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ゴミ溜まりのなかから芽生えたもの

#サイバーザナドゥ #ダストエリア #完結しました。参加いただき誠にありがとうございました。

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#サイバーザナドゥ
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#ダストエリア
#完結しました。参加いただき誠にありがとうございました。


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●????
 なくなってしまった。
 全て、なくなってしまった。空っぽになってしまった。消え失せてしまった。奪われてしまった。崩れ去ってしまった。壊れてしまった。なにもかも、この体からこぼれ落ちてしまった。
 何かがあったかどうかもわからないほど空虚なのに、なくなったことだけが確かなんだと、体中で叫ぶこの喪失感が教えている。

 痛い。とても痛い。視覚も、聴覚も、嗅覚も、触覚も、味覚も、なにもかもぐちゃぐちゃに混ざって痛みに変わっていく。体の端から端まで全てが痛い。自分が自分を責め立てている。これではいけないと訴えている。行かなくては、と訴えている。

 行かなくては。どこかわからないところへ。行かなくては。求めるところへ。

 行かなくては。

●グリモアベース
「"特別支給"って知ってるか?」大型モニターの下、集まった猟兵たちを前に、顔に傷痕のある女が切り出す。
「サイバーザナドゥの企業どもが口封じだとか、やらかした身内の始末によく使う手口だ。対象を拉致って、業務支援の名目で最高級品のザナドゥを目一杯元の形がなくなるまでとっつけてやんだよ。こんなやつをな」皮肉に満ちた口調と共に指し示された画面に、クズ鉄同然の古びて錆びきった部品の数々が映しだされる。

「そんでゴミ捨て場に放り込んでやりゃあ身元不明の、死体なのかすらもわかんねぇようなもんの出来上がりだ。そんなとこに転がってるもんなんていちいち警察が調べるわけもねえし、第一調べたってもう元の人間にたどり着けるような部分なんか残ってねえ。ナマの臓器まで仕入れられて大儲けって寸法だ。そんでこの映像もそのうちのひとつってわけだが……」
 モニターに映像が流れる。ゴミ捨て場の中、監視カメラが映したものらしい。画面の外から入ってきた車が止まり、降りてきた黒服の男達が何かを抱えて投げ捨てていく様子だ。捨てられたものはおおよそ人には見えないが、先ほどの話からすると"特別支給"の被害者なのだろう。黒服達が去っていった後も、ぴくりとすら動かない被害者をカメラが映し続ける。

「飛ばすぞ」映像が早送りされ、三時間ほど経ったところで異変が起きる。被害者が立ち上がり、よろめきながらもどこかへ歩き出した。足取りはおぼつかないものの、確実に一歩ずつ前へと進んでいく。やがて被害者の姿がカメラから消え……そこで映像は終わった。
「こいつがどこの誰で、何をやったせいでこんな目に遭ったのかは知らねえが、こいつがどうなったのかだけはわかる。生きてるはずもねえのに起きだして、そんでオブリビオンになったんだ」

 画面が切り替わり、ゴミ捨て場周辺の地図が表示される。一点にバツ印が打たれ、今からおよそ二時間後の時刻が添えられている。
「どこに行こうとしてんのか、この後も対象はずっと辺りをうろついてる。なにしろゴチャゴチャしてるせいで所在が掴めなかったが、二時間後にこのポイントに来るってとこだけは予知で絞り込めた。ここに転送する。追い詰めて仕留めてくれ。あと懸念材料としてはそうだな……」

 地図の上に写真が現れる。企業の傭兵達を写したものだ。作戦地域周辺で度々確認されているらしい。
「どこから嗅ぎつけたのか、対象を確保しようと躍起になってるらしい。なにもかも毟りとって捨てたくせに、まだ足りねえとは欲張りなこった。まあ大した障害にはならないとは思うが、邪魔してくるなら蹴散らしてやればいい」

 作戦の説明が終わって、しばらく黙りこんだあと、堪えきれない様子で女が口を開いた。
「今のこいつが人間かどうか、人間と読んでいいかどうかなんて俺にはわからねえ。哲学の博士号なんて持ってないしな。けどもう元の姿に戻してやることもできねえ。終わらせてやるしかねえんだ……よろしく頼む」


ゆべし食わす
 どうも、ゆべし食わすと申します。スワンプマンとかテセウスの船とか、ベタですけどいいですよね。大好きです。

「サイバーザナドゥ」のシナリオとなります。
 第一章が日常、第二章が集団戦、第三章でボス戦の三章構成になっています。

 第一章では彷徨っているオブリビオンとのチェイスになります。ゴミ捨て場の中で逃げまわる目標を追いかけたり、追い詰めたりしてください。方法はもちろん自由です。

 第二章ではオブリビオンを狙うメガコーポの傭兵と、第三章でオブリビオン自体との戦闘になります。特に制限はありません。

 受付期間等はございませんので気に入っていただけましたらお気軽にプレイングをお送りいただけましたら幸いです。

 以上、何卒よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『ガラクタ探し』

POW   :    探す

SPD   :    探す

WIZ   :    探す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 転送が終わり、あなた達は目標のポイントへと辿り着いた。辺りにはがらくた、不法投棄物、瓦礫、放置された車両などが積み上げられ、それを漁り、そこで暮らす人々の姿が散見される。彼らは見るからに同族と毛食の違うあなた達に難色を示すが、遠巻きに眺めるだけで決して干渉はしてこない。よそ者が何かをしに踏み込んでくることは彼らにとって日常の出来事のひとつでしかないのだろう。

