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【日常β版】台本のないステージ

#コイネガウ #コイネガウβ版 #日常β版 #お芝居のジャンルや内容は自由(MSが頑張って繋ぎ合わせます) #カオスな内容になってもご了承ください #デパート屋上でのお芝居

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#コイネガウ
#コイネガウβ版
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#お芝居のジャンルや内容は自由(MSが頑張って繋ぎ合わせます)
#カオスな内容になってもご了承ください
#デパート屋上でのお芝居


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●希島百貨店の屋上ステージ
「ねえ、ママー、お芝居まだー?」
「もうすぐ始まると思うから、もうちょっと待ちましょうね」

 『国立希島学園』が存在する希島。近未来的なビルが立ち並ぶ商業地区にあるデパート、希島百貨店の屋上に用意された屋外ステージでは、子供向けのお芝居が開かれる――予定であった。
 だが、いくら待ってもステージに役者が出てこない。

 会場の座席を埋め尽くした親子連れたちに、徐々に不安に満ちたざわめきが広がっていっていた――。

●即興劇団
「実は、芝居をする予定だった劇団の方々が乗ったマイクロバスが、デパートに向かう途中で事故を起こしてしまったのです」
 集まった猟兵たちに説明をおこなうのは、4月から『国立希島学園』に留学生として通う予定の中津・水穂(新人アイドル・f37923)である。
 水穂は、大型スクリーンに映し出された予知の内容を説明していく。

「幸い、劇団の方々に怪我人などはいませんので、そちらは心配ないのですが――」
 スクリーンに映し出されるのは、デパートの屋上を満員にするくらい集まった、幼稚園から小学生くらいまでの子どもたちと、その保護者だ。
 子どもたちは皆、キラキラとした期待に満ちた瞳を屋上のステージに向けている。
「このままでは芝居は中止。芝居を楽しみにしていた子どもたちも、がっかりしてしまうことでしょう」
 予知映像が映し出された大型スクリーンには、大泣きする子どもたちを保護者が困惑しながらなだめるという、ある種の地獄絵図が繰り広げられていた――。

「残念ながら、劇団員が乗ったマイクロバスの事故を防ぐことはできません。ですが――劇団員の代わりに、デパートでの芝居を皆さんがおこなうことはできます」
 すでにデパート側とは話がついているので、このまま猟兵たちが芝居をおこなうことが可能だ。
 デパートの屋上ステージには、様々な芝居をおこなえる大道具・小道具が用意されているので、どのような芝居にも対応することができる。

「脚本も台本もない芝居になりますが、そこは皆さんのアドリブ力に期待します。どうか、子どもたちを悲しませずに済ませてあげてください」
 そう言うと、水穂は猟兵たちに深く頭を下げたのだった。


高天原御雷
 こちらはPBWアライアンス『コイネガウ』のシナリオになります。
 とはいえ、第六猟兵のキャラクターで通常のシナリオと変わらず参加できますので、特に気にしなくて大丈夫です。

 本シナリオの舞台は、『コイネガウ』の世界である希島の商業地区のデパートになります。
 デパートの屋上で開かれるはずだったお芝居が急遽開催できなくなってしまいました。皆さんで力を合わせて、お芝居を開いて子どもたちに喜んでもらいましょう。

 なお、台本や脚本はありません。
 ヒーローショーでもおとぎ話でも人形劇でも推理ものでも何でも大丈夫ですので、子どもたちが喜びそうな舞台を演じてあげてください。きっと皆さんのアドリブで素敵なお芝居になることでしょう。(MSが頑張って繋ぎ合わせます)

●NPCについて
 グリモア猟兵として、PBWアライアンス『コネクト・ハート』のNPCアイドルである中津・水穂が現場にいます。プレイングで指示いただけましたら何でもやりますので、ご自由にご指示ください。
 注:『コネクト・ハート』のシナリオに参加する場合と異なり、当シナリオにご参加いただいても、水穂の好感度は上昇しません。予めご了承ください。

