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ティタニウム・マキアの驚動

#サイバーザナドゥ #グリモアエフェクト #巨大企業群『ティタニウム・マキア』

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#グリモアエフェクト
#巨大企業群『ティタニウム・マキア』


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●安心安全
「いやまあ、そういうわけだ。あんたらの大切な『腕』の一つは持ち去られて所在がわからないと来ている。となれば、次は手当たり次第ってことだよな」
 亜麻色の髪の男は、黒い瞳で目の前の存在を見ていた。
 恐れを忘れないこと。
 彼にとって、それは重要なことであったし、此処で悟られるわけにはいかなかった。
『戦いに際しては心に平和を』
 目の前の存在は巨大企業群『ティタニウム・マキア』の中枢。
 あまりに巨大すぎるがゆえに全容すら全てを把握することの叶わぬ存在達。
 今、自分はその巨大な怪物の顎の中に居ることを否応無し自覚させられている。

「それで。お前は何を求める」
「業界最高峰の名を持ちながら」
「その気になれば我らを殺せるとでも思っているかのような振る舞い」
「目に余る行為だ。故にお前は信じられない」
 目の前の存在の言葉に亜麻色の髪の男は一つ頷く。
 彼等の言葉は意味のない言葉だった。
 彼にとっては何一つ意味がなかった。自身を実態掴ませぬ脅威として捉えているのならば好都合だとさえ思った。
「簡単な話だ。あんたらは覇権を懸けて争っている。他の巨大企業群は『巨人』のパーツ一つなくなっただけで右往左往しているあんたらをどう思うかなんて……」

 亜麻色の髪の男の周囲に撃ち込まれる熱線。
 それに遮られながらも男は首を傾げて言葉を紡ぐ。
「その態度がそのまま答えだよなぁ。だが、俺ならば。他人から見てほしくないあんたらの実態から目をそらすものを用意できる。そうだな。他の企業群が癒着している警察機構なんかが丁度いい。連中が飛びつきそうな餌を」
「それで。失われたものを取り戻す算段を見せることができると」
「皮算用でしかないのではないか」
「できるとも。失せ物探しと言えば探偵よりも警察。何より物量が違う。あんたらは連中の介入を阻むことができる。だが、出来ない連中だって居るだろう。そういうところを突けば良いのさ――」

●買われた平和
 そこは環境汚染によって汚濁の底に沈むかのようなダストエリアであった。
 サイバーザナドゥにおいて金とは必要不可欠なものであり、生きるのに必要なことは金でどうにでもなる世界である。
 故に金のない者は存在する価値すらない。
 金がないからこそ、行き着く先。
 それがダストエリアである。
「それこそゴミのように死んでいく。当たり前の話だ。金がないのだから」
 少年の義体をした『アイレオ』と呼ばれる者がダストエリアに足を踏み入れる。
 彼にとって、此処が生まれた場所であり同時に己の住居でもあった。

「仕事は此処で待つこと。自分の住処で待てというのもおかしな仕事だ」
 彼は仕事を請け負う。
 金を得るためなのだから当然のことだ。
 ある時はカルト教団に売り飛ばされ、ある時は闘技場の如き場所で敵対する者を握り殺す。
 どれもが彼の義体なくして得られる仕事ではなかった。
 危険も伴うし、当然依頼主というのもこちらの生死に関しては特に感心はないようであった。
 そのことに彼が何かを思うことはなかったが、ただ此処で待っているだけで金が手に入るというのはあまりにも都合がよすぎるとさえ思った。

「兄ちゃん、仕事は?」
「なーなー、暇なんだろ? そうなんだろ?」
「本当? 兄ちゃん暇なの? 遊べるの?」
『アイレオ』は特に表情を変えずに周囲に集まる自分と同じ身の上の少年少女たちを見やる。別に兄と呼ばれたいわけではない。
 彼等が勝手にそう呼んでいるだけだ。本来関わり合いにならない存在だ。
 けれど、どうしてか『アイレオ』と呼ばれる義体の少年は彼等の世話を焼く。
 頼まれたわけでも仕事でもない。

 自分が生きていくために必要な金を得て、それを少々もてあましているから暇つぶしに施しているだけだ。
 金を彼等に施している時だけが己が何か上等なものになったような気がするのだ。
 それがまやかしであったとしても。
「……暇ではない。俺はこれから此処で『何もしないで居る』という仕事をしなければならない。だから暇ではない」
 そう言った『アイレオ』に少年少女たちは笑う。
 そういうのを暇っていうのだと――。

●ティタニウム・マキア
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の予知はサイバーザナドゥのダストエリアにおいて、腐敗した警官達がストリートに存在する不法投棄された少年少女たちの住居を襲い、彼等を皆殺しにしてしまうものでした」
 ナイアルテは瞳を伏せる。
 彼女にとっても凄惨な事件であるように思えたことであろうし、何よりも幼い少年少女たちが犠牲になるのは、気持ちの良いものではなかった。

「腐敗警官達は巨大企業群によって『躯の海』を過剰投与されており、オブリビオン化しています。彼等の主なターゲットである少年少女たち……その中の『アイレオ』と呼ばれる少年の義体は、必ずしも善人であるとは言えません」
 だが、例えそうであってもオブリビオンの凶行を見過ごすわけにはいかないのだ。
 この腐敗警官達の背後にある巨大企業群『ティタニウム・マキア』の企みを打ち砕くためには、彼等を打倒しなければならない。

「何故、癒着している警察機構がこのダストエリアを標的にしたのかはわかっていません。何か探しているような、もしくは、そのような情報があったからこそダストエリアに赴いたのか……いずれにせよ、座して待つ理由もありません」
 まずは腐敗警官たちに襲われることが予知されている少年少女たちの住居……ダストエリアに赴いて、彼等と交流し信頼を得なければならない。
「彼等は皆、一様に幼い少年少女たちばかりです。ですが、彼等はダストエリアに幼い頃から居るため、健康被害を被っています。彼等の健康をケアしてあげることで、信用を得ることができるかもしれません」
 彼等の多くは孤児である。
 ダストエリアと呼ばれるストリートは、掃き溜めそのもの。
 だが、彼等はそこで生きている。
 生きることを余儀なくされているのだとしても、生きているのだ。

「彼等の生活の全てを救うことはできないでしょう。ですが、徒に殺されていい理由もありません」
 ナイアルテは頭を下げ、猟兵たちを送り出す。
 巨大企業群『ティタニウム・マキア』の齎す驚動。
 その悲劇の幕開けを猟兵たちはさせぬために、転移していくのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。
 サイバーザナドゥのハイウェイにおいて、巨大企業群『ティタニウム・マキア』の息のかかった腐敗警官達によるダストエリアのストリートチルドレンたちの虐殺を止めるシナリオとなっております。

 巨大企業群『ティタニウム・マキア』は『安心安全を売る』巨大企業です。
 クリーンなイメージはありますが、腐敗警官達を操ることができる以上、その裏側では後ろ暗いことを行っていると見ていいでしょう。
 その『ティタニウム・マキア』が如何なる理由か、ダストエリアで警官達を動かし、虐殺を行おうとしています。
 標的となったダストエリアのストリートチルドレンの中には『アイレオ』という握力に優れた義体の少年も居ますが、警察機構の物量の前には倒されてしまうでしょう。

●第一章
 日常です。
 腐敗警官達たちに襲われることが予知されているダストエリアのアスリートチルドレンたちの居住区に赴き、信用を得ましょう。
 彼等は生まれながらにしてこのダストエリアで生活しているため、慢性的な健康被害を被っています。
 全てケアすることはできませんが、何かすることで彼等の信用を得る事ができるかもしれません。

●第二章
 集団戦です。
 予知通りにオブリビオン化した腐敗警官『悪徳武装警官』が現れ、ダストエリアを一掃しようとしてきます。
 これを迎撃し打倒しましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 腐敗警官たちを率いている一際強力なオブリビオン化警官……『キラー・ロリータ』を打倒しましょう。
『躯の海』を過剰投与された彼女は通常の義体ではどうにもならない強さを持っています。
 彼女を倒すことで、この決戦という名の虐殺を止めましょう。

 それでは、『巨大企業群(メガコーポ)』、『ティタニウム・マキア』と戦いを繰り広げる皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『廃棄区画に健康を』

POW   :    マッサージを行う

SPD   :    診察を行う

WIZ   :    カウンセリングを行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ゴホッ、ゴホッ!」
 小さな咳き込む少女。
 それに時折苦しげな声が混じるのを『アイレオ』は聞いていた。
 聞いていたからと言って何ができるというわけではない。
 ダストエリアは環境汚染が最も酷い場所である。そんな中にあって未だ自身の呼吸器系を義体化できていない者にとっては、この場所は息をするだけでも苦しい場所であった。
 だが、少年少女たちには行くあてなどない。
 ダストエリアとは言葉のとおりだ。
 捨てられたのだ。
 貧しさゆえか、それともそれ以外の何か理由があったのかはわからない。
 自分もそうであったが、『アイレオ』は苦にはならなかった。
 己の体は『腕力』に特化している。
 特に握力。五指の力でもって鋼鉄だろうとなんだろうと握りつぶすことができた。だから、こうして『仕事』が出来ている。
「……これを使っておけ。外から流れ込んできたものだ。俺の呼吸器系はすでに義体化してあるから不要のものだ」
 そう言って手渡すザックの中身はフィルター缶であった。
 法外な値段を要求されたが彼の『仕事』の稼ぎから言ったら大した額ではなかった。

 此度のこの住居に居るだけ、という不可解な仕事が終われば、また別の仕事を探せばいい。
 今度はその場しのぎのフィルター缶ではなく、此処に住まう少年少女たち全ての呼吸器系を義体化することができるだけの金額を要求すればいい。
 生きていれば、『仕事』をこなしていれば、また『次』がある。
「ありがとう、兄ちゃん。いつも」
「拾ったものだ。礼を言われる謂れはない」
「いわれ?」
「理由になってない、ということだ」
『アイレオ』にとっても、このダストエリアに生きる少年少女たちにとっても些細なやり取り。
 だが、その些細なやり取りすらも許さぬと迫ることを猟兵たちは知っている。
 だからこそ、この場に降り立ち、彼等を守るために如何にしてか交流を果たさなければならない――。
オリヴィア・ローゼンタール
都市の下層も下層、汚濁と病に澱むダストエリア
それなりに丈夫な私(環境耐性)でも、かなり厳しい

ナース服を纏って彼らの住居を訪ねる
こんにちわ、こちらに具合の悪いお子さんがいると聞きまして
私は……まぁ、巡回医のようなものと思っていただければ

企業の垂れ流す廃液と排煙に気管支がやられている子供が多い
環境破壊によってこの世界では絶えてしまったであろう、天然の薬草や清潔な水
それらを混ぜ合わせて薬とする(薬品調合・医術)
少々苦いですが、これを飲めば炎症が治まる筈です(癒天使の治療)

症状が落ち着いて子供たちが眠れば、アイレオさんに事情を話す
この区域に企業の手が迫っています
早ければ、襲撃は今日にでも



『躯の海』が雨として降る世界、サイバーザナドゥにおいて人間は汚染された肉体を『機械化義体』に換装しなければ生きてはいけない。
 世界の汚染は終わらず、いつ果てるとも思えぬ世界の行く末を案ずることさえ人々はしない。いや、できないでいる。
 それほどまでに終わりは緩やかに。
 破滅は足音を立てずに近づいてくる。
『巨大企業群』――メガコーポの暴走は地球環境に壊滅的な打撃を与えた。
 有害物質は垂れ流され、ダストエリアは正しく掃き溜めであった。
 そんな下層に一人の猟兵がナース服を纏って現れたのであれば、それは奇異なるものに映ったことだろう。

 銀髪金瞳のシスターであるオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は柔和な表情を浮かべながらダストエリアのストリートへと降り立つ。
「こんにちわ、こちらに具合の悪いお子さんがいると聞きまして……」
 その言葉に少年少女たちは警戒を顕にする。
 当然であったかもしれない。
 目の前のオリヴィアは生身であるように思えた。いや、生身であるわけがない。それと見分けが付かぬほどに精錬された義体化技術なのかもしれないと彼等は思っただろう。
 言ってしまえば、自分たちとは生物が違う。
 生きる空間も、時間さえも違うと思えてしまう。
「……だ、誰だよ、あんたは! あんたみたいな人がこんなところに何のようだ!」
 その警戒を顕にする少年少女たちにオリヴィアは優しげに微笑みを返す。

「私は……まぁ、巡回医のようなものと思っていただければ」
「じゅんかい、? なんて?」
「ゴホッ、ゲホッ!!」
 少年少女たちの一人が咳き込みながら倒れるのをオリヴィアは支える。
 他の少年少女たちが咳き込む少女とオリヴィアを引き離そうとするが、オリヴィアの瞳はユーベルコードに輝く。
 癒天使の治療(ラファエル・トリートメント)。
 それは彼女のユーベルコードであり、同時に自身の体力を削るものであった。
 企業が垂れ流す廃液と排煙。
 それらには当然のように有害物質が多量に含まれている。
 そのため、このダストエリアに住まう少年少女たちの殆どが気管支をやられている。それをオリヴィアは看過できなかった。

 取り出すのは天然の薬草や清潔な水。
 いずれもがこのサイバーザナドゥでは見ることのできないものばかりだった。
 それらを素早く混ぜ合わせ薬とし、それを咳き込む少女に飲ませる。
「少々苦いですが、これを飲めば収まるはずですよ」
「お、おい! 何飲ませて……!」
 オリヴィアは掴みかかる少年の口にも同じように調合した薬を飲み込ませる。
「んんー!?」
「ん……ん? え、喉が、イガイガしない……?」
「本当だ……なんかものすごい苦いけど、ちょっと楽になった……」

 彼等の喉は完全には寛解には至らないだろう。
 けれど、それでも喉の炎症は抑えられるはずだ。そんなふうに少年少女たちが騒ぎ出せば、そこに少年の義体を持つ『アイレオ』がやってくるのは当然の帰結だった。
「なんだ、アンタは」
「巡回医です」
「じゅんかいい? だって! 喉の苦しいのが治った!」
 その言葉に『アイレオ』は訝しむ顔をする。
 無償でこんなことをする者はサイバーザナドゥにはいないからだ。それこそペテンのたぐいだとさえ思われただろう。

 けれど、そんな彼にオリヴィアは耳打ちする。
「この区域に企業の手が迫っています。早ければ、蹴撃は今日にでも」
 その言葉に『アイレオ』は眉一つ動かさない。
 それが自分の仕事であると理解しているからだろう。『何もせずに此処に居る』という不可解な仕事。
 その仕事の詳細は知らずとも、その言葉を結びつけることは容易であった。
「……変わらない。やることはな。仕事なんだ」
 その言葉にオリヴィアはやはりとも思ったかも知れない。
 頑な、というよりはこんな世界だからこそ他者を信じきれないのだろう。
 荒んだ心を解きほぐすにはまだ時間がかかるかも知れない。けれど、オリヴィアは彼女が癒やした子供らが巻き込まれ虐殺される未来をなんとしても阻止しなければならない。
 そう思いを新たにするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
【POW】
アドリブや連携も大歓迎だ

「いわゆる「善人」では無いかもな。
けど、それは助けない理由にはならねえ!」

ダストエリア内を散策、『アイレオ』を見つける
「はじめまして、『アイレオ』。
ちょいと用事があってあんたに会いに来たんだ。
あ、別に争いに来たわけじゃ無いぜ。」
子供達に目を向けながら、声をかける

