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ペンギンハロウィンパレード

#スペースシップワールド #猟書家 #猟書家の侵攻 #ペンギアット・ペンギゲイザー #リゾートシップ #ブラックタール

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 スペースシップワールドにもたらされたワープドライブ。
 その普及に伴い、リゾートシップを訪れる客はますます増えていた。
 しかしリゾートシップは1つではない。
 その中で、多くの客に来てもらおうと、様々な策が考えられていて。
「やはり、ハロウィンか……」
「近年、猟兵達のおかげで浸透してきて盛り上がってきているという」
「仮装というのも華やかだからな。目を惹くだろう」
 ウィリアム号の名を持つリゾート船では、その行事に乗っかってきた。
「猟兵達を真似るのなら、パレードだろうか」
「そうだな。だが、本来のトリック・オア・トリートも面白い」
「じゃあ、会場を街のようにして、大通りでパレード、脇道でお菓子が貰えるようにしてみたらどうだろう」
「仮装を自慢したい人は大通りへ、ってことか」
「パレードだけじゃなく、大道芸みたいになってもいいな」
「脇道の家は、尋ねられるように玄関をちゃんと造ろう」
「お菓子が貰える目印は、ジャック・オー・ランタンがいい」
 ハロウィンが、楽しい遊び要素のある行事だから、という理由もあるが。
 話し合うスタッフ達の脳裏には、猟兵という広告塔の存在があったから。
「パレードに猟兵が紛れているかも!? って謳うのはどうだ?」
「キャッチフレーズを、猟兵と一緒にトリック・オア・トリート! にしたりは?」
 ちょっと邪道な宣伝を考えつつ、企画はどんどん進んでいった。

「もう猟兵のというより、あのペンギンのために企画してるんじゃないかと思うね」
 肩を竦めた九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、集まった猟兵達に、慣れた様子で話し始めた。
 猟兵のイベントを流用した企画がリゾートシップで行われるのはよくあることだが。
 やっぱり今回も観光客にウケて、そこそこの集客に成功した『ウィリアム号』。しかしそこにまた、呼んでもいない猟書家幹部『ペンギアット・ペンギゲイザー』が現れてしまうのだとか。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは、スペースシップワールドを狙うオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』が目論んでいる『帝国継承軍の誕生』を実現すべく行動している者の1人であり。ウィリアム号を、集まった観光客ごと帝国継承軍のものにしようと襲ってくる……はずなのだが。
 このペンギン、銀河皇帝ペンギンを名乗るゆえの誇り高さなのか何なのか、競い合うものを見ると、その勝負に乗ってしまうのだという。
 その性格故か、ウィリアム号のハロウィンはただのパレードとお遊びイベントなのに、お菓子の多さで優劣を競うコンテストだと勘違いしたらしく。
 なんやかんや参加してしまうらしい。
 ペンギン、仮装しなくていいですもんね。
「いつも通り、皆の仮装でペンギンの気を惹いて、客が逃げる時間を稼いでおくれ」
 まかりなりにも観光客を安全に楽しませるためのリゾートシップ。スタッフは揃いも揃って優秀だから、客の避難誘導は任せて大丈夫だという。特に、隠密行動に長けたブラックタールのスタッフ達が、こっそり大活躍してくれるだろう。
 だから、猟兵の役目は、会場をうろうろしているペンギンを引き付けておくこと。
 そして。
「客の避難が終わった頃にペンギンが作戦失敗を悟るのもいつものことだ。
 相も変わらず逃げ出そうとするから、今回も適当に倒しておくれ」
 いつもの流れを説明し、夏梅は肩を竦める。
 ちなみに、ウィリアム号はどこか古びた西洋風の街並みを作り出していて。大通りに並ぶ店や家は、壁に描かれた模様だけれども、ちょこちょこある脇道の民家はちゃんと玄関が開けられる造りになっているらしい。ハロウィンの定番装飾であるジャック・オー・ランタンが掲げられたその玄関を訪問し、もしくは玄関前に立っている家人役のスタッフに、お決まりの文言を告げれば、お菓子が貰えるのだという。
 大通りでパレードをしたり、仮装をアピールしてもよし。
 脇道の家々を回ってお菓子を集めるもよし。
 逆にお菓子を配って歩いてしまってもいいかもしれない!?
「まあ、定番なハロウィンの楽しみ方は、大体できると思うよ。
 好きなように街を歩いてみるといい」
 そして夏梅は楽しそうに笑い、猟兵達を送り出した。


佐和
 こんにちは。サワです。
 これでイラスト系イベント全制覇なペンギンですよ。

 ウィリアム号は、ハロウィンに盛り上がる西洋風の街を再現しています。
 大通りと入り組んだ脇道とで構成されており、行き止まりはありません。
 それぞれの道の特徴はOPの通り。

 第1章は、仮装を見せびらかしたりお菓子を集めたりできます。
 仮装はイラスト指定OKですが、複数の仮装をお持ちの方などは、どれにするか明記をお願いします。記載ない場合は最新の南瓜行列SDを参考にします。
 アピールポイントがあれば、ぜひぜひプレイングでどうぞ。
 尚、イラストなしで仮装を指定いただくのも大丈夫です。
 また、仮装しないで参加も可能です。仮装していない旨を明記してください。

 仮装の有無に関わらず猟兵は皆の注目の的なので、ペンギアット・ペンギゲイザーが片っ端から絡んできますが、適当にあしらっておけばいいです。
 反応しないで無視しても可。
 勝手に猟兵と張り合っているその間に、察したスタッフがこっそりと観光客を逃がしてくれます。退避に関しての指示は不要です。

 第2章は猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』とのボス戦です。
 観光客達が誰もいなくなっていることにやっと気付いて、基本的には大通りを使ってそそくさと逃げだします。
 次々と悪戯してやってください。トリック・オア・トリート。
 お菓子を配るスタッフが残っていますが、ペンギアット・ペンギゲイザーは、スタッフを人質にしたりはしないようです。わあ都合がいい。

 スタッフは頼めば猟兵に協力してくれます。
 もちろん戦ったり危険なことはできませんが、何かあればご指定ください。

 それでは、ペンギンパレードを、どうぞ。
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第1章 冒険 『猟書家とコンテスト!?』

POW   :    肉体的な魅力でコンテスト勝負!

SPD   :    テクニックでコンテスト勝負!

WIZ   :    知恵を活かしてコンテスト勝負!

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マシュマローネ・アラモード
◎アドリブOKです

👗仮装は本物のお姫様と参りましょう。
本当のオバケが混じるのも一興ですわ!

行列に参加しながら、お菓子をいただいていけば、件のペンギンさんがいらっしゃるのですね?
そうですわね、お菓子の数を競うのですわね?
望むところですわ、さぁ数を数えましょう。

……途中で闘気の吹き飛ばしでお菓子を吹き飛ばして、「まぁ大変、急いで集めにいきますわ!」とペンギンさんと一緒に自然に集めに時間を稼ぎましょう。
その間に観光客の避難をしていただければ、作戦は成功ですわね?
ペンギンさん、騙してごめんあそばせ。
ですが、無視するわけにも参りませんから。



「モワ! ラモード星第十二皇女マシュマローネ・アラモードですわ!」
 マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)の名乗りに、対面した相手はぱちくりと目を瞬かせた。
 西洋風の街並みの、ちょっと細い脇道にある家の玄関前。
 立っていた住民らしきおばさんは、何かが沢山入った籠を片手に立っていて。
 目の前に立つマシュマローネをまた見やる。
 皇女と名乗ったその通り、お姫様なドレスに身を包んだマシュマローネは、実際はハロウィンの仮装をした姿で。本来のラモード王族としての正装ではなく、瞳の色に合わせた青色の、物語の中に出てくるようなベルラインのロマンチックなプリンセスドレス。
 でも、慣れた所作が、元々の縦ロールな銀髪がドレスと合わさると、とても仮装とは思えぬ自然な美しさを作り出していたから。
 おばさんがどうしたものかと固まるのも無理もない。
 その様子にようやく気付いたマシュマローネは、はっとして。
「モワ、間違えましたわ。トリック・オア・トリート、ですわね?」
 決まり文句を口にすれば、おばさんはほっとしたように、籠からカボチャを模した瓶に入ったオレンジ色の飴を取り出し、マシュマローネへ差し出した。
「ハッピーハロウィン」
「ありがとうございますですわ」
 お姫様らしく礼をして受け取るマシュマローネ。
 そこから数歩下がり、もう一度おばさんに礼を送ってから、隣の家へ。
 今度は間違えないように、しっかりと決まり文句を口にして。受け取ったのは、可愛らしい袋に入った黒猫の形のクッキー。
 ハロウィンらしく、どんどんお菓子を手に入れていくマシュマローネだったが。
 その狙いは、ハロウィンを楽しむ事、だけではなく。
(「こうしてお菓子をいただいていけば……」)
「むっ。貴様も菓子集めコンテストに参加しておるのか!?」
「モワ!」
 尊大な声に振り向けば、そこには王冠とマントを身に着け、もふっとしたペンギンが。じゃなかった『ペンギアット・ペンギゲイザー』が、短い手で頑張ってお菓子を抱えてふんぞり返っていた。
(「これが件のペンギンさんですのね。おびき寄せ成功ですわ」)
 狙い通りにオブリビオンの気を惹けたことに、マシュマローネは内心喜んで。
 でもそんな素振りを見せずに、とりあえず問いかけに問い返してみる。
「菓子集めコンテスト、ですの?」
「我は銀河皇帝ペンギンであるぞ。
 このリゾートシップで行われていることなど、お見通しである。
 より多くの者に自らの姿を見せつけ、得られた菓子の数で人気を競うコンテスト……
 それこそが『はろうぃん』というものなのであろう!?」
 堂々と、間違った認識を説くペンギアット・ペンギゲイザー。
 しかしマシュマローネはその勘違いを解くことなく。
「そうですわね。お菓子の数を競うのですわね?」
 むしろ肯定の頷きを見せ。
「貴様もそれなりに菓子を得ているようだな。であるならば、勝負である!」
「モワ、望むところですわ。さぁ、数を数えましょう」
 持っていたお菓子を見せ合うように促した。
 そして、ペンギアット・ペンギゲイザーが、その短い手でお菓子を見せようとし、数え始めたがために、保持する力が少し弱まったところで。
 マシュマローネはラモード王家の王の気魄を籠め、吹き飛ばし力による一撃を放った。
 途端、散らばるお菓子たち。ついでに転がるペンギアット・ペンギゲイザー。
「まぁ大変、急いで集めにいきますわ!」
 しれっと慌てて見せながら、マシュマローネはお菓子を追いかけ。
 拾うと見せかけてまた散らばせたりして時間を稼ぐ。
 そう、こうしてペンギアット・ペンギゲイザーを引きつけている間に、リゾートシップのスタッフ達が一般の観光客を逃がしてくれているはずだから。
(「ペンギンさん、騙してごめんあそばせ」)
 こっそり胸中で謝りながらも、作戦の成功を感じて。
(「人々を襲うと知って、無視するわけにも参りませんから」)
「モワ、あちらにもお菓子が!」
 マシュマローネはお菓子でペンギアット・ペンギゲイザーを翻弄していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
またあのもふもふ雛ペンギンさんがいらっしゃるんですね。また触らせていただけるかしら?

仮装はええとアース系の世界で言うところの「姫騎士」「戦乙女」(今年の南瓜行列イラスト参照)と言ったところでしょうか。
でもこれは仮装というほどの物でもないと思っているのですよね。
普段戦いに赴く格好(白のシャツに青のコート)の日本刀を西洋剣にして、さらに見合った服装にごつめのガントレットやグリーブを付けただけなので。
普段の服装に近いので動きにくさもありませんし、急でしたがお願いして正解でしたね。
それになんだか物語の登場人物になったようでわくわくします。

お菓子を頂きましたらお返しにクッキーをお渡ししましょう。



 賑やかなパレードの中を、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は粛々と歩いていた。
 その服装は、ドレスのようだけれども。袖のない、ホルターネックの首回りから腰元までの上着やベルトは、しっかりとした頑丈な作りになっていて。右腕にはごつめのガントレット、左肩から左腕も西洋甲冑を思わせる金属鎧に覆われて。両足もまたしかり。
 大き目のフリルの揺れるゆったりしたスカートが薄い青と濃い青とで二重に重ねられていたり、首元のつけ襟や大きく結んだ青いリボンが華やかだったり。鎧部分も機能美を魅せ、輝きを抑えた金色が堅実な美しさを醸し出しているから。
 西洋剣を携えた姫騎士。もしくは、戦乙女。
 そう言い表せるような見事な仮装だった。
 だがしかし、星々が連なる銀河のような髪を、長くさらりと揺らす藍は。
 後ろ頭に青いリボンを華やかに揺らしながらも、宙色の瞳は淡々としていて。
(「こんな格好でよかったのでしょうか」)
 少し自信なさげに、自身を見下ろす。
(「これは仮装というほどのものではないと思うのですが……」)
 普段、戦いに赴く時、藍は白いシャツに青いロングコートを着ている。
 ドレスの上着はそのシャツと似たデザインだし、ふんわり広がるスカートはロングコートの裾と感覚が同じで。
 手にした西洋剣も、普段日本刀を持っているとさほど違和感がない。
 ガントレットやらグリーブやら、甲冑部分はさすがに普段付けているものではないけれど、とても動きやすく作ってもらえていたから。
 藍としては、普段の服装に近い感覚で。それゆえに仮装だという意識が薄かった。
 だがしかし。
 藍の着心地がどうであろうと、その装いは立派な姫騎士。
 そしてそこに、どこか物静かで凛とした藍の佇まいが加われば。
「見て見て、あの猟兵さん。かっこいい!」
「あれは凛々しいって言うべきじゃない?」
「どっちにしろ綺麗ー」
「あーん。あんな騎士様に守られたーい」
 パレードを見ていた観光客からの評判は上々のようです。
 本人達としては潜めているつもりの会話は、しっかり藍に届いていていたから。
 賞賛されるうちに、だんだん、藍の気分も変わってくる。
(「急でしたが、お願いして正解でしたね」)
 とてもいい仮装を仕立ててもらえたと、静かな喜びを胸に抱いて。
(「なんだか物語の登場人物になったようでわくわくします」)
 だんだん姫騎士な気分にもなってきて。
 西洋剣を振ってみせれば、観光客からの歓声が上がった。
「やっぱりかっこいい! 凛々しい!」
「お姉さまー!」
 と、パレードで盛り上がる大通りに、脇道から転がるように飛び出してきたのは『ペンギアット・ペンギゲイザー』。
 吹き飛ばされたお菓子を追って、パレードに突っ込んだペンギンは、ちょうど藍のすぐ前で足を止め、きょろきょろと辺りを見回し。
「む? これは何の行列であるか?」
 疑問符を浮かべた円らな瞳が、見下ろす藍の宙色とぶつかった。 
「……またあのもふもふ雛ペンギンさんがいらっしゃると聞いて、私は来たのです」
「何の話であるか? 其方なぞ知らんぞ」
 ぽつりと呟くように零した藍の言葉に、ペンギアット・ペンギゲイザーは訝し気に首を傾げる。どこが首だかよく分からないけれど、多分。
 ――藍はこれまでに幾度か、ペンギアット・ペンギゲイザーと対峙していた。
 だが、ペンギアット・ペンギゲイザーはオブリビオン。対峙する度に猟兵に倒され、骸の海へと還って行き、そして再び蘇った時には別の存在となっているから。
 このペンギアット・ペンギゲイザーは、藍とは初対面となる。
 しかし、ペンギアット・ペンギゲイザーが覚えていようがいまいが、藍はちゃんと覚えていた。
 あの、コウテイペンギンの雛のように灰色で、もふもふな毛を。
「また触らせていただけるかしら?」
「だから何の話……って許可する前から触るでない!」
「ふふ。やっぱりもふもふです」
「やめんか無礼者!」
「お返しにクッキーをお渡ししますから」
「む、菓子か。我のコンテスト勝利のためにそれは貰うが……」
「もふもふ、素敵です」
「だから我をもふるのはやめよ!」
 短い手をぶんぶん振りながら抵抗するペンギアット・ペンギゲイザーだが、藍のもふもふ好きの前に成すすべはなく。
 楚々とした仕草ながらもしっかりともふもふを堪能する繊手に、静かな表情ながらもキラキラした宙色の瞳に、捕えられていく。
 それを見ていた観光客は、冷静な騎士の思いがけない対応に目を丸くして。
「凛々しい姫騎士の意外な一面!」
「ギャップが堪らないわー」
「かっこいいだけじゃなくて可愛いだなんて!」
 でも何だか好評のまま。むしろ評価を上げると。
 そっとスタッフに避難誘導されながらも、ギリギリまで姫騎士とペンギンの交流を眺め愛でていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミカエラ・チャーチ
【壁】
ビキニアーマーに豪奢な毛皮のマントを羽織り、愛用の戦鶴嘴を手に
悪辣で傲慢な勇者の出来上がり!

菊花とバレッタは可愛いの相乗効果
ひばめしはクールなのが猫感あって良い
栴は似合い過ぎでしょ
鷲穂、あんたは……ノリ良過ぎ

皆を引き連れて通りを練り歩く
ペンギンが絡んで来たら受けて立つよ
至近距離でガン飛ばして挑発的に笑ってやって
なァに、あたしのペットになりたいの?
それとも新しいコートの素材に立候補?
菓子が欲しいなら跪いて乞いなよ、三下

子供がいればお菓子を配ってあげようね
宝石みたいな飴やコインのチョコレート
一口菓子を連ねたネックレスの方が良い?

お菓子貰いにも行こう
……あたしが言うと脅してるように聞こえるね?


