迫真チキチキマシン部🏎ヘルシェイクの裏技.gp1
●予測できない危険なレース
マシンレース。それは技術だけではなく、機体の性能だけではなく、日々の努力だけでもどうにもならないシビアな世界。この業界に乗り出した『モーレツ!πレース』の最速レーサー。谷・櫃女(タニ・ヒツメ)は窮地に追い込まれていた。
「ヘールシェイク! ヘールシェイク!」
「おおっとーーー! 第1回PAIPAIGPの会場が今、カオスに包まれる―! ブラッドエンプレスの危険な突撃走法に吹っ飛び燃え上がったはずの車に乗るレーサーたちが、みな同じ姿になり次々凶行にでているー! これは何の悪夢だー!? ここでヘルシェイクを連呼する選手の一人が、大会スポンサー『牌杯商事』の期待のレーサーに激しいタックルをかますー!」
(何なのよ、何なのよ何なのよ何なのよこのレース! 聞いてたのと全然違うじゃない……!)
「こっちはボーナスがかかってんのよおおおおおお!」
「おーっとここでさらにアクセル! この先カーブが多いぞ大丈夫かー!?」
白熱するレースの現場は、一人の凄腕レーサーの手によって、今悪夢の会場に変わる。彼女にリタイアさせられたレーサーたちが、次々に危険思想で頭がいかれたレーサー。ヘルシェイク・ビビ美に変わり、ほかの車に地獄の道ずれ走法を仕掛けたり、車が完全に壊れたため道路上のトラップとして道を妨げたりしているのだ。
それでも、谷・櫃女は止まれない。すべては借金返済のため、彼女は命をとして走る!
●でもほんとに死んだら困るので
「皆様の力をお貸しいただけないでしょうか?」
聖導・循(朱凰の守り手・f39107)はさわやかな笑顔で元気よくはきはきと言った。
「皆様が参加してくださらなければ、このレースのレーサーたちは全てヘルシェイク・ビビ美嬢と化し、地獄を揺さぶるレースとして後世に語られてしまうことでしょう!」
そもそもこのレースはもともとちょっと危険めな非合法のレースルールで、ケガや事故はご愛敬だったらしい。そしてそこに現れた一人のダークリーガーの参加によりこのような地獄と成り果てる未来が予知されてしまったのだという。
「ですので、皆様には自慢のマシンに乗っていただいて、あるいは成っていただいて、このレースの被害が少しでも少なくなりグランプリが続行できるようお願いしたいのです」
ブラッド・エンプレス自体は会場を血に染めても優勝するという目的があるようだが、ヘルシェイク・ビビ美に変貌した選手たちは頭のネジが何本もぶっ飛んでいてレースそのものの崩壊もあり得る。
「それでは……レースの続行とこの事態の原因への対処、何卒宜しくお願い致します。皆様のご武運を祈ります」
そういうと少年は背中から翼を生やし、祈ることで猟兵たちの前に蒼光の扉を開いた。
ピンク☆フラッシュ
ごめんヘルシェイクのこと考えてました。
ピンク☆フラッシュです! 今回もギャグ……というか何でもありのチキチキマシンなレースです。かっこいいプレイングをくれたらちゃんとかっこよくなります!
●1章●
レースパートです。丸太とか途中でジャンプしないと超えられない端とかほかの車の妨害とかがあります。切り抜けましょう。
●2章●
ビビ美が攻めてきます。吹っ飛ばしましょう。一般の非合法レーサーたちより積極的に攻撃、妨害し、ユーベルコードも使ってきますが、一度炎上した車に乗っているため耐久面は弱めです。
●3章●
そんなヘルシェイクが現れる原因になった『血の女帝』の異名で呼ばれた元凄腕のレーサーな現役凄腕ダークリーガーに追いつき、レースバトルすることになります。彼女に優勝を渡すと逃げられ、彼女はほかのレースにもガンガン出場してしまうでしょう。阻止し、倒してください。
第1章 冒険
『バリバリマシン大乱闘!』
|
POW : 重量級のマシンで襲い来るライバルを弾き返す
SPD : 華麗なドリフトでライバルをかわす
WIZ : 策を弄し、ライバル同士を潰し合わせる
イラスト:純志
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●レース開幕
それでは今回のレースのルールを紹介しましょう。司会のジョン・カピパラです。まず、今回のレースはエントリーと飛び入り参加の2部構成。2部といってもレースは一つです。まず、正規エントリー者たちがスタート。その3秒後に飛び入り参加者が発射するという仕様になっております。
正規エントリー者は決められたライン上に並んでスタート、その3秒後に更に後方にある飛び入り参加者用ゲートが開くわけですね。
「勝てばボーナス……勝てばボーナス……」
さてまずカメラに映りましたのはこのGPスポンサー会社の看板選手、谷・櫃女選手。スポンサー枠なので当然最前線です。そして続きましてカーブでのインコース追い抜きエース、盗莉王(トウリオ)選手無所属。その後ろには同じく無所属……聞いたことのない選手ですね。ブラッド選手! どのような走りを見せてくれるのか楽しみです。そして続いては……(割愛)
と、いうわけで以上の18名が正式参加の選手となります。今回のロードレース、峠を跨ぎ、山を越え、川を跳ばなければいけません! 中継ドローンも無事に全選手の動きを終えるのか心配ですが……まいりましょう!
牌杯商事プレゼンツ、第1回PAIPAIグランプリ……さあ、カウントが始まって今、エントリー全選手アクセルを踏んだーーーーーっ!
間髪入れず飛び入り参加の選手も……今発車! この3秒が勝敗を分かつのか!
それでは戦況が安定するまで、ここでいったん、CMです!!!
佐藤・和鏡子
愛車の救急車(自動車王国アメリカが誇るV8エンジン搭載)で参加します。
こういう何でもありのレースは得意分野ですから。
レース仕様らしく、ド派手にステッカーを貼ってデコっておきます。
障害物は日頃町中での超高速運転で鍛えた運転技術を駆使して回避します。
妨害する車両にはこちらから突っ込んで(ユーベルコードを使用します)始末します。
どのみちゴールするには邪魔な相手。
向かってくるならこちらから追いかける手間が省けますから。
●サイレントアタック
「さあ波乱の第一コーナー。先行発進したエントリー機とそれに追いついた機体の集団。30台を超えるレーシングメカが今ほぼ一斉に曲がろうとしております! 烏合の衆を振り払い一番に躍り出るは櫃女選手の愛機『π/(パイスラッシュ)』が時速200Kmの世界をこのカーブで! 今! 集団を!! ドバーッと抜けていきました!!!