「体調悪そうだな。おいで、診せてごらん。」
[世界知識]によって発症している病を検索
[仙術]、UCによって治療を行うぞ
「ほら、これで少しは良くなったはずだよ。
何か貰おうって訳じゃ無いが、
話を聞いて貰うことを報酬にしてくれ。
…単刀直入に言おう。
このダストエリアが襲われる。
みんなを逃がすのに手を貸してくれ。」



 サイバーザナドゥにおけるダストエリアは掃き溜めそのものだった。
 廃液や有害物質がたまりこむように周囲には靄がかかったようであったし、そこに生きる人々もまたどうしようもない者達ばかりであった。
 口減らしのために捨てられた子どもたちが同じ境遇なる者たちと身を寄せ合うのもまた当然の帰結。
 しかし、彼等の性根がすべて善良であるわけではない。
 時には人には言えないような仕事にも手を伸ばすかもしれない。
 見た目だけでは判断できない。
 少年の義体を持つ『アイレオ』と呼ばれた者がそうであったように。

「いわゆる『善人』ではないかもな。けど、それは助けない理由にはならねぇ!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)にとって、それは理由だった。
 彼が誰かを助ける理由はそれだけでよかったのだ。
 目の前に困っている者がいれば当然のように手を差し伸べる。そうすることが己の中にある正義であるというように。正しさであるというように。
 だからこそ、ダストエリアにあっても彼はまっすぐに『アイレオ』へと歩む。
 少年少女たちが暮らす住居はお世辞にも住居とは呼べないものであった。
 これは清導が不自由のない生活を送ってきたからでもあったし、文明水準の高い場所に生まれたからであったかもしれない。

 それほどまでに目の前の光景は彼にとっては縁遠いものであったかもしれない。
「はじめまして、『アイレオ』。ちょいと用事があってあんたに会いに来たんだ」
「俺はあんたのことを知らない。依頼だというのならば、仲介を通せ」
 にべにもなく告げられる言葉。
 その義体の瞳が清導を見つめる。
「今日は客が多い。どういうわけだ、これは」
「あ、別に争いに来たわけじゃないぜ」
 清導は『アイレオ』の背に隠れるようにして此方を伺っている少年少女たちの姿をみやる。

「……体調悪そうだな。おいで、診せてごらん」
「おにーさんはどういう人なの? なんでそんなことを言うの?」
 少年少女たちにとっては、不可解そのものであったことだろう。
 自分たちの体調を慮る大人がこれまでいなかったからだろう。大人は子供を利用する。強者が弱者を食い物にするのと同じように。
 彼と同じような言葉を告げる汚い人間もいただろう。
 唾棄すべき存在だっていたかもしれない。だからこそ、彼等は訝しんでいる。
「困っているんだろう。喉が痛かったり、体が痛かったり」
 ただそれだけだと清導は応える。
 自分は誰かを助けるヒーローである。
 助ける相手は目の前にいる者たちである。そのために自分ができることは何かを考えて続けなければならない。

 それが己であるとユーベルコードに輝く瞳で少年少女たちを見つめる。
 “無敵”のヒーロー(セイヴァーズ・フレイム)はいつだってこうして生まれるのだ。
 触れる指先からユーベルコードで少年少女たちの体内から有害物質を取り除く。
 治療と呼ぶにはあまりにも奇妙な行為であったことだろう。けれど、体が軽くなったことを訴える少年少女たちを見て『アイレオ』は益々理解できないとばかりの顔を作っている。
「……意味がわからない。俺たちが金を持っているように見えるか」
「いや。何かもらおうって訳じゃないが、そうだな。何なら話を聞いて貰おうと思う」
「押し売りだ。だが……」
『アイレオ』の義体の目が体が軽くなったと喜ぶ少年少女たちを捉える。
「……いいだろう。それで」
「……単刀直入に言おう。このダストエリアが」
「襲われるのだろう。先程もそういう者がいた。予言でもしているのか。占いかそういうたぐいか」

 それは事実だった。
 予知。グリモア猟兵に寄る予知。それを説明したところで『アイレオ』たちには理解できないかもしれない。
 けれど警告することはできる。
 致命的な手遅れになる前に打てる手があるのならば。
「みんなを逃がすのに手を貸してくれ」
 清導は猟兵として、ヒーローとして『アイレオ』に告げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

アイレオ殿というと…たしか以前、教団潰したときに…。
いえ、考えるのはあとですねー。

ここの環境は悪くて、陰海月には出てきてほしくないんですがー…。向いてるUCが陰海月のなんですよねー。
お願いしますよ、陰海月。
ええ、治療行為全て、ですからー。仙術で医療を施しましょう。
幼き子らが犠牲になど、なってはいけないんです。


陰海月「ぷきゅ」
空気がわるわるだ!でも、ぼくはUC使って踊るもん!
健康被害=ダメージ!なら、これだもん!



 少年の義体を持つ『アイレオ』という名の存在。
 嘗てカルト教団『ブージャム』に潜入した猟兵達が見たサイバネモーターファイトにおいて名をはせていた義体の一人であることを馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は思い出す。
 あの事件において『アイレオ』は誰かからの依頼でカルト教団に潜入していたようだった。
 その証拠にカルト教団の教祖たる存在の首の骨を凄まじい握力で握りつぶしていた。
 だが教祖がオブリビオンであったために、完全に殺したとはいい難かった。それを猟兵たちで仕留めたのが事件の顛末。
 ならば今回もまたオブリビオンに関連した事件に巻き込まれるのは関係があるのか。
 何か自分たちの窺い知らぬところで思惑が働いているのか。
 そう考えるのが自然であると思えてしまうのだ。

「いえ、考えるのは後ですねー」
 複合悪霊の一柱である『疾き者』は己の考えを切り替える。
 例え、ここで答えが出るのだとしても彼等がやるべきことは唯一つである。オブリビオンの撃破。
 ストリートチルドレンである彼等が善人の類でないのだとしても、見殺しにする謂れはない。
 それに、と『疾き者』は周囲を見回す。
 ダストエリア。
 ここはサイバーザナドゥにおけるあらゆる有害な物質が垂れ込む場所であった。
 人も機械も何もかも汚濁を捨てるようにして集まる場所である。
 こんな場所に義体化されていない生身ではいられない。それほどまでにサイバーザナドゥの地球環境は壊滅的であった。

 それが全て『骸の海』が雨として降るためであり、また巨大企業群による環境を省みぬ競争の結果であった。
「ここの環境は悪くて、『陰海月』には出てきて欲しくないですがー……」
 しかし、この環境においてどうにかできるユーベルコードは『陰海月』の癒やしの空間しかないのである。
 翳鏡虫霓(カゲニテヤサシクヒカルゲーミングクラゲ)たる1680万色に優しく光る空間がダストエリアを包み込んでいる。
 この環境において、すべての治療に関わる物事のすべてが強化される。
「ぷきゅ~きゅきゅ~」
「頼みましたよ、『陰海月』」
『疾き者』は先に来ていた猟兵たちと共に、ストリートチルドレンの少年少女たちに医療を施していく。

 彼等にとっては馴染みのない行為であった。
 当たり前であろう。
 彼等は捨てられた子供らである。最初からまともな医療行為は望めないのだ。金を掠め取ってでも、それこそ他者を騙し、蹴り落として得た金でもって義体化しなければ生きていくことすら困難な世界なのだ。
「幼き子らが犠牲になど、なってはいけないんです」
 それは『疾き者』たちの持つ信念であったことだろう。
 けれど、このサイバーザナドゥの、それこそダストエリアにおいては違う。それは美徳であったかもしれないが、此処の流儀でいうのならば無意味なものであった。

 価値観が違う。
 生まれた環境が違う。
「よくわかんないけど、なんか体が楽になった!」
「ていうか、義体化しなくても息が楽にできるっての知らなかったな」
 彼等の言葉を聞けばそれも理解出来るものであった。
 自分たちが立ち去ればまた元の木阿弥であろう。僅かな、それこそ急場しのぎの行為でしかないのかもしれない。
 けれど、それでもと思う。
 倫理も何もなくとも。それでも『疾き者』たちは示して見せたのだ。
 ここが騙し騙され、金だけがすべてを解決できる世界であるというのなら、金に勝る健康を齎した『疾き者』たちはきっと利用価値という僅かな糸を、信用を確かに得たのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
はいはーい★お仕事把握したよー★

それじゃあ美少女な姿を空間投影、時々早着替えで姿を変えたりしてフレンドリーに振舞うよ★
向こうが興味を持ってきたらボディからドリンクサーバーとコップを出して、
みんなに【シルキーちゃん特製ドリンク★】を振舞っちゃうぞ★

24時間この環境への耐性も含めた各種の耐性がつくから少しは体調が楽になるかな★
何より飲んでおけば最低一度は致命傷を防げる、まあこの後戦闘が起きるのを考えた保険ってやつだね★

それと別口で|Nin-10《忍獣》型の犬とか鳥とか大蝦蟇な感じのロボットビースト達やことりちゃんを放ち、こっそり周囲の残骸や廃棄物のお掃除と偵察、周辺情報の調査把握をさせておくね★



 やらねばならないこと。
 それはサイバーザナドゥにおける吹き溜まりの如き場所、ダストエリアに迫るオブリビオン化した腐敗警官たちの暴挙を止めることである。
 しかし、ダストエリアが以下に吹き溜まりであったとしても、其処には其処の流儀が在り、ルールが存在する。
 不文律の如きそれらを無視したのならば、其処に住まう者たちは彼等の流儀によって立ち入った者からすべてを奪おうとするだろう。
 言ってしまえば荒んだ場所なのだ。
 まともな神経を持っているのならば立ち入ることなど考えもしないだろう。

 けれど猟兵としてオブリビオンの暴挙を許すわけにはいかない。
 どんな場所であってもシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)はすべきことを把握して筐体の如き頭脳戦車としての躯体をもってダストエリアに入り込む。
「はいはー★ みんなにフレンドリー、シルキーちゃんだぞ★」
 そんな軽快な声と共に映し出されるのは空間投影技術によって浮かぶシルキーの美少女の姿であった。
 サイバースペースなどで見られる技術であろう。
 ここサイバーザナドゥにおいてサイバースペースは娯楽の粋を集めた場所である。
 しかしダストエリアの少年少女たちにとっては、縁のないものであった。
 サイバースペースを利用するにしたって金が必要なのだ。未だ体のすべてを義体化できない彼等にはまさに天上の娯楽とも言えた。

 そんなシルキーの姿に少年少女たちが未知なる刺激として映るのもまた無理なからぬことであった。
「なんだこれ? 頭脳戦車?」
「箱……の上に人が映ってる? ねえ、何をしにきたの? これって高く売れる?」
 早速集まってきた少年少女たちにシルキーは美少女のホログラムでもって、にこやかな笑顔を振りまく。
「はい★シルキーちゃんが心を込めて淹れたよ~★」
「え、なにこれ」
 筐体から出されたのはサイバー感溢れる謎の栄養ドリンクであった。
 ちょっと怪しい色をしている。
 いや、ダストエリアにおいては、謎のビビットカラーの液体など珍しくはないかもしれない。
 けれど、それにしたって、と少年少女たちは思っただろう。

「さあ、ぐいっ! シルキーちゃん特製ドリンク★(ニジュウヨジカンハタラケマスカ)は体調が楽になる特別性! 今ならタダ!」
 その言葉が決め手となった。
 少年少女たちはなぞの栄養ドリンクを、ぐいっと呷る。
 味はどうなのだろうか。
 ちょっとあれなのだろうか。そんな気になる反応であったが、シルキーの狙いは保険だった。
 彼等に飲ませた謎の栄養ドリンクは高揚感も勿論、苦痛や疲労と言ったものに対しての耐性を上げるものであった。
 それ以上に画期的なのは、一度飲めば致命傷を防ぐオーラを付与するところにあった。
 これが彼女のユーベルコード。
 この後のことを予知によって知らされているからこそ、戦闘に巻き込まれる可能性を捨てきれない。

 ならば保険をかければいい。
 それとは別口でシルキーはビーストロボットたちをダストエリアに放ち、周囲の残骸や廃棄物を掃除する傍らに周辺情報を調査していく。
 ダストエリアは言うまでもなく吹き溜まりだ。
 スクラップや廃液と言ったものが流れ込み続けている。
 此処に近づくのは余程の酔狂か、もしくは此処に住まう者たちと同類である。
 即ち、オブリビオン化した腐敗警官たちが迫るのならば、即座にわかる。
「まずーい!」
「うん、本当にまずーい!」
 少年少女たちにとっては、栄養ドリンクの味は好みではなかったようである。
「なにー★シルキーちゃんの特製ドリンクを美味しくないっていうのかー★」
 シルキーは筐体でもって少年少女たちを追いかけ回す。

 サイバーザナドゥのダストエリアにとってはのどかな日常であった。
 しかし、この後のどかさとは無縁なる虐殺が幕を開ける。
 だからこそ、シルキーは彼等が例え善性でないのだとしても守ると決めている。
 そのための仕込みは上々である――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
生きていくだけでも大変な場所。
抜本的な解決方法は無い…です。
自分の無力さが嫌になりますが、せめて出来る事だけでも。

アイレオさん達の住居の近くまで来たら、響月を取り出して心が落ち着くような曲を楽器演奏しつつ、《賦活祈念》を発動。
周囲にいる子供達やアイレオさんの病魔を浄化します。

アイレオさん達に誰何されたら、
「私はアイレオさんの今回の仕事を邪魔しようとする者達にとっての敵ですよ。成り行きで一時的な共闘関係、仕事では時々起こる事でしょう?」
とアイレオさんが納得しやすそうな回答をします。

その後はコミュ力全開で子供達のリクエストに応えて曲を演奏したり、「飴ちゃん食べますか?」とお菓子を配ったりしますよ。



 大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は環境汚染によって破滅に緩やかに進みゆく世界、サイバーザナドゥのダストエリアに足を踏み入れる。
 何処を見ても廃液と有害物質に満ちている。
 彼女が猟兵でなかったのならば、すでに息絶えていただろう。
 それほどまでに『骸の海』が雨として降り注ぐ世界は危険極まりないものであった。
 だからこそ人々は生身から『換装義体』によって体を置き換えなければ生きていけない。
 此処、ダストエリアに捨てられたストリートチルドレンたちも例外ではない。
 彼等は捨てられたが故に金を持たぬ。
 金を持たぬということは即ち、義体化することができないということだ。

 生身の気管支は有害物質によって侵され、壊死していくだろう。
 そうなっては生きてはいけない。
「生きていくだけでも大変な場所。抜本的な解決方法は無い……です」
 己の無力さを詩乃は嫌悪する。
 けれど、それでもできることをしなければならないと彼女は『アイレオ』と呼ばれる今回のオブリビオン化した腐敗警官たちのターゲットの元へと向かう。

 すでに何人かの猟兵たちが訪れていたためか、出入りはできるようだった。
 本来ならば警戒されて会うことすらできなかっただろう。
 けれど、他の猟兵たちがそうであったように詩乃たちの献身は、ストリートチルドレンである少年少女たちの心にある悪性を溶かして善性を顕にするようであった。
「これなんていうの? 綺麗な音だねー」
「ばっか、あれってばきっと高価なパーツなんだよ」
 そんなふうに詩乃の持つ龍笛に興味を示す少年少女たち。
 彼等はそれをどうにかして手に入れて売り払おうと考えていたかもしれない。けれど、詩乃の持つ神性、そしてユーベルコードの輝きによって彼等の心からは悪性が溶け出す。

