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銀河帝国攻略戦㉖～囚われた科学者と記号暗号の謎

作者：みらつば

「さ、戦争も佳境、どんどん行くよっ！」
　ぱんぱん、と手を鳴らすグリモア猟兵のイセッタ。
「今度は救出！科学技術センターって所に、科学者が閉じ込められてるの。でも、ただただ助けるだけじゃいけないんだ」
　頭をかいて、困ったなぁという顔をするイセッタ。
「その科学者は、生体コンピューターの部品として利用されちゃって、科学技術センターの中央コンピューターの一部に組み込まれてるみたいなの。だから、無理やり引きはがしちゃうと、大惨事になるというか、死んじゃうんだ……でもね」
　それがむしろ良い事になってる所もあって、と付け足すイセッタ。
「ドクター・オロチの研究に携わるコンピューターの一部とされていた訳だから、その頭にはこれまでのスペースシップワールドには存在しなかった、高度な技術や知識が詰め込まれてるの。つまり、救出できれば今後のスペースシップワールドの発展に大きく役立つかも！」
　そう言って頷き。
「で、肝心の解放の仕方なんだけど……どうやら、機械のロックはパスワード式みたい。起動して、ロックを解除しようとすると、暗号が出てくるんだ、こんな暗号なんだけど」
　と、見せてきた暗号にはこう書かれていた。
「星→1234」
「元に戻す→5678」
「子供→90!/7」
「31　!316?2　86　!09!　55095　30　!09848　482987」
「答えは0?342」
　そして、パスワードを入力する欄がある。
「わたしには良く分からないけど、きっと皆なら解けるよね？」
　頷くイセッタ。つまり人任せである。まあ、グリモア猟兵だから仕方ない。
「そして、正しい答えを導いた後に、救出した後の科学者をちょっと手当てしてほしいんだ。あんな所に閉じ込められてたら、流石に少し弱ってるだろうしね。お世話してあげてほしいの」
　うんうんと頷いて。
「それじゃあ、よろしくね！いってらっしゃーい！」

