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銀河帝国攻略戦㉔~対艦兵装強襲活劇

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●ミサイルファイター・エマージェンシー
「さすが銀河帝国ですね。またまた厄介なことになってしまいました」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は手早く『ぐりもあのーと』を開き、戦争の舞台へ出撃する猟兵達に説明を始めていた。
「皆さんの活躍のおかげで次々と敵勢力を撃破し、ようやく帝国旗艦『インペリウム』が見えてきました。ですが、さすがに敵の首魁が待ち受ける艦ですね。艦に配備された『インペリウム対艦兵装群』の一斉砲撃により、解放軍のスペースシップは大打撃を受けてしまいました」
 ロザリアの語る情勢は希望に満ちたものとは言えないが……それでも冷静に話を進めているのは、目の前の猟兵達を信じている、ということなのだろう。
「敵軍の射程は解放軍の最大射程距離の二倍もあり、このままでは一方的に砲撃を受け、壊滅してしまいます。皆さんには、そうなる前に『インペリウム対艦兵装群』を破壊してほしいんです」
 兵装群と呼ばれてはいるが、本作戦ではそのうちの一つを破壊する、という話になる。
 ロザリアは敵情報を詳細に説明していく。
「『インペリウム対艦兵装群』は射程内の敵には絶大な威力を誇りますが、反面、至近距離の敵に対しては無力です。そこを突き、皆さんには素早く接近して一気に兵装を破壊してほしいんですが、敵も猟兵の皆さんを警戒し、護衛部隊を配置しています。ですので、敵の護衛部隊の攻撃を掻い潜って接近し、兵装を破壊する必要がありますね」
 今回の作戦の目的は兵装の破壊であり、敵勢力の掃討は二の次となる。つまり、敵がいくら残ろうが兵装を破壊できれば猟兵達の勝利。逆に、敵勢力をいくら撃破しようと、兵装の破壊に至らなければ勝利はない。
「重要なのは『護衛の攻撃をどう掻い潜るか』と『兵装をどのように攻撃するか』の二点になりますね。この点をしっかり考えて行動すれば、きっと破壊も難しくないと思います」
 作戦の流れを説明したところで、ロザリアは『ぐりもあのーと』のページを新たに開き、猟兵達に示した。二ページ分を使って大きく描かれたもの、それはこの作戦において猟兵が破壊する兵装の絵だ。
「すっごく大きなビーム砲ですね。破壊しないといけない部分だけでも20m程度ある巨大兵器です。長い砲身に、エネルギー供給部分とか、砲台部分とか、色々ごてごてしたものがくっついてる感じですから、全力で破壊しにいきましょう!」
 ロザリアがさらにページをめくると、そこには護衛部隊である敵の姿が描かれていた。
「皆さんの行く手を阻むのは、見るからに機械な感じのやつですね。ビームやミサイルを発射することもあれば、接近して斬りつけてくることもありますから注意してください」
 そうして、ロザリアはようやく全ての説明を終える。
「今回の戦いはただ敵を倒せばいいという話ではないので大変かもしれませんが、皆さんならきっとやれます! 銀河皇帝はもう目の前ですから、力を合わせて頑張りましょう!」


沙雪海都
●マスターコメント
 戦争シナリオです。沙雪海都(さゆきかいと)です。
 新しい戦場が開きましたので、担当させて頂きたいと思います。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●このシナリオでやること
 『インペリウム対艦兵装群』の兵装の破壊。

●注意点
 本作戦は集団戦になりますが、目的が兵装破壊ですので、集団戦の敵の撃破は必須ではありません。
 敵の攻撃を見事に回避し兵装へダメージを与えれば、いい結果がもたらされることでしょう。
 集団戦の敵と戦うことになった場合でも、最終的に兵装へダメージを与えられれば成功になります。
 逆に、いくら集団戦の敵を倒しても兵装へダメージを与えられなければ失敗となりますので、気を付けて下さい。

 OPにもありますが、重要なのは『護衛の攻撃をどう掻い潜るか』と『兵装をどのように攻撃するか』という点になります。
 この点を踏まえ、プレイングを行ってください。

 場面的には「至近距離へ転送された猟兵が護衛部隊の攻撃を掻い潜って兵装へ攻撃する」という感じになるかと思います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ミサイルファイター』