●連動シナリオについて
 注:当シナリオ『コイネガウ』の【β版】は連動シナリオです。PBWアライアンス『コイネガウ』のMSチーム9人による共催です。【β版】とは、来年4月から始まる学園入学前の物語です。【旅団β版】、【色気β版】、【日常β版】、【戦闘β版】と其々の編が分かれていますが、何れも『コイネガウ』の希島を舞台にしたシナリオです。なお、各シナリオは内容が独立している為、重複参加に制限はありません。

●『コイネガウ』について
 PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細は以下でご確認をお願いします。
(公式サイト:https://koinegau.net )
(公式総合旅団:https://tw6.jp/club?club_id=4737 )

●プレイング受付について
 プレイングは12月1日8:31から受付開始します。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●託されし希望
「劇団とはまだ連絡がつかないのか!?」
 デパートの屋上、そのステージ裏で希島百貨店の制服を着たスタッフたちが慌てふためいていた。
 すでに芝居の開始時刻は過ぎている。だが、一向に役者たちが現れないのだ。
 観客席からは、子どもたちが戸惑うような、ざわめきの声が聞こえてきている。

「――劇団の団長と連絡が取れました!」
「それで、劇団員は今どこに!?」
 スタッフのリーダー格の男が、若い女性スタッフに対して声を荒げる。
 だが、電話を手にした女性スタッフの表情は暗い。
「それが――マイクロバスが事故を起こしたため、こちらには来られないと――」
「なんだって!」
 リーダー格のスタッフはパイプ椅子に崩れ落ちるように座ると、顔を手で覆って天を仰いだ。
 今日はずっと前から企画していた、希島百貨店の一大イベントの芝居をおこなう予定だった。
 事前の宣伝の成果は上々。嬉しいことにデパートの広い屋上は、子供連れの親子で満員だ。中には、この芝居を見るためにはるばる遠くから来てくれたお客様もいる。
 今から、この子どもたちに、芝居の中止を伝えなければならないのか――。

 だがそこに中津・水穂の声が響いた。
「皆さん、諦めるのはまだ早いです。ここは――私たちに任せていただけませんか!」
「君は――?」
「『国立希島学園』の関係者です。すでに百貨店の支配人さんの許可はいただいています。どうか――子どもたちの笑顔を守らせてください!」

 こうして、猟兵――または|希人《ホープ》たちによる舞台が幕を開けるのだった。
ベルカ・スノードロップ
『年下に好かれる』×『女性に好かれる』×王子様×国民的スタアの|パフォーマンス《【演技】》が
伊達ではないという事を魅せます

ちょっとした【動物使い】の技
舞台袖で《選択UC》で召喚した可愛い仔猫たちの、愛くるしい演技
そんな演技を魅せて盛り上げます

そんな中、舞台から客席の少女たちを見渡しながら
『王子様』らしく振舞うサービスもします

(魔法少女の適性のある少女はいないでしょうか?)
あの|黒猫《ノワール》なら、どんな娘を次の魔法少女にするだろう?
と考えつつ、客席に目を向けてみます
(あの娘は、どうでしょうか。あちらの娘も……)
結局、目を留めた数人に共通するのは|自分好みの《胸が小さい》少女であること

|デパートのステージ《こういったイベント》は、客席から選んで
部隊に上がってもらうというのも、演出としてありますよね

なので、舞台に上がってもらう事にしましょう

観客たちをあたためるという役回りは成功ですね
あとは、メインと大トリの方々に任せましょうか


西行寺・銀治郎
●心情
「なにっ!? まずいな……劇団不在で子供達のピンチかよ……?
 よし、ここは俺に任せろ!」
水穂ちゃんから依頼の相談を受けてともかく引き受けた俺。
だが、演劇って……?
そうだ、俺には大道芸があったじゃないか!?