巣篭・ひばめし
●【壁】普段と同じ格好……ではありません。ほら、猫耳がついておりますでしょう。猫耳付きメイドです。にゃお。●生浦様は執事ですか、ふむ……つけ猫耳の予備がありますが、いかがです。似合いますよきっと。 ●可愛らしいプリーストと魔女、そして馬を連れた勇者……勇者。ミカエラ様のその格好は、勇者なのでしょうか。まぁ他がどうあれ勇ましくさえあれば勇者ですか。ペンギンさん、絡む相手を間違えてしまいましたね。うちの勇者様は見た目に違わず容赦がありませんので。●有難うございますバレッタ様。ひばにゃんは、こう見えてお菓子が好きでして。持ちきれなくなったら言ってください。二個でも三個でも食べられます。


明石・鷲穂
【壁】
猟書家はペンギン?仮装か。似合ってるなぁ!ウチの美人揃いの仮装も似合ってるだろ。
おれは馬の仮装。馬の被り物かぶってミカエラに付き従おうな。ペンギン泣かすなよ~。菓子か悪戯か…迫力あるなぁ。

ひばめしと栴は猫。わかった、ひばにゃんとせんにゃんだな。ふたりともしっかり者代表だから猫耳新鮮だ。よく似合ってるぞ、可愛い。

ちびっこ二人はたくさん菓子集まったか?
どつきは…癒しのどつきなら良いか。 よし菊花行け。おれはどつきは遠慮しておくぞ。バレッタは……背中乗るか?よし、そのちっこいケーキと引き換えだ。

さて、おれも菓子を集めよう。
小腹がすいたからわけてくれ、な?(被り物逆さにしてお菓子つめつめ)


バレッタ・カノン
【壁】今年着た魔女の仮装/魔法はちんぷんかんぷんだけどな
ペンギン可愛い。怖がらせたら可哀そうじゃないか?でも可哀そうなのも、可愛い気がしてきた。何かイタズラしてやろう。トリック&トリートだ。

菊花にくっつかれてちょっとびっくり、やや照れ
一緒に「なー」と言って、くっつき返す

鷲穂は馬…ペガサス?ちょっと乗ってみたい。空腹っぽいしお菓子いくつかで取引だ

執事の栴、いや栴にゃん。新鮮だな
でもいつも着てそうなくらい馴染んでて似合ってる

勇者ミカエラ、私にもお菓子くださいな。裾はもういっぱいだから帽子を入れ物に

ひばにゃん、にゃお(挨拶)お菓子もらった?これあげる
みんなにも(ランダムで超酸っぱいキャンディを配る)


八重垣・菊花
【壁】 2021仮装
元気一杯プリースト

癒すし殴るし全方向にばっちりなプリーストやよ!
これは奇しくもバレッタさんと対を成す感じとちゃう?
バレッタさんの魔法にうちのどつき…とちゃう、癒しパワーで敵も一網打尽ってなもんやよ!なー!
(ご機嫌でバレッタにくっつき)

ミカエラさんはビキニアーマー勇者?お、大人や…!(好き!って顔)
明石さんは馬?え?馬?(二度見した)生浦さんが猫耳執事でひばめしさんが猫耳メイド!執事喫茶とメイド喫茶で一番人気取れそうやぁ…!

悪辣系勇者ハーレムご一行様や…!(何かに気が付いた顔)
うちミカエラさんの右側とーったー!!(杖を振り回しペンギンを威嚇しつつお菓子を集めてハロウィン満喫)


生浦・栴
【壁】
種族特性は仕舞い、巣篭のに合わせ燕尾の執事服、銀盆にクローシュ。
普段と大差は……なるほど?(素で猫耳を受取り付け)
にゃんにゃん並べられると妖怪か何かな気分だな。

山羊のが被り物をすると身長差が開いてしまうな?
菊のとアレスのは一見対でも攻撃が同jいや何でもない。
勇者一行組を見る限り、狼のがハーレムのようにも見えて来る。
(蓋を取れば山盛りになっているお化け意匠の菓子。笑いながら皆に勧め)

ペンギンは毛皮と羽毛、何方がメインか気になって居った。
両方採れるならば面白そうだな?
(どう剥ぐと効率的だろうかと目線を投げ)
残念、逃げたか。

彼方にパイなど腹持ちの良さそうな物が見える。
折角だから足を延ばそうか。



 仮装行列の中を粛々と歩くクラシカル風のメイドが1人。
 ピシッとした姿勢でそのスタイルの良さを伺わせ、また有能さを伝えるような無駄のない動きを見せる巣篭・ひばめし(レディーメイド・f02775)をじっと見つめた生浦・栴(calling・f00276)は。
「普段と大差ないのではないか?」
 見慣れたその姿に首を傾げた。
 確かに、ひばめしは普段から今着ているものと同じメイド服を着ていて。コスプレではなくちゃんとメイドなのだけれども。
「同じではありません」
 いつもと変わらぬ、冷めたような緑色の瞳を栴へ向けると。
「ほら、猫耳がついておりますでしょう。猫耳付きメイドです。にゃお」
 言って少しだけ顔を前に傾け、いつも通りにホワイトブリムを飾った頭部を見せれば。
 そこには、確かにいつもと違い、髪色と同じ金色の猫耳がついていた。
 よく見ると、白いエプロンの端にも猫の足跡がついています。
「ひばにゃん、にゃお」
 淡々とした口調ながらも、猫耳に合わせて挨拶するバレッタ・カノン(バレットガール・f11818)に、ひばめしも、肩の位置に持ち上げた左手を猫の手のように丸めて前に倒しながら、にゃお、とこちらもどこか素っ気ないいつもの口調で返すと。
「クールなのが猫感あって良いよ。ひばめし」
 ミカエラ・チャーチ(幻灯窟の獣・f14223)もにやりと笑って褒め称えた。
 ありがとうございます、と一礼したひばめしは。
「生浦様は執事ですか」
 声をかけてくれたことに応えるように、相手の仮装にも目を向ける。
 その栴は、燕尾の執事服をきっちり着こなし、クローシュで蓋をした銀盆を片手に持って、肯定の頷きを返した。
 ドラゴニアンとしての種族特性たる角やら翼やら尻尾やらはしまって、普通に人間の執事らしく振舞っているのも、仮装といえば仮装か。
「いつも着てそうなくらい馴染んでて似合ってる」
「似合い過ぎでしょ、栴」
 その完成度に、バレッタもミカエラも絶賛する。
「ふむ……」
 けれども、ひばめしはクールな表情ながらもどこか思案気な雰囲気を見せ。
「つけ猫耳の予備がありますが、いかがです。似合いますよきっと」
「なるほど?」
 差し出された黒い猫耳を、栴は疑うことなく素直に受け取り、装着。
「執事の栴……いや栴にゃん」
 バレッタがそんな愛称を思いついて呟けば。
「わかった、ひばにゃんとせんにゃん、だな」
 ぽんっと手を打って納得したのは、明石・鷲穂(真朱の薄・f02320)。
 うんうんと頷く素振りを見せながら、改めて猫耳を眺めて。
「ふたりともしっかり者代表だから猫耳新鮮だ」
「新鮮だな、栴にゃん」
 鷲穂の評価にバレッタのそれも重なった。
 再びひばめしが一礼する横で。
「にゃんにゃん並べられると妖怪か何かな気分だな」
 栴は少し苦笑を見せるけれども。
「執事喫茶とメイド喫茶で一番人気取れそうやぁ……!」
 八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)も琥珀色の瞳を輝かせているし。
「うん。よく似合ってるぞ、可愛い」
 鷲穂も、ひばめしと揃ってとはいえ、嫌味なく素直に褒め称えてくれるから。
 ふっ、と栴は苦笑を微笑に変えて。
 それでもあまり可愛いと言われ続けるのは面映ゆいので。
 矛先を変える意図もそっと込めて、バレッタに紫の瞳を向けた。
「アレスのは魔女か?」
「魔法はちんぷんかんぷんだけどな」
 応えるバレッタは、黒いローブに黒いマント、黒い杖に黒い本、黒い魔女帽子と真っ黒づくめ。しかし、ローブとマントの裏地や、広いつばの帽子の内側は、鮮やかな緑色になっていて。腰紐と、本の黒表紙に描かれた魔法陣も、緑。
 随所に見える鮮やかな色彩が、黒を基調としているがゆえにより映えて。また、魔法という不思議な力を感じさせるような、どこか幻想的な雰囲気を作り出していた。
 それに、星を掴んだようなちょっと武骨な魔法の杖には、白地に青ストライプのリボンが結ばれていて。魔女帽子に大きく飾られた同じ模様のリボンと共に、さり気ない可愛らしさを添えている。
 仮装を見せるように正対してくれたバレッタに、栴は賞賛を込めて頷いて。
「菊のは……」
「元気一杯プリースト!」
 続いて菊花へ視線を向ければ、こちらは十字架型の杖を掲げてウインク1つ。
 黒と見せて黄色も混じる長髪には白いヴェールを被り、頭上にはちょこんとミトラ。先に十字架を飾った小麦色のストールを長く肩から前へ垂らし。胸元にも十字架、そして肩には白いカズラ。白いマントを翻し、緑色のキャソックに重ねた白いサープリスを、宣言通りに元気にふわりと揺らす。
 しかし聖職服とはいえ仮装なので。キャソックもサープリスもどちらかというとドレスのように仕立てられているし。十字架だけでなく、菊の花模様も随所にちりばめられているし。何より、白い長手袋だけで覆われた両腕は、とても動かしやすそうだったから。
「癒すし殴るし全方向にばっちりなプリーストやよ!」
 ちょっと元気過ぎて物騒な感じになっております。
 そしてアピールを終えた菊花は、バレッタを見てハッとして。
「これは奇しくもバレッタさんと対を成す感じとちゃう?」
 黒い魔法使いと白い僧侶を交互に見て、ぱあっと表情を輝かせた。
 でも、菊花は殴るとか言ってるし、バレッタも魔法の杖の持ち方がどちらかというと鈍器を持つそれに近かったから。
「一見対でも攻撃が同……いや何でもない」
 思った指摘を、栴は寸でのところで打ち消す。処世術ですね。
 その様子に気付かなかったのか、菊花はバレッタに近付いて。
「バレッタさんの魔法にうちのどつき……とちゃう、癒しパワーで敵も一網打尽ってなもんやよ! なー!」
「なー」
 ご機嫌にくっつけば、バレッタはちょっとびっくりして少し照れながらも、応えてそっとくっつき返した。
「可愛いの相乗効果ね」
 うんうん、と頷くミカエラに。
「どつきは……癒しのどつきなら良い、か?」
 鷲穂が悩まし気な声を上げると。
「では山羊のが体験してみるといい」
 しれっと栴が標的として差し出そうとしてくるから。
 鷲穂は、よし、と覚悟を決めて。
「菊花行け。おれはどつきは遠慮しておくぞ」
「にゃお」
 ひばめしを指し示した。
 そのやり取りの行く末を見届ける前に、栴は続いてミカエラへと視線を反らし。
「狼の?」
「あたしは勇者さ!」
 短く促せば、ミカエラが愛用の『Devourer』を手にポーズを取った。
 見事なプロポーションを魅せるビキニアーマーの上に豪華な毛皮のマントを羽織って、漆黒の戦鶴嘴をギラリと煌めかせるその姿は、目を惹く美しさで。
「ビキニアーマー勇者? お、大人や……!」
 まだ少女の菊花が憧れるような視線を向けるけれども。
「ミカエラ様のその格好は、勇者なのでしょうか」
 正義や高潔といった印象とは真逆とも思える、ダークヒーロー的な印象に、ひばめしが淡々と首を傾げ。
「まぁ、他がどうあれ勇ましくさえあれば勇者ですか」
 しかしそのまま1人で納得し。
「おれは、そんな悪辣で傲慢な勇者の馬だ!」
 そして、勇者らしからぬ単語を並べて、鷲穂がミカエラの隣に立った。
 キマイラである鷲穂は、上半身こそ人間だが、馬の胴体に鹿の足、山羊の蹄、背にイヌワシの翼、頭部にはアイベックスの角を持ち。そのままでも仮装大会な外見をしている。
 だが今は、ちょっと荒い馬の被り物を頭にかぶっていて。
「明石さんは馬? え? 馬?」
 その本体よりもお粗末な仮装に、菊花が思わず二度見する。
「鷲穂、あんたは……」
 ミカエラも、自身への酷い評価も併せて、頭を抱えて見せる。が。
「ノリ良過ぎ」
 上げた顔には、にっとワルい笑みが浮かんでいました。
「馬……ペガサス? ちょっと乗ってみたい」
 バレッタは、クールな表情のままながらも、どこかそわそわした様子。ちらっちらっと持っていたお菓子を見せれば。
「よし、そのちっこいケーキと引き換えだ」
 意図を察した鷲穂が、取引に応じてその背を乗りやすいように向けてくれる。
 魔女の乗った馬を、栴は見上げて。
「山羊のが被り物をすると身長差が開いてしまうな?」
 元々大柄な鷲穂の、頭の上に馬の被り物の頭がある状況だから。
 いつもより高い位置にある、無機質なプラスチックの馬の目を見て苦笑した。
「しかし、勇者に馬、プリーストに魔女にメイドか……
 勇者一行組を見る限り、狼のがハーレムのようにも見えて来る」
 そして改めて皆を見やり、そんなことを口にすれば。
「悪辣系勇者ハーレム御一行様や……!」
 何かに気付いた顔をした菊花が、ミカエラへとバッと振り返り。
「うちミカエラさんの右側とーったー!」
 その右腕に抱き着くような勢いで位置取るプリースト。
 馬な鷲穂は勇者の後ろに侍り、メイドなひばめしは静々と後からついて行くから。
「わたしが左側?」
 鷲穂の背から降りた魔女なバレッタは、菊花と逆側に立ち。
 それでは、と栴も執事らしく、メイドの隣に並ぶことにする。
 ……確かに、ミカエラのハーレムのような雰囲気ですね。女性ですけど。
 そんな華やかな勇者御一行は人々の目を惹いて。
 となれば、もふられ地獄から逃げ出してきた『ペンギアット・ペンギゲイザー』にも目を付けられることになるわけで。
「むむ。勇者であるか。
 なれば、この銀河皇帝ペンギンへ傅くがよい!」
 御一行の前に立ちはだかると、勝手なことを言って胸をもっふり張るけれども。
「おお。ペンギン? 仮装か。似合ってるなぁ!」
 王冠も赤いマントも、鷲穂には仮装と受け取られ。
「ウチの美人揃いの仮装も似合ってるだろ」
 命令をスルーして、勇者であるミカエラを指し示す。
 その動きに誘導され、ミカエラを見上げたペンギアット・ペンギゲイザーは。
「なァに、あたしのペットになりたいの?」
 ガン飛ばして挑発的に笑う勇者に、ビクッと身体を震わせた。
「それとも新しいコートの素材に立候補?」
 ミカエラは上半身を倒すようにしてペンギアット・ペンギゲイザーに顔を近づけ、赤く塗られた爪が彩る美しい指で、そのもふもふをツンッと突く。
「ペンギンは毛皮と羽毛、何方がメインか気になって居った。
 両方採れるならば面白そうだな?」
 その後ろから、栴が、どう剝ぐと効率的だろうかと作業を想定して観察するような視線を投げ。
「ペンギンさん、絡む相手を間違えてしまいましたね。
 うちの勇者様は見た目に違わず容赦がありませんので」
 そしてひばめしが、ミカエラを止める素振りすら見せずに静かに告げる。
 思わず後ずさるペンギアット・ペンギゲイザーに、菊花は杖をいつでも振り回せるように構えて見せ。
 そしてミカエラは上半身を起こし、上から冷たく見下ろすと。
「菓子が欲しいなら跪いて乞いなよ、三下」
 低めの声で脅す。
 その直後、ペンギアット・ペンギゲイザーのすぐ傍で、パンッと響く破裂音。
 それは、こっそり横に回り込んでいたバレッタが、膨らませた紙袋を叩いて割った、ただそれだけの音だったのだけれども。
「ひいあっ!?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーは妙な悲鳴を上げて飛び上がると。
 一目散に逃げ出した。
「残念、逃げたか」
 本当に毛皮や羽毛を手に入れようとしていたかのような呟きを零す栴。
 ふんっ、とミカエラが美しく長い赤色の髪をかき上げ。
 菊花が杖を掲げて勝利を喜ぶような仕草を見せ。
 ひばめしが見送るように礼を送る。
「ペンギン泣かすなよ~」
 鷲穂だけがペンギアット・ペンギゲイザー寄りとも取れる発言をするけれども、どこか呆れたような、仕方ないと諦めているかのような声色だった。
「ペンギン可愛い」
 そしてバレッタは、遠ざかっていくもふもふな後ろ姿をじっと見送って。
「可哀そうなのも、可愛い」
 思った通り、と仕掛けたイタズラの成果に満足したように頷き。
 ふと視線を流すと、恐る恐るこちらを見ている子供達が、いた。
 一般のパレード参加者だろうか、マントや帽子で簡単な仮装をした子供達は、ペンギアット・ペンギゲイザーとのやり取りにちょっと怯えているようだったから。
 バレッタはミカエラをつんつんとつつき、子供達を指し示して教えてあげる。
 ああ、とミカエラはすぐにちょっとイタズラめいた、でも先ほどと比べたら全然怖くない笑みを浮かべると。
「さあ、子供にはお菓子だ。どれがいい?」
 宝石みたいな飴や、コインのチョコレート、一口菓子を連ねたネックレスなど、様々なお菓子を取り出して配り始め。
「こちらもどうだ?」
 栴は、銀盆にかぶせてあったクローシュを芝居がかった仕草で外す。
 そこに現れたのは、お化け意匠の菓子の山。
 笑いながら勧めると、子供達の手が次々と伸びてきた。
「勇者ミカエラ、私にもお菓子くださいな」
 気付けば、バレッタも貰う側に混じっていて。
 魔女なローブの裾を持ち上げ、そこにお菓子を受け止めていく。
 菊花も、どんどんお菓子を集めて。
「ちびっこ2人はたくさん菓子集まったか?」
 鷲穂の問いには、バレッタと菊花が抱えたお菓子が示された。
「ひばにゃん、お菓子もらった? これあげる」
 そしてバレッタは、メイドらしく一歩引いていたひばめしに気付いて。
 招くように差し出すのは、バレッタ自身が用意してきたキャンディ。
「有難うございますバレッタ様」
 恭しく受け取ったひばめしは。
「ひばにゃんは、こう見えてお菓子が好きでして。
 持ちきれなくなったら言ってください。二個でも三個でも食べられます」
 早速口の中でキャンディを転がしながら、空になった手を差し出した。
「おれにも小腹が空いたから分けてくれ、な?」
 それに便乗するように、鷲穂もバレッタに声をかけ。
 女性陣と違ってスカートもないし、入れ物入れ物……と探すと。馬の被り物を脱いで逆さにして、即席バケツの出来上がり。
 もう仮装じゃなくなったことを気にもせずに、鷲穂はキャンディを貰って。
 それじゃおれも、とそのうちの1つを口にする。
「!? すっぱ……っ!?」
 バレッタのキャンディには、ランダムで超すっぱいものが含まれていました。
「お菓子貰いにも行こう」
 配るお菓子がなくなってきた頃、ミカエラは脇道をくいっと指差して。
「トリック・オア・トリート!
 ……あたしが言うと脅してるように聞こえるね?」
「菓子か悪戯か……迫力あるなぁ」
 決まり文句を言ってみたミカエラに、鷲穂も一緒に苦笑する。
「折角だから足を延ばそうか」
 栴も、脇道から来た観光客が、パイなど腹持ちの良さそうな物を持っているのに気付いて、それならと乗り気になり。
 スカートがいっぱいになったバレッタは、鷲穂に倣ってか、魔女帽子を脱いで逆さに持つと、これでよしとばかりにこくんと頷く。
 ひばめしの手は、宣言通り、というか宣言以上に食べられて空になっているから。
 それぞれ準備万端な様子を眺めた菊花は。
「さあトリック・オア・トリートやー!」
 勇者御一行を導くように、十字架な杖で脇道をびしっと指した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、アヒルさん誰もいないですよね?
特にあのペンギンさんはいませんよね?
今回は絶対にあのペンギンさんに見つかる訳にはいきませんよ。
どうしてって、今日はいつもの格好ですし、あの仮装は絶対にする訳にはいきません。
というよりも、アレは絶対仮装じゃないですって。
ふえ?興味があるって、アヒルさんは知っている……。
ふええ?!なんでベンギンさんがここにいるんですか?
今日は生着替えも仮装もどっちもしませんからー。
生着替えをしたことがあるのかって、そんなのあるわけないじゃないですかー。
ふええええー。



