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【サポート優先】骸まで、満月まであと少し

作者：椿油

　これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです（通常参加者を採用する場合もあります）。

●骸の力が弱まる今、顕現する者なり
　カクリヨファンタズムに、満月の力が満ちていく。それを楽観視出来ない猟書家が一人。
『石抱きの井戸よ……力を我に』
　石抱きの井戸にすぅ、と手をかざすと――なんとカクリヨに召喚されるUDCアースの地域。どうやら関東地方の山岳地帯のようだ。
『我が肉体よ、今回収してあげよう……暫し待っていておくれ』

　が、共に召喚されたUDCアースのUDC組織関東支部のエージェント達が黙ってはいなかった。
「な、何故こんな場所に!?」
「きっとこのオブジェクトを狙っているに違いない！」
　なんと猟書家の狙う「肉体」は現在UDCオブジェクトとして保護下にあるのであった。

『わ、僕達が見えるんですか？　嬉しい……！』
『たっぷりおもてなししましょう！』
　と言いながら襲い掛かる、骸魂に飲まれた妖怪達。
「あれはUDC-Nullか!?」
「何故こんなに沢山……！」
『その肉体を我に寄越せぇぇ……！』

　現場は混沌を極めていた。

●グリモアベース
「皆、もうちょっとでカクリヨファンタズムの猟書家の侵攻を抑えられそうよ！」
　グリモア猟兵、ジェルダ・ヒーメィ（銭の亡者・f27900）が嬉しそうに笑う。
「でも何か今大変な事になってて……予知見てくれた人は概ね察せたと思うけど、肉体が欲しい猟書家VSオブジェクトを護るエージェントの戦いが勃発しかけてるわ」
　ついでに尖兵として妖怪の子供達が付いてきている。戦況は若干思わしくない。

「ここでUDCエージェント側について、オブジェクトになってる肉体を護ればいいってわけね！　でないと猟書家が召喚された地域全体を喰らい始めちゃうかも……無鉄砲に」
　手あたり次第探すのがこの猟書家のやり方であった。

「それじゃ、健闘を祈るわね！」
　ジェルダはグリモアによる転移を開始したのだった。

第1章 集団戦 『骸魂童子』

POW   :    怪力 レベル×1tまでの対象の【尻尾や足】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。 SPD   :    霊障 見えない【念動力】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。 WIZ   :    鬼火 レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。 イラスト：黒江モノ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「水心子真峰、推参。――さて、真剣勝負といこうか」
　真峰は太刀を操作して骸魂童子を相手取るため、UC《錬成カミヤドリ》を早速発動して、129個の自身の本体を複製する。
『わあ、太刀がこんなに沢山。僕らと遊びましょうよ』
　太刀に向かって念動力を放つ骸魂童子。それに対抗して精密に操作をして躱す真峰。

「お前達は何故『遊び』たがる？」
　マホルニアはドラゴンランス【レヴィアスク】を取り出しつつ知覚端子を張り巡らせ、演算及びUC《位相系枢式：叫ぶ大釜》を発動し、事象の地平線を発生させる。
『なぜ、ですか……なぜでしょう。遊びたくて、たまらないのです』
　地平線は重力を発生させ、骸魂童子を押していく。

「よし、シールド展開！　行くぜ｜相棒《ライ》！」
　陽里はUC《ゴッドスピードライド》を発動して宇宙バイク【ライ】を変形させ、騎乗する。
『わわ、早い……！』
『かわせないですー』
　骸魂童子達はシールドバッシュを受けて吹き飛んでいく。

『むむ、ですが僕達も負けていられないのです……さあ、遊びましょう！』
　どうやらこの骸魂童子、遊ぶ事で骸魂を吐き出すらしい。
「それなら、どの太刀が攻撃してくるか読む遊びをしようか」
　真峰は骸魂童子の周囲に太刀の複製を展開し、くるくると回している。どれもが攻撃してきそうな動きをしていて、骸魂童子はハラハラしながら避けるか避けまいかを選んでいた。
『これです！』
「惜しい、そっちは『ふぇいんと』だ」
　太刀の攻撃を受ける骸魂童子。
『あうっ！』

