2
銀河帝国攻略戦㉔~鮮烈! ペンギン隊

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #ペンギン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦
#ペンギン


0




●地獄のペンギンコマンドー
 これまで数多の激戦を潜り抜け、帝国旗艦『インペリウム』を遂に射程に捕らえた『解放軍』であったが、アウトレンジからの『インペリウム対艦兵装群』の一斉砲撃により、大きな被害を受けてしまう。
 反撃も空しく『インペリウム』まで攻撃は届かず、『インペリウム対艦兵装群』を攻略しない限り、皇帝の下へは辿り着けない膠着状態を続けていた。

「猟兵の皆さん、お疲れ様です」
 ユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)は、ブリーフィングルームに集まった猟兵を見やり、説明を始めた。
「先の状況より、帝国旗艦『インペリウム』を撃破する為には、対艦兵装群を沈黙させて、解放軍艦隊が有効射程まで近づけなければなりません」
 対艦兵装群さえ止める事が出来れば、正面からの艦隊決戦に突入するという流れだ。
「破壊すべき対艦兵装は推定全長20m前後の巨大なカニの様な形状の防空兵器、短距離物質瞬間連続転送レンズ照射装置――長いのでカニ装置と呼称します」
 何でも指定した空間に任意のベクトルで、インペリウムの攻撃を投射出来る装置らしい。ただ生物の転送は出来ず、星間移動する程の距離は使えないとの事。その代わり連続照射する事で、周辺に絶対無敵の防空網を構築しているのだとか。
「このカニ装置は、至近距離に近づいた対象を攻撃する事は出来ません。しかし敵も学習し、我々のお家芸である転移攻撃に備え、防衛部隊を配備しました」

 防衛部隊、そういえば既に転移を予知した迎撃の報告も受けていた。その敵とは? と猟兵らが訪ねる。
「私が確認したのは通称氷山部隊、鳥類を改造した超能力兵団です」
 高い知能を持ち、人語を話す上にサイコパワーと宇宙空間を自在に泳ぐ特殊能力を手に入れた、登録名アイスバーグソルジャーと呼ばれるモノと同個体である。
「戦闘は全てが空間戦闘です。完了後に直ちに転移回収致しますので、安心してください」
 つまり、艦内戦闘や陸戦は一切考慮しなくていい。空間戦闘の準備だけすればいいのだ。
「この防衛部隊の攻撃を掻い潜り、カニ装置を破壊する事が作戦目標です」
 皆さんならきっと大丈夫! 必ずここに帰ってきて下さいねと、ユーノは猟兵達を笑顔で送り出した。


ブラツ
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
 こんにちは、ブラツです。
 遂に到達した帝国旗艦。
 先ずは作法に則り一枚ずつ剥がしましょう。
 防空兵装を。

 今回のシナリオでは必ず下記を明記してください。
・護衛の攻撃をどう掻い潜るか
・カニ装置をどのように攻撃するか

 この二つが明記されていない場合、高確率で苦戦ないし失敗します。
 また、今回の攻撃対象は護衛のペンギンではなく【カニ装置】の方です。
 少々ややこしいですが、ご注意ください。

 リプレイは初回失効日に合わせて開始する予定です。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 グッドラック、イェーガー。
174




第1章 集団戦 『アイスバーグレンジャー』

POW   :    フォーメーション『霜』
【冷凍ビーム】が命中した対象を爆破し、更に互いを【氷の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    フォーメーション『霰』
【隊長ペンギンの特攻体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【隊員ペンギン達の連続体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フォーメーション『雹』
【隊員全員のパワーを合わせて巨大氷山】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フロッシュ・フェローチェス
かいくぐれ、か。……スピード勝負って訳だ。
アタシの得意分野――存分にやらせてもらうよ。

メカニックの技術と武器改造で、突発的に宇宙用へ改装した装備はあるし、【スカイステッパー】や衝撃波もある。
たどり着くことそれ一本。なら形態変化も何もかも全てスピード重視だ。

先制攻撃の【選択したUC】後に、その数秒間で情報収集。
攻めるフェイントを見せ――だまし討ちとばかりに早業切り替えから、ダッシュ。
攻撃に反応して反撃して来たら、【ドリニダード・スコーピオン】でカウンター気味に一発。……あとからくるペンギン達へ、蹴り飛ばした敵を盾にする戦法を使わせてもらうよ。

トドメは――【選択したUC】を一纏めにして、蹴り放つ!


