反抗のランタンを守れ
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「『ハロウィン』だと? まったく、ふざけた催しだ」
闇と血と死の匂いを引き連れて、荒涼たる野原を往くオブリビオンの軍勢。
その中央にて指揮をとる、銀髪のヴァンパイアの青年は、吐き捨てるようにそう呟いた。
「あいつら人間どもはクズだ。俺達の気まぐれで生かして貰っているだけの雑魚が、何を思い上がっているんだか」
彼――ミスト・ヴァーミリオンにとっての人間とは、そこらの虫けらや雑草と同じ価値しか持たない。
否、自分達ヴァンパイアと比べれば、この世の全ての種族は下等なもの。頭を垂れて大人しくしていればいいものを、ハロウィンなどという妙な祭りを開こうとしているとは。
「どうやら、馬鹿の脳味噌にも分かるように教えてやらないといけないらしい……さあ行け、お前達。この先の村にいる連中を皆殺しにしろ」
ミストが号令を発すると、軍を形成する|影の騎兵《シャドウライダー》が進軍速度を上げる。
この「反乱討伐軍」が目的地に到着するまで、あと少し。ハロウィンの準備で盛り上がる小さな村に、危機が訪れようとしていた――。
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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ダークセイヴァー下層にて、ハロウィンの祭りを開こうとしている村が、オブリビオンの襲撃を受けると予知しました」
上層への道が開かれて以来、猟兵の活動もそちらが中心となっていたが、その間下層でも時が止まっていたわけではない。世界を人の手に取り戻すために戦う「|闇の救済者《ダークセイヴァー》」と、邪悪なヴァンパイア達の戦いは依然として続いているのだ。
「昨年の今頃に猟兵がハロウィンの文化を伝えたことで、今年のダークセイヴァーでは各地で自発的にハロウィンの祭りを行う村も、ごく僅かですが出てきたようです」
今日を生き延びるだけでも必死で、祭りなどを行う余裕など皆無だった昔に比べれば、人々の意識も前向きに改善されている証だろう。心身ともに余裕がなければ、そもそも祭りを開こうという考え自体が出てこないはずだから。
「せいぜいが畑でとれた南瓜をランタンに仕立て、くり抜いた中身を料理する程度のささやかなものですが、それでもこの世界の人々にとっては確かな『楽しい非日常』であり、『支配への抵抗の証』です」
辛い日常に耐え、反抗の意志を絶やさないためには、こうした息抜きのできる機会も必要だろう。
一見小さなことの積み重ねが闇の救済者達の力となり、吸血鬼の支配を揺るがす原動力となるのだ。
「ですが勿論、ヴァンパイア側の領主もそれを『人類による反抗の高まり』と理解し、村ごと徹底的に叩き潰そうとしています」
不穏な種火は早い内に消しておくに限る。領主は多数のオブリビオンによる「反乱討伐軍」を差し向けて、ハロウィンの祭りを行う村を滅ぼすつもりだ。他の領民に対する見せしめも兼ねて、女子供や老人に至るまで、一人も生かすつもりはない。
「せっかくのお祭りを惨劇の舞台にさせるわけにはいきません。至急村に向かって、領主の討伐軍を迎撃して下さい」
討伐軍は数こそ多いものの、その大半は下級のオブリビオンで構成されている。上層を含めた数々の世界で戦いを経験してきた今の猟兵なら、決して恐れるほどの相手ではない。逆に返り討ちにすることで、反抗の機運をさらに高めるいいチャンスだ。
「反乱討伐軍の主力は『シャドウライダー』。影法師のような姿をした騎兵のオブリビオンで、個々の意思は薄く主の命令に本能的に従います」
一体の力は弱いが数が多く、また倒された仲間を補充するユーベルコードも持つため、完全に殲滅するまでは油断は禁物だろう。数の暴力に警戒しつつ、速やかに敵を一掃するような作戦が有効だろうか。
「そして討伐軍の指揮官を務める吸血鬼の名は『ミスト・ヴァーミリオン』。吸血鬼としての霧化の能力を極めた強力なオブリビオンで、『災厄の霧』の異名を持ちます」
ミストはヴァンパイアこそが至高の種族だと考えており、人間を含めたその他の種族をことごとく見下している。そんな彼が反抗の意志を見せる領民にどれほど苛烈な罰を与えるか、想像するだけでも悍ましい。
「ミストを討伐し、討伐軍を返り討ちにすれば、今回の依頼は成功です。どうかよろしくお願いします」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ダークセイヴァー下層への道を開く。
かの常闇の地で人々が灯すささやかな反抗の兆し――ハロウィンの祭りを守るための戦いが始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはダークセイヴァー下層にて、ハロウィンのお祭りを開こうとしている村を、ヴァンパイアの討伐軍から守る依頼です。
1章は反乱討伐軍の『シャドウライダー』との集団戦です。
数こそ最大の武器とするオブリビオンであり、個々の力は強くありません。一気に殲滅しなければ味方を増やし続けるので、長期戦よりは短期決着を狙うほうが戦いやすいかもしれません。
2章は討伐軍のボスである『ミスト・ヴァーミリオン』との戦闘です。
ヴァンパイア至上主義を掲げるいかにもな「悪い吸血鬼」です。霧化の能力に熟達した強敵ですが、今の猟兵なら勝てない相手ではないでしょう。彼を撃破すれば討伐軍は総崩れとなります。
無事に反乱討伐軍を返り討ちにできれば、村では予定通りハロウィンのお祭りが開かれます。
ただ、このシナリオは討伐軍との戦いを描く二章構成ですので、お祭りの様子が詳細に描かれることはあまりないかと思われます。ご了承下さい。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『シャドウライダー』
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POW : 戦力補充
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【シャドウライダー】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
SPD : 人馬一体
自身に【世界に蔓延する絶望】をまとい、高速移動と【その移動により発生する衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 代弁者
【鞭を振るい、死した人々】の霊を召喚する。これは【怨嗟】や【現世への未練】が転じた【呪い】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:ソファ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アスカ・ユークレース
アドリブ絡み歓迎
慎ましく僅かな灯火すら許さないとは……上等です、こういう状況すらも反撃の糧として利用させて貰いましょう
呪いの力を持つ霊?ならば照手紅が最適だわ、浄化と破魔の矢でしっかり撃ち抜いてあの世にお還りいただきましょう
UCにて放つは|トリック・オア・トリート《黒い閃光弾と白い音響弾》、だけど今は|悪い子《オブリビオン》しかいないし…全部黒い弾になりそうね、突き刺すような光で目眩まししてあげる、暗さに目が慣れてる分余計に効くと思うわ?とどめに馬と騎手をクイックドロウでまとめて倒せば完璧ね
「慎ましく僅かな灯火すら許さないとは……上等です、こういう状況すらも反撃の糧として利用させて貰いましょう」
執拗なまでに民の反抗を許さぬヴァンパイアの所業に、寧ろ反骨心を燃やすのはアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)。彼女の視線の先には、村に接近する領主の反乱討伐軍――その主力であるシャドウライダーの騎兵隊がいる。
「……あの村だ」「殺せ」「滅ぼせ」