 そんな光景のなかに、あなた達以外の異物が現れる。フードを被り、映像で見た姿とは多少様子が異なるが、間違いなく対象のオブリビオンだ。
 なにかを察したのか、『それ』はあなた達を認識するとすぐに身を翻し逃げ出した。積まれたゴミをなぎ倒し、人を押しのけて駆け出していく。決して追いつけないほど速いわけではないが、障害物の多いこの場所ではただ後をつけていくだけで距離を詰めるのは容易ではない。
 各自、得意な方法で障害を突発し、もしくは逃走を阻止して対象を追い詰めろ。
レン・ランフォード
人格:錬
奴さんがそうなった原因は分からねぇし俺達は捨てられた訳じゃないんだが
なんもかんもなくして|ゴミ捨て場《ここ》から這い出したのは同じでな
少し親近感湧くわ…ま、仕事はちゃんするけどな


走れる所は走って追いかける「ダッシュ」「追跡」
忍者ゆえこれ位の悪路はなれっこだ「足場習熟」
ゴミや人など障害物はUC・駆爪も使って跳び越えて迫る「ジャンプ」「空中戦」
ないとは思うがもしヘマかました時の保険に
実現符で実体化させた別人格・れんをバックアップに
それと数珠丸太郎にも追跡させておこう



 どこで、ここまで違ったんだろうな。とレン・ランフォード(|近接忍術師《ニンジャフォーサー》・f00762)は思った。
 別に自らどうこうしたから、という訳でもない。全部なくして似たようなところで彷徨っていただけなのは同じことだ。それでも、こっちは拾われて、名前をもらった。あっちはこうして追われて、残ったものまで取られようとしている。なにが違ったんだろうな。そんなことを考えながら宙を行き、目標を追う。

 道をふさぐゴミを飛び越し、すり抜け、壁を蹴って着実に追いすがる。時間稼ぎに障害物を増やしながら走っているむこうより、こちらの方が移動速度は上だ。この程度で易易と撒かれるような訓練はしていない。
 距離が詰まってきて焦ったやつが、地元民をこっちに突き飛ばしてきた。まずいな、避けきれない。それなら。
 咄嗟に決断し、頭を踏み台にして跳躍する。相手はぶつかるものだと思って目を閉じ、体を強張らせているが、踏みつけられたことにすら気付いていないだろう。そういうことができるように鍛えている。

 空中で姿勢を整え、そのまま標的に飛び掛かる。
 こいつと自分の違いがなんだろうと、結局今は狩る側と狩られる側でしかない。それを飛び越してまで同情してやるほどじゃない。結局、仕事だから。
 そんなことを考えながら、引き抜いた刃を振り下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・ノーススター
「拾いに来るくらいならそもそも捨てないでとっておけばいいのに」

後々必要になるだろうから余計なことをしないでパーツ単位で倉庫に放り込んでおけばいいのだ、とは仮にもジャンク屋の主の言葉
対象が人でなければこの上ない正論なのだが

現地については真っ先に周囲を確認、地形を把握
仕事用の愛車であるヤーガ、または近くの廃車の陰に隠れつつ待ち伏せ
遭遇時には積極的に胴体、特に下半身や足回りを狙って銃撃し移動を制限しようとする
(万が一逃げられても移動速度を遅くし、作動油などを漏洩させて追跡を容易にしたい。そんなものが残っていればだが)

幸い“方針”は最初から明言されている、遠慮するつもりは一切ない



 拾いに来るくらいなら、そもそも捨てないでとっておけばいいのに。そんなことを思いながら、クレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)は古びた愛車の陰で銃の動作を確認する。
 コーポの連中が考えるような、法の隙間を通すために色々こねくり回すやり方は性に合わないし、効率的とも思えない。どうせ全部せしめるような業突張りなのだから、はなから『パーツ』単位にバラして倉庫にでも放り込んでおけばいいのに。もっとも、そうやって後手後手に回ってくれるならこっちの仕事が捗るし、なんの文句をつける気にもならないが。そんな風に考えながら6x35HSAPAC弾のつまったマガジンを突っ込み、初弾を薬室に装填する。

 下見は済ませてある。あちこち逃げまわっていれば、おそらくこのポイントを通過するはずだ。無為に追い掛け回して消耗するよりも、待ち伏せて叩くほうが効果的で楽に終わる。
 サイトを覗き、機能に不具合が出ていないか確認する。どうせ一発で仕留めなければいけない仕事でもないし、頭を狙う必要はない。腹から下、急に動かしようもない部位に向けてばら撒いてやればいい。仕留めきれなくても、動けなくなればそれで十分だ。その時に撒き散らすのが血か、油か、それでもないなにかかは知らないが。

 なにかがぶつかる音と忙しい足音が聞こえてくる。視線を向けると、目標が予想通りのルートでやってきた。予定通りにやろう。車体に体を預け、狙いをつけ、短く息を吐く。かわいそう、と思ってやる義理もない。そういう場所で、そういう仕事だ。遠慮してやるつもりは一切ない。

 ほんの少し間を置いて、引き金が引かれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真梨木・言杷
棄てられたジョン・ドゥの幽霊、か。そんな体でも死にきれないとはお気の毒だね。いや、死ねない何かがあると言うべきかな。

ダストエリアの歩き方は知ってる。昔は朝から晩までゴミ漁りしてたからね。それで脚を──いや、関係ないか。NiNEProxyを使用、遠隔義体に設定する技能は【追跡】。対象の逃げ道を潰すように9体を分散して先回りさせる。可能なら【ハッキング】で足止めと……『模擬霊障話交感器』で対象の言葉を聞けないか試してみよう。

骨肉を機械部品に置き換えた今の自分は、まだ間違いなく自分なのか?……サイボーグなら誰でも考えるよ。だけど、機械になろうと過去になろうと、遺した言葉は変わらない……はずなんだ。