POW   :    衝角突撃
【機体前方に装備された対艦衝角】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ファイターレーザー
【速射式レーザービーム】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    スターシップキラー
【レーダー波】を向けた対象に、【対艦ミサイル『スターシップキラー』】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

如月・アストレア
【SPD】
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん!くりむちゃん! からの、デストロイド☆ジェノサイダー!」


CMF(クリムゾンフレーム)を呼び出して騎乗からの6.5Mの人型に変形。
そして亜空間から対『艦隊』用超荷電粒子砲を取り出して構える、というか横の銃座に乗り込む。

「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ♥」

対艦隊用超荷電粒子砲が護衛ごとインペリウム対艦兵装群をなぎ払う!

㉔の戦場全参加で全部ぶっ飛ばすぞー☆

【吹き飛ばし】



●宇宙系兵装少女アストレア
 如月・アストレア(クイック ビー クィーン・f13847)が宇宙空間へ降り立ち、前を向く。まだ距離はあるが、20メートルに達するインペリウム対艦兵装はそれでも他を圧倒する迫力があった。
 護衛のミサイルファイターは隙間なく徘徊し、敵である猟兵の接近を阻む。
 この場を切り抜けなければ、兵装には届かないか――否。
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん! くりむちゃん!」
 アストレアが叫ぶと、目の前にくりむちゃんこと機動戦闘機【CMF(クリムゾンフレーム)】が召喚された。ミサイルファイターの一団がアストレアの存在に気づき迫り来る中、ひょいと飛び乗ると、
「くりむちゃん、変形!」
 声に合わせ、CMFは全身のパーツを可動状態に変えていく。がちゃんがちゃん、とパーツは離脱、再構成を繰り返し、CMFは見る見るうちに巨大な人型兵器に姿を変えていく。
 その全長は実に6.5メートル。
「……からの――」
 アストレアは高く頭上へ手を伸ばし、亜空間から対艦隊用超荷電粒子砲を召喚。変形したCMFへ装着すると、自身は銃座横の空間に乗り込み、目標へと狙いをつける。
「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ これが全力のお仕置きビーム!!!」
 ジェットエンジンを噴射して速射式レーザービームを放ってくるミサイルファイターの姿が見えたが、そんなのはお構いなしに主砲を一発ぶっ放した。稲妻のような極太レーザーがビームごと射線上に存在するミサイルファイター達を全て巻き込み兵装へ着弾。照射された膨大な熱量に、兵装の砲身が大きくひしゃげていた。
 巻き込まれたミサイルファイターは跡形もなく。一部を抉られた個体も機能の大半を失い、スクラップのように転がっていく。
「この調子で全部ぶっ飛ばすぞー☆」
 アストレアの存在に危機感を強め殺到するミサイルファイターへ、アストレアは砲口を向け、次々と高威力の砲撃で薙ぎ払っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィン・スターニス
次から次に色々な兵器が出てきますね。
ともあれ、あれを何とかしないと進めないならば、
迅速に破壊をしないとですね。

まずは兵器から529mまで、出来れば500m以内に近づきましょう。
空中戦と第六感を駆使して、
敵の攻撃を回避しながら接近。
途中、ある程度は武器でなぎ払いを、行う等で攻撃を行います。
目的の距離まで到達したら、
兵器を視認し、第三災禍・黄の拒絶を使います。
護衛の相手をしている時間はないので、ここで失礼させて頂きます。

兵器に到達したら、装甲の継目を剥がし(鎧無視攻撃)、
中の部品や配線を破壊します。
直感で破壊しておいた方が良いと、
感じれば、その場所を重点的に破壊です。


甲斐・ツカサ
あんまりデッカい物を壊すのって得意じゃないんだよね
だから、ここはコイツらの力を借りようか!

敵の動きを先読みして、ワイヤーや空気の足場を利用して敵の間を飛び渡っていこう!
幾らレーザーを数撃っても、その軌道は予測済みさ!

それに範囲内を無差別攻撃なんだったら、ビーム砲の近くまで行けば巻き込めるよね!
他にも対艦装備が沢山あるみたいだし、ハッキングしてビーム砲へ攻撃させてみようかな?
ゴーグルがあれば電脳空間を使えるし、ワイヤー使って取り付いて、装甲壊せば回路とかに直接接触できるかもだし

相手の制御権を盗む、っていうのも機械相手ならではだよね
あっ、盗むって言ってもオレはシーフじゃないよ!
冒険家なんだからね!