 大通りに比べれば静かな脇道の1つで。
 そっと隠れるようにして、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)はビクビクしながら辺りを伺っていた。
「ふええ、アヒルさん誰もいないですよね?
 特にあのペンギンさんはいませんよね?」
 いつも一緒のアヒルちゃん型のガジェットにも聞きながら、大通りの方を見たり脇道の奥を見たり、おどおどと赤い瞳が忙しなく動き。
「今回は絶対にあのペンギンさんに見つかる訳にはいきませんよ」
 決意を込めての呟きに、ガジェットがガアと鳴いた。
「どうして、って……今日はいつもの格好ですし」
 ガジェットの疑問符に、フリルは自身の姿を見下ろす。
 花の刺繍をあしらった袖のない白いブラウスに、ふんわりした青いスカート。白い長靴下に青い靴。ゆるいウェーブのかかった長い銀髪の伸びる頭には、広いつばと大きなリボンが特徴的な青い帽子を被っていて。高原のお嬢様風な装いは、フリルにとても似合っているけれど。
 これは自身で言った通り、普段と同じ服装で。
 ハロウィンなイベントなのに、フリルは仮装をしていなかった。
「あの仮装は絶対にする訳にはいきません。
 というよりも、アレは絶対仮装じゃないですって」
 そこまで言う今年の南瓜行列でのフリルの仮装は、アルカディア争奪戦で戦った『大天使エンケロニエル』を基にしたもの。
 つまりは、全裸天使その2なわけで。
 仮装というより全裸です。
 ちなみに、南瓜行列ではガジェットがいい感じに身体を隠してくれてました。
 しかしこんなパレードイベントでは、ガジェットのガードも心許ないフリルなので。
 いつもの服装でリゾートシップに来たわけだけれども。
「そこまで言う仮装であるならば、どんなものか興味があるな」
「ふえ? 興味があるって、アヒルさんは知っているじゃ……」
 聞こえた声に思わず答えかけてから。
 ようやく気付く。
 その声が、ガジェットのものではないことに。
「ふええ!? なんでベンギンさんがここにいるんですか?」
 振り向いたフリルは、そこに佇む猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』を見て、悲鳴のような声を上げ。
 その声にペンギアット・ペンギゲイザーも驚き、慌てる。
「いや、ガンつけてくる怖い勇者から逃げ……ではない、次の菓子を求めてこの道に入ってきただけであるが!?」
「今日は生着替えも仮装もどっちもしませんからー」
「仮装はともかく、生着替えとは何であるか!?
 我はそんな要求はしておらんぞ!?」
 パニックになったフリルに、律儀に言い返すペンギアット・ペンギゲイザー。
 ちなみに、フリルがいきなり『生着替え』とか言い出したのはちゃんと理由があって。
 かつて水着コンテストが行われたリゾートシップで、今回のようにいつもの服装で参加したフリルに、ペンギアット・ペンギゲイザーが生着替えでもなんでもして水着になれと要求したことを未だに覚えているからなのだが。
 ペンギアット・ペンギゲイザーはオブリビオン。
 姿形は同じでも、今対峙しているペンギアット・ペンギゲイザーと水着コンテストの時のペンギアット・ペンギゲイザーは別人であり、記憶も共有されていないから。
 今のペンギアット・ペンギゲイザーにとっては言いがかりのようなもの。
 というより、突拍子もない話題になる。
 ので。
「貴様は生着替えをしたことがあるというのか?」
「そんなのあるわけないじゃないですかー」
「では何故生着替えなどと言い出すのだ!?」
「ふええええー」
 混乱の末に、フリルは泣きながら逃げ出したのだった。
 ガア。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

ハロウィン衣装は今年に仕立てたたまこ(飼い鶏)モチーフの白ワンピ(ひよこ付)
どう?たまこっぽい?
くるんと回ってまつりんにお披露目
まつりんはなぁに?
最近少し大人っぽくなった兄だけど、まだ女の子の衣装もよく似合う(ドヤ顔

では女王様、お手をどうぞ
従者っぽくわたしがまつりんをエスコート
いざジャックオーランタンのある家へ
トリック・オア・トリート
お菓子、沢山もらおう

葉物の動きに合わせ歌を歌おう
両手に山盛りお菓子を抱え♪
いたずらしたらお菓子をぱくり♪
楽しいハロウィン♪
もう片方の手…は、空いてないし何故かペンペンがいる
じょ、女王様、どこ…?(あわわ

まつりん、はぐれちゃダメ(涙目


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、はろうぃんだって!

今年のおいらは、女王様だよ。
刃物を持ってるんだよ! え、葉物になってる?
アンちゃんは……そっか、お揃いだねー……そっかー……(目を逸らし)

うむ、くるしうない。
ぺたぺた進む妹の後ろを、しゃなりしゃなりと歩いて。
ときどき、葉物をびゅんびゅん振って、にやりと笑う♪
ふふふー、お菓子が惜しくば、トリックするのじゃ!

あちらの路地で葉物ひゅひゅん♪
こちらの街角で葉物びゅびゅん♪
うむ、大漁大漁ー♪
ね、アンちゃ……あれ?(いない)

しょうがないなあー。
ふわり回って、女王の葉物舞をひとーつ☆(人目を惹く)
あ、いたいた。アンちゃん。

ん? どうしてペンペンと一緒にいるの??



「アンちゃん、はろうぃんだって!」
 双子の妹である木元・杏(アルカイックドヤ顔・f16565)に声をかけながら、木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)は、たたっと先に走り出した。
 大通りで行われていたパレードに、わくわくしながら混じってみれば。
 後を追って来た杏が、じっと祭莉を見つめている。
「まつりんは、なぁに?」
 どこか不思議そうに首を傾げる妹に、兄はにぱっと笑顔を返し。
「今年のおいらは、女王様だよ」
 両腕を大きく広げてその姿を見せた。
 すっきりしたスクエアネックとふんわりパフスリーブ、大きく膨らんだスカート、というデザインは確かに童話やおとぎ話の挿絵でよく見るお姫様や女王様のそれだけれど。
 鳥籠みたいな黒いクリノリンがほとんど剥き出しになっていて。スカートというよりも布を腰に巻き付けただけの状態。それも、赤と黒のチェッカーボード・チェックの布と、エキゾチックな柄を端に添えたオレンジ色の布を重ねていて。紫色の上着と合わせてハロウィンカラーになっている。
 丸見えの足は、黒いホットパンツとガーターベルト、そしてオレンジと水色の太いストライプ柄のロングタイツに覆われていて。履いているのは女王様らしいヒール。
 頭には、王冠にも似たティアラのような髪飾りが光り。胸元には大き目の宝石を輝かせるネックレス。腰の飾りは微妙な表情のジャック・オー・ランタン。
 そして、ちょろっと伸びた後ろ髪を纏めるのはアイビーの葉の飾りで。左手首や腰元、さらにクリノリンにも蔓が巻き付き、葉が揺れていた。
 ドレスとしては奇抜な色とデザインで、ハロウィンらしさ満載の、仮装女王様。
 人狼としての狼耳と狼尻尾がいつも通り生えているので、狼の女王様ですね。
 見せられたその姿に、杏が金瞳をぱちくりとさせると。
「刃物を持ってるんだよ! しゃきん!」
 祭莉はアピールするように、やんちゃっぽく二の腕に包帯が巻かれた右腕を振るい、手に持ったそれでアイビーの葉の飾りを1枚、すぱんっと切り裂いた。
 しかしその『刃物』は、鋭い刃を見せながらも、今切った葉とよく似た意匠を施されていたから。
「はもの……葉物?」
「え、葉物になってる?」
 杏の指摘に、祭莉は『はもの』を改めてまじまじと見つめる。
 ……はい。まごうことなく『葉物』ですね。
 ん? としばし左右に首を傾げていた祭莉だけれども。
 すぐに、まいっか、とまた元気な笑みを浮かべて。
 むしろ仮装と揃いのそれを気に入ったように、ぶんぶん振り回して笑った。
 その、元気で活発な姿を、杏はじっと見つめて。
「まだ女の子の衣装もよく似合う」
 最近、少し大人っぽくなったと思っていた兄のまだまだ変わらぬ魅力に、ドヤ顔を見せていた。
「アンちゃんは?」
「ん。たまこモチーフの白ワンピ」
 今度は妹が兄に問われ、杏はその場でくるりと回り、祭莉にお披露目して見せる。
 ふわふわとスカートを重ねたミニ丈の白いワンピースだけだと、清楚なお洒落着といった印象だけれども。その上に重ねたマントのようなフード付きの白いポンチョが、翼のように羽根を連ねたようなデザインになっていて。さらにフードには、赤い鶏冠と円らな黒瞳、ちょこんと黄色いくちばしもついていた。
 黄色いストライプ柄の靴下も、ポンチョと合わせると鶏の脚のようで。
 胸元の赤いリボンも肉髯に見えてくる。
 ついでにぴよぴよと黄色いひよこも付いてきて。
「どう? たまこっぽい?」
 双子が住んでいる木元村の守り雌鶏の名を出して、杏はぐっと白手袋の手を握り、感想を聞いてみれば。
「うん……そっか、お揃いだねー……そっかー……」
 たまこが半ば天敵になっている祭莉は、ちょっと遠い目をしていました。
「ん。お揃い」
 そんな兄の複雑な表情に気が付かず。たまことお揃い、という評価を言葉通りに受け取った杏は、嬉しそうに頷いてから。
「では女王様、お手をどうぞ」
 従者っぽく手を差し出して、エスコートを申し出る。
 仮装に合わせた女王様扱いに、祭莉はすぐに面白がるように表情を輝かせ。
 いつものように手を握ろうとして、あ、違った、と思い直し。
「うむ、くるしうない」
 祭莉が考える女王様っぽく振舞ってみた。
 いざ、と杏が導く先は、ジャック・オー・ランタンが飾られた家。
 即ち、脇道にある、お菓子を貰える場所。
「トリック・オア・トリート」
「あらあら。ハッピーハロウィン」
 住民に扮したスタッフに合言葉を告げれば、微笑まし気な笑みと共に渡される、クッキーにキャンディにチョコレートといったハロウィンモチーフのお菓子たち。
 祭莉も、ぺたぺた進む杏の後ろを、女王様らしくと思いながら、しゃなりしゃなりと歩いてついていって。
 住民役スタッフの視線に気付くと、その手の葉物をびゅんびゅんと振って見せ。
「ふふふー。お菓子が惜しくば、トリックするのじゃ!」
 八重歯を覗かせにやりと笑う。
 だがしかし、可愛らしい脅し文句と葉物に、むしろお菓子がどんどん集まっていった。
 ゆえに祭莉は、あっちでこっちで葉物を振り回し。
 増えるお菓子にご機嫌な杏は、兄の動きに合わせて歌を歌い出す。
「両手に山盛りお菓子を抱え♪ いたずらしたらお菓子をぱくり♪
 楽しいハロウィン♪」
「あちらの路地で葉物ひゅひゅん♪ こちらの街角で葉物びゅびゅん♪
 うむ、大漁大漁ー♪」
 リズムを合わせて祭莉も歌い。
 双子の歌声が響き広がれば。
 そのパフォーマンスにもまたお菓子が差し出されて。
「ふふ。ハロウィン楽しいね。まつりん」
 片手をお菓子でいっぱいにした杏は、もう片方の手でエスコートしている相手に嬉しそうに振り返り。
「ほほう。献上品が続々と。
 これなら菓子集めコンテストの我の勝利は間違いないであろう」
 やたらとでかい態度でもふもふと頷く『ペンギアット・ペンギゲイザー』を見て、金瞳を見開き固まった。
「じょ、女王様、どこ……?」
「あれ? アンちゃん?」
 その頃、祭莉も杏とはぐれていたことにやっと気が付いていて。
 きょろきょろ辺りを見回すけれど、どうやらこの脇道にはいない模様。
「しょうがないなあー」
 しかし祭莉は慌てず騒がず、にかっと笑うと。
「それじゃ、女王の葉物舞をひとーつ☆」
 ふわり回って衣装を魅せつつ、葉物を今度は踊るように振り回した。
 そうして人目を惹きながら、住民役スタッフからまたお菓子と拍手とをもらいながら、脇道をあちらへこちらへ移動していけば。
 目立つ祭莉はとても見つけやすくなったから。
「あ、いたいた。アンちゃん」
 こちらに向かってくる杏を、祭莉が葉物をぶんぶん振って出迎える。
「ま、まつりん、はぐれちゃダメ」
 あわあわしながら、涙目で、必死に訴える杏。
 どっちがはぐれたのやら、というところではありますが。
 しかし祭莉はそっちよりも、杏がエスコートしている相手に目を向けて。
「ん? どうしてペンペンと一緒にいるの?」
「あ……」
 問われてようやく、杏はペンギアット・ペンギゲイザーの手を引いていたことを思い出していた。
 慌ててふわもふなその手を振りほどくように離すと、今度こそ、と杏は祭莉の手を取って。ほっとした顔を見せる。
 やっぱり、兄といるのが一番落ち着くから。
 いつも一緒の双子は、再会に笑顔を交わし合って。
「よっし。じゃあ次はあっちでお菓子だ!
 ……じゃなかった。ええと……うむ、あちらへ参ろうぞ」
「ん。女王様、参りましょう」
 歌いながら、葉物を振りながら、仲良くまたお菓子集めに戻って行く。
 そんな2人の背中を、勝手に連れ回された挙句に放置されたペンギアット・ペンギゲイザーは、ぽかんとした表情で見送っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冬原・イロハ
エリシャ(f03249)さんと
毛並みもふっくらキメた今年の小悪魔仮装

エリシャさんは猫耳な魔導師さん(ひらり裾舞えば猫足を見つけてトキメキ
きゃあ可愛いです…!
私、今夜はエリシャさんの使い魔になっちゃいます
クッキーをどうぞですにゃあと、クッキー配りのお手伝い!
迷った子がいたら、キャンディケインステッキで導きを(ふりふり振って【失せ物探し】)

あ、なんかコッチが怪しい気配がしますにゃと使い魔っぽくペンギンさんを見つけたらご主人様にご報告!
見つけましたにゃあ!
貴方もご主人様の使い魔(怪人)ににゃるんですか
どっちがたくさんお菓子を配れるか、勝負ですにゃ

(耳打ちにこくり)
お菓子があれば避難先でも安心ですね


エリシャ・パルティエル
イロハ(f10327)と今年の仮装で

待ってたわよ、ペンギン!
…違うのよ
今回もちゃんとリゾート船を助けに来たの

天使なイロハが小悪魔だなんて
可愛すぎる!(きゅん

あたしは猫耳フードの魔導師よ
こんな可愛い使い魔が手伝ってくれるなんて役得ね

お菓子もらうのもいいけど
クッキー焼いて来たから
一緒に配りましょ!
参加者に配ってハロウィン満喫

イロハすごいわ
ペンギン発見ね!

どうせ仮装してないと思って用意しておいたのよ
オペラ座にいそうな怪人よ
マントと仮面をおだてて装着させて…

ほら、あなたもお菓子配ってきなさいと
お菓子入りのバスケット押し付け

イロハに耳打ち
この隙にスタッフが避難させてくれるはずよ
あたしたちも楽しみましょ!



