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いつかの再現を

#エンドブレイカー! #永遠の森エルフヘイム

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#エンドブレイカー!
#永遠の森エルフヘイム


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●永遠の森エルフヘイム
 その都市国家は、世界創生の頃より存在するという巨大樹木群を基に形成されている。
 そこに暮らすのは、長寿の種、エルフ。かつて《戒律》によってあった『区別』は、エンドブレイカーたちの活躍によってもはや、ない。
 木々の間を繋いだツリーハウスが生活の場の多くを占め、そこに暮らす人々の連綿と続いた知識と技術の積み重ねによって安全に、穏やかに、日々を暮らすことが可能となっている。
 なっている──はずだった。
「ぅわッ?! は、橋が?!」
 その異常は、突如起きた。
 ツリーハウス同士を繋ぐ強固だったはずの木製の橋梁が踏んだ途端に崩れ落ち、辛うじて落下を免れたエルフが目を剥く。
 傍では支える大樹に触れただけでその幹はマシュマロのように凹み、歪み、大きく軋みを上げて傾いていく。
 『木々』に触れると、都市が崩壊する。
 悲鳴が渡る。
 ここに住まう者にとって、木々は礎であり、大地であり壁であり天井だ。
「ッ既に軟くなった場所ならそれ以上悪化はしないみたいだ!」
「って言っても……! 壊れた橋に乗っていられないじゃない!」
 住民たちはマシュマロのようになってしまった木や、家の上に寄り集まり、身を縮めるしかない。
 そして更なる絶望が、彼らを襲う。
「外門が破られた! ボアヘッドだ!」
「門も軟らかくなったのか……いや、あの数はおかしいだろ……!」
 外敵から集落を守るための門は既に崩され、その向こう側には屈強な肉体の二足歩行の猪たちが押し寄せているのが見える。
 このままボアヘッドたちが集落に雪崩れ込めば、彼らは『木々』であろうと構わず触れ、踏み抜き、破壊するだろう。
「どうして……! なにが起こってるの……!」
 悲鳴が木々の折れる音に掻き消された。

●グリモアベース
「……ぜんぶ、エリクシルの、せい」
 今は冒険者の酒場に姿を変えたグリモアベースで、眠そうな空色の左目を持つ少年はぽつり呟いて。少年── リコ・ノーシェ(幸福終焉至上・f39030)は集まった猟兵たちへ、ぺこりと頭を下げた。
「初めまして。おれはリコ。どうぞよろしく、な」
 告げて、彼はぱらりと古ぼけた手帳を開いた。
「早速お願い、したいんだ。場所は、エルフヘイム。……集落中の『木』か、『木製のもの』に触ると、それがぐにゃぐにゃになっちゃう、みたい」
 此度の戦いを凌いだとしても、その後も住民たちはこの集落に住み続ける。できる限り被害は避けてもらいたいところだ。
 集落に到着後、そうした被害に留意しながらもまずは逆側に位置する門まで駆け抜けてもらう必要がある。時には住民たちの危機に行き合うこともあるだろう。
 そして門に押し寄せるボアヘッドたちを、集落に入れないように意識しつつ戦ってもらわなくてはならない。
「ボアヘッドって、全然、珍しい種族じゃないんだ、けど。集落のひとたちが言ってるみたいに、この数は、異常。……それは、エリクシルの力で呼び寄せられてるから、なんだ」
 そこまで言うと、リコは左右色違いの双眸でひたと猟兵たちを見回す。
「ボアヘッドたちの壁を越えた先に、エリクシルによって蘇生させられたマスカレイドが、いる。それが、戒律騎士スフィクス。……かつて『長老』と呼ばれて、《戒律》を司ってた一族の長だ、よ」
 まあ。ふむと顎に拳を寄せて彼は視線を落とした。
「その辺は、今回特に重要じゃない、よ。問題は、『前にエルフヘイムを壊そうとした奴が、もう一度壊そうとしてる』ってこと、だけ」
 それだけでも、放っておけない、でしょ?
 ほんの少し、彼は悪戯っぽく微笑んだ。古ぼけた手帳をぱたりと閉じる。
「それじゃあ。その。……どうか、幸せなエンディングを」
 ちょっぴりはにかむように、リコは言った。


朱凪
 目に留めていただき、ありがとうございます。
 EB!世界大好きです。朱凪です。

 まずはマスターページをご一読下さい。

▼OP補足
 集落の中はほとんどツリーハウスや樹上ですが、第2幕以降の戦闘は地上です。
 1幕はとにかく被害少なく外門へ抜けることが目的ですが、住民エルフたちの救助に尽力いただいても大丈夫です。
 2、3幕は幕間挿入後からの募集開始となります。

▼参考まで(読む必要は皆無です)
 永遠の森エルフヘイム
http://t-walker.jp/eb/html/world/1w04_polis.htm#002

▼進行
 おそらく緩やかめの進行になります。
 タグで募集期間を通知します。

 では、繰り返す過去を絶つプレイング、お待ちしてます。
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第1章 冒険 『迷宮街を駆ける』

POW   :    パワーに任せ、壁面や崖を登攀する

SPD   :    洗濯ロープや家屋の庇など、僅かな足場を利用して空中を移動する

WIZ   :    手早く地図を用意し、目的地へのルートを探す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クロービス・ノイシュタット
猟兵、なぁ…
未だイマイチ実感無いけど
まぁ一つ、慣らしと行こうか

木や木製は踏んじゃ不味い、と
困ったモンだけど、住処を壊すのは本意じゃ無いしね
橋を渡す綱や、陶器や藁といった木ならざる物を足場に
無い時ばかりはやむ無し、せめて被害を減らすべく爪先で地を蹴り跳び
こういう時の閃きに、残像剣でも振るえそうな軽業
序でに天賦の才(と言われてもピンと来ないけど)とやらも発揮して、
急ぎ駆け、門へ
但し危機に瀕した住民あらば、
綱を投げる、抱える等して、足場に連れて下ろし逃したく

エリクシル、か
元々好みじゃ無かったけども、何とまぁ可愛くない正体だったこと
被害なぞ、広げるワケにゃいかないでしょ
俺は…エンドブレイカー、だからね


ププ・プイッコ
で、でち~!
なんでちかっこれっ
木がおっきいでち、おうちが木に実ってるでち!
だって(アクスヘイムには)こんなのなかったもん!
これが冒険なんでちね……

木に触るとぱーん!するんでちね……ましまろってなぁに?
なら触らないように進むでち
ロープを伝ったり、水を凍らせて足場にしたり……
ぱーん!はうるさいでちっ!(ぷんぷん)
むむ、ビックリして尻尾がふくらんじゃうでち……

あっ人間(エルフ)……
勇者サマはこまってる人間をたすけるでち……!
ユーベルコードで仲間を呼ぶでち
皆もさわっちゃだめでちよ!

あたちじゃどうしようもなくて
どうしよ……ってなっても
他の猟兵をこっちでち~って呼ぶでち
泣いてなんかいないでち!いそぐでち!


ルシエラ・アクアリンド
多くの災難を嘗て退けた
決して平坦な道ではなかったけれど
それでも皆、力の限り尽くし勝ち取った平和。

決してそれを仮初だったとは言わせない為に
沢山の可能性の種が芽吹くのを守る為にも。もう一度、なすべき事を成そう。


先ずは有利に立つ為とルート確保の為に情報収集を行うけれど…
緑豊かな場所だけに爪痕がひどいな…
鷹と視線を共有しメモを用意し地形を出来る限りわかりやすくまとめる
仲間と共有しつつ重複を少なく、穴を埋める様にして行きたいな
発見出来たルート等は全て仲間に伝達