デイヴィー・ファイアダンプ
防衛部隊を見るに対艦ミサイルを装備している、と。
これなら正面から戦うのが苦手でもどうにかできそうか。

転移後は他の猟兵が集団を突破しやすいように、ユーベルコードの“声”でジャミングを仕掛けてみよう。
例え相手が生物でないとしても、プログラムされた思考や意志があるならこの埒外の力は届くだろう……いや、届かせる、だね。

兵装群に接近できたなら一旦死霊の声を消して、狙いを“ここ”に定めさせ攻撃をおびき寄せよう。
上手く行けば対艦ミサイルの名に恥じない活躍がみれるだろう。
自爆覚悟というわけでもない。ミサイルが発射されたら再び声を使ってミサイルの誘導の阻害をしつつ、周りにも回避を促させてもらうよ。


ステラ・アルゲン
では、敵の兵装に流星を落としに参りましょうか。

【属性攻撃】による風を体に纏わせながら素早く【ダッシュ】で走り抜ける。立ちふさがる敵には【オーラ防御】を纏わせた流星剣による【衝撃波】と【なぎ払い】による斬撃波を飛ばす。あくまで兵装までの道の確保だけを優先。敵にトドメなどする暇はないし必要ない。
攻撃を受けそうなら【武器受け】で受け流す。【オーラ防御】を纏わているので防御力は問題ないはず。

敵の兵装までたどり着いたら【鎧砕き】も乗せた【流星撃】を叩き込む!


ボリス・ルーシア
随分進んできた、ね
ボス戦も始まっているけど、周りの余計なものも片づけなくっちゃ

SPD
高威力で無差別な攻撃か…
それなら護衛の奴らに向かうように見せかけて、脇を通り過ぎるぜ
攻撃されても避けを中心に、受けても受け流すように、
護衛の陰に隠れて攻撃をやり過ごしたりして、ひきつけるように移動だ

兵装へ攻撃ができる距離まで近づいたら、クイックドロウで攻撃するぜ
兵装からの攻撃はタイミングを見極めるように集中しておく
いざ撃たれたら全力で避ける![第六感][見切り]
無差別攻撃なら、ここまで引き付けてきた護衛も無事じゃ済まないだろ

攻撃は引き続き避けに徹しつつ、少しずつ接近
攻撃の隙を見つけたら、今度は全力でぶっ放すぞ


尾崎・ナオ
前衛さん居ないかにゃ~?可愛い女の子の壁ですよぅ~?(共闘歓迎)

戦闘:敵を極力回避して、兵装破壊
回避:【第六感16】が囁く方へSPD163で飛びのく!

UC【拳銃早打ち】で仕留める!茶化しながら【クイックドロウ64】【早業16】も乗せて、高速の早打ちを仕掛けるよ!弾薬が足りない?いやいや大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!同じ銃ちゃんと複数装備してるから!もちろん弾薬もね♪


対:敵
周囲に浮かぶはUC【ナイフいっぱい☆】。ちゃーんと【毒使い16】でしっかり毒を塗ってまぁす!牽制と【援護射撃16】に最適でしょ?ナオちゃんは中衛回避型。とにかく回避回避!近づかれたら【零距離射撃16】が飛んじゃうぞ☆