それは影から滲み出た幽鬼の群れが如く、ただ主の命令に従って生命を蹂躙する兵士達。
その数はこちらを圧倒的に上回っているが、逆にこれだけ大規模な討伐軍を返り討ちにしたとあらば、民の反抗の灯火も一気に燃え上がることだろう。
「……抹殺する」
影の騎馬に跨がり駆けるシャドウライダーに随伴するのは【代弁者】の霊。怨嗟や現世への未練が転じた呪いを撒き散らしながら、騎兵と共に村に押し寄せる。これを見たアスカは一張のクロスボウに矢をつがえ、構えた。
「呪いの力を持つ霊? ならば照手紅が最適だわ」
これは矢に聖属性を付与し、魅了や呪詛のような目に見えぬ概念を文字通り撃ち抜くことに特化した武器だ。よく狙いをつけて引き金を引けば、放たれた矢は的確に怨霊の眉間に突き刺さった。
「浄化と破魔の矢でしっかり撃ち抜いてあの世にお還りいただきましょう」
『オオォォォォ……』
アスカの「聖弩:照手紅」の矢を受けた怨霊は未練の声を遺して消えていく。これだけで全ての敵を射抜くには矢が足りないが、足並みを乱せれば十分。この間に彼女は胸につけた黄金の天秤のバッジに触れて、【電子星装:天秤の衣】を発動させた。
「良いものなら白く、悪いものなら黒く。全てはこの天秤が見定めてくれる。さあ、教えて。彼らはどっち?」
そう言って放つは|トリック・オア・トリート《黒い閃光弾と白い音響弾》。前者は悪しきものにダメージを与え、後者は良きものに癒やしを与える。どちらが適用されるかは天秤の審判が決める、攻撃と支援を両立したユーベルコードである。
「だけど今は|悪い子《オブリビオン》しかいないし……全部黒い弾になりそうね」
「なにを……っ!?」「ぐおぉぉ……!」
審判の結果をアスカが見守る中、討伐軍に襲い掛かった弾丸は全て黒い閃光弾となり、突き刺すような光がシャドウライダーの目を眩ませる。一時的に視界を失った連中はうめき声を上げ、騎馬は制御を失って蛇行する。
「暗さに目が慣れてる分余計に効くと思うわ?」
騎兵の突進力も数の暴力もこうなってしまえば怖くない。すかさずアスカはピストル式機械弩「フェイルノート」に素早く矢を装填すると、とどめとばかりに馬と騎手をまとめて撃ち抜いた。
「これで完璧ね」
「がっ……!」「ぐ、あ……」
自動装填される機械弩による高速連射は、視力を失ったシャドウライダーには避けられない。
騎馬もろともに滅ぼされていく騎兵達。村ひとつを滅ぼすだけの容易い任務と思われていた反乱討伐軍は、予想外の反撃によって侵攻を大きく遅らせる事となった――。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
トリック・オア・トリート!いたずらしちゃうぞ。
霊を召喚される前にいっきに殲滅して数を減らしていくよ。無数の火の矢を放って燃やし尽くしちゃう。
殲滅しつくまで油断しないようにしなきゃ。霊を召喚されたら、その霊ごと燃やすよ。せめて成仏してね。
「トリック・オア・トリート! いたずらしちゃうぞ」
ハロウィンも間近に迫る秋の中頃、無邪気でイタズラっぽい笑顔で反乱討伐軍の前に立ちはだかるのはアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。せっかくのお祭りを邪魔する「悪い子」には、|お菓子《トリート》ではなく|悪戯《トリック》が必要だろう。
「……ハロウィンなど、馬鹿馬鹿しい」「疾く滅ぼせと、我らが主はおおせだ……」
対するシャドウライダーに、人間の祭りや風習の意義など理解できない。ただ主君が滅ぼせと命じたから滅ぼすだけだ。「お話」を好物とするアリスから見れば、この手の連中はなんの物語も生み出さない、つまらない奴らとなるだろうか。
「来たれ、代弁者よ……」
「おっと、やらせないよ」
シャドウライダーに怨霊を召喚される前に、アリスは【ウィザード・ミサイル】を発動。
相手は放置すればどんどん数を補充していくと分かっているのだから、ここは先手必勝あるのみだ。
「いっきに殲滅して数を減らしていくよ」
「「ぐ、おぉぉぉぉ……?!」」
使用したのはウィザードの扱う基本的なユーベルコードだが、その効果は術者の実力がダイレクトに反映される。数え切れないほどの無数の火の矢が敵軍めがけて一斉に放たれ、戦場をたちまち火の海に変えた。
「避けねば……がッ!」
元々シャドウライダーそれぞれの戦闘力は高くない。自軍の数を上回りかねないほどの火矢の雨を降らせられては、回避するのは不可能だった。矢に射抜かれた敵はランタンのように燃え上がり、騎馬もろとも火達磨と化す。
(殲滅しつくまで油断しないようにしなきゃ)
先制攻撃で優位を得たアリスだが、ここで気を抜くようなマネはしない。矢を放ちきった後はすぐにまたユーベルコードを再使用し、間断ない飽和攻撃を継続する。倒し切る前に手を抜けば、敵はすぐに数を補充してくると分かっているからだ。
「抹殺……する……」
予想通り、最初のウィザード・ミサイルから辛くも生き延びたシャドウライダーは、【代弁者】を召喚して失った兵力を補わんとする。機動力は騎兵には及ぶまいが、怨嗟や未練を呪いに変えて武器とする彼らも、一般人にとっては恐ろしい脅威だ。
「悪いけど、すぐに帰ってもらうよ」
しかし緩む気配のないアリスの攻勢は、霊達の召喚速度さえも上回る。何体呼ばれようとも、その霊ごと燃やせばいいだけだと、尽きることのない火矢が闇夜の戦場を欠ける。それはさながら祭りを彩る篝火のように。
「せめて成仏してね」
『オアァァァァァ……』
昔からハロウィンには死者の霊が現世に返ってくる日という言い伝えがある。この日は彷徨える死者に連れて行かれないように仮装し、彼らをもてなしてあの世に送り返すための祭りでもあるのだ。
そんな大切で楽しいお祭りを守るために戦うアリスの火矢は、霊やオブリビオンを葬る送り火となり。煌々たる光と熱が彼らを跡形もなく燃やし尽くしていった――。
大成功
🔵🔵🔵
中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。お嬢様口調だけどアグレッシブで享楽的
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
その他使えそうな技能があれば適宜使用する感じで
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します
あと、虫が苦手
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「あ、あれは何だ……?!」「バケモノだ!」
村に接近するオブリビオンの大群に、そろそろ村人達も気付き始めた頃だろう。ハロウィンの準備にいそしんでいた彼らは、晴天の霹靂とも言えるこの事態に慌てふためく。まさか領主がここまで本気で祭りを潰しに来るとは予想外だったのだろう。
「大丈夫。ここは私達に任せておいて下さい♪」
そんな村人達を宥めるのはスピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)。優しく包容力のある笑顔と言葉で皆を落ち着かせ、村の奥に避難しているように伝える。自分達猟兵がここに来たからには、誰ひとりとして犠牲など出させはしない。
「貴方はどんな血を流すのかしら」
スピネルが村人を避難させている間に、反乱討伐軍と対峙するのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。正確にはその心に宿る副人格「シルヴァーナ」と呼ぶのが正しいか。
裕美の敵になりそうなものを排斥するために生まれた彼女は、近接戦闘に特化したアグレッシブで享楽的な人格だ。お嬢様のような口調で語りつつ、口元には猟奇的な笑みを浮かべている。
「この村にいる者は、全て抹殺する」「邪魔をする者も同様だ」
彼女の奇矯な振る舞いをシャドウライダー達は気に留めず、【代弁者】の亡霊と共に進軍を続ける。影法師の如き見た目に似て、彼らの自意識は気迫であり、ただ淡々と命令を遂行するだけの存在だ。
「つまらなそうですわね」