アスカ・ユークレース
【流れ星の軌跡】で一気に駆け抜ける

【フェイント】で護衛と戦うと見せかけて
【地形の利用】で護衛や宇宙ゴミを飛び石みたいにしてショートカット
攻撃は【第六感】で避ける、【敵を盾に】して防いでもらうなどして極力戦闘にはリソースを割かないように

万が一という場合はその限りではありませんけど。

「今は貴方達を相手してる暇はないのですよ!」


破壊は【選択UC】で
合体強化させて撃った方が良さそうですね
【スナイパー】なら護衛がいても機械に当てやすくなるでしょうか?

アドリブ、連携歓迎


如月・アストレア
【SPD】
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん!くりむちゃん! からの、デストロイド☆ジェノサイダー!」


CMF(クリムゾンフレーム)を呼び出して騎乗からの6.5Mの人型に変形。
そして亜空間から対『艦隊』用超荷電粒子砲を取り出して構える、というか横の銃座に乗り込む。

「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ♥」

対艦隊用超荷電粒子砲が護衛ごとインペリウム対艦兵装群をなぎ払う!

砲撃までの準備中は誘導兵器のワスプに護衛してもらうよ!

㉔の戦場全参加で全部ぶっ飛ばすぞー☆

【吹き飛ばし】


響・夜姫
「ペンギン。持って帰って飼おう。あとカニ食べよ」
ダメ?

・敵の攻撃
1.学習力、第六感、ダッシュ、地形の利用(残骸を投げる・盾にする等)で回避
2.先制攻撃、クイックドロウ、誘導弾、2回攻撃、範囲攻撃、一斉発射、スナイパーで敵の攻撃を狙って相殺・防御。「たいくーぼーぎょ」
3.オーラ防御、武器受けで直撃弾を防御
の3段階。
これでダメならいったん退却。

・カニ装置破壊
「鳥の巣を抜けたら、そこはカニ装置だった」
んー。
クライミングで装甲の継ぎ目や接続部等の少しでも弱い所を探してから。
零距離射撃、2回攻撃、範囲攻撃、一斉発射、フルバースト・マキシマム。
「お約束の、ふぁいやー」

そろそろ火力脳筋と言われても仕方ない。


パル・オールドシェル
サイキックペンギン部隊……ですか。
きっと愛らしいのでしょう。けれど、僕にはそれが分からない。
ので、遠慮はしません。押し通ります。

ペンギンとの空戦はヒューマンカウルの性能と僕自身の、これまでの戦いで培った経験を信じて突破します。
どうやら敵は連携が得意なようですね。ならば徹底して指揮官を狙い、統率を早期に潰します。
艦砲クラスのビームライフルの直撃ならばいくらオブリビオンといえど!

ペンギンを突破したらライフルを投棄、E装備を展開。
さらなる敵の来援があるかもしれませんが、猟兵戦友の援護と自身の防御力を信じてチャージに徹します。
20%、1分間のチャージでカニを砲撃! この威力でもダメージは通るはず!



●ガールズ・バトル・パーティー
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪」
 真紅の戦騎、クリムゾンフレームの銃座の中、如月・アストレア(クイック ビー クィーン・f13847)はいつも通り、照準に帝国旗艦『インペリウム』を捉える。
「かーらーの、デストロイド☆ジェノサイダー!」
 轟砲一閃、極限まで圧縮された荷電粒子の圧が、周囲にバチバチと紫電を撒き散らし、その威力を解き放った。
 だが、今回の一射は『いつもの』対艦砲撃ではない。

