銀河帝国攻略戦㉖~その知恵を口にして
「皆さん、スペースシップワールドで巻き起こっている大きな戦いについては、もう耳にされていますか?」
集った猟兵たちの、ひとりひとりの顔を確かめながら、プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は話した。
その背後には、広大な宇宙の色が揺らめいていた。
「現在も【銀河帝国】との交戦が繰り広げられていますが……その中で、じつは新たな事実が判明したのです」
先刻、制圧となった【アマルテア情報艦隊】から得られた情報だ。
方々のスペースシップから拉致された、有能な科学者や技術者たちが、【帝国旗艦インペリウムの科学技術センター】で働かされている、というのだ。
これもまた、いままで帝国が高い技術を誇ってきた一因なのだろう。くわえて、こうして帝国が有能な科学、技術を独占してきたが故に、スペースシップワールドの発展は遅滞していたのだともいえる。
彼らを助け出せたのならば。この世界の未来発展に、大きな飛躍が期待できる……ひとつの、『希望』だ。
だが、しかし。プルミエールが、表情を曇らせる。
「予知によると……彼らは、【生体コンピューターの部品】として、科学技術センターの中央コンピューターの一部に、組み込まれてしまっているのです」
管は、深い根のように。絡みつき合う蔦のように。そびえたつ不気味な機械の柱に、グロテスクさを増して張り巡っている。
さながら、機械の大樹。そこに果実のように、『技術者や科学者が直結されたコンピューターユニット』が無数にぶら下がっている。――生体を糧に、知を実らせる冒涜的なその光景。
「彼らを、このままにはしておけません! けれど、解放するためには、ユニットごとにパスワードの入力……提示される『謎』を解いて、答えを入力する必要が、あるのです。……無理やり引きはがしたり、他の方法を取ろうとすれば……意識が焼ききれて、彼らは死亡してしまいます。ですので、皆さん――どうにか『謎』を解き明かして。囚われた彼らを、無事、救出してあげてください!」
そして、プルミエールが予知した、ひとつのユニット。それには、こう提示されるのだという。
『わたし』は満たされている。
すると『わたし』は高らかに掲げられて、皆は『わたし』をあおるのだ。
探し、求められるは聖なる『わたし』。
――さぁて。『わたし』は、一体なぁに?
「正しい『答え』を入力しさえすれば、安全に、接続は解かれるはずです。猟兵のみなさん、どうかよろしくお願いします――!」
そして、プルミエールは猟兵たちを送り出す。冒涜の知恵の樹の下へと――。
ともすがらす
※このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ともすがらすと申します。
こちら、戦争マップ「㉖捕らわれた人々を解放せよ」による作戦となります。
なお、今回のプレイングの際には、必ずどこかしらには、謎に対する『答え』を書き込んで下さい。
それでは猟兵のみなさま、どうぞよろしくお願い致します!
第1章 冒険
『中央コンピューターの謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。
SPD : 素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
水島・可奈
【答】杯、かな。杯を酒とかで満たし、高くかかげて、それをあおる。そして求めるのは聖なる杯――聖杯。これでどう?
もし正解で救出できたら生まれながらの光で癒してから科学者さんが落ち着いたのを見計らって安全な場所に運ぶ。
グロテスクな大樹の下で。
今回の予知にあった、ひとつのユニットにアクセスするべく、水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)がパネルへと向かい合っていた。
接続を解除しようと――そこで提示されたのは、やはり予知にあったとおりの謎かけだ。可奈は、その答えを口にする。
「答えは――杯、かな」
『わたし』は満たされている。
すると『わたし』は高らかに掲げられて、皆は『わたし』をあおるのだ。
「これは、杯を酒とかで満たし、高くかかげて、それをあおる、ってことで、」
探し、求められるは聖なる『わたし』。
「そして求めるのは聖なる杯――聖杯。これでどう?」
可奈が紡いだ解答に、パネルが柔らかな緑の色に発光する。『ロック解除』の意味を示すのだろう、文字列が点滅して――ひとりの人間が、可奈の目の前へと、大きく垂れ下がってきた。
「っ」
その人物へと、手を伸ばす。頭に繋がれていた機械の枝が、カチャリと抜かれて忌まわしい樹へと戻っていった。
解放された人間は、青白く、ひどく痩せ細った男だった。白衣を着用している……科学者だろうか。
たしかめて、可奈は目を伏せた。――まばゆく、輝きだす聖なる光。その【生まれながらの光】を、弱り切った人間へと放つ。
科学者はその瞬間、一度ビクリと体を痙攣させた。そしてやっと、ゆっくりと、ゆっくりと。ひどく重たい瞼を開いていった。焦点が、可奈の姿を捉えて、またビクリと震える。どこか、驚いているように見えた。
しかし、それ以外には、すぐに動ける様子ではないようだった……長く、『機械の一部』でしかなかったためだろう。口の開け方も、喉の使い方も、体を動かす、ということも――長いこと、忘れていたのだ。
けれど。いまようやく、その科学者は『人間』へと戻る時を迎えられた。
光を収めた可奈は、その人間へと、ひとつ頷いてみせた。
そうして、落ち着いた時を見計らって、科学者さんを安全な場所へと運びだした。
――知恵の大樹に囚われていたもの、また、ひとり。猟兵の、可奈の手によって、世界へと無事戻されたのだった。
大成功
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