いかにも味気なさそうな獲物に愚痴をこぼしつつも、シルヴァーナは【白燐奏甲】を纏うと優雅なステップで近付いていく。せかせかと素早く走るのではなく、残像を残すような緩急をつけた動きで懐にするりと入り込めば、惨殺ナイフ『Zanne di squalo』が牙を剥く。
「まずは1人」
「……ッ!?」
騎馬の脚がすっぱりと切断され、落馬したシャドウライダーが地べたに倒れる。立ち上がる暇も与えずに、もう一振りの惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』が振り下ろされ――黒い血しぶきが戦場に散った。
「お待たせ。私も力になります」
そこに住民の避難を終えたスピネルも駆けつけてきて、後方からシルヴァーナの戦いを援護する。
彼女は穏やかな性格で争い事を好まないが、誰かを守るためなら勇敢に立ち向かう一面もある。話し合いが通じる相手でもないのなら、戦うことを恐れはしない。
「火傷じゃ済みませんから!」
気合いと共に放たれた【フォックスファイア】の狐火が、矢のように敵の騎兵や怨霊を射抜く。
煌々と燃え盛る炎は悪しき者どもを祓い清め、骸の海へと送り返す。彼らにはジャック・オ・ランタンの灯火よりも、こちらのほうがお似合いだ。
「……被害が増している」「増援を。一斉攻撃を仕掛ける」
猟兵達の反撃を想定外の脅威とみたシャドウライダー達は、さらなる怨霊を喚び出し、一息に彼女らを揉み潰さんとする。個々の戦闘能力はたかが知れていても、数百を超える数の暴力はシンプルに脅威だ。
しかし、考えなしに数を増やすのは思わぬ事故の原因にもなる。少人数に殺到した騎兵の大群は、手綱さばきを誤って仲間と衝突を起こした。
「あらあら、不運ですわね」
敵対者に不幸を招く白燐装甲の効果が発動したか。1人の事故をきっかけに将棋倒しのように崩れていく敵軍を見て、シルヴァーナは冷たく微笑んだ。数の優位も騎馬の脚も、これでは死んだも同然だろう。
「裕美の力を借りる必要もありませんわね」
必要とあらば【オルタナティブ・ダブル】で主人格を呼び出すこともできるが、この程度の相手には自分ひとりで十分だとシルヴァーナは判断した。いたずらにリスクの増す【瞬きの殺人鬼】も必要ない。この場は白燐奏甲のみで押し切れる。
「でも、このユーベルコード……やっぱり蟲はイヤですわ―――!!」
これまで優雅に、かつ圧倒的な戦いを見せてきた彼女だが、実は蟲が大の苦手という意外な一面がある。
蟲を身に纏うユーベルコードなんて精神的には苦痛極まりない。頑張って我慢してみたものの、とうとう理性の糸が切れたのか、発狂じみた叫び声を上げて目についた敵を片っ端から切り刻みはじめた。
「あら、大丈夫でしょうか?」
発狂モードに入ったシルヴァーナの様子は、後方のスピネルからも見えていた。止めるべきかもと思案するが、今のところ攻撃の矛先は敵だけに向いている。村人も避難させたし、近くに他の猟兵もいない。同士討ちが起きる危険は少ないだろう。
「……戦いが終わったら止めればいいですよね」
何かあればすぐにフォローできるように見守りながら、彼女はフォックスファイアの援護射撃を続ける。
見方を変えればこれはこれで頼もしい味方とも言える。事実シルヴァーナが発狂してからのほうが、敵を殲滅するスピード自体は上がっていた。
「アハハハハハ!!」
「がッ……?!」
狂った笑い声を上げて惨殺ナイフを振るうシルヴァーナ。狂乱の殺戮舞踏は止まることを知らず、触れようとした者はみなバラバラにされる。これは危険とみたシャドウライダーが距離を取ろうとしても――。
「逃がしません!」
「ぐ、ああぁアッ!」
スピネルの操る狐火がすかさず退路を塞ぎ、追い討ちをかける。1体でも残れば増援を呼ばれる危険がある以上、ここで見逃すわけにはいかない。争う事は好きではくても、敵を見据える彼女の目に迷いはない。
この二人の猟兵の活躍によって、反乱討伐軍の侵攻は押し留められ、敵は甚大な被害をこうむる事となった――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ソラウ・エクステリア
短期決戦を狙うぞ!
情報収集と視力で状況把握だ!
『それっと』
ライズサンは神罰と爆撃の範囲攻撃で大量の敵を攻撃している
『私も続くわ!』
エミリアーノも音響弾と電撃の範囲攻撃で敵を殲滅している
僕だってやれるからね!
ライズサンとエミリアーノに歌唱で鼓舞するよ!
攻撃してきた場合は防御に結界術と念動力と衝撃波を組み合わせて、攻撃してきた相手が逆にダメージを与えるよ!
行くよ!ライズサン!
『よし来た!』
ライズサンが龍の姿になり背中に乗り、空へ舞う、そして相手に突撃だ!
喰らえ!天穿つ時空龍の槍撃!
やったね!僕達の勝ちだ〜!
「短期決戦を狙うぞ!」
村人達とハロウィンを守るため、敢然と領主の軍勢に立ちはだかるのはソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)。際限無く増援を呼び続ける「シャドウライダー」を相手に、彼女が下した判断は合理にかなっていた。
「ライズサン! エミリアーノ!」
『おうよ』『任せて!』
彼女に同行するのは二体の時空龍、ライズサンとエミリアーノ。時空と宇宙の秩序を守ることを使命とした彼女らは、各々がその使命にふさわしい力を持っている。幾百幾千のオブリビオンが相手だろうと、この程度の輩に遅れを取りはしない。
『それっと』
ライズサンが敵の軍勢に視線を向けると、神罰の爆撃が突如として襲い掛かる。
広範囲に広がる衝撃波と爆風は、村に向かって駆けていたシャドウライダー達を乗騎ごと吹き飛ばした。
『私も続くわ!』
エミリアーノも音響弾と雷撃をばら撒いて、ライスサンが攻撃した敵を殲滅していく。
戦場に響き渡る轟音は大気と大地を震わせ、稲妻に打たれた敵が木端微塵に砕け散る。二体とも広範囲を一掃することに長けた手段で、迅速に敵の数を減らしていく方針だ。
「僕だってやれるからね!」
ソラウは二体の後ろで戦場を見渡し、情報収集と状況把握に努める。そしてマイク機能付きの「時空騎士銃槍」で得意の歌声を響かせ、仲間の士気を鼓舞していく。彼女を中心として連携の取れた時空龍の攻勢は、反乱討伐軍を圧倒しつつあった。
「……あの娘を殺せ」「仕留めろ」
劣勢に立たされたシャドウライダーは標的をソラウに絞り、反撃に打って出る。倒された同胞の亡骸を【戦力補充】で立ち上がらせ、数を補った上で一斉突撃。指揮官を最初に倒せば連携も瓦解するという、戦術の基礎は彼らも知っているようだ。
「僕だけなら倒せると思った? 甘いよ!」
当然ソラウも対策は立ててある。結界術と念動力を組み合わせたバリアを張り、敵の攻撃を待ち構える。
このバリアに接触した相手は、衝撃波で逆にダメージを与える仕組みだ。突進してきたシャドウライダー達は、そうとも知らずバリアに激突し、派手に吹き飛ばされた。
「「………?!」」
戦力補充で復活したシャドウライダーは元の個体より戦闘力は落ちるため、その攻撃力では彼女の防御を突破することはできない。感情や自意識の薄い連中からも、微かに動揺が伝わってきた。
「行くよ! ライズサン!」
『よし来た!』
ここが攻め時だと見極めたソラウは、ライズサンを龍の姿に変身させて背中に飛び乗り、空へ舞う。そして統率の乱れた敵陣に狙いを定めると、猛烈なスピードで突撃を仕掛けた。
「喰らえ! 天穿つ時空龍の槍撃!」
宇宙騎士と時空龍による人騎一体の突進は、彼女ら自身がひと振りの槍となり敵を貫く。
この攻撃の前ではあらゆる耐性や防御も意味を成さず、進路上にいたシャドウライダー達はことごとく蹴散らされていった。
「やったね! 僕達の勝ちだ~!」
『おう!』『やったわね!』
突撃を終えたソラウは龍の背から降りて、元の姿に戻ったライズサンとエミリアーノとハイタッチ。
背後を振り返れば、そこには大損害を受けた反乱討伐軍の惨状が。いかに連中の能力でもこの状態から体制を立て直すのは容易ではなく、戦いの趨勢は決まりつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
ポーラリア・ベル
ハロウィンを、守るぞー!おーっ!