 まだ、自分は自分のままだろうか。真梨木・言杷(呪言.txt・f36741)は今まで何度考えたか、これからあと何度考えるかわからないことを思う。
 誰もが血肉を機械に置き換えて生きている。利便性のために。生命維持のために。自己表現のために。保身のために。あるいは、ただの趣味として。理由は様々だが誰もがそうする。自分が自分であるために。そして、誰もが「今の自分は自分なのだろうか、どこまでが自分なのだろうか」というありふれた疑問に囚われる。

 なにかを求めて自分を取り替えていき、ついに自分が自分でなくなったとき、それはどんな感覚なのだろう。あるいは、自分のままでいるためには、どうすればいいんだろう。そんなことを考えるたびに、答えなんて出ないんだろうなと思う。きっとあんなふうに「向こう側」に行って初めてわかることで、わからないままにしていた方が幸せかもしれない。遠隔義体越しに捉えたオブリビオンを見て、漠然とそう思った。
 そうまでなって、なぜまだ生きているんだろうか。なにがそこまでして生にしがみつく理由になるんだろう。それが、自分が自分でいるためのなにかなのだろうか。「ここ」にいる限り、自分もいつかはああなる日が来るのだろうか。

 ふと湧いてきた好奇心に従って、対象の声を、言葉を拾ってみる。あくまで、神経網をハッキングしてズタズタにしていくついでに。
 酷いノイズと雑多な情報が入り混じり、言葉になる未満の断片が溢れていた。痛い。苦しい。辛い。悲しい。怖い。そんな、悲痛で、壮絶で、それでいてありふれていて、どこにでもあるような、陳腐で安っぽい感情だ。こんなもので、ここまで生き延びられるものなのか? そんなことを思ってもみたけれど、きっとそれでいいのだろう。
 傍から見て価値がなかろうと、誰にも伝わらないとしても、残したものに変わりはない。そのはずだ。そうあるはずなんだ。

 そう、信じたいだけなのかもしれないけど。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ連携歓迎
『被害者』と云えるような相手を追い詰めるのは、どうにも気が引けるところではあるが、かと云って捨て置くわけにもいかない。

積極的に干渉してくることはないとはいえ周囲に人がいる様子。
その後の戦闘の事を考えると、可能な限り巻き込まないよう行動すべきだろう。

先ず高所から対象の位置と進行方向、周囲の地形状況確認。
対象を捕捉したらそのまま高所を移動するように追跡。

あえて大声を出しながら追いかけて、如何にも厄介事であることを周囲に示して無関係な人が近づかないようにする。
また追跡対象や周囲の人たちに当らないように注意しつつ、周囲の山積物を投擲して高所から確認した人気の無い場所への誘導を試みる。



 どうも気乗りがしない。上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は積み上がったゴミの上から人を、ターゲットを、その他諸々を見渡して小さなため息をついた。
 野放しにするわけにも、していいわけでもないのはわかっているが、望んでそうなったわけでもない被害者を追い詰めてどうこうする、というのはやはり気が進まない。周りに無関係な人々がわんさかいるとなると余計に不安にも心配にもなる。

 それでも、仕事を選んだ以上捨て置くわけにもいかない。せめて、これ以上の被害が出ないように、最善を尽くして立ち回るしかない。
 手早く済ませよう。そう思いながら、ゴミの山から山へ飛び回り、追いかける。たまに怒声を響かせ、人払いをしながら標的をそれとなく誘導する。邪魔したり、わざわざ近寄ってくる様子はなくても巻き込まないに越したことはない。

 程よく開けた場所に誘い込めたのを確認して、ターゲットの目の前に飛び降りる。慌てて逃げようとするのを遮るように、その前に立つ。
 さて、タイマンだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベティ・チェン
「死んで、動くのは。ゾンビと何が、違うんだろ。ボクの情緒が、ないだけ?」
アポカリプスヘル寄りの思考の犬ッコロ、首をかしげた

「見えてるなら。追う方法は、あるんだ。足止めも。ただ、ちょっと。かわいそうだなって、思っただけ」
上空5~10mを飛行し追跡
建物内に入られても、飛行可能なスペースさえあれば飛行し追跡

時々相手の進行方向前方や逃げようと視線を巡らせたとおぼしき方向目前に雷撃を落とし、相手の進行ルートの誘導と抑制を行う

「なんか、弱いものイジメ、してるみたいで。なんか、ヤダ。ボク、あの人に、ヒドイことしてる、気がする…」
微妙に涙目になりながら、それでも指定ポイントへ相手を追い込むよう尽力する



 死んでるのに動く、なら、ゾンビってことなのかな。ベティ・チェン(|迷子の犬ッコロ《ホームレスニンジャ》・f36698)は率直な感想に答えが出せずにいた。
 でも、ゾンビなら死体だけど、こっちは機械だし、生きてる? 死んでる? わからなくなってきた。生きものじゃなくなっちゃったなら、死んでるよね。じゃあ、ロボット? それだと死んだっていうのも、なんかおかしい。やっぱり、なんていうのがただしいのか、わからない。それでも、あれが動いて、逃げてるのは間違いなく起きてることで、それなら、追いかける方法も、止める方法もある。
 ただ、ちょっと。かわいそう、そう思った。

 一生懸命走るオブリビオンの上を飛び、雷を落として、目的のほうに誘い込んであげる。なるべく当てないようにしてるけど、目の前に雷を落とすだけでも、なんだか、弱いものイジメみたいな。そんな気持ちになる。悪いことをするつもり、じゃないのに。

 それでも、必死で逃げるオブリビオンを見ていると、やっぱり、かわいそう、だと思う。どんなになっても、まだ動き続けていて。でも、もう疲れてるみたいで。このまま放っておいたら、この人はどうなるんだろう。ひとりぼっちで、また、ずっと、さまようのかな。
 なにがいいことなのかは、わからないけど、放っておけないと思った。
 ボクが、やらなきゃ。やってあげなきゃ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
出涸らしに大したモンが残ってるとは思えんでござるねぇ
ま、企業の取り残したクロームとかなんかがあるんなら拙者が先にぶんど…お救いせねばでござるが
本体?どうでもよくないそんな奴!?