●行動
「わはは! ピエロの西行寺参上!
 子供達よ、見てくれ……俺の熱いジャグリングの数々を!」

当日、俺はピエロに仮装して参加する。
特技の大道芸で転がる大玉に乗りながら、ジャグリングボールでお手玉だ。
芸が面白いのか、いや、俺自身が可笑しいのか、子供達は笑っている、ぞ!?

俺は大道芸でピエロの即興劇を頑張るか。
怪しいピエロ口調でジャングリングして会場に語り掛けるぞ。

アドリブ・連携歓迎。


瑠璃刃根・ソーダライト
自主的サポート

・お色気シナリオ:どちらでも
・NG:無し

高天原御雷マスター様へ

縦横無尽に動くソーダライトちゃんを宜しくお願いします。

地下国生まれ育ちの深窓の令嬢です。
普段の口調は「体感せよ(わたし、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?)」
実績解除に時間を惜しまない性格です。

勇者は、何でもやる、RPGの花形。
ワールドハッカーは世界の摂理を書き換えます。

発動キーが、詩詠みの時もあります。

 UCとアイテムは、どれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ!
よろしくおねがいします!


ラクリマ・トランクィッルス
水穂さんのお願いというのもありますが、
これはとてもいい機会かもしれません。

エチュードは役者さん同士の真剣勝負、
実力を試すためにも是非参加させていただきましょう。

そしてなにより子供達の笑顔は最高の宝物。
期待を裏切らないためにも、精いっぱいやらせていただきます。

わたしは衣装をワンピースにしてと両メカクレのかつらをかぶり、
地味っ子な見た目でいきますね。

舞台への登場時には裾を踏んづけて転び、涙目で「平気です!」を繰り返したり、
そこからは、話を聞いているけど、なにも解ってないうえ、無駄にポジティブで、

セリフは、
「なるほど」「そうだったんですね」「わたしもそう思いました!」
この3つのみで挑みたいと思います。
そのときメインでお芝居をしているひとの側で、
頷きながら、うざい感じで相づちを入れていきます。

ときどき使いどころを間違うのはご愛敬ということで、許してくださいね。

舞台上での動きは、転んだり、誰かとぶつかったりしながら、
かきまわしていきたいと思います。
少しでも、笑っていただけるといいのですけど……。


散布済鶏唐・レモネード
マイクロバスが事故を起こした?秘密の気配ね。私がその場に居たら、事の真実が知れたかもだけど、芝居が先ね。代役了解したわ。

両手にはめ込むわ、パペット人形、出番よ。笑わせるも泣かせるも、私達次第。

こっちがメイドのリンシャンちゃんで。こっちが甲冑騎士のラケーテンくん。
方や崇高な正義を信じ、方や聖女と触手を愛してやまず。二人の趣味は惜しくもすれ違います。
出会い方が違っていたら、深い絆も結べたかもしれません。しかし趣味の違いは越えられる物ではありませんでした。
リンシャンちゃんは主従(逆転あり)の島、ラケーテンくんは触手×聖女の島です。

ひとまずコメディに全振りするわ。
ホープコードは、使えそうな人に使用可。




「ねぇ、おしばい、まだなのー?」
「きっと準備に時間がかかってるのね。もうちょっと待ちましょうね」
「えー」
 デパート――希島百貨店屋上ステージの観客席で、女の子が退屈そうに呟く。母親がなだめるが、少女は不満顔だ。
 それも無理はないだろう。すでに開演予定時間はとっくにすぎ、30分以上も待たされているのだ。
 屋上に集まった大勢の子供たちも一様に同じような表情をしていて、周囲には不安のこもったざわめきが満ちていた。