●対艦兵装強襲活劇
 猟兵の存在は今や銀河帝国にとって刻一刻と迫ってくる脅威となっており、だからこそ強力なインペリウム対艦兵装群に十全な護衛部隊を配置していた。
 それを突き破った猟兵側の主砲。ミサイルファイターが織り成す鉄壁を砕き、動揺を与えたところに次々と他の猟兵が飛び出していく。
 甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)は乱れた敵陣へワイヤーを射出。ミサイルファイターの体を絡め捕ると、すぐさま引き戻すと同時に足元の甲板を蹴った。
 宙に跳ねたツカサの体に支えはない。空中で姿勢を保つミサイルファイターは微動だにせず、ワイヤーはミサイルファイターのもとへ導くようにぎゅるぎゅるとツカサの体を引き込んでいく。
 だが、勢いがついたところでツカサはワイヤーの回収を止めた。勢いのまま弛むワイヤーと共にミサイルファイターへ、あたかもツカサ自身がミサイルになったかのように突っ込んで、
「よっと」
 ミサイルファイターをガツンと踏みつけて足場代わりにさらに前へ、最後に絡めたワイヤーを回収、跳び去っていった。
「これは鮮やか……では、私も敵の兵装に流星を落としに参りましょうか」
 ツカサの行く先を見上げながら、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は風の加護を受け駆けていく。疾風迅雷、ミサイルファイターの照準を外し猛進する様は風の如く、右へ左へ、障害となる相手は急激な方向転換と共に回り込んで、敵陣を切り裂く様は雷の如し。
 たとえミサイルファイターの機体前方に装備された対艦衝角が迫ろうとも、
「貴様等に付き合っている暇はない」
 『流星剣【ステラソード】』を真一文字に振り抜き衝撃波を飛ばし、一瞬怯んだ隙を突いて機体の脇を抜け置き去りにしていく。
「次から次に色々な兵器が出てきますね……ともあれ、あれも敵戦力の一部ですから、迅速に破壊をしないとですね」
「銀河皇帝を倒すためにも、周りの余計なものも片づけなくっちゃ」
 フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)がミサイルファイターの動きを読みながら兵装へと迫り、ボリス・ルーシア(瑠璃夜天・f09721)はあえて護衛のミサイルファイターに直進しながら、寸前で方向をわずかに変えてすり抜ける。
 フィンは敵の全ての行動パターンを正確に見切れているわけではないが、機体の向きや配置などから反射的に安全な道を選択していく。
「……レーザーが、来ます」
 そう呟いて、疑いもせず進行方向から斜めに逸れて走り出す。と、そこに空中から放たれた高威力レーザービームが着弾し、甲板が火花を上げた。
 ボリスの動きは一見すれば危険だ。敵目掛けての突進は狙ってくれと言っているようなもの。ミサイルファイターは存分に力を溜める。機体先端で圧縮されたエネルギーがバチバチと弾け、フラッシュを焚いたような一瞬の閃光と共に高威力レーザービームが発射された。
 だが、ボリスが狙っていたものこそ、まさにその瞬間。閃光で目が眩む前に顔を伏せ、ぎゅっと足先を切り返して射線から飛び出した。顔の真横、肌にぴりぴりと痺れるような小さな痛みを感じながらも足は止めず、ミサイルファイターの反動の隙を突いた。ミサイルファイターも旋回しながらボリスを追うが、至近距離ならボリスの機動力が上回る。
 フィンとボリスが共にミサイルファイターのレーザービームを巧みに避けながら突き進む。そこへ、追う者に阻む者、ミサイルファイターは数で二人を押しつぶしにかかる――が、不意に、雷に打たれたかのようにその動きが固まった。
「たとえ相手が生物でないとしても、この『声』は届かせる」
 死霊の群れがミサイルファイター達に襲い掛かり、精神を苛む声を発していた。デイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)の【クグルクトゥクの嘆き(グリーフ・オブ・クグルクトゥク)】がミサイルファイターの持つ防衛回路を蝕み、動きを封じる。
「動きが見えやすくなりました。助かります」
「僕としても、先行してこいつらの注意を引きつけてくれるのは有難いところだ」
 ミサイルファイター達がフィンとボリスを積極的に追い回していたため、デイヴィーは安全に死霊の群れを放つことができた。
「前を行ってくれる人がいるし、動きを封じてくれる人もいて、らくちんだにゃ~」
 デイヴィーと共に走る尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は、時折向けられるレーザービームを『何となく呼ばれたような方向』へささっと跳んで避けていた。周りに敵を妨害してくれる味方もいて、ここまで苦も無く進んできている。
 それから、四人はやや縦長の集団を作って兵装を目指していたが、
「……さて、これ以上時間をかけてもいけませんので、ここで失礼させて頂きます」
 まだ敵が散らばる地帯。突撃してくるミサイルファイターもいる中で、フィンはその先に件の兵装を見た。
『封印解除。黄色の魔力を糧とし、第三の災い、此処に発現せよ!』
 声がして、フィンの姿は質量を失った。一瞬の残像も闇に掻き消え、そこには何も残らない。
 猟兵としての力――ユーベルコードであろうことは三人にも予想できた。故に彼らは走り続け、同じく兵装を目指す。前方には虚を突かれ固まっていたミサイルファイターが見えたので、デイヴィーは同じように死霊の群れを差し向け動きを止めた。
「あ~、後ろから動き出したのが追いかけてきますぅ」
 背後がにわかに騒がしくなりナオが振り返ると、動きの止まったミサイルファイターのさらに向こう側に、一時的な束縛が解けたミサイルファイター達が三人を猛追していた。やり過ごした機体が次々に合流しており、一つの軍勢を成している。
「厄介だな……振り切れるか?」
 緊張感漂う戦場。ボリスの口調はいつしか戦闘時のそれに変わっていた。
「見るに、奴らは対艦ミサイルを装備している。うまく使えれば強力そうだが、辿り着く前に追いつかれるのもまずいな」
「なら、ナオちゃんに任せるですよぅ」
 ナオは即座に迫り来るミサイルファイター達と相対すると、お気に入りの『黒いナイフ』を高々と放り投げて、
『当たると痛いですよ~ぅ?』
 空中で複製されたナイフがナオの念力で不規則な軌道を描きながらミサイルファイターに斬りかかっていく。当てずとも、とにかく相手の予測しない方向へ操作し、不意を突いてわずかでも足を止めれば儲けもの。
「……よし、このまま走ろう」
 ナオのナイフが効果的と見て、三人はうまく距離を保ちながら、兵装目指して駆け抜けていく。