さあやってきましたここはダークセイヴァー競馬場。セイヴァーと競馬ーってなんか似てるね。
実況はポーラとカビパンお姉ちゃん(ユーベルコード)がお送りします。多分
・あらかじめ野原の崖際(場所が村なら罠仕掛けれる所)を背にして
悩み聞くカレー屋のカレー(シュークリーム)とにんじんを餌にしておびき寄せ、悩みを聞きます。
呪いは悪霊雪女のカビパンお姉ちゃんで相殺するわ!
憎しい事があったの?じゃあここに飛び込めば解決するわ!(崖下・罠)
現世への未練があるの?じゃあここに飛び込めばチート転生に誘われるでしょう!(崖下・罠)
渋る方はとりあえず【怪力】で無理矢理落とします。ます!
「ハロウィンを、守るぞー! おーっ!」
「おー」
気合十分に小さな拳を突き上げて、号令をかけるのはポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。それにやる気のない生返事を返すのは、彼女のユーベルコード【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】で召喚された、悪霊雪女のカビパンだった。
「さあやってきましたここはダークセイヴァー競馬場。セイヴァーと競馬ーってなんか似てるね」
声に出してみるとそんな気もするし、言うほどでもない気もする。そもそもここは競馬場ではなく戦場真っ只中だが――駆けているのも競争用のサラブレッドなどではなく、蹂躙と殺戮のために鍛えられた騎兵である。
「実況はポーラとカビパンお姉ちゃんがお送りします。多分」
そんな事はお構いなしにポーラリアはマイペースに語りつつ、戦場となった野原の隅っこでごそごそと準備をしている。テーブルを置いて、お皿を並べて、盛り付けるのはにんじんとシュークリーム。
「協賛は悩み聞くカレー屋。特製カレーをご用意しました!」
カレーと言っているがどう見てもシュークリームである。どうやらここをカビパンが運営するカレー屋の支店にする気らしい。この餌に釣られたのか、単に五月蠅かっただけかは分からないが、敵はまんまと釣られて彼女らの元に押し寄せてくる。
「敵は全て抹殺する……」「それが我らの使命……」
盲目的に命令に従うシャドウライダーと、怨嗟と未練の呪いを撒き散らす【代弁者】の群れ。
陰鬱な雰囲気を引き連れて進軍する反乱討伐軍を、ポーラリアは朗らかな笑顔で出迎えた。
「いらっしゃいませ!」
「悩み聞くよ、カレーあるよ」
こちらには悪霊雪女のカビパンが付いている。直接戦闘では置物にしかならないが、妙な悪運の強さと周囲を巻き込むマイペースさを持ち、並の呪い程度なら相殺してしまう。亡霊の怨嗟を至近で受けても、彼女達が気分を害することはないようだ。
「憎しい事があったの? じゃあここに飛び込めば解決するわ!」
代弁者達の恨み言を聞いたポーラリアは、すっとテーブルの裏手を指差す。その先は切り立った崖になっており、落ちれば無事では済まないだろう。もう怨みを考えることもできなくなるという意味では、確かに「解決」と言えなくもないだろうが。
「現世への未練があるの? じゃあここに飛び込めばチート転生に誘われるでしょう!」
「なにを……言っている……」
にっこりと笑顔で飛び降りを勧める冬の妖精に、流石のオブリビオンも困惑している。当たり前だが「じゃあ飛び込んでみよう」となる者はいない。飛び降りを渋る者たちに対して、ポーラリアは「じゃあ仕方ないね」と踵を返し――。
「と見せかけてどーん!」
「「!!?」」
くるっと敵の背後に回り込んで、背中をドンと力いっぱい突き飛ばす。妖精とは思えないほどの怪力で不意を突かれたシャドウライダーは、近くにいた騎馬や代弁者を巻き込んでつんのめり。
「いってらっしゃーい」
「な、ぁ、ぁ………」
ぱたぱたと手を振る妖精(&やる気なさげなカビパン)に見送られ、崖に落っこちていった。
果たして彼らはどうなったのか、無事を確かめる者は誰もいない。戦場の中心で激しい戦いが繰り広げられている一方で、奇妙な餌に釣られて人知れず退場させられた連中がここにいた――。
大成功
🔵🔵🔵
火土金水・明
(昨年のハロウィンで、兎肉を使ったお雑煮を食べて喜んでくれている方々の顔を思い出して)「せっかく取り戻すことができた笑顔です。それを踏みにじるような行動は絶対に許すことはできません。」「一兵も逃がさず、討伐軍を確実に潰していきましょう。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【新・コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『シャドウライダー』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
「せっかく取り戻すことができた笑顔です。それを踏みにじるような行動は絶対に許すことはできません」
この世界で迎えた昨年のハロウィンの事を思い返して、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はそう呟く。あの時は狩りをして手に入れた兎肉で、お雑煮を作ってお祝いをした。一緒に食べて喜んでくれた人々の顔は、今でも忘れない。
「一兵も逃がさず、討伐軍を確実に潰していきましょう」
今年のハロウィンも、あの時のような素敵な一日にするために。押し寄せる反乱討伐軍を毅然と睨み付けて、彼女は呪文を唱え始める。七色に輝く不思議な杖を手に、集中して魔力を束ねていき――。
「行きます!」
掲げた杖先に凝縮された魔力が、幾多の氷の矢となってキラキラと戦場に降り注ぐ。
騎兵に対抗するならまずは脚を奪うのが定石。明が狙ったのはシャドウライダーを乗せる漆黒の騎馬達だ。
「……止まるな、突破せよ」
この攻撃に対してシャドウライダー達は速度を緩めない。先頭を駆ける馬が氷の矢を受け、落馬する者が続出する中、あくまで標的を蹂躙する最短経路を往くつもりだ。その過程でどれだけ犠牲が出ようとも、彼らには【戦力補充】がある。
「……ハロウィンを企てる者は、皆殺しにする」
斃れた者の亡骸は新たなシャドウライダーとなって立ち上がり、一度は減少した敵軍は再び戦力を盛り返す。
主君より与えられた命令を果たすまで、進軍が止まることはない――だが、彼らはまだ気付いていなかった。氷の魔法を放った明の周りに、再び魔力が集束されつつあることを。
「今のはただのフェイントです」
敵の足並みを多少乱れさせ、こちらの攻撃をこの程度と侮らせることができれば、それで十分だった。
夜闇の魔法使いの本気はこんなものではない。持てる魔力と技能の数々を組み合わせ、彼女はもう一度高々と杖を掲げる。
「新しき冷たき力!」
発動するのは【新・コキュートス・ブリザード】。先程の攻撃を上回る数の氷の矢が、猛烈な雪と風に乗って敵軍に襲い掛かる。迂闊にもその射程内に駆け込んできたシャドウライダー達は、己の愚を身をもって購うこととなった。
「「―――!!?」」
身体の芯まで凍りつく冷気、防具ごと標的を貫く氷矢、そして立ってすら居られないほどの突風。
明の起こした魔法のブリザードは、迫りつつあった敵を一気に数百メートル後方まで吹き飛ばした。
「なに、が……」
猛吹雪の直撃を食らったシャドウライダーは、高空に舞い上げられたのち地面に叩きつけられ、二度と立ち上がってこない。そうでない者も冷気と氷の矢から受けたダメージは甚大だった。彼らが乗っていた騎馬も同様で、そもそも雪に覆われた地を走れるかどうか。
「凄まじい、脅威……」「殺さねば……」
それでも吹雪から這い上がり一撃見舞おうとする連中もいたが、彼らが斬りつけたのは明がオーラで作りあげた幻。吹雪で視界がホワイトアウトする一瞬を狙って、立ち位置を入れ替えていたのだ。
「残念、それは残像です」
難を逃れた明は微笑みを浮かべながら【新・コキュートス・ブリザード】を維持する。