 若草色の神気に包まれれば、彼等の体を蝕む有毒物質の病魔を浄化することができる。
「……」
 けれど、詩乃の顔は晴れない。
 それもそのはずである。今回の治療は、その場しのぎでしかない。
 このダストエリアに居る限り、有毒物質は彼等の体を蝕んでいく。抜本的な解決ができないと自責したのはそういう理由からえあった。
「あんたたちは一体何なんだ」
『アイレオ』と呼ばれる義体の少年が訝しんでいる。

 これまで猟兵たちに告げられた、この場所が狙われているという情報を未だ飲み込めていないのかも知れない。
 頑なであったかもしれないし、またそれはサイバーザナドゥという世界で生きていくには必要なことであった。
 他者に信用を置き過ぎれば裏切られる。
「私は『アイレオ』さんの今回の仕事を邪魔しようとする者達にとっての敵ですよ」
「敵の敵は味方だとでも?」
「ええ。成り行きで一時的な共闘関係、仕事では時々起こる事でしょう?」
 詩乃の言葉は尤もであった。
『アイレオ』にとって、そのような自体は多くはなかったが、ありえる話であった。
 だからこそ、彼は猟兵たちを無理矢理に追いやることはなかったのだろう。

 やろうと思えば殺せる。
 それだけの力が彼の義体にはあるのだから。
「……未だ俺はあんたたちの言葉を信用したわけじゃあない。だが、もしも、があるのならば」
「はい、その時信じていただければそれで良いです」
 詩乃はそう言って微笑む。
 この荒んだ世界にあって子供らの姿は無邪気であったかもしれない。また同時に幼いからこそ、発露する悪性もある。
 その悪性の後ろに見えるであろう善性を詩乃は信じたいと思うのだ。
「……飴ちゃん食べますか?」
 少年の義体。
『アイレオ』に詩乃は尋ねてみる。その包みを見て『アイレオ』は頭を振る。

「俺の体は義体化している。胃も舌も。だからもらってもわからない」
 だから、と彼は視線で詩乃のまわりに集まっている少年少女たちを示す。
 自分ではわからぬ味を彼等ならばまだ生身であるがゆえに理解できると詩乃に示すのだ。
 その様子に、露悪的なものを感じて詩乃は内心思うのだ。
 彼が表面的な態度を崩さないのも、そういうことなのだと。どんなにそっけなくしていても、『アイレオ』はこのダストエリアに住まう捨てられた子供らのことを気にかけている。
 それをおくびにも出さないのを承知の上で振る舞っているのだ。
 ならば、と詩乃は腐敗警官たちの脅威に、その虐殺の宴を決してもたらせてはならないと決意するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

へっへっへっ、汚物は消毒だぁーっ!
ってやつだねー
いやー世紀末世紀末
やっぱり作ろうよ!10分で分かる!なんとかマキアまとめ動画!

●世紀末救世主伝説?とんでもない!ボクは神さま!
ボクはどっちかってーとどうか何もしないでくださいとかお願いされる系神さまなんだけどなー
んもーしょうがないなー

UC『神知』でインスタント奇跡を起こしてこう!
神さま【医術】知識に基づき、糖衣に包まれ【薬剤調合】されたあまーいオクスリを[ポケット]からぽんぽんと取り出してなんか配る!

まあこういうのは気分だよ気分!
打ちひしがれた霊は骨を枯らし、喜びに満ちた心は治療薬として良く効く
人はたまには良いこと言う!



「へっへっへっ、汚物は消毒だぁーっ! ってやつだねー」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はサイバーザナドゥのダストエリアを巻き込む事件の予知を聞いての率直な感想を告げる。
「いやー世紀末世紀末」
 それほどまでにサイバーザナドゥにおける地球環境の劣悪さは言うまでもなかった。
『骸の海』が雨として降る世界。
 緩やかに滅びゆく世界。
 それがサイバーザナドゥであり、人は生身のまま生きることができないのだ。
 ダストエリアに捨てられるのは巨大企業群が生み出す廃液や有害物質だけではない。パーツの残骸だけではなく、人すらも捨てられる。

 それは仕方のないことであったのかも知れない。
 サイバーザナドゥにおいて最も有効的なのは金である。金さえあれば大抵のことはできる。
 生身で生きてはいけない世界であるからこそ、体を『換装義体』に変えなければならない。それにさえ金が必要だ。
 子供が生まれたとて、それができなければ死ぬだけだ。
 死ぬだけだというのならば、ゴミと同じ。
「やっぱり作ろうよ! 10分でわかる! なんとかマキアまとめ動画!」
 ロニは世紀末まっしぐらな様相のダストエリアに叫ぶ。
 その叫びが聞き届けられるかはわからないが、しかしロニは神性としての役割を演じるように振る舞う。

「なになに?」
「この人何?」
 アスリートチルドレンの少年少女たちが年重は自分たちと同じ頃合いのロニの周りに集まってくる。
 さっきかなんか騒々しいし、他の猟兵たちがこの場に現れているためか、彼等は興味津々……というより警戒のほうが色濃ゆい。
 この場において彼等の善性は期待できない。
 ここでは悪性こそが生きていくために必要なものであったからだ。
 出し抜き、だまし、そして奪う。
 そうしなければ生きていけないからだ。
「ボクは神様!」
「神様ってなに?」
 そこから? とロニは思わなくもなかった。

 彼自身は自身を何もしないでと請われる類の神である。
 願われることは何もしないこと。
 けれど仕方ないのである。目の前に病める者がいて、自分のことを神と認識しない者たちがいるのならば。
「インスタント奇跡!」
 神知(ゴッドノウズ)によって高められた医術知識を持って糖衣に包まれた薬を生み出す。
 ポケットを叩けば一つ二つと増えるように溢れ出す薬。
 それはおおよそ薬と呼べるものの臭いをしていなかった。
 どちらかというと菓子の類。

 けれど、それでもアスリートチルドレンの少年少女たちには初めて見るものであったことだろう。
「これなに? 何するやつ?」
「あれ? わからない? あまーいオクスリだよ。まあ、こういうのは気分だよ気分! ぐいっといってみようか!」
 ロニの言葉に少年少女たちは訝しみながらも、本能には逆らえない。
 ネガティヴな刺激に人はいくらでも耐えることができる。それこそ死が迫るのだとしても。
 けれど、甘やかな誘惑の如き刺激には耐えられない。
 屈するのではなく、誘われるようにして手を伸ばしてしまうものである。

「打ちひしがれた霊は骨を枯らし、喜びに満ちた心は治療薬として良く効く」
 その甘い菓子のような薬は少年少女たちの体にはびこる有毒物質を溶かしていくだろう。
 けれど、これは抜本的な解決には至らない。
 現状がよくなったとしても、緩やかな滅びに向かう世界にあって有毒物質はすぐさまこの掃き溜めの如きダストエリアに流れ込んでくるからだ。
 けれど、ロニが言うように気分である。
「人はたまには良いことを言う!」
 気分で救われるひとときがあるのならば、それは値千金というやつである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
無償の善意ほど疑わしいものはないのがこの世界…では、分かりやすくいきましょうか。

ダストエリアにミニパトで乗りつけて車外に出て待機。
いかにもな警察官が車両を伴って居座っていれば流石に『アイレオ』とやらも様子を見に来るでしょう。
そうしたら「私も」ビズでここに来たとでも言います。普通に考えたら武装警官は企業の犬ですからね。地雷を踏むのも嫌でしょうし、詮索は避けるでしょう。

お互いに不干渉が成立した雰囲気になったら医療技能に特化させたドローンに周囲のスクラップから簡易な人工呼吸器でもいくつか作らせて(【メカニック】)、迷惑料代わりだと言って渡します。

ま、これぐらいの距離感の方がお互いやりやすいですよね。



 サイバーザナドゥにおいて無償というのは、意味をなさないものであった。
 金を介在しないやり取りは信用がないという意味そのものであったし、またそうした甘言で近づく者は絶えない。
 甘言によって騙されれば、生命干からびるまで吸い上げられる。
 善良であればあるほどに。
 善性を発揮すればするほどに、最悪の結果を招くのが、このサイバーザナドゥであることを武装警官である新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)は理解していただろう。

 確かに無償の善意は疑わしいものである。
 しかしそれは、この世界だけではなく他の世界を知る猟兵である、にこたまにとってはわかりやすいものでもあった。
「……」
 にこたまはダストエリアにミニパトという名の装甲車両で乗り付け、外に出て何かを待つように待機していた。
 その光景を見た少年の義体を持つ『アイレオ』は当然訝しむ。
 他の猟兵が言っていた襲撃の予告。
 それがにわかに真実味を帯びてきたと言ってもいいだろう。

 だからこそ、『アイレオ』は近づいてくる。
 にこたまの狙いはそこだった。こちらから近づけば警戒される。ならば、逆に相手に警戒させればいいのだ。
「……お上の連中がこんな掃き溜めになんの用だ」
「『私も』ビズ……ええ、『仕事』で来たのです」
「それは仕事熱心で結構なことだ。だが、そういう熱意は空回りするものだ」
『アイレオ』の言葉に、にこたまは顎を上げて見つめる。
 互いに探り合い。
 それは言ってしまえば、互いに干渉することがなければ『仕事』に介入するつもりはないという意思表示でもあった。

 相手からすればこちらは企業の犬。
 何か踏み抜いては成らぬものを踏んで、痛くない腹を探られるのも避けたいと思うだろう。
「それを決めるのは、あなたではないでしょう?」
「だが領分というものがある。如何にあんたが公僕であろうともな。此処には此処の流儀というものがある」
『アイレオ』も一歩も引かない。
 にわかに殺気めいたものを、にこたまは感じるだろう。
 ひりつくような感覚。
 互いに殺そうと思えば殺せるという必中の距離に身をおいているかのような、そんな空気。

 だが、そんな空気を切り裂くのは、このダストエリアに住まう少年少女たちであった。
「にーちゃん、なにやってんの? ナンパ? ナンパってやつ?」
「けーさつのおねーさんナンパしたってめんどーでしょ!」
「……違う」
 張り詰めた空気が霧散する。
 なるほど、とにこたまは思ったかもしれない。
 これが不干渉の材料。ならば、とにこたまは翁丸ドローン(オキナマルドローン)を周囲に飛ばし、周辺のスラップパーツから簡易的な人工呼吸器をいくつか作らせ目の前に運ばせる。

「これは迷惑料です。合って困るものではないでしょう。私の『仕事』を邪魔されては困りますから」
 これを持ってさっさと、とにこたまは手をふる。
 その様子に少年少女たちは無邪気に喜ぶように我先にと呼吸器に手を伸ばす。
 義体化が進められない幼い彼等には金に困ることしかない。
 不要になったら売り払えばいいのだ。
 そうすることで抜本的な解決はできないまでも、先延ばしにすることはできる。

「……」
『アイレオ』の視線を受けて、にこたまは肩をすくめる。
 これくらいの距離感の方がお互いやりやすいのだ。
 にこたまは、『アイレオ』と視線だけで交渉を終わらせると、再びダストエリアの空を見上げる。
 灰色の空。
 排煙に覆われた空は、何処まで行っても空の青さを教えてはくれない。
 これがサイバーザナドゥ。
 にこたまが腐敗を嘆き、正義を行使すると決めた世界なのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『悪徳武装警官』

POW   :    正義の鉄槌を喰らえッ!この蛆虫どもォオッ!!!
【サイバーザナドゥ化した剛腕】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD   :    公務執行妨害でぇ……死刑ッ!!!
【銃火器による無差別乱射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    助かりたいならわかるよな…袖・の・下(ワイロ)♪
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【顔に唾や痰を吐きつけながら金品】、否定したら【胸ぐらを掴み顔面を殴り付けて闘争心】、理解不能なら【殴る蹴るの集団リンチで生命】を奪う。

イラスト:はるまき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 パトランプの明滅がダストエリアを照らす。
 住人たちは何事かと物陰からその様子を伺うことしかできなかった。
 何故ならば、此処より何処にも生きようがないからである。
 ここがサイバーザナドゥの底辺。これより底は死しかない。だからこそ、彼等はダストエリアが掃き溜めであっても、そこから何処かへと行こうとはしなかった。
「ここかタレコミがあった場所ってのは」
「ああ、此処にお偉方が今躍起になって探しているものがあるって話だ」
「じゃあ、思う存分やってもいいってことだよな?」
 腐敗した警官たたちが車両から降りて、その武装をひけらかすように下卑た笑みを浮かべる。

 彼等は『骸の海』を過剰投与された腐敗警官。
『悪徳武装警官』である。彼等は皆、過剰投与された『骸の海』によってオブリビオン化している。
 瞳に正気はない。
 些細な抵抗も見逃さない。
 怪しさがあれば詰問するよりも早く相手を殺してしまおうとさえ思っている。
 それほどまでに暴力に飢えていたのだ。
「どうでもいいけど、『パーツ』には手を出さないでよぉ」
 その背後でダウナーな表情を浮かべながら、ビビットカラーな錠薬をガリガリと噛み砕く者がいる。
 ロリータの衣装に身をまとう少女。
 明らかに不似合いな装いであったが、『悪徳武装警官』たちは、彼女に従う。

「わかってますって。そういう領分だけはしっかりしてますんで」
「おら、いくぞ。ゴミどもを一斉清掃だ――」
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
危ないので、陰海月は影に潜った

さてまあ…この世界のお約束ですよねー。悪徳警官。
なので、先制でUC使いましてー。その要求はわかりませんしね?