『敵、重砲による砲撃を確認。別区画からの報告通りです!』
 帝国旗艦『インペリウム』内、特殊防空対策班氷山部隊指令室の一角、慌ただしくペンギンが報告を上げる。
『よし、ここの武装が他と違う所を思い知らせてやれ。各員、準備!』
 その中でも一際威圧的なペンギン『ゴールド』が、眼下のペンギンに向けて指令を飛ばす。
『了解! 短距離物質瞬間連続転送レンズ照射装置、エネルギー開放!』
(これ名前長いよなぁ……)
『短距離物質瞬間連続転送レンズ照射装置、エネルギー開放を確認。空間転送レンズを展開開始!』
(何でこんな長いんだよ……)
『短距離物質瞬間連続転送レンズ照射装置、空間転送レンズの任意放出ベクトル調整、範囲計算間に合いません、緊急反転放出します!』
(誰だよ名前つけた奴……)
 心の中でさも面倒そうに、舌を噛みそうな何だかよく分からない兵器をマニュアル通りに読み上げるペンギン達。順番にボタンを押すだけなのに。
『短ゲボォ……失礼、むせた。なんとかレンズ装置、敵重砲通過まで残り15セック。アタックシーケンスへ移行』
(そりゃむせるわ)
 一匹のペンギンが不意に舌を噛む。同僚ペンギン達が流石にまあ、そうなるよねと憐みの視線を向け。しかし。
『カッパー、貴様皇帝陛下より賜りしこの秘密兵器の名前を間違えるとな何事だ!』
(えっ)
(えっ)
 今そこ!? ブチ切れゴールド、所定の手順を誤ったカッパーと呼ばれたペンギンを叱責。今それどころじゃないのに。
 正面スクリーンには空間を歪ませる半透明の膜らしき転送レンズが、艦隊側面に広げられた姿を映し出している。転送開始まであと僅か。
『申し訳ございません! 誰ですか名前を付けたのは!』
(聞いちゃったよこのペンギン……)
 聞いちゃったよ、いいぞもっとやれと、この無駄に長い発動シーケンスに少なからず怒りを覚えるペンギン達が、心の中で声援を送る。
『貴様! この……この、ええい、愚か者めが!』
(司令官、絶対覚えてないぞ)
(覚えてないな)
 そうなのだ、実はゴールドもよく分かっていない、この装置の名前を。順番にボタンを押すだけなのに。
『敵重砲通過ー! ベクトル転送開始!』
『よし!』
(よし、じゃねえ)
 正面スクリーンには、艦隊を舐める様に放たれた極大の荷電粒子の塊を、転送レンズによって別の空間へ飛ばされる姿が映し出された。
 但し計算時間が短く(主に色々と名前が長いせいで)、飛ばされた荷電粒子の塊は、そっくりそのまま射出された方角へ放たれていた。
 その威力が、周辺の残骸を巻き込んで爆光を散らす。ぱっと見、敵の攻撃を上手く凌いだかのように見えた。
『フハハハ……この、この、ええと……カニ装置の威力を見たか、反乱軍!』
(お前はいいのかよ!)
(早く帰りたい……)
 それ自体が、猟兵達の罠である事も知らずに。

「敵……カニ装置起動。座標を特定、方位を共有……迎撃部隊の接近を感知」
 パル・オールドシェル(古き戦友・f10995)がその欺瞞攻撃によって導き出された今回の破壊目標を、参戦した猟兵達に共有する。
 同時に、こちらへの迎撃部隊も確認出来た。その部隊を掻い潜って突破しなければ、カニ装置へ辿り着く事も難しい、とも。
「かいくぐれ、か……スピード勝負って訳だ」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はその報告に不敵な笑みを浮かべる。要するに、最速でそいつらを往なせばいいだけ。
「アタシの得意分野――存分にやらせてもらうよ」
「それでは私も、先に参ります」
 フロッシュに合わせて、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)も前に出る。速さなら覚えがある。
 それじゃあ行くかと、先駆けを買って出た二人は流星の様に、瞬く間も無くその場を飛び出した。
 その光に纏わりつく様に、ペンギン迎撃部隊のサイキックが広がった。
 ここに突破作戦が始まったのだ。

