はただ短く頷き、そして走り出す。
 荒れ狂う炎が振り払われる。霊の群れが切り捨てられる。ただ一筋、真っ直ぐに切り開かれていくその道を、男は聖剣を携えひた走る。女の目がこちらを向いた。振り上げた刃が、焔に照らされ朱く煌く。躊躇いはない。ただ憐れみだけがあった。蝋に潰れた双眸を覗き込み、そうしてミカエルは低く囁く。
「次の生があったら、俺とは関係ないところで、幸せにな」
 白い首が、赤々と燃えるホールの宙を舞う。それが炎の中に落ち、たちまち燃え尽きて――そして闇の種族の力で突如出現したというその城は、次の瞬間跡形もなく消え去った。
 幻のように消えた城に代わり、視界に広がるのは鬱蒼と生い茂る森の光景。僅かに残る煙の匂いを吸って、シエナはそっと天を見上げる。
「お友達……には、できませんでしたが」
 それでも、シエナは思う。もしも彼女が最期に聞いた言葉の通り、いつか次の生を得るようなことがあったなら、或いはその時は――。
 静かにそう想いを馳せて佇む少女には早々に背を向け、闇の森を歩みながら、美沙は隣を往く男につんと言う。
「……彼女が誰だか分かってたんじゃないですか。さぁ、帰って夕飯でもつくりましょうか。ちゃんと食べてくださいよ」
「……ぇ、お腹すいてないぞ……」
「良いですから」
 半ば強引にミカエルを引っ張るようにして歩調を早めつつ、そうして美沙は誰に明かすこともなくそっと祈る。
(「ごめんなさい、あなたの母とあなた達を幸せにしてあげられなくて。――私は我が子を愛せる女じゃ無かったんですよ」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年03月23日
宿敵 『火焔の魔女』 を撃破!


挿絵イラスト