はは、殴る蹴るはいいですよ?
ですが…ええ、あなた方は方法を間違えた。悪霊ですから、もとより生命などないのですが。
ふふ…その分の生命力、いただきますねー?先に手を出したのは、あなた方ですしー?
四天霊障からは逃れられず、ただ倒れなさいな。加減する理由も、ありませんからねー。


陰海月「ぷきゅう…!」
びゅーびゅーおじーちゃんは、すぐに無茶する!
とか思いながら、影にごそごそ入る。



 とぷん、と影に潜る『陰海月』の姿を見送って、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱たる『疾き者』はダストエリアに迫る腐敗警官『悪徳武装警官』たちを見やる。
 彼等の表情にあるのは下卑たる笑い顔だけだった。
 生命を奪うことに良心の呵責というものを持ち合わせぬ者達。
 彼等は手にした警棒で軽く掌を叩きながら『疾き者』へと歩み寄る。
「通報があった。ここに企業から盗まれたという物品があるということだ。隠そうとするなよ。痛い目を見たくなければな」
『悪徳武装警官』たちの言葉は『疾き者』にも理解出来ただろう。
 けれど、首をかしげるほかなかった。

 彼等の言うところの物品というもの心当たりはなかったし、同時にこれがこの世界の在り方であると彼は理解していたからである。
 これがこの世界のお約束。
 金で雇われれば、公的な機関すらも従える。
 それが巨大企業群というものである。
 法すら金で捻じ曲げる。
 どんな理屈も金の力で黒を白に変えることもできる。また同時に白を黒へと変えることもまた容易いことだった。
「はて」
「隠すなっつっただろうが!」
 揮われる警棒の一撃が『疾き者』の頭部を叩く。

 痛烈なる一撃。
 それだけで終わることはなかった。
 殴る蹴るの暴行。例え、知っていたとしても関係ない。ただ暴力をふるいたいがためだけの攻撃。
 無抵抗に『疾き者』は彼等に暴行を受け続けていた。
「……なんだ、こいつ……」
「こっちのほうがだるくなってきやがる……」
『骸の海』を過剰投与されてオブリビオン化しているとは言え、無抵抗に暴行を加える相手が何時まで立っても根を上げないのだ。
 悲鳴の一つでも上げていればよかったのかもしれないが、『疾き者』にとっては関係のないことだった。

「ええ、あなた方は方法を間違えた。私は悪霊ですから。もとより生命などないのですが」
 不敵に笑う。
 ユーベルコードに輝く瞳。
 因果はめぐり果てる。
 どこまでも。それは四悪霊・『回』(シアクリョウ・マワル)。
 どれだけ殴る蹴るの暴行があろうとも、『疾き者』には関係がない。四悪霊の呪詛で覆われた体はどこも痛めつけられてはいなかった。
 あらゆる攻撃のすべてに対してめぐる因果がある。
 触れた者の生命力を奪うユーベルコードは、確かに『悪徳武装警官』たちの生命力を奪っていた。

「ただ倒れなさいな。加減する理由も、ありませんからねー」
 ただ其処に佇んでいる。
 それだけで次々と『悪徳武装警官』たちが倒れていく。
 うめき、うなされるように彼等は生命力を奪われる。
 影の中からむちゃをする、と抗議する『陰海月』の姿が見える。けれど、それでも『疾き者』は微笑むばかりであった。
 これが悪霊としての戦い方であると。
 例え、この世界が悪性によってしか生きられない世界だったのだとしても、めぐる因果は必ず応報となって迫ることを証明してみせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
来たか……悪徳に身を窶した者どもが

子供たちの治療を中断
姿を見せて真っ向から立ちはだかる(おびき寄せ・存在感)
ここより先は、病に伏せる子供たちしかいません
どうかお引き取りを

と言いつつも、相手が退かぬのは分かっている
【念動力】で聖槍を呼び寄せ、殴りかかって来た敵の背後から【急所突き】【串刺し】【貫通攻撃】
問答無用、ならば容赦はしない

振るわれる警棒を【見切り】、【聖槍繚乱】で機先を制して斬り伏せる
【怪力】で蹴り飛ばし(踏みつけ・吹き飛ばし)、別の敵にぶつけて同士討ちを誘発
斬り打ち穿ち薙ぎ払い、縦横無尽に聖槍を振るう



 猟兵と接触した腐敗警官『悪徳武装警官』たちが次々と倒れていく音がダストエリアに響き渡る。
 掃き溜めであっても生きる幼き生命はある。
 義体化されていないのならば、尚更この区域の空気は体に毒であった。
 だからこそ、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は未来ある子供らの治療に専念していた。
 抜本的な解決には至らない。
 それを理解しながらもオリヴィアは治療する手を止めていなかった。
 子供らは悪性でしか生きてはいけない。
 そうしなければ、この世界はより力を持つ者に食い物にされてしまうだけである。

 例えば、彼女が治療を施す崩れた居住区に入り込んできた『悪徳武装警官』のような存在に。
「来たか……悪徳に身を窶した者どもが」
 彼女の表情は険しい。
 悪意を持って迫る者がいるのならば、彼女は己の力を振るうことを躊躇わない。
 立ち上がろうとする彼女の裾を掴む手があった。
 先程まで治療を施していた少女の手だった。彼女は如何なる事情があってダストエリアにいるのかをオリヴィアは知らない。
 けれど、親亡き子にとってオリヴィアの優しさは悪性だけが生き抜く術であった世界でかけがえのない善性であったことだおる。
 だからこそ、彼女は微笑んでその手を包んで首を傾げる。
「大丈夫ですよ」

 そのままオリヴィアは立ち上がり入り込む『悪徳武装警官』の前に姿を現す。
「ガキしかいねぇって思っていたが、なんだいるじゃねぇか上玉が」
 下卑た笑い声が響き渡る。
 オリヴィアはの姿を見て、そう評したのだろう。彼女の容姿は人目を引くものであった。
 この悪性満ちる世界にあって、彼等が如何なる思考をしているかなどオリヴィアには手にとるようにわかった。
 だからこそ、警告する。
「此処より先は、病に伏せる子供たちしかいません。どうかお引取りを」
「いるじゃねぇか、あんたが。なあ? ガキ共の相手をするより、俺らの相手をするほうが余程儲けになるぜ?」

 嘲笑うような声。
 その声は悪性そのもの染まっている。善性のかけら一つすら見つけ出すことのできない顔だった。
 その手がオリヴィアに伸ばされる。生意気なシスターの横っ面を一発叩けば己の立場を理解できるだろうというような厳しい拳だった。
 だからこそ、オリヴィアは一瞬で破邪の聖槍を彼等の背後から叩き込む。
 一瞬のことだった。
 背後から貫いた槍の一撃に『悪徳武装警官』は困惑していた。
 何が起こったのかすら理解できていなかった。
「な、なんだ……や、槍……?! 俺の体からなんでこんなもんが生えて……!?」
「我が聖槍の閃きを見るがいい――!」
 オリヴィアが貫いた槍を掴み、引き抜き『悪徳武装警官』の横っ面を薙ぎ払うように叩き伏せる。

「ガッ――!?」
「お引取り頂けぬのならば、問答無用。容赦はしません」
 振るうは、聖槍繚乱(ロンギヌス・アーツ)。
「こいつ!」
 オリヴィアの様子に共に入り込んできた『悪徳武装警官』たちが襲いかかる。手にした警棒を持ってオリヴィアを叩き伏せようとする。
 だが、その全てにオリヴィアは先んじる。
 瞳に輝くユーベルコードが、あらゆる敵のあらゆる攻撃に先を取るのだ。
 怪力が揮われる。

 蹴り飛ばし、踏みつけ、槍の柄で『悪徳武装警官』の体を持ち上げ叩きつける。
 縦横無尽たる戦いぶり。
 ただのシスターでないことをようやく理解しても、最早遅かった。
「……ゲホッ」
 子供の咳き込む声が聞こえ、オリヴィアは少女の元に駆け寄って薬を手渡す。
 その姿に返り血の一つもなく。
 銀髪に乱れはなく。
 ただ、金色の瞳が優しく少女を慈しむ。

「なにかあったの?」
「いいえ、何も。さあ、目を閉じておやすみなさい」
 オリヴィアは微笑んで、何事もなかったかのように『悪徳武装警官』たちの前に再び立ち塞がるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…武装警官…警官というか暴徒とというか…
…うーん…この世界ではいつものことだから困るね…
…だからといって見過ごす理由もなし…片付けるとしようか…

…『捜し物』は見つかった?企業の狗共…
…おや…全員なかなかの経歴だね…例えばそこのお前は…悪党の中でも爪弾きにされて流れ流れてここに来たか…
(ハッキングで仕入れた悪徳武装警官の個人情報や経歴を披露しつつ挑発)

…相手が銃を持ち出したら【汝、意のままに動く事能わず】を発動して銃の狙いを改竄…同士討ちを誘発するよ…
…短期は損気…とね…同士討ちで全滅すればよし…そうじゃ無ければ残った悪徳警官を術式装填銃【アヌエヌエ】で撃ち抜くとしようか…



「おいおい、これはどういうことだよ。なんでダストエリアのゴミクソどもが抵抗してきやがんだ? あぁッ!?」
 オブリビオン化した腐敗警官『悪徳武装警官』たちは己たちの憂さ晴らし兼点数稼ぎのダストエリア掃討を邪魔する者達がいることに憤る。
 彼等にとって、これは清掃活動と同じであった。
 ダストエリアに居る者達は皆、掃き溜めに集まる小蝿のようなものであったからだ。
 事実、此処には遺棄された者たちばかりが集まっている。
 行き先のない者達。
 底辺の底辺に落ちてきた者たちが這い上がることも許されず、くすぶり続け、くちていくだけの区画。

 そんなダストエリアを清掃する自分たちに感謝こそあれど、こうして抵抗されるなど思いもしなかったのだろう。
 だからこその苛立ち。
「……武装警官……警官というか暴徒というか……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はそんな彼等の行いを見やり、ため息を吐きたくなっただろう。
 それほどまでにこのサイバーザナドゥにおいては、いつもことなのだ。
 悪徳がまかり通る世界。
 金ですべてが解決できるからこそ、こんなことが公然と行われている。
「……だからといって見過ごす理由もなし……片付けるとしようか……」
 メンカルにとって『悪徳武装警官』たちは容易い相手であった。

「……『捜し物』は見つかった? 企業の狗共……」
 メンカルはふらりと姿を現す。 
 その風体に『悪徳武装警官』たちは首をかしげる。
 どう見ても生身。
 いや、違うと理解しただろう。目の前の存在は彼等オブリビオン化した者たちにとって生命の埒外たる存在。
「……おや……全員なかなかの経歴だね」
「な、何を言っている? 貴様!」
 重火器を向けようとした瞬間、メンカルの言葉が銃弾より早く放たれる。
「……例えば、そこのお前は……悪党の中でも爪弾きにされて流れ流れて此処に来たか……へえ、薬の売人と繋がってどうでもいい末端を生み出しては点数稼ぎ……」
「……!」

 メンカルの言葉に絶句する『悪徳武装警官』。
 何故それを、と思っただろう。
 けれど、メンカルにとって、それは容易いことだ。
 警察機構のデータベースよりハッキングして仕入れた個人情報を披露しているだけに過ぎない。
「汝、意のままに動く事能わず(モーション・ハッキング)――……その位置でいい?」
 次の瞬間、メンカルの口をふさごうと重火器の引き金を引いた『悪徳武装警官』のユーベルコードの弾丸が、改竄された動作によって銃口をメンカルではなく、同僚たる者たちに向けていた。
 それは同僚たる『悪徳武装警官』も同様であった。
 メンカルのユーベルコードは動作を改ざんする。
 そのことによって改ざんされた隙は、一瞬で『悪徳武装警官』たちを同士討ちの弾丸によって黙らせるのだ。

「……短気は損気……とね」
 メンカルは同士討ちによって倒れた『悪徳武装警官』の元に向かう。
 ゆっくりと、けれど確実に。
 呻くようにして顔を上げた『悪徳武装警官』に眼前にあるのは術式装填銃の銃口だった。
「ま、まて……!」
「……いいや、待たないよ……」
 放たれた弾丸が『悪徳武装警官』の眉間を貫き、そのオブリビオン化した躯体を霧散させていく。
 メンカルは周囲を見回す。
 戦いはダストエリアのあちこちで起こっている。
 このオブリビオン化した『悪徳武装警官』たちの包囲から、この区画の人々を守らねばならない。
 掃き溜めとは言え、理由に成らぬ虐殺を許すことはない。
 さらに押し寄せる『悪徳武装警官』の群れを見やり、メンカルは腐敗したサイバーザナドゥの警察機構に暗澹たる思いを浮かべるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
さて、こっからが本業のお時間だね★
保険はかけたけど、巻き込まないに越したことはないよね★
さっき調べておいた情報から遮蔽物の多い、付近に人の少ない場所のあたりをつけて、その付近にロボットビースト達を潜ませ待機させておくよ★

シルキーちゃんもホログラムを切って廃棄物に紛れておくね★
標的が踏み込んできたらまずUCを使用、できれば向こうが攻撃を行うより前に、財産や所持品を奪って不幸にしちゃうぞ★
そのまま畳みかけるように待機していたビースト達に襲撃させ、こっちもホログラムを起動しホログラフィックブレイドで斬りかかっての電脳及び義体機能への直接データ攻撃、Ku-9撃ち込みによる爆殺を実行して殲滅していくよ★



「さて、こっからが本業のお時間だね★」
 ダストエリアになだれ込んできた腐敗警官たちは例外なくすべてが『骸の海』を過剰投与されてオブリビオン化している。
『悪徳武装警官』は、その手にした重火器の乱射でもって、このダストエリアに住まう人々を鏖殺しようとしている。
 それをさせぬとシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は、事前に仕込みを行っていた猟兵だった。

 彼女が得たダストエリアの情報はすべて筐体型の頭脳戦車たる体に収められている。
 遮蔽物が多いこと。
 そして付近に人の存在が少ないこと。
 いくつかの条件に合致する場所を見つけ、ロボットビーストたちを待機させておく。
 銃の乱射は確かに怖い。
 けれど、彼女がダストエリアに住まう少年少女たちに飲ませた栄養ドリンクは保険として正しく作用するだろう。
「巻き込まないことに越したことはないよね★」
 だから、シルキーはホログラムを切って周囲の廃棄物に隠れる。
 頭脳戦車である筐体の体は、簡単に物陰に紛れることができるだろう。

「ったく、くせぇったらありゃしねぇぜ。さっさと仕事を終わらせちまおうぜ」
「まったくだ。こんなところによく居られるもんだな。金もねぇくせによくもまあ……呼吸器系なんかどうしようもねぇだろう」
 そんなふうに重火器を構えた『悪徳武装警官』たちが何も知らずにシルキーが伏せている場所に歩いてくる。
 無防備極まりない。
 だが、それが彼等だ。
 彼等にとってこのダストエリアに住まう者たちは、ゴミ屑同然なのだ。自分たちが殺すことはあっても、自分たちが殺されるとは微塵も思っていない。

 だからこそ、彼等はシルキーが隠れているとも思わないし、逆襲に遭うことも考えない。
「それじゃ、お仕事★ 傷つけたり壊したりする前に回収しちゃうね。なんせ、お金は天下の回り物★(ファイン・コレクター)って言うし★」
 シルキーの筐体のカメラアイがユーベルコードに輝く。
 瞬間、彼女の筐体に内蔵された治安維持機構の一つである罰金強制徴収機構が開放される。
 それは彼女の敵……即ち『悪徳武装警官』たちの持つ換金可能な全財産や所有物のすべてを奪って不幸を与えるという力。
 そのユーベルコードが『悪徳武装警官』たちの手にした重火器の弾丸を根こそぎ奪う。次の瞬間、ロボットビーストたちが彼等を襲撃する。
「な、なんだこいつら……!」
「なんで弾切れだよ!? どうなっていやがる!」

 彼等の困惑をよそにシルキーは一気にホログラムを起動し、フォトンセイバーの実態無き光の剣でもって『悪徳武装警官』たちの電脳を焼き切る。
「さあ、ロボットビーストたち、一気に行っちゃおうか★」
 シルキーの放つ投射刃が『悪徳武装警官』たちを打ち据え、爆発が巻き起こる。
 彼女の戦い方は完全にゲリラ戦であった。
 ホログラムで電脳にダメージを与え、さらに投射刃が爆発することによって義体そのものを破壊していく。

 このために彼女は情報を収集し、彼等の襲撃に備えていたのだ。
 油断、慢心。 
 それらに足を取られた『悪徳武装警官』たちが対応などできるはずもない。
「人を呪わば穴二つって言うしね★ シルキーちゃん、お仕事がんばっちゃうぞ★」
 頭脳戦車の筐体が踊るように跳ねて、ダストエリアを飛ぶ。
 迫るオブリビオンの群れは未だ多い。
 子供らに掛けた保険。それは叶うなら保険のままが望ましい。故にシルキーは罠を張り巡らせ、これ以上『悪徳武装警官』たちをダストエリアに侵入させぬように奮闘するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
【POW】
アドリブや連携も大歓迎だ

「正面から来る武装警官はオレが抑える。
ちょいとド派手だからビビらないでくれよ、みんな。
…子供達は任せるぜ、アイレオ。―超変身!!」
赤いマントを翻し、ヒーローが駆ける

「そこまでだぜ、悪徳警官。
ここから先には行かせねえ!」
UCによって放たれた巨大な炎壁がダストエリアを両断した
オブリビオンのみを焼き焦がす焔を背に、
両手に炎剣を携えたブレイザインが立ち塞がる
「お前達には誰も殺させない!
この一線を越える前にとっとと帰りな!」
迫り来る者達を長く伸ばした炎剣でぶった切る
攻撃は[オーラ防御]で防ぎ、吹き飛ばす暴風の中でも揺るぎない
絶対に負けられないという[気合い]で戦いぬく!