「遊びたがる理由も特にない、という事か。なら答えが出る事はないだろうな」
　マホルニアは重力に潰されそうになっている骸魂童子に【レヴィアスク】をぶつけていく。
『遊ぶのに理由なんて必要なんですかぁ～』
「あるだろう、暇だとか友達が欲しいだとか」
　マホルニアがヒントを与えるも、理由はないと首を振る骸魂童子。
『とにかく……遊びたいんです！　それが理由ですう！』
　だが、それでは事象の地平線は満足しないようで引き続き重力が押しつぶしてくる。
『ええ……これでもダメなんですかあ……』
　そして、重力の圧で気絶した骸魂童子。

「｜相棒《ライ》のスピードを躱せるか遊ぼうぜ！」
『命がけな遊び……ですがその提案乗りましょう！乗り物だけに！』
　重力にやられていないフットワークの軽い骸魂童子が陽里の操縦を見切れるか、向かってくる【ライ】を見て反復横跳びの構えだ。
『右っ！』
　右に飛んだ骸魂童子。陽里の運転テクニックは反復横跳びの素早さを見ても尚早く舵を切り、シールドバッシュで再び吹っ飛ぶ骸魂童子。
『難しいです～！』
「さ、満足したら骸の海に還ってもいいんだぜ？」
『いいえ、まだ躱せてません……！』

　その後も太刀に斬られ、重力に潰され、バイクに吹っ飛ばされた骸魂童子達。
『あはは、強いなぁ……』
『疲れましたあ』
『ちょっと休憩しますね～』
　骸魂が自然に抜けていった、骸魂童子であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「つまり……遊べばこの子達は満足してくれるのね？」
　パルピは骸魂童子を見て呟いた。
『ええ、遊びましょう！　手段は問いませんので』
　そう言いつつ、骸魂童子は鬼火を毬のようにふわふわと灯し始めた。
「じゃあ、これでもいい？」
　鋼糸【雨紡ぎの風糸】を取り出して糸で縛るつもりのパルピ。
『糸だと燃えちゃいますよ？』
「当たればいいのよ、えいっ！」

　当てた意味はUC《どこでも井戸端会議》のため。命中と同時に発動させ、「おしゃべり妖精のお友達の印」を骸魂童子に付与していく。そして、次々出て来るかしましおしゃべり妖精達。
『え、えーっとこれは？』
「わあ貴方可愛いわね～」
「将来イケメンよ！　絶対そうよ！」
『い、いやーそんなぁ……』

「ちょっとばかり付き合ってあげて……」
　パルピは密かに見守る。これもまた、遊びだろうか。

「炎対決ですね！」
　スピレイルはUC《精霊印のグレネードランチャー》を発動し、精霊銃である【精霊印の突撃銃】に炎の精霊を射出するグレネードランチャーを付与した。
『負けませんよ！』
　鬼火VS炎の精霊。突撃銃の方がスピードは速く、射出された炎の精霊達は鬼火のふよふよした動きなど目にも留めない。
『わわっ、弾幕のようです……！　しかし負けていられない！』
　蹴鞠の動きで鬼火攻撃を始める骸魂童子。山なりに飛んでくる鬼火に伏射では避けるのが難しく、スピレイルは移動しながらの攻撃に切り替えた。

「少し命中精度が下がりますけど、炎の精霊さんなら大丈夫なはず」
　その通り、大丈夫だった。射出される炎の精霊は鬼火を取り込んで遊び始めた。
『えっ、吸収なんて卑怯ですよぉ！』
「炎を司る精霊ですから！」
　なお射出する度に3Gかかっているが今回は特別に、100発ほど撃っているスピレイルであった。

「炎で遊ぶなんて難易度の高い事してくるね」
　トオルは炎で遊ぶのは出来れば避けたい。早速UC《ヒプノシスリストラクション》を発動し、眼鏡から点滅する光を次々と放っていく。
『えー、遊びましょ……すぅ』
　催眠状態に落として、そのまま鬼火を撃たないように骸魂童子には横になっていてもらう事にした。
「よし、オッケー。後は……」
　オーラ防御の力で、スピレイルの弾幕が撃ちやすいように蹴鞠の鬼火を阻止しにいく。
『あれ、鬼火が消えた！　どうして!?』
「少しだけ盾を作ったからね。こちらから撃ちやすいように配置しておいたよ」
『そんなー！』

　その頃、おしゃべり妖精達は。
「ねぇあなた何歳？」
『ええと、享年10歳です……』
「えっもう亡くなっちゃってるの!?　もったいない美男子なのに～！」
『美男子だなんてそんな、褒めても何も出ませんよ～』
「ねぇねぇ、何が趣味なの？　あっちの子みたいに蹴鞠？」
『まあ和風の物なら……じゃあ一緒に鬼火で蹴鞠します？』
「あはは、わたし達には無理よ～！」

