【妬鬼姫戦線A1】第1話 審判の刻ふたたび
大正25年、ここは帝が治める帝都、東京。
外国からの文化を貪欲に取り入れ、まさに、発展を遂げていた。
機関車が結ぶ鉄道。道路には馬車からより便利で早い車へと変わろうとしている。そのため、道は舗装され、電気は、賑やかな街を照らす明かりとなっている。
「……では、候補生は、先輩隊員とこのまま帝都の見回りをしてこい。いいな!」
「はいっ!!」
上官に命じられ、元気よく返事を返すのは、|山本涼介《やまもと・りょうすけ》。
先日、出来たばかりの桜塚特務部隊(正式部隊名は第396大隊)に所属する候補生の一人だ。初めての配属に少し緊張している様子。
「それにしても……百合は元気にやってるかな?」
思わず涼介は自分を応援してくれた妹のことを思い出す。
「山本候補生! こっちにいくぞ!」
「あ、はい! 行きます!!」
友人と出会って、ちょっとだけ遅刻し、上官に怒られたのは内緒だ。
「いらっしゃいませー!!」
ここでは珍しすぎるローラースケートを使って、スイスイと給仕をしているのは、|藤原晴美《ふじわら・はるみ》。ちなみにこのスケートは、友人から譲り受けたものだった。
「キヨキヨから貰ったこれ、ほんと便利ー!! ……あ、お待たせしました。今日出たばかりのプリンアラモードです!」
いつもの笑顔で晴美は、甘味処の仕事をテキパキと捌いていくのであった。
「……であるからして……」
退屈な授業を受けながら、眼鏡をかけた少年、|夏目海斗《なつめ・かいと》の広げるノートには、授業内容が……書かれているのではなく、今書いている小説の構想が書かれていた。それも中途半端に。
「そういえば、今日……だったっけ?」
徐々に暗くなり始める空を、教室の窓から見上げるのであった。
「ん、もう!! 今日もサボってーー!!」
そう憤慨するのは、|小鳥遊桜子《たかなし・さくらこ》だ。艶やかな袴姿で女学校に通い、勉学に努めているのだが……どうやら、従妹のキヨが、今日も学校をサボっているらしく、ご機嫌斜めな様子。
「まあまあ、落ち着いて」
「キヨちゃんがサボる気持ちも分かるよ。だって、今日でしょ?」
そんな友人の声に桜子は、思わずため息を零した。
「そうね、今日は……」
「皆既日食の日」
アルコールランプで煤を付けたガラスプレートを手に、外の丘の上を登っていくのは、|小鳥遊《たかなし》キヨだ。政府が回収を進めている不思議な物品の一つであるヘッドホンつきのレコーダーで音楽を聴きながら、上機嫌な様子。
「もうすぐ、珍しい天体ショーが始まるのね」
お気に入りの場所でキヨは、用意した煤のプレートで、欠け始めた太陽を眺めるのであった。
「いよいよ始まりますね……」
暗くなり始める空を見上げながら、大正時代とはかけ離れた奇抜なデザインのワンピースを着る女性、カレン・キサラギがそう呟く。
「ええ、我々の……いえ、この帝都の未来がかかっていますから」
鼻眼鏡を付けた紳士、グラウェル・ロンドは、そう微笑んだ。その腕には時代にそぐわない近未来的な腕時計を付けていたのであった。
——リンゴーン、リンゴーン、リンゴーン……。
正午を告げる時計台の鐘の音。
しかし、その鐘の音は、皆既日食と共に、奇妙な耳鳴りをも呼び起こす。
——キィィィィイイイイイイイイイインンンンン!!!!