「待ってたわよ、ペンギン!」
 リゾートシップ『ウィリアム号』に乗り込むなり告げたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)に、冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)は大きな藍色の瞳をぱちくりと瞬かせた。
 確かにエリシャは、これまでに『ペンギアット・ペンギゲイザー』が現れたリゾートシップへ何度も赴いている。水着コンテストを再現した『マイム号』に、浴衣コンテストを開いた『リトロスペクト号』、猟兵コレクションを模した『シーナリィ号』……そして今回の、ハロウィンパレードを企画したウィリアム号。
 先ほどの発言も合わせると、エリシャがペンギアット・ペンギゲイザーを追いかけて数多のリゾートシップを訪れているかのようで。銀河皇帝ペンギンの出没を待ちわびていたかのようにも思えたから。
 イロハは不思議そうにエリシャをじっと見て。
 その視線に気付いたエリシャが、ようやく誤解に思い至り、はっとした。
「……違うのよ。今回もちゃんとリゾート船を助けに来たの」
 慌てて、ちょっと言い訳のように弁明すれば。
「そうですね。リゾート船の皆さんをしっかり守りましょう」
 イロハは欠片も疑うことなく、素直で純真な笑みを向けたから。
「イロハってば天使……っ」
 その可愛らしい眩しさに、エリシャは思わず口元を覆った。
 そんな挙動にまたイロハが疑問符を浮かべかけたので。
「ほ、ほら。このリゾート船のために、ちゃんと仮装もして来たしね。
 あたしは、猫耳フードの魔導師よ!」
 エリシャは話題を変えるように、自身の姿を示して見せる。
 緑色の大きなリボンをひらりと飾り、輝く星を抱いた魔導師の杖を掲げるようにポーズを取れば、ローブがふわりと揺れる。いや、それはローブというより、レトロな色合いのプリーツワンピースで。マントもお洒落な重ね着のよう。
 猫耳と大きなボタンの目がついたにゃんこフードは、ポンチョを思わせる程ゆったりとした袖つきの上着と繋がっていて。袖口に、そしてポンチョの裾に、ゆるいひだ飾りがついてふわふわしていた。
 タイツの上のロングブーツは、左右で飾りリボンの色を少し変え。胸元を飾るリボンは杖の物と合わせつつ、エリシャが大切にしていつも付けているイヤリングに似た青い色の石をあしらっていて。細かなお洒落が随所に見える。
「きゃあ可愛いです……!」
 ひらりと舞った上着の裾、裏地の部分にこっそり猫の足形が描かれていたり。フードの猫耳にもエリシャと同じイヤリングが青く煌めいていたり。
 そんな隠し要素みたいな部分も見つけて、イロハはトキメキに胸を高鳴らせた。
 賞賛に、ありがとうとエリシャがスカートを摘まんで一礼し。
 それで、と今度はイロハに金瞳を向けるから。
「私は小悪魔仮装です。毛並みもふっくらにしてもらえました」
 イロハは応えるように、大きいキャンディケインな杖を振って見せた。
 ふわふわ毛並みと同じ白色の上着は、パフスリーブで肩をより丸く可愛く見せて。
 黒いサスペンダーがついたスカートは、カボチャパンツ以上のまん丸さ。紫色に黒いダイヤを大きく並べた模様は、胸元のオレンジ色のリボンと合わせてのハロウィンカラー。
 白いフリルを裾や腰に添え、それと意匠を似せたリストバンドを、両手首と、ケットシーゆえの猫尻尾につけて……これはテールバンドになるのでしょうか。
 そして小悪魔なので、背中には小さなコウモリ羽を広げ。よく見ると猫耳を飾る黒色のリボンにも、黒いコウモリがついています。
「天使なイロハが小悪魔だなんて、可愛すぎる!」
 白猫ゆえに映えるダークカラーに、逆に可愛らしさを感じてエリシャはきゅんとして。
 その頬についた、ダイヤとスペードのトランプ柄にもまた目を奪われる。
 えへへ、とイロハがそっと手を添えた胸のリボンには、イロハにはない色の、黄緑色の石が煌めいていて。その色合いに、また楽しさが増えていた。
 そしてイロハは、魔導師なエリシャの傍にちょこんと寄り添うと。
「私、今夜はエリシャさんの使い魔になっちゃいます」
「こんな可愛い使い魔が手伝ってくれるなんて役得ね」
 即席主従仮装のできあがり。
「お菓子もらうのもいいけど、クッキー焼いて来たから一緒に配りましょ!」
 早速、エリシャはカボチャを模した籠を1つ、イロハに渡して。
 同じ籠を自分も左腕に下げると、パレードを見ていた観光客達へと声をかけ始めた。
 すぐにイロハも後に続いて。
「クッキーをどうぞですにゃあ」
 ケットシーな外見も仮装に見立て、猫らしい演技も添えてお手伝い。
 ふわもふ小悪魔に、主に子供達が群がってくるけれど。
 クッキーに夢中になって、一緒に来た人とはぐれてしまう子がいたりもして。
 イロハはキャンディケインステッキをふりふりして目印になり、迷子が見つかるようにのお手伝いもしていた。
 そんなこんなでハロウィンを満喫している最中。
「あ、なんかコッチが怪しい気配がしますにゃ……」
 ふと、イロハはその存在に気付き。
「ご主人様、見つけましたにゃあ!」
 指し示したのはペンギアット・ペンギゲイザーの姿。
「イロハすごいわ。ペンギン発見ね!」
 横道からぽてぽてと大通りへ現れたその姿は、王冠をかぶり、白いファーのついた赤マントを羽織ってはいたけれども、それは以前エリシャが邂逅した時と同じ姿だったから。
「どうせ仮装してないと思って用意しておいたのよ」
「む!? な、何をする!?」
 エリシャはペンギアット・ペンギゲイザーから赤マントを剥ぎ取ると、黒いシックなマントにつけかえて。
 白い仮面を、お祭りのお面みたいに顔からずらして頭に付けてあげれば。
「オペラ座にいそうな怪人よ。ほら、思った通りよく似合うわ!」
「そ、そうであるか?
 まあ、我の可愛さの前に仮装など本来は不要であるが、そこまで言うのであれば……」
 半ばおだてるエリシャの言葉に、あっさりとのせられて、満更でもない様子を見せるペンギアット・ペンギゲイザー。
 ちなみに、さすがにこれを取ったら普通のペンギンになってしまいそうだからと王冠は被ったままにしてあるので、どこかちぐはぐな仮装になっているのですが。
 エリシャが言わないのでペンギアット・ペンギゲイザーは気付いていない模様。
 さらに、それに気付く前にと、エリシャはイロハに渡したのと同じ、手作りクッキー満載のカボチャ型バスケットを押し付けて。
「あとはこれを持ったら完璧!
 ほら、あなたもお菓子配ってきなさい」
 さらりと命令すれば、さすがにペンギアット・ペンギゲイザーは何か違うと気付き、反論しかけるけれども。
「貴方もご主人様の使い魔ににゃるんですか」
 そこにイロハが純真な瞳でにこにことペンギアット・ペンギゲイザーに話しかけ。
 それならば、と同じ籠を掲げると。
「どっちがたくさんお菓子を配れるか、勝負ですにゃ」
「む。勝負とあれば、受けぬわけにはいくまい!」
 あっさりと挑発に乗って、ペンギン怪人な使い魔はクッキーを配り始めた。
 さっきまでお菓子集めコンテストとか言ってたのに、ちょろいですね。
 その様子に、よかったです、と頷くイロハに、そっとエリシャが近づいて。
「この隙にスタッフが避難させてくれるはずよ」
 こっそり耳打ちすれば。
「お菓子があれば避難先でも安心ですね」
 イロハも頷き返して、笑顔を交わし合い。
「あたしたちも楽しみましょ!」
「はいですにゃっ」
 猫耳な魔導師と、猫小悪魔な使い魔も、またクッキーを配っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
一番大変だったのは、魔力を虹色にすることでした。
そんな訳で今回チャレンジしたのは、真の姿、氷の体を活かした仮装
…なのですが、人々からは「わークリスタリアンだー」くらいのリアクション。ちょっとがっかり。
私の体に触ってもいいですが、とーーーっても冷たいですよ。

ハロウィンといえばお菓子。もしかしなくても、私は配る側でしょう。適当に買って、配って回りましょう
おスシを配ろうかとも思いましたが、子どもたちが帰る間に悪くなってしまってはいけませんからね(ズレてる)

…む。立派で可愛らしくもふもふなペンギンの方。賢い動物でしょうか(すっとぼけ)
王冠にマント、なるほど王様の仮装ですね
なんと、仮装ではなく本物の銀河皇帝なのですか
つまり今は、仮装してないという事ですね?それはいけません。いけませんって事はないですが、いけません

私がメイクアップしてあげましょう。はい、ぎゅーっ
流れるように抱きつきもふもふを堪能しつつ、氷点下の体とあふれる凍気でペンギンを凍らせ、虹色の氷像にしてあげます

きっと大人気ですよ



 パレードの中で一際目を惹いたのは、美しき虹色の輝き。
 それは、真の姿となり、その全身を氷に変えた、氷竜すなわちドラゴニアンのチル・スケイル(氷鱗・f27327)だった。
 服装はいつもの姿と変わらないけれど、氷となった美しい身体を魅せるように、つけ襟のような首回りの装飾を外して肩から胸元を開け。手袋や、脚につけている武装もなくなっている。
 髪は変わらず青いが、ドラゴンの角だけでなく、大きな耳も、広げた翼も、後ろで揺れる尾も、全てが氷になっていて。マントまでもが透き通った素材に変化。そしてさらに、周囲にトランプのダイヤを思わせる細長い8面体の氷結晶を漂わせて。
 動く氷の彫刻、といった仮装に見えた。
 だが、それだけでは虹色の輝きは得られない。
 これこそがチルが一番苦心し、そして力を入れたアピールポイント。
 チルの身体を満たす魔力を、虹色にしたのだ。
 淡く不思議な輝きは、氷となった身体を駆け巡り。透明なそこに美しい七色を添える。
 顔にも胸元にも。腕にも足にも。翼や尾、そしてマントや周囲の氷結晶にまで。
 隅々まで魔力を行き渡らせ、虹色を維持する。
 大変だったからこそ、満足のいく美しさが得られた、とチルは胸を張った。
 だがしかし。
「わー、クリスタリアンだー」
「やっぱり宝石の輝きって綺麗よねー」
 パレードを眺める観光客から聞こえてきたのは、予想外に落ち着いた反応。
 宝石の身体を持つ種族が普通に居るスペースシップワールドだからこその、見慣れたものと同じと思い込んでのリアクション。
 仮装を見せに来た世界の選択がちょっと悪かったですかね。
 努力に見合わぬ平坦な評価に、チルはがっかりしつつも。
 それでも、綺麗と目を輝かせてくれる子供を見つけて。
「触ってみますか?」
 おいでおいで、と手招いてみる。
「とーっても冷たいですよ」
 うずうずしていた子供は、チルの誘いに飛んできて。
 でもちょっと遠慮気味に差し出された手を触ってみる。
「わっ、冷たい!」
「ええ。氷ですから」
 予想通りに驚いてくれた子供に、にっこり笑いかけながら説明すれば。
「えっ!? こおりなの!?」
「氷のクリスタリアンなんていたっけ!?」
「氷は宝石じゃないってば! ってことは、クリスタリアンじゃないの!?」
「すごーい。虹色の氷なんだー!」
 子供との会話を聞いていた周囲の人達にざわめきが起こり。
「私も触ってみていいですか?」
「あっ、私も触ってみたい!」
 冷たく綺麗なチルに次々と手が伸ばされて。
 ようやく、感激と感動の渦が巻き起こった。
 盛り上がる周囲にできる限り応じながら、チルも満足気に微笑んで。
 ああ、と思い出して子供たちに虹色の飴を差し出す。
「ハロウィンといえばお菓子ですよね」
 適当に買って来たそれを、自分は配る側だと認識していたチルは配り回り。
「これは氷じゃないんだね」
「冷たくない虹色だ」
 受け取り、にこにこしている人達に、ええ、と頷くと。
「おスシを配ろうかとも思いましたが……
 子どもたちが帰る間に悪くなってしまってはいけませんからね」
「……すし?」
 スシ好きゆえのどこかズレた思考に、首を傾げられていることにも気付かず。
 チルは虹色を振り撒いていった。
 そうしてお菓子を配り歩く者はパレードの中には他にもいて。
 チル以上に輝き目立つ者はさすがにいなかったけれども。勇者御一行や、魔導師と使い魔のコンビなど、様々な仮装をした者達が人だかりを作っている。
 そのうちの1つと遭遇すると、人々の真ん中にいたのは、クッキーをほぼ配り終えたペンギアット・ペンギゲイザーだった。
「……む。立派で可愛らしくもふもふなペンギンの方。賢い動物でしょうか」
 その正体に気付きながらも、すっとぼけて問いかけるチルに。
「誰が動物か!
 我こそは、銀河皇帝ペンギン『ペンギアット・ペンギゲイザー』なるぞ!」
 真面目に言い返してくれる律儀なペンギアット・ペンギゲイザー。
 その格好は、白い仮面を頭につけて、シックな黒いマントを羽織った、どこかのオペラ座にいそうな怪人な仮装だったけれども。黒い頭の上にはちょこんと小さな王冠も乗ったままだったから。
「王冠は皇帝の仮装のようですが、その仮面は怪人のですか?」
 ちょっとちぐはぐな格好にチルが首を傾げると。
 はっと気付いたペンギアット・ペンギゲイザーは、慌ててクッキーが入っていたバスケットと頭の仮面を投げ捨て、黒いマントを乱暴に外すと、白いファーの付いた重厚な赤いマントをばさっと羽織り。短い手で器用に、首元の赤いリボンをきゅっと結んで、元の姿に戻ってみせる。
「仮装ではない! 我は銀河皇帝ペンギンである!」
 ちょっと傾きかけた王冠の位置を直しながら、もふっと胸を張って改めて名乗れば。
「なんと、仮装ではなく本物の銀河皇帝なのですか」
「その通りである。控えるがよい!」
 納得するチルに、ペンギアット・ペンギゲイザーが満足気にまたもふもふ毛並みの胸を見せつけるように横柄な態度を取った。
 だがしかし。ふむ、と頷いたチルは。
「つまり今は、仮装してないという事ですね?」
 真顔で言い切ると、きょとんとしたペンギアット・ペンギゲイザーをがっしと掴み。
「それはいけません。いけませんって事はないですが、いけません。
 私がメイクアップしてあげましょう。はい、ぎゅーっ」
 流れるように、そのもふもふな身体に抱き着いた。
 じたばた暴れる灰色の柔らかな毛並みをしっかり堪能しつつ。
 抑え込むその腕も胸も氷でできているから。
 氷点下の身体と溢れる凍気がペンギアット・ペンギゲイザーを捉えて。
(「凍れ」)
 ユーベルコード『氷術・凍』でガチガチに凍らせる。
 もちろん、巡らせる魔力はチルの身を輝かせているものと同じ、虹色のものだから。
「わあっ。虹色のペンギン像だ!」
「これ、氷像だよね。きれいー」
 出来上がった作品に、観光客の歓声が上がった。
「思った通り、大人気ですね」
 チルの時よりも遠慮なくぺたぺた触っていく人々の笑顔を見つめて。
 ふっと微笑んでいると。
 そこにさり気なくスタッフが混じり、避難誘導が始まっているのが見えたから。
「ペンギンの氷は一時的なものですから、早めに逃げてくださいね」
 チルも人々を導くように、その虹色の身体でスタッフの動きを助けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ペンギアット・ペンギゲイザー』

POW   :    そこのお前、アレを使って我と勝負するのだ
【銀河皇帝ペンギン直々の指名】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    この船の施設を制する者は、この戦いを制す者である
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【敵味方問わず技能】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ   :    我はのちにこの船を統べることになる者ぞ
敵より【遊びに来ていた観客の人気が高い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……はっ!? 我は一体、何を……」
 気付いた時、猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、王冠に赤マントないつもの格好で、大通りに1人佇んでいた。
 パレードでにぎわっていたそこには、見回しても誰もおらず。
 何だか足元が、氷が溶けたかのように濡れているけれど。
 ただただ、ペンギアット・ペンギゲイザーだけがぽつんとそこにいたから。
「ええと……菓子集めコンテストは……?」
 どこか寂し気に呟き、自信なさ気に俯いたペンギアット・ペンギゲイザーは。
 だがすぐに、がばっと顔を上げるともふもふな胸を張った。
「皆、偉大なる我に恐れをなして逃げ出したか!
 このリゾートシップに集まった者を纏めて我が配下としてやろうと思っていたが……
 まあよい。今回ばかりは見逃してやろうではないか!」
 誰も聞いてないところで偉そうに、自身の行動を正当化するような演説をすると。
 あっさりと踵を返して。
「ふははは。さらばだ!」
 赤いマントを翻し、ペンギアット・ペンギゲイザーは走り出す。
 その逃げ行く先に猟兵達がいることに気付かないまま。
 
フリル・インレアン
ふええ、なんとかペンギンさんから逃げられました……ってなんでベンギンさんがそこにいるんですか?
ふえ?まだ私に気付いていないみたいですね。
でしたら、恋?物語です。
建物や装飾に隠れながらペンギンさんの後ろに近づいて目隠しをしちゃいましょう。
私が誰か分かったら目隠しを外してあげます。
ふええ、なんで生着替えの娘って、覚え方しているんですか。
たしかに名乗ってなかったですけど。
でも、正解なのでトリック・アンド・トリートです。
私が持ってきたお菓子をあげます。
別に毒とか入ってませんから

それにしても、ペンギンさんが猟書家さんじゃなかったらと思ってしまいますね。
なんでこんなことを思ってしまうのでしょうか?