拙者が汗水垂らして探す必要なくない?
周りに観客がいるんだろ?使えばいいって事ジャンッ!よしお前ら、この道にある障害物という障害物をひたすらどかせ
スッキリさせるんだよ!道を作った奴にはおちんぎんあげるでござるよ

ちんたらしてないではっやっくっやれよォォオオ!!!(無差別発砲)
とろくさい動きしやがって!そのクロームおばあちゃんに買ってもらったのか!?

追跡?追跡用にUAV自動操縦で飛ばして監視させてるからのんびり行けばいいよ



 どーっでもいいでござるねぇ!! エドゥアルト・ルーデル(|黒ヒゲ《誰このおっさん》・f10354)はひとりはっちゃけていた。せいぜいお金になるかレアなクロームでも残ってなきゃ知ったこっちゃないでござるよ。レジェンダリーとか落としてよ。買うと結構高いから。あ、目のオプションはいっぱいあるから要らないでござる。そうそう入れらんない高級品のはずなのにやたら落ちてるよねあれ。なんで?
 っていうかなんだろう。拙者ががんばらなきゃいけない理由って……他の人ががんばればよくない? なんかいっぱいいるし。やらせればいいってことじゃん! 楽しい現場作業の時間で御座るよオラッ拙者のために障害物をどけるんだよ! どっかーし! どっかーし! さっさとどっかーし! しばくぞ!
 え? なんでそんなことしなきゃいけないのかって? うるせえ拙者がやれって言ったらやるんだよその安物のクロームAIが描いたお手々みたいにされたいのか貴様やるってのかやってやろうじゃねえか追跡なんてしてる場合じゃねえ片っ端から頭ねじりきってオモチャにしてやるでござる

 あ、仕事は別でドローン飛ばしてるからなんにも問題ないでござるよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

やれやれ、下町っつーか|掃溜め《スラム》はどの世界でも似たようなもんか……
こういったトコの方がリッパな広間よか馴染むアタシが言っちゃあオシマイかねぇ?
ま、いいさ。
幸いまだアタシは染まり切ってないと思いたいね。
ほら、証拠にヨソモノが逃げ出しやがった。
何をそんなに怯えてやがるんだか……
ちっとは話を聞かせてもらいたいもんだよ。
だから邪魔すんなよ、先客さん。
事が終わったらすぐトンズラこくからよ!

元からいる住人共は無視だ無視、関わっても碌な事ぁ無ぇ。
カブは敢えてその儘の姿で、エンジンを吹かし|追跡《チェイス》開始さ。
他の猟兵へ連絡して情報を共有し、網を狭めていこうじゃないの。



 どこに行ってもこういう場所は変わらないな、と数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は苦笑する。
 時代、文化、人種、信仰、法律、主義主張、あらゆるものに違いがあっても、結局のところ人間がひしめいていれば、少なからずこういった場所ができる。淀みというか、しわ寄せと言ったらいいのだろうか、うまく説明できないが。

 ここほどではないがごみごみしたところの生まれのせいだろうか、大都市の一等地にある洒落たビルのエントランスよりはまだこんな空間の方が落ち着く気がした。とはいえ、別に好き好んでスラム街特有のむっとするような空気の中にいたいというほど染まっているわけでもないし、訝しげにこっちを見ている住民からしたら『よそ者』以外のなんでもないだろう。彼らのためにも自分のためにも、さっさと終わらせるに越したことはない。

 逃げるオブリビオンを見据え、スターターを回し、エンジンに火を入れる。こういう狭くてごちゃついたところなら、下手に大型の車体を使うよりも小回りの利くカブのほうが動きやすい。なにしろ、そのために設計されたようなものだ。瓦礫だのなんだのを躱して走るのももう慣れっこになってしまった。
 さて、ご近所迷惑になる前にさっさと片付けますかね。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『特別機動警備隊『SAPD』』

POW   :    特別警備隊24時
戦闘力のない【監視用ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【スポンサーからの追加資金】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    実験教導部隊
いま戦っている対象に有効な【メガコーポの新型試作兵装】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    強化スタンバトン
【特殊警棒】で触れた敵に、【常人なら即死する高圧電流】による内部破壊ダメージを与える。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオンを追跡し、追い詰めてあとほんの少しというところで、騒がしい銃声と共に飛び込んできた7.62mm弾の群れがあなた達を遮る。

 銃撃を防ぎ、あるいは躱してその大元を目で辿ると、重武装のサイボーグ達が視界に入る。どうやらブリーフィングにあった企業の傭兵達のようだ。
 待ち構えていた、というよりは騒ぎを聞きつけてやってきたところにいた目標と、それを狙う未知の勢力という考えもしなかった事態を目の当たりにし、大急ぎで展開しているように見受けられる。

 オブリビオンはというと、今の出来事で距離が開いてしまっているがここまでのチェイスで消耗しているらしく、歩みが遅くなっている。傭兵達を片付けてからでも先ほどのようには手間取らず追いつけるだろう。
 鉛玉を背中に浴びながら追いかけるのも割りに合わない話だ。