日食が明けたと同時に起きたのは……。
「う、うわあああ!!」
「た、助けてくれ……!!」
どこからともなく現れたゾンビ達。それだけではない、周囲の無事だった住民も、一人、また一人とゾンビへと変わっていく。それは多くはなかったのだが……。
それらのゾンビ達は、無事だった人々を襲い、更なるゾンビを生み出していた。
今、まさに帝都は……未曽有の危機に見舞われていたのだった。
「というのが、妬鬼姫戦線と呼ばれる一連の事件の、始まりとなります」
響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は、そういって、集まっている猟兵と英雄達に説明をしていく。
「皆さんには、現地へと向かい、ゾンビに襲われた人々を救っていただきたいのです。これ以上、被害を増やさないためにも……そして、この事件の解決に助力をいただきたいのです」
予言の巫女エンディカの話によると、正しい歴史を繰り返すことで、世界の破滅を逃れられる糸口が見つかるとのこと。
「猟兵や英雄の皆さんには、既にワクチンを打っていただいていますので、ゾンビになることはありません。ですが……現地の方々はゾンビになる可能性があります。できるだけ、現地の人がゾンビに襲われないよう立ち回りをお願いします。それと……もう一つ」
リズはそういって、言葉を区切った。
「現地の方々はとても混乱しています。英雄の皆様であっても、たぶん……信じてくれないでしょう。それは、猟兵の皆様も同様です。特に皆様の持つユーべルコード……あ、ここでは、神通力というのでしたか。それを帝都の皆様に見せるのは、控えていただきたいのです。私達にはオブリビオン退治によく使う強力な力であり、便利な力ではありますが、それを知らない人々が見れば、どう取るでしょうか?」
助けに来た者達だが、得体のしれない力を持つ者が相手ならば……更に混乱を極めるかもしれないと、リズは示唆する。
「見た目にはわからない強化とか、見た目には使っているかのようにはわからないようなものであれば、問題ありませんが、派手な攻撃や治療等は彼らの前で行うことは避けた方が良いかと思います」
あくまでも穏便に。かつ、スマートに進めることが必要である。
「とにかく、帝都の皆様をゾンビから救い、安全な場所へと避難させてください。前回は、迎賓館へと避難した方々が多いですが、他にも避難先はあるようです」
桜塚特務部隊の本拠地となった迎賓館はもちろん、帝都ホテルに学校、百貨店へと避難させることができるようだ。
「とにかく、現地で何があるか分かりません。皆様、気を付けて向かってくださいませ」
そういって、リズは帝都への道を案内するのであった。
柚葵チハヤ
改めまして、こんにちは。今回、マスターを務めます、|柚葵《ゆずき》チハヤと申します。
これより、アナザープレヱス・リフレインの開幕となります。どうぞ、よろしくお願いします。
今回は、前作の物語をなぞるようなシリーズシナリオ(完結まで3~6シナリオを予定)となります。
最後まで完走した【イマジン】【アナザー】の方には、英雄(猟兵)になることができますので、どうぞ、最後までお付き合いいただけたらと思います。
より、詳しい状況を確認したい場合は、公式HPにあるワールドガイドやプロローグを見ていただければと思います。
今回参加できるのは、【イマジン】【アナザー】【猟兵】【コンバート】の方となります。
【イマジン】【アナザー】の方に関しては、非常に危険な状況となっていると、自覚の上、ご参加ください。まずは、桜塚特務部隊に合流をするのが良い方法かと思います。
また、リズの補足情報を知ることはできません。上半分の状況のみでプレイングをお願いします。
【猟兵】【コンバート】の方は、オープニングにも記載した通り、救護対象となる方々の不信をいだかせないよう、力の使い方を考える必要があります。町の人達は非常に混乱していますので、ご注意ください。
逃げ惑う人々と、倒すべき対象であるゾンビ達をどう処理していくかがポイントとなります。
NPCに関わりたい方は、ぜひ、彼らのいそうなところへ向かってください。出会える確率が高くなるはずです。あ、晴美に頼めば、不思議な(?)あだ名が貰える……かも?