続いて盗莉王選手の『超速攻撃的ディフェンダー』も続きます。いつでも後ろから捲るぞという気概が見られますねー。
その後ろには集団。そして……おや? ブラッド選手は集団のやや後方。機械トラブルかー!?」
序盤、最初のカーブ地点に入りジョン・カピパラの熱い実況に会場が息をのむ。この一番大事な第一コーナーを最初に制したのは谷・櫃女。遅れて出た猟兵たちの姿はまだなく、代わりにけが人もまだ出ていない段階。
その後方、第二集団に一台のボックスカーが迫る。
「やや出遅れましたが、見えました!」
「では続いてその後方第二集団の実況に……おや、さらに後ろから一台の車……いや、違う。あれは車は車でも……救急車だー!!!」
そう、それは赤い十字と白いボディ。側面には黄色と緑の市松模様のステッカーという日英折衷な救急車。それも背面には一足早いクリスマスカラーペイントとツリー型の緑のイルミネーションライト付き。目立ち具合は上々だ。乗り手は佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)
「おーっと、情報が入ってまいりました。彼女は(株)第六猟兵所属の佐藤・和鏡子選手です。飛び入り参加組、一名追加ですねえ。お、そして今救急車のライトが赤く光り始めました! これは鳴らすのか? 鳴らすのか?」
「鳴らさいでか!」
和鏡子はノリよくスピーカーで会場に聞こえるようにジョン・カピバラに返事するとサイレンのスイッチを押した。
🏎🏎🏎 🚑<ピーポーピーポー
「なったあああああ! 選手たちの中で救急車に道を譲ることがきちんと癖ついてる機体が思わず道を開けます! しかし尚も行く手を阻む機体在り!」
「では……救急車通過します!」
邪魔者がいるとわかるや否や和鏡子のユーベルコード【轢殺(ロードキル)】が発動。救急車の通る道はすべて私の道、避ける必要はない、踏み越えればいいのだ!
メリケンの誇るV8エンジンが最高に温まりサイレンの音にも掻き消えずに響く騒音をまとって、赤と緑の輝きを放ちながら一直線上の車を引き飛ばした。あるいは装備した耐衝撃装甲にぶつけピンボールのように弾き飛ばした。
「容赦ない猪突猛進が先行車両を襲うーーーー! 未だ消耗する時ではないと判断した妨害車両も道を開けていきます!」
「……よし、このまま先頭集団にも追いつきますよ」
その後も和鏡子は大胆な救急車捌きにより、攻撃、回避のどちらをも完ぺきにこなし、ボックスカーの重量と形状による不利を全く感じさせない走りで選手と観客たちを圧倒した。
レースはまだまだ続く。
大成功
🔵🔵🔵
クレア・ノーススター
おおよそ合法とは言えないレースなどいつもの事なのだが、まさか他所の界隈でもするとは。
とはいえこちとらスタンピード出場経験者、レースとあらばどうとでもなる
幸い燃料はザナドゥ世界と成分はさほど変わらない。エンジンにこれといった調整は不要
1000馬力をそのまま使えるのはありがたい
レース前にはエンジンを空吹かしさせて、野太い咆哮めいた曰く付きの凶悪なV8サウンドと向こうの世界でもきちんと非合法なツインターボシステムの甲高い過給音のデュエットを他のレーサーや観客に聞かせたり、わざとリアタイヤをバーンアウトさせたりといった非合法ストリートレースならではのパフォーマンスを見せつけたり
(一応他の観客やレーサーへの挨拶も兼ねた先制パンチ)
スタートしたら真面目にレース
余計なことを考えない、プロ顔負けレベルで手堅く正確に駆け抜ける
●風になれ!
「さあ、第一コーナー超えてレースが本格的に動き出します。おーっと早速! 目の前には大量の木箱が道をふさいでいる!! あれはランダムボックス! 中には様々なヤバイ者が入っているので回避必死! 近くの車がぶつかっても巻き込まれる可能性があるぞー!」
続く実況。取り巻く熱狂。そんな中、冷静に後方からギアを上げてくる猟兵が一人。
「……あそこ、抜けれそうね」
静かにマシンを操るはクレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)。サイバーザナドゥで数々の危険走行を経験したつわものだ。
クレアはギアに手をかけると絶好のタイミングで加速し、ほんのわずかな時間に、緩やかなカーブによってできた車と車の隙間を自慢のドライビングテクニックですり抜け集団の中に入った。
とはいえ、まだ前方のいくつかある集団の一つ。先頭はまだまだ先だ。現場付近への転移からのマシンの準備や調整によるロスがあるのは全ての猟兵が負ったハンデである。
「いい風。荒い雰囲気も悪くない……こういうレースなら、ホームと一緒だよ」
静かにこの世界の風を堪能するクレアとは対照的に、そのマシーンはあの救急車どうよう当然のごとくV8エンジンで、その騒音とどの世界においても非合法なツインターボシステムによる甲高い過給音が周囲に鳴り響き、周辺選手の集中力をそいでいく。
「なんだぁ!? あの車ぁ!」
「兄貴、かましてやりましょうよ!」
そんな中、レースにもかかわらず舎弟と2人乗りで参加している有限会社世紀末のヒャッハー号(こちらもV8は搭載。そこそこの騒音を出しているのだが)が耳障りなクレアに特攻を仕掛ける。
車の下からアームが伸びてきて車体の上にあるバールのようなものを握り、ふりまわし近づいていく。
「おーっと! ここで動いた(株)有限会社世紀末ー!!! 名物の危険改造車で(株)第六猟兵所属、クレア選手の機体をスクラップにしようという目論見ですね!!」
ジョン・カピパラすかさずこれを実況。クレアはハンドルを握る手に力を入れ、加速しながら思いっきりハンドルを振った。すると、スピン一回転しながら前方の車両一台を追い抜き、ヒャッハー号と自分の間に挟み撃ち。
「クレア選手のドライビングテクニックがさく裂です!」
「関係ねえ! 2台ともおじゃんだぜ!」
「やっちゃってください、兄貴ー!!!」
ヒャッハー号が挟まれた|二枝《にえ》コーポレーションの車にバールを振り下ろした瞬間。さらに事態が動く。
なんと、前方の車が手を出される前に何かにぶつかって車体前方が浮き上がり、そのまま広報宙返りでこちらに迫ってくるではないか!