 一方その頃、ステージ裏の楽屋に、数名の猟兵――この世界では希人と呼ばれる――たちが集まっていた。
 突如現れた彼ら彼女らを見て、デパートのスタッフが驚きの声をあげる。
「あ、あなたたちは、一体……!?」
 女性スタッフの声に、一歩前に出たのは茶色の髪を短く整えたハンサムな少年、西行寺・銀治郎(国立希島学園の一般的な残念男子学生・f38167)だ。国立希島学園に所属する男子学生である銀治郎は、デパートのピンチを聞きつけ駆けつけたのである。
「劇団不在か……。みんな、ここは俺たちが何とかしよう!」
「ええ、勇者であるわたしに任せてね!」
 銀治郎の言葉に応えたのは、全身が透き通った青色の身体をしたクリスタリアンの少女、瑠璃刃根・ソーダライト(思い出したわ。全てを知った日の事を!・f38776)。勇者である彼女も、子供たちの危機を救おうとその手のクレイモア風の勇者剣を握りしめた。
「劇団員が乗ったマイクロバスが事故を起こした? これは陰謀の気配がするわ。おそらくお芝居を台無しにして子供たちから夢と希望のエナジーを奪おうとしている悪の秘密結社の仕業ね。でも、私がいるからには秘密結社の思い通りにはさせないわ。子供たちに夢と希望を取り戻させて、秘密結社の野望を打ち砕いてみせるわよ」
「ええと……それはつまり、子供たちの笑顔という最高の宝物を守りましょうということでいいのでしょうか……?」
 悪の陰謀を感じ取り自信満々に語るのは、探偵騎士たる散布済鶏唐・レモネード(許されざる狂行の者・f38834)。カラオケに行くといつの間にか鶏唐にレモン汁がかかっていたことはないだろうか。それは、もしかしたら新しい妖怪である彼女の仕業かもしれない。なんという恐ろしい妖怪だろうか。
 一方、そんな最強最悪の妖怪であるレモネードに恐る恐る声をかけたのは、紫色の髪をしたピンクとアクアブルーの|色違いの瞳《ヘテロクロミア》の少女、ラクリマ・トランクィッルス(いつかは王子様・f38587)だった。泣き虫な性格の彼女としては、レモネードに声をかけるのは相当勇気が必要なことだっただろう。しかし、彼女の持ち前の努力家の性格が、話に割り込む勇気を与えたのである。放っておくと話が進まなそうだったし。
「では、このメンバーで|可愛い少女《子供》たちに夢を与えるとしましょうか」
 女物の服を着ているために美少女にしか見えない、緑色の髪をしたダンピール、ベルカ・スノードロップ(【中将】少女を愛に染め救済せし夜の王・f10622)のセリフ。子供という言葉に違う意味合いを感じ取り、一抹の不安を抱えながらも、一同はステージへと向かうのだった。

「――本当にあの人達に任せて大丈夫なのですか?」
「責任は支配人にとってもらおう――」
 女性スタッフの言葉に、現場責任者は天を仰いで嘆息したのだった――。


「それじゃあ、カーテンを開けるわよ」
 舞台袖に立ったソーダライトが思いっきりカーテンを引くと、屋上に集まった子供たちにどよめきが広がっていく。
 ――そう、いよいよ猟兵たちによるお芝居が始まるのだ。
「やっとカーテンがひらいたな!」
「ママー、どんなおしばいかなー?」
「きっと、楽しいお芝居が始まるわよ」
 男の子も女の子も、その両親も。みんなカーテンが開いた舞台に熱い視線を注いでいる。
 ――その視線を一身に受けるのは、顔に真っ白な化粧をし、鼻を赤くした銀治郎だった。派手なピエロ服を着てボールの上に器用に乗り、さらには10個を超えるボールを宙に放っていく。
「わー、ピエロだー!」
「あんなにたくさんのボール、すごーい」
 銀治郎が次々とジャグリングしていくボール。その妙技に子供たちだけでなく大人たちも魅入っていく。
「特技の大道芸が、こんなところで役に立つなんてな……! ベルカさん、例のやつ、頼みます!」
「ええ、任せてください。……さあ、行きなさい、あなたたち」
 ベルカの言葉とともに、彼の足元から十匹を超える猫たちが飛び出していった。耳がくしゃりと倒れた形をした個性的な猫、スコティッシュフォールドたちは、ベルカの動物使いのテクニックによって銀治郎へと殺到し、次々と飛びかかっていき――。
「よっと、次は猫のお手玉でござーい」
 ジャグリングのボールに混ぜて、銀治郎は猫たちを次々と|お手玉《ジャグリング》していく。
 ひょいひょいと宙を舞う可愛らしい猫たちの姿に、観客たちの顔には笑顔の花が咲く。