その他にも試してみたいことなどありましたら、プレイングにて記載をお願いします。
また、グループで行動する場合は、お相手の名前やID、グループ名等の記載もよろしくお願いします。
それでは、アナリフ最初のシナリオ、どうぞ、最後までお楽しみください。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ベスティア・ジェヴォーダン
「こんなヤツら、ベスの『雷獣』で灼き払えば簡単……」
ゾンビの群れを見て、そう言いながら力を解放しようと身体に電光を纏い始めるが、「目立っちゃダメ」という注意を思い出す。
「面倒臭い……けど、しょうがない」
ため息をつきながら、その辺りで拾った金テコやバス停などの大きく重い物を武器にゾンビを粉砕しながら、救護対象の市民に桜塚特務部隊が助けてくれるからと、前回の拠点になった迎賓館や帝都ホテルに向かうよう指示する。
ベスはぶっきらぼうで野蛮なので、言葉での説得は苦手。
聞き分けの悪い人間は『怒れる咆哮』で脅かす。
前回顔見知りになっていた人を見かけたら、PC・NPCを問わず協力・連携。
アドリブや絡みは大歓迎。
アルフィナーシャ・ミェーチ
まさか、また『審判の刻』に相まみえるとは思いませんでしたの。ささやかですけれど、幸せな日常。大切な人々が奪われてしまったあの日に。
あの日、じいやは・・ヨハンはわたくしとハンナを逃がすために、犠牲になってしまった。できれば、わたくしはヨハンを救いたい。とは言え、わたくしとわたくしが出会ってしまうと、なにやら、まずいことになる気がいたしますの。屋敷に向かいながら、片っ端からゾンビを蹴散らすことにいたしますの。逃げ遅れた市民には帝国ホテルに避難するよう勧告いたします。
邸に迫るゾンビどもを征すれば、じいやが助かる可能性も上がるでしょう。わたくしとハンナが脱出したのを確認して、じいやを救出に向かいますの
◆荒ぶるゾンビ退治とささやかな邂逅
いち早くこの地にたどり着いたのは、ベスティア・ジェヴォーダン(バーサーカー・レディ・f39599)だ。
ゾンビの群れを見て。
「こんなヤツら、ベスの『雷獣』で灼き払えば簡単……」
自らの力を解放しようと身体に電光を纏い始めるが、その瞬間。
『目立った力は、使ってはダメですよ』
ベスティアを見送ったリズの言葉を思い出した。パチパチ言い出した電光は、次第に薄れていく。
「面倒臭い……けど、しょうがない」
近くにあったバス停を見つけて、それを担ぐと。
「ふんっ!!」
近くに近づいてきたゾンビ達を一気に薙ぎ払う。そのまま力のままにゾンビを薙ぎ払っていると、遠くの方からゾンビに追われた人々がやってきた。
「た、助けて……!!」
「変な奴らが来るっーー!!」
泣きながら助けを求める彼らを見つけたベスティアは。
「こっち、来いっ!!」
すぐさま、彼らの壁になるべく、位置を交代するかのようにゾンビ達の前に躍り出る。
「で、ですが、どこに……!?」
困惑する人々にベスティアは、ゾンビをバス停で蹴散らしながら叫ぶ。
「もうすぐ、桜塚特務部隊、助けてくれる! 迎賓館か帝都ホテルに向かえ!」
「わ、わかりました!!」
ベスティアの言葉に促されるように、人々は更に避難していく。
「もしかして……そこにいらっしゃるのは、ベスティアではありませんか?」
「え? あっ! ……アーシャ?」
驚きながらも、名前を思い出したベスティアに、笑顔を見せるのはアルフィナーシャ・ミェーチ(人間の學徒兵・f39600)。
「ええ、お久しぶりですわね」
「仲間、助かる。一緒に戦う!」
ベスティアも嬉しそうな笑顔を見せるが、今度はアルフィナーシャが残念そうな顔を浮かべた。
「すみません、わたくし、行く場所があるのです。会えたのは嬉しいのですけど……」