「ふええ、なんとかペンギンさんから逃げられました……」
 走ってきた脇道を振り返ったフリル・インレアン(f19557)は、追いかけてくるような姿がないことにホッと胸を撫でおろす。
 深く息を吸って吐いて。ドキドキしている胸元に何となく手を当てて。
 どうにか息を整えると、くるりと道の先へと視線を戻し。
「……って、なんでベンギンさんがそこにいるんですか?」
 脇道の先に広がる大通りに、猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』が一旦足を止めて辺りを見回している姿を見つけて、悲鳴のような声を上げた。
 だがしかし、ペンギアット・ペンギゲイザーは、きょろきょろ辺りを警戒しながらも、脇道に居るフリルにその視線が止まることはなく。
 また、ガア、と鳴いたガジェットの指摘で、フリルはそのことに気付く。
「ふえ? まだ私に気付いていないみたいですね」
 でしたら、とフリルは建物の陰やハロウィンな装飾に身を隠しながら、そっとペンギアット・ペンギゲイザーの後ろに回り込み。
 気付かれないように近づきながら両手を伸ばすと。
「そろり、そろーり……だ、だーれだ?」
「ぬおっ!?」
 唐突な目隠しに、じたばたするペンギアット・ペンギゲイザー。
 ちなみにこれ、ユーベルコード『背後から忍び寄る少女の悪戯心が齎す恋?物語』だったりします。やたらと命中率の高い目隠しですね。
「私が誰か分かったら目隠しを外してあげます」
 狙い通りの状況を作れたフリルは、分かるまいとそんな問いかけをしたけれども。
 ペンギアット・ペンギゲイザーにはピンときたようで。
「その声は……生着替えの娘!」
「ふええ、なんでそんな覚え方しているんですか!?」
 あっさり正解される展開に、というよりも、妙な呼ばれ方に、フリルは慌てて目隠ししていた手を離し、恥ずかしがるように帽子のつばを引き寄せ顔を隠した。
「いや、貴様の名など知らんゆえに」
「た、たしかに名乗ってなかったですけど、それにしたってその覚え方は……」
 振り返りながら言うペンギアット・ペンギゲイザーに、半ば納得しながらも、半分は不満気に、俯き気味に呟いて。
「でも、正解なのでトリック・アンド・トリートです。
 私が持ってきたお菓子をあげます」
 仕方ないと諦め半分、手作りのお菓子を差し出した。
「献上品とは良い心がけであるな。
 うむ。受け取ってやろうではないか」
 あっさり受け取るペンギアット・ペンギゲイザーに、疑われたら、別に毒とか入ってませんから、というつもりだったフリルはちょっと驚いて。
「ではこの献上品に免じて、娘、貴様は見逃してやろう。
 どこへなりとも行くがよい!」
 なんか勝手なことを言って踵を返し、大通りをまた走り出したペンギアット・ペンギゲイザーの赤マントな背中を、ぽかんと見送ってしまう。
 ぽてぽて走って行くその姿を、フリルは何となく見つめ続けて。
(「ペンギンさんが猟書家さんじゃなかったら……」)
 ふと、浮かんだ思考に。
 けれどもすぐに、フリルは首を傾げて。
「あれ、わたし、なんでこんなことを思ってしまうのでしょうか?」
 疑問符を浮かべながら、また遠ざかる背中を見つめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
相も変わらずの前向き思考ですね。そこは見習いたい所です。……変わらなさ過ぎるのも問題ですが。
変わるのであれば猟書家、オブリビオンとして戻ってくることもないのでしょうが。
変われるのであればいつか雛の姿から大人の姿に変わるのでは?それもそれで可愛らしいですね。
またもふもふしたらさすがにしつこいかしら?でもまだクッキーは残ってますし……だめなら白銀をもふります。こちらの毛並みも負けておりませんし!
あ、一緒にもふもふしたらとても良いのでは?でも腕がまわるかしら?まわらなくいても挟まれるのは良さそうね。試させていただけないかしら?
ね、いかがかしら?



 ぽてぽて逃げ走る猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』の前に、ふわり、と翼持つ銀狼が舞い降りる。
 大きく広がる翼も、すらりと整った身体も、全てが美しい銀色の毛に覆われて。優雅な仕草でゆっくりと首が動くと、青と金のオッドアイが、思わず足を止めたペンギアット・ペンギゲイザーを、穏やかにじっと見下ろした。
 その優美な姿を、ペンギアット・ペンギゲイザーは、ぽかんと見上げて。
「ああ、もふもふ雛ペンギンさん」
 聞こえた声に視線をずらすと、銀狼の背から夜鳥・藍(f32891)が微笑んでいた。
「貴様は、我をもふり倒した無礼な娘!」
「またもふもふしたらさすがにしつこいかしら?」
「だから最初から許可しておらんと言うに!」
「でもまだクッキーは残ってますから」
「菓子を貢いでも駄目なものは駄目である!」
 また短い手をぶんぶん振りながら叫ぶペンギアット・ペンギゲイザー。
 先ほども見た光景のような気がしますが、1つ大きく違うのは、藍が銀狼の背からは降りたものの、ペンギアット・ペンギゲイザーから離れたままで、勝手にもふもふしていないこと。
 そして藍は、銀狼の傍に佇んだまま、ふう、とため息をついて。
「残念です。ならば、白銀をもふります」
 ペンギアット・ペンギゲイザーではなく、翼持つ銀狼『白銀』に抱き着いた。
 自身の身長の倍はある大狼、そのもふもふな銀色の毛並みに顔も身体も埋めて。
 柔らかく温かく素晴らしい感触を、見せつけるように堪能すると。
「こちらの毛並みも負けておりませんし!」
「む……我がその狼に劣ると言うか!?」
 さり気なく挑発するような藍の感想に、あっさりと喰いついてくるペンギアット・ペンギゲイザー。
「一緒にもふもふしたらとても良い……いえ、どちらがよりもふもふか勝負できますね」
「勝負とあれば、受けて立とうではないか!」
 気になるであろう言い回しに変えて、銀狼のもふもふに顔を埋めたまま、ちらりと藍色の瞳を向けると。ペンギアット・ペンギゲイザーが、もふもふな胸を張って、さあもふれと言わんばかりに近付いてきてくれるから。
 藍は一度、銀狼から離れて、今度はペンギアット・ペンギゲイザーと白銀を同時にもふろうと腕を広げ、考える。
「でも腕がまわるかしら? まわらなくても挟まれるのは良さそうね」
 そして結局、同時に抱きしめるのではなく、間に藍が挟まれるような形を選び。
「ふふっ。もふもふです」
「どうだ。我のもふもふの方が勝っておるだろう!
 何しろ我は銀河皇帝ペンギンであるからな!」
 2つのもふもふを堪能した。
(「相も変わらずの前向き思考ですね。そこは見習いたい所です」)
 その間に、ペンギアット・ペンギゲイザーについて、思考を巡らせる藍。
 ――かつての藍は、他人の視線が怖かった。
 猟兵となり、様々な人と出会い関わることで、その恐怖は解消されたけれども。
 まだどこか内気で人見知りな藍は残っているから。
 何度会っても前向きなペンギアット・ペンギゲイザーを少し羨むこともある。
(「……変わらなさ過ぎるのも問題ですが」)
 だがその変化のなさは、猟書家でありオブリビオンであるからこそとも言えるから。
 ペンギアット・ペンギゲイザーが変われるのであれば、骸の海から戻ってくることもないのだろうと思えば。
 変わることを望んでもいいのかもしれないと思ってしまったり。
(「変われるのであればいつか雛の姿から大人の姿に変わるのでは?」)
 銀河皇帝ペンギンを名乗る通り、コウテイペンギンな見た目のペンギアット・ペンギゲイザーだが、その灰色でふわもこな姿は雛のもの。
 それを指摘して怒られたこともあったと思い出しつつ。
 大人になったら、今楽しんでいるもふもふがなくなってしまうと惜しみつつ。
 それでも、変化した姿を……王冠と赤マントをつけ、すらっとスタイリッシュに立つ大人なコウテイペンギンを想像して。
(「それもそれで可愛らしいですね」)
 藍は、ペンギアット・ペンギゲイザーが上手く乗せられたと気付いてまた逃げ出すまでの間、もふもふと想像とを堪能していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マシュマローネ・アラモード


モワ!ペンギンさんお待ちになって!

取り出したるは、🎃南瓜のキャンディ🍭
せっかくのハロウィンですもの、トリックorトリートの原則ですわ!

……誘いに乗っていただいたら、ペンギン🐧さんには、申し訳ありませんが、UC、|攻勢解呪《アグレッシブ・ディスペル》!
……あら?効いていません?
あっ……。(色々察して)

ごめんあそばせ……!!
(全力の吹き飛ばしで、色々なかったことにしつつ、ペンギン🐧さんを星の海に還してあげて……)

モワ……ペンギン🐧さん……今度はクリスマスにいらっしゃるのでしょうか……。



「全く、えらい目に遭ったな……
 だが、我がもふもふが至上のものであると思い知ったであろうよ」
 ようやく銀狼とのもふもふから逃れた猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、疲労の色を見せながらもどこか満足気に大通りをまた走り出した。
「モワ! ペンギンさんお待ちになって!」
 しかし、すぐさまかけられた声に律儀に足を止め。きょろきょろ辺りを見回せば。
 物語から飛び出してきたかのように駆け寄って来る青いドレスのプリンセス、マシュマローネ・アラモード(f38748)の姿を見つける。
「貴様は、菓子集めで競い合ったドジ娘!」
「モワ!?」
 短い手でびしっと指し示されたことに、そして何やら妙な覚えられ方をしていたらしいことに、マシュマローネは驚いて、青い瞳をぱちくりと瞬かせた。
 どうやら、ペンギアット・ペンギゲイザーの足止めのためにお菓子を散らばせていた時の様子は、素直にドジっ子として受け止められていたようです。
 警戒するペンギアット・ペンギゲイザーと、きょとんとするマシュマローネ。
 不思議な間が2人に流れて。
 ぽんっと手を打ちその硬直を解いたのは、マシュマローネだった。
「せっかくのハロウィンですもの、トリックorトリートの原則ですわ!」
 楽し気な笑顔で取り出したのは、南瓜のキャンディ。
 それをペンギアット・ペンギゲイザーの目の前で誘うように見せながら、お約束な合言葉を促し、待っていると。
「我はのちにこの船を統べることになる者ぞ!
 トリックとか言うまでもなく無条件で菓子を差し出し、ひれ伏すがよい!」
 ペンギアット・ペンギゲイザーはもふっと胸を張り、偉そうなポーズを取る。
 合言葉も何もなく、お菓子を貰えて当然、といったその様子に。
「モワ!」
 しかしマシュマローネは笑顔のまま。
(「ペンギンさんには申し訳ありませんが……」)
 ユーベルコード『|攻勢解呪《アグレッシブ・ディスペル》』を発動させた。
 のだが。
「……あら? 効いていません?」
「何のことであるか?」
 確かに命中したはずなのに、全く様子の変わらないペンギアット・ペンギゲイザーにマシュマローネは首を傾げ。つられるようにペンギンもこくんと身体を傾ける。
「モワ……わたくしのユーベルコードは、相手が何らかの強化を得ていた場合には追加効果があるんですの。それが何も起こらないということは、ペンギンさんは強化を得ていないことになりますわ」
 不思議そうなペンギアット・ペンギゲイザーの視線を受けて、マシュマローネは、自身の困惑を整理して分析するかのように、状況をまとめながら呟き。
「でも、ペンギンさんのユーベルコードは能力強化のもののはず。
 確か『敵よりも遊びに来ていた観客の人気が高い場合』に特定の能力が3倍に……」
 そこまで言って、気付く。
「あっ……」
 ペンギアット・ペンギゲイザーが強化されていなかったから、マシュマロ―ネのユーベルコードに何の効果もなかったように見えたのだと。
 すなわち。
「わたくしの方が、観客の人気が高かったのですね……!」
「なっ、何を言い出すか!?
 銀河皇帝ペンギンである我は、いつでもどこでも人気者であるぞ!?」
 告げられた事実に、ぷんすかと怒り出すペンギアット・ペンギゲイザー。
 だがどんなに怒っても、それが虚勢であると証明されてしまっているから。
 マシュマローネはちょっと気まずそうに、困った笑みを浮かべて。
「ごめんあそばせ……!」
 色々なかったことにするかのように。
 全力でペンギアット・ペンギゲイザーを吹き飛ばす。
 驚きの悲鳴を上げてころころ転がっていく灰色ペンギン。赤いマントが包み込むように絡んでボールみたいになって遠ざかるその姿を、マシュマローネは見送って。 
「モワ……ペンギンさん……」
 ほっとしたような、残念そうな、複雑な表情を浮かべると。
「今度はクリスマスにいらっしゃるのでしょうか……」
 どこか待ちわびるかのように、呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミカエラ・チャーチ
【壁】
あのペンギン、まだ諦めてないんだね
……ヤるか
また見ものだな、あいつの吃驚した顔

堂々と近付いて咆哮混じりに声を掛ける
おや、また会ったねぇ。ペット候補……毛皮候補だったかな?
菓子は貰えた? ひとつ譲ってあげようか
親切ごかしに宝石箱めいた小さな菓子缶をプレゼント
あんたの物だよ、開けて御覧
栴の詮索にウィンク返しつつ
中には蜘蛛や百足や毒虫を精巧に模した菓子がぎっしり
吃驚した? でも、ちゃんと食べられるよ!

他の子らの悪戯の合間にキャッチしたら
もふもふの毛皮をわしゃわしゃしてやる
ああ可愛い(うっかり本音)
堪能したら、はいよ、と誰かにリリース

遊んだらお腹空いたものね
締まらない凱旋もあたし達らしい


明石・鷲穂
【壁】
豪胆なペンギンだよなぁ。
パレードも楽しんだようで何よりだ。
だが悪いこと企んでトンズラするってのは良くないよな。
ほら―ミカエラを敵に回すと怖いぞ!

海豹かわいいな~。ペンギンも楽しそうに走り回ってるし水族館みたいだ。

驚いて逃げてきたペンギンを後脚で軽く蹴り上げ。 空中に跳んだら、次は両手で受け止めるぞ。 そのまま幾度が空中に放って遊ぶ。 よく跳ねるな~酔ってないな? そら、次任せた!

ナイスキャッチに、ナイスホームラン!

祭りも仕舞いの時間だ。
片付けまできちんとしたら、骸の海に帰るんだぞ。
……じゃ、おれらは菓子食いに行こうか。菊花に続け~


八重垣・菊花
【壁】
お菓子美味しかったねぇ、酸っぱいのもお口がキューってなったけど美味しかったんよ!(ほら、とペンギアットの口にも超酸っぱい飴を放り込み)

ペンギンってボールやったんやね…あ、ペンギアットやっけ?(風評被害を流しつつ、ペンギン飛ばししようぜ、お前ボールな!みたいな感じであっちこっちへ飛ぶペンギンを見て)

うちも混ざるんは吝かやないで!この杖でこう…カッキーン!って感じで!!(UCで逃がさぬように囲みつつ、杖で素振りからのホームラン)

ミカエラさんの渡したお菓子も持ってったし、骸の海で美味しく食べるんちゃうかなぁ(見た目については置いといて、という顔で)うちらもハロウィンスイーツ食べにいこ!


バレッタ・カノン
【壁】いっぱいお菓子も食べたし運動の時間だな

おー、ナイスボール
飛んでる飛んでる。ペンギンも飛べるんだな
目測で落ちてきそうな所へUC【電光石火】で迎えに行ってキャッチ

また会ったな。どうする?もう一回ミカエラの方行く?まぁ、そう言うな。
その場でグルグル回って止まった方にいる仲間の方へ電光石火でペンギンを運ぶ。
吐くなよ?そーれタッチダウン!!(タッチダウンの意味は分かっていないが楽しんでいる)


生浦・栴
【壁】で。
あの足なれば然程速くも無かろうが、ちょこまかされるのは面倒よな。
本格的にハロウィン仕様になるが足止めは必要か?
(一応チラと仲間を見る。止められなければUCで海豹や鯱の死霊を呼び寄せ、単純に足止めのみ命じる心算)
狼の。其れは先ほど集めておったアレか?
山羊のもまた楽しそうにしておるが……おや。
(此方に飛んで来るも、フィジカルな対応は無理である。代わりに海豹の死霊の尻尾が華麗にトスさせて)何やらビーチバレーか何かの様相になっておるなあ。
自力であれ他力であれ「飛んでいる」で良いのではあるまいか。
まあ、片付いたならお疲れ様だ。
屋台は店仕舞いして居るし、少し街の方へ行こうか。


巣篭・ひばめし
【壁】あれを飛ぶと言っていいものなのでしょうか……(ぽんぽん飛ばされているペンギンを見ながら)●おや、こちらに飛んできましたね。ふむ……私では上手にトスを返せるかわかりません。ここはしっかり両腕で抱き止めて逃がさないようにしておきましょう。●さて、随分と大変な目にあっているようですね。これに懲りたら、悪巧みもほどほどにした方がよいのではないですか……ま、聞く耳を持ってくれるとは思っていませんが。反省しないのでしたら、ペンギン飛ばし続行です。そら、バレッタ様がお待ちかねですよ(そう言ってペンギンをバレッタに渡す)