「「な、なにーーーーー!?」」
チュドーーーンッ。あわれ2台の車は爆発四散!
会場は突然の事故に騒然とし、ジョン・カピパラがカメラ中継でモニターに映像を流し始めた。
「あーーっと、これは! クレア選手、クレア選手の力技です! クレア選手、後輪をバーストさせそれを使って後ろに挟んだ車を転ばせていた―!」
とのことだ。実際映像にはタイヤが外れそれが後ろの車にとって最悪の位置に落ちたのが見受けられる。しかもクレアの車は突如謎の光に包まれ無事だ。
それもそのはず。ユーベルコード【フリーダムブレイズ】が発動し、燃える炎の後輪が出現したのである。
「……」
彼女の手で更にギアが上がる――。
クレアは抜いてしまった後ろのことなど気にせず、目標の前だけを見て尚も加速し、その集団を抜けてさらに前の集団へと食いついていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
藍原・蒼夜(サポート)
人間の學徒兵×力持ち、20歳の女です。
普段の口調は「おっとり系(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
偉い人には「敬語(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびり、おっとりした性格で、多少天然ボケな面もあります。
武器は主に退魔刀を使用して戦います。
好きな物は、可愛いぬいぐるみ、綺麗な花、静かな場所。
趣味は小説等の読書。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
コーデリア・リンネル(サポート)
アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
エヴァルト・ヴァイスフルス(サポート)
『おや? それで攻撃をしたつもりですか?』
貴種ヴァンパイアの魔想紋章士×ビーストマスター、24歳の男です。
普段の口調は慇懃無礼(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)
時々ド貴族(私、貴殿、です、ます、でしょう、でしょうか?)です。
慇懃無礼で丁寧な口調の自信家です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
アドリブ連携◎ エログロ× あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●清掃車
「ふむ、サポートを頼む、と言われてこの車を渡されましたが……」
サポート参加による依頼出発時、乗り込むマシンに迷っていたら乗せられたのはスピードが特別速くはない巨大ゴミ収集車。メインハンドルのほか、サブコクピットが2つある3人乗りの車である。
ハンドルを握るのはエヴァルト・ヴァイスフルス(闇の檻、夜の王・f38930)。貴族が自ら車の運転など経験があるはずもないが大丈夫。オートパイロット、オート危険予測機能、オート回避機能高性能センサー付きの為彼はどっしりと座っていればいいのだ。
「……これ、使い方、簡単です……たすかります」
「ほんとねえ。何か見つけたらボタンを押すだけでよくて……これなら私にもできるわ」
それぞれのアーム担当はコーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)と藍原・蒼夜(蒼き宝刀・f23131)。コーデリアは左右のアームを操縦。蒼夜はアームのモニタリングをしながらユーベルコード【ポジティブ・マインド】で収集の成功率をアップしている。
「障害物は大会の持ち物ですからね、間違えて収集しないよう頼みますよ」
「……了解」
「まかせてー」
3人の目的はクラッシュして散らばった車の残骸掃除だ。これが第二、第三の事故を起こせば予知にあったヘルシェイクビビ美の出現数が増えてしまうかもしれない。
「なんだー!? この車は」
「おいおい、真剣勝負の最中に呑気におかたずけかー!?」
無論、これはあくまでもレース。レース中に他車の理になるような行動をとっているものがいれば、ならず者集まるこの違法レースでは当然、それを邪魔する者もあらわれる。
収集車に絡むはディストピア財団の双子のレーサー。キョウとアーク。黒と白のストライプ模様がテレコになった2台の車だ。
「ふむ、どうやら挑戦者が来たようです。少し揺れます」
「……ん」
エヴァルトはいうが早いかギアを上げ、アクセルを踏む。一定の速度を超えれば地震でもかじ取りが必要になるが……。
「ワタシの獣に比べれば、おとなしいほうですよ、この車は」
バランス補助をコーデリアが請け負うのもあって、安定した走りで加速していく。
「おーーーっと! こちらはかなり後ろのほうでアクシデントだ! (株)第六猟兵のマシン“イレイザーシグマ”チームが凶悪兄弟に目をつけられ、左右挟まれた―!」
「まあ、この子、イレイザーシグマっていう名前だったんですねえ」
「どんな名前でも構いません。こんな後ろのほうにいる車くらい、なんとかして見せましょう」
「了解、じゃあ、アーム制御……転換、します」
コーデリアが画面に出てくるガイドに従ってボタンをポチポチすればアームが動き出し、地面すれすれに左右に伸びる形に変形する。
「これなら、相手のタイヤを狙えるんじゃないから?」
「……うん、でき、る……。けど、攻撃するのに、ユーベルコード使うと、スピード、落ちる……」
彼女のユーベルコードの中で現状最も安全に攻撃できる技【ヘビーアームド・ウェポナイズ】の弱点はスピードが落ちること。
「では、もう少し優位に立ってから減速すれば可能ですね?」
「……それなら、たぶん」
「大丈夫です、私が可能性を引き上げますから」
「では決まりだ」
緩いカーブから直線に入ったところで古アクセルを踏むエヴァルト。しかし3人もの重量を乗せた装甲車。加速力はあまりない。
「兄貴、この薄ノロ、俺たちから逃げるつもりだぜ?」
「おいおい、片づけたぶんお前らが散らかっていってもらわねえと困るんだが!?」
凶悪兄弟も加速し、すぐにでも追いつこうとしてくる。しかし、エヴァルトだってオートパイロットだよりとはいえ猟兵だ。
「愚かな。ワタシの|獣《マシン》に敵うとでも?」
などと大胆不敵に笑えば、彼の操る収集車の背後から巨大な狼が召喚される。ユーベルコード|食い尽くせ我が獣《ビルト・ヴォルフ》が発動したのだ。闇の狼はその強大な力と速さで収集車を押し、反則的な急加速を行う。
「上出来です」
と言ってエヴァルトが狼を消せば、絶好の距離が稼がれていた。
「いきます……!」
そしてすかさず【ヘビーアームド・ウェポナイズ】を発動。本来であれば自分が強化されるべくものだが、機体と操縦士はリンクしているので収集車のアームが強化され、先端がドリルとなって挟み込んできた2台とちょうどすれ違う時に2台とものタイヤに大きな穴をあけバーストさせた。
「あらあら、ゴミ、増えてるわよ?」
「必要廃棄物です」
「……ふぅ、アーム、戻します……」
こうしてピンチを切り抜けながら、3人のごみ収集走行は続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ラハミーム・シャビィット(サポート)
シャーマンズゴーストのUDCメカニック×戦場傭兵、25歳の男です。
口調は、掴みどころの無い変わり者(ボク、キミ、デス、マス、デショウ、デスカ?)