「で、では、私もいきますねっ!」
 気合を入れて舞台に出ようとしているのは、清楚なワンピースに両目が隠れるくらいの長髪のかつらをかぶったラクリマだ。
「私は地味っ子の演技で、この|即興劇《エチュード》を盛り上げてみせますっ!」
「がんばってくださいね、ラクリマさんっ!」
 ソーダライトの声に見送られながら、ラクリマはステージへと一歩を踏み出し――ワンピースの裾を踏んづけて思いっきり倒れた。びたーん、と。
「うわっ、痛そうですー」
 ソーダライトは思わず目を覆うが……。役者の卵であるラクリマは、この程度ではくじけない。
「こ、これくらい、平気ですっ!」
 床に打って赤くなった鼻を押さえながらも、健気に立ち上がる。
 その様子を見ていた子供たちからも、ラクリマへと声援が送られる。
「おねえちゃーん、がんばれー!」
「いたそうだけど、いたいのいたいの、とんでけー!」
「ええと、私が子供たちを元気づけないといけないのに、逆に元気づけられちゃってますね」
 小さく苦笑しながらもラクリマは、今度こそ子供たちに夢と希望を与えるため、スポットライトの当たるステージへと上がっていった。


「さぁ、そろそろ真打ち登場よね! パペット人形たち、出番よ。子供たちを笑わせるも泣かせるも、世界を支配するも私たち次第よ」
「ええと、レモネードさん、なんだか邪悪な笑顔が漏れていますけど……」
「ふふ、悪い子や、カラオケに来るリア充にイタズラするのが、妖怪である私の|存在意義《レゾンデートル》なのよ」
 心配そうなソーダライトを横目に、妖怪レモネードが舞台へと降臨する。
 その両手にはめているのは、鍋つかみパペット人形。
「わー、なにあれー」
「かわいいお人形さんー!」
 レモネードが両手にはめる人形に、子供たちも大注目だ。果たして、ここからどのような物語が紡がれるのか――。

『私は崇高な正義を信じるメイドのリンシャン』
『ぐへへ、あっしは聖女と触手を愛してやまない悪の甲冑騎士ラケーテンでやんす』
『ラケーテン、今日こそあなたを倒してみせるわ!』
『それはこっちのセリフでやんす。今日こそあっしの触手の餌食にしてやるでやんすー』

 突如始まった背徳的な雰囲気のパペット人形劇に、意味のわからない子供たちは大喜び。一方、その両親は大慌ての大混乱だ。
「こ、このままではいけませんっ、銀治郎さん、ラクリマさん、レモネードさんの劇をとめてくださーい!」
 ソーダライトが舞台袖から身振り手振りで銀治郎とラクリマに指示を送る。
 銀治郎とラクリマはその合図を受けてアイコンタクトを交わし――。

「へっへっへ、俺様こそ触手騎士ラケーテン様の第一の部下、暗黒ピエロなんだぜー!」
「なるほど、そうだったんですね!」
「銀治郎さんもラクリマさんも、何言ってるんですかーっ!?」
 ソーダライトの合図を『レモネードに合わせろ』という意味に誤解した銀治郎が悪の手下の暗黒ピエロを名乗り。
 今回、「なるほど」「そうだったんですね」「わたしもそう思いました!」の3つのセリフしか使わないと決めていたラクリマが、銀治郎のセリフに同意していた。
「あんこくピエロ、かっこいー!」
「じゃあ、あのじみなおねーちゃんもあくのかんぶなのかなー」
「わたしもそう思いました!」
「やっぱり、あくのかんぶだー!」
 銀治郎とラクリマが悪側についたことで、子供たちも大喜びだった。特に男の子たちが。