たとえ【戦力補充】で敵が復活しても、吹雪によるダメージは継続される。効果範囲から逃れない限り、シャドウライダー達に生存の手立てはゼロだ。
「身体、が……」
そして凍結による運動能力と機動力の低下は、脱出すらも許さない。天災クラスの猛威の前では騎兵の強みも数の暴力もはかないものか。こうなれば後は煮るなり焼くなり好きにできるだろう。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です」
自らに課した役目を明は十全に果たしきり、シャドウライダーに大きな損害を与えた。
この後、勢いに乗った猟兵達が反乱討伐軍を壊滅させるまでに時間はかからなかった。ハロウィンと人々の希望を守る戦いは、次の段階へと移行する――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ミスト・ヴァーミリオン』
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POW : ヴァーミリオンミスト
対象の攻撃を軽減する【朱き霧】に変身しつつ、【万物を犯す強酸の霧】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : ディアボリックウェイブ
【霧化した体より放つ瘴気の波濤】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を穢し尽くして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : トキシックミスト
見えない【猛毒の霧となった体】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
イラスト:緑葉カヨ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠天御鏡・百々」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「チッ。使えない奴らだ。こんな連中に手こずっているとは」
シャドウライダーを撃破し、ハロウィンの村を襲った「反乱討伐軍」を壊滅させた猟兵達。
そこに姿を現したのは、黒い礼服を身に着けた銀髪の青年。この軍勢の指揮を執っていたヴァンパイア『ミスト・ヴァーミリオン』である。
「高貴なるヴァーミリオン家に連なるこの俺が、自ら手を下さねばならんとは……まったく度し難い。クズはクズらしく大人しくしていればいいものを」
言動や態度の全てから、嫌悪や侮蔑がありありと感じられる。
ヴァンパイアこそが至高の種族だと信じて疑わないミストにとって、それ以外の種族はすべからく下等生物だった。虫けらやケダモノと同じ、本来ならば対等の場で戦うなどあり得ぬ存在。
「わざわざ手を煩わせるんだ、せめて少しは楽しませろ。泣き喚き、悶え苦しみ、滑稽な命乞いをしろ。貴様らの価値などその程度のものだろう」
それがさも当然だとばかりに、彼は隷属と屈従を猟兵にも強要する。
無論、その報酬として与えられるのは死のみである。反乱に加担した者たちを、残忍なる彼が許すことは決してない。
「ハロウィンなどという下らぬ祭りを、この俺が血の饗宴に変えてやろうではないか。喜べ、今宵のメインディッシュは貴様らだぞ」
傲慢かつ一方的な宣言と共に、ミストは全身に霧をまとう。
態度こそ不遜だが、彼は霧化の能力に秀でた強力なヴァンパイア。油断して勝てる相手ではないだろう――逆に言えば、万全の体制で挑めば負ける相手でもない。
この地に芽生えかけた希望と反抗の意思、その証たるハロウィンを守るために。
猟兵達は再び戦闘態勢を取り、この邪悪なる吸血鬼に戦いを挑む。
アリス・フォーサイス
お祭りくらい、好きにさせてくれればいいのに。お話が生まれるのを阻止するような行為、絶対に許さないよ。
エンジェルモード!剣を携え、瘴気を見切ってかわし、穢された地に足をとられないよう、飛翔を使いつつ戦うよ。
戦闘力はそこまで高くないけど、機動力で翻弄するモードだ。ぼくについてこれるかな。
火土金水・明
「一部例外は存在しますが、馬鹿は死んでも治らない。だから、オブリビオンとして存在するのですが。」「そう簡単にあなたの考えた通りにはさせませんよ。」「私は攻撃をしつつ、他の猟兵の方の回復もしましょうか。(できる限り穢された地形を浄化されているのを相手に気付かれないようにします)。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【浄化】を付け【フェイント】を絡めた【巷に金色の雨の降るごとく】を【範囲攻撃】にして、『ミスト・ヴァーミリオン』と穢された地形を纏めて攻撃(浄化)します。相手の攻撃に関しては【第六感】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
「お祭りくらい、好きにさせてくれればいいのに」
「一部例外は存在しますが、馬鹿は死んでも治らない。だから、オブリビオンとして存在するのですが」
ハロウィンにすら文句を付けてくるヴァンパイアの狭量と残忍性に、アリスはふくれっ面で文句を言い、明は冷静に酷評する。こんなささやかな希望や反抗の兆しまで叩き潰そうとするとは、連中はよほど人類のことが気に食わないらしい。
「そう簡単にあなたの考えた通りにはさせませんよ」
「お話が生まれるのを阻止するような行為、絶対に許さないよ」
村人の未来とハロウィンの「物語」を守り抜くという固い意思のもと、立ちはだかる二人の猟兵。
それを見た吸血鬼「ミスト・ヴァーミリオン」の顔には、不快感と怒りがありありと浮かび上がった。
「雑魚共が、まさか俺に敵うとでも思っているのか? 思い上がりも甚だしいぞ!」
身の程を教えてやろうと、ミストの身体が霧に変わる。霧化に熟達した彼のユーベルコードはいずれも強力であり、生命を、大地を、全てを穢し尽くして我が物とする、意思を持った災害のような存在だ。
「ぼくが前に出るよ」
「では私は攻撃をしつつ、他の猟兵の方の回復もしましょうか」
しかしアリスは臆することなく立ち向かっていき、明はそれを援護するべく七色の杖を構える。
この程度のオブリビオンとならもう何度も戦ってきた。戦歴に裏打ちされた実力が、彼女達にはある。
「死ね!」
ミストの怒号と共に【ディアボリックウェイブ】が発動し、霧の身体から瘴気の波濤が放たれる。
対するアリスは呑まれる寸前で|天使《エンジェル》モードに【性質変化】。天使の翼で空に羽ばたき、瘴気の流れを見切ってかわす。
「へーんしん! てね」
「チッ、避けるな!」
ハロウィンの仮装さながらの可憐な姿で飛翔する少女に、ミストはなおも攻撃を浴びせるが、ただの怒り任せでは当たるはずもない。撒き散らされた瘴気はいたずらに大地を穢すばかりだ。
「戦闘力はそこまで高くないけど、機動力で翻弄するモードだ。ぼくについてこれるかな」
機敏な動きで飛び回りつつ、アリスは携えた剣で敵を斬りつける。疾さはあっても重さがないため、当たっても大したダメージにはならないが、傲慢な吸血鬼にしてみれば手傷を負うこと事態が屈辱だろう。
「貴様……この高貴な俺の身体に傷を!」
激昂したミストはさらに激しく瘴気をばら撒き、周囲の大地を汚染していく。穢し尽くされた地形には彼の戦闘力を高める効果があり、逆に生物にとっては猛毒の土地となる。攻撃が当たらずとも戦場を有利な環境に変化させられるのだ。
「至高なるヴァンパイアの俺に傷を……もう許さんぞ、苦しみ抜いて死ね!」
「いやだね」
汚染された大地の上で強化されたミストは、殺意の籠もった眼で射殺すように標的を睨む。
しかしアリスはその怒りを受け流すように、ひらひらと自由に空を舞う。彼女がエンジェルモードを選択したのは、穢された地に足をとられない為でもあった。
「私の心にも雨が降る」