人と少しずれた感性を持っていて、面白そうならどんな事にも首を突っ込む、明るく優しい変わり者です。
戦闘時にはクランケヴァッフェや銃火器の扱いは勿論、様々な近接格闘術などでド派手に暴れ回ります。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人になろうと背伸びしてる途中
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的
最近の悩みは性別を間違えられることと年相応に見えないこと
最悪【幻想憑依・無想式】を使って誤魔化す
戦闘
【呪詛(腐敗)】と「棘」を組み合わせ、万物を強引に腐敗させる方法をついに編み出した
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも
●のうきん!
「一台撃墜デス」
「おう! やるじゃん! こっちも一台追加だ!!」
一方、最も遅れて出発したラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)とアトシュ・スカーレット(神擬の人擬・f00811)はさらにスクラップを生成していた。
二人は無線がつながったレーシングパトカーに乗り、意思疎通をしながらロードを駆け抜ける。
「この調子でオブリビオンになる前にぶっ壊す!」
「安全なハカイをお願いシマスヨ?」
「当然! 我が理想よ、現界せよ! 其は何にも揺るがぬ刃となり、盾となれ!」
アトシュが唱えれば、ユーベルコード【幻想憑依・夢想式(サモンヴァッフェ・トラオム)】が発動し、アトシュの車は理想のデストロイマシンに変わる。それはごつごつして武器が生えているが、きちんと危険度が少ない部位を狙える仕様になっている。
「さぁ! どきな! 何もしないならこっちも手は出せねえぜ!」
無線から拡声器に切り替え、路上を行くほかの車たちに警告を放てば、やはりゴロツキレースには命知らずのバカはいるもので。
「通せと言われて通す道理はない!」
彼の名前は小山田益男。闘争を求める男。操る車はトゲトゲの“デス|魔神《マシン》3号”である。他の車たちが猟兵2台を避けるなか、横長のその車体でドンと立ちはだかる。
「やべ、防御力上げるべきだったか……?」
「イエイエ、ダイジョーブデス……。ここはボクが……キミはヤツの側面をキープしてクダサイ」
「お? おう、了解だぜ!」
ラハミームのいうがまま、アトシュは加速して車一台ギリギリ通れるかどうかのデス魔神3号の右翼を並走する。アトシュの車は左右にウェポンが展開しているのでよりギリギリではあったが、確かに、相手の真横であればたとえとげとげがあってもウェポンで受け止めることは可能だった。
「そこで、逃がさないでクダサイね」
ラハミームはデス魔神3号の背後につき、ほぼ密着する距離まで詰めるとユーベルコード【憤怒の方尖柱(ラース・オベリスク)】を発動した。ラハミームの機体のいたるところから触手が伸び、とげに巻き付いて速度を奪い、そして……
「邪魔者はケス。これ、摂理デス」
そのまま思いっきり上にほおり投げた。
「なにいいいいいいいい!?」
くるくる回転しながら飛んでいくデス魔神3号。
「――残念デスが、増えたのはワタシの撃墜数でしたネ」
「くっ! こっからだぜ!」
そのあとも2人は競い合うように邪魔者を排除しながら爆走した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『ベルシェイク・ビビ美』
|
POW : ステイ! まだだ!
【制止命令】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD : 怒ってないよ
自身の【蓄積した怒り】をカード化する。【掲げる】だけで誰でも行動回数を消費せず使えるが、量産すると威力が激減する。
WIZ : そうはならんやろ
レベルm半径内を【極限地帯】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【反射神経】が強化され、【ダメージ軽減能力とスタミナ】が弱体化される。
イラスト:瓜瓜の狭間
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●動き出すダークリーガー
「そろそろ、エンジンがあったまってきたね」
猟兵たち、そして一位の谷・櫃女に注目が集まる中、牙を隠していたダークリーガーが動き出したのは中間地点のフラッグが見えたあたりだった。先頭集団の少し後ろをキープしていた彼女は、突如獄炎を纏いながら一瞬で最高速度に到達するアクセルを踏んだ。
「な、なんだ!?」
それは一直線上の全ての機体を焼き払い、なぎ倒し、そして一位の櫃女も早々に抜き去らんとする。
「……!」
「遊びはもう十分。勝利はもらう」
「いやよ! 私のボーナス!」
しかし、櫃女も期待に搭載されていた“|BOOOTHDED《ブースデッド》”と書かれたボタンを押し、再加速した。
「面白い……ついてこれるか?」
「やってやろうじゃないの!!!」
と、2人が白熱したレースを最前線で繰り広げる中……。予知の通り彼女たちは出現した。もちろん、猟兵がいくつか事前に種を片づけておいたので予知より数は控えめであるが。
「イッツ、ショーーーータイムッ!」
「エイサーイ、ハラムスコ~~~~~~~!」
「あたい、許せへん! 許せへん、あたい!!!」
ベルシェイク・ビビ美達、爆誕である。 前方の集団が一気にカオスなオブリビオンとなり逆走、並走、何でもありで暴れだした!