 邪魔をさせないよう、傭兵達を制圧しろ。
ベティ・チェン
「おっちゃんかおばちゃんかもわかんない。そうしたのは、キミたちだろ。なのにまだ、毟りとるんだ」
低く唸る

「ドーモ、メガコーポノ狗=サン。ベティ、デス。ゴートゥ・アノヨ!」
ニンジャらしく周囲を飛び回りながら秘剣を連発

「生命が軽いなんて、知ってる。キミも、ボクも。あの、おっちゃんも。でも、それと拐って好きにするのは、別のこと、だ」

素の能力値だけで攻撃を回避したり飛び回ったりしながら身長ほどもある大剣(偽神兵器)振り回す
敵の死角に回り込んだりしながら敵が全滅するまで戦闘続行

「…八つ当たり?…ちょっとはある、かも。腹が立つし、くやしい。ボクも、壊すことしかできないから。…ゴメンね」



 ゆるさない。ゆるさない、ゆるさない。
 別に、いい。死ぬなら、いい。殺すし殺されるから。そういう、ものだから。キミも、ボクも。あの、おっちゃんも。みんなそうしてるから。でも、これはちがう。
 死ぬことすら、なくして。おっちゃんかおばちゃんかもわかんなくして。全部なくしたんだ。そんな風にしたのに、なのに毟りとるんだ。まだ奪うんだ。なんにもなくなったのに。
 ああいうのがいるから。あいつみたいなのが。だから、世界は、いつも、こうなるんだ。こんなことになってるんだ。あんなのが、いるからだ。
 ゆるさない。

 最低限、ニンジャらしいアイサツをして、一足で跳躍。一気に連中の懐に飛び込む。反応できるのがいたとしても、それだけで精一杯だっただろう。
 まず一番手前のやつに向かって左手を伸ばし、首根っこを掴んで勢いのまま投げ飛ばす。後続にぶつかったり、派手に転倒したりで無様に転げ回るのを無視して、そのまま剣を抜いて、奥のやつに振りぬく。刃に首を斬られて血が噴き出すが、気にしない。続けて後ろのふたりに振り返って、低い姿勢から滑り込んで、斬りかかる。
 頭のすぐ上を通り過ぎる弾丸。当たらずに明後日の方向へと飛んでいく。それを尻目に、ひとりめを逆袈裟に裂いて、ふたりめは胸を突き刺す。

 仲間が次々に殺されていくのに恐怖を感じたか、残った奴らは慌てて散開してこちらを取り囲もうとする。剣を大きく振りかぶって、遠くから、横薙ぎに払う。
 剣の先をなぞって、人が。ものが。切り裂かれていく。血が吹き出して、肉が千切れて、ばらばらと落ちる。
 ぐるりと回って大きく振った後、もう一度正面を向いて構える。
 さっきまで生きていたものたちが、ただの物体へと変わっていた。

 ……わかってる。こんなの八つ当たりだ。腹が立つし、悔しい。でも、ボクも、壊すことしかできないから。終わらせることしかできないから。
 ごめんね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※連携アドリブ歓迎
「推して参る」
速攻。
敵が態勢を整え切る前に攻め立てその呼吸を乱す。

調息、脱力、戦場を観据える。
真正面から敵陣に突貫しながら敵の装備と数、配置、追跡対象との位置関係を確認。

UC発動し自身の氣を活性化して加速させ行動速度を底上げ。
範囲内の敵の氣の流れを阻害し行動を鈍化させると同時に、自身の周囲に『流れ』の層を形成(オーラ防御+竜脈使い)し弾丸を反らす。

得物:徒手格闘
立ち回りは基本ヒット&ウェイ
敵の懐から懐を移動するように常に動き回って敵を盾にして同士討ちを狙いつつ、極力追跡対象に流れ弾が行かないように注意して殲滅。

ドローンは強化が掛かる前にアサルトペンの投擲と流星錘で撃ち落とす。



 今だ。敵が態勢を整え切る前に、一気呵成に攻め立てその呼吸を乱す。なによりも速攻。それが戦いの基本だ。
 敵は遮蔽物に身を隠し、あるいは障害物を乗り越えて射線を確保しようとする。だが、既に位置関係を把握しているこちらには通用しない。
 推して参る。

 腰を落とし、力を溜めて、踏み込みと同時に一気に解放する。全力の体当たりで目の前の一人を吹き飛ばして、間髪入れず隣の一人、その腹を蹴り抜く。
 背後からの射撃が肩口を掠めるが、構わず前へ。氣を利用して逸らしつつ、狙いを定めさせないために素早く動いて撹乱しながら、距離を詰めて、おもいきり殴りつける。
 拳に伝わる感触は、人のものではない。硬質な金属のそれだ。それでも殴り負けるような鍛え方はしていない。装甲越しでも衝撃は伝わるようで、よろめいたところに追撃の回し蹴りをぶちこんでやる。吹っ飛んだそいつは、隣のやつの巻き添えにして倒れ伏す。
 これで五人。残りは……一人か。
 鍛え上げた生身の人間はどんなに強いか、真正面から教えてやる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
裂かそう
裂かそう
裂かそう
犬共の装備をバラそう

新型の試作装備持ってんだろ?なら使うかどうかはともかくとりあえず頂くと決めておるのだ
雑にツールから【コンソールコマンド】ぶち込んで装備を雑に強化だ!どうよ強化されたライフルから放たれる壁ごとぶち抜く威力の銃弾、耐えられないよ
だが拙者に気を取られたら…ほらみろ別動隊の|流体金属《オウガメタル》君が足元からこんにちはして斬られるぞ
愚かな傭兵ッパリだが死んだらせめて弔ってやると…まだ息がある!ちゃんと止めを刺さないか!

鎮圧したら装備をかっぱいで回りますぞ!だって拙者探求心の塊…だもんね!
生きたまま装備をむしり取られる感覚はどうだ?感想を述べよ!