途中住民とすれ違ったら大丈夫、と声を掛け安全な場所へ避難を促そう
話せるようだったら彼らからも情報を貰いたいな。

冷静に状況を判断しつつ迅速な行動を。



●再びの、初めての
「で、でち〜!」
 丸い緑色の瞳をこぼれ落ちそうなくらい見開いて、ププ・プイッコ(バルバ「チッタニアン」の王子様・f38895)はその巨大な樹木群を見上げた。
「なんでちかっこれっ! 木がおっきいでち、おうちが木に実ってるでち!」
 アクスヘイムから出てきたばかりのチッタニアンにとって、それはあまりにも壮大な光景だった。
 そうだね、とププの傍らでルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)が微笑ましく眦を和らげる。はぁあ〜……とププは深い嘆息を吐いた。
「これが冒険なんでちね……」
「そう、猟兵のね。……猟兵、なぁ……」
 自ら敢えてそう口にしながらも、クロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)は首を傾いだ。その呼称には今ひとつ実感が湧かないところではあるけれど。
「まぁひとつ、慣らしとこうか」
 お久し振りと彼はルシエラと視線を交わし、彼女はそっと会釈した。クロービスがひらりと軽い身のこなしで樹上へと──軟くなった箇所のみを即座に見抜き判断して──駆け上がっていくのに、ルシエラたちも続く。
──多くの災難を嘗て退けた。決して平坦な道ではなかったけれど、それでも。
 きりと視線に意志を込め、彼女は腕を挙げた。
「皆、力の限り尽くし勝ち取った平和。決してそれを仮初だったとは言わせない為に。多くの可能性の種が芽吹くのを守る為にも」
 もう一度、なすべき事をなそう。
 白く風が巻いて、彼女のたおやかな指の先に蒼い鷹・ファルコンスピリットが現れ、そのまま風に乗って森の上まで急上昇した。
「クロービス、前方左手寄りの木々の方がまだ生きてるよ」
「判った」
 短く応じた彼は指針を右へと移す。
──木や木製のものは踏んじゃ不味い、と。
「困ったモンだけど、住処を壊すのは本意じゃないしね」
 これらの被害はエリクシルによるのだという。
──元々好みじゃ無かったけども、何とまぁ可愛くない正体だったこと。
 軽く肩を竦めてみせつつ、クロービスは橋桁の崩れ落ちた吊り橋の頑丈なロープの上を危うげなく駆け抜ける。不安定な場所であろうがなんだろうが、彼ができると感じた行動について苦労したことがほとんどない。それをこそ天賦の才と、人はそう呼ぶのかもしれない。が。
──俺自身にはピンと来ないけど。
 僅か苦笑しつつ家の前に置かれた水瓶の縁などを足場に高く跳ぶ彼を追いつつ、ルシエラは視線を隙なく走らせた。
 柔らかくなった部分に|自重《じじゅう》が掛かってくの字にへしゃげ、元の硬さである残りの幹が耐え兼ねて折れ裂ける。そしてその倒れた木々によって家々が押し潰される。
 被害の多い方向を選択したが故に、そんな景色が続いていた。
「……緑豊かな場所だけに爪痕が酷いな……」
 素早く手許で|路《ルート》を描き記しながら、ルシエラは微かに眉を寄せた。
「木に触るとぱーん! するんでちね。ぱーん! はうるさいでち!」
「いいや。弾けるんじゃなくて、触れた場所が音もなくマシュマロみたいに柔らかくなるみたいだ」
「でち? ましまろっなぁに?」
 ぷんぷんと怒って尻尾を上下させるププに、ルシエラがグリモア猟兵の言葉を引用して軽く説明する。お菓子だよ、と。
「こういう柔らかさのね」
 彼女の指が、足許の既に崩壊した『家の壁だったもの』に触れて見せた。ふに、と沈む指先に「でちっ?」ププは毛を逆立てた。全てが初めて見る情景に困惑する。けれど同時に奮い立つ心を覚えていた。
「あっ人間……」
「! た、助けてくれッ……!」
 ププにとってはエルフもひと括りに『人間』だ。突如踏んだ場所が柔らかくなり裂けたらしい。ツリーハウスの土台からぶら下がるエルフがいた。
 掴もうにも掴んだ場所はまた軟くなる。体重を支えることができないらしく、そのエルフは握力だけで必死にしがみついていた。
 ぴんと背筋伸ばし、彼女は迷いなく駆けた。
「勇者サマは困ってる人間をたすけるでち……! 皆も手伝って欲しいでち! でも皆も木にさわっちゃだめでちよ!」
 多方向からの支援が要ると判断したププは仲間を喚んだ。喚ばれたチッタニアンたちは、彼女が傍の|瓶《かめ》が倒れ割れて散った水溜りを攻撃し凍らせた場所を一瞬の足場とし、めいめいに手を伸ばす。
 彼女は六歳のチッタニアンではあるが、猟兵として、大人を引き上げる程度の怪力は備えていた。ただその力を仲間たちにも分配しているが故に、完全に引き上げ切るには至らない。
「で、でち……っ!」
──ど、どうしよ……っ?
 勇者は、人間を。
 混乱したのは、一瞬。
「勇者サマ、か」
 いいね、と聞こえた声はクロービス。チッタニアンたちがエルフを支え、耐えたが故に生まれた『余裕』に、新たな足場から高く跳躍した彼が危機の住民の身体を抱え、浚い上げた。
「こっち!」
 歴戦の彼らでなくても落ち着ける場所をルシエラが誘導し、クロービスと住民はそこへ難なく降り立った。
「大丈夫? 怪我は?」
「す、擦り傷くらいで……ありがとうございます……!」
 見上げるほどの大樹群。そこに『生る』ツリーハウスから落ちたなら、命はまず助からなかっただろう。
 クロービスへ、ルシエラへ、そしてププの姿を認めて深々と頭を下げたエルフの青年に、
「ぁ……」
 安堵に視界が揺らぎそうになるのを、ププはぐしぐしっと目を擦った──泣いてなんかいないでち!──。
「この先、外門までの間に特別な建造物はある?」
「いえ、多少の大小はありますが、ただ居住区と……ああ、門の近くには武器庫があります」
「武器庫……」
 ルシエラは思案する。もしそれを支える木が軟くなったら、地上のボアヘッドたちに武器の供給を与えることになるかもしれない。より急ぐ必要がある。
 落ち着くまで木製のものや木々には触れないように。可能であればより安全な場所へ避難するように。
 これまでに集めた情報をルシエラが青年へ伝える傍らで、クロービスは眼鏡の奥の藍色の双眸を外門の方向へと差し向けて、胸中で肯く。
「これ以上被害なぞ、広げるワケにゃいかないでしょ」
 ププが『勇者サマ』を目指し、それに成るというのであれば、クロービスがなんと名乗ってもいいと思えた。

──俺は……エンドブレイカー、だからね。

 その名はやはり、『猟兵』よりもしっくりと胸に収まった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ボアヘッド』

POW   :    ボアクラッシュ
自身の【牙】を【長大】化して攻撃し、ダメージと【大量出血】の状態異常を与える。
SPD   :    剛鬼投げ
【接近して敵を掴んで】から【投げ技】を放ち、【抑え込み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    集落形成
レベルm半径内を【バルバの集落】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【凶暴性】が強化され、【知性】が弱体化される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クヤク・サンガ
他者には敬語混じりの口調

工房を構える場所、アクスヘイムとどちらにするか迷ったくらい好きなんだけどなここ
随分とひどい
密告者でも出てきそうな組み合わせなのが嫌だな

拙速は巧遅に勝るということで門に急ぎボアヘッドの侵入を阻止することを優先
「触れると」というのは、ブーツ越しでもアウトなんだろうか
あまり周囲に触れたくないので、一歩の距離が大きくなるようダッシュとジャンプという技能を当てにして駆け抜ける

住民のことは気にかかるけど、俺じゃ救助方法が思いつかない
見かけることがあれば「助けに来ました」とは伝えておこう
不安定な場所で混乱したままいるよりは、少しは心が軽くなると思う
安全な場所で待っていて欲しい



●森の侵入者
──『触れると』というのは、ブーツ越しでもアウトなんだろうか。……まあ、拙速は巧遅に勝る、か。
 既に倒れた家のはめ込み窓の硝子へ軽い足取りで降り立ったクヤク・サンガ(徒人・f38921)はくいと愛用のキャスケットのつばを押し上げ、眉を顰めた。
「工房を構える場所、アクスヘイムとどちらにするか迷ったくらい好きなんだけどな、ここ」
 いつでも常時開店休業中の雑貨屋を思う。倒れた大木の幹や、壊れた家々。……随分とひどい。
 周囲の状況を素早く把握しながらもクヤクは外門へと跳ぶように駆け抜ける。エルフヘイム、戒律騎士スフィクス。
「……密告者でも出てきそうな組み合わせなのが嫌だな」
 かつてエルフヘイムの戦いにも参加した彼にとって、その名前はその不気味さと相俟って未だ記憶に残っている。
 だからこそ阻止は必至であり、この郷を守ることも必然だ。
「!」
 空から落ちてきた一葉の紙を、クヤクは咄嗟に手にする。そこには郷の中を如何に進むべきかの地図が描き記されていた。見上げれば蒼い鷹のスピリット。見覚えのある文字に口角を上げ、彼は迷わずその地図に従い進路を変えた。
 そうしてひた駆け、幾許か。
 煉瓦づくりの工房らしい場所の中に幾人かのエルフたちが寄り集まっているのを見つけ、とっ、とクヤクはその窓枠に足を掛けて身体を支え、覗き込む。蒼褪めた顔色に胸は締め付けられるが、踏むだけで崩壊する場所において一般人をここ以上の安全な場所へ案内する術は現在のクヤクにはない。
「助けに来ました」
 不安定な場所で、混乱したままいるよりは少しは心が軽くなるだろう。彼の願いのとおり、エルフたちの表情は僅か和らいだ。だから彼は続ける。
「すぐ片付けます。……だからこの安全な場所で待っていて欲しい」
「……あ、ありがとうございます……。ボアヘッドたちの押し寄せている外門は、すぐそこです……っ」
 どうかお願いしますと頭を下げる住民たちにひとつ強く肯いて、そしてクヤクは再び強く窓枠を蹴った。

「潰レタ!」
「ヨシ、進メ──、」
「させない、よ!」
 身体の前にアックスソードを構え、全身を砲弾にして叩き込む──吹き飛ばし。猪頭のバルバたちは圧し飛ばされて輪は崩れ、懐かしい感覚にクヤクは小さく笑みを浮かべた。身を捻って着地すると重みのあるその剣をぐるんと回し、敵へと差し向けた。
 強い敵意と殺意が突き刺してくる。クヤクは肩を竦めて見せた。
「さあ、やろうか」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナチカ・カネレ
【歌劇】
※アドリブ歓迎
ユトは兄の親友
歌芸人もEBも大先輩
頼りにしてるよ♪

戦場は初めて
身軽さ生かしてぶっとばすぞ

「ユト、15歳ほど落としてきた?」

6割の成功率の上方修正で
僕が出来るのは運と身軽さ生かした奇襲さ
おいぬさま(犬)に隠れ移動
影縛りされたの狙いでっかい鼻っ面に踵落とし
投げられないよう一撃離脱に徹するよ
犬の中に攻撃で倒れるように隠れしゃがみ走りで後退
騙し演技は得意だもんね
怪我でお荷物が一番NG!