 空を翔けて、あるいは地を疾駆して、巨大兵装へツカサとステラが到達した――が、兵装への初撃を見舞ったのは空間を転移し距離を詰めたフィンだ。靄が固まるようにして空中に姿を現したフィンは兵装の台座部分の継目へ『薙刀【白霧】』を突き入れた。刃が継目をこじ開け、兵装内部へと食い込んでいく。落下に合わせて刃をさらに押し込むと、台座に大きな裂け目ができた。
「まずは一撃……これなら、いけそうです」
 裂け目の内部はまだ鮮明には見えないが、手に残る感触が兵装へのダメージを物語る。
『――墜ちろ!』
 フィンと入れ替わるようにして、ステラは持てる力の全てを込めて流星剣を上段から台座の裂け目へ振り下ろした。単純な動作、故にステラの全力は余すところなく流星剣へと注ぎ込まれ、隕石が衝突するほどの破壊力を持った刃が叩きつけられた。無理矢理継目を広げられて歪んだ装甲では耐えることなどできるはずもなく、台座は粘土のようにぐにゃりと押しつぶされていた。
 二人の攻撃で根元を潰したが、巨大な砲身そのものにも頑丈な留め具により艦に据え付けられており、まだ形は保っていた。
「あんまりデッカい物を壊すのって得意じゃないんだよね……だから、ここはコイツらの力を借りようか!」
 ツカサは未だ健在の兵装を見るや、自分達を追ってきたミサイルファイター目掛けてワイヤーを放った。先端をぶつけると、すぐさまワイヤーを巻き取りながら兵装へと向かって走り出す。
 牽制、そして反撃を誘発する動作に、ミサイルファイターはエネルギーを圧縮してレーザービーム発射の構えを見せた。
 そして発射。恒星が流れたかのような凄まじい閃光が自分の体を呑み込んでいく――ようなイメージが脳裏に浮かんだ。
「幾らレーザーを数撃っても、その軌道は予測済みさ!」
 角度、方向、タイミング。全てを把握したかの如く、ツカサは紙一重でレーザービームを回避する。目標を失ったレーザービームが着弾したのは、鎮座していた兵装の砲身。高威力の攻撃を真横から受け、赤熱したかと思えば一気に貫通し彼方へ飛び立った。
 ツカサを追って連射されたレーザービームは綺麗な点線を砲身に描いていた。
「到着したよーぅ。ではでは、ナオちゃん、一気に仕留めちゃいますぅ!」
「でけぇのが何だ! 全力でぶっ放す!」
 後続の三人が追いついた。素早く銃を抜いたナオとボリスが砲身から左右に分かれ、高速の移動射撃を繰り出した。目にも留まらぬ速さで発射される銃弾、熱線は、穴が開いた砲身に辛うじて残る僅かな繋ぎ目を断ち、ワニの口のように大きく上下に分断していった。
 円筒が切り離されたことにより、自重に耐え切れず砲身は楕円に歪んでいく。それをさらに押しつぶすべく、台座部分から兵装へ登ったステラは砲身上を駆け上がり、
「全てを――砕く!」
 その先端へ再び【流星撃】を叩き込み、足場は放棄して反動で宙を舞う。逆さまに見つめた砲口は平たい板のように潰れ、艦に繋ぎ留められた砲身下部は過大な負荷により地割れのような亀裂が入っていた。
 猟兵達が猛攻を仕掛ける中、フィンは一旦退いて兵装全体を見渡す。
「損傷が激しくなってきましたが……あの辺、まだ生きてますね」