「(まだ話続けてるわ……)」
　パルピはずっと見守っていたが、結局満足したのか場に居た全員が骸魂を吐き出してくれたようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『嫦娥』

POW   :    月陰退弱陣 自身が装備する【小型の骸の月】から【身体活性を静める月陰波動】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【真の姿・強化効果無効】の状態異常を与える。 SPD   :    陰陽反転光 自身からレベルm半径内の無機物を【陰陽反転体】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。 WIZ   :    月影侵蝕魂 骸魂【「嫦娥」が対象】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【魔力と対象の精神力】を消費し、無くなると眠る。 イラスト：山本　流 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

『さあ、我が肉体になるがいい』
　嫦娥は己を憑依し猟兵をオブリビオン化させるべく、ふわふわと近づいてくる。

「《月影侵蝕魂》は厄介ですね……憑依されないようにしないと」
　メイリンは竜槍【シリウス】を構えながら冷や汗を垂らし、いつでも攻撃が来ていいように距離を適度に保っている。

「こういうのはさっさと決めちゃった方がいいんですよ。というわけで一発」
　エリーはUC《念動エクスプロージョン》を発動し、視線を向けて嫦娥に破裂する念動力をぶつけたのち、距離を取る。
『ぬしの念動力、なかなか効くな……』
　何せエリーの念動力技能は556である。これを当てられてなかなか効くという嫦娥も嫦娥だ。

「――そうだねっ！　ぱぱっと決めて退場してもらった方がいいかなっ？」
　レモンはUC《憑装・蛇塚ホムラオロチ神楽》を周囲に落ちている石などに向けて発動し、裁きの神火に変換して嫦娥を自動追尾させる。
『ふむ、追尾するか』
　むやみに避ける事はせず、己の急所を避けるようにあえて被弾させていく嫦娥。
「何か考えがあるのかなっ？」
『その通りよ……ぬしの身体、もらい受けた……』
「えっ」

　被弾しつつ接近し、《月影侵蝕魂》をレモンに向けて発動する嫦娥。
「レモンさん!!」
　メイリンはまさか本当にその手で来るとは、と動揺していた。

『さあ、この娘を攻撃するか？』
「するしかないでしょう――！」
　メイリンはUC《飛竜の覚醒》を発動し、急いで、かつ仕方なくレモンを攻撃していく。
「すみません、もう少しの辛抱です！」
　竜槍【シリウス】で攻撃していくうちに、少しずつレモンの精神力も削れていく事だろう。それを待つしか今は手が無い。
「これは、攻撃をするしかないですかね。ちょっと潰れる感覚しますよ」
　エリーもその高い力の念動力を使ってレモンを締め付ける。

「痛いっ……あたいを解放して、嫦娥っ！」
『ほう、まだ自我があったか……』
　幸いにもレモンの自我が残っていた。だがそれは仲間の辛さが増すだけだ。

「眠るように気絶していてもらいましょう、ごめんなさいね」
　エリーは念動力の力を更に強め、レモンが気絶する丁度良いきつさに締め上げた。
「うっ……」
　レモンが気絶すると、嫦娥はレモンから離れる。
『気絶させる事で精神力を断絶させたか……ぬしら、なかなかやりおる』
「流石猟書家、卑怯な手を使いますね……！」
　メイリンは自身を強化した強さの反動で昏睡に陥る前に、嫦娥を攻撃しまくる。
『痛いわぁぁ……！』
「これはレモンさんも受けた痛みです!!」

　メイリンが昏睡すると、エリーはレモンを介抱しつつ念動力で攻撃を始める。
「アナタも気絶すればいいと思います」
『おお、こわやこわや。そこまで報復するか……』
「猟兵ならごく当たり前の感情ですけどね」