佐藤・和鏡子
色々ヤバ目の薬(強力すぎて市販されていない軍用の鎮痛剤や世界によってはご禁制の興奮剤など各種)をブレンドして自分に注射(ユーベルコード)してそうはならんやろの効果に対抗して応戦します。
ダメージ軽減能力とスタミナが軽減したって薬の効果で誤魔化せば問題なし。
頭のネジがかなり飛んだ相手のようですが、目には目を歯には歯を、狂気には狂気をぶつけて迎撃します。
急加速して体当たり、スピンさせてコースアウトなど、運転技術をフルに生かした運転のプロらしい戦い方を見せてあげますね。
●|お注射《ブーステッド》
先頭集団。突如起こった事故の衝撃で爆誕したベルシェイク・ビビ美がベルシェイク・ビビ美とコントを行っていた。
「いやああん! ビビ美ちゃん。機体が破損して、ベルシェイクになっちゃったあ!」
「いや、そうはならんやろ!」
オブリビオン化した車は全ておんぼろオープンカーになり、その見た目ではありえないスピードで路上を爆走している。
しかも、それだけではない。
「なっちゃったものはしかたない」
「ひあうぃー、ゴー!」
「ここをぉ、本拠地とするっ!」
彼女らの走法はまるでクラッシュ●アやベ●ブレードといった玩具のように飛んだり跳ねたり回ったりしながら走って被害を拡大しようとしているのだ。まさに極限地帯。
そこに突っ込むは1台の救急車。乗り手はもちろん佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)。V8エンジンは今もブイブイ言ってるぞ!
「脱落したはずの車がこんなにも……いいでしょう。目には目を、歯には歯を、そして……復活には復活でお相手します!」
「そうはならんやろ!」
大音量のV8エンジンにも負けないサイレンをまき散らし、ビビ美達の作り出した玩具的戦闘フィールドをぶち抜くようなユーベルコード【|復活《リスポーン》】の発動!
自分にお注射することで、何と彼女の操る救急車まで緊急強化! 違法改造!
戦場をかける装甲車のように、国境なき救急車(概念)に姿を変えていく。重ねられていく装甲。巨大化するホイール。そしてこの車の心臓、V8エンジンのその先へ……
「「「そうはならんやろ!?」」」
いや、V8エンジンは今、V|∞《インフィニティ》エンジンへと進化する。
「なっとる、、、やろがい!!!」
力強く答える和鏡子。【そうはならんやろ】によって上がった反射神経により最適なタイミングでベルシェイクたちの間をオーバーヒートしらずのエンジンで今、音速を越えて駆け抜ける!
「このまま一気にトップに躍り出ますよ……!」
激しい風圧ですべてを薙ぎ払いながら追いかける最前線。障害物ももろともしない和鏡子の爆走は続く。
大成功
🔵🔵🔵
勝守・利司郎(サポート)
神将の四天王×花蝶神術拳伝承者、勝守・利司郎だ。
花蝶神術が何かって?オレが言い張ってるだけだが、練った気を花や蝶のごとく扱うやつ。
しっかし、『トーシロー』が達人っていう設定なぁ。あ、オレ、神隠し先で神将になる前はバーチャルキャラクターな。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動する。そうだな、主に拳に練った気を集めてグローブ代わりにして、殴ることが多いか?
他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。オレの美学(味方ならば邪魔をしない)に反するからな。作戦なら別だが。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないからな。
あとはおまかせ。好きによろしく!
ベルベナ・ラウンドディー(サポート)
「戦闘は得意な方に譲りますよ」
自称偵察専門、宇宙出身の竜派ドラゴニアン青年
単純明快が信条、焦るとラフが混ざるも概ね穏やかな物腰です
宇宙や汚染地などの悪環境下に特に強く、変装・偵察・工作など非戦闘活動を得意と自負する一方で他猟兵達の戦闘関連の技量に感心しがちです
全部80点で100点は取れないタイプ
●特徴として
功夫・衝撃波による砲撃戦・結界術の3種が戦術の主体です
全て「偵察任務遂行のためついでに取得した」とのこと
こいつを活躍させるよりも話の調整役として扱ったほうが背後は喜びます
設定や背景を描写する際の進行役や負傷や撤退でオブリビオンの見せ場などの
演出素材としてもお役立てください
●caution
「その先、長距離カーブあります。敵影2機。回避ですか? 突撃ですか?」
「んー。どうしようかね……」
勝守・利司郎(元側近NPC・f36279)はマシンのギアに手をかけながら3秒考えたふりをすると、そのまま1段階ギアを上げた。
「――まあ、んじゃあ……突撃で……!」
「なるほど。では敵進路予測……あえてアウトコースで攻めてください」
「了解だ!」
これから利司郎の進むカーブコースの脇から無線にて指示を送っていたルベナ・ラウンドディー(berbenah・|∂《ラウンドディー》・f07708)は、彼の決定を聞くや否や、すぐに【|結界剣 その2《グレイプニル・レター》】を発動する。
「いええええええーい! 爆発も何のその!」
それはご機嫌にカーブコースを進む2台のベルシェイクカーに命中したが、彼女たちの暴走は止まらない。
「あれ? あれええええ?」
「ビビ美ちゃん! 前がみえないよ!?」
「いや、お前もビビ美ちゃんやろ!」
「あ、そーだったっ! ってそーじゃない! どーしよ、どーしよ!?」
「構わん、突っ込め!」
「あー、だめ! ハンドルもきかないよおおおお!」
しかし、本命は【行動妨害】【視界不良】【強制移動】のマシントラブルを付与すること。ベルべナの思惑通りに2台のレーシングカーは速度を下げ、ふらふらとアウトコースをひた走る。
「で、オレが場外にするってワケ……ってかぁ!!?」
次いで、勝守がすべてを理解しながらユーベルコード【|花蝶神術:眠降香《オレリュウミンコウカ》】を発動しながら言われた通りアウトコースを攻める。