そしてアリスが敵の注意と攻撃を引き付けている間に、明は呪文を唱えて【巷に金色の雨の降るごとく】を発動。天に向かって七色の杖を掲げると、暗雲からにわかに金色の雨と虹色の稲妻が降り始めた。
「ぐおッ?!」
稲妻の直撃を受けたミストの口から苦悶の声が上がる。霧化した体にも電撃は有効なようだ。
術者がユーベルコードを解除しない限り、この稲妻は延々と降り続けて継続的なダメージをもたらすだろう。
「ありがとう、助かったよ」
同時に金色の雨は味方に治癒をもたらし、瘴気の余波から受けたダメージを回復させる。
元気になったアリスは稲妻の合間を縫うように敵に斬りかかり、ヒットアンドアウェイを繰り返す。いくら一撃が軽いとは言っても、何度も当て続ければ負傷は蓄積されるはずだ。
「クソッ、調子に乗るな……なんだ?」
反撃しようとしたミストは、何故か自分の力が弱まっているのに気付く。見れば、金色の雨を浴びた大地から瘴気が祓われ、清められていくではないか。地形の穢れが正常化すれば、その上に立つ彼の戦闘力も相対的に弱体化する。
「気付くのが少し遅かったですね」
明の一番の狙いはこれだった。金の雨に浄化効果を付与したのを気づかれないように、派手な稲妻による攻撃や回復を印象付けて気を引いたのだ。素の状態まで戦闘力を引き戻された吸血鬼は、その脅威を大きく減じる事となる。
「この雨の仕業か……小賢しい真似を!」
ミストはもう一度【ディアボリックウェイブ】を放つが、瘴気の波濤は浄化の雨と相殺しあって本来の威力を発揮できない。空中にいるアリスは勿論、地上にいた明にも当たることはなかった。
「残念、それは残像です」
オーラの残像で攻撃を躱しながら、雨と稲妻を降らせ続ける明。彼女の役目は討伐軍と戦っていた時と変わらず、少しでもダメージを与えて次の猟兵に繋げることだ。その為にも土地の穢れはここで可能な限り抑えこんでみせる。
「ぼくのことも忘れてもらったら困るよ」
「ぐぅッ?!」
稲妻の攻撃や汚染の浄化で敵の注意が散漫になれば、そのぶんアリスの機動戦法もより効果を増す。
急降下からのすれ違いざまに振るわれた剣閃は、ミストの体の霧化していない箇所を斬り裂き、血飛沫を上げさせた。
「おのれ、よくもよくも……ッ!!」
激痛が彼の怒りをさらに募らせるが、感情だけで戦況をひっくり返せるほどの戦力差は彼我にない。
下等生物だと見下しきっていた者達の思わぬ反撃によって、吸血鬼は劣勢に立たされつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ソラウ・エクステリア
チーム☆
『わはぁ!』ラーミアは踏まれていた
酷い!何で事を!
【情報収集・視力】
状況把握だ!
【歌唱・範囲攻撃・音響弾・鼓舞】
相手を攻撃しながら仲間の攻撃力を上げる
『はいはい、ヴァンパイア最高、ヴァンパイア最高』
ライズサンは電撃と爆破を混ぜた攻撃
『これでどうかしら!』
高速詠唱で爆破と呪殺弾の全力魔法を叩き込む
敵が僕を捕まえて人質に出来ない…読心術で心を読んでいたからだ
結界術と音響弾で反撃
前に油断して捕まった事があるからね!(シナリオ…家出少女は邪神の贄)
『許さないのだ』『仲間を虐めたのだ』『ラーミアは今から因果滅殺転生波をお前に当てるのだ』
『分裂した仲間も使うのだ』
『げっラーミア!』『きゃあぁぁ!』
エリン・エーテリオン
チーム☆
属性攻撃は好きな属性を与える
後から来たのでエリンはグリモア猟兵の話を聞いていない設定
ソラウが蝙蝠と戦っている!
情報収集と視力と戦闘知識で状況を把握!
『動きを封じよう』
エキドゥーマはハッキングとマヒ攻撃と呪詛と呪殺弾で動きを封じて攻撃
『ライズサン!イクゾ!』
ブラッドムーンはライズサンと共に衝撃波と電撃で攻撃
こいつは闇の一族か?!なら全力で行くぜ!
トゥントゥン…
鳴り響け!魂の音!
虹炎の神エストレジャ・アルコイリス変身!
次元能力でいきなり奴の前に現れて
虹炎の乱撃!
相手の実体化と脆弱属性を与えて奴の体を破壊し再生不能だ
まだだ!天候操作、台風!雷!雨!
虹炎の天災!
『マスター、オーバーキルだよ…』
「酷い! 何て事を!」
ついに姿を現した反乱討伐軍の大将「ミスト・ヴァーミリオン」を見て、悲痛な声を上げるのはソラウ。より正確に言えば、彼女の視線はミストの足元で踏まれている「何か」に注がれていた。
「うん? なんだコレは」
『わはぁ!』
戦いの中でふと足に感じた「ぐにっ」とした感触に、ミストが視線を落とすと。そこには丸っこい梟の「ラーミア」が、踏みつけにされてパタパタともがいている。戦場のどさくさに紛れ込んだのだろうか、人語で叫んでいるあたりタダの梟ではなさそうだが。
「フン。こいつは貴様のペットか?」
足元の梟と目の前の少女を交互に見て、ミストは嫌らしく笑いながら足にかける力を強める。人間も鳥類もヴァンパイアに比べれば等しく下等生物。ゴミクズがクズを飼育するなど可笑しな話ではないか。
「やめろ!」
その残忍な振る舞いにカッとなったソラウは、怒りのまま騎士銃槍を手にして突き掛かる。
敵も即座に【ヴァーミリオンミスト】を発動、自身の肉体を強酸性の朱い霧に変化させて、彼女を迎え撃った。
「もう許さない!」
邪悪なる者への怒りと正義をメロディに乗せて、ソラウは歌いながら戦う。相手を攻撃しながら仲間を鼓舞する、歌姫にして騎士である彼女ならではの戦闘スタイルだ。無論、人間の歌声などに吸血鬼が心を動かされるはずはなく、槍で突かれてもせせら笑うばかりだが。
「ヴァンパイアに逆らう愚か者は、皆こうして踏み躙られるのがお似合いだ!」
『はいはい、ヴァンパイア最高、ヴァンパイア最高』
傲慢にのたまうミストに向かって、時空龍ライズサンが電撃と爆撃を組み合わせた攻撃を放つ。
稲妻は霧に通電し、爆風は霧を吹き散らしてダメージを与える。前線で戦うソラウを援護するのが目的だ。
『これでどうかしら!』
さらにもう一体の時空龍エミリアーノも、高速詠唱で爆破と呪殺弾の魔法を連続発動。
ソラウの歌声によって強化された攻撃が次々に叩き込まれれば、さしもの敵の渋い顔をした。
「チッ。鬱陶しい……」
ミストも強酸の霧を使って反撃するが、怒っているように見えてソラウは冷静で状況把握を怠っていない。銃槍の矛と音響弾を使った範囲攻撃で霧を散らし、酸に犯されるのを回避している。
「うん……あれは!?」
ソラウ達とミストが激しい攻防を繰り広げている所に、丁度転移してきたのはエリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)。後から来たためグリモア猟兵の話をよく聞いていなかったが、周りを見れば状況はすぐに把握できる。
「ソラウが蝙蝠と戦っている!」
面識もある仲間の戦いを黙って見ている訳にはいかないと、彼女はすぐさま戦闘に乱入。
いつも一緒にいる二体の邪神龍を呼び出すと、ソラウ達を援護するように指示を飛ばした。
『動きを封じよう』
「エキドゥーマ! 頼む!」
スマホに宿った邪神龍エキドゥーマの呪いのハッキングが、吸血鬼の動きをマヒさせる。
敵が「なんだ?」と違和感に気付いた直後、もう一体の邪神龍ブラッドムーンが追撃を仕掛けた。
『ライズサン! イクゾ!』
『ブラッドムーン! 来てくれたか!』
二体の龍による衝撃波と電撃の合体攻撃が、先程のものを上回る威力で敵に直撃する。
これで状況は一時的な5対1。それも1人1人が実力のある猟兵や超存在となれば、敵も不利を自覚せざるを得まい。
「クソどもが! こうなれば……」
焦りを見せたミストは適当な奴を――耳障りな歌で味方を鼓舞しているソラウを人質に取って、状況の打開を目論む。だが、彼女はそれを予期していたかのように、伸ばされた霧の腕に対して結界術を張った。
「お見通しだよ! 前に油断して捕まった事があるからね!」
「な、なにッ?!」