 吹き飛ばされころころと転がってきた猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、何とかその回転を止め、むくっと起き上がると。赤いマントが絡むのをじたばた解いて立ち上がり。
 はっと何かを思い出したかのように、振り返りながらマントをバサッと広げて、ポーズを取った。
「失礼な娘であったな……
 だが、まあよい。今回ばかりは見逃してやろうではないか!」
 攻撃に負けたわけでも、逃げるわけでもないと印象付けるかのように、1人ならぬ1匹で口上を述べると。
「次に我が侵略した時が最期と覚悟しておくがよい! さらばだ!」
 言うだけ言って踵を返し。
 結局のところまた逃げ始める。
「豪胆なペンギンだよなぁ」
 その様子を少し離れて見ていた明石・鷲穂(f02320)は、ははっと笑い。
「パレードも楽しんだようで何よりだ」
 うんうんと納得したように頷いて、逃げる姿を見送ろうとしたけれど。
「あのペンギン、まだ諦めてないんだね」
 低く呟いたのは、ミカエラ・チャーチ(f14223)。仮装したままでニヤリとワルい笑みを浮かべる姿は、正しく悪辣で傲慢な勇者そのものだったから。
「……ヤるか」
 ぼそりと零したその声は、魔王ですら裸足で逃げ出しかねなかった。
「また見ものだな、あいつの吃驚した顔」
 くっくっくっと笑みを浮かべるミカエラに、生浦・栴(f00276)は肩を竦め。
 だが、猫耳執事は仕える勇者を特に諫めるでも止めるでもなく。
 むしろペンギアット・ペンギゲイザーの動きの方を静かに観察して。
「あの足なれば然程速くも無かろうが、ちょこまかされるのは面倒よな」
 ミカエラの望みを叶えるべく考えを巡らせる。
「本格的にハロウィン仕様になって仕舞うが……足止めは必要か?」
 一応、ちらりと目をやれば。
 勇者も、馬だった鷲穂も、止める素振りを欠片も見せないどころか、待っているようにすら見えたから。
 発動させたのはユーベルコード『Funeral song』。
 海豹や鯱の死霊を呼び寄せると、ペンギアット・ペンギゲイザーを追走させた。
 死霊は海中のように空中を泳ぎ、すぐに追いつくとその前へ回り込み。
 ペンギアット・ペンギゲイザーの行く手を阻み、逃げ道を誘導して、その場でぐるぐると追いかけっこな様相を呈し、足止めだけをする。
 本当は爪とか牙とかで戦闘もできる死霊なのですが、もふもふペンギン相手にそこまではやり辛いというか、逃げるだけの相手にそんな必要ないというか。
 まあともかく、海豹も鯱も、必死に逃げ回るペンギアット・ペンギゲイザーを、どこか楽し気に追い回すだけだから。
「海豹かわいいな~。ペンギンも楽しそうに走り回ってるし、水族館みたいだ」
 鷲穂は呑気にそれを眺めていた。
 のほほんとしているのは、他の面々も同じこと。
「お菓子美味しかったねぇ」
 八重垣・菊花(f24068)はにこにこと満足した笑顔を浮かべて。
「酸っぱいのも、お口がキューってなったけど美味しかったんよ!」
 楽し気に十字架を模した杖を振り回しながら感想を告げれば、そのキャンディを配ったバレッタ・カノン(f11818)が魔女帽子の下で淡く微笑み、こくんと頷く。
「はい。ひばにゃんもたくさんいただきました。まだ受付中ではありますが」
 猫耳メイドな巣篭・ひばめし(f02775)も同意を示し。しかしまだまだと言わんばかりに、招き猫のようにその手を掲げた。
 そんなお菓子パーティーに、ミカエラはふっと微笑んで。
「さあ、行こうか。悪辣系勇者ハーレム」
 先ほど命名された御一行名を面白がるように告げながら、ペンギアット・ペンギゲイザーの元へと足を踏み出せば。
「ミカエラさんに続くんや!」
「いっぱいお菓子も食べたし、運動の時間だな」
「はい。ペンギンさんのお菓子もいただきましょう」
 元気いっぱいプリーストも、魔法の使えない魔女も、猫耳以外いつも通りなメイドも、楽しそうについていくから。
 鷲穂と栴は、無言のまま視線だけを交わして、後に続いた。
 そうして、死霊から必死に逃げ回るペンギアット・ペンギゲイザーの目の前にミカエラが立ち塞がれば。ハッとした顔で、円らな瞳がミカエラを見上げる。
「おや、また会ったねぇ。ペット候補……毛皮候補だったかな?」
 咆哮混じりの声に、堂々と立つその美しい姿に、一瞬にしてペンギアット・ペンギゲイザーが竦み上がり。
「き、貴様は……っ!」
「菓子は貰えた? ひとつ譲ってあげようか」
 思わず逃げ腰になったペンギアット・ペンギゲイザーだが、続いた言葉は、声色は怖いままながらも、どこか親切なものだったから。
 言葉通りに宝石箱のようなものも差し出され。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは訝し気に、だが少し期待の色を混ぜながら、恐る恐るミカエラと宝石箱とを見やった。
「あんたの物だよ、開けて御覧」
 重ねる様に勧め、さらに宝石箱をずいっと近づけると。
 反射的にでもあるだろうが、短い手で受け取るペンギアット・ペンギゲイザー。
 それはよく見ると、宝石箱を模した缶の入れ物で。
 可愛く綺麗なお菓子が詰まっている菓子缶だろうと想像できる。
 そんな缶に、ペンギアット・ペンギゲイザーの期待が高まっていくのを見ながら。
「……狼の。其れは先ほど集めておったアレか?」
 思い至って小声で確認する栴。
 それは半ば呆れたような、苦笑するようなものであったけれど。
 ミカエラはワルい笑みを浮かべ、ウィンクだけを返す。
 そんな不穏なやりとりに気付かぬまま、わくわくとペンギアット・ペンギゲイザーは宝石箱な缶を開け……
「ひいあっ!?」
 中にぎっしり入っていた、蜘蛛や百足や毒虫を精巧に模した菓子に、妙な悲鳴を上げて飛び上がった。
 缶が綺麗なだけに、中身とのギャップがすごすぎますね。
「吃驚した? でも、ちゃんと食べられるよ!」
 悪戯大成功とばかりに笑い声を上げるミカエラ。
 見た目はともかく美味しいお菓子だと言われても、ペンギアット・ペンギゲイザーにそれを理解する余裕はなく、缶ごと虫を放り出し、さらにそれを遠ざけるようにぱたぱたと必死に短い手を振り回す。
「それじゃあ、美味しい飴あげるんよ。ほら」
 パニックなペンギアット・ペンギゲイザーを宥めようと、今度は菊花が近づいて。
 ぱくぱくと声にならない声を上げるように開閉しているくちばしへ、ぽんっと飴を放り込めば。
 その酸っぱさにペンギアット・ペンギゲイザーが飛び上がった。
「ああ、あれはアレスのの飴か」
「そうや。生浦さんも食べるん?」
「いや、遠慮しておこう」
 傍観する栴とにこにこ菊花の横で、バレッタが無表情でまた飴を差し出しています。
 次々とハロウィンらしいといえばハロウィンらしいトリックを仕掛けられているペンギアット・ペンギゲイザーに、鷲穂は苦笑して。
「まあ、あれだ。悪いこと企んでトンズラするってのは良くないから、な」
 酸っぱさに思わず駆けずり回り、逃げるようにやってきたペンギアット・ペンギゲイザーの動きをしっかり捉えると。
「ほら……ミカエラを敵に回すと怖いぞ!」
 タイミングを見てくるりと振り向き、山羊の蹄を持つ鹿の後脚を馬の脚力で蹴り上げ、ペンギアット・ペンギゲイザーを空中に飛ばした。
 堅牢で凶悪な蹄踵に、まるでボールのように高く高く蹴り飛ばされたペンギアット・ペンギゲイザーは、成すすべなく空中を舞い。
 追いかけるように跳んだ鷲穂が、両手で受け止める。
 と思えば、すぐにまた空中に投げ放ち。
「よく跳ねるな~」
 本当にボール遊びのように、ぽんぽんぴょんぴょん、跳んで飛ばし続けた。
「山羊のも楽しそうにしておるが……」
 その様子を見上げる栴の横に、バレッタも並び立ち。魔女帽子をちょっとずらすようにして同じように空を眺め。
「飛んでる飛んでる。ペンギンも飛べるんだな」
「あれを飛ぶと言っていいものなのでしょうか……」
 感心するバレッタに、ひばめしが首を傾げていました。
 ええ、まあ、正確に言うなら、飛ばされている、でしょうかね。
「自力であれ他力であれ『飛んでいる』で良いのではあるまいか」
 どうでもいいと半ば諦め気味に結論を零しながら、眺める栴の前で。
 ペンギアット・ペンギゲイザーは飛び続け。
「酔ってないな? そら、次任せた!」
 そのうちに、鷲穂が飛ばす方向を変えた。
 こちらへと落ちてくるペンギアット・ペンギゲイザーに反応したのはバレッタ。
「おー、ナイスボール」
 ユーベルコード『電光石火』で大地を蹴るや否や一歩目からトップギアで飛び出すと、その俊足で、目測した落下地点へ迎えに行く。
「ナイスキャッチ!」
 空からの鷲穂の称賛通り、ペンギアット・ペンギゲイザーを受け止めると、目を白黒させているその顔を覗き込んで。
「また会ったな。どうする? もう1回ミカエラの方行く?」
 尋ねれば、息を呑むような短い悲鳴が上がった。
 そして窮地を脱しようと、ペンギアット・ペンギゲイザーはじたばた暴れ出し。
「は、離せ無礼者!」
「まぁ、そう言うな」
 しかしバレッタはその動きを抑え込みながら、その場でぐるぐると回る。
 回転の最中、こちらを眺めている仲間達の位置を見ると。
「吐くなよ? そーれタッチダウン!」
 回ってちょっとぐったりしたペンギアット・ペンギゲイザーを放り出す。
 別にどこがエンドゾーンと決めたわけでもなく、むしろアメリカンフットボールに詳しいどころかよく分からないけどカッコイイというくらいで言っただけだけれど。
 とりあえず狙い通りにはペンギアット・ペンギゲイザーが飛んで行き。
「おや」
 パスされたのは、栴。
「俺にフィジカルな対応は無理であるからな」
 しかし栴自身は動かずに、冷静にそんな呟きだけを零せば。
 代わりにと前に進み出た海豹の死霊が、くるりとターンするような動きで尻尾を振り、華麗なトスを見せた。
「何やらビーチバレーか何かの様相になっておるなあ」
「ペンギンってボールやったんやね……あ、ペンギアットやっけ?」
 飛ばされていくペンギアット・ペンギゲイザーを眺める栴に、菊花も、あっちへこっちへ視線を動かし追いかけると。
「次はこちらに飛んできましたね」
 今度はひばめしが落下地点にいた。
「ふむ……」
 飛び来るペンギアット・ペンギゲイザーをじっと見つめるひばめしだが。
(「私では上手にトスを返せるかわかりません」)
 鷲穂や海豹のようにはできないと自己分析して。
 なればと見習うのはバレッタ。
 しっかり両腕で抱き止めるようにキャッチすると、逃がさないようにぎゅっとした。
 ついでに、もふっとした毛並みをちょっとだけ味わっていると。
 目を回していたペンギアット・ペンギゲイザーが、ハッと正気に戻った気がしたから。
「さて、随分と大変な目にあっているようですね。
 これに懲りたら、悪巧みもほどほどにした方がよいのではないですか?」
 諭すように言ってみる。けれども。
「わ、我は銀河皇帝ペンギンである!
 我こそが全て正しい存在であるゆえに、悪巧みとか違うのであるが当然な……」
 まだ衝撃から抜け切れていないのかちょっと言いたいことがまとまりきっていないけれども、とりあえず反論らしき言葉が返ってきたので。
「……ま、聞く耳を持ってくれるとは思っていませんが」
 ひばめしはひょいと肩を竦めると。
「反省しないのでしたら、ペンギン飛ばし続行です。
 そら、バレッタ様がお待ちかねですよ」
 ペンギアット・ペンギゲイザーを、投げた。
 引きつった顔で飛んでくるペンギアット・ペンギゲイザーに、ミカエラはニヤリとワルいにもほどがある笑みで出迎えて。
 キャッチするなり、そのもふもふの毛皮をわしゃわしゃわしゃ。
「ああ可愛い」
 うっかり本音まで漏らしてもふもふを堪能するけれども。
 それまでのワルい印象からのギャップにペンギアット・ペンギゲイザーは混乱して。
 逃げるのも忘れて硬直してしまう。
 ゆえに、さらにミカエラは思う存分、もふもふを味わってから。
「はいよ」
 大満足の笑顔で、次へどうぞと放り投げた。
「うちも混ざるんは吝かやないで!」
 そこに自分もと飛び込んだのは、菊花。
 ペンギアット・ペンギゲイザーが投げられた先で、プリーストな仮装に合わせた十字架を模した杖を両手で握りしめると。
「この杖でこう……」
 聖職者らしからぬ、素早い素振りをぶんぶん見せ。
 その間にユーベルコードでしっかりとペンギアット・ペンギゲイザーを囲み。
 準備万端、整えたところで。
「カッキーン!」
「ナイスホームラン!」
 打ち上げたペンギアット・ペンギゲイザーに、鷲穂が拍手を送りました。
「祭りも仕舞いの時間だ。片付けまできちんとしたら、骸の海に帰るんだぞ」
 そして、もはや悲鳴も上げられぬまま小さくなっていくペンギアット・ペンギゲイザーを遠目に見送って。
「ミカエラさんの渡したお菓子も持ってったし。
 骸の海で美味しく食べるんちゃうかなぁ」
 ちゃんと宝石箱な缶も一緒に打ち上げておいた菊花も、額に片手を当て、遠くを眺める仕草を見せた。
 まあ、あれちゃんとお菓子でしたからね。見た目については置いとくとして。
 優しいのか酷いのか、判断がつき辛い気配りに、鷲穂が苦笑すると。
 菊花は、くるりと皆に振り返って。
「うちらもハロウィンスイーツ食べにいこ!」
 にっこりと誘いの声をかけた。
「まあ、片付いたか。お疲れ様だ。少し街の方へ行こうか」
 猫耳執事が肩を竦め、それでも美味しそうなエリアを探して指し示せば。
「お任せください。ひばにゃんはまだまだ食べられます」
 猫耳メイドが付き従うように、見た目と口調だけは恭しく礼を送る。
「トリック・オア・トリートだ」
 魔法使いはまた帽子を脱いでひっくり返すと、大きな袋代わりのそれを見せ。
「遊んだらお腹空いたものね」
 勇者様もニヤリと賛同すれば。
 御一行の行く先は満場一致で決まるから。
「じゃ、菓子食いに行こうか。菊花に続け~」
 鷲穂の声を契機に、元気なプリーストが歩き出し、そして皆がばらばらと続いていく。
 思い思いに笑顔を交わし、スイーツを探し出すその様子を、ミカエラはふと眺め。
「締まらない凱旋もあたし達らしい」
 二ッとワルく、そしてとても嬉しそうに、笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冬原・イロハ
エリシャ(f03249)さんと

ペンギンさんを追いましょう! 大事なことを忘れてました
とりっく…Trick but Treat!
(お菓子をくれても悪戯するよ)
と、流れ星みたいなエリシャさんのコインを眼下に、私はラクスくんに騎乗して挟み撃ち

コインに気を取られているペンギンさんに戦斧の石突でこつんとしてUC
キラキラ飾り立てた光属性、緑色のドラゴン?を放ちます
ハロウィンの次はクリスマスですから
予行演習しましょう?
着替えさせるエリシャさんが楽しそうで、私も嬉しいです
ツリードラゴンとサンタさん!

ハンドベル、ケープと帽子も被って
テンポはバラバラだけど、これ、楽しいですね♪
きっと心に残る
素敵な音色たちなのです


エリシャ・パルティエル
イロハ(f10327)と逃げるペンギンを追いかけるわ
ちゃんとハロウィンを最後まで楽しまない悪い子には
悪戯でお仕置きしないとね
猫耳フードな魔導師が魔法をかけちゃうわ
ネコファミリアコインの金貨たちを飛ばして
ペンギンにぶつけちゃう!

グリフォンに乗って戦う小悪魔イロハのかっこいいこと!
あら、そのカラーリングは…まあクリスマス!
そうね、ペンギンは次のイベントも探すだろうから
予行演習が必要ね!
サンタさんの仮装でもする?
UCでサンタカラーのケープと帽子を作って…
ペンギンの着せ替えはやめられないわ~(うきうき
はい、ハンドベル(UCで作成
どっちがいい音色が出せるか勝負よペンギン!
イロハと一緒に楽しく奏でましょう



「こっちですエリシャさん。ペンギンさんを追いましょう!」
「ちゃんとハロウィンを最後まで楽しまない悪い子には、悪戯でお仕置きしないとね」
 冬原・イロハ(f10327)とエリシャ・パルティエル(f03249)は逃げる猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』を追いかけていた。
 しかし、ただ大通りを逃げるだけではなく、転がったりホームランで打ち上げられたりと予想がつかない逃げ方(?)になっているペンギアット・ペンギゲイザー。一番予想できていないのは当の本人かもしれませんが。
 それを普通に追いかけても見失ってしまうから。
 イロハは、幻獣グリフォンの『ラクスくん』に乗って、空からペンギアット・ペンギゲイザーの行方を監視して、エリシャに伝えています。結構真面目な追走劇です。
「大事なことを忘れてました」
 小悪魔な可愛い仮装もそのままに、真っ白なグリフォンの背で、イロハは大きな藍色の瞳をキリッとさせて。
(「イロハってばかっこいい!」)
 エリシャはそんな様子にわくわくドキドキしながら。
 ついに、空高く打ち上げられたペンギアット・ペンギゲイザーが顔面から落下した地点へと駆け付け、追いついた。
 しばし倒れたままぴくぴくしていたペンギアット・ペンギゲイザーだが、唐突にがばっと起き上がり。ふるふると首を左右に振って、何とか立ち上がったけれども。
「ふふっ。魔法をかけちゃうわ」
 そこに、猫耳フードな魔導師・エリシャが仮装の杖を振るい。
 飛ばすは『ネコファミリアコイン』。
 猫の形をした金貨は、ペンギアット・ペンギゲイザーにじゃれつくかのように向かい、群れを成してぶつかって。
「こ、これは一体何であるか!?」
 慌てて混乱するペンギアット・ペンギゲイザーへ。
 流れ星みたいなコインと挟み撃ちするように、イロハも空から急降下。
「とりっく……Trick but Treat!」
 お菓子をくれても悪戯するよ、とお決まりの合言葉を変化させて告げながら。
 構えた戦斧『バルディッシュ』の石突の部分で、ペンギアット・ペンギゲイザーの王冠を被った頭を、こつん、と一撃した。
 グリフォンの急襲にしては予想外な程に軽い、攻撃とも言えない攻撃に、ペンギアット・ペンギゲイザーが不思議そうに首を傾げていると。
 そこに光属性のドラゴンが追撃する。
 ユーベルコード『ドラゴニック・エンド』。
 それはイロハの戦斧が命中した対象にドラゴンを放つ技。
 ゆえに、バルディッシュで大きな一撃を繰り出す必要はなく。
 むしろその後のドラゴンの攻撃が本命だから。
「な……っ!?」
 不意を突かれたペンギアット・ペンギゲイザーに、光属性ゆえにキラキラと飾り立てられた緑色のドラゴンが命中したのを、イロハは満足気に見下ろして。
「あら、あのカラーリングは……」
「はい。ハロウィンの次はクリスマスですから」
 首を傾げたエリシャに、にっこりと答えた。
 確かに、緑色でキラキラ飾りのライトアップ、となると、クリスマスツリーのようなドラゴンですね。
 なるほど、と納得顔を見せたエリシャは。
「そうね、ペンギンは次のイベントも探すだろうから、予行演習が必要よね!」
 ドラゴンの一撃で目を回しているペンギアット・ペンギゲイザーに近付くと。
「ペンギンの着せ替えはやめられないわ~」
 王様なマントを外して、赤に白いファーなサンタカラーのケープと帽子を着せる。
 今回もやっぱり王冠は残したままです。アイデンティティー?
「エリシャさんが楽しそうだと、私も嬉しいです」
 その様子を眺めながら、イロハはグリフォンを地上へと降ろし。その背からぴょこんと下りると。
 そうだ、と思い立って。
 攻撃を終えた光属性のドラゴンを、クリスマスツリーのようにペンギアット・ペンギゲイザーのすぐ横に佇ませた。
「ツリードラゴンとサンタさんです!」
「うん、素敵ね」
 エリシャも嬉しそうに褒め称え。
「あたしたちもサンタさんになりましょうか」
 追加で差し出すケープと帽子。
 ハロウィン仮装の上からだけれど、イロハもサンタなケープを羽織って帽子を被り。
 エリシャも猫耳フードを下ろして、ちょっとだけサンタ。
 そして続けて取り出したのは。
「はい、ハンドベル」
 りりんと音を紡ぐそれを、ペンギアット・ペンギゲイザーの短い手に1つずつ、押し付けると。自身の分と、イロハにもまた渡して。
「どっちがいい音色が出せるか勝負よペンギン!」
「むっ。勝負とあっては受けぬわけにはいくまい!
 この銀河皇帝ペンギンたる我の音色に酔いしれるがよい!」
 声をかければ、状況を理解しきれないままに乗ってきたペンギアット・ペンギゲイザーと、共に奏でるベルの旋律。
 それは、音程もテンポもバラバラで、曲と呼べるものにまではならなかったけれど。
「これ、楽しいですね♪」
 にこにこ笑顔のイロハに、エリシャも破顔して。
 りんりんりりんと素敵な音色が、皆の心に残っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、ペンペン見つけたー。
……であるわよ、ほほほ♪(キャラ崩壊中)
イロハちゃんやエリシャ姉ちゃんにも手を振って。

ぴょんこぴょんこと近寄って。
あらー、アンちゃんのトリスキー(鳥好)が発動したのだわー。
……恐くないのかなあ?(ぽそっと)

トリックあんどトリックは、一種のお約束ともいうよね?
おい……わらわは葉物な女王様だしねー。
さっきいっぱい喝采もらったとこだしねー。

さあ、ぺんぺん殿、勝負でござるよ!
何の勝負なのかって?
知らないー(きっぱ)
じゃあ、葉物の振り方で勝負する?
え、嫌?