 ダストエリアに迫る腐敗警官『悪徳武装警官』たちは一気呵成になだれ込んでくる。
 猟兵たちの活躍は目覚ましいものであったし、また同時にストリートチルドレンである少年少女たちに犠牲者が出ていないのは幸いであった。
「正面から来る武装警官はオレが抑える」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は身を翻して子供らの前に立つ。
 その姿を、背を目にして少年少女たちは如何なる思いであったことだろうか。
 その背中に人の善性を見ただろうか。
 サイバーザナドゥにおいて、善性とは尊ばれるべきものではない。
 生きることにおいて足枷にもなり得るものであった。

 だからこそ、その姿は燦然と輝く。
「ちょいとド派手だからビビらないでくれよ、みんな……子供たちは任せるぜ、『アイレオ』――超変身!!」
 赤いマントが翻る。 
 赤熱する機械鎧が炎を撒き散らすようにして、迫りくる『悪徳武装警官』たちの前に立ち塞がる。
「……あんたは」
「いいんだ。俺がやろうとしているだけのことだ。だから」
 ブレイザインが戦場となろうとしているダストエリアを駆け抜ける。
 翻る赤いマント。
 それは少年少女たちの瞳に鮮烈に映ったことだろう。

 そして『アイレオ』の瞳にも同様であったはずだ。そうであると思いたい。
 悪性を発露させなければ生きていけない世界。
 清導にとっては、考えられない世界であったかもしれない。けれど、そこで生きる人々がいる。どうしようもないことに、そうでもなければ食い物にされてしまうだけなのだ。
 そう、彼の前に立ち塞がる『悪徳武装警官』たちのような強者が弱者を食い殺す。
「そこまでだぜ、悪徳警官。ここから先には行かせねえ!」
「間抜けが! 正面からのこのこと!」
 義体化された豪腕でもって振るう警棒の一撃がブレイザインの頭部に振り降ろされる。
 だが、その瞳はユーベルコードに輝く。

 ブレイザイン・バーニングモード。
 いわばそれは、胸部に収束された炎で武器を作成するバーニング・クリエイションとでも呼ぶべき力であった。
 膨れ上がる炎はダストエリアを両断するかのような威力であった。
 心の熱さによって温度を上昇させる炎は、ブレイザインの胸に宿る正義の心と同じだった。
 彼は少しも疑うことはなかった。
「お前たちには誰も殺させはしない! この一線を越える前にとっとと帰りな!」
 その言葉。
 その光景。
 すべてが彼の正義の心の発露に寄るものだった。両断するように放たれた炎は、ダストエリアと『悪徳武装警官』たちとを分かつ。

 しかし、そう言われて引き下がる彼等ではない。
「何を気取っていやがる! そういうスカした奴らを叩き伏せるのがぁ! 国家権力ってもんだろうが!」 
 迫る『悪徳武装警官』たちの一撃。
 それを胸部から発露する炎の剣でもって切り裂く。
 溶断、というのがしっくり来るであろう一撃。
 それは襲いかかる『悪徳武装警官』たちのすべてを切り裂く。
 吹き荒れる暴風。
 それでも『ブレイザイン』は止まらない。

「絶対に負けられない。誰も犠牲にはさせない。殺させはしない。ここが!」
 己の戦場であると『ブレイザイン』は叫ぶ。
 吹き荒れる炎の剣は、彼の心のままに。
 守るべきものを守る。
 例え、心に悪性を湛える幼子たちであったとしても、示すことはできるはずだ。
 悪性があるのならば、善性もまたひとかけらでも残されていると。そして、その善性を育てるためにこそ清導は己の正義の心を燃やす様を彼等に見せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
(サイバー巫女クノイチスーツに着替え)アイレオさんや子供達を護る為、戦いますよ!
皆さんを後方に下がらせ、一人前に出て囮となります。
劣情を募らせて、詩乃に向かってくるのであれば好都合。
警官達をアイレオさんや子供達から引き離します。

《神事起工》で状態異常力を上昇し、催眠術・混乱の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で自分の周りの仲間を敵を誤認させて、同士討ちを引き起こします。
相手のUCも同士討ちに拍車をかけるでしょうし。

相手の攻撃は強力そうですので、第六感で予測して、見切り・ダンス・空中戦で華麗に躱しますよ。
残った警官は雷月に雷の属性攻撃・神罰を籠めての2回攻撃・鎧無視攻撃・貫通攻撃で倒します!



 ダストエリアが炎に包まれる。
 それはこの区域に住まう者たちを傷つけるものではなく、守るためのものであった。
 猟兵の戦いは繋ぎ、紡ぐもの。
 ならば、この戦いにおいて彼等が守らんとしていたのは、捨てられた者たち。
 サイバーザナドゥにおいて最も価値があるのは金である。金を得るためには善性の発露は、むしろ邪魔であった。
 悪性こそが発露する。
 故にダストエリアを掃き溜めと呼び、忌み嫌い、犯罪の温床となっているのは言うまでもない。

 けれど、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)はそんな幼き彼等をこそ守りたいと思うのだ。
 例え、悪性を発露する幼さがあるのだとしても。
 それを見捨てることこそが本当の悪性であると彼女は知っているからだ。
「『アイレオ』さん!」
 詩乃の言葉に『アイレオ』とストリートチルドレンの子供らが下がる。
 彼等は見たかも知れない。
 目の前の女性が何をしようとしているのかを。理解できずとも、悪性宿る心に必ず存在する善性のかけらをこそ揺り動かされるのだ。
「あんたは……どうして」
「幼き生命を護るのに理由が要りますか? ただそれだけです」
 守るために戦う。 
 それが詩乃の戦いであった。

「はっ! 此処にもいるじゃねぇか、上玉が!」
 オブリビオン化した腐敗警官『悪徳武装警官』たちが詩乃を取り囲む。
 彼等の下卑た笑い顔は醜悪そのものだった。
 このサイバーザナドゥを裏から支配する巨大企業群に倫理まで侵された彼等にとって、詩乃の存在は魅力的に映ったことだろう。
 彼女を捉え、売り飛ばす。もしくは己が欲望のままにと考えるのは当然の帰結であったかもしれない。
 だからこそ、詩乃は好都合だと思ったのだ。
 彼等の意識が自分に向いているのならば、子供らに累が及ぶことは少ないと判断したのだ。

「これより神としての務めを果たします」
 ユーベルコードに輝く詩乃の瞳。
 それは神事起工(シンジキコウ)。彼女の神力と天地にやどりし力、そして人々の願いと思いを受けて己を強化するユーベルコード。
 放たれた光は『悪徳武装警官』たちの義眼に触れ、その映像をジャックして『悪徳武装警官』たち同士を詩乃と認識させる。
「痛めつけりゃあ、その生意気な口もしおらしくなるだろうよ!」
 揮われる警棒。
 しかし、それは詩乃に振り降ろされることはない。彼等の義眼に映る詩乃は、己たちの同僚であった。
 同士討ちを引き起こし、さらに警棒の一撃は彼等に混乱を齎すだろう。

「ぶべっ……!? なんだ、なんで俺が殴られ……ぐあっ!」
「おい、俺は味方……っ!?」
「欲望に従うのまた人の性なのでしょう。ですが!」
 詩乃は故に心にある善性を自覚せねばならぬと、煌めく雷の力を神力満ちる懐剣の切っ先に束ねる。
 迸る雷光。
 それは神罰の一撃。
「私腹を肥やす前に、他の誰かを思いやる心を持ちなさい!」
 雷が『悪徳武装警官』たちを打ち据え、その義体を燃やし尽くす。
 さらなる追い打ちの一撃。

 それらによって完全に霧消する『悪徳武装警官』たち。
 彼等の所業は許されるものではなかった。例え、ダストエリアに捨てられた生命であったとしても懸命に生きている。
 ならば、詩乃は示すのだ。
 ひとかけらの善性を蔑ろにするのではなく、育むことによって芽吹くものがあるのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
ふーむ
どうもメイドセンサーの感度が鈍いですねえ
慢心していると色々見逃がしそうなのですが
……さて、かの亜麻色の髪の男に|エイル様《主人様》の気配はあるのかないのか

ええ、すみません
今回、完全に出遅れた|メイド《犬》です、きゅーん……(何故かネコミミぴこぴこ)

ともあれ『|たまには《・・・・》』暴力に訴えるとしましょう
いつも力で押し通っているとかそんなことありませんし
誰がやべーメイドですか
剛腕での攻撃で吹き飛ばされると独り身では身動きが取れませんね
ならその剛腕が崩れるまでは距離を取って銃撃で
振り回した後や剛腕破壊後など
隙が出来たなら一気に間合いを詰めて
【スクロペトゥム・フォルマ】で仕掛けます!



「ふーむ」
 それは後方メイド面とも言うべき顔をしたステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のため息にも、己の慢心を戒めるような声色にも聞こえたことだろう。
 反省しているのかもしれない。
 いや反省するところなど何一つ無いと思うのだが、ステラはそう思っていた。
「どうもメイドセンサーの感度が鈍いですねぇ。慢心していると色々見逃しそうなのですが」
 彼女の言う所のメイドセンサーがビンビン来ているのかどうかは定かではない。 
 だが、彼女の追い求める『主人様』というものに関連する事柄があるのならば、彼女は何処にだって駆けつけるだろう。
 メイドっていうのはそういうものなのである。語弊がありすぎるが。

「……さて、あの亜麻色の髪の男……」
 と、彼女は今まさにダストエリアに降り立っている。
 巨大企業群の環境破壊のしわ寄せを一手に引き受けるこの区域は、多くの廃液や排煙によって汚染が進んでいる。
 猟兵でなければ生身で存在していることすら難しい場所である。
 そこに押し入り、一掃しようとしているオブリビオン化した腐敗警官『悪徳武装警官』たちの姿を彼女は視界に捉える。
「完全に出遅れた|メイド《犬》です、きゅーん……」
 今更であるが、ちゃんと反省できて偉い。
 でもなんでネコ耳なのかにはツッコまないでおこう。際限ないから。
 いや、そんなことをやっている場合ではないのである。
 ダストエリアに住まう少年少女たちが『悪徳武装警官』たちの為す暴力に抗うことなどできようはずがない。

 もしも、あの亜麻色の髪の男が彼女の追い求める者と何らかの関連があるのならば、彼女は走らなければならない。
 この道の先にこそ彼女が追い求める者がいるのかもしれないのだから。
「ともあれ『|たまには《・・・・》』暴力に訴えるとしましょう」
 ツッコミがいないので、あえて言わせていただくが。
 いつものやつである。
「誰がやべーメイドですか」
 誰に言うともなくステラがつぶやく。もしや見えているな?
 そんなメイド道を塞ぐ『悪徳武装警官』たちの横柄なる振る舞いにステラは飛び込む。

「あぁん? なんだ、おまえ……」
 その言葉はつながらなかった。
 瞬時に放たれるステラの銃撃。
 有無を言わさない冷徹な一撃。両手にそれぞれ構えた拳銃から放たれる銃弾。それは一撃では終わらなかった。
 銃撃、体術、打撃。
 あらゆる所作でもってメイド服の裾を翻してステラは『悪徳武装警官』を強かに打ち据える。
 揮われる豪腕の義体を超接近戦用の『|銃の型《ガン=カタ》』によって一瞬で破壊せしめるのだ。

「撃つだけが銃の使い方では無い、そのことを教えてあげましょう」
 その言葉が『悪徳武装警官』の聞いた最後の言葉であった。
 彼女の超近接銃撃が彼の顎を撃ち抜く。
 さらに肘の一撃が義体を吹き飛ばし、優雅にステラは一礼してみせるのだ。
『主人様』が絡まない時のステラは本当に完璧メイドなのである。惜しい。マジで惜しい。
 しかし、ステラにとって最上なるは『主人様』でしかない。
 故に、彼女のハイパフォーマンスなる立ち振舞を見ることができるのは、ある意味今だけであったのかもしれない。

「もう一度いいますが、誰がやべーメイドですか」
 言ってない。
 言ってない。ステラさんは最高のメイドです。いつでも。
 そんなふうにステラは『悪徳武装警官』たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げのネコ耳ぴこぴこさせる完璧メイドとしてダストエリアに幻影のような時間を生み出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

天にまします神よ
どうか何もしないでください
これは地上の…人間同士の問題ですから
お願いします
どうか
まじで

なんてことも言われたボクだけれど…
奇蹟の押し売りを惜しんだことなんて一度だってあるもんか!

そう、たまには目に見える奇蹟ってのを示してあげないとみんなボクを|崇め《ちやほやし》てくれないし!
さあみんな!ボクの手を見て!
すべすべでぷにぷにで形が美しくて何の変哲もないけどとってもキュートな手だよね!
つまり、この手が彼らを倒したならそれは……奇蹟ってことだよね!

【第六感】で横暴警棒を回避!からのー…
UC『神撃』でドーーーーンッ!!
種も仕掛けもない(力技)…これぞ神の奇蹟だよ!



 それは嘗て願われたことであったのかもしれない。
「天にまします神よ」
 それは祈りであったのかもしれない。
「どうか何もしないでください。これは地上の……人間同士の問題ですから」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はその言葉を噛みしめるように思い出す。
 あの頃はどんな感じだったのかとか、そんなことを思い出しいているようであった。
「お願いします」
 その言葉の意味を彼は理解していただろうし、神性としての存在が如何なるものであるのかも示していた。
「どうか」
 願いは祈りに昇華する。
 故に神は、その力を持って人間に示すのだ。

 神としての力を。
「まじで」
 その言葉の最後になんか風向きが変わったような気がした気がするが気の所為であったことだろう。
 なんてことを言われたことを思い出したロニは、しかしてだから何だって言う話であると一周する。
 そう、奇跡の押し売りを惜しんだことなど彼は一度たりとてない。
 何度だって、何言われたって、どんだけ願われたとしても、奇跡は起こす。
 どうあっても起こす。
 それが自分という神性の為すべきことであるというように、当たり前のように示してみせるのだ。

「そう、たまには目に見える奇跡ってのを示してあげないとみんなボクを|崇め《ちやほやし》てくれないし!」
 あまりにも自分の都合であった。
 その言葉にオブリビオン化した『悪徳武装警官』たちはいつもどおりだな、と思った。
 神を自称する者なんて、このサイバーザナドゥにはいくらでもいる。
 それこそヤバめな薬でバッドトリップなんて日常茶飯事なのである。公的機関である警察機構であるからこそ、そのような人間を多く見てきたのだ。
 本当に今更であった。
 だからこそ、ロニが如何に本物の神であったのだとしても、彼等の為すべきことは変わらない。

「あーはいはい、そういうやつね。薬のキメすぎだな」
「オーバードーズも極まるとああいうのがでてくるんだよな」
 淡白な反応であった。
 仕方ない。
 だが、ロニは手を広げ掲げてみせる。
「さあみんな! ボクの手を見て! このすべすべでぷにぷにで形が美しくて何のへんてつもないけど、とってもキュートな手だよね!」
 何いってんだコイツ、という顔をする『悪徳武装警官』たち。
 さもありなんというやつである。
 しかし、ロニは続ける。
「つまり、この手が彼等を倒したならそれは……奇跡ってことだよね!」

 その言葉に『悪徳武装警官』たちは、はいはいそうねと呆れ半分でロニに警棒を叩きつけようとして、それができなかったことを知る。
 いや、知ることすらできなかっただろう。
 彼等の横っ面を盛大にぶちのめす拳。
 それは先程ロニが掲げていたぷにぷにの手である。
 柔らかいはずなのに、頬を叩く衝撃は鉄か何かで打ち据えられたかのような衝撃であった。
「はい、どーんっ! ボクを|崇め《ちやほやし》てくれないなら、容赦なんてしないよ!」
 それは力技の一撃であった。

 神撃(ゴッドブロー)は信心無き者にさえ神々しさを感じさせる拳。。
 例え、それがクスリのやりすぎでちょっとアレな感じなのかなと思っていたロニが放ったのだとしても、彼等の義眼に神としての力を示すには十分すぎた。
「種も仕掛けもない……これぞ神の奇跡だよ!」
 ただの力技である。
 しかし、ロニの拳は当たり前のように『悪徳武装警官』たちをぶっ飛ばしていく。
 まるで悪い夢のようであったことだろう。
 それほどまでにロニの拳はその外見からは考えられないほどに固く、鋭く、重たく……凄まじい衝撃音をダストエリアに響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
ホールド・アップ!動くな!可及的速やかにくたばりなさい!