「それなら、しょうがない。……気をつけろ」
「ええ、またお会いしましょう。その時はきっと」
アルフィナーシャは、丁寧に会釈を返して、目的地へと向かっていった。それをベスティアはそっと見送る。
「……なんだか、もやもやする」
眉を顰めながら、またやって来るゾンビを蹴散らしていると。
「う、うわあああああああああ!!!」
今度は大きな雄叫びを上げながら、若い男が逃げてきた。
「おまえも、迎賓館かホテルに……」
「うわあああああああ!!!」
ぐるぐるとその場を回り始める男にベスティアの堪忍袋の緒が切れた。
「死にたくなかったら逃げろ!」
睨みと怒声とで男に、この場から立ち去りたいという強い感情を与える……それが、ベスティアの持つ|怒れる咆哮《レイジング・ロア》だ。
「ひぃ…………!!」
そのベスティアの凄みに男はすぐさま、言われたとおりに逃げ去った。その先は迎賓館。
「……厄介な人も、いる」
ため息一つ零して、面倒くさそうにベスティアは、またゾンビ退治と人々の誘導に精を出すのであった。
◆救いたい者のために
「まさか、また『審判の刻』に相まみえるとは思いませんでしたの。ささやかですけれど、幸せな日常。……大切な人々が奪われてしまったあの日に」
現地へと急ぐアルフィナーシャの向かう先は、かつて、ゾンビに襲われた自分がいた場所……アルフィナーシャの住んでいた屋敷だ。
「あの日、じいやは……ヨハンは、わたくしとハンナを逃がすために、犠牲になってしまった。できれば、わたくしはヨハンを救いたい」
とはいえ。
「わたくしとわたくしが出会ってしまうと、なにやら、まずいことになる気がいたしますの」
幸いなことにアルフィナーシャが選んだ道は、ゾンビが少ないようだ。さほど時間をかけずに屋敷に向かうことが出来た。
「……って、こんなにゾンビが?」
ミェーチ式銃剣を手に、次々とゾンビを蹴散らしていく。前はこんなことできなかったが、|猟兵《えいゆう》になったお陰か、思っていたよりも戦えているように思える。
そうこうしていると、裏口からメイドのハンナが、荷物を抱えて逃げていくのが見えた。
「あら……? わたくしが、いない?」
気のせいだろうか? いや、まずはじいやを助けるのが先だ。そのまま屋敷の中に入り、ヨハンがいるはずの通路へと急いだ。
「ヨハン、ヨハーーン!!」
銃剣でゾンビ達を斬り裂きながら、道を切り開いていく。
「その声は……お嬢様……?」
「ヨハンっ!!」
と、声が聞こえた。
間に合ったのだ。アルフィナーシャは思わず、ヨハンに抱き付いた。
「無事で……本当に無事でよかっ……た……」
アルフィナーシャの視線の先にいるヨハンは生きていた。
しかし……その腕からゾンビから付けられたであろう傷が生々しく残されていたのだった。
※ベスティアさん:ボコボコのバス停を獲得しました。後ほど獲得リストをご確認ください。
※アーシャさん:ヨハンを助けましたが、ゾンビによって怪我をつけられています。次のシナリオにて対策をお願いします。
大成功
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狐々愛・アイ
これが、この世界のゾンビ……欲望に従う、その姿は愛おしい。
ですが、ぼくはヒトの味方です。これ以上、被害を増やす訳には行きませんよ?
服装を怪しまれない用に整えておき、学校近辺で救護を開始。
子供の筐体ですので、同じ子供の方が信用してもらいやすいでしょう。
可能ならば「ボウ・オブ・アムール」を携帯。
普通にエネルギー弾を使うのはマズいですが、見た目だけなら桃色で少々ハイカラな和弓。
混乱下の避難誘導において、目立つ色は有効に働くはず。武器があるという安心感もあるでしょうしね。
矢が見つかるならそれを射てますし、いざと言う時には鈍器です!