アンちゃんの輪斬ったカボチャを、即座に揚げていこうっと。
ペンペンも食べる?
ハイ、どーぞ♪(ぺし)


木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

ペンペンがぼっちになってる
かまってあげないと可哀想
まつりん姫、いこう(引き続き手を取りエスコート)

ととと、とペンペンを追いかけて背後から不意打ちで抱きついて足止めしよう
トリック・オア・トリート!
ふぅ…相変わらずの良きぼでぃ
さあペンペンちょっとわたし達と仮装比べをしよう
【どれすあっぷ・CBA】
仮装の上から羽織る赤マントはペンペンとお揃い
違うのは手に持つレイピア風味の灯る陽光
そして南瓜

ひょいっと投げ上げた南瓜をすぱぱぱっとレイピアで切り刻む!
どう?ペンペン。この芸事を越えられる?

仮装だけではなくパフォーマンスで盛り上げるのもハロウィンの醍醐味
海に戻っても覚えていてね



 逃走する猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』を探し、追いかけていたのは、木元・杏(f16565)もだった。
 だがその理由は、猟兵としての役目とかではなく。
「ペンペンがぼっちになってた」
 観光客の避難により、大通りに1人ぽつんと佇んでいたペンギアット・ペンギゲイザーに気が付いたからで。
「かまってあげないと可哀想」
 キリッとした顔で使命感に燃える杏。
 恐らくペンギアット・ペンギゲイザーとしては、放っておいてくれ、と言いたいであろう、傍迷惑な決意なのですが。
 雌鶏たまこモチーフの仮装も相まって、一騒動起こりそうな予感です。
「まつりん姫、いこう」
「おっけー……であるわよ!」
 再び手を差し出しエスコートするのは、女王様仮装の木元・祭莉(f16554)。
 刃物ならぬ葉物をぶんぶん振り回していた双子の兄は、仮装を思い出したかのように、自身が思う『女王様っぽい口調』で応えると、妹と共に進んでいった。
 あっちでこっちで騒ぎが起きているのを頼りに進み。
 その騒ぎの中にペンギアット・ペンギゲイザーがいるなら、もうぼっちじゃないはずという考えに至らないまま。
 街並みをあっちへこっちへ探し行く双子。
 そのうちに、上空をホームランされたペンギアット・ペンギゲイザーに気付いて。
 落下地点へと向かっていくと、聞こえてくるハンドベルの音。
「アンちゃん、ぺんぺん見つけたー……であるわよ、ほほほ♪」
 ぴょんこぴょんこと近寄る祭莉は、ペンギアット・ペンギゲイザーの傍に知人の姿も見つけ、にぱっと笑って手を振り挨拶。
 でもよく見ると、彼女達は、白いふわふわで縁取った赤いケープと赤い帽子を仮装の上からさらにつけていて、サンタ魔導師とサンタ小悪魔になっていたし。ペンギアット・ペンギゲイザーも、いつもの赤マントな王様姿ではなく、王冠つきサンタな格好になっていたから。あれっ、と首を傾げる祭莉。
 しかし、それを確認しようと杏に振り返った時には。
 杏は、祭莉の手を離して、ととと、とペンギアット・ペンギゲイザーに駆け寄り。
 その背後から不意打ちで抱き着いていた。
「トリック・オア・トリート!」
「のわー!?」
 ハンドベルに夢中で杏に全然気が付いていなかったペンギアット・ペンギゲイザーは、驚き慌てて暴れるけれども。
 杏はその灰色ふわもこな毛並みをしっかりと堪能していく。
「あらー、アンちゃんのトリスキーが発動したのだわー」
 そんな『鳥好き』な様子を眺め、祭莉は苦笑した。
 もふもふ、ふわふわ、ぎゅっぎゅっ、と。毛並みだけでなくそのまんまるな身体も、触って頬ずりして抱きしめて、全身で味わっていく杏。
「……恐くないのかなあ?」
 思わず祭莉がぼそっと呟き。
「不敬っ、なっ、何をっ、するっ、我っ、銀河皇帝っ、ペンギっ、であるっ、ぞっ!?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーがもみくちゃにされる合間に何とか抗議の声を上げるけれども。
 気付かず、そして、気にせず、杏は心ゆくまで鳥もふを楽しみ。
「ふぅ……相変わらずの良きぼでぃ」
 ようやく顔を上げ、ペンギアット・ペンギゲイザーを解放した。
 半ば放り出されたペンギアット・ペンギゲイザーは、ころころころんと転がって。すぐにがばっと起き上がると、杏に抗議しようとしたが。
「さあペンペン。ちょっとわたし達と仮装比べをしよう」
 それより前に、びしっと指を突き付けた杏が宣言する。
 そしてそのまま発動されるユーベルコード『どれすあっぷ・CBA』。
 くーるびゅーてぃー(当社比)に変身した杏は、たまこモチーフな白ワンピースとフード付きポンチョの上から、ペンギアット・ペンギゲイザーを意識した赤マントを羽織り。愛用の『灯る陽光』をレイピア風味に象ると。反対側の手に南瓜を掲げて見せる。
 急な変身に丸い黒瞳をさらに丸くするペンギアット・ペンギゲイザーに。
「おい……わらわは葉物な女王様だしねー。
 さっきいっぱい喝采もらったとこだしねー」
 祭莉が、こちらは女王様仮装から変化はないけれども、自慢のドレスを見せつけるかのように、くるくる回りながらペンギアット・ペンギゲイザーの前でアピール。もちろん、手にした葉物はぶんぶん振り回されています。危ない。
「トリックあんどトリックは、一種のお約束ともいうよね?」
 悪戯好きそうな女王様に、にかっと笑いかけられれば。
 ああそうだなと納得しかけてしまうけれども。
 遅れながらもペンギアット・ペンギゲイザーは気が付いて。
「いや、そんな物騒なハロウィンは……」
「さあ、ぺんぺん殿、勝負でござるよ!」
 一応ツッコんでみたけれど、祭莉は聞かずに勝手に話を進めていく。
 ムッとしながらも、勝負と言われれば捨て置けないペンギアット・ペンギゲイザー。
 サンタ帽子を外して、王冠の位置を直しながら祭莉に向き合い。
「この銀河皇帝ペンギンたる我に挑むとは。その度胸は褒めてやろう」
 頑張って横柄に胸をもふっと張った。
「して、何の勝負であるか?」
「え? 知らないー」
「決めずに勝負だけを吹っ掛けるでないわ!」
 しかし、ようやく取り戻しかけた尊大な皇帝らしき雰囲気は、きっぱりにぱっと答えた祭莉にあっさりと打ち砕かれて。
「じゃあ、葉物の振り方で勝負する?」
「もっとハロウィンらしい勝負を用意せんか!」
「え、嫌? 切れ味いいよ?」
「さらりと物騒なアピールをするでない!
 それと葉物とは何であるか!? 刃物ではないのか!?」
「ほらほら、どう見ても葉物でござろう?」
「女王様が侍になっておるぞ!」
 叫び続けるペンギアット・ペンギゲイザーが、ぜはぜはと荒い息をついていると。
 その肩をぽんっと叩いたのは、杏。
 振り返ったペンギアット・ペンギゲイザーの前で、杏は、手に持っていた南瓜をひょいと投げ上げて。
 落ちてくる動きの最中、レイピアで、すぱぱぱっと切り刻んで見せた。
「どう? ペンペン。この芸事を越えられる?」
 固い南瓜をあっさりとスライスした杏が、ドヤ顔で胸を張ると。
「だから切れ味勝負ではないと言うに!」
 脊椎反射な勢いでツッコんでくるペンギアット・ペンギゲイザー。
 しかし杏は、その真っ当な指摘をさらりとスルーして。
「仮装だけではなくパフォーマンスで盛り上げるのもハロウィンの醍醐味」
「そうそう。盛り上がっていこー!」
 うんうんと頷く杏の横で、祭莉が揚げ物鍋をセッティング。
 準備万端な油の中に、妹の手により薄切りにされた南瓜を即座に入れていけば。カラッと美味しい揚げ物の出来上がり。
「ペンペンも食べる?」
 唐突な料理にツッこみが追いつかないペンギアット・ペンギゲイザーへ、祭莉は笑顔で揚げたての南瓜を差し出して。
「ハイ、どーぞ♪」
 と笑顔で投げつけた。
「ひいあっ!?」
 熱々南瓜揚げの直撃を喰らったペンギアット・ペンギゲイザーは、その熱さに飛び上がって。尚も投げ続ける祭莉から、慌てて逃げ出していく。
 遠ざかっていくまんまるふわもこな後姿に。
「ハロウィンの醍醐味……海に戻っても覚えていてね」
 杏は、キリッとした顔で告げながら、揚げたての南瓜をはふはふと頬張った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
プレイング再送

シオン(f38237)と戯れる

邪神龍(ブラッドムーンとエキドゥーマ)二人は擬人化しています

ブラッドムーン…黒髪の弓兵の仮装

エキドゥーマ…白の長髪、蝶の髪飾りありで白とピンクが混じった魔術師の服

…君がペンギアット・ペンギゲイザーだな?

『ブラッドムーン!マスターがペンギンさんに話しかけているよ…ぶっ飛ばすつもりなのかな?』『…シラン』

私がペンギンに話しかけるのを見て
ブラッドムーンとエキドゥーマが不安そうで話していた

お菓子が欲しいなら私と勝負しようぜ!


ベビーカステラ10000個チャレンジでな!
(ベビーカステラの大食いチャレンジ・制限時間1時間)

ペンギンは馬鹿馬鹿しいとかいうので…

おう!いいぜ!逃げていいぜ?
ただし…
今日からお前の名前はヘタレアット・ニゲイザーだがな!

『ナ?』『心配したわ…ウチが馬鹿だったよ…』

勝負開始

30分後

おい!ペンギン!お前ベビーカステラ100個しか食えてねえぞ!

『ムリダロ…』『ウチも30個が限界だよ…』

ごちそうさまでした!(完食)

…ペンギンの分を食ってやるよ


リュカシオン・カーネーション
プレイング再送

エリン(f38063)と戯れる
アロナフィナは虹色の髪

《何だか偉そうですね…》
へぇ~可愛いじゃん
ペンギンをもふもふしています

おいおい減るものじゃないだろ?ギンペンくん〜(おちょくる口調)

《ウザいですね…マゾ狐》
アロナちゃんもっと強く言ってくれないか?
《キモいですね》
はぁ……はぁ……いいねぇ

あれ?!ペンギン君は?
《エリンさんが連れて行ったみたいですね…》
何々?…ベビーカステラ大食いチャレンジ
制限時間1時間以内で10000個食べきれば無料(ただ)?

エリンとペンギンが大食い対決しているのを観察していたが…
行けるのか?これ…
《…キツいですね頑張っても50個ぐらいですかね…》

ペンギンは100個食べているな…
《手が止まりましたね…あっダメそうですね》

これ無理だろ!エリンはもう完食したけど10000円(食べれなかったペナルティ)払えるのか?ペンギンは…
《最悪私達が払いましょう…》

エリンがペンギンの分を5分で平らげた


《まあエリンさんですし…》

名前改変はなしだぜ!ってエリンがペンギンに言った



「……君がペンギアット・ペンギゲイザーだな?」
 王冠と共に、揚げたてなスライス南瓜を頭に乗せて走り行く猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』に声をかけたのは、エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)。
 足を止めて振り向いたペンギアット・ペンギゲイザーの円らな瞳に映ったのは、少しクセのある長い黒髪を豊かに揺らし、黒瞳でにっと不敵に笑うエリンの姿と。
『ブラッドムーン! マスターがペンギンさんに話しかけているよ……
 ぶっ飛ばすつもりなのかな?』
『……シラン』
 その後ろでおろおろ驚く黒髪の弓兵、そして関心がない風を装い視線を反らす白い長髪の魔術師の、どこか不安気な様子だった。
 堂々たる主と相反する従者、といった一団に、ペンギアット・ペンギゲイザーは訝し気に顔を顰めつつも、何とか威厳を保とうともふもふな胸を張る。
「確かに我こそが銀河皇帝ペンギン『ペンギアット・ペンギゲイザー』である。
 その我を君呼ばわりする貴様は何者であるか?」
『何だか偉そうですね……』
「へぇ~可愛いじゃん」
 するとさらに、虹色の髪の女性が眉を顰め、リュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)が面白がるような笑みを浮かべて、エリンの横からペンギアット・ペンギゲイザーへと近づいていた。
 驚くペンギアット・ペンギゲイザーが反応するより早く、リュカシオンは無遠慮に両手を伸ばして。その灰色な毛をもふもふもふもふ。
「なっ、いきなり何をするか無礼者め!」
「おいおい減るものじゃないだろ? ギンペンくん~」
 もふられる中でようやくペンギアット・ペンギゲイザーが怒りの声を上げ、短い手足をバタバタさせるけれども。リュカシオンは、その嫌がる様子すら楽しむように、笑顔のままさらにその柔らかでふかふかな毛並みを撫でまわす。
『ウザいですね……マゾ狐』
 そんなリュカシオンの姿に、虹色の髪の下で、酷く冷たい眼差しを送るアロナフィナ。
 だが、リュカシオンは、そんなアロナフィナの冷淡な態度にむしろ青瞳を輝かせ。
「アロナちゃん、もっと強く言ってくれないか?」
『キモいですね』
「はぁ……はぁ……いいねぇ」
 要望に応えて重ねられた酷評に、うっとり喜ぶリュカシオン。
「へ、変態!?」
『否定はできませんね』
 青ざめるペンギアット・ペンギゲイザーの評価に、アロナフィナが諦めたように頷き。リュカシオンはそんな2人のやり取りにもちょっと喜んでいた。
 残念な美人さんの典型例ですね。
 それまで以上に必死にじたばたしたペンギアット・ペンギゲイザーは、リュカシオンがアロナフィナの態度に気を取られた隙も合わせて、何とか逃げ出すと。
 ふぅ、と心から安堵の息を吐き。
 しかし、間髪入れずにその前にエリンが立ち塞がる。
「お菓子が欲しいなら私と勝負しようぜ!」
「勝負とな!?」
 聞き捨てならない単語に反応するペンギアット・ペンギゲイザー。
 半ば、変態の恐怖から目を逸らしたいというところもあったかもしれませんが。
 ともかく、エリンの言葉に乗ってきたから。
「して、何で勝負するというのだ?」
 問いかけにエリンは堂々と胸を張り、にっと笑うと。
「ベビーカステラ10000個チャレンジでな!」
 ばばーん、と指し示した先には、何か凄い山が2つありました。
 その横には『ベビーカステラ大食いチャレンジ! 時間内に全部食べたら無料!』『制限時間:1時間』の看板と、食べた数を数え表示するためであろうカウンターが2つ、さらにはタイマーもスタートの合図を待つかのように用意されている。
 恐らくは10000個積まれているのだろう、ベビーカステラと一瞬分からない程の2つの大山に、黒髪のブラッドムーンもぽかんとして。
『ナ?』
『心配したわ……ウチが馬鹿だったよ……』
 白髪のエキドゥーマが短く問うのに、安堵のため息をついていた。
 そんな2人の様子に気付いているのか、気にしていないだけなのか。エリンは不敵な笑みでペンギアット・ペンギゲイザーに誘いをかけるけれど。
 一瞬絶句したペンギアット・ペンギゲイザーは、しかしすぐに我に返り。
「ふっ……このような勝負、馬鹿馬鹿しい……」
 興味なさげに首を横に振り、肩を竦めた。
 だがエリンは、その頬に一筋の汗が流れているのを見逃さず。
「おう! いいぜ! 逃げていいぜ?
 ただし……今日からお前の名前はヘタレアット・ニゲイザーだがな!」
「そこまで言うならよかろう! 勝負である!」
 言い放った挑発に、ペンギアット・ペンギゲイザーがあっさり乗ってくる。
 勝負の火蓋が切って落とされた。
 そして。
「あれ!? ギンペンくんは?」
『エリンさんがあちらに連れて行きました』
 虹髪のアロナフィナの暴言にうっとりしていたリュカシオンが、その状況に気付いたのは少し時間が経ってから。
 呆れ気味にアロナフィナが指差した看板と、カウンターを操作しているらしいブラッドムーンとエキドゥーマから、遅ればせながら事態を把握する。
 戦況は、カウンターを見るまでもなく明らかで。
「おい! ペンギン! お前100個しか食えてねえぞ!」
「ぐぬぬ……」
 余裕の笑みで煽るエリンの横には既にベビーカステラの山はなく。
『ムリダロ……』
『ウチも30個が限界だよ……』
 エキドゥーマとブラッドムーンも哀れみの眼差しをペンギアット・ペンギゲイザーに向けていた。
『手が止まっています……あっ、ダメそうですね』
「これ無理だろ! 完食できなかったペナルティの金額は?」
『ベビーカステラの数に合わせた10000円だそうです』
「払えるのか? ペンギンは……」
『最悪私達が払いましょう……』
 リュカシオンとアロナフィナも心配そうに見つめ。
 そしてとうとう、ペンギアット・ペンギゲイザーはその場に倒れ込んだ。
 元々まるっとした体格が、さらにころころした気がします。
 当然と言えば当然な光景に、一同から哀しみのため息が零れ、リュカシオンがお金を取り出しかけたけれども。
「仕方ないな!」
 嬉々としてエリンがペンギアット・ペンギゲイザーの分の山に手を伸ばし。
 あれよあれよという間に、2つ目の山も消失した。
「ごちそうさまでした!」」
 完食して尚笑顔なエリンに、ブラッドムーンとエキドゥーマすら目を丸くしている。
「…………」
『まあエリンさんですし……』
 リュカシオンも言葉を失う中で、アロナフィナだけが何とか声を絞り出していた。
 でもこれで、ペナルティはなしかと安堵して。
 ペンギアット・ペンギゲイザーへ振り向いたリュカシオンだけれども。
 そのまるっとした姿はいつの間にか消えている。
 おや、とアロナフィナも気付き、リュカシオンと目を見合わせていると。
「挑戦はしたからな。名前改変はなしだぜ!」
 不敵な笑みを浮かべたエリンは、恐らくペンギアット・ペンギゲイザーが去って行ったであろう方向へ、上機嫌に声を飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
プレイング再送

☆と♪

ライズサン…金髪で吸血鬼の仮装

エミリアーノ…銀色の長髪、魔女の仮装

ライズサンとエミリアーノは擬人化している
わぁ!可愛い!ペンギンさん!
僕はペンギンさんに抱き着いた!