「迎撃部隊が喰らい付きました。では僕は敵の頭を落としましょう」
 パルは己の装備を確かめ、迎撃部隊の指揮系統を潰すべく狙いを絞る。
 中空には迎撃部隊とは離れた位置に、無様にもサイキックの輝きが揺らめいていた。
「それじゃ、アストレアちゃんは今度こそカニ装置をぶっ壊してくる!」
 アストレアの砲撃により開かれた戦端、本命を叩き込むべく『クイック ビー ストライカー』に跨る。
 その周囲には護衛の『ワスプ』が。まるでワンマンアーミーの様相。
「ペンギン。持って帰って飼おう。あとカニ食べよ」
 響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)はそれよりも、と。これより見える敵に思いを馳せる。
「ペンギン……きっと愛らしいのでしょう。けれど、僕にはそれが分からない」
 夜姫の柔らかな呟きに反応するパル。だからこそ、遠慮はせずに押し通す。
「そして残念ながら僕の予測では、あのカニは食用に適してません」
「んー……残念」
 心底残念そうに肩を落とす夜姫。それじゃあペンギンだけで我慢しようかと、目標の獲物に狙いを定める。
「丁度道も空いてるし、ブッ飛ばして行っちゃうよ☆」
 アストレアの高らかな宣言に、では行きましょうと。残された猟兵達は二手に分かれて装置に向かった。

「出たな、勝手にやらせてもらうぞッ!」
『そんな数で、我ら全てを相手に出来るとでも』
 ペンギン迎撃部隊、精鋭のサイキックという触れ込みだが、果たして――フロッシュは既にその答えを得ていた。
「ComeOn、ジャベリン――薙ぎ倒せッ!」
 こいつらは、脆い。そして、遅い。会敵から僅か、卓越した情報解析でその戦力は既にフロッシュの手の内だ。
 ただ数が多いだけなら幾らでもやりようはある。それを物語る様に、放たれた25本の【迅速貫槍】が包囲するペンギン達を迅速に磔刑に処す。
 串刺しとなった同胞を涙ながらに見捨て、眼前の怨敵に次々と体当たりを敢行するペンギン達。だがそのどれもが、当たらない。
「遅すぎる、それでも精鋭か?」
 宙を舞う様に進むフロッシュ。立ち塞がるペンギンを蹴り飛ばし、それ自身を盾として強引に突き進みながら、哀れな鳥類を周囲へ吹き飛ばす。
 遠間からサイキックを放とうとも、一薙ぎの衝撃波がそれらを吹き飛ばし、手にした『刻天炉』が鳥撃ちの散弾銃さながら、サイキックで煌めく羽毛を撒き散らした。
「遊んでいる時間は無い。邪魔をするなら、全員纏めて叩き潰すッ!」
 その気迫に押され、僅かに空いたカニ装置への道を見逃すフロッシュではない。光の尾を引き、一番槍は戦場を突破する。

「速い……でも、私だって!」
 目まぐるしく進むフロッシュを追い、流星の如き軌道で駆け抜けるアスカ。不意に吹き飛ばされた手負いのペンギンが、その眼前を横切ろうとするが。
「あっ……ちょっと、ゴメンなさい」
 敢えてぶつかり、続いて殺到するペンギン達に投げ返す。その繰り返し、威力はペンギンが備えている。
 盾か鈍器の様にペンギン達を振り回しながら、アスカも装置目掛けて最速で突き進む。
『俺達を、盾にして……だと!?』
 超高速戦闘の最中、フラフラと飛ばされる一羽のペンギンが独り言ちる。こんなのひどいよ。
「今は貴方達を相手してる暇はないのですよ!」
 弱腰のペンギンを一喝し、それを足蹴に一層の跳躍を。流星は止まらない、カニ装置を破壊するまで。
 幸い進路は既に放たれた荷電粒子砲のお陰で、本来あった構造物が残骸になって舞っている。
 アスカはあえてその中へ潜り込み、しつこいペンギンの追跡を躱す。
 残骸を足場に前へ、前へと。軽業師の様な身のこなしは、さしものペンギン達も追いきれない。
 飛ばし過ぎたスピードで残骸に激突するペンギンを後に、アスカは一層加速して突き進んだ。