ギリギリの攻防は恐怖より血がたぎる
ユトの視線から犬の動き察知して利用するよ

「ねえねえユト
すっごい面白いねぇ!芝居もいいけどモノホンは違うね」

父の血の目覚め
やはり血は争えない
左の紫の目を爛々と輝かせる


ユト・フォンデュ
【歌劇】
ルナチカは大好きな人達の血を引く子で身内
健やかに育って欲しいよねー

戦場初めてだっけ
ボアヘッドとはいえ、戦場のひりつく空気に、怪我をする危険性…
サポートしなきゃね

目配せして意図を悟る
強かだなあこの子

図体がでかいだけでのろまで不細工だね★
敵を挑発してあっかんべー
年甲斐がないとか言わないでよー?
僕にボアヘッドを引き付け、おいぬさまを召喚
派手に展開して暴れさせる
血でボアヘッドの動きを鈍らせるため影縛りを狙う

ルナチカが敵に捕まらないよう邪魔する
敵の攻撃は武器の動きや視線など見て見切り
見切りきれない時は魔鍵で受け、払う

………血は争えないね
少しの瞬きの後、仕方ないなあって笑った
指1本触れさせない
喰え



●初めての、本物の
「わ……」
 辿り着いた戦場。大地を埋め尽くすほどの数の、ボアヘッド。
 左右色違いの瞳を真ん丸にするルナチカ・カネレ(|馬酔木《両片想いの結実》・f39233)のあどけなさの残る横顔を見て声を掛けたのはユト・フォンデュ(菖蒲咲の黒うさぎ・f39047)。
「戦場初めてだっけ」
「うん。でも平気」
 駆け出しの歌劇芸人であるルナチカだけれど、同時に彼女は魔曲使い。戦う術は心得ている。ひたと敵を見据える瞳に怯えはないが、ユトはちらと件の敵を見遣った。
 珍しい敵ではないし、単体であれば初陣の相手としては丁度いいくらい。だがここは稽古場ではない。敵の猛々しい害意が伝播し、肌にひりつく空気を感じる。彼女にはこの経験値がない。
──サポートしなきゃね。
 なにせ彼女はユトにとって大好きなひと達の血を引く子であり、なにより身内だ。
 彼の決意を読み取ったのか、ルナチカの紫色の左目が悪戯っぽく光った。
「頼りにしてるよ♪」
 とんッ、と跳躍した彼女の姿を目で追うこともなく、ユトは魔鍵の尖った先端で掌を裂いた。散った血液の行方も、今は関係ない。ユトが見るのはただ、猪頭のバルバたち。深く息を吸い、そして笑う。
「相変わらず、図体がでかいだけでのろまで不細工だね★」
 あっかんべー! ユトとて旅の芸人だ。赤い舌を見せれば単純な猪たちの視線は彼に釘づけになる。
「ナンダト……!」
「殺ス! 鈍間カドウカ、身ヲ以テ知レ!」
 押し寄せる、毛むくじゃらの腕。屈強な肉体。うわ、と軽く声を零したユトの耳にうたうように涼やかな声が届く。
「ユト、十五歳ほど落としてきた?」
「年甲斐がないとか言わないでよー?」
 十五年前には生まれてもいない少女の軽口。いくつかの腕を魔鍵で打ち払いながらちらとやった視線に、けれどルナチカの姿は映らない。
 そこに在るのは、数頭の黒き猟犬。ユトの血を代償に喚んだ、おいぬさま。
 猟犬たちは敵の間を縫うように駆け抜け、撹乱する──戸惑う彼らの影へ指先差し伸べ、ぽたり一滴。血を落とす。途端に動きが固まる一頭の眼前に、魔術のように煙のように靴底が現れ──“彼”が認識できたのはそこまでだった。
 全重乗せた踵落としを猪の鼻面に叩き込んだルナチカは、そのままぐるんと身体を回転させ、勢いを乗せて別のボアヘッドの胸板を蹴りつけ、猟犬に紛れ群衆を離脱する。怪我してお荷物になるのは一番宜しくない! 彼女へ追い縋る手をユトの血が縛り、彼の肩に掛かろうとする腕を、ルナチカが落下の速度乗せて踏み潰す。
 初めてなのに勝手知ったるような息の合い方に、ユトは思わず苦笑する。
 それを知ってか知らずか、ルナチカは彼を見る。視線が動くその意図を、教わらずとも理解する。その|天賦の才《ズル》を、彼女は意識して使う。活用する。執行する。
 ひょいと無造作に飛び出したルナチカへ、当然ボアヘッドの太い腕が掴み掛かる。指先が触れる、ギリギリの一瞬。彼女は身を退き、体勢を崩してふらついた。
 猪たちの鼻息が荒くなり、後ろへ倒れる姿を深追いして殺到する。少女の身体を、──しかし猟犬の群れが覆い隠し牙を剥いた。
「指一本触れさせないよ。……喰え」
 高い戦闘力を誇る猟犬たち。ボアヘッドが数頭を犠牲に捧げ牙を乗り越えた頃には既に、少女の姿はそこにない。
 すべて策略。騙し技、あるいは演技と呼ばれるそれ。
──強かだなあこの子……。
 疾うに安全圏へ退避して爛々と左の紫を輝かせる姿へ、ユトは思う。
「ねえねえユト」
 ルナチカは無垢な表情で笑みを咲かせた。
「すっごい面白いねぇ! 芝居もいいけどモノホンは違うねぇ!」
 それは彼女の父親の血。願い通りか、あるいは別の意味でか、健やかに育つルナチカの心からの感想に思わずユトは菫色の双眸を瞬き──それから笑った。仕方ないなあ、って、そう。
「…………血は争えないね」
「? なにか言った?」
「ううん、なにも」
 振り返る彼女に、ユトは小さく白い髪を揺らして見せた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楊・暁
【朱雨】
こりゃもう森だな…
ふふ。語ると思った
でも確かに、こんなすげぇ景色だと俺も探索してみてぇな
…こんな状況じゃなきゃできたんだけど

ん?
呼ばれていつものように傘の――藍夜の内へ
額つけ幸せに微笑み
――ああ
こんなエンディング、ぶっ壊してやろう
藍夜の温もりが俺に闘う力をくれる

じゃあ、いっちょ狐ぞりと行くか…!
触れたら不味いんだよな?なら――
オーラ防御で膜貼った巨大そりを
召喚術で喚んだ子狐達に牽かせ

ほら、藍夜も!
手を引き乗せ

ははっ、だろ?
楽しげな藍夜に釣られて声立て笑い

コート、ありがとう
…ふふ、温けぇ

その氷が極上で最強なんじゃねぇか
藍夜だって、俺の最高のパートナーだ
にまりと笑って

村人救助しつつ
外門まで一気に悪路走破

ボアヘッド…って、あいつらか!
敵の攻撃範囲外から
外門含む敵密集範囲でUC先制攻撃
住民も仲間扱い
まずは足止め
精々、吹雪の中で彷徨ってろ…!

敵からの攻撃は気配感知で見切り
功夫でカウンター

藍夜のUCには目を瞠り
綺麗…!少しどころじゃねぇよ…!
ふふ…――やっぱり俺の藍夜はすげぇな
誇らしげに笑う


御簾森・藍夜
【朱雨】
まるで絵本か童話か―…いや、ファンタジーの世界か?
非常に興味が湧いて触ってみたい気はするが倒壊しては意味がないからやめよう
しかしマシュマロ…それこそ発想がアリスラビリンス―…いかん、話が長くなった

何となく行く前に安全のおまじない
心音…こっち、おいで(傘の下に入れそっと撫で、額を付けて“いこう”とだけ

これが狐そり…!わあ、可愛い…!(心音に引っ張られ乗り込む
ふふっ凄いな心音も、狐も…!
すまんこんな危機的な状況なのに俺は楽しい!
こんなの乗ったの初めてだ…!
救助は村人を抱える受け止めるでサポートを
羽織っていたコートで包めば心音を温めて守れて一石二鳥だ

凄いな狐も、“俺の狐”も、凍らせるしか出来ない俺には最高のパートナーだ


へぇ、あれがボアヘッド…なるほど、言語理解は出来ているのか…なら、
――さて心音、お前に最初にに見せかったんだ
UC
なぁ猪共
エリクシルは“いつ”訪れた?
具体的に誰に、いかなる状況で、どう会ったのか!…さぁ、“言って”みろ

ほら咲いた―こんな状況ですまん心音
でも少し、綺麗だろ?