よりインコース、ほんの少し前を走る法のビビ美機を対象に発動したコードによってビビ美機Åのエンジンが炎上し、右側のタイヤが燃え堕ちる。バランスを崩したビビ美機Åはそのまま場外へ。
あとはもう一機捲るだけだ。狙うはベルシェイク・ビビ美よりほんの少しのインコース。まず後ろを走るビビ美機Bの右側に並走してから、文字通り車体をぶつけ場外へ突き飛ばした。
「よっしゃ、上々だ」
「はい、よきハンドル捌きでした。この調子でオブリビオンになった機体を捲ってしまいましょうか」
「おう、引き続き偵察とナビ、頼むな!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
あとはお任せします。宜しくお願いします。
雛里・かすみ(サポート)
バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●実況と中継
「おーっと、機材トラブルで実況が中断してからずいぶん経ちましたが、入ってくる情報によると前方で大事故がありレースは大変なことになっているようです。このままレースが中止になってしまうんでしょうか」
オブリビオン出現とともにビビ美のカオスな電波でトラブルを起こしていた機材、なんとかマイクが入るようになったジョン・カピバラは再び実況に入る。しかし、彼がレースの中止を匂わせれば観客たちからはがっかりする声やブーイングが巻き起こる。
「おっと失敬、まだそうなると決まったわけではありません、皆さん、落ち着いて……!」
等といまさら自分の吐いた言葉を否定してみても観客が落ち着くわけもなく……。
「いいえ、中止にはならないわ」
と、そこに一人の女性の声が上がる。その声は力強く、ポジティブに満ち溢れていた。
「なぜなら、私たちが中継を続けますのでー」
ばっ! と真っ暗なモニターに光がともるとそこに映し出されたのはひらひらフワフワの髪飾りを付けた赤いセクシードレスを纏った雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)と桃色の髪をなびかせ、先端が開いた花のようになった杖をマイクにしているシフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)。
カスミの【グッドナイス・ブレイヴァー】で出現させたドローンの映像を会場の全モニターをハックして映し出しているのだ。
「あ、ちょっと待って、カスミさん。前に障害物が見えるわ」
「え? おっと……! セーフ。ありがとうシフォンさん」
などと、ちょっとしたほんわかアクシデントも起こしつつ……。
「と、いうわけでここからは私シフォンと……」
「カスミが、レースの最前線の様子を中継するね! 後ろのほうの人はごめんなさい! というわけでジョン・カピバラさん。実況続けちゃってー!」
「なるほど、何が何だかわかりませんが……了解しました。みなさん。レース続行のようです。多少のハプニングはもとよりご愛嬌の障害物レース。最後まで楽しんでまいりましょう! 実況は続けて私、ジョン・カピバラがお送りします」
うおおおおお!
観客たちの声援が上がり、ブーイングはどこへやら。かわいい中継車の女の子2人とレースの様子に観客たちは釘付けになった。
「――いや、私らの章なのに出番もバトルもなしかよ」
「そーわならんやろ?」
ごめんねビビ美ちゃん……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ツィースター・ワールドキー(サポート)
ピュアリィ「ラッキーポム」のウサギ系ケモ娘。
非常に負けず嫌いで意地っ張なおてんばじゃじゃ馬お嬢様。
発言や行動は気高く誇りを持って驕らずに、だが年齢相当の感情表現をする行動や発言が多くなりやすい。
実は勝負師でありここ一番の時は【勝負勘】で状況を動かして勝ちを取るが完全に無自覚でやっている。
語尾口調は「〜ですわ!、〜ですの?、〜なのです?」
会話はひらがな表記で幼い会話を強調希望
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。おねがいします!
●えいえいっ!
「おこった?」
「おこってないよおおおおおおお!」
ビビ美カーがくるくるとスピンしながら場外へ飛ばされていく。
「よし、いけます……いけますわよ! ワタシ……!」
ツィースター・ワールドキー(家族に愛されているケモ娘・f38950)は12歳という年齢にふさわしい小柄な代わりに装甲マシマシで重さイーブンなレーシングカートで低い位置から前輪と後輪の隙間を掬い上げるような突撃でヘルシェイク・ビビ美たちと対峙していた。
合言葉はそう……。
「えいえいっ!」
でドーンッ! とぶつかり……。
「おこった?」
これである。この流れを作られるとビビ美達は不可抗力的に怒ってないよと答えて無抵抗に飛ばされていくのだ。
これに気づいたのは数分前……。
「絶対に許さねえええ」
と、ほかの車にぶつかられてぶちぎれたビビ美カーを煽ろうとしたとき。
「あんなことでおこってるのかしら? このレース、なめてますわね!」
と息巻いてみたら突然。
「おこってないよ」
といいながらすんっと平常心に戻ってしかし、出てきた怒りのカードを手にハンドルから手を放し運転がおざなりになって事故で場外に……といったことがあった。
「あのユーベルコード、レースではまったく役にたちませんのね……」
と気づいてからこの方式でビビ美に対処している。
「とにかく、かちすじが分かった以上ぜったいに負けられませんわ! まいりましてよー!」
ツィースターのばく進は続く。
成功
🔵🔵🔴
轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●すかす
「えいさいはらまむすこおおおい!」
ベルシェイク・ビビ美のえいさいはらむすこい走法が光る。
前方集団のまだ生き残っている集団の死角から突撃! 突撃!
「ぐわああああ」
あわやナントカ商事の車は爆発四散! 一瞬にして煙の中で新たなベルシェイク・ビビ美へと早変わり!