第1章 冒険 『中央コンピューターの謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　とある部屋に、その機械はあった。大きく、高くそびえ立つその真ん中には、科学者が眠っていた。
　早く助けないと、本当に科学者が意識ごと持って行かれそうだ。しかし、焦ってはいけない。無理やり解けば
「救出が任務なのだろう？手早く済ませるぞ」
　そう言って暗号と向き合おうとするのはジュニア。それと、　
「あー、うん、謎解きな。クロスワードパズルとか暇なときよくやるぜ。で、今回のお題はーっと……あー……？」
　そう言って頷くギルバートと、
「ハッキングもできんからのー、解くしかないけえのー」
　それを斜め後ろから見てるメイスン。それと、
「でも、言葉がこのままだと暗号が解けないみたいですね……」
　そう言って考えるミニステリアリスと、
「ほうほう、そんなに難しいのか……よっしゃ何々…？」
　覗く桑崎。しかし、彼にはすぐ分かったのか、そうか！という顔になる。
「ふっ……直ぐに分かったで、これは文字数からして英語やな！なんや、簡単やな！」
「わたくしも見ただけでぱあっと閃きましましたよぉ！そしてこれは、文字置換暗号文でございますねぇ！」
　パルミリーリルも、一緒に覗いて直ぐ分ったようだ。
　文字置換暗号、つまり換字式暗号とは、平文を、1文字または数文字単位で別の文字や記号等に変換することで暗号文を作成する暗号で、今回のようにヒントがある場合はとても簡単となる暗号だ。
　古くは人の絵で表された事もあるが、今回は数字や記号となっている。
　今回の場合はヒントである、星・元に戻す・子供、をどう変換するかがポイントだった。
　そのすべき変換は英語。なので英語にすると、
「1234は星、でSTAR、5678は元に戻す、だからUNDO、それと90!/7は子供、つまりCHILDだな」
　文字数からして、英語なのは分かりやすい。
「それを順番に数字に当てはめていくと……1がS、2がT、3がA、4がR、5がU、6がN、7がD、8がO、9がC、0がH、!がI、/がL、7がD。二回出てきた7が同じ文字を表すんやからこれで有ってそうやな！」
「なら、あとはそれを四行目に並べていくだけだな！」
　そう言うと、頭の中で皆で並べていく。
「つまり四行目は『as iasn?t on ihci uuhcu ah ihcoro rotcod』……？」
「……なにこれ」
　出来上がった謎の文章に、うーん、と考え出す全員。しかしここで、パルミリーリルが思いつく。
「もしかして……これはこれは、逆さ読みでございましょうか！」
「確かに、ihcoroを反対にしてorochi、は目につくな」
「ああ、逆から読むんですね」
　そして、その通りに反対にすると、『Doctor Orochi ha Uchuu Iti T?nsai sa』となる。こうなるともう、意味の分かる文章へと変わる。文章が調子乗っているが。
「逆から読みつつ奴の言いそうなことを考えれば、ドクターオロチは天才さ、という文になるわけだな。ふん…天才であることには間違いはないだろうが、到底反吐の出るような趣味の持ち主だ、技術者として憤慨の念が尽きんな」
　天才とはいえ、流石に暗号にまで仕込んであると、少し引くものがある。
「ですね、?に意訳が混じりましたが、幸い答えは意味が通じそうです」
「ふざけた暗号文じゃのー。じゃけど、解き方さえわかればあとは簡単じゃけー」
　そう言って頷くジュニアと共に、メイスンも頷いて暗号に向きなおす。
「答えは0?342、だったか。?は天才、つまりTensaiのeが入るから」
「回答は『Heart』で心臓でございます！」
　まるで、彼の心臓は自分が握っているかのような答えである。
「よし、僕が入力するけえのー」
　カタカタと入力し、決定するメイスン。ピーッという音と機械音と共に、その後ロックがゆるくなった所にすぐにメイスンが行ったハッキングのおかげもあってか、すんなりと科学者が解放された。
「う、あ……」
　しかし、その中に居た科学者は少し弱っていた。あんな所に閉じ込められてた上に、無理やり頭を使わされてたのだから、当たり前ではある。
「とにかくまずは広い所へ運びましょう、手伝ってください」
　自らのユーベルコード、万能錬成カミヤドリで担架を作るミニステリアリス。そしてそのまま、皆で担架で運んでいく。
「ちょっと見てみるか……おや、ちょっと熱があるみたいだな。冷却ジェルがある、それを使おう」
　機械によりできてしまった熱に冷却ジェルを塗り対応するジュニア。もしかしたら知恵熱かもしれないが、どちらにしろあっては困るものだ。
「応急処置程度でございますが！簡易的な食事と医療具も用意しておきましたよぉ！」
　パルミリーリルもレプリカクラフトで色々作る事により、即席でもどんどんと皆の手当てが進んでいく。そのお陰かすぐに回復していった。しかし、科学者はとても落ち込んだ様子で。
「なんてこった……大嫌いな、絶対に協力したくなかったアイツに協力してしまうなんて、僕は……」
　それはそうだ。ドクターオロチは敵。その敵に嫌々ながらも協力してしまったのも事実。しかし、それを諭したのは……。
「これからの道は長いからのー、僕がこれから楽できるように死んだつもりで頑張ってくれのー。なにせ、引きこもりが夢じゃけーのー」
　メイスンだった。果たして諭してるのかともかく。いや、諭したんだ。そう思っておこう。
「そう、だよな。これからは長いんだ……その分、頑張れば良いんだ」
　ぐっと拳を握る科学者。少しは元気が出たみたいだ。
「ほれ、敵が来る前にさっさと逃げるぜ！」
「ええ、そうしましょう」
　科学者は立ち上がろうとするが、まだちゃんと覚醒していなくて、そのまま膝をついてしまった。
「そのまま担架で運びましょう。そのほうが早いし楽です」
　そうして、猟兵達は救出と脱出に成功するのであった。しかし、佳境とはいえまだまだ戦争は続くのであった。それでもこれは、今後のスペースシップワールドの発展へと繋がる有効手となるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月18日