警察手帳を掲げながら大声でUCを使用し、同時にサイバー軽機関銃で制圧射撃の先制攻撃です。
なんだかんだであのタイプのサイボーグ警官の装備は馬鹿にできませんからね。敵に態勢を整えさせずに制圧するに越したことはありません。
超加速した義体腕の一振りも、行動速度が半減した状態では超加速と言えるほどの速度は出せないでしょうし、そもそも私に近づけさせません。サイバーアイのお陰で視野は広いので近付いてきそうな敵を見切り、優先的に撃ち抜いていきます。

腐敗警官なんて粗大ゴミはさっさとダストエリアのゴミ山の一部になりなさい。それがあなたたちに相応しい末路です。



 ダストエリアを一掃せんと攻め入るオブリビオン化した腐敗警官『悪徳武装警官』たちは、次々と猟兵達によって打ち倒されていく。
 だが、しかし彼等は未だ理解していない。
 このダストエリアに存在するのが生命の埒外であることを。
 そして、ミニパトの赤く明滅するパトランプが自分たちを照らしている意味も理解していなかったのだ。
「どこの管轄だ! てめえは!」
 自分たち以外の警察機構がこのダストエリアに居るなど通達を受けてない。
 彼等はこのダストエリアに住まうストリートチルドレンを塵屑のように処理するように癒着している巨大企業群『ティタニウム・マキア』から依頼されているのだ。

 ならばこそ、此処に自分たち以外の武装警官が居ること自体が何かの間違いであると思ったのだろう。
 だからこそ、ミニパトからでてきた新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)の言葉に彼等は虚を突かれた。
「ホルード・アップ! 動くな!」
 婦人警官。
 それも自分たちと同じ武装警官の姿に『悪徳武装警官』たちはたじろぐ。
 動くな、という命令に彼等は従う謂れはない。
 何故なら、命令に従って職務を全うしている最中だからだ。例え、それがダストエリアに住まう少年少女たちの虐殺であったとしてもだ。

「馬鹿なッ! こっちは警察だぞ! 警察がなんで……!」
「可及的速やかにくたばりなさい!」
 にこたまの意志は固かった。
 換装義体を構成している金属部品以上に固かった。彼等はその『動くな』という命令を簡単に破ったのだ。
 その瞬間、にこたまのユーベルコードは『悪徳武装警官』たちすべての行動速度を半減させる。
 何が起こったのか理解できなかっただろう。

 にこたまが掲げた警察手帳は本物だった。
 そして、すぐさまサイバー機関銃を持って『悪徳武装警官』たちに鉛玉を打ち込む姿は、あまりにも快刀乱麻を断つかのような迅速果断なる行動であった。
 理不尽ささえ感じたかも知れない。
「なんだかんだであのタイプのサイボーグ警官の装備は馬鹿にできませんからね」
 にこたまが下した決断は正しかった。
 如何に同じ武装警官と言えど『悪徳武装警官』たちの義体はパワーに振り切っている。なぜなら、暴徒を鎮圧する際に腕力ほど物を言うものはないからだ。
 そして、そんなタイプのサイボーグ警官を制圧するためには、サイバー機関銃がうってつけだった。

「なんで、警官がこっちを撃つ……!?」
「あなた方が腐敗しているからですが? それ以上の答えなど必要ですか?」
 にこたまは再び引き金を引く。
 躊躇いなどなかった。
 同じ職種の警官を撃つ。
 それは、ともすれば職業倫理に悖るものであったかもしれない。けれど、彼女の中の正義が言うのだ。
「それはそれ。これはこれ」
 そう例え、同じ警察機構という紋所を掲げるのだとしても、目の前のオブリビオン化した『悪徳武装警官』たちは、その正義の心ではなく、己の私腹を肥やすためだけに虐殺を行おうとしていた。

「即ち、不正義。正義でないのならば、撃つのに躊躇いなどありません」
 故ににこたまはサイバー機関銃の引き金を引き続ける。
 超加速の機能も、彼女のユーベルコードによって速度を半減させられている以上、力を発揮できないだろう。
 何処まで行っても、にこたまを突き動かすのは正義の心だけであった。
 それを持たず、忘れ、ただ怠惰に堕落した存在と、にこたまは相容れないのである。
「こんなことを俺たちにして、ただで済むと……」
 そんな恨み言を告げる『悪徳武装警官』の義体頭部を、にこたまは踏みつけ砕く。
 脅し文句が通じる彼女ではない。

「腐敗警官なんて粗大ゴミはさっさとダストエリアのゴミ山の一部になりなさい」
 彼女はその義眼、サイバーアイによって周囲を見回す。
 既に周囲には『悪徳武装警官』たちの姿はない。
 ダストエリアから一掃された彼等の義体パーツをにこたまは見下ろし、蹴り飛ばす。
「これがあなたたちに相応しい末路です――」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『キラー・ロリータ』

POW   :    ビーハイヴ・シューティング
自身の【装備している銃火器】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[装備している銃火器]は【過負荷】により破壊される。
SPD   :    キラー・ストーム
【装備中の銃火器】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    ロリータ・カモフラージュ
【庇護欲、または恐怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【銃火器】から、高命中力の【銃弾の雨】を飛ばす。

イラスト:マノ居

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『キラー・ロリータ』は腐敗警官たちが一向にダストエリアから帰ってこないことに首を傾げる。
 彼等がどうなるのだとしても彼女にとってはどうでもいいことだった。
 けれど、こうまでダストエリアの連中にてこずることがあるだろうか? もしくは本当に何か金目の物を見つけて深追いしているのか。
 どちらにせよ、このダストエリアを滅却するかのように燃やし尽くすことは決まっている。
 彼女の所属する巨大企業群『ティタニウム・マキア』にとって、彼等が探し求める『パーツ』だけが最重要優先事項であったからだ。
 この一体を滅却しても恐らく『パーツ』には傷一つ付かないだろう。
 だからこそ、ダストエリアを一掃しようとしていたのだ。
「けど、おそぉい……はぁ……くっそだるいわぁ……」
 がり、と呷るようにして飲み込んだ錠剤には『骸の海』が濃縮されている。
 それを彼女は噛み砕いて飲み込む。

 ぶるぶると義体が震える。
 歓喜に震えていると言ってもいい。体が喜んでいる。多幸感がトリップを呼び込み、彼女の世界はビビットカラーに染まる。
「あ~……テンション、あがてきたぁ……『殺し屋』だっていうのがいるんでしょ? なら楽しませてもらおうじゃないの。ねえ、『アイレオ』!!」
 けたたましい笑い声とともに迸る狂気。
「アハハハハ! アハハハ! 楽しいことしましょう! ねぇ! 殺し合いをさ! ヒリヒリするような、生きてるって実感させてくれるような、そんな殺し合いをぉ!!!」
 見開かれた義眼が歓喜に濡れ、『キラー・ロリータ』は炎盛るダストエリアに飛び込んでいくのだった――。
馬県・義透
引き続き『疾き者』だが

陰海月にぷんすこ怒られまして。
伝わってきたのが、「無茶したら嫌い!」だったので…無茶しないように。

ここ、遮蔽物も多いですが。さらにわかりにくくしましょう。
UCを使っての隠密。漆黒風を投擲して、すぐに場所移動。そしてまた投擲…と繰り返しますねー。
ついでに、生命力吸収しておきますねー。

その銃火器、威力が高かろうと、当たらなければ意味がないのでー。
まあ、周りに結界も張ってありますから、この場所に傷ひとつ残しませんよ。


ぷんすこ陰海月「ぷっきゅ!ぷーきゅっきゅっ!」
次は無茶禁止!無茶したら大嫌いだもん!



「アハハハ!!」
 笑い声が響いている。
 ダストエリアに響く笑い声はオブリビオンである『キラー・ロリータ』のものであった。
 過剰投与された『骸の海』の錠剤は、彼女を狂気へと駆り立てる。
 脳に与えられる刺激は等に閾値を超えているし、また彼女は周囲に燃え盛る炎すら物ともせずに獲物を求めて疾駆する。
 止めようがない。
 強化された義体は、例え『アイレオ』が尋常ならざる握力を持つのだとしても凌駕するだろう。
 それほどまでの性能なのだ。

 とは言え、これを倒さなければダストエリアに住まう者たちは彼女に皆殺しにされてしまうだろう。
 危険性は高いが故にこれを早急に排除しなければならない。
「……とは言え、ですね。本当に」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はほとほとに困り果てた顔をしていた。
 彼がそんな顔をしているのは珍しいことであった。
 何がそんなに彼を困らせているのだろうか。
 オブリビオンの性能だろうか。
 それともこのダストエリアの現状だろうか。

 否である。
 どれもが違う。
『陰海月』が影の中から伝える意志。
 それは『むちゃしたら嫌い』という明確な拒絶であった。
 余程『疾き者』が『悪徳武装警官』との戦いでむちゃをしたのが腹に据えかねるものであったのだろう。
 そんなふうに拒絶されてしまっては『疾き者』も立つ瀬がないのである。
「……むちゃしないように……となれば」
 彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 ダストエリアは至るところにパーツの残骸やら何やらの遮蔽物が横たわっている。
 ならば、と彼のユーベルコードは呪力で出来た海水の霧を生み出す。
 それは己を視聴嗅覚で感知することを不可能に変えるものであった。
 また同時に霧に触れた者の生命力、霊力、運気、酸素を奪うのだ。

「……? 何この霧? すっごい邪魔なんですけどぉ!」
 狙いは付いていないはずだ。
 けれど、『キラー・ロリータ』は構わず重火器をぶっ放す。
 過剰に注がれたエネルギーが過負荷の絶えられず、周囲のパーツの残骸を霧ごと吹き飛ばす。
 あまりにも大雑把な戦い方だった。
 投げ放たつ棒手裏剣の一撃を受ければ、己の持つ重火器が破壊されても構わずに放ち続けているのだ。
「いくら威力が高かろうと、当たらなければ意味がないのでー……」
 しかし、放つ重火器の一撃は重たい。
 この一撃を受けてしまえば結界も砕けてしまう。
 それほどの一撃なのだ。

「……いえ、やめておきましょう」
 己のみを省みることがなければ、できないこともないだろう。
 けれど、影の中から響き渡る『陰海月』の声に『疾き者』はほとほとに弱りきってしまう。
「ぷっきゅ! ぷーきゅっきゅっ!」
 その言葉は言わずともわかろう。
 無茶禁止! と叫ぶ声。そして無茶をしたら大嫌いになってしまうと叫んでいる。
『疾き者』にとって強敵とは『キラー・ロリータ』ではなく、自らの影の中にいる『陰海月』のことを示す。
 さて、どうして説き伏せたものかと思いながらも『疾き者』は己を考えてくれる『陰海月』のことをきっと嬉しく思うはずであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
あれが今回のメイン|ゲスト《標的》ってやつだね★
それじゃあクライマックス、始まるよ★

ロボットビースト達は再潜伏、攻撃はタイミング合わせてね★
彼女多分動く物全部壊すタイプだし、遮蔽物に隠れたまま囮のホログラムを投影だよ★
怖いけどシルキーちゃん頑張っちゃう★(あざとくふるふるするホログラム)

向こうが囮以外の伏兵に気付いて範囲攻撃を使うより前にUC、再度の【お金は天下の回り物★】
武器弾薬他を奪って即ホログラフィックブレイド、Ku-9、ビースト達による一斉攻撃を仕掛けるよ★

ああいう壊し屋が予備武器を持ってないのはまずないけど、
|お色直し《再装備》には時間がかかるもんね★
その前に……終幕させちゃうぞ★



 ダストエリアに荒れ狂う炎のようにオブリビオン『キラー・ロリータ』は笑いながら重火器を振り回す。
 義体の力は過剰投与された『骸の海』によって強化されている。
 内蔵した火器を使い捨てるようにしながら彼女は弾丸の雨を降り注がせる。
「どこよ、何処に居るってのよ『殺し屋』っていうのはさぁ!」
 彼女が標的としているのは、このダストエリアに存在する『殺し屋』である『アイレオ』であった。
 しかし、彼は猟兵達によって下がらされている。
 ならばこそ、此処で猟兵たちが彼女を打倒しなければならない。
 それは危険極まりない行為であったけれど、シルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は己のホログラムを投影する。

 美少女としての姿。
 そのホログラムがダストエリアを走る。ただそれだけで『キラー・ロリータ』は己に内蔵された重火器の銃口を一瞬で向ける。
 凄まじい反射速度である。
 放たれる弾丸は、しかしホログラムであるシルキーを撃ち抜くのみである。
「ホログラム! こっすいことをしてくれるわねぇ!」
 放たれる弾丸が雨のように周囲を撃ち抜いていく。
 自身の筐体の体を物陰に潜ませていてよかった、とシルキーは思う。『キラー・ロリータ』は見境なく弾丸を打ち込むタイプだ。

 動くものすべてが標的。
 ならばこそ、そこに見境など無いのだ。『悪徳武装警官』が仮に動いたとしても彼女は躊躇なく弾丸を打ち込んだことだろう。
「うう~★ 怖いけど、シルキーちゃん頑張っちゃう★」
「あざてぇんだよ!」
 激高するように『キラー・ロリータ』の瞳が見開かれる。
 何処に地雷があるかまるでわからない。見当違いなことで怒られているような気分にさせられながら、シルキーはホログラムであざとくふるふる震えるような動作をしてみせる。

 それが彼女の地雷をまた踏み抜く。
「そういうのを私の前ですんじゃあねぇよ! ムカつくだろうが!! 私より可愛くってよ~!!!」
「えぇ……★ でもでも、仕方ないよね★」
 シルキーのカメラアイがユーベルコードに輝く。
 お金は天下の回り物★(ファイン・コレクター)とばかりに彼女に内蔵された強制徴収機構が展開する。
 それは『悪徳武装警官』たちを相手取った時にそうしたように、彼女の内蔵されている火器の弾薬を奪う。
「さらに一斉攻撃★ いっちゃおう★」
 シルキーの合図と共に一気に物陰から飛び出すロボットビーストたち。
 さらに投射刃にホログラフィックブレイドが『キラー・ロリータ』に襲いかかる。

 重火器を封じたのならば、敵は反撃できないはずだ。
「|お色直し《再装備》には時間がかかるもんね★ その前に……終幕させちゃうぞ★」
 シルキーはロボットビーストたちと共に『キラー・ロリータ』を包囲する。
 敵の重火器は確かに脅威だ。
 けれど、包囲しているのならば攻撃を届かせることができる。
 ロボットビーストの突撃をいなす『キラー・ロリータ』。さらにそこに放たれる投射刃が弾かれる。
 それ以上にシルキーの筐体型の頭脳戦車としての躯体が走り込む。
「無駄だっつってんだろう!」
 蹴り飛ばされる筐体。
 だが、それはホログラムだった。彼女が投影したホログラム。

 シルキーの本体は、その一歩手前。
 空振りした蹴撃の向こうに驚愕に歪む『キラー・ロリータ』の顔があった。
「てめえ!」
「可愛いシルキーさんの活躍は決まっているんだよね★」
 あざといと言った『キラー・ロリータ』の言葉に意趣返しするようにシルキーはそのホログラフィックブレイドの一撃を彼女に叩き込み、その義体を袈裟懸けに切り裂いて、その電脳に損害を与えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
【POW】
アドリブや連携も大歓迎だ

「悪徳警官達の親玉だな。
どうやら、一筋縄ではいきそうに無いな!」
放たれる銃火器の弾幕の中を
縦横無尽に動くことで標的を絞らせない
更に[オーラ防御]を展開してダメージを軽減
後の弾は[気合い]で避けるぞ

「アイン!演算開始!」
転送された剣が金色に輝き、時計のような音が鳴る
3分間の攻撃を捌ききり、銃火器にひびが入った瞬間に
一気にキラー・ロリータに接近する

「アンタらの目的は知らないが、
生き抜こうとする人々の明日を奪おうとするならば、
幾度だろうとオレはお前達の前に立つ!」
黄金の輝きが一際強まる
「超必殺!アウルム・パニッシュメント!!」
上段からの一刀両断でぶった斬る!