 冗談じゃない。なんでこんなことになるんだ。楽な仕事だって聞いてたのに。
 ターゲットが見つかったって、それを妙な連中が追い掛け回してるって連絡が入った時は手間にもならないと思ってたんだ。どうせ地元のガラクタ漁りか、よくて傭兵気取りのつもりでいるギャング崩れのチンピラどもだ。俺達本職の顔を見て、1、2発食らわせてやれば目的も立場も忘れて逃げ出すはずだったんだ。だから真面目に相手をしろって命令もバカバカしいって、そう思ってたんだ。

 なんなんだあいつ。ビビるどころか大喜びで向かって来やがった。真正面から堂々と。ふざけたポーズまで取って。
 いや、そうしてみたやつを見たことがないわけじゃない。自分が死なないと自惚れてるムービースター気取りの馬鹿な新兵だとか、ヤクで脳みそがどこかにいっちまってるイカれた変態だとか、そういうやつは時々いる。そういうのは必ず一歩目で現実を思い知らされて蜂の巣になるのがここのお決まりで、そういうのを見てきたから俺は生き残ってるんだ。

 だが、あれは違う。
 俺にはわかる。あれは相当に訓練を積んだ人間だ。自分が死なないと勘違いしてるんじゃない。自分が死なないって確信してるからあんな真似ができるんだ。状況の把握、誘導、判断。それらを完璧にこなしてみせて、それでもまだ余裕が有り余っているからあんなピエロの真似みたいなことをしていられるんだ。
 それにあいつ、俺達を敵だとすら思ってない。問題になるとすら思ってなかった。バーゲンセールのワゴンに押し込まれてる安売りの服でも漁るみたいに、俺達の装備だのザナドゥだのを品定めして引きちぎって回ってた。撃たれてる最中にだぞ。信じらんねえよ。

 幸い俺は助かった。仲間数人と路地に隠れて、騒ぎが収まるまでひたすらやり過ごした。後で何を言われるかは知らないが、身の程を知らない馬鹿のつもりでもなければ、こんな仕事で自分の命を捨てる気はさらさらない。名誉なんてもんはこの稼業にねえ。
 仲間もだいたい俺と同じように状況を見ていたようで、深夜に集まってホラー映画鑑賞会をした高校生みてぇにお互いの顔色を伺いあい、ぽつりぽつりと声を漏らす。
 なんだったんだあれは。あんなもん現実にいていいのか。いやー怖かったでござるな拙者チビっちゃう! ところでキミたちいい装備してんね! どこで買ったの? 国道沿いのイオン? あそこいいよね!
 ……おい、待て。誰だお前。お前の顔なんか知らねえぞ。いや、違う。待て、待て待て待てお前まさかやめろやめてくだち

大成功 🔵​🔵​🔵​

真梨木・言杷
「……きみの遺言は聞き届けたよ。私が代わりに伝えておく、彼らにもね」

おっとり刀で駆けつけた、ってところかな。傭兵さんは大変だね。手を上げて投降の意思を示し【時間稼ぎ】、その間に先の追跡でバラけた『九字傀儡子遠隔義体』を再展開。包囲して『五寸咒信号釘弾』を全機で【制圧射撃】する。

ちょうどいい呪言があるんだ。今収集したばかりの新鮮な言霊……断末魔の叫び、嘆き、涙。どこにでもありふれた、この世で一番シンプルな呪いだよ。釘弾を踏み台に敵のデータリンクを【ハッキング】、【多重詠唱】でD.O.S.を使う。全員纏めてスタックさせてやる。

動きを止めた敵を【暗殺】……いいもの持ってるね、その特殊警棒を借りるよ。



 射撃やめ、効果確認。
 隊長からの無"声"通信が入ったのと同時にトリガーから指を離し、姿勢を維持したまま接近して対象の生死を確認しに向かう。視界には自分の後ろに続く隊員の警戒範囲がレーザーサイト状の線となって浮かんでは消えていく。
 徘徊老人よろしく歩き回ってるだけのヤツをとっ捕まえればいい簡単な仕事だったはずが、まさかマトモな戦闘が待っているとは思わなかった。このあたりの治安の悪さを甘く見ていたのだろうか。……いや、そもそも依頼主の想定していなかったトラブルの可能性も捨てきれないか。
 まあ、なんにせよ、だ。
 角を曲がり、建物と建物の隙間にできた狭い道に踏み込む。視界の端で、一瞬だけ何かが動いた。
 反射的に銃口を向ける。光学サイトには辛気臭い面をした、いかにもなハッカーくずれのガキが、だらんと頭の上に両手を上げている姿が写っていた。

「ご苦労様、降参だよ」本気で観念しているのかは知らないが、つまらなさそうな声でそんなことを言う。こいつが何者かは知らないが、ここに住み着いてるような連中とは明らかに様子が違う。何らかの目的で目標を追っていた以上、こいつも確保しておいたほうがいいだろう。一歩近付き、銃口を突きつけて詰問する。お前は誰だ。何が目的だ。誰に雇われて来た。奴からなにか聞いたか。
 ガキはこちらに顔を向けず、視線をわずかに逸らしたまま答えた。「……聞いたよ、遺言をね。きみたちにも伝えておくよ。聞きたいだろ? 全部、ひとつ残らず」