「このままでは舞台がめちゃくちゃに。どうにかしないと……そうだ、ベルカさんは!?」
 ソーダライトが舞台袖でベルカの姿を探すが――その姿が見当たらない。
「そういえば、ベルカさん、猫を召喚してから姿が見えないようなっ! 仕方ありません、ここは勇者であるわたしが悪を止めてみせましょう!」
 ソーダライトはゲーミングカラーに輝く勇者剣と勇者鎧を身に着け、舞台へと飛び出していった。


 時は少し巻き戻る。

 猫を召喚して、ひと仕事終えた気分になったベルカは、客席へと向かっていた。
 その衣装は楽屋にあった王子様のもの。仕立ての良いシャツとズボンに、黄金に輝く王冠。腰にはレイピアをさしている。|職業《ジョブ》が王子様かつ国民的スタァであるベルカに、これ以上なく似合う服装だ。
「きゃー、おうじさまーっ!」
「キャー、王子様ーっ!」
「かあさんっ!?」
 ベルカが手を振ると、幼い女の子たちや若いママたちが黄色い声をあげる。
 そして、その隣に座るパパからの悲痛な叫びが聞こえてくる。
「これも観客を喜ばせるサービスです♪ ……さて」
 笑顔を振りまきながらも、ベルカの鋭い視線は客席の|観客《ようじょ》たちに注がれていた。
 その脳内によぎるのは――。

「――魔法少女の適性のある少女はいないでしょうか?」

 え、なんて?

「ですから、これだけ大勢の|幼女《女の子》が集まっているのですから、魔法少女の資質がある美少女がいてもおかしくないでしょう?」
 ベルカの視線は、客席の美少女たちを次々とロックオンしていく。奇しくも、その少女たちは、みんな|胸が小さい《ぺったんこ》な美少女たちだった。
 いや、小さな子供向けの舞台なので、ぺったんこなのは当たり前ですけどね?

 ――その時。
 舞台上では、レモネードの操るリンシャンが、同じくレモネードが操る触手騎士ラケーテンに捕まってしまった。
『きゃあっ、私を触手で捕まえるなんて、きっとあんなことやこんなことをするつもりなのですねっ!』
「なるほど、わたしもそう思いました!」
 悲鳴をあげるリンシャンに、悪の幹部となったラクリマが相槌をいれる。
 さらに暗黒ピエロの銀治郎もノリノリで場を盛り上げていく。
「ひゃっはー! これでこのデパートはラケーテン様の支配下だー!」
「なるほど、そうだったんですね!」

 このまま、希島百貨店は悪の触手騎士ラケーテンとその四天王(2人しかいない)によって、支配されてしまうのか!?
 ――否、この屋上にはまだ希望の光がある!

「そこまでですっ!」
 屋上に響く凛とした王子様の声。
 声の主であるベルカの後ろに立つのは、ベルカに|選ばれた《気に入られた》5人の美少女たちだった。
 少女たちは、皆、色とりどりの可愛らしいドレスを着て、手にはステッキを持っている。どうやら魔法少女という設定のようだ。

「――こういうイベントには、客席のお客様に舞台に上がってもらうのがお約束ですしね」


 舞台袖から勇者ソーダライトが飛び出すのと同時に、客席からも5人の選ばれし魔法少女たちが舞台に上がってくる。

『おのれ、勇者と魔法少女たち! あっしの野望を邪魔するつもりでやんすね!』
「そ、そうだったんですね!?」
「勇者の相手は、この俺、暗黒ピエロに任せろっ!」
 銀治郎がソーダライトの行く手を阻みつつ、ジャグリングボールを掲げる。
 そこに暗黒のオーラが集まり、まるで漆黒の太陽を思わせる魔球が生み出された。
「受けてみろ、必殺、暗黒ジャグリングボール!」
 放たれる無数の黒球を大剣で受け流しながら、ソーダライトは銀治郎に語りかける。
「ピエロさん、あなたは子供たちの笑顔を愛する正義のピエロだったはずです! 目を覚ましてください!」
「わたしもそう思いました!」
『お前はあっしの部下じゃなかったでやんすか!?』
「そうだったんですね!?」
 ラクリマと触手騎士のやりとりに、子供たちの笑い声が聞こえてくる。――いや、それだけではない。子供たちを連れてきている両親も心からの笑顔を浮かべていた。これも、ラクリマの真摯な演技が観客の心を打ったのだろう。