『フフフ……矢張り私の陣形に狂いはない、そのどれもが美しい』
『シルバー隊長! 敵影確認、数は1!』
『単騎掛けか、それもまた美しい……』
 迎撃部隊の指揮をつかさどるペンギン『シルバー』は己の毛繕いをしながら、眼前で繰り広げられるサイキックと反撃の煌めきにのみ心を奪われ、状況を全然把握していない。
 しかし腐っても隊長、その健在は部隊の士気にかかわる。故にどんな存在であろうと、確実に叩き潰さなければならない。
 そこに迫るは一つの影、戦闘用ウォーマシンが一体。ペンギン迎撃部隊の本陣に颯爽と現れた。
『よく見つけたな。だがここから先は通さんッ! 我ら精鋭氷山部隊が――』
 言うが早く、光の鈍器――『ビーム鉄パイプ』でその頭をかち割られる。
「さあ、不運と踊りたい者から前に出なさい」
 パルは静かに死の宣告を。悪鳥には堕天使の鉄槌を。
『そうはさせるか、サイキック氷結ストロング!』
 即座に残る一匹の直参ペンギンが、その輝く鈍器を氷結のサイキックで無効化する。熱を奪えば、ビーム兵器といえどその威力はもろに落ちるだろうと。しかし。
「……誰が、一本だと言いましたか?」
 がらんと、音が聞こえた気がした。堕天使の翼は一対、つまり鉄パイプも一対。
 星明りを反射して鈍い光を放つ『鉄パイプ』が、続けざまに迂闊なペンギンの頭をかち割った。
『……私が前衛隊長シルバー、よもやこれ程とは流石です、猟兵』
「貴官がヘッドか。パル・オールドシェル、猟兵です」
 直ちに戦闘不能となった二人の直参を後に、シルバーが前に出る。いざ、勝負。サイキックで増幅されたペンギンの特攻。その速さは彗星の様に。
 そしてペンギンはビームライフルの露と消えた。誰が鉄パイプで戦うと言いましたか?
 手にした『ギムレット76mmSBR』の輝きが消えるまで、僅か数秒……ここに迎撃部隊は総崩れとなった。

「うーん、これだけ道が空いてると楽ちんダネッ☆」
「ペンギン……捕まらない」
 トップスピードで駆け抜けるアストレアの後には、後詰の夜姫が。あまりにも早すぎるアストレアを追いきれず、しかし後ろから追いかけるペンギンはそれなりにしつこく、追いすがる夜姫達に冷凍ビームを放ち続ける。
「鬱陶しいなぁ……」
 夜姫は舞う様な機動でそれを躱しながら、両手の『ダルク』と『マガツ』を続け様に放った。バレット・バレエかくや、星の煌めきに囲まれて乱舞する火線が、ペンギン達の翼を手折っていく。
 それでも尚、トップスピードに追い付こうとするペンギン達は、隊列を組んで最高速で接近してきた。
「うーん……たいくーぼーぎょ」
 だが夜姫の『サバーニャ』は、無慈悲にもそれらを弾き落とす。5対10門の十字架を模したアームドフォート群は、飛び交う鳥類を正確にハントした。
「お土産……ペンギン」
「そーら、見えて来たよッ! カモン!! くりむちゃん!!」
 フラフラと意識を失い通り過ぎる小柄なペンギンを、捕まえて持ち帰ろうとする夜姫の前で、目標地点にたどり着いたアストレアはクリムゾンフレームを召喚。
 全長6.5mの真紅の人型機動兵器は、再びその手に裁きを齎す対艦隊用超荷電粒子砲を装備。
「凄く……大きいです」
 その威容を眺め、夜姫がぼそりと呟いた。
 そして振り向けば、カニ装置――ひっくり返ったカニの様な形状の名前の長いアレの姿が目に映る。
 本命攻撃まで、あと僅か。