 何を言ってやがる、と口から出る前に、頭に衝撃が走る。何かで撃たれた。クソッ、待ち伏せしてやがったか。ふざけやがって。ダメージレポートにはごく小口径の弾丸によるヘッドショットと表示されている。防弾性能を過信しすぎていた。だが、こんなものは些細な問題だ。たいした傷にもならない。
 そう思って振り向こうとしたが、急に全身の血流が止まったような感覚に襲われ、それができなくなった。うまく息が吸えない。代わりに肺が潰れたような音を立てる。頭の中でなにかぐちゃぐちゃに叫んでいるのが聞こえる。耐えられなくなって地面に転がる。なんとか体を起こそうとするが、足も手もまるで動こうとしない。
 おかしい。何か変だ。なにがあった? 体が機能しない。音が二重に聞こえる。ガキが二人に見える。違う。二人"いる"んだ。追い詰めたやつと、後ろから頭を撃ちぬいたやつ。
 同じ顔がふたつ、俺を覗き込んでいる。やめろ。一人が地面から何かを拾い上げた。俺の警棒だ。切っ先がこっちに向く。ああ、やめてくれ、いやだ、死にたくない、まだ何もできていない。電流の起こる音が耳を劈く。光が目を焼く。やめて、やめてください、いやだいやだいやだやめてくれやめてやめろ

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
人格:錬
捨てたものを拾いに来るという時点で間の抜けた話だと思ったが
こうゾロゾロと慌ててやってくる姿を間抜けと言わずになんというんだろうな?
まぁいい、さっさと排除して本命に移ろう

ドローンを飛ばして強化する感じか…
アレの向こうに間抜け共の上司か出資者がいる気がするな
…直接手はだせねぇけど、ちょっと嫌がらせしてやるか

大典太召喚
俺への攻撃を地に突き立てた刀を壁にして「武器受け」で防ぎつつ
踏み込んで掬い上げるように敵を拾い、ドローンにむかってアンダースロー「投擲」!
人間手裏剣だオラ!
れん「画面に人間が飛んでくる…レトロゲーにこんなのあった気がする…」
知らねぇよ

後は「踏みつけ」「なぎ払い」も交えて殲滅



 "荷物"が見つかったと連絡を受け、いても立ってもいられなくなった私は退屈な会議を中断させてオフィスへの廊下を急いでいた。
 まさかアレが生きているとは。前例のないことだ。その事実に興奮を抑えきれない。どういう理由かはわからんが、やつを捕まえ解明すれば今までにないものが手に入るはずだ。不可能と言われていた比率に踏み込んだ義体化による不死の実現。人の手によらない完全な無からの人格、知性の創造。それらを実現できる可能性を手にすることができるのだ。
 捨てるところがないとはまさにこのこと。我が社にとって最高の収穫になるだろう。

 オフィスに戻り、大急ぎでモニターを立ち上げ現場ドローンからの中継映像を映させた。興奮冷めやらぬ私の目に飛び込んで来たのは……傭兵達を蹴散らす巨大なニンジャの姿だった。
 なんだこれは。どうなっている。いかにアレが常識外の存在とはいえ、急に15mはあるニンジャロボットに変わるわけはない。一体なにと戦っているんだ。状況を確認しようとオペレーターと音声を繋ぐ。なんだあれは。あんなものをどこから連れてきた。
『こっちが訊きたい! 話が違うぞ! 現在正体不明の集団と交戦中! よそが出張ってくることはなかったんじゃないのか!? 契約と違うぞ!』
 混乱した様子でスピーカーががなり立て、思わず身を怯ませる。わからないだと? 冗談じゃない、どうせ下手をうって他社に嗅ぎつけられたんだろう。たった一人捕まえるのに何日もかけているからだ。

 とにかく金は出す。どうにかしろ。それだけ告げて音声通信を切る。
  画面ではまだニンジャロボが傭兵達を薙ぎ払っている。信じられないことに、あの人数を相手になんの苦戦もしていない。傭兵達はただの的にしかなっていないような有り様だ。冗談じゃない。まったくもって冗談じゃない。

 今度は傭兵達から離れ、例のニンジャロボが暴れている足元辺りの様子が映し出された。墜落したドローンがまだ生きているようだ。
 そこには、またしても、ふざけた光景があった。ニンジャだ。女のガキの。ニンジャがいる。二人。同じ顔の奴が。いかつい表情のやつと。気の抜けた表情のやつと。怒りで気が狂いそうだった。こんなガキに。なんでだ。どうしてだ。ありえない。


 気の抜けたほうがドローンに気付き、視線をこちらに向ける。そのまま数秒ほどこちらを凝視して動かない。なにかと思っているとガキが舌を出してみせた。同時にニンジャロボがなにかをカメラに向けて投げつける。画面越しには当たらないとわかっていても咄嵯に身を引いてしまう。なにかがドローンに当たった衝撃で映像が途切れる。とんできたあれはおそらく、いいように蹂躙されていた傭兵のひとりだ。
 全てが終わったあと、私はもうありったけの苛立ちを真っ黒になったモニターにぶつけるしかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

コイツら!?
どうやら奴さん方も押っ取り刀か、なら一気に切り崩す!
『騎乗突撃』でひとつブッ込み、場をかき回す。
連携を取らせる暇を与えないように続けて『衝撃波』を放ちつつ、
【人機一体】を発動させてアーマー姿へ変身さ。
とにかくスピード勝負、奴らに考える時間を与えちゃあ勿体ねぇ。
一気に『ダッシュ』で奴らの一人に距離を詰め、
そのまま『グラップル』で組みつき他の奴らからの盾にする。
それでも試作兵装を使われたなら……ま、お仲間を恨むんだね。
メーザーの『属性攻撃』でキッチリトドメを刺してからぶん投げ、
他の奴に組み付くだけさ。

他の猟兵と連携できりゃあ良いが、高望みはしないでおくかね?