 電脳が焼かれると思うほど激痛が猟兵の一撃によってオブリビオンである『キラー・ロリータ』に走る。
 事実、その一撃は彼女の電脳に損害を与えるものであった。
 だが、彼女はまだ倒れていない。
『骸の海』を過剰投与された義体は、強化されている。
「まだまだってんだよ! クソったれがぁ! 私はぁ!」
 彼女の瞳は狂気に染まっている。
 その狂気の度合いを示すように彼女の瞳は、義眼は、瞳孔が開きっぱなしになるようにレンズが開放されている。

「お前が『悪徳武装警官』たちの親玉だな。どうやら、一筋縄ではいきそにないな!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の言葉がダストエリアに響き渡る。
 その言葉に応えるように放たれる重火器の弾丸。
 まるで雨のように降り注ぎ、問答無用であった。
「そうだよ、私が親玉って……そんな可愛くねぇ言い方すんじゃあねぇ!!」
 彼女の地雷が何処に在るのかさっぱりわからない清導は、一気に戦場を駆け抜ける。縦横無尽に駆け照準を合わせないようにしているのだ。
 だが、『キラー・ロリータ』の放つ弾丸はまるで狙いをつけているものではなかった。
 ただ敵を見たら引き金を引く。
 乱射。
 それしかないのだ。

「……メチャクチャなことを!」
『ブレイザイン』としての鎧がなかったのならば、弾丸は確実に清導の体を貫いていただろう。
 そうでなくても激突した弾丸が鎧を衝撃波で打ち据える。
 貫かれることはなかったが、その衝撃だけで内臓がえぐれるような痛みが走るのだ。だが、それでも彼は前を向く。
 痛みはこらえればいい。
 なんのために己が気合を入れたのか。
 それは己の痛みに喘ぐ姿を子供らに見せるためではない。己が勝たねばならない敵は、今まさに目の前にいる。

 そう、オブリビオンだ。
 過去の化身。今を破滅に導く者。
 それが目の前にいるのならば、清導は傷に痛みを覚えている暇などなかったのだ。
「アイン! 演算開始!」
 彼の前の前に転送された剣が金色に輝く。
 黄金剣から響くのは時計のような音。
 何かを刻む音。
 一体何を刻んでいるのか。いや、『キラー・ロリータ』には、それを看破する術などなかった。
 ただ迫る敵を撃ち抜くのみ。
 弾丸こそが彼女の力であったのだ。
 ならばこそ、彼女は内蔵された重火器の弾丸を撃ち放ち続ける。過負荷など気にしてなどいなかった。

「アンタらの目的は知らないが、生き抜こうとする人々の明日を奪おうとするならば、幾度だろうとオレはお前たちの前に立つ!」
「知ったことかよぉ、塵屑のことなんてなぁ! それにごちゃごちゃと!」
 迫る『キラー・ロリータ』。
 その銃口が清導へと突きつけられる。
 だが、弾丸は彼を貫くことはなかった。
「きっかり三分だ。アンタの重火器は、この瞬間に過負荷で壊れる!」
 踏み込む。
 痛みを堪え、さらに前に進む。
 恐れるのは痛みでも敵でもない。目の前の困難から逃げ出そうとする己の心である。

 手にした剣の黄金が一際強く輝いた瞬間、彼の手から放たれる斬撃は上段からの一撃。
「超必殺! アウルム・パニッシュメント!!」
 炸裂する一撃が『キラー・ロリータ』の交錯した重火器を一撃のもとに両断せしめる。
 防御など間に合うはずがない。
 機能解放:操刻する無双の黄金剣(オプティマイジング・フォー・マキシマム)によって得られたユーベルコードの輝きは、その程度で防げるものではないのだ。
「此処がアンタの終わりだ!」
 カチン、と時を刻む音が響き渡る。

 それは終わりを示す刻。
『キラー・ロリータ』の体に走る一文字。
 全力でぶつけた一撃は防御すらなきものとして、彼女の体に『ブレイザイン』が刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
大きな銃器を持ってますね。
これを乱射されたら子供達の住まいが破壊されてしまいます。
こんな人が警察を名乗るとは悲しいを通り越して呆れ果てます。

結界術・高速詠唱で作り出した防御壁やオーラ防御を纏った天耀鏡で銃弾を防いで周囲の被害を抑えつつ《再誕乃儀》を発動。
脳以外は殆ど義体な上、兵器は無機質でしょうから、非武装の女の人に変換してしまいますよ。
尚、服装は死装束の白い和服に。

肉体を操作して正座させて大人しくさせます。
「ここまでです、ハイクを詠みなさい。」
…宿る意思はそのままなので、口は相変わらず悪いですね。

仕方ありません。
と刀身を伸ばした雷月に光の属性攻撃を籠めての鎧無視攻撃で、一思いに介錯します。



 黄金の斬撃の一撃がオブリビオン『キラー・ロリータ』の義体に刻まれる。
 縦一文字の斬撃。
「クソクソクソ! クソッタレがよお!! 私の義体に傷をつけやがってぇぇぇぇッ!!!」
 咆哮が響き渡る。
 彼女にとって己の義体は己の姿に対する自身であった。
 自身の可憐さ。
 自身の優美さ。
 そうしたものを誇る。誇るが故に、彼女はそれを傷つけられることを嫌う。更に言うのならば、自分よりも花やぐ容姿を持つものを妬み嫉む。
「どいつもこいつも!」
 義体に内蔵された重火器の銃口が周囲に向けられ、弾丸が放たれる。

 それを大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は鏡でもって防ぐ。
 防御壁やオーラを纏った鏡は弾丸を防ぎ、周囲への被害を抑えるのだ。
 彼女にとってこのダストエリアに住まう少年少女たちは守るべき存在であった。そんな彼等の住まいを破壊されてはならないと『キラー・ロリータ』の銃弾を防ぎ切るのだ。
「こんな人が警察を名乗るとは悲しいを通り越して呆れ果てます」
「マッポと一緒にすんじゃあねぇよ! 私はなぁ!『ティタニウム・マキア』から出向だっつてんだよ!」
 銃口が詩乃に向けられる。
 目の前の義体は、脳以外は殆どが無機物。
 生体スキンを使っている部分もあるようであるが、彼女の狙いどおりであるのならば、煌めくユーベルコードが『キラー・ロリータ』を変える。

「なんだ、何を……!」
「宿る意思はそのままに。再誕乃儀(サイタンノギ)……機械の身体に血が通い、胸が鼓動し、脳が想いを巡らせる。アシカビヒメの権能により、ここに人として再誕せよ」
 彼女のユーベルコードは、宿る意志そのままに躯体を。即ち無機物たる義体を人間のものへと変換する。
 その力はオブリビオンとして『骸の海』を過剰投与された肉体と相反するように膨れ上がっていく。
 拮抗していると詩乃は彼女を操ろうとして、抵抗されていることに気がつく。

「ここまでです、ハイクを詠みなさい」
 詩乃が静かに告げる。
 装甲は白装束へと変わっていた。それはまるで死装束のようであったし、詩乃はこれ以上被害を出させまいと無理矢理に『キラー・ロリータ』を正座させる。
「誰がぁ!」
「……相変わらず口が悪いですね」
「この体は私のものなんだよ! 私以外の誰かが好きにしていいもんじゃあない! 失せろよ!」
 その言葉に詩乃は仕方ないと頭を振る。
 手にした懐剣より光の属性を集めた刃が伸びる。

「させるかよ!」
『キラー・ロリータ』の体が跳ねる。
 詩乃のユーベルコードで抑え込んでいた肉体が、義体へと変わり詩乃に襲いかかる。 
 伸ばされた銃口を懐剣の斬撃が切り裂き、跳ね飛ばす。
「いいえ、ハイクを詠まぬのならば、介錯をするまで」
 詩乃は思い出す。
 それはきっとこの世界の作法。
 ニンジャやヤクザがはびこり、警察が腐敗する。 
 巨大企業群の野望が暗躍する世界にあって、自身がすべきことはなんであるのかを。

「天誅を下しましょう」
 放たれる光の刃が『キラー・ロリータ』を切り裂き、詩乃は背後に膝をつかせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
それにしても
亜麻色の髪の男に巨人のパーツ……
さて、何色の天使なのか……
|エイル様《主人様》を探すなら巨人から攻めてもいいかもしれませんね

いずれにしてもアレは邪魔です
やべークスリ決めて狂ってるとか
ヤバい人は総じて自分のヤバさに気付いていないという良い例ですね
……何か視線を感じるのですが??

とりあえず倒しましょうか

ああ、前から思っていたのですがその衣装
ロリータなのかメイドなのかはっきりしていただけませんか?

などと挑発しつつ
【シーカ・サギッタ】で距離を取って投擲
常に動きながらの勝負なら銃火器より小回りの利くナイフの方が有利なはず
ちなみに私の庇護欲はエイル様に捧げているのでここに無いです
残念でしたね



 膝をついたオブリビオン『キラー・ロリータ』の姿は、その名が示すとおり特徴的なドレススタイルであった。
 そこに他のファッションエッセンスを取り入れたサイバーザナドゥらしい装いは見るものに如何なる感状を与えただろうか。
 時には庇護欲を覚えさせたかもしれない。
 しかし、『キラー・ロリータ』の言動がすべてを台無しにしていることには代わりはない。
「クソが糞がくそったれがよぉ! 私に此処まで傷を負わせておいて、それで終いってわけじゃあないよなぁ! おい!」
 内蔵された重火器が再び銃口を露出させる。
 猟兵によって刻まれた損害の痕は言うまでもなく消耗を齎している。

 だからこそ、彼女は怒り狂うのだ。
 自らコーディネイトしたファッションを汚されたことも、義体を傷つけられたことも、全て彼女にとって苛立ちでしかない。
「どいつもこいつもよぉ!! ぶっ殺してやる!!」
 その言葉を前にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は別のことを考えていた。
 巨大企業群『ティタニウム・マキア』。
 その狙いは一体なんなのか。『安心安全』を謳う彼等にとって持ち出されたと言われる『パーツ』。
 それが如何ほどの意味を持つのかを猟兵たちは未だ測りきれていない。
 故に彼女は己の追い求める『主人様』を思えばこそ、巨大企業群『ティタニウム・マキア』の動向を探ることもまた必要であると思えたことだろう。
「いずれにしてもアレは邪魔です」
「あぁん!?」

 その言葉にようやく『キラー・ロリータ』が反応する。
 ステラの眼中に彼女は映っていなかった。
「前から思っていたのですが、その衣装。ロリータなのかメイドなのかはっきりして頂けませんか?」
 ステラが眼鏡をくいってする。
 それだけで癪に障る。
 敵を苛立たせ挑発するステラの前に銃弾が飛ぶ。
 だが、それをナイフで弾きながらステラは走る。挑発によって照準がぶれている。それだけではなく、他の猟兵たちの攻勢によって『キラー・ロリータ』も消耗しているのだ。
 この攻撃を躱すことは容易かった。
「これはなぁ! 私のセンスってもんだろうが! そんじょそこらの量産型と一緒にすんじゃねぇ!」

「やべークスリ決めて狂ってるとか。ヤバイ人は総じて自分のヤバさに気づいていないという良い例ですね」
 周囲が見えていない。
 それは『キラー・ロリータ』にとっては致命的だった。
 未だ彼女は『悪徳武装警官』たちがダストエリアに残っていると思っていただろう。
 だからこそ、自分の援護に来ないことに苛立つし、またその理由を鑑みない。
 既に猟兵達によって倒され、彼女の味方は誰一人いないのだ。
「……何か視線を感じるのですが??」
 気のせいである。

「何をごちゃごちゃくちゃくちゃと!」
 弾丸が飛ぶ荒ぶ中、ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
 手にしたナイフが放たれる。
 常に動き回りながらの戦いであるというのならば、確かに銃のリーチは脅威である。
 だが、この遮蔽物の多いダストエリアにおいては、小回りが効くナイフのほうが有利であるとも言える。
 放つ一撃はあらゆる防護を貫通する。
 銃弾を弾くのではなく、切り裂く。
 弾幕が『キラー・ロリータ』を守るものであるというのならば、彼女の放ったナイフは弾幕にすら弾かれることはない。

「ちなみに私の庇護欲は『エイル』様にささげているのでここにはないです」
 其処になければ無いのである。
 放たれた投げナイフが『キラー・ロリータ』の肩を穿ち、その義体の片腕を地に落とした。
「残念でしたね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
正直な話、殺し合いはあまり楽しいことだとは思いませんね。
正義の名の下に、悪を一方的に殺戮するのは楽しいことだと思いますが。

なので…一方的にすり潰してあげましょう。

UCを発動し、超武装機動警察署Ωジャスティスをこの場に顕現させ、警察署から飛び出すサイボーグポリス武装機動隊を敵に突撃させます。
当然、敵の火力に薙ぎ払われるかとは思いますがサイボーグポリスたちは警察署の変身の度に回復し数も大きさも倍になっていきます。敵の武器強化が終わった時がそのまま敵の最期です。

楽しいですか?ヒリヒリしていますか?生きてるって実感できていますか?ちゃんと協力できていればいいのですが。
ちなみに、私は結構楽しいです。



 正直な話をするのならば、と新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)は思う。
 殺し合いはあまり楽しいことだとは思わない。
 彼女は警官である。
 正義の執行者である。
 だからこそ、『悪徳武装警官』たちのようにはならない。
 しかしである。
「正義の名の下に、悪を一方的に殺戮するのは楽しいことだと思います」
 目の前のオブリビオンを見やる。