●時は少し、遡る
「こりゃもう森だな……」
 エルフヘイムの大樹群。それも、ツリーハウスが中空で回廊を繋ぎ合う壮大な景色を見渡して、楊・暁(うたかたの花・f36185)は思わずふるりと耳を震わせて呟いた。その隣で、ふむと御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)も好奇心を隠さぬ瞳で手袋の指を顎に添えた。
「まるで絵本か童話か──……いや、ファンタジーの世界か?」
 しかもエリクシルの影響で木々や木製のものに触れると柔くなって傾ぎ、折れ、倒壊するのだという。その触り心地を確かめてみたい気はする。が、もちろん子供ではない。自戒も自律もできる。でも。
「しかしマシュマロ……。それこそ発想がアリスラビリンス──……いかん、話が長くなった」
 まじまじと大樹の幹を眺めていた藍夜は、はっと我に返って首を振り、傍の暁は「ふふ。語ると思った」と口許に拳を当てた。
「でも確かに、こんなすげぇ景色だと俺も探索してみてぇな。……こんな状況じゃなきゃできたんだけど」
 こうしている今も、外門には敵が迫っているのだという。先行した仲間が撒いてくれた地図によって最適な路は確保できるが、寄り道をする暇はない。ゆらり尾を振る暁へ、
「|心音《シオン》……こっち、おいで」
 藍夜は傘の内から手招いた。「ん?」いつものように暁は──心音は彼の領域へと身を寄せると、大きな藍夜の掌がそっと髪を撫でた。それから彼は身を屈め、そぅと互いの額を触れる。
 “いこう”。
 それは安全願うおまじない。声もないその祈りに心音はくすぐったそうに、蕩けるように、微笑んだ。
「──ああ。こんなエンディング、ぶっ壊してやろう」
──藍夜の温もりが、俺に闘う力をくれる。
 瞼を伏せて幸福を分け合ったなら、「じゃあ、」ぱちっと暁色の双眸を開いて悪戯っぽく笑って見せる。
「いっちょ狐ぞりと行くか……!」
 自らの尾から九匹の子狐の姿をした尾獣を喚んだ。住民たちより借り受けた木製のそりを詠唱銀で覆い、更には花のオーラを纏わせた。
「これが狐そり……! わあ、可愛い……!」
 精悍な見目の割りに可愛いものが好きな藍夜が瞳を輝かせるのににっこり微笑んで、そりに乗り込んだ心音は手を差し伸べた。
「ほら、藍夜も!」
 ふたり並んで乗り込んだなら、その怪力を遺憾なく発揮して走り出す子狐たち飛ぶように過ぎ去っていく緑の景色。既に崩れ掛かった枝の端を踏み跳ねればそりは大きく揺れ、悪路をまるでアトラクションのように揺れ、跳ねては走破していく狐そりの乗り心地に藍夜は「ふふっ」思わず湧き上がる笑みを抑え切れない。
「凄いな心音も、狐も……! すまん、こんな危機的な状況なのに俺は楽しい! こんなの乗ったの初めてだ……!」
「ははっ、だろ?」
 勢いよく過ぎていく風に、身は冷えるほど。比較的緩やかな路の頃合いを狙い、藍夜は自らのコートで心音を包む。心音は眦を下げてそれを己の頬へと引き寄せた。
「ありがとう、……ふふ、温けぇ」

「ボアヘッド……って、あいつらか!」
「へぇ、あれが……」
 エルフたちを救い上げながらも辿り着いた戦場を埋める、硬そうな毛並の群れ。それを確認してから、改めて藍夜は狐たちへと視線を遣った。
「凄いな、狐も、“俺の狐”も。凍らせるしか出来ない俺には最高のパートナーだ」
 ふわもふ最推しの藍夜は黒い子狐をひと撫で。目を細めてからくるんと消えるその姿に頬を緩めるその横顔に、心音もにまりと笑う。
「その氷が極上で最強なんじゃねぇか。藍夜だって、俺の最高のパートナーだ」
 さあ、その最強の氷、見せてくれよ。
 言いながら心音は武器飾りの揺れる打刀をしゃんと抜いた。剣舞のように、空を切ると吹き付けるは、視界を惑わし望む幻を見せ続ける吹雪。幻雪花。
「精々、吹雪の中で彷徨ってろ……!」
 敵にはダメージを、味方には攻防の強化を与えるその雪の中、ボアヘッドたちは惑うように、あるいは安心を求めてか集落を形成していく。
「なるほど、言語理解は出来ているのか……なら、」
 その様を観察した藍夜は「──さて心音、」いとおしい相手を呼ばう。
「お前に最初に見せかったんだ」
「なにを、」
 ぴこ、と耳を揺らした心音に一瞥と共に薄い笑みを向け、藍夜は問う。
「なぁ猪共。エリクシルは“いつ”訪れた? 具体的に誰に、いかなる状況で、どう会ったのか! ……さぁ、“言って”みろ」
 彼の問いと共に、ボアヘッドたちの体表にパキ、ピキッ……と氷が膜を張るように広がり、そこに根付いた氷の薔薇が花開いた。月時雨──メブキノアメ。満足のいく回答が得られるまで根を張り苛み続ける麗しい悪夢。
「ほら咲いた──こんな状況ですまん、心音。でも少し、綺麗だろ?」
 もう少し土壌が良ければなお良かったんだが。そう告げる彼に、狐は素直に目を見張る。
「綺麗……! 少しどころじゃねぇよ……! ふふ……──やっぱり俺の藍夜はすげぇな」
「いや、お前の吹雪のお蔭でより美しく咲いているんだ」
 誇らしげに笑う心音に、藍夜も深く肯く。心音のユーベルコードを先に利用したことでボアヘッドたちは集落を形成した。寄り集まることで思考は単純化し、凶暴化し、知性は弱体化し、結果。
「ォオオォォオオオ!」
「殺ス! えりくしるノ為! 殺ス!」
 藍夜が満足する回答など到底得られるはずはなく、氷の薔薇は深くその身に棘根を喰い込ませて敵の身を苛む。また掴み掛かってくる猪バルバたちの行動は実に読みやすく、ふたりは容易く躱し、返す刃で攻撃を重ねていく。
「ふふ、なら俺たちはふたりで最強だな」
「ああ、……間違いない」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マウザー・ハイネン
…森の主様やエルフの皆様元気でしょうか。
昔を懐かしむ気持ちもありますが、まずはこの地を守らねば。

UCで樹の枝を滑り辛い不融の氷で覆い固めながら逆側の外門へ。
凍らせても崩れるなら既に変形した場所や木製以外の場所を足場に慎重に進みます。
道中落下しそうな方がいるなら救助、この異変を必ず正すと伝え安心させてから先へ。
そしてボアヘッド…その殺意、容赦は要りませんね。
氷細剣を地に刺し良く滑る氷で覆い滑走し切り込みます。
掴まれぬよう一撃離脱を念頭に、武器に凍気を纏わせ手足を切りつけて凍らせ動きを封じ、弱らせましょうか。
緩急付けて動きを読まれぬようにし、隙を見て氷槍で貫き仕留めましょう。

※アドリブ絡み等お任せ



●親しみの景色
「……森の主様やエルフの皆様は元気でしょうか」
 壮麗な森を見上げてマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は青みがかった灰色の瞳を細めて、かぶりを振ると手にしたアイスレイピア──『ジュデッカ』の先端を大樹に突き刺した。ほとんど道のようになっている枝へ。
「まずはこの地を守らねば」
 |封印の凍土《コキュートス》。途端に戦場内の地形を、敵の魔力を弾く不融氷が覆っていく。刃を突き刺した場所は柔くしなったが、極力木々ではない場所へ支点を伸ばし、氷の舞台を広げていく。
 ブーツ越しでさえ傷む呪いだ。直に氷が触れれば被害の『増大』どころではない。
 無論、マウザーもよく知る通り、この都市国家は木々が全てだ。僅かな支点で舞台を支え切れるものとは彼女自身も考えていない。『ジュデッカ』を氷に添え、崩れるよりも先に滑り抜けては氷化を解いていった。
 耳の長い住人の危機を目の端に留めれば素早くそちらへ舵を切り、その手を取る。氷の舞台を広げて既に柔く壊れた家屋への道を創造し、避難を促す。
「ぁ、ありがとう……!」
「安心してください。この異変は、必ず正します」
 ひたと視線を据えて力強く肯くと、彼女は再び戦場へと駆け抜ける。
 辿り着いた先には、蠢く茶色の大地。……否。毛並。マウザーの到着に、いくつもの狂気に満たされた双眸が彼女を見上げる。ボアヘッド。バルバとの共存を目指し続ける彼女がその瞳の色を読み取り間違うはずはない。
「……その殺意、容赦は要りませんね」
 短く告げると彼女は再び刃を降り立った大地へと突き立てて一面の氷を瞬時に広げた。とは言えど、他の猟兵たちの奮闘で少しは数が減ってはいるが、グリモア猟兵をして『異常』と言わしめるほどの多数の中ではある。
 四方八方から無骨なボアヘッドの腕が、マウザーを捕らえんと伸びて来る。
「っ、」
 一撃喰らわせたところで、彼女の属性攻撃たる氷結はすぐさま屈強な腕に破砕される。技能のみで抑え込むには修練が足りない。視界が回る。マウザーは逆らわず空を舞い、身を捻って押さえ込まれる前に群れの中から退いた。
 だが、問題はない。
「攻撃の手がひとつと思わぬことです」
 ひとつ、瞬き。彼女は円錐形の槍──教皇の氷槍を構え、足場から飛んで突貫する。引き抜く動きも“上”からならば馬上と同じだ。マウザーはボアヘッドの肩を蹴って跳躍を繰り返して確実に、着実に、一頭、また一頭と突き倒していった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

クロム・ハクト
木に当たりそうなら木製でない部分を糸で絡め伝い移動。
その間、移動も困難だがその場も危険な者が居ればネット等の拘束用具でしっかり掴み引き寄せるなどして退避を手伝う。

これだけ大きく伸びてつながっていると、一つ触るとどこ影響しかねないかわからないな。
ボアヘッドとやらに荒らさせないためにも急ごう。

ボアヘッドに辿り着いたなら、早々に咎力封じ放とう。
集落に入れる訳にはいかないからな。こちらを認識するかしないかの内にできれば畳み掛けたい。

集落を背に、ボアヘッドを見渡せるように位置取る。
(特に仲間の攻撃に期待できるようなら)動きを封じる事とこちらを越えて集落に入ろうとしている敵の撃破を優先。
主にUCを用いた拘束や与奪の糸を含む処刑道具を用いての捕縛(捕縛ネットや糸の巻き付け)とマヒ攻撃(刃に付いた麻痺毒によるもの)。