見つけた人から学校へ誘導し、愛を以て一人でも多くのヒトを助けてみせます。
◆桃色ハイカラ和弓は、アイ……いえ、鈍器です!
帝都にあふれるゾンビを前に、可愛らしい子供がやってくる。
恐ろしいゾンビを前に、全く怯むことなく。
「これが、この世界のゾンビ……欲望に従う、その姿は愛おしい」
そう優しく問いかけるのは、狐々愛・アイ(愛は優しさ、愛は力・f36751)。だが、ゾンビの味方ではないようだ。
「ですが、ぼくはヒトの味方です。これ以上、被害を増やす訳には行きませんよ?」
幼く見えても、彼はれっきとした強力な猟兵の一人。愛らしい水色のスカートを翻しても、彼は彼なのだ。
プラントから稀に生産される、知性を有した人間型の機械――レプリカント。
「……それはそうと、子供の筐体ですので、同じ子供の方が信用してもらいやすいでしょう」
アイはそう言って、前から来る子供達を追うゾンビを、桃色のハイカラな和弓、ボウ・オブ・アムールで射ようとして。
「あっ!」
いつものように愛情をエネルギーに変え、射出……してはダメだ。派手な戦い方をすれば、更に逃げている人々が混乱を来たしてしまう。
「ならば、こうですっ!!」
ぐっとその弓を握って。
「ふえっ!?」
後日、それを見た子供が言っていた。
可愛らしいお姉さん(ホントはお兄さん)が慈愛の笑顔で、ごごっと桃色の派手な弓で……敵を殴り殺していたと。
ちょっとトラウマになりかけたが、命を助けてくれた恩人。怖がってはいけない。絶対。
「大丈夫ですか? あちらに学校がありますから、そちらに逃げましょう」
「は、はいっ……!!」
ちょっぴり震えてるのは、見なかったことにしよう。とにかく、アイはこうして、たくさんの子供達と家族を学校へと案内することが出来た。
「よし、今度はこっちだぞ!!」
と、遠くから大正時代にはないアサルトライフルを持った軍隊がやってきた。
「あ、あなた方は……?」
そうアイが声をかける。
「俺達は桜塚特務部隊の山本候補生だ。あ……涼介でいいよ」
その中でも若い少年がアイの所に声をかけてきた。
そこに先ほど、アイが助け出した人々が出て来る。
「お待ちしていました。どうか、助けてください。それと、そこの方にはずいぶん助けられました」
そういって、助かった人々がアイを紹介する。
「えっ……しかも、一人で戦ってたって? 凄いな。俺達だって集団で戦ってたのに……」
涼介は驚いているようだが。
「そういえば、その弓、すっごい派手だな」
「お陰で目印になっているのですよ。でも矢を忘れてしまって、射ることができなかったんですよね」
にっこり笑顔でアイがそういうと。
「それなら、確か……仲間が矢を少し持っていたはずだから、分けてもらおう」
涼介のお陰で、矢が得られたようだ。
「それにしても、本当に君、一人で戦ったのかい? その強さ……桜塚特務部隊で生かさないか?」
「えっと……」
涼介にスカウトされつつも、アイはちょっと困ったように、分けてもらった矢を受け取るのであった。
※矢20本を獲得しました。拠点にある獲得リストをご確認ください。使用の際は、リストにある獲得コードをプレイングに記載ください。
桜塚特務部隊にスカウトされました。受ける場合は、ステータスの自己紹介文に【桜塚】と記載した上で、次のシナリオにご参加ください。
なお、スカウトを断っても問題はありません。お好きなように選択してください。
大成功
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鈴之音・朝露
【猟兵】
帝都の方に違和感を与えないようにゾンビバスターですわ。
神通力も一般の方には馴染みがないって、神秘系の諸々が使えないのですわ。
白燐蟲は鈍器っすよ?とか、ツッコミは他所に置いとくのですわ。
こっそり神通力で、朝露の英霊・銀龍天を憑依!