 ボロボロの状態の中にも、まだきらりと輝く場所が残る。どんなに小さな部品であろうと、健在のまま残してはいけない。一点目掛けて放たれた刃が装甲を突き破ると、バチンと火花が弾け、黒い煙が漂った。
 見た目が派手に破壊されていても、中身がどうなっているかまでは見極め辛い。フィンはまだ動きそうな部分を直感で探し当て、重点的に破壊していく。
「さて、そろそろ終わりにしよう」
 デイヴィーが頃合いを見計らい、仲間達に声を掛けた。潰れて曲がって亀裂が入り、使い物にはもうならなさそうな砲身に、ザクザクと刻まれ細切れにされた装置部分。台座も潰れ、ただもう金属の塊がドンと置かれているだけのような状態に過ぎないが。
「奴らに『ここ』へ攻撃を仕掛けさせる。きっと対艦ミサイルの名に恥じない活躍が見れるはずだ」
 付近にいたものも含め、猟兵達に迫っていたミサイルファイター達がずらりと並ぶ。今はデイヴィーがジャミングを仕掛けて動きを止めているが、そろそろ時間が来る。
「攻撃が来たら、一斉に離れればいい、ってわけか。だが誘導されたらどうする?」
「『声』で阻害する。動きもここまで十分に止められているから、問題ないはずだ」
「なら、大丈夫そうですね。いざとなれば回避する手段はありますし、それで異存ありません」
 フィンを筆頭に他の仲間も同意し、全員が兵装付近に控える。やがてジャミングが切れ、ミサイルファイター達が動き出した。接近しつつレーダー波を六人へ照射し、狙いを定める。
 機体上部に据え付けられた対艦ミサイル『スターシップキラー』が火を噴き、機体を離れたその瞬間、
「今だ! 行こう!」
 デイヴィーの声に反応し、六人が一斉に兵装を離れた。同時にデイヴィーが死霊の群れを全体に飛ばし、ミサイルの制御を妨害する。さらに、一足早くミサイルファイターへ迫ったツカサは、
「どうせなら、制御権を盗んでみようかな……オレは冒険家だけどね」
 軽口を叩く余裕も見せながら、ワイヤーをミサイルファイターに巻き付けて素早く取りつき、装甲を破壊。内部回路へ直接ハッキングを仕掛け、誘導機能を無効化し、『最初に狙った場所へミサイルを落とす』ように仕向けた。ジャミングの効果も相まって、手際よく次々にミサイルファイターの制御を奪っていた。
「道を開けてほしいですぅ~」
 敵が集まれば、当然猟兵達の離脱を妨げるものも出てくる。ナオはそこへナイフを向けて装甲の上から突き刺し、機能を停止させていく。
 ステラは衝撃波、斬撃波を駆使し、新たに迫るミサイルファイターを押し戻し、ボリスが銃撃で追い打ちをかけていく。
 フィンは【第三災禍・黄の拒絶】による空間転移で敵の障害を物ともしない。そのため、他の仲間の進路を妨害しそうな相手の死角へ優先的に飛び、不意打ちで動きを封じて。
 ミサイルファイターの包囲網を見事に突破し、凱旋する六人の遥か後方で、大量の対艦ミサイルを撃ち込まれたインペリウム対艦兵装が爆炎と共に跡形もなく砕け散っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月21日


挿絵イラスト