アドリブ・絡みOK



●豊かな森の
 しゅるっ、と伸ばした糸。十指から一線に走らせたそれの先端、白黒の大熊猫人形が木々の枝を避け、既に崩れ潰れた屋根へと降り立ち、主を支えるために鋭い爪を突き立てる。
 それを確認すると躊躇いなく宙へ躍り出す。固定されたからくり人形を支点に主──クロム・ハクト(黒と白・f16294)は風を切って振り子の要領で渡り移った。
「これだけ木ばかりだと、木製でない部分を探すのも困難だな……」
 ひとつ息を吐く。先んじた猟兵たちが進んだ路は既に荒れた方向だろうと想像がつく。生きている木々を避けようとするならその路以外にない。
「これだけ大きく伸びてつながっていると、ひとつ触るとどこに影響するか判らないな……」
 慎重にならざるを得ない、と。
 駆け出せば踏む場所は柔らかく、柔む場所以外が軋んでばきりと割れた。改めて建て直すよりない建物だと理解してもなお、胸に痛い。微かに目を眇めたクロムの視線の先、子供が見えた。掴んだ枝の先は軟化して握る指先は震える。
 見えた──と思ったときには、既に身体が動いていた。敵を裂く鋭い糸をそのままで巻きつけたなら輪切りになってしまう。素早くクロムは十指を重ね糸を絡め、簡易に編んだネットでその子供を絡め上げた。
「ひぃ……っ!」
「動くな。このまま引き上げる、安心してくれ」
 締め上げない力加減で、屋根の上に引き上げたクロムはその子供をすぐにネットから解放した。完全に腰を抜かしている子供は身を縮めて震え続けている。
──……気の利いた言葉なんて、俺は持たない……。
 口下手、というほどではない。けれど彼はそうした心配りが苦手なのだと、彼自身がそう考えている。だからこそ、少し唇を噛み、それから立ち上がった。
「この集落は護る。この呪いが解けたら、必ず助けに来る。だから待っていてくれ」
 木々には触れないようにな。そう告げると、エルフの子供は涙をたっぷり溜めた瞳で大きく肯いた。
 その信頼の宿る眼差しに、素早くクロムは争いが更に迫る外門へと駆け出した。彼の胸中の意志を更に固める。
──急ごう。集落に入れる訳にはいかないからな。

 視界の先。蠢く猪頭の敵たち。その視線がクロムを捕らえるより疾く、彼は手枷、猿轡、拘束ロープを放った。
 他の猟兵たちに意識を向けていた敵、ボアヘッドたちは見事に捕らえられ、その動きどころかユーベルコードの発動さえも妨げる。咎力封じ。クロムが最も愛用する技だ。
「あんた達自体に恨みはないが、ここを毀されるわけにはいかないんだ。引き返すなら今の内だぞ」
 木蔭の中、集落を背にしたクロムの|黄金《こがね》の双眸が炯と光る。
 その光に、いくらか|気圧《けお》された敵も居た。だが、敵もエリクシルの力によって喚び寄せられた存在だ。退くこともできないのだろう。それは脅迫観念などですらない。洗脳にも近い力に操られている。
「オォオオ! えるふ襲ウ! 殺ス!」
「まあ、そうだよな」
 期待など端からしてはいない。ならばオブリビオンを屠るだけ。細く息を吐いてクロムは手にふた振りの鉈のような拷問具を握り締めた。敢えて刃を雑に潰した、厚い鋼。
 跳ぶと同時、最も集落に近い固体の首筋に刃を叩き付ける。勢いと全重を乗せたその一撃に、骨の砕ける感覚が掌に伝わった。彼の背に伸びた太い腕を、クロムは振り返りざまに刃を薙いだ。不揃いに斬れるその刃。ボアヘッドの悲痛な悲鳴が渡り、──ただひと筋の斬り傷にそのボアヘッドは震え、がくりと膝をついた。
 明らかに動きの鈍った敵の前、クロムはきゅい、と糸を引く。大熊猫の人形が飛び掛かり、鋭い牙が齧りついて息の根を止めた。
 それは麻痺毒。刃に塗られたそれにより、彼の刃は掠めるだけでも動きを縛り妨げる。
「さあ来い」
 ただ短く、彼は言った。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

クヤク・サンガ
ビスさん(f39096)ルシエラさん(f38959)と共に

上手いこと位置をとれたようだし、このまま集落の防衛ラインを維持
挑発して引きつけ、範囲攻撃と吹き飛ばしで敵を強制ヒット&アウェイ
牙に対しては天地無双剣で上手いこといなせたらよし、出来なくても耐える
2人と合流するまでは戦線維持>撃破を念頭に
合流出来たら敵をぶっ飛ばす場所を一か所に定め、ビスさんが動きやすいよう
挑発を止め武器を振る動きを少し大袈裟にする等して威圧するように
ルシエラさんの回復と援護を受け様子を見つつ防衛ラインを押し上げる

逃げる者は追わない
必要なら事が終わってから改めて討伐隊を組めばいいかなって
…さておき

地図ありがとう、助かりました。お元気でしたか、と彼女に
ビスさんちょっと縮んだ?と彼に向けて

防衛戦では|ランバークラッシュ《ぶっとばし》、単体には|ブラッドソード《一撃必殺》
今も昔もやることは変わらず芸もないが、俺の動きは二人にはわかりやすいだろう
思うように戦うから、思うように戦ってほしい
前と、後ろを任せる
其々の役割を果たそう


ルシエラ・アクアリンド
クヤク(f38921)とクロービス(f39096)と行動を

好条件の場所が取れたのなら地の利を生かしたい

基本は後方からの弓での攪乱攻撃、精神攻撃での足止め
戦況把握、敵の足止め、異変時の伝達の支援行動
戦力ダウンの阻害には特に注意をしたい
念の為武器庫の存在を頭に


クヤクと合流できるまではクロービスを支援しつつ防衛ラインを維持
出来るだけ彼を見つける為に視線を配るけれど手を疎かにはしない

地図が役にたったのなら良かったとクヤクに笑いかけ
そちらも元気そうで何よりと
二人のやり取りに申し訳ないけど少し笑って
こうしてまた会えて良かった


合流後は二人が動きやすい様に動くべく
基本は変わらずやや支援をメインに切り替え
行動が疎かにならない範囲で頭目らしき個体を探す

今は無理してまで逃げるのを追う必要はないと思えるので

攻撃は軽業、受け流し、気配感知を駆使し出来るだけ避ける

戦況と時間を見計らい
若干早めに結界術、精神攻撃絡め蒼の天蓋を使用
誰かが傷ついたままの状態は避けたいもの

頼りにしてるしして欲しい
私もそのつもりでいくから


クロービス・ノイシュタット
クヤク(f38921)、ルシエラ(f38959)と

彼女と急ぎ、前線へ合流
手は要り様かい?
なぁんて、心配よりもこっちの方が俺等らしいでしょ
そーぉ?君との差は開いた気がするけどねっ
そんな軽口も相変わらず

リコが『異常』と言う程の規模
混乱状態の集落
敵の数も味方の総力も判らない
…となれば

牙の巨大化を視界に捉えたら、又は掴みかからんと接近する者あらば、
距離を取る、身を逸らし躱す等、回避は常に留意

全体の把握とバックアップはルシエラを頼り
相手の先鋒の前に立ち位置を取る、突出している者を狙う等、
クヤクと共に前にて敵を阻みつつ
侵入、前進を阻むのを第一に
武器庫へ向かおうとする者をその次に

薔薇の剣戟による死連撃狙い
厳しくとも、纏まった所へ凍結含みの範囲攻撃を交え、急所を突き重傷化を、
或いは足や腕といった部位を攻撃、侵攻の鈍化を試み
また、主力の個体を確認したならおびき寄せ倒す等、
戦意を削げそうな立ち回りを意識
撤収させるを図る