「あんな風に変わっていくのね……」
被害を広げないためには、ヘルシェイク・ビビ美を早々に消し去るしかない。
「悪いけど、直ぐに決めるわ」
轟木・黒夢(モノクローム・f18038)は目の前でオブリビオンに変わった機体を抵抗の余地なく【レプリカクラフト】によって作成したスポーツカーのレプリカをぶつけて動きを止め、更に後ろからもう一台スポーツカーの偽物を作成し、直進させることで挟み撃ちにして走行不能にした。
「……これなら、最小限」
この方式が不通に通用するとわかるや否やアクセルを入れ、今度は先ほど新たなビビ美を作り出したベルシェイク・ビビ美へと迫る。
「お、何だぁてめぇ?」
ケンカ腰で後ろを振り向くビビ美。黒夢はそれに反応することはなく、相手がこちらを向いてるうちに進路上にスポーツカーを1台、後ろにも1台作成しまったく同じように対処した。
「反応が素直で、助かるわ」
一瞬で物言わぬスクラップになったビビ美たちを無視して……と、そうすると彼女らが障害物になって事故が起こると大変なので、黒夢はここでいったん車を止めてささっとビビ美達の片づけをしてから再出発した。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ブラッド・エンプレス』
|
POW : リミットレス・チューンナップ
自身が操縦する【マシン】の【最高速度】と【加速力】を増強する。
SPD : 絶対なるトップ
自身の【移動速度】を、最も近接する対象と同値にする。対象が変わらない限り、自身の[移動速度]のみ徐々に上昇する。
WIZ : 揺るぎなき女帝
敵より【優位なポジションや順位にいる】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:ねぎとろ軍艦
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●最終レース
「なんなんだよ! あの車の加速……反則的だろ!」
ブラッド・エンプレスの車に何とか食いつき走る谷・櫃女。すべてはボーナスの為。
しかし、彼女がそうやってひいひい言ってる間に、後続の車まで剛速でこちらへ近づいてくる。
そう、君たち猟兵だ。
「……第六猟兵……最近、うわさを聞くやつか」
ブラッド・エンプレスはぼそりとつぶやくと目の前に迫るコーナーに向けて一時減速した。
隠神・華蘭(サポート)
※えっちなのはよろしくないと思いますぅ。それ以外でしたら割となんでも。
化け狸の華蘭と申しますぅ。
一人称はわたくし、お名前呼びは〇〇様で口調は丁寧語、カタカナ表記の単語は人名以外はひらがなで喋りますよぉ。
化術や逃げ足を駆使して駆け回りながら攻撃は鉈での切断と小判ばらまきや狸火での範囲攻撃をめいんに使っていきますよぉ。
UCは何でもいけますねぇ、『山口霊神』や『怨み狸』辺りはとっておきですので強敵さんに当たってしまったらそれも使用考えましょう。
他の妖怪さんをはじめ、人間以外は優先的にお優しく接しますよぉ。
普通に接するだけで別に人間にきつく当るというわけではないですのでご安心を。
●快速急行(ただし通過するだけ)
「く、この後の5連ヘアピンカーブまでに追いつけないとヤバイ!!!」
谷・櫃女は減速したブラッド・エンプレスとは対称的に速度を上げていく。この機体なら、最高速度でもこの先の最初のカーブはまがれるはずだ。
「……まだついてくるのか。いい加減、捲らないとねえ」
ブラッド・エンプレスはサイドミラーに移り続ける|目障りな機体《谷・櫃女》の存在を再認すると、ユーベルコード【絶対なるトップ】を発動する。
「そちらがあげるなら、こちらも上げる……」
ブラッド・エンプレスの速度が、そして機体の性能が谷の機体とシンクロした。このまま谷のみを警戒できるのであればこちらの速度はカーブを曲がったあたりできれいにこちらの速度だけ加速していくだろう……。
だがもちろん、猟兵が間に合った以上そうは問屋が卸さない。
「ならわたくし、もっとすぴーどを上げて参ります!!!」
切迫する2機の間を割り込むように路上を走り一瞬にして抜き去るのは隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)。ユーベルコード【|容易く止まらぬ偽の汽車《タヤスクトマラヌニセノキシャ》】を発動し、ぽっぽーと路上を新快速で爆走。
「なんだと!」
「汽車……あれもレースに参加してる機体なの!?」
それぞれ驚くトップレーサー2人。今は残念ながら2位と3位に降格である。そのあまりの衝撃に抜かれたと認識するのが遅く、ブラッド・エンプレスはユーベルコードの対象を変更することもできなかった。
「あ、しかし、この形態だと妨害ができませぬ……!」
と華蘭が気が付いたのも今さら、このユーベルコード、名前の通り止まれないので、もう、ゴールまで駆け抜けるしかないのであった。しかし、これにてブラッド・エンプレスのユーベルコード【絶対なるトップ】の力は揺らぎ、彼女のほかのユーベルコードの効果も多少弱くなることであろう。
成功
🔵🔵🔴
エリック・ガルベルト(サポート)
連携・苦戦・ネタ歓迎!
性格:面倒見がいい、若干目立ちたがり、子供好きの青年。
「お手伝いは必要ですか?」
基本的な戦い方はダッシュで敵の懐に入り、早業による拳・脚での乱打ですね。遠距離攻撃として闘気での衝撃波も使いますよ。
敵の攻撃に対しては第六感、見切り、オーラ防御、受け流し、武器落としを駆使して対処します。
現地民が周りにいる時は、住民の保護を優先し、負傷者には祈りの力と医術で治療や救助活動を行います。
ヴァンパイア由来の力(「血」と入るUC等)は周りに住民がいる時やピンチでなければ使いたくありませんね。悲惨な結末となるので…
その他UCは何でも使い、他の猟兵への迷惑行為はしません。
他はお任せです!
シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
あとはお任せします。宜しくお願いします。
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
●中継とサポーターたち
「ただいま(株)第六猟兵の中継で続行してるレース……終盤、最前線の様子をお送りしてます。お送りするのは私、世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さんただいま参上」
「あれ、いつの間にか助手席の人が変わってる!?」
シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)の運転する車の助手席に座っている中継者はいつの間にか音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)にすり替わっていた。すり替わってはいたけれど、彼女もユーベルコード【グッドナイス・ブレイヴァー】で召喚したドローンがあるので問題はない。
「ご安心ください、プロデューサーさんによりますと……サポーターにはよくあることです、とのことでした……」
ネガティブでもアイドルはアイドル、シフォンとの即興の絡みでも問題なくこなして見せます。
「では、シフォンさん、いま、運転しててどんな感じですか? 前にほとんど、車はありませんが」
最前線を走る車は(株)第六猟兵として登録されている猟兵たちの機体と、ブラッドエ・エンプレス、そしてスポンサー会社のレースドライバー谷・櫃女の車のみ。多くの車はすでに脱落している。
「そうですね。なるようになると思います」
ネガティブアイドルと対称的に能天気に明るいシフォン。にっこり笑ったまま美しいコース取りで連続ヘアピンカーブの1つ目と2つ目を問題なく曲がって見せる。
「とのことです。現在残ってる車はごらんのとおりですが……お客様が注目する選手などはいますか? 実況席のジョンさん」
「はい、やはりスポンサーの車には注目が集まっております!」
「なるほど……あの車ですね」
ドローンを動かせば、今の距離なら櫃女の車を拡大で移すこともできる。しかし、カーブで曲がるスピードが彼女は非常に早く、このままでは距離が離れていくだろう。
「と、いうわけなのですが、シフォンさん。あの車、追い続けられます?」
「そうね、(唯一残ってる一般人だし)やっぱり、フォローできる距離にいたほうがいいものね……わかった。とばすよ! もう一人のサポーターさんもよろしくお願いします!」
シフォンは力強く応えると【ドレスアップ・プリンセス】を発動する。本来豪奢なドレス姿になるのはシフォンなのだが、かわりに乗っている車がひらひらのドレスのような光を纏い、急カーブからのU字カーブになっている道をガードレールを壊しながら直進し空へ飛びあがる。【プリンセスハートエンジンシステム】の出力が上がり、花を纏いながら崖から崖へジャンピング走行! しかし、それだけでは複数のカーブを飛び続けることはできない。
「ええ、道を切り開きます、この……拳で!」
別の車で近くを走行していたエリック・ガルベルト(聖拳・f35891)が【|銀の弾丸《ズィーヴェル・クーゲン》】と【|銀色のそよ風《ズィーヴァーン・ブリーゼ》】を発動する。そよ風は無茶な突撃で破損するシフォンの機体を修復。弾丸は空中に銀色に輝く衝撃波をのこし、加速距離を稼ぐための道を作る。
「おーっと、(株)第六猟兵中継班、とんでもない力技で先に進む! 選手でもあるわけですが、これはありか? アリなのかー!?」
アリですとも!
そんな感じで、シフォンと鬱詐偽、エリックたちは最短距離で、しかし1位に躍り出ることはなく谷・櫃女、そして彼女と激走を繰り広げるブラッド・エンプレスの姿を主に映し続けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
佐藤・和鏡子
ユーベルコードで上昇した運転技能(運転技能レベル1200)を使用し、周回遅れなど他のマシンを利用したり、自車をコントロールして『最も近接する対象』をめまぐるしく変化させて加速を続けられないようにしながら、じわじわと前に出るようにします。
引き離すと自車が『近接する対象』に固定されるので、他の車との団子状態になるように仕向けた上で勝負を仕掛けるようにします。
一見卑怯でも他の車を利用するのもれっきとしたテクニックの一つですから。
●決着
「ほかの猟兵があんなに……。これは後ろでモタモタしすぎましたね」
先頭集団、白熱の5連ヘアピン3連目。
多くの車両を蹴散らし突っ込んできた死のサイレン……え、こんなの言っていいのかな?
佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)の救急車がいよいよその集団に追いついた。通常の救急車では……いや、レースカーだってなんでそんな曲がり方できるんだよ! みたいなドリフトをきめ、慣性の法則とかいろいろ無視しながらやってくる装甲マシマシ救急車。
「何よ、あれ……!」
谷・櫃女が亡霊のように迫るその車両をミラーでとらえて驚愕の声を上げる。
「プロドライバーの本領を見せてあげますね」
和鏡子のリミッターを越えた運転技能と、常識を超えたマシンだから起こせる狂ったハンドリング。
「ちぃ」
エンプレスはユーベルコード【絶対なるトップ】を使い、今もなお櫃女の速度に合わせながらじわじわ加速していくが、ほんの数分前に汽車になった猟兵に追い抜かれたからかその加速力は万全ではない。トップでないことで絶対を求める彼女のユーベルコードの力が揺らいでいるのだ。それでも、これ以上は抜かせないと食いしばっている状況で更に並んだ1台の車。このまま一瞬で抜き去れば和鏡子が彼女を追い抜くことは容易であったが……。やはり、レースにアクシデントはつきものである。
「速報です、最前線で走行していた(株)猟兵の汽車が最終カーブを曲がり切れず残念ながらリタイアとなりました……! ケガはないようです」
実況の声がレースコース脇のスピーカーから聞こえる。
瞬間、ブラッド・エンプレスの口角がわずかにではあるが上がった。
既に限界の音を鳴らしているアクセルをべた踏みし、ユーベルコード【絶対なるトップ】の力を再度解放する。
「まだ上がるのかよ……!」
「私が、トップだ――!」
驚くも、食いつこうとする櫃女。それを感じ取り、和鏡子は落ち着いて一気にスピードを下げた。
「でもそれ、今一番近い私の速度の影響、受けるんですよね?」
「何――!?」
3秒、和鏡子とブラッド・エンプレスの速度が急速に下がる。
「機械トラブル? なら――!!!」
そして、その3秒で今度は櫃女がトップに躍り出た。
「よし、勝てる、勝てるぞ! このまま……ボーナスは私のものよ!」
1位を取り戻し更に調子づいたハンドリングとアクセルを行う櫃女。4つ目のカーブを越え、次が最終カーブ。そのあとはもう抜きようのない狭い直線。
速度を下げれば後ろに抜かれてしまいそうなプレッシャーを与える最後のヘアピン。
「――悪いんですけど、V8、舐めないでください」
いや、今はV|∞《インフィニティ》であったか。そんなことを考えながら、最後のカーブ直前で再度、ブラッド・エンプレスのユーベルコードでも反応が追いつかない急加速で和鏡子の救急車がインではなく、アウトから櫃女を抜き返す。
「ここまで来たんですから、トップはこの、私のものです――!」
トップは譲っても最後の勝利は譲らない。そのまま光にでもなってしまいそうなスピードで和鏡子が救急サイレンとV|∞《インフィニティ》エンジンの公害爆音まき散らしながら、ゴールラインを越えた。
レースでの敗北、それを確信した時、絶対的トップ、ブラッド・エンプレスは消滅。
「わ、わたしのボーーーナスーーーー!!!」
そして、このレースのスポンサー機を操る櫃女は2位。涙を流して悲しくそう叫んでいたという。和鏡子さん、優勝おめでとうございます。
大成功
🔵🔵🔵