「そらそらッ! どうした、もう終わりかッ!?」
「割と終わらせたそうですよね、あのペンギン達」
 フロッシュは眼前のカニ装置の前に立ちはだかるペンギン部隊を返り討ちに。同じく辿り着いたアスカは、その様子を見てフロッシュに問うた。
「それなら話は早い。一点に集い……貫け、デス・レイン!」
 ペンギン達を屠らんと放たれていた【迅速貫槍】が集結し、一束の巨大な槍へと姿を変える。
「先にあの脚を……ブチ壊す!」
 周辺に障害は無い。その剛脚で巨大な槍は蹴り飛ばされ、死の雨としてカニの脚へと降り注ぐ。その衝撃が、剥き出しの脚を破壊した。
 アスカも続き、己の特大をぶつけんと秘めた炎を開放する。
「赤く輝け、蠍の炎、その御霊燃やして我に道を示せ!」
 それは【アンタレスフレイム】――蠍の毒を孕んだ炎は、集結し特大の爆炎に。
「ペンギンなら熱に弱いかも……とか言ってる場合じゃないです!」
 両の手で集結した爆炎を投げ放ち、同じく剥き出しになった脚状の施設を焼き払った。既にカニ装置は、この時点で満身創痍となった。

「鳥の巣を抜けたら、そこはカニ装置だった」
 夜姫はアストレアより先に抜け、ひっくり返ったカニの脚をじろりと眺める。うん、不味そう。
「それじゃお約束の、ふぁいやー」
 全武装を正面の施設に集中――【フルバースト・マキシマム】が舐める様に眼下のカニの脚を焼き尽くす。
 焼けば食べれるかな? それでも無理でしょうと仲間の声が聞こえた、気がした。
「ターゲットインサイト。対要塞レールキャノン"HOPE"、チャージ20%」
 後ろにはいつの間にかパルが【要塞攻略E型装備】を纏って傍へ。たった1分間のチャージでも、あれらを破壊するには十分。
「この威力でもダメージは通る……はず!」
 そして発射された大型電磁投射砲が、残るカニの脚を貫き、これまでの全ての威力が合わさった爆光が、舐めるように表面に広がっていく。

 これで全ての、四対八本のカニの脚めいた装置、重力子制御アンテナが完全に無力化された。
 最後に残るは、巨大な一対のハサミの様なモノ。
「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ♥」
 アストレアの号令一下、そのハサミを目掛けて、チャージされた必殺の一撃が、今度こそ役目を果たすべく放たれようとしていた。

『カニ装置、1番から8番までの重力子制御アンテナが損壊! エネルギー系統の漏出、制御不能!』
『カニ装置、強制冷却シリンダー大破! メインカニバサミが2本とも熱暴走、止まりません!』
『うろたえるな小僧ども! メインカニバサミとは一体何の事だ!』
(今かよ)
 最早やけっぱちの慌ただしい指令室の中、猟兵達の強襲で徐々にその力を失っていくカニ装置の状況をつぶさに報告しつつ、ペンギン達は大半が帰り支度を始めていた。
『物質転送レンズ展開用大型次元切断接続系制御装置であります!』
(真面目か!)
 一匹のペンギンがわざわざ舌を噛みそうな正式名称を報告する。だからといって、もう、どうにもならんでしょうに。
『大体分かった、メインカニバサミを切り離せ!』
(嘘つくな!)
『駄目です、ハサミが外れません!』
 あ、これ詰んだわ。
 天を望むペンギン達の目には、煌々と輝く真紅の執行者の鉄槌が映っていた。

「これが全力のお仕置きビーム!!!」
 限界まで圧縮された荷電粒子の衝撃が――無慈悲な【デストロイド☆ジェノサイダー】がメインカニバサミを丁寧に料理していく。
 灼熱に焼かれてブクブクと泡立つ装甲表面が爆ぜ、超空間エネルギーめいた歪みが、帝国旗艦『インペリウム』の側面へ広がっていく。
 その歪みがペンギン達の居る区画を飲み込み、消えた。
 これでもう、神出鬼没の空間跳躍兵装は使えまい。

 猟兵達はこの戦いに、勝利した。
 残る敵は銀河皇帝、だが直ちの追撃は至極危険。
 正体不明の眼下のオブリビオン・フォーミュラにそれぞれ思いを馳せ、猟兵達は母艦へと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月21日


挿絵イラスト