消耗なんてしてられないよね
本命は、この先
巫山戯た再演なぞ、キッチリ|終焉さ《おわら》せるさ



●それはいつものように
「オォ゙オ゙! 」
「邪魔ダ……! 退ケ!」
 見慣れた──あるいはもはや見飽きた猪頭の群れに、クヤクは大木を薙ぎ倒すが如き横薙ぎの斬撃を見舞う。長大化したボアヘッドの牙が肌に刺さる直前、素早く身を退き交わす。
「ええ、退いてあげます。その短い腕の届かない場所にね」
 く、と口角を上げて挑発すれば、クヤクの想定どおりボアヘッドたちは更にいきり立つ。敵の視線を誘い、集落への興味を僅かなりと逸らすことができれば重畳だ。他の猟兵たちの到着もあり、未だ集落に押し入られることはない。
──さあ、次の抑えるべき|戦線《ライン》は。
 彼が視線を巡らせたとき、まさにそこと見定めた場所、猪の額へ過たず一本の矢が突き立った。
 ぐるんとその大きな目が矢を捉えんと動くと同時、蒼銀の刃が閃いて敵の身体から紅を散らした。戦線を成していた敵の群れが乱れた。
「手は入り用かい?」
 色素の薄い金の髪が揺れて、ノンフレームの眼鏡の奥の藍の瞳が悪戯っぽく笑った。クロービス・ノイシュタット。その背後には、蒼い鷹を肩に留まらせ、羽根を模した弓を右手にしたルシエラ・アクアリンドが小首を傾げる。
「なぁんて、心配よりもこっちの方が俺等らしいでしょ」
「あれ、ビスさんちょっと縮んだ?」
「そーぉ? 君との差は開いた気がするけどねっ」
 年齢、または背丈。世界を渡る際にかあるいはエンドブレイカーの気合いによるものか。顔を合わせるのは久しく、多少変わったところもあるかもしれないが、交わすやりとりは変わらぬままで。
 ふふと小さく微笑むルシエラに「……さておき」くいとキャスケットを押し上げ、クヤクは腰を折った。
「地図をありがとう、助かりました。お元気でしたか」
「役に立ったのなら良かった。そちらも元気そうで何より」
 そして思いをそのまま音にする。
「……こうしてまた会えて良かった」
 ふたりの顔を見遣って眦を和らげる彼女に、クヤクは肯き、クロービスは軽く肩を竦めて見せた。
「感慨は後だよ。まずは片付けてしまおう」
 これではゆっくり話もできないからね。視線を巡らせれば、殺気立ったボアヘッドたち。
──リコが『異常』と言う程の規模、混乱状態の集落……。
「……となれば」
 視線を仲間へと戻せば、返るふたつの視線は揺らがず心得たとばかりに力強く。
──今も昔もやることは変わらず芸もないが、俺の動きは二人にはわかりやすいだろう。
 クヤクはボアヘッドの前へと立ち塞がった。ふたりと合流したのならばもはや挑発などの小細工は必要ない。ぶぉんと頭上で大きくアックスソードを振り回した。狙いどおり、その姿に威圧されたらしい敵たちは攻めあぐねている。
「思うように戦うから、思うように戦ってほしい。前と、後ろを任せる」
 其々の役割を果たそう。
「了解!」「はいはぁい」
 クヤクの静かな科白に、生真面目な彼女の返事と、気負わぬ彼の声が揃った。
 重い刃を振り下ろす。遠心力には逆らわず軸足で回転し、更に踏み込んで来るボアヘッドへとフルスイング。集落の外門を背に、その巨体を軽々と吹き飛ばす──が、別の方向から伸びた太い指がクヤクの腕を掴んだ。視界が回った、と感じた次の瞬間には背中から大地に叩き付けられて「──ッ」息が瞬時止まった。
 更に抑え込まんと覆い被さってきた敵の動きが、けれど強張った。吹き抜ける涼やかな風。背の痛みがすぅっと消え去って目を開けば、ボアヘッドは「がぁあああっ! ア゙ア゙ア゙!」牙の隙間から泡を噴きながらぎょろぎょろと目を血走らせ、襲い掛かる局所的に過ぎる嵐に藻掻き苦しんでいた。
 身を起こせば戦場全体を蒼い空間の檻が生まれていた。ほとんどのボアヘッドたちが直接的にはなんの制限も受けていないにも関わらず固まっている。クヤクは軽く肩を竦めて笑ったなら、素早く転がるようにして立ち上がり新たな敵と向き合った。
「……また助けられてしまいましたね」
「誰かが傷ついたままの状態は避けたいもの」
 それは蒼の天蓋──ウィンディテイル。初めて見る技ではあったけれど、ルシエラが放つ|アビリティ《ユーベルコード》として違和感がなく、自然と受け容れることができた。
 支援を主眼に置いているルシエラは淡く笑みを唇に刷く。
「頼りにしてるし、して欲しい。私もそのつもりでいくから」
 「そうそ、消耗なんてしてられないよね」クロービスもひたと視線を先に据えた。

「クロービス、右!」
 外門を塞ぐようにして立つふたりの背後、やや高い位置に陣取った場所からルシエラの指示が飛ぶ。その声に全幅の信頼を寄せ、彼らは武器を振るった。集落に進入させないように。そして門の傍にあるのだという武器庫に、絶対到達させないように。
 クロービスは群れの中から突出した一体を特に意識して斬り伏せ、薙ぎ払う。ぐわ、と長大な牙が彼の肩へと迫る。想定内だ。彼は余裕を持って後ろへ跳んだ。知っている。馳せ違うように前に飛び出すクヤクの存在を。
 翻る刃が仲間へと牙を繰り出したボアヘッドの喉を、神速の突きで貫いた。天地無双剣。まだ少し慣れないが故に、やはり|愛用のアックスソードを振り回す方《ランバークラッシュ》が慣れている。
「任せましたよ、ビスさん」
「任されたよ」
 蒼い檻の中でも更に方向性を定めて寄せた敵。一瞬、|空五倍子《うつぶし》色と藍色の視線が交錯する。
 空を翔けた彼は再び刃を繰り出す。薔薇の花弁が舞い散る──薔薇の剣戟。四回を数えるその剣筋は死連撃。技だけではなくそこに氷結の魔力を乗せて周囲にも伝播させていった。
  猪頭の群れの中を煌めく剣が進む。舞うように、縫うように。クロービスの相変わらず洗練された動きは敵の視線すら奪い、凍り付いた筋肉をクヤクの厚い斧の刃が叩き割り、薔薇の花弁に惑う眉間へルシエラの矢が突き立つ。
 彼らにとっては集落を護ることが最優先だった。圧倒的な戦闘力の差を見せつけることによって敵の戦意を挫き、敵が逃亡するならばそれで良い。
「必要なら事が終ってから改めて討伐隊を組めばいいかな」
「そうだね。今は無理してまで逃げるのを追う必要はない──同感だ。頭目……らしい個体はいないようだけど」
「あくまで本命は、この先、ってことだね」
 かなり数を減らしたボアヘッドたちの向こう側。
「──巫山戯た再演なぞ、キッチリ|終焉さ《おわら》せるさ」

 彼ら三人を始め、外門へ集結した猟兵たちは──ゆっくりと歩み来る、三つ首の甲冑騎士の影を臨んだ。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『戒律騎士スフィクス』

POW   :    シールドコンボ
【盾を構えての突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【盾表面からのビーム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    葬送乱舞
【大鎌を用いた乱舞攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    スフィクスの血統
自身の分身を1体召喚する。分身は自身より【調査能力】に優れ、【処刑能力】に劣る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スフィクス家長老:Battle???
 現れたのは漆黒の金属装甲に身を包んだ、三つ首の大巨人。その三つ首が、声を放つ。
「また貴様らか」
「|見《まみ》えるのが初めてであろうが、“貴様ら”だ」
「また邪魔をするのか」
「「「また貴様らが!」」」
 吼える三つ首の主張は、今この時代のエルフヘイムにおいてはまるで意味を成さない。邪魔もなにもない。
 誰かが言った。
「訳が判らないことを言うな」
 誰かも言った。
「関係ないんだよ。どうでもいい」

 猟兵の最終目的はひとつだけ。
 滲み出た“過去”を、倒すだけ。

「許さぬ」
「認めぬ」
「処刑を──執行する」
 
ルシエラ・アクアリンド
クヤク(f38921)
クロービス(f39096)と行動

復活させられた、か
思うところが無い訳ではでは無いけれど
この世界に貴方を認めるわけにはいかない

挑発の言葉に何とも言えない「らしさ」を感じて
半分は本気なんだろうけど
気が解れた事に感謝し小さく微笑う


私の役目は彼らが思う様に振舞えるよう支援に回る事
攻撃もあくまで矢弾の雨、援護射撃、精神攻撃を用い
阻害や隙を生む事を優先とした形で行かせて貰うね

全体の状況を正確に把握したいから
二人より後方で行動するけど
万一の場合は臨機応変に立ち位置を変更出来るよう留意
二人の死角を埋めるよう、状況伝達はきっちりと


基本、彼方の攻撃は軽業、受け流し、気配察知駆使し
避ける方向で行くけど無理な場合はクヤクに任せる
下手に動くよりは其方の方が良いかもしれないし状況に応じた対応を

被害が生じる前に先に精神攻撃と結界術併用で天蓋の檻を使用
時間が多少気になるけれど
二人の事だから大丈夫だと思う
私達だけで戦っている訳ではないから
お互い足りない所は補えばいい

―さようなら、再び逢う事が無い様に


クヤク・サンガ
ビスさん(f39096)ルシエラさん(f38959)と
ビスさんには敬語無し

「どーも『貴様ら』です」
「こんにちは滅びたはずの処刑人」
「密告者にはなれはしない」
「夢なんて十数年前に壊されてるよ」
等と敵を挑発
目的は自分を攻撃対象にさせること
相手の返答は気にしない
言葉に乗らないならとりあえずデスストライク
防護を破るついでに「余所見とは余裕がおありのようだ」くらい言っておく

基本的に敵の意識は俺に向けさせるように
動きや視野、癖、一撃のダメージ等を観察・分析しながら動く
なるべくビスさんと敵を挟む位置、ルシエラさんの存在に気付かせない位置取りを心がける
攻撃には常時生命力吸収を乗せ、避けられるものは極力避ける
特に盾には気を付けるけど、体力次第ではオーラ防御で耐え二人の攻撃の隙を作る手とすることも考える
また、二人に敵の意識が行った時や隙を作ってもらった時は自分の攻撃チャンスとしてデスストライクを叩き込む

倒れなければ回復できる、してもらえる
二人とも頼りにしているし、俺たちで倒せなくても後続に繋がる戦いをしよう


クロービス・ノイシュタット
クヤク(f38921)、ルシエラ(f38959)と

いやぁ、クヤクってば楽しそうだね
軽い調子は崩れない
二人を信じてるし
目的を同じくする猟兵達も居るから

突撃前の脚の踏み込み
乱舞前の鎌の構え
…といった攻撃の予備動作を見切り
放たれた時、横へ躱す、距離を取る等、回避出来るよう
――だけでなく
顔や体の向きから意識の向く方を
足の引きや爪先の向きからは次の狙いを
見切るのは他の全ても含め
敵の“次”を視、自由にはさせない

或いは、踏み込む必要があるならば
剣で受け、交わす剣戟に凍結の力込め
氷の重さで切先を狂わせたく

とはいえ、攻撃させっ放しは冗談じゃない
全員に標的を定めさせないよう挟撃や分散の立ち位置を取り
誰かの攻撃に気を取られている時等、連携を意識し、確実に
氷結剣での斬撃と同時、
腕封じや脚封じも積極的に図る

二人が危なそうなら、攻撃に併せて、
またお前か、はこっちの台詞
…で、誰だったっけ?
その程度なんだよ。とっくに斃れた仮面憑きなんてのは
等々、此方からも挑発を投げて、クヤクが立て直す隙作り