銀龍天はガンナーですから、もってる熱線銃の中から、帝都の方に馴染み在るデザインのを使って、ゾンビの群れをミイラの山にしてやるのですわ!
見た目には大した変化もなく、朝露が銃器を使ってるようにしか見えないのですわ。絵的に地味能力と思っていたものが、こんな形で役に立つとは、ですわ!
負担の大きさを考慮して、狭い通路とか一箇所にまとめて、一発でやっておしまい、ですわ!
◆憑依してゾンビを撃ちまくれ!
帝都にまた、新たな猟兵が舞い降りた。
「帝都の方に、違和感を与えないようにゾンビバスターですわ!」
そう意気込むのは、鈴之音・朝露(終焉の埋没者・f38394)だ。
「神通力も、一般の方には馴染みがないって……神秘系の諸々が使えないのですわ」
そう残念そうに呟くと、朝露のぴょこっとアンテナのように揺れる髪の毛が……喋った!?
『白燐蟲は、鈍器っすよ?』
「……」
『ひど!! 虫なだけに無視っすか!!』
余計に朝露のぴょこんと垂れる髪の毛を、彼女は冷めた目で睨みつけた。
『ご、ごめんなさいっす……』
反省したようだ。ちなみにコレ、いつ宿ったかわからないが、これでも有能な英霊の一人なのだが……。
と、そこに噂をすればなんとやら、大量のゾンビ達が沸いて出てきた。
「た、助けてください……!!」
淡い桜色の長い髪をなびかせ、女学生……いや、小鳥遊桜子が逃げてきた。
さっそく、リベレイションを発動させ、アンテナにいる英霊……銀龍天をその身に宿す。それと同時に隠し持っていた熱線銃(大正時代風のものを見つけて持ってきたようだ)を手に、桜子の背後にいるゾンビ達を牽制。
「なかなか倒れませんわね」
本物の銃に似せて撃っているので、思うような威力が出ていない様子。
「あ、あの……!!」
「礼は後ですわ! こっちに!」
桜子の手を引き、そのまま狭い通路へと入り込む。
「ここなら……いけますわよね?」
朝露の中の英霊が嬉しそうな声を上げる。
『バッチリっすよ!』
英霊が導く動きに合わせて。
「一発でやっておしまい、ですわ!」
放つ熱線銃で一気にゾンビを仕留めたのだった。
「……助けて下さり、ありがとうございます」
「礼には及びませんわ。……確か、迎賓館とやらに向かうといいって聞きましたわ」
ぺこりと頭を下げる桜子に朝露はそう助言を与える。
「あ、あの……私、小鳥遊桜子と申します。せめてお名前を……」
「鈴之音朝露ですわ」
その朝露の言葉に、桜子はぱあっと笑顔を見せた。
「本当に、助けて下さりありがとうございました、朝露さん」
もう一度、深く頭を下げて、桜子はそのまま教えられた迎賓館へと向かっていく。
「まずは一人救出、ですわね」
その様子を朝露は満足げに見送ったのだった。
※大正時代風熱線銃を獲得しました。拠点にある獲得リストをご確認ください。使用の際は、リストにある獲得コードをプレイングに記載ください。
なお、この熱線銃を使う際は、必ず『リベレイション』を使用ください。使用されない場合は、充分な効果を発揮できません。
大成功
🔵🔵🔵
夏川・初雪
自分の故郷……サクラミラージュによう似とるけど違う世界なんやな
人手がいるなら手伝わせてもらいますわ
服装や装備に関しては多分違和感も持たれんやろ
普段着に刀も持って参りますわ
人の多い街中にでも向かおうかね
【団体行動】や【救助活動】の心得はあるからな
市民には適宜声をかけて避難するように誘導
作りのしっかりした建物とかに逃げとき
あの甘味処とかええんちゃうか?