『えいっ…ああ癒やされる…』
エミリアーノもペンギンさんに抱き着いて頬を擦っていた

『確かにもふもふしているじゃねぇか…失礼』
ライズサンもペンギンさんは何か言っていたので
『あんたが気持ちいいのが悪い』
そう言ってもふもふした

あっ…ごめんね!お菓子上げるよ!
さあ行こう!歌姫の世界へ!

UC発動

ようこそペンギンさん!この世界は君が考えた事が現実になるんだ!

ペンギンさんは自分が食べたいお菓子を沢山出していた

ペンギンさん、ちゃんと全部食べてね?
お土産のお菓子もあるからね!

うん!喜んでくれてよかったよ!

マーアリアさんは彼を懐かしそうな眼でペンギンさんを見ていた…


彼女も彼に何かあるところがあるんだろう…ペンギンさんは純粋だしね!

帰る前に皆でペンギンさんに抱き着くよ!

また来てね!ペンギンさん!
『元気でな!』『また遊びましょう!』


フラーウム・ティラメイト
☆と♪

仮装はディストーション・オベイに変身します

マーアリアは南瓜の帽子のみで服装は変わらない

こんにちは猟書家さん(前に戦ったミニスター・ブラックとは違うようですね)

『お菓子はいちご味の飴もあるよ』
マーアリアも彼にお菓子を見せる
彼は嬉しそうだった
『…』
無言で彼を撫でていた
彼がお菓子に夢中なうちに驚かしてみようとUC発動
胸にある鳥の形の宝石を捻って変身する
グォォォォォォォォォ!
ディストーション・オベイは(恐怖を与える+覇気+殺気)で根源的な恐怖を与えるが…
因果獣神皇に変身したが恐れている様子は無い
むしろ変だなっと笑っている

『不思議だね…ミニスター・ブラックの様に猟書家はディストーション・オベイを恐れないようだね』
マーアリアは呟く

彼はよくも悪くも真っ直ぐなのでしょうね
『ディストーション・オベイとの共存の道もあったのかな…』

彼はソラウさんのUCで沢山のお菓子を出していました

マーアリアは彼を見て
『ティナにそっくりですね…無邪気な所が…』(ティナは妹の名前だが故人)


私とマーアリアは彼をモフりました



 重いお腹を抱えてよたよたと逃げ出した猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は、途中で思わず足を止め、ぜはぜはと荒い息をついていた。
 たっぷり食べた直後の運動は厳しいですよね。
「あの大食い娘……どういう胃袋をしておるのだ……」
 未だ信じられないような眼差しで、逃げ来た方向をちらりと振り向くと。
「わぁ! 可愛い! ペンギンさん!」
「げふっ!?」
 死角から完全に不意打ちで飛びかかったのはソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)。
 長くストレートな銀髪の下で赤い瞳をキラキラさせて、衝撃に目を回しているペンギアット・ペンギゲイザーの灰色の毛並みに顔を埋める。
 金髪のライズサンと銀髪のエミリアーノも歩み寄り、大はしゃぎなソラウを眺めていたけれども。そのもふもふ具合に、満足そうなソラウの様子に、次第にうずうずして。
『えいっ』
 まずはエミリアーノが抱き着く。
『ああ、癒やされる……』
 頬を擦ってもふもふを堪能すれば、零れる至福の声。
 となれば、ライズサンも気になるばかりで。
『失礼』
 少し控えめに手だけで触れれば。
『確かにもふもふしているじゃねぇか……』
 それだけでもライズサンの口元が綻んだ。
 そんなわちゃわちゃする一団に、穏やかに歩み寄ったのは、フラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)。
「こんにちは、猟書家さん」
 ペンギアット・ペンギゲイザーに、というより、猟書家という存在そのものに興味津々なフラーウムが話しかけてみるけれども。どこか呆然としているペンギアット・ペンギゲイザーの円らな瞳は、どこか遠くへ向いていて。
(「前に戦ったミニスター・ブラックとは違うようですね」)
 同じスペースシップワールドの猟書家であるというのに、隙だらけでされるがままの様子は、以前の経験と違い過ぎたから。
 フラーウムは傍らのマーアリアと顔を見合わせた。
 その間にも、ソラウとエミリアーノがペンギアット・ペンギゲイザーを挟むように抱き着き、ライズサンの手も離れる素振りを見せていなかったから。
 フラーウムとマーアリアも、そのもふもふが気になって。
 皆でペンギアット・ペンギゲイザーをもふることに。
 そしてしばし。ようやくペンギアット・ペンギゲイザーが我を取り戻すと。
「はっ、離せ! 離さんか無礼者ども!」
 やっぱりじたばた暴れ始めた。
『あんたが気持ちいいのが悪い』
 エミリアーノにはあっさりとそう言われてしまったりもしたけれど。
「むっ……確かに我は銀河皇帝ペンギンに相応しい毛並みを持つが……
 いやだからこそ、気安く触るものではないと言うのだ!」
 短い手足を精一杯振り回して抵抗するペンギアット・ペンギゲイザー。
「あっ……ごめんね!」
 ぱっ、と身体を離してソラウが謝ると、しぶしぶといった様子で他の皆も離れ。
「ハロウィンだもんね! お菓子あげるよ!
 さあ行こう! 歌姫の世界へ!」
 クロノドラグマ星人としてソラウが歌を紡げば、広がる『時空の歌唱世界』。
 ユーベルコードで創り上げた空間に、ペンギアット・ペンギゲイザーが丸い目をさらに丸くして驚いていると。
「ようこそペンギンさん! この世界は君が考えた事が現実になるんだ!」
 ソラウが両腕を広げ、ほら、と促すように笑う。
 信じられないような、訝しむような表情を見せたペンギアット・ペンギゲイザーだけれども。それじゃ試しにと、ハロウィンの合言葉を口にしてみれば。
 ぽんっと召喚されるカボチャマフィン。
「ほら、本当でしょ?」
 再び驚き目を見開くペンギアット・ペンギゲイザーへ、ソラウは笑いかけて。
 自身でも空想し、それを実現させると。
「ペンギンさん、ちゃんと全部食べてね? お土産のお菓子もあるからね!」
 手にしたハロウィンなお菓子をずいっとペンギアット・ペンギゲイザーに押し付けた。
「確かにすごいし献上品は良い心がけではあるが、いかんせん我は満腹で……」
「うん! 喜んでくれてよかったよ!」
「人の話を聞け! そして菓子を増やすでない!」
 どんどん増えていく菓子に抗議するペンギアット・ペンギゲイザーだが、ソラウはにこにこ嬉しそうに笑っていて。ライズサンもエミリアーノも止める様子すらない。
 さらにはマーアリアもその手にお菓子を召喚して。
『いちご味の飴もあるよ』
「だからいらんと言うに!」
『…………』
「無言で我を撫でるでないわ!」
 反論虚しく、お菓子に埋もれていくペンギアット・ペンギゲイザー。
 暴れるその姿は、だが逆に、お菓子に喜んではしゃいでいるようにも見えるので。
『ティナにそっくりですね……無邪気な所が……』
 マーアリアはどこか懐かしむように、そして寂し気に呟いていた。
 その間にも、ソラウがお菓子を増やし続けていたから。
「もう菓子はいらぬわ!」
 ついに怒りが爆発するペンギアット・ペンギゲイザー。
 そこでようやく、お菓子の召喚が止まり。
(「トリートがだめならトリック? じゃあ驚かしてみよう」)
 そう考えたフラーウムは、胸にある鳥形の宝石『封印石・ディストーション・オベイ』を捻るとユーベルコードを発動させ、自身の姿を『ディストーション・オベイ』へと変化させた。
「グォォォォォォォォォ!」
 その咆哮は、その姿は、根源的な恐怖を与えるものだと思っていたけれども。
「な、何だ!? 仮装か!? 早着替えであるか!?」
 ペンギアット・ペンギゲイザーは、変身に驚いてはいるものの、怯えてはいない様子。
 確かに、ソラウはジャック・オー・ランタンを模したオレンジ色のスカートが目を惹くドレスを身に纏っていたし、ライズサンは吸血鬼の、エミリアーノは魔女の仮装をしていた。マーアリアの帽子もカボチャなデザイン。
 そんな彼女達と並べば、フラーウムの変化も仮装とみなされるのかもしれないが。
 目を瞬かせ戸惑うだけのペンギアット・ペンギゲイザーに、フラーウムこそが驚いた視線を向けて。
『不思議だね……
 ミニスター・ブラックの様に猟書家はディストーション・オベイを恐れないようだね』
 マーアリアも首を傾げるようにして呟く。
「彼はよくも悪くも真っ直ぐなのでしょうね」
『ディストーション・オベイとの共存の道もあったのかな……』
 しみじみと言葉を交わしながら、フラーウムとマーアリアは、ペンギアット・ペンギゲイザーをじっと見つめていた。
 その不思議な視線に、そして理解できない会話に、ペンギアット・ペンギゲイザーは何となく居心地悪そうにそわそわし始めると。
「ええと……うむ、見事な仮装であった。
 だが、まだまだ銀河皇帝ペンギンである我の愛らしさと高貴さに敵うものではないな。
 今日の所は見逃してやるゆえに、出直してくるがよい!」
 何か勝手なことを一方的に宣言する。
「さらばだ!」
 そして、赤マントを翻し、沢山のお菓子を置いたまま、ユーベルコードが創り上げた空間から逃げ出していった。
 ひらひらマント越しに見える灰色のまん丸い背中に、あっ、とソラウが気が付いて。
「また来てね! ペンギンさん!」
『元気でな!』
『また遊びましょう!』
 ライズサンとエミリアーノと共に手を振る。
 マーアリアも後ろ姿を見送って。
 フラーウムもまた、別れの咆哮を響かせた。
「グォォォォォォォォォ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
引き続き虹色氷像の仮装
正直しんどくなってきたのですが、ここで折れては他の仮装した人々に失礼でしょう

うーん…それにしても可愛らしすぎる相手です
巨大なドラゴンよりも、狡猾な魔術師よりも、遥かにやりにくい相手です
まあ、あんな目(氷漬けにして晒し者)に合わせておいてなんですが

ペンギンといえど、相手は銀河皇帝の誇りに満ちた男
私も偉そうにしたら張り合ってくるでしょうか

えー、コホン
…待たれよ、ペンギアットなる者。わた…妾は冬の化身にして、凍土を統べる女帝。氷鱗の竜姫、チル・スケイルなり
とぼけても無駄です…である。汝の策謀、既に暴かれたり
フ…悔いているか?汝が真の帝と言うのなら、己が最後を受け入れよ。戦場にて散るのが作法でしょ…であろう

大杖から氷の砲弾をぶっ放し、氷の大爆発で仕留めます

せめて骸を晒すことなく、風と共に去るがよい…なんてね



 赤いマントを翻し、猟書家『ペンギアット・ペンギゲイザー』は走り行く。
 ハロウィンの菓子集めコンテストと思っていたら、賑やかな仮装パレードが行われていたはずの大通りからいつの間にか誰も居なくなり。不穏な空気に戦略的撤退を試みたところ、ことごとく猟兵達に先回りされて。目隠しされもふもふされ吹き飛ばされ、ビーチバレーからホームランと思えば、ハンドベルの演奏に駆り出され。揚げたてカボチャにベビーカステラの山を経て、早着替えな仮装に驚き、また走り出したところで。
「……待たれよ、ペンギアットなる者」
「なっ、何者であるか!?」
 冷ややかな声に呼び止められ、慌てて振り向くペンギアット・ペンギゲイザー。
 そこにあったのは、美しい虹色に輝くドラゴニアンの氷像。
 と、普通なら思うのだが、ペンギアット・ペンギゲイザーはパレードで一度会っていたから。それが仮装したチル・スケイル(f27327)であると瞬時に見抜き。
「お前は……我を氷漬けにした不届き者!」
 びしっと短い手でチルを指差すと、警戒の眼差しを見せる。
 そのふわふわもこもこなまん丸い姿を、クールに見下ろしたチルは。
(「正直しんどくなってきたのですが」)
 実は結構頑張ってました。
 全身氷の真の姿になっているのは兎も角、虹色に変化させた魔力を全身に巡らせ続けているのだから。美しさには見えない努力が必要であると体現しているような状態。
 もうパレードも終わっているし、観光客は皆避難して、見ている人が少ないとなれば、そこまで全力投球しなくてもいいのではとも思うのだけれども。
(「ここで折れては他の仮装した人々に失礼でしょう」)
 折角のハロウィン。折角の仮装。
 そこに並び立つのだからと。
 そしてチル自身が納得できる仮装をやり遂げるためにも。
 チルは虹色氷像の姿を見事に保ち続けていた。辛いけど。
 その心意気溢れる美しさに圧倒されてか、ペンギアット・ペンギゲイザーは無意識に1歩後ずさる。
 じっとチルを見つめる表情には、警戒か畏怖かと思うような緊張が満ち。敵意を示すように睨み付けているらしいのだけれども。
(「うーん……それにしても可愛らしすぎる相手です」)
 まん丸ふわもこボディに円らな瞳なペンギアット・ペンギゲイザーに恐れ戦けという方が無理なので。
 チルも静かに、ペンギアット・ペンギゲイザーを眺め愛でていました。
 だがしかし、如何に可愛くても、ペンギアット・ペンギゲイザーはオブリビオンでありスペースシップワールドを侵略する猟書家。
 倒さなければならない相手、だから。
(「巨大なドラゴンよりも、狡猾な魔術師よりも、遥かにやりにくい相手です」)
 このままその愛らしさを眺めているだけでは終われないことを残念に思い。
 チルはこっそり溜息をつく。
 ……でもさっき、氷漬けにして晒し者にしてましたよね。
(「それはそれです」)
 あ、そうですか。
 ともかく。
 チルは気を取り直すように、コホン、と咳ばらいを1つすると。
「えー、わた……妾は、冬の化身にして、凍土を統べる女帝。
 氷鱗の竜姫、チル・スケイルなり」
 虹色に輝く氷の身体を見せつけるように堂々としたポーズを取り、偉そうに名乗りを上げてみる。
「女帝だと!? 勝手なことを!
 我こそが帝、我こそが銀河皇帝ペンギンである!」
 狙い通り、ペンギアット・ペンギゲイザーが張り合うように名乗り返し。そのまん丸で灰色な身体に満ちているであろう銀河皇帝の誇りを見せつけるように、ふわふわもふもふな胸をばーんと張って、見せつけてきた。
 チルは、その柔らかな毛並みと頑張る仕草を愛でていることを気付かれないように、ことさらクールに演技を続けて。
「このリゾートシップを帝国継承軍の配下にせんと画策しながらも失敗し、逃走までしてなお銀河皇帝ペンギンを名乗れるとでも?」
「なっ……そっ、そんなことはないっ!」
「とぼけても無駄です……である。汝の策謀、既に暴かれたり」
 必死に否定するペンギアット・ペンギゲイザーを、冷ややかに見下ろすチル。
 皇帝と女帝の直接対決、という尊大な雰囲気を作ろうとしている2人ですが。
 ふわもこペンギンと虹色に輝く仮装……緊張感は当人達が思う程には生み出されていないようです。まあ仕方ないですよね。
 しかしペンギアット・ペンギゲイザーもチルもそれを気にせず。もしくは気付かず。
 誇り高き演技を続け。
「くっ……我が野望もここまでか……」
「フ……悔いているか? 汝が真の帝と言うのなら、己が最後を受け入れよ。
 戦場にて散るのが作法でしょ……であろう」
 何となくクライマックスな感じを作り上げたところで。
 チルが構えるのは大杖『ラケート・ランティーロ』。
 魔法の杖、と言っていますが、見た目は完全に大砲です。
「何であるかそれはー!?」
 チルの肩に担がれた、個人で保持できるサイズとはいえ中々に大きな砲筒に、思わずツッコむペンギアット・ペンギゲイザーだけれども。
 チルは気にせず、巨大な氷の魔法弾『氷術・爆』をぶっ放した。
 巻き起こる氷の大爆発。
 リゾートシップをも震わせる程の衝撃を辺りに広げ。
 その只中に、灰色のふわもこな姿が消えていく。
「せめて骸を晒すことなく、風と共に去るがよい……」
 ラケート・ランティーロを肩から下ろして携え、ペンギアット・ペンギゲイザーがいた辺りを静かに見下ろしたチルは。
 王冠もマントも、そのふわもこな灰色の毛の一本すらも、存在した痕跡が欠片も残らぬハロウィンな景色に青い瞳を細め。
「……なんてね」
 虹色の顔に、ふっと少しお茶目な笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月21日


挿絵イラスト