あぁ
此方こそ、許す気は無いさ



●真剣勝負の搦め手で
「どーも『貴様ら』です」
 気負わぬ様子でキャスケットを軽く持ち上げ、まるでいつも顔を合わせるご近所さんとの挨拶みたいにクヤク・サンガは告げる。
 それはかの『唇内の眼球』を彷彿とさせるような口振りでもあって。
 三つ首の大巨人はギシと鎧の擦れる音を立て彼を──彼らを見下ろした。
「貴様らか……!」
 その科白に、大きな意味はない。エリクシルによって蘇生させられたこの戒律騎士にとっては、邪魔する者すべてが『エンドブレイカー』だ。
 だが、対峙した彼らは──正しくかの騎士の宿敵だった。
「またお前か、はこっちの台詞だよ」
 だが。
「……で、誰だったっけ?」
 見たことはあるんだけどなぁ、と軽く金の髪を掻き混ぜ首を傾げて見せるクロービス・ノイシュタットに、「だめだってビスさん」わざとらしくクヤクが首を振って見せる。
「ちゃんと思い出してあげないと傷付いちゃうよ。ねえ? こんにちは、滅びたはずの処刑人」
「いやぁ、クヤクってば楽しそうだね」
「貴様ら……!」
「侮辱するか、このスフィクス家長老を!」
「許さぬ!」
 けらり笑い合うふたりへ、三つ首たちがそれぞれに吼える。
 おいクヤク怒ったじゃん。えー事実だったんだけど。肘で隣を小突いたクロービスにクヤクは肩を竦め──そして同時に、武器を抜き跳んだ。
 一瞬前にふたりが居た場所を、盾を構えた“重戦車”が轢き抜けた。
 大地に刻まれた大きくめり込む足形が、その重量を知らしめる。
 だが、エンドブレイカーたちは慌てない。
「その程度なんだよ。とっくに斃れた仮面憑きなんてのは」 冷気を帯びるレイピアを据えて言い切るクロービスに、三つの顎が歯を軋ませた。

──“らしい”、なぁ。
 隠密が特筆して得意、というわけではない彼女は、ルシエラ・アクアリンドは、仲間たちの挑発により敵の視野を狭めてもらいながら機を窺いつつ、小さく笑みを零した。
 半分は本気から来る言葉なのだろうと思うけれど。
 かつて相対した、強大な敵を前にいつの間にか強張っていた頬が緩むのに気付いて、ルシエラは胸中でそっと礼を述べる。
──復活させられた、か。
 敵のその存在へ、思うところがないわけではないけれど。祈りの形に重ねていた掌を、開く。湧き起こる、風。
「この世界に貴方を認めるわけにはいかない」
 蒼の天蓋──ウィンディテイル。再び蒼い檻が戦場を囲い、敵の周囲には横暴なる嵐を、味方の周りには癒しの風を送り込んだ。
 効果の継続時間の危惧だけが残ると眉を寄せたのも僅か。ふたりなら大丈夫とルシエラはひとつ肯いた。それに、私達だけで戦っているわけではないから、と。顔を上げた、その向こう。
「!」
 三つ首のうちのひとつの視線が彼女を射て、瞬時ぞっ──と身を強張らせたルシエラとの射線を塞いだ、“盾”。
「余所見とは余裕がおありのようだ」
 クヤクはアックスソードを振り上げた。
「お前は密告者にはなれはしない。夢なんて十数年前に壊されてるんだよ」
 密告者。『唇内の眼球』。超古代の邪悪。『他人から隠している欲望』を糧に増幅する──スフィクス家長老の悲願だ。……かつての。
「耄碌したなら思い出させてやる、よッ!」
 そして振り下ろす、超威力・超高速・防護破壊の一撃。|デスストライク《スゴロク》。覚悟を纏うその刃は斬るよりもその速度によって重厚な漆黒の鎧を叩きつけ──叩き割った。蜘蛛の巣のような広い罅が渡る。
「お゙ぉ゙お……ッ!!」
 たたらを踏んだ、騎士の身体。
 それでも技の反動で無防備になるクヤクへ向けて「ゆる、さぬ……!」首のひとつが鋼の意思で大鎌を振り抜いた。そこにもはや明確な狙いなどない。戦場すべてを巻き込む攻防一体となった無差別の乱舞。
 大鎌と鎧の重量、遠心力、そして尋常ならざる膂力によって強制的に軌道を変えるその刃は、ほぼ予測不能だ。
 そう、“ほぼ”。
「ほら、そんな|鈍《なまく》ら、いくら振るったって当たらないけど?」
 クヤクと挟み討つ立ち位置を意識して、物理的に刃を誘導しながらもクロービスの視線は観察を続ける。
 顔や身体の向きから敵の意識の向く方を。足の引きや爪先の向きから敵の次の狙いを。
──攻撃させっぱなしなんて冗談じゃない。
「ッ、」
 彼の技能を以てしても、初めて見る技を観察している間はすべてを避けることはできない。
 しかし、彼らには仲間がいる。
 避ける先が無い。
 知った瞬間には、後列から降り注ぐルシエラの矢弾の雨が敵の三つ首すべての視界を阻害し、幾多と打ち付ける鏃が鎧の隙間やクヤクの割った場所へと吸い込まれた。
「ぁガッ……あ゙、ぁ゙!」
「……お互い足りないところは補い合えばいい」
 仲間に彼女の呟きが届かなくとも。彼らの思いはひとつだ。──今ここで倒せなくても、後続に繋がる戦いを。
 彼らの決意と覚悟の前に、戒律騎士は思うように踊れない。
 故に、初めから致命傷は難なく避けられていた大鎌は、試行し思考する内にクロービスの身を掠めることもできなくなっていく。
 切っ先の“次”を読み、最小限の動きで見切り躱し、己の次の動きにも備えて無駄なく。
 クロービスだけではない。
 クヤクもスフィクス家長老の動きや視野、癖、そして我が身に刻まれる一撃一撃の大きさを確認し、分析し、蓄積していく。
 しかも、極力の被害を避ける彼らではあったが、そこに怯懦は一切ない。なぜなら蒼い檻に包まれた戦場には、涼やかな風が吹き続けているからだ。
──倒れなければ回復できる、してもらえる。
 絶対的な信頼に基づいた策略。
 きつく柄を握り、握力を確かめて肯いたクヤクと視線を交わし合ったクロービスは、滑り込むように三つ首の死角へ踏み込んだ。
「邪魔を……!」
「するなッ!」
「許さぬ、許さぬ……!」
「そういうの、莫迦のひとつ覚えっていうんだよ。──あぁ、……此方こそ、許す気は無いさ」
「ッ?!」
 鎧の隙間を過たず貫いた、細身の刀身。確実な手応えと同時に、白い冷気が漆黒の鎧へピキピキと霜を這わせていく。
 氷結剣。もはや手を伸ばすのにも等しいほど使い慣れた|アビリティ《ユーベルコード》。騎士の動きが、強張る。
「お゙ぉ゙お゙!」
「小癪な!」
 呻く首。喚く首。だがもうひとつの首は仮面の下の目を血走らせ、硬まった筋繊維がぶちぶちと千切れるのも変わらず大鎌を振り下ろし──しかし、そんな苦し紛れの攻撃が喰らうわけはない。
 大鎌の刃に慌てることなくひたとレイピアの先を当てる。途端に氷の塊が鎌の切っ先に生まれ、「「「!」」」騎士は更に体勢を崩した。
「クヤク……!」
 もはや誰の目にも明らかな隙。
 に、と彼は口角を上げた。頭上でアックスソードを回転させ、重量に速度を乗せていく。
 邪魔はしないように、けれど援護はできるように、矢を番えながらルシエラは呟く。
「──さようなら、再び逢う事が無い様に」
 クヤクの厚い刃が閃いた。
「何度蘇っても、お前が滅ぶエンディングは変わらないんだよ……!」
 一度目の攻撃で拡げた罅に向けて、叩き込む。

 三つ首の鈍い悲鳴が弾ける。
 漆黒の鎧が砕け、散った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロム・ハクト
「咎人の処断はこちらも専門分野だ。」
「3人分の猿轡を用意してやった方が良かったか。
 ま、兜頭じゃどのみち力を封じるにしかならないかもしれないが」

大鎌は距離を取って躱したい所だが、敵の射程や周囲にお構いなしだと木々に当たるかもしれないな。
処刑道具で(時にはからくり人形で)受け流しつつ、距離を詰めよう。

敵のユーベルコードを確実に封じたいので、自身のUC使う時は糸で捉えたり、仲間の攻撃に合わせて使う。
先刻既に見られていそうで仲間の攻撃時に隙を作るのに良さそうなら、こちらに気を引くフェイントとして用いる。

アドリブ・絡みOK


マウザー・ハイネン
…とっくに貴方達の時代は終わってますのに。
かつての悲劇を生み出し、その上再び這い出てきて今を壊そうとするのであれば…何度でも終焉を与えて差し上げましょう。

騎士のようですから距離を取りつつ戦闘。
直に攻撃を受けると少々厳しそうですし、全体の挙動を見て動きを先読みしつつ受け流したり地形を利用し身を隠したりして回避しましょう。
分身召喚に対しUC起動、吹雪で戦場を包み動きを封じます。
四肢の動きを凍らせ縛り処刑も調査も妨害してしまえばやり易くなるでしょうし。
切り込む隙が見えたら一気に飛び込み突撃の勢いを乗せた氷槍で鋭く貫きましょう。
悪しき戒律と同じように、貴方も砕かれてくださいませ。