　エリーが念動力をぶつけにぶつけた所で、嫦娥は一旦後ろに下がる。
『疲れた、休憩させておくれ……』
　肉体を求める嫦娥はほぼ精神体のみ。消耗すれば何も出来なくなる、そこが狙い目だろうか。猟兵達は残酷な仕打ちへの反撃を完了させ、同じく撤退するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「なるほど、肉体を探している精神体という事なのね」
　愛はバスタードソードを二振り、【オーバー・ハートブレイク】と【ハートフルソード】を構える。
「よーし、ここは麗ちゃんに任せておくのだ」
　麗刃は何を思ったか、UC《ひき逃げ》発動。名前そのまんまに乗り物に乗って発進。
『な、何をぉぉ……!?』
「どけどけどけどくのだぁぁ!!」
　シリアスをブレイクするが如く嫦娥を轢いていく麗刃。ほとんど精神体だがUCなのでダメージはかなり大きく通った。

『ぬぐおおぉぉぉぉ……！』
　ひび割れた小型の骸の月を抱えながら悶える嫦娥。密かに月から力を弱める波動を放っていたが、強化効果など無い単純な攻撃ゆえにあまり効かなかったようだ。

「よし、任務完了！　さあゆくのだ」
　お次どうぞと麗刃は愛にハンドサインを送る。
「あ、はい」
　愛はUC《ダブルハート・スラッシュ》を発動、二振りのバスタードソードを振りかざし嫦娥へ攻撃する。
「精神体に効くか分からないけど、さっきのひき逃げが効いたならこれも効くはずよ！」
　二振りが命中し、切断を伴う攻撃が――そう、確かに骸の月がパックリと切断された。
『あぁぁ、大事な骸の月がぁぁぁ……！　何をしてくれる！』
「やっぱり肉体が無いから切断できるのは『そこだけ』だった、という事ね」
『たかがそこだけ!!　されどそこだけだぁぁ……!!』

　怒りが溜まる嫦娥に、追撃を与える愛と麗刃。
「UCが効いたなら、精神体でも攻撃は効くはず！」
「せっかくだからサムライブレイドで斬ってみるのだ」
　例え当たりがスルリと通り抜けるようでも攻撃を与え続ける麗刃。
『むやみやたらと精神体を斬るなぁぁ……！　精神体でも斬られたと感じるだけでダメージぞ……！』
「これが本当の精神ダメージなのだ！」
『上手い事言ったつもりかぁぁ……！　ああ、もう疲れた……少し休ませておくれ』

　精神体に溜まるのは精神ダメージ。それは間違ってはいないようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「猟書家の嫦娥様ですね」
　嫦娥が休息していると、突如声がした。
『……む、誰ぞ』
　振り返る方向にはまたしても猟兵と、嫦娥は少し落ち込む。
「私はドゥルール。オブリビオンの救済者です。肉体を御所望でしたら私の肉体など如何でしょう？」
『ほう、救済……面白い事を』

　乳を揺らすドゥルールがなかなか良いバディだと感じた嫦娥。好機とばかりにドゥルールに飛び込んでいった。

　――が、ドゥルールはそれと同時に守護霊の加護を己に憑依させ、対抗する。
『確かに良い身体をしておる……よし、そのまま我が肉体として動け……！』
　ここでドゥルールはUC《挽歌・猫淫公宴》を発動。爆乳猫娘の『うしねこ』を召喚して触れ合い、嫦娥は驚異かつ脅威かつ胸囲の格差社会による精神ダメージを負った。

『やめい!!　やめんかぁぁぁ……!!　って、何故操られぬ!!』
　その間にも、ドゥルールは愛の力で回復し続けている。精神力は減っていかない。その上、ドゥルールに魂レベルで刻み込まれた媚毒の呪詛が嫦娥を多幸感に包んでゆく。

『あ……、おぬし、それが目的で……っ！』
「ふふ……ダメですよ、嫦娥様。もう逃がしません。私達と一緒にイキましょう♥」
　嫦娥が肉体から抜け出そうとしても、無理やり金縛りを起こして抜け出せなくさせるドゥルール。
『うぐ……ぅ』
　嫦娥は己の力が抜けていくのが分かる。魔力が減るというより、今まさに生命力がじわじわと食されているのだ。
「さ、永遠に一つに♥」
『そう、よな……おぬしが折角貸してくれた身体、抜け出さなくともこのまま一緒になろうぞ……？』
「そうそう♥」
　その間にも生命力を食らうドゥルール。

『良き身体であった……』
　嫦娥の意識が遠のくのをドゥルールは感じ取れた。生命力が限界を迎えているらしい。このまま、魔力はそのままにドゥルールの一部となるのだろう。

『ありがとう、ありがとうドゥルールよ……我は幸せだ……』
　それを最後に、嫦娥の声は聞こえなくなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年11月07日