 義体を『骸の海』の過剰投与にとって強化されたオブリビオン。
『キラー・ロリータ』は猟兵の攻撃によって片腕を失っていた。しかし、内蔵された重火器がせり上がるようにして彼女の失った腕を補うようにして形成されていく。
 換装義体は、かような技術すら可能とするのだろう。
 だが、過負荷をかけられた銃器は悲鳴を上げるように軋みながら、にこたまに弾丸を放つ。
「うっせぇんだよ! 正義だとか、悪だとかそんなもんが私を煩わせるんじゃあねぇよ!!」
 彼女の咆哮と共に放たれる弾丸。
 しかし、それが、にこたまに届くことはなかった。

 彼女の掲げた警察手帳がユーベルコードに輝く。
「Ωジャスティス・リアライズ! サイボーグポリス、出動しなさい!」
 警察手帳が超武装機動警察署Ωジャスティス(チョウブソウキドウケイサツショオメガジャスティス)に変身する。
 飛び出し続けるサイボーグポリスたち。
 彼等によって、にこたまに迫る弾丸はすべてが防がれる。
 だが、それは同時に彼らの破壊を意味していた。それほどまでに『キラー・ロリータ』の放つ弾丸の威力は段違いだった。
 過負荷によって時間制限があるのだとしても、放つ一撃の強烈さは比例するようであった。

「ぶっ壊れろよ!」
「……一方的にすりつぶしてあげましょう」
 にこたまの言葉に『キラー・ロリータ』は首をかしげる。
 何を言っているのだこの女は、と彼女は思っただろう。圧倒的な重火器の嵐。それを前にして、にこたまが呼び出したサイボーグポリスたちは砕けていく。
 だというのに、にこたまは顔色一つ変えていない。
 それどころか、破壊したサイボーグポリスが、次々と変身し、破壊した箇所を修復して向かってくるのだ。

「は……?」
「楽しいですか? ヒリヒリしますか? 生きてるって実感できていますか?」
「何言ってやがるてめぇ! こんなの」
「ちゃんと協力できていればいいのですが」
 にこたまは警察手帳を掲げたまま、その瞳をユーベルコードに輝かせている。
 こころなしか彼女の瞳の輝きはいつもよりも煌めいているように思えたかもしれない。
 弾丸の嵐を受け止めきったサイボーグポリスたちの巨体。
 過負荷によって破壊された重火器が崩れ落ちた瞬間、にこたまは告げるのだ。

 敵の武装強化は終わる。
 再び武装を換装すればいいだけだろう。けれど、その一瞬を逃すサイボーグポリスたちではない。
 故に、それが彼女の致命打になるのだ。
 にこたまは金色の瞳、サイバーアイをきらめかせ、告げるのだ。
「ちなみに、私は結構楽しいです」
 これが正義の名の下に悪を一方的に蹂躙することだと示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……凄い格好だな……と言うのはさておき……
…あの警官達もそうだったけど…骸の海をドラッグという形で利用しているのか…
…技術は凄いんだよね技術は……倫理観が底辺通り越して地に潜ってるけど…依存性もバリバリにありそうだし…

…まあ…これ以上弾丸ばら撒かれるのも迷惑だしご退場願おうか…
…【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…大剣ほどの大きさの魔剣を幾つか地面に突き刺して銃弾に対する盾にして…
…キラー・ロリータの義体にハッキング…その機能を停止…もしくは低下させて動きを鈍らせるとしよう…
…そこに残りの魔剣を飛ばしてダメージを与えていくとしようか…
…薬物でハイになっているだろうから最後まで油断せずに…ね



 オブリビオン『キラー・ロリータ』の姿は、見るものにとっては奇異なるものに映ったかもしれない。
 それほどまでに独自のファッションセンスであったし、刺さるものには刺さるものであり、また同時に刺さらぬものには全く刺さらぬものであった。
 ときに庇護欲を感じさせるものであったはずなのだ。
 だが、猟兵たちの攻勢によって片腕を失った彼女の姿は、その自慢のファッションを傷つけられている。
「クソがよぉ! お気にが台無しじゃあねえかよ!!」
 彼女の言葉にメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は思わず呟いていた。

「……凄い格好だな……」
「うるせんだよ!」
 錠剤をガリガリと噛み砕き、唇の端からビビットカラーの液体をこぼす『キラー・ロリ』の姿は鬼気迫るものがあった。
 それは『骸の海』を濃縮した錠剤。
 彼女たちは『骸の海』を過剰投与することによって、通常の義体以上の力を発揮している。
 メンカルはそうした彼等の技術を素直に認める。
『骸の海』はこの世界にあって有害物質である。それを濃縮し、投与できる、摂取できるという技術は脅威であると言わざるを得ない。
 けれど、それは倫理観が底を抜いているようなものだ。
 まともな生命倫理があったのならば、『骸の海』をどうにかしようなどと考えることはない。

「……依存性もバリバリにありそうだね……」
 メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 弾丸も撒き散らされては面倒だと思ったのだろう。
 ここはダストエリアの中だ。未だ多くのストリートチルドレンたちが逃げ遅れているし、彼等に累が及ぶことはメンカルの本意ではない。
 だからこそ、彼女の掌は天に掲げられる。
 そこにあったのは、空より降りたる静謐の魔剣(ステイシス・レイン)。
「何をするつもりか知らねぇが! 弾丸でぶち抜けばいいだろうが!」
 放たれる弾丸がメンカルに走る。
 しかし、それは宙より降り注ぐ大剣の刀身によって弾かれ、地面に突き刺さる。同時に凍結していく地面。
 彼女の手繰る魔剣は、貫いた箇所を凍結する氷属性。

 彼女の意志でもって剣の軌道はコントロールされ、攻撃だけではなく防御にも使えるのだ。
「停滞の雫よ、集え、降れ。汝は氷刃、汝は驟雨。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
 その言葉とともに宙に浮いていた魔剣の切っ先が『キラー・ロリータ』に向けられる。
 走る魔剣は、一気に『キラー・ロリータ』の放つ弾丸を放ちながら、その義体へと突き刺さる。
 凍結していく義体の機能を『骸の海』を過剰投与されたエネルギーラインが熱を持って溶かしていく。
「この程度……!」
「……なるほど……?」
 メンカルは義体にハッキングし、その動きを止めようとしていた。
 
 だが、『骸の海』の過剰投与はメンカルのハッキングを阻む。
「……でも、動きは鈍ったね?」
 迫る魔剣が『キラー・ロリータ』を取り囲む。
 動きを鈍らせることに成功したとしても、それは僅か一瞬。それでも十分だったのだ。
 彼女を包囲する魔剣はおおよそ五百を超える。
 飽和攻撃と言ってもいい。
 迫る魔剣の切っ先を完全に躱すことなどできはしない。『キラー・ロリータ』は判断を誤ったのだ。

「……薬物でハイになっているからだよ……」
 対するメンカルは何処まで行っても冷静であった。
 油断というものは何一つ無い。
 故に、飽和攻撃。
 魔剣の切っ先が走り、『キラー・ロリータ』を貫き次々とその体を凍結せしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

これは…お帰りなさいませ~!とか言わなそうメイドさん!

つまり三分間逃げ回ればいいってことだね!
鬼さんこちら!と【第六感】により感知した逃走ルートを最大限活用しておいかけっこをしよう!
そして武器が壊れた隙に…UC『神撃』でドーーンッ!!

やっほー!終わったよー!
やあやあくるしゅうないくるしゅうない!
ボクを崇めてもいいんだよ!
え、お菓子がもっと欲しい?現金だなー
でもいいよ!ボクは崇めてさえくれれば不公平に恵みを与えたりしちゃう神さまだからね!
それにキミたちはなんか大変そうだから信仰を試すようなことはしないよ
前にそれやってなんかめっちゃ怒られたし!



 魔剣による飽和攻撃。
 その切っ先はオブリビオンである『キラー・ロリータ』の義体を凍結せしめる。
「……ッ!! アアアッ!!!」
 しかし、『骸の海』を過剰投与された彼女は己の義体に流れる熱を持って凍結を溶かし、さらに未だ凍結している義体の手足を引きちぎりながらも尚も内蔵された重火器を持って砕く。
「この程度でぇ!!」
 自分が止められるものかと、錠剤を煽った口元を拭う。
 ビビットカラーの液体がこぼれ、ロリータファッションと相まって剣呑なる雰囲気がダストエリアに立ち込める。

 しかし、そんな様子など意に介していない声が響き渡る。
「これは……お帰りなさいませ~! とか言わなそうメイドさん!」
「違えわ! ロリータだろうがよ!!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、即座に返される言葉にちょっと目をパチクリさせたが、やっぱり気にしていなかった。
 重火器に過負荷を駆けることによって強化された弾丸がロニに迫っているからだ。
 それらを鬼さんこちらとばかりに躱して走り抜ける。 
 ダストエリアは遮蔽物がたくさんあるから、鬼ごっこにはもってこいだとも思ったことだろう。

 走る。
 走る。弾丸の雨の中をロニは走り抜ける。何処までも何処までも逃げるように走る。
「やっほー! 全然当たらないよー!」
「ちょこまかとしやがって! 止まれや!」
「いや、止まったらダメでしょ。これってば鬼ごっこみたいなもんなんだしさー」
 そんな言葉に尚更苛立つ『キラー・ロリータ』の表情は、鬼のような形相へと変わっている。
「わーこわい」
 確かに過負荷を掛けられた重火器の咆哮は凄まじい。
 まるで暴風のようにロニに迫るのだ。

 だが、時間制限がある。
 過負荷に重火器が耐えられなくなり、崩れ落ちた瞬間ロニは笑う。
「はい、どーんっ!」
 放つ拳の一撃。
 それが『キラー・ロリータ』を叩き伏せる。
 砕け地面。弾ける部品。
 スクラップの破片はもとよりあったものだったか、それとも『キラー・ロリータ』の義体が砕けたものであったか。

 どちらにせよ、ロニは気にしなかった。
 だって、最も大切なことはこれからなのである。
「やあやあくるしゅうないくるしゅうない! ボクを崇めてもいいんだよ!」
 そんなふうにロニはダストエリアの一等高い場所で笑う。
 神性として、というのであれば語弊があったかもしれない。
 ロニにとって自分がちやほやされること、崇め奉られることのほうが大切なのである。
 だからこそ、彼は不公平を是正する。
 このダストエリアがサイバーザナドゥの掃き溜めであり、また最下層にして最底辺であるというのならば、その不公平をこそ彼は否定するだろう。
「信仰を試すようなことはしないよ」

 だって、それを前にやってしこたま怒られたことがあるから、とロニは笑う。
 ダストエリアに生きる人々にはわからないことであっただろう。
 けれど、ロニはどちらにせよ、高いところから人々を見下ろす。
 いつだってちやほやされること、それがロニにとって最も大切なこと。
 そうされることが自然であり、そうであると振る舞うことそが自分であると示すように、サイバーザナドゥ、その遺棄された者達が身を寄せ合うダストエリアで高らかに、朗らかに笑うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
子供たちを建物の奥へ避難させ、決して出て来ないように言い含める
白い中華服を纏い敵の前へ

完全に正気を失っている、これでは情報収集は不可能
故にただ討ち滅ぼすのみ

この騒乱で周囲は瓦礫には事欠かない
【怪力】を以って掴み、投げつける
敵味方の区別すら付いていないなら、巨大な瓦礫を見れば反射的に迎撃をする筈
その隙を突いて【ダッシュ】で駆け寄る

ティタニウム・マキア……ティタノマキア
その巨大さを巨人に準えたのだろう
ならば識るがいい、悪しき巨人は天の雷霆に討ち滅ぼされると!

脚に白き稲妻(全力魔法・電撃)を纏い、【天霆雷迅脚】!
我が身を焦がすも構わず、全霊の連続蹴りを叩き込む!(功夫)



 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はダストエリアにて呼吸器を患っていた少年少女たちを治療していた崩れた住居の前で扉を閉じる。
 その背の向こう側には未だ治療を終えるのに手一杯で逃れることのできなかった少年少女たちが残されている。
 だからこそ、彼女は背を向け彼等に告げたのだ。
 決してでてこないようにと。
 例え、このダストエリアが遺棄された、不要と断じられた子供らの集まる掃き溜めであったのだとしても、今を生きている彼等を見捨てることは彼女には出来なかったし、するつもりもなかった。

 白い中華ドレスの裾が翻る。
 対峙するのは猟兵の攻勢によって満身創痍と成り果てた『キラー・ロリータ』であった。
 腕は砕け、凍結から強引に逃れたがゆえに脚部の義体は砕けている。
 だというのに未だ口元からこぼれ落ちるビビットカラーの液体は、彼女が更に過剰に『骸の海』を凝縮した錠剤を服用したことを示していた。
「ゴミクズどもがよ……! 私をここまで虚仮にしやがって! ぜんぶ、全部ぶっ壊してやるぁ!!」
 咆哮とともに展開される針鼠の如き様相と成った内臓重火器。
『キラー・ロリータ』の義体の内部に残された火器のすべてが過負荷を掛けられ、凄まじい勢いで弾丸を解き放つ。

 だが、それは動くものすべてに反応していた。
 見境など無い。
 ただ動くものを穿つ。
 それをオリヴィアは理解していたからこそ、周囲に残る戦いの軌跡たる瓦礫を片手で掴み持ち上げる。
 恐るべき怪力。
 それを『キラー・ロリータ』に投げ放てば、彼女はその瓦礫にこそ弾丸を集中させるだろう。
「ハッ!」
「だからなんだってんだ!」
 砕ける瓦礫。
 破片が飛び散る中、オリヴィアは疾駆する。反射的に敵が瓦礫を打ち砕くことは予想していた。
 降りしきる砕けた瓦礫の中を一条の雷光が走り抜ける。

 距離を詰める。
 瞬くように。迅雷のように。
 彼女の身に纏う雷霆は、あらゆるものを討ち穿つユーベルコードの輝き。
「『ティタニウム・マキア』……ティタノマキア。その巨大さを巨人になぞらえたのだろう」
 オリヴィアは『キラー・ロリータ』の背後にある巨大企業群の名をつぶやく。
『安心安全』を売る大企業。
 それが『ティタニウム・マキア』である。
 あまりにも巨大すぎるがゆえに、その名が付いたのか。それとも別の由来があるのかは定かではない。
 ただ、たった一つだけ確かなことがある。

 かの巨大企業群は子供らを食い物にする。
 弱き者を食い物にする。
 当然のように、息をするように、体面のよい言葉で飾りながら、それを是とする。ならばこそ、オリヴィアはそれを許さない。それを悪しきと断じる。
 人の。人の信仰は、人を助けるためにある。より善きを得るために信じ、仰ぐのだ。
「ならば識るがいい」
「何をだよ! てめえの死に様か!」
 放たれる弾丸。
 過負荷によって火器が崩れるのをオリヴィアは待たなかった。待つ必要などなかった。
 彼女の身にまとう雷霆が白い閃光となってダストエリアを切り裂く。

「悪しき巨人は天の雷霆に討ち滅ぼされると!」
 天に満ちるは轟く雷霆。
 オリヴィアの脚に宿るは邪悪を焼き尽くす雷光。
 故に、その名を。

 ――天霆雷迅脚(ケラウノス・ラッシュ)。

 彼女の身をも焦がすことを厭わぬ蹴撃。
 それは一度の轟音の最中に放たれる驚愕なる九つの閃光。
 帯電し、ほとばしる電流の最中にオリヴィアは『キラー・ロリータ』であったものに背を向ける。
 炭化し、崩れ去っていくオブリビオン。
 風にのって塵となるのが定めであるというのならば、オリヴィアの放った雷霆は正しく悪しき巨人を討ち果たす楔となって、その轟雷をサイバーザナドゥに響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年11月30日


挿絵イラスト