同じ轍を踏まないように、彼女は読心術で相手の心を読んでいたのだ。お返しとばかりに撃ち込まれた音響弾が、朱い霧を散らしてミストに動揺を与える。下等生物相手にここまで思い通りにいかないのは、彼にとって初めての体験であろう。
「こいつは闇の一族か?! なら全力で行くぜ!」
そして邪神龍とソラウ達が敵を押している間に、エリンは力を溜めて【虹炎の神・estrella・arcoiris】を発動。トゥントゥンと魂の奥底で刻まれるリズムに合わせて、秘められし力を解放する。
「鳴り響け! 魂の音! 虹炎の神エストレジャ・アルコイリス変身!」
全身から燃え盛る虹色の炎は次元すら超越する能力を与え、離れた空間を瞬時に移動する。
いきなり目の前に現れて、「うおッ?!」と敵が驚く間もなく。炎を宿した拳が吸血鬼の顔面に叩きつけられた。
「虹炎の乱撃!」
「ぐッ、がはッ、ごぉッ?!」
神化したエリンの猛ラッシュは霧化した対象の本質を捉え、強制的な実体化と脆弱化を引き起こす。
これで奴の得意とする能力は封じられた。もはや霧の体でダメージを受け流すことも、傷を再生することもできない。
「な、なんだ、この力は……霧になれない……?!」
「まだだ! 台風! 雷! 雨!」
間髪入れずにエリンは天候を操作し、局所的な集中豪雨や稲妻の嵐を敵のみに浴びせる。
傍目には何でもありかと思うほどに自由な虹炎神の権能。その力をフルに活用できる今の彼女に、並の吸血鬼では太刀打ちできない。
「虹炎の天災!」
『マスター、オーバーキルだよ……』
敵をダークセイヴァー上層にいる「闇の種族」と誤認しているエリンは、一切遠慮せずフルスロットルで攻撃を仕掛けている――が、下層のヴァンパイア相手にそれは少々過剰だったかもしれない。このままだと地形まで変えかねないレベルの天災に、エキドゥーマが呆れている。
「こ、このッ、このぉぉッ?!」
ミストは無様に喚き散らしながら虹炎の天災に吹き飛ばされ、大地に叩きつけられた。
自らが見下してきた下等生物のように、地を這い泥を食む感触に屈辱がつのる。そこに、パタパタと羽音を立てて丸っこい梟が近寄ってきた。
「貴様は……さっきの?」
『許さないのだ』『仲間を虐めたのだ』『ラーミアは今から因果滅殺転生波をお前に当てるのだ』『分裂した仲間も使うのだ』
それは、先程ミストが踏みつけにしたラーミアの仲間達。可愛らしい見た目をしているが、実はこの者達はただの鳥ではなく、怒れば次元災害を引き起こすほどの危険な生命体である。普段は友好的だが、一度危害を加えられた者は徹底的に排除する。
『げっラーミア!』『きゃあぁぁ!』
「行け、ラーミア!」
その生態をよく知っている時空龍達は青ざめるが、ソラウだけは彼らを鼓舞するように叫んだ。
悪い吸血鬼に容赦は不要。あらゆる生命体をこの世から抹消する【狂気の生命体ラーミア"因果滅殺転生波"】が放たれる。
「やッ、やめろおおぉぉぉッ?!!」
分裂増殖するラーミアの群れから浴びせられる光に痛みはない。ただ因果律のレベルで存在を否定され、消滅していくだけだ。消しゴムをかけられたように自分の体が消えていくのを見て、ミストは思わず恐怖の悲鳴を上げた。
「僕たちを甘く見たバツだよ!」
「思い知ったかクソ野郎!」
虹炎の神に時空の騎士。下等生物と侮っていた連中の中にもこれほどの力を持つ者達がいることを、彼は知らなかっただろう。その傲りと無知こそが最大の敗因となり、彼をさらなる窮地に追い詰めていく――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカシオン・カーネーション
❛何なのだわ!このかませは?❜
《あの…どうしてそう思うのですか?》
シエルが腐れ雑魚吸血鬼の事を雑魚呼ばわりしていたのを聞いてアロナちゃんが質問する
❛だってこいつの台詞からしてかませ確定発言なのだわ!❜
相手がシエルの発言にキレかけるが耐える
腐れゴミクズ雑魚吸血鬼が可哀想だろぉぉん!(こいつを侮らないほうがいい)
《建前と本音が逆です!》
かませはキレて朱い霧を放つが情報収集と視力で相手の動きは把握しているのでシエルの力を使って朱いをベクトル操作で相手に返す(属性攻撃追加で朱い霧はメスガキになり、かませを挑発した上で強酸の霧を浴びる)
私は衝撃波と電撃と神罰を放ち雑魚を吹き飛ばした
《…相手に同情します》
「クソッ、クソッ、クソッ! 下等生物どもが、おとなしく死んでおけばいいものを!」
猟兵達の思わぬ抵抗と反撃を受け、逆に窮地に立たされたミスト・ヴァーミリオン。彼は怒りと苛立ち、そして焦りを隠しきれない様子で、憎々しい表情で聞くに堪えない悪態を吐き散らす。その姿にもはや貴族としての優雅さや余裕は微塵もない。
❛何なのだわ! このかませは?❜
その有様を見て率直な感想を口にしたのは、リュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)を加護する虹炎の神、アルカンシエルだ。子供のようにびしっと指を突きつけて叫べば、相手がビキッと硬直するのが分かった。
《あの……どうしてそう思うのですか?》
❛だってこいつの台詞からしてかませ確定発言なのだわ!❜
リュカシオンの相棒である精霊王アロナフィナが質問すると、これまたアルカンシエルは歯に衣着せぬ物言いで答える。堂々と噛ませ犬扱いされた敵は硬直したままわなわなと震えだし、激しい殺意を彼女らに向けた。
「今、この俺になんと言った……? 調子に乗るのも大概にしておけよ……」
それでもキレずにギリギリで耐えたのは、こんな下等生物の発言にムキになるのも格好悪いという、歪んだプライドによるものか。ただ、奥歯はギリギリと鳴っているし、拳は固く握りしめられていて、怒り狂っているのは誰に目にも明らかだったが。
「腐れゴミクズ雑魚吸血鬼が可哀想だろぉぉん!(こいつを侮らないほうがいい)」
そんな敵の最後の理性の糸をぶち切ったのは、リュカシオンだった。彼女は仲間達をたしなめるつもりだったようだが、心の中で思っていたことは同じだったらしく。《建前と本音が逆です!》とアロナフィナが叫ぶものの、もう手遅れだった。
「貴様ら……もう許さんッ! 最高の苦痛と絶望を与えて皆殺しにしてくれるッ!!」
とうとうキレたミストは【ヴァーミリオンミスト】を発動し、強酸性の朱い霧を彼女らに放つ。一度呑み込まれたが最後、この霧は万物を犯すという危険なユーベルコードだが――ふざけて挑発しているように見えて、リュカシオン達はきちんと相手の動きを把握していた。
「シエル!」
❛はいなのだわ!❜
リュカシオンはアルカンシエルの力を使って【虹炎の神・reve・arcenciel】を発動し、発現したベクトル操作能力によって霧の流れを変える。術者の元に押し返されていった朱い霧は、さらに虹炎の分解・再成能力によって小さな幼女の群れへと変化した。
『ざ~こ、ざ~こ♪』『イキってばかりのよわよわ吸血鬼~♪』
「なッ、な、なんだコイツら……ッ!!」
霧の幼女集団は神経を逆撫でするような猫なで声で敵を挑発しつつ、強酸の霧を浴びせる。
自身も霧化しているミストに物理的なダメージこそないが、自身のユーベルコードの造反と愚弄は精神的ダメージを与え、正常な判断能力を低下――そして隙を生み出すのに十分なものだった。
「散れッ、クソが、クソ共が!」
効かないと分かっているだろうに、霧の幼女相手に半狂乱になって腕を振り回すミスト。誰がどう見ても噛ませ役の雑魚キャラとしか思えない、無様で隙だらけの吸血鬼に、リュカシオンが追い討ちを放った。
「吹っ飛べ!」
「ぐぎゃぁッ?!」
神罰の力を込めた電撃と衝撃波が朱い霧ごとミストを吹き飛ばし、泥塗れの地べたに這いつくばらせる。
尊厳とプライドをズタズタに蹂躙された敵と、ノリノリで挑発しまくった味方を見比べて、アロナフィナはつい《……相手に同情します》と呟いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ポーラリア・ベル
ひかえおろー!ひかえおろー!