そんでゾンビの対処やな
サムライブレイドで剣刃一閃を使う分には怪しまれへん……とは思うんやけど
何せスーパーパワーとかやない、純粋な技術に見える戦い方やからな
迫るゾンビは片っ端から【怪力】と【気合い】でぶった斬りや!
……せめて成仏出来るようには祈っとるで
◆ゾンビ退治と甘味処の看板娘と
「自分の故郷……サクラミラージュによう似とるけど、違う世界なんやな」
そう感慨深そうに呟くのは、夏川・初雪(気楽な帯刀探偵・f22775)だ。ここでは、あの一年中咲き乱れている|幻朧桜《げんろうざくら》もなく、どこか質素で素朴な街並みを感じる。
ちなみに初雪はサクラミラージュ出身だ。着ている服もそれに似た雰囲気のコヲトに身を包み、持っていても可笑しくはないサムライブレイドを持ってきていた。これならば、街の人達にも、あまり疑われずに済むだろう。
「ゆっくり観光できればよかったんやけど……」
初雪の前には、大勢の人々……ではなく、人々を襲う恐ろしいゾンビ達の群れがやってきていた。
それに臆することもないのは、初雪が猟兵として戦う一人だからだろう。
「人手がいるなら、手伝わせてもらいますわ」
ブレイドを引き抜き、一気に間合いを詰めて、一刀両断! 次々とゾンビ達を鮮やかにぶった斬ってみせた。
それが初雪の力、剣刃一閃である。
「きゃあああ、助けてーー!!」
と、道から逃げてきた人達がやってきた。
「作りのしっかりした建物とかに逃げとき! あの甘味処とかええん……」
と、目に入った甘味処を指し示した、そのときだった。
――ばこんっ!!
派手に扉が飛ばされて、そこから次々と甘味処を利用していたであろう人々が飛び出してきたのだ。
「ああ……ありゃ、ダメやな。別の場所に向かうんや!」
彼らもまとめて守るように、更にスピードを上げて、近づくゾンビ達を薙ぎ払っていく。
「いやあああああ!!!」
と、甘味処で転んで動けなくなっている少女がいるのを見つけた。
着物スカートにエプロンを付けた少女……藤原晴美だ。その足には、大正時代にはないローラースケートを履いていた。
それに若干の違和感を感じながらも初雪は、晴美とゾンビとの間に入り。
「……せめて、成仏出来るようには祈っとるで!」
と、ゾンビを真っ二つにして、しっかり倒して見せたのだった。
「……あ、あの……ありがとう、助けてくれて」
「大した怪我がなくてよかったわ」
初雪はそう笑顔を見せる。
「……名前、聞いてもいい? あたしは、藤原晴美!」
立ち上がる晴美に手を貸しながら、初雪は答える。
「夏川……初雪や」
「じゃあ、はっつんね!」
「どうしてそうなるんや!」
思わず突っ込みを入れてしまった。
「せめて雪の方を採用して欲しいわ」
「じゃあ、ゆきゆきね!」
そんな風に笑顔を見せる晴美の足は、まだ僅かに震えているように見えた。
「どこか逃げられるところ……分かるか?」
「んー、ここからなら……やっぱ、迎賓館かな? なにかあったら、そこに逃げるといいって。最近できた桜塚特務部隊の基地もその近くにあるって聞いたし」
「じゃあ、今すぐそこに……」
「一人じゃ怖くて行けないから!!」
ぎゅっと初雪の腕に抱き付いて、晴美は続ける。
「ねえ、強いんでしょ? あたしの用心棒になって!!」
「……えっ?」
こうして、初雪は、晴美を連れて迎賓館へと向かったのだった。
※晴美からあだ名『ゆきゆき』と称号『晴美の用心棒』を獲得しました。獲得リストをご確認ください。また、プレイングに記載の必要はありませんが、どうしてもという場合に記載ください。
大成功
🔵🔵🔵