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銀河帝国攻略戦㉖～暗号解読作戦

作者：結衣謙太郎

●暗号解読開始
「銀河帝国攻略戦はいよいよクライマックス。みんなのおかげで順調だよ。まずはそこに感謝を」
　水島・可奈（少女自由に夢幻を掴め・f01117）は猟兵たちの前でにこやかな顔でお礼を言った。だがすぐにその顔はまじめさを取り戻す。
「アマルテア情報艦隊の情報によると、拉致された有能な科学者や技術者が帝国旗艦インペリウムの科学技術センターで働かされているらしいから、ここの救出に今回行こうと思う。
　ただ……あんまり乱雑な方法はしないでほしい。実は生体コンピューターの部品として科学技術センターの中央コンピューターの一部に組み込まれているらしくて、無理やり引きはがしてしまうと、こう――ブチって。意識が焼ききれて死んじゃう」
　じゃあどうすればいいんだ、と猟兵たちから声が上がる。
「正当な方法でやればいい。管理者権限で救出しようとするとコンピュータが謎を提示するらしいから、正しい解答を入力すれば、管理者権限が認証されて下してくれるはず」
　とんだ『秘密の質問』だ、と一部猟兵から声が上がった。
「ちなみに何度も失敗すると……その、強制的にブチっとなってヤバいらしいから、くれぐれも気をつけてね……」
　そこまで言うと、可奈は1つの紙を配る。そこには、こんなことが書かれていた。

『皇帝が死神となり、恋人も悪魔と化すこの希望なき世界。嗚呼、正義は何となってしまうのか』

「答えがわかったら私に言って。転送するから。ああ、あと、救出対象は相当弱っていると思うから、できれば何か救出した後のお世話をしてあげると喜ぶと思うよ」
　その言葉を聞いているのかいないのかわかんないが、猟兵たちは紙を前に思考を始めた……。

第1章 冒険 『中央コンピューターの謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●完全に嫌らしい
　転送先。冒涜的な外見の木が見つめる中。
　久留米・圓太郎（自称魔法使いの一番弟子・f00447）は自分の師匠の幻影を召喚し、そして、怒られていた。というのも。
「師匠の得意にしてたタロットカードの大アルカナの数字、と見た！　師匠、見せてください！　と言ったらいったい私は何を教えたと思っているんだって……」
　久留米の師匠は護符による魔法を得意としている。そこで見せてほしいといきなり頼んだのだが、叱られた挙句結局見せてくれないので記憶を頼りに思い出す。
「えーと、皇帝は、４。死神は、１３。恋人が６で、悪魔は１５」
「なるほど、皇帝、死神、恋人、悪魔、そして正義。全てに共通するのはタロットカードの絵柄だ……確か、アルカナ、というんだったか？　つまり……皇帝と恋人、それぞれ9つ数字を増やすと、死神と悪魔になる」
　シキ・ジルモント（人狼のガンナー・f09107）が口を挟むように整理する。そう、タロットカードの番号が9ずつ増えている。ここまではわかりやすいのだ。ここまでは。
「希望は…ないか、世界が２１で正義が…ええと、どっちだ？　８か１１か…」
　と、久留米が悩む中。
「『正義』は１１番。つまり、２０番の大アルカナ、『審判』が答えです」
　さっさと答えを導いて入力装置に入力しようとするシーマリネィア・シーン（聖竜騎士・f12208）。しかし。
「待て、俺の記憶だと『星』になるが」
　シキが口を挟む。シキの記憶では正義のアルカナから同じ分――9だけ先を見ると、星になるのだ。先ほど久留米が言った正義を8とした場合がこれになる。
　どっちが合っているんだ――現場に一触即発な空気が流れる中、子気味よいカードをきる音が聞こえる。
「嫌らしいのう……？　なにせ正義を持ってくるのが嫌らしい。場合によって数が変わるからのう。きたない流石オロチきたない」
　手元で22枚のカードをきりながら口を挟むウルフシャ・オーゲツ（しょしんしゃ・f00046）。
「おそらく答えは『星』か『審判』で正解じゃろう。数を引くとなるなら『愚者』か『女教皇』という可能性もないではないが、条件的に考えれば低かろう」
　この辺は共通認識だ。
「正義が、8か、11か……」
　久留米が悩みだす。そこでシキが久留米の肩をポン、と。
「なら、試してみればいい。1回なら、大丈夫だろう」
　促されるように『１１』、と久留米が震える手で入力――しようとしてギリギリで師匠の幻影が慌てて遮る。
「いや、それ正義の番号じゃない」
　シーンが呆れたような顔で言う。求めるのは『正義が何になるか』なのだ。完全に震えている久留米を押しのけ、シーンが『審判』と入力。すると。

『希望なき世界に、正義は審判となり復活の時は来たれり。汝が願い、果たされた』
　その言葉が表示され、木から1人の科学者が切り離されるように落ちる。シキがそれを素早くキャッチする。科学者が目を開けると驚いたように体をこわばらせる。
「大丈夫だ、俺達は解放軍だ。あとは任せろ」
　久留米が師匠の幻影に抱き着こうとするもただ震えていただけだろうと叱られる中、すぐに回復のUCを使う。シキも応急手当をする中、解放軍が来たと言うことに安心したのか再び眠ってしまった科学者を見て、シーンがフェアリーランドのUCで壺に科学者を保護した。
「……占いなど信じていないが、雑談程度に聞いた知識が意外な所で役に立ったな」
　シキがふと、そうつぶやいた。

「ふむ、正位置の話にはなるが、星は希望という意味を持つ。そして審判は復活という意味――即ち、この科学者の解放か、それとも銀河帝国の復活か――」
　ウルフシャがつぶやく。どちらなのかは制作者のみぞ知るだが――
「そうか、希望なき世界、だから、希望の意味を持つ星は不正解――」
「でもタロットカードの意味は解釈次第です。つまりこれは制作者の勝手な考え……そこまで考えるとなかなか意地悪ですね。こんな謎を作ったドクター・オロチ……」
「もともと管理者権限だしな……解かせるつもりはないんだろう」
　ドクター・オロチへのヘイトを高めながら、解放した科学者を安全な所へと移送するため猟兵たちはその場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月17日