※アドリブ絡み等お任せ



●ただひとつ
「お、お……」
「クソ、クソ……!」
「邪魔をしおって……!」
 他の猟兵たちによる猛攻により、巨大な騎士の分厚いはずの漆黒の鎧の胸部は砕かれ、ふらつきながらも敵の殺意は消えない。
「……とっくに貴方達の時代は終わってますのに」
 マウザー・ハイネンは見覚えのある敵の姿に目を細めて繊細な剣──ジュデッカを胸の前に立て、嘆息をひとつ。彼女の声は、届かない。
「「「許さぬ……!!」」」
 巨人騎士がその身の丈に合う大きさの大鎌を振り上げた、そのとき。
「3人分の猿轡を用意してやった方が良かったか」
 頭上から降ったのは声。
 同時に放たれた手枷と拘束ロープは確かに敵を捕らえたが、
「ま、やっぱり兜頭じゃそうなるか」
 クロム・ハクトの想定どおり、猿轡は弾かれてしまった。素早く敵の巨体を蹴って距離を取り、そろそろこいつも改良が必要か、と彼は己の手を見つめてぴるりと耳を震わせた。
「とりあえずは」
「ああ」
 クロムの双眸が敵に据え直されると共に、彼の後列へと位置取ったマウザーも肯いた。
「処刑を、執行する……!」
 騎士が吼える。
「咎人の処断は、こちらも専門分野だ」
 クロムは静かに切り返す。

 周囲全てを巻き込む、巨大な刃の無差別乱舞。
 その不規則な動きにクロムの身は裂かれ、紅が散る。しかし咎力封じによってその威力はかなり低下しているが故に、致命傷にはならない。
 故に──彼は怯まない。
 きゅる、と強靭な糸を繰って戒律騎士の腕や鎌の柄を絡め取り、刃の先をいなす。
「キ、さまラ……!」
「許さぬ、」
「「「「「「許さぬ!」」」」」」
 大鎌を一閃する。視界をふたつに裂くその動きを目で追う──視線の逸れる一瞬の間に、三つ首の騎士は『ふたり』になった。幻想、ではない。確実に実体のある分身だ。
 クロムに|縛《いまし》められていないその騎士の鎧は傷なく美しく見紛うことはない。
 大鎌を繰り出さんとする分身の戒律騎士の視界はけれど、白く染まった。
「「「?!」」」
「|氷獄の吹雪と共に希望は来たれり《クナンノハテ》──」
 マウザーの手にした細剣を媒介に吹き荒れる、魔の吹雪。敵の四肢を凍らせることで動きを封じつつも体力を削り取るユーベルコードだ。
「かつての悲劇を生み出し、その上再び這い出てきて今を壊そうとするのであれば……何度でも終焉を与えて差し上げましょう」
「なンだと!」
「終焉は、貴様らニこソ相応シい……!」
「邪魔だ!」
「邪魔ヲするナ……!」
「終ワりだ!」
「貴様ラを乗り越え、私ハ進ム……!」
 二体の騎士が、ずしと大地を沈ませ一歩踏み込む。
「、」
 ちら、と背後を一瞥したクロムは、跳ぶ。
 伸ばした与奪の糸を敵の首に絡め引き寄せ、その広い肩に踵を叩きつけると同時、逆の足で兜を蹴り飛ばした。
「そこで止まれ。これ以上森に近付くな」
 此度の拷問具──鋭い棘がずらと並ぶ帯状の金属の両端に柄のある金具──を、首のひとつに巻きつければ棘が深々と突き刺さり、紅が噴き出し騎士はごぼと血混じりのくぐもった悲鳴を上げた。クロムは軽く耳を倒す。
「あと、悪いが煩い」
 巧みに最後の猿轡を噛ませたと同時、分身の騎士は掻き消えた。
 クロムが跳び、離れる。マウザーが氷荊と白百合に彩られた氷槍を引く。
「悪しき戒律と同じように、貴方も砕かれてくださいませ」
 繰り出す刃はまっすぐに鎧の砕けた騎士の胸を貫いた。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

楊・暁
【朱雨】

…藍夜
興味深々だろうけど今そんな場合じゃねぇぞと視線で

戒律…だったか?
細けぇ経緯や理由までは知らねぇけど
1つはっきりしてんのは
お前らが"終わった過去"だって事だ…!

先にオーラ防御
藍夜の足止め後、接敵し切り込み
ああ!
注意に短く応え

基本、愛刀で鎧無視攻撃で2回攻撃して離脱
間合い詰まりそうなら攻撃時に吹き飛ばし
敵の動き常に注視し
自身への攻撃はジャンプや軽業で見切り、無理なら受け流してカウンター
そんな大振りで当たるかよ!

足払いや、刀攻撃と見せかけての功夫・UC攻撃の連続コンボで、
不意打ちして相手の戦いのリズムを崩す
刀だけだと思ったか?―残念だったな
俺は剣士じゃねぇ…拳を使う方の拳士なんだよ…!


御簾森・藍夜
【朱雨】

三つ首…腕は一対で足りているのか?
あ、すまんすまん大丈夫分かってるから心音

戒律なぁ…なんか偉い奴と古い奴は大抵そういうの好きだよな
それで変わり続ける世の中に置いて行かれるんだ
心音の言う通り、もう“終わった過去”だとも
どのように強い理由があろうと、強いては全てを失う

集中する
あの巨体の威力は想像に難くない
制圧射撃で心音が離れる瞬間敵を足止め一瞬の間を稼ぐ
「心音、来るぞ!
距離あるからこそ注意を促して

心音に攪乱され胴が上がら空きになる瞬間
ギリギリまで力籠めUC
いかに寒く苦しかろうと気合いで立つのみ
「俺の欲しいその一瞬は、心音がくれる――!

盾からのビームを持てる全てで僅かでも逸らし当たらない努力



●ただ前へ
 漆黒の鎧は砕かれ、心臓のあるべき場所に大きな風穴を抱えながらも、三つ首の大巨人は未だ、立つ。
「……執念ってヤツか……」
 眉を寄せ呟いた楊・暁──心音が隣を見上げると、彼の無二の存在は顎に手袋の拳を添えて真剣な表情で騎士を見つめていた。
「三つ首……腕は一対で足りているのか?」
 視野はどれが優先されるのか。知的好奇心を覗かせる御簾森・藍夜に、
「……藍夜」
「あ、すまんすまん大丈夫分かってるから心音」
 興味深々だろうけど今そんな場合じゃねぇぞ。雄弁な視線に藍夜は軽く手を振り、三角の耳の間に掌を添えた。
 心音はつい少し緩んでしまいそうになる口許を引き締め、自らを庇護する四色のオーラを花開かせる。
「……行くぞ……!」

 踏み込む、敵の懐。
 愛刀を走らせる先は改めて丁寧に見定めずとも、鎧貫く術を身体が覚えている。
「戒律……だったか?」
 突き刺し、回転乗せて傷を拡げるように抉り薙ぐ。
「細けぇ経緯や理由までは知らねぇけど、ひとつはっきりしてんのは、お前らが“終わった過去"だって事だ……!
「小癪」
「目障り」
「煩わしい、ッ!」
 刃が血に弧を描かせる、それよりも疾くに跳び退る心音。その身を追おうにも、「戒律なぁ、」。
「なんか偉い奴と古い奴は大抵そういうの好きだよな。それで変わり続ける世の中に置いて行かれるんだ」
 弾ける火薬。騎士の腕が、足が、後方からの藍夜の弾丸に縫い留められる。
「貴様ラ……!」
「き、サまらぁアア゙……!」
 既に満身創痍の戒律騎士は苛立ちを募らせていく。
 ずん、と強く踏み込んだ音がふたりの肚に響く。
「心音、来るぞ!」
「ああ!」
 ぴりっ……と尾が膨らむ。三つ首の目はどれを見れば良いのかも判らない──。
 ドッ!
 土塊を蹴る音、耳がそれを捉えた時には巨大な盾が眼前に、
「ッ!!」
 見切る、力は有った。
 だが、避け切るには技量が足りない。辛うじて反応はできたが、跳ぶ瞬間に盾が彼の肩を掠め──ただそれだけで、鈍く骨の折れる音がした。
「心音!」
「大丈夫だ!」
 大きな鎧の音を立てて駆け抜けた騎士が藍夜を狙わないのを中空で身を捻り確認し、片膝つき着地と同時に強く踏み込んだ。ちりッと髪の先端を盾から放たれた光線が灼いたが、それだけだ。
 夜明け色の双眸が、藍夜に据えられる──集中しろ。
「、」
 意趣返しのように騎士へ肉薄した心音は刀を振り上げる。肩。問題ない。動く。
「甘イ!」
 盾の縁で、刀が飛ばされる。兜の奥に僅か灯ったその瞳の『優越』のいろに、しかし心音こそ笑みを浮かべた。
 ぎゅるッ、と黒い尾が動き、三つ首のひとつに絡んだ。それは尾獣穿。
「ナ……!」
「刀だけだと思ったか? ──残念だったな。俺は剣士じゃねぇ……拳を使う方の拳士なんだよ……!」
 そして首に叩き込む拳。
 脳を揺らしたその一撃が僅かの間、戒律騎士から正常な視界を奪った。残る首は、あとひとつ。

 自身の体温と心拍、月光の魔力を代償に放つ、月狼の氷牙。皮膚に霜が貼り付き、見る間に指先から色が失われていく。構わない。
──俺の欲しいその一瞬は、心音がくれる──!
「藍夜!」
 待ち望んだ声に藍夜両の瞼を開き、引き金を絞った。
 絶対零度と月光の力を織り込んだ弾丸は、吸い込まれるように騎士の首を射飛ばした。
 僅かの間の後、その巨体が大地を揺らして倒れ伏す。
「……心音の言う通り、もう“終わった過去”だとも。どのように強い理由があろうと、強いては全てを失う」
 大切な人の傍に駆け寄り、ふたつの意味で体温を取り戻した藍夜は、鮮やかな緑の木々を見上げてひとつ息を吐いた。
「……そういうことだ」
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年01月03日


挿絵イラスト