 さらに会場の男の子たちは、暗黒ピエロと勇者の戦いにも夢中になっている。
「まけるなー、あんこくピエロー!」
「けど、もともとはいいピエロなんだよな」
「じゃあ、わるいやつになんかまけるな、ピエロー!」
 その言葉を受け、暗黒ピエロ――銀治郎が苦しみだす。
「くっ、俺は――そう、子供たちに笑顔を届けるためにピエロになったはず……」
「あなたを縛る邪悪な触手騎士ラケーテンの呪い、この私の勇者剣が斬り裂きますっ!」
 七色のゲーミング色に輝く勇者剣が、暗黒ピエロの身体を両断し――その身に宿る悪のオーラだけを消滅させた。
 正気を取り戻した銀治郎が、子供たちに聞こえるような大声でつぶやいた。
「お、俺は……どうやらあの触手騎士に操られていたようだ……」
「なるほど、そうだったんですね! わたしもそう思いました!」
「ピエロさんもお嬢さんも正気に戻りました! あとはあなただけです、触手騎士ラケーテン!」
 ソーダライトの声が朗々と響き渡った。


 だが、レモネードが操る触手騎士ラケーテンは余裕の表情だ。いや、人形だから表情ないけど。
「けっけっけ。あっしは勇者の攻撃が効かないという触手の加護を持っているでやんす。あっしを倒せるのは、ピュアな心を持った魔法少女だけなんでやんすよ」
「そ、そうだったんですね!?」
 ラケーテンの言葉に、驚きの声を上げるラクリマ。3つのセリフだけで、よくここまで会話に参加できると感心してしまう。

 しかし、余裕の表情を浮かべるラケーテンに向かって、微笑みを浮かべたベルカの言葉が突き刺さる。
「ええ、こういう場合、最後の切り札になるのが魔法少女だということはわかっていました。さあ、魔法少女のみなさん、あの悪の触手騎士をやっつけちゃってください」
「はいっ!」
「みんなっ、ちからをあわせて、まほうをはなつよっ!」
「いっけぇー!」
 会場から選ばれた5人の|観客《魔法少女》たちが、同時に魔法のステッキを振るう。
 ステッキの先端からは、眩いばかりの閃光が放たれ――。
『ば、ばかなぁ、あっしの触手結界が破られるなんてでげす~!』

 ――光が収まったとき、そこには邪悪な触手騎士の姿はなかったのだった。


 こうして、希島百貨店のステージに幕が降りていく。
 会場は、笑顔の子供たちやその両親たちからの拍手で満ちていた。

『みんな、助けてくれてありがとうねっ』
 レモネードの右手のパペット、リンシャンが子供たちにお礼を言い。

「わたしもそう思いました!」
 ラクリマも子供たちに向かって笑顔を向ける。

「俺も君たちの声援に助けられたぜ」
 ピエロ姿の銀治郎が男の子たちに手を振り。

「みんなもわたしと同じ勇者ね!」
 勇者剣を背負ったソーダライトが子供たちを勇者と認めていた。

「みなさん、今回は希島百貨店のお芝居を御覧いただき、どうもありがとうございました♪」
「きゃー!」
 ベルカの挨拶に会場の若いお母様方からの黄色い声援が飛び――。

 ――ここに希島百貨店のお芝居は無事にエンディングを迎えたのだった。

Fin

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月20日


挿絵イラスト