これなるはさっきの戦いで眷属さんをカレー地獄にぶち込んだカビパンお姉ちゃんの紋章よ!
悪霊だから毒も効かないお姉ちゃんの力なら猛毒ももうどくしかないわー!
【おびき寄せ】
紋章は【アート】で作った偽物。
霧となった体で突撃して来たらユーベルコードのスノードームに逃げ込みます。
一緒にスノードームの中に入って来ましたら、【全力魔法】【天候操作】も相まった極寒吹雪を吹き続け。凍らせます。
猛毒の霧も白い氷の霧になって凍り付く世界で、どんな氷像になるかしらっ。
あたしの分のランタンを切らしていたので、このままスノードームを氷輝くランタン代わりにして、お祭りに持ってくね!
「ひかえおろー! ひかえおろー!」
戦場いっぱいに響き渡るような、ポーラリアの大声。彼女はユーベルコードで召喚したカビパンを送還する代わりに、手に持って何かを敵に見せつけていた。サイズ的には胸元などに付ける装身具のように見える。
「これなるはさっきの戦いで眷属さんをカレー地獄にぶち込んだカビパンお姉ちゃんの紋章よ!」
「なに……紋章だと?!」
その名はミストも聞いたことはあるだろう。授与された者の能力を飛躍的に強化する、寄生型オブリビオン。本来は第五層の貴族達によって生産されるもので、猟兵が持ち得るものでは無いはずなのだが。
「悪霊だから毒も効かないお姉ちゃんの力なら猛毒ももうどくしかないわー!」
「バカな。貴様ら下等生物に、紋章が授与されるはずがない……!」
冬の妖精らしい小粋なジョークを混じえつつ、自信満々で「カビパン紋章」を見せびらかすポーラリア。
その真偽は果てしなく胡散臭いとはいえ、敵にとっては無視もできまい。紋章がもたらす絶大な力はオブリビオン共のほうが良く知っているだろう。
(ならば、その紋章を奪い取れば、まだやれるかもしれん……!)
窮地に立たされているミストは、彼女が見せた紋章(?)を逆転の可能性だと考えた。
反乱分子の粛清という簡単な任務で、下等生物に負けて死にたくない、死ぬわけにはいかない。焦りと危機感が冷静な思考を失わせ、行動をより短絡的にさせていた。
「やれる。そうだ、紋章さえあれば貴様らごとき……!」
都合のいい希望に縋り付くようにミストは【トキシックミスト】を発動、猛毒の霧に変身して飛び掛かる。
全てはポーラリアの計算通り。アートで作った偽物の紋章にまんまと騙され、敵がこっちに突撃してくるのを見た彼女は、ポッケから小さなスノードームを取り出した。
「あげないわ!」
「逃がすかッ!」
このドームはユーベルコード製の異空間に繋がる入り口になっている。カビパン紋章と一緒に吸い込まれるように消えていく彼女を見て、後がないミストも追いかける。その先にどんな空間が待ち受けているかも知らないで。
「ずっと溶けない、真冬の世界へようこそ♪」
スノードームの内部はどこかの雪景色をそのまま閉じ込めたような、極寒の氷雪世界。
冬の妖精ポーラリアにとっては快適な環境だが、それ以外の生物にとってはどうだろう。ことに、こんな場所に体を霧化させたまま入ろうものなら――。
「なッ、なんだ此処は?!」
猛毒の霧となったミストの体が、あまりの寒さで霧の状態を保てずに凍りついていく。向こうの狙いは自分をここにおびき寄せる事だったのだと、気付いた時にはもう遅い。全てが真っ白に染まった極寒の世界の中心で、妖精が朗らかに笑っている。
「猛毒の霧も白い氷の霧になって凍り付く世界で、どんな氷像になるかしらっ」
天候操作の魔法も使って、スノードームの世界に全力の極寒吹雪を起こし続けるポーラリア。
止めようとミストが腕を伸ばしても、すでに彼の体は動かなくなっていた。吹き付ける雪と風のせいで視界もきかず、一面真っ白な世界で生きたまま凍りついていく自分を体感させられるだけ。それは一体どれほどの恐怖だろう。
「やッ、やめろ……やめ……!」
脱出のための足まで雪で固まり、傲慢なる吸血鬼は【フリーズコレクション】の一部と成り果てる。
悲鳴じみた叫びもやがて絶え絶えとなり、最期には吹雪の音に紛れて聞こえなくなった。
「この……俺が……こんな奴らに……なぜ……」
最期の最期まで己の敗因を理解できぬまま、吸血鬼ミスト・ヴァーミリオンは氷像と化した。
それを見届けたポーラリアは氷雪世界から外に出ると、敵が入ったままのスノードームを拾い上げて、にこりと笑う。
「あたしの分のランタンを切らしていたので、このままお祭りに持ってくね!」
スノードームを氷輝くランタン代わりにして、彼女はぱたぱたと村のほうに飛んでいく。そこでは村人達がハロウィンの準備を進めているはずだ。反乱討伐軍の最後の大将も斃れた今、楽しいお祭りに水を差す者は誰もいない。
――こうして、戦いを終えた猟兵達は、無事に村人達と共にハロウィンを祝うことができた。
南瓜のランタンが照らすささやかなお祭り。それは吸血鬼の支配に屈しないという抵抗の意志の現れだ。
皆が希望を失わない限り、この祭りは来年も、そのまた次の年も、きっと受け継がれていくことだろう。
大成功
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