 傭兵達が慌てて展開し、じりじりとターゲットへの距離を詰めていく中、同時に彼らへと迫る影があった。
 ひとりの傭兵が向かってくるそれに気付き、なんとか最悪を免れようと衝突までの数瞬の間に思考を巡らせるが、答えが出るより"それ"が、カブに乗った女が前輪で頭を跳ね飛ばす方が早かった。

 カブはそのまま勢いを増し、傭兵達の間を潜り抜けて翻弄する。同時に、それに乗る女が手から発する衝撃波により、サイボーグ達は次々に意識を刈り取られていった。
 それでもなんとか横暴を阻止すべく、傭兵のうちのひとり、試作型強化外骨格を装着した者がその進路に立ちはだかる。自動車との正面衝突にも耐えうるその圧倒的防御力をもってすれば、カブ程度がぶつかってきたところで大した被害にはならないだろう。どうあっても止めてしまえば押さえ込める。とにかく止めればいい。男はそう確信していた。
 しかし、その目論見は一瞬にして崩れ去った。激突の瞬間、正確には男が激突すると思った瞬間、カブが姿勢を崩し倒れこむ。

 順当に行けばそのまま搭乗者を投げ出し、大破する。そういう動きに見えた。しかしカブはその赤い車体を分割し、変形させて搭乗者の身体へと覆いかぶさり、奇しくも対峙する相手と同様の外骨格を思わせる姿へと形を変える。
 それを纏った女は、そこまで倒れこもうとしていた勢いをそのままに、立ちはだかる傭兵の腹部へ拳を叩き込んだ。
フルパワーで放たれたそれは対衝突のためのフレーム基部を避けて傭兵自身に命中し、衝撃を内部にまで浸透させる。
 装甲で覆われているとはいえ、繊細な機械の塊であるサイボーグの体にとって、それは致命的な一撃だった。男の身体が吹き飛び、廃車の山に叩きつけられ、そして痙攣しながら動かなくなる。
 他の誰かが事態を掌握しようとする前に女の猛攻は続く。近くのひとりの首を引っ掴み、その影に隠れる。他の傭兵が慌てて銃口を向けるも、高度な身体と武器に組み込まれたIFFのおかげで引き金が落ちずに戸惑う。その一瞬をついて、カブの車輪だった部分から放射されたマイクロ波が彼らの電子系統をショートさせ、その場に昏倒させた。
 他の者が同様に片付けられるまで、さほど時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・ノーススター
しまった、用心していたとはいえ時間をかけすぎたようだ
大慌てで距離を開けて攻撃をかわす
きちんと待ち構えていたわけではないのがせめてもの救いか

目標の追跡というそもそもの目的もある上に、複数の傭兵
時間をかけるほどにこちらの不利は間違いない為に、手っ取り早く倒すことに。
傭兵達の急所を狙って積極的に攻撃、厳しくなったら一旦遮蔽物に退避を繰り返す



 しまった。女の舌打ちと悪態が、遠くから鳴る銃声に混じって小さく響く。
 まさかちょうどのタイミングで邪魔が入るとは予想していなかった。少し時間をかけすぎたか。しかし用心していなければ弾が当たっていたのは自分の頭だったろう。そんなことを考えながら彼女は瓦礫を飛び越え、それを遮蔽とし迎え撃つ態勢を確保する。

 先程から断続的に続いている銃声で、すでに周囲の状況は把握できている。近くに3人。それぞれが散開してこちらを狙っているようだ。銃声とマズルフラッシュから推測すると向こうの武器は7.62mm、信頼と実績のAKに近代化回収を施したモデルだろう。骨董品とは言わないが、戦闘仕様のサイボーグ相手に持ってくるには少々頼りない代物だ。
 本来なら、もう少し相手のことを分析してから行動に移るべきだろう。だが今は悠長なことをしている余裕はない。一刻も早く片付けよう。遮蔽から体が出ないよう注意しながら向き直り、PDWを構える。ひと呼吸置いて、瓦礫から飛び出し、走りだす。
 自分のほうに走ってくるとは思っていなかったのか、面食らった様子の敵の一人に照準を合わせ、発砲。うまくボディプレートの隙間に入った弾頭がその胴体内部で炸裂し、サイボーグを地面に縫い留める。
残る二人も応戦してくるが、慌てたせいか精度が悪い。狙いが甘く、当たらない弾丸がほとんどだ。無駄に弾薬が消費される焦燥感でさらに命中率は低下していく。その様子を視界の端に捉えながら壊れた冷蔵庫の裏に滑り込み、機を伺う。
 そのうちにマガジンの中身を使い果たしたらしい一人が、弾倉を交換するべく腰のポーチに手を伸ばす。

その隙を見逃さず、低い位置から身を乗り出して狙いをつける。アイカメラ。二発で当てる。
 短く区切って撃ちだされた二発の弾丸が男の顔へと吸い込まれていき、そのまま内部で反射して体内のセンサー類を粉砕した。
 残り一人。数の不利がなくなればいくらかやりやすい。隠れている辺りに銃口を向け、制圧射撃をする。体が完全に引っ込んだのを見てから走りだす。近くにあった廃棄自動車の塔を駆け上がり、そこから跳躍して傭兵の上空を飛び越す。相手と目が合う。片手を伸ばし、真上からありったけの銃弾を浴びせかける。
 軍用装備のサイボーグとはいえ、所詮人間か、地上を行く兵器か、あっても斜め上から撃ってくるドローン相手に戦うことを想定して作られている。真上から見れば装甲の薄い点は意外と多い。

 数秒のうちにマガジンひとつ分の鉛玉を受け、最後のひとりが沈黙する。周囲を確認し、残存勢力なしと判断してからため息を漏らす。
 思ったより時間をかけてしまったな。まだターゲットが遠くに行っていなければいいが。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シグマ-13『憤怒の銃士』』

POW   :    全てに死を(オール・キリング)
自身の【装備している銃火器】から極大威力の【着弾時に爆発するエクスプローダー弾】を放つ。使用後は【茫然自失】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    猟犬の狩り(ハウンド・ハント)
【怒りを露わにする】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    無限の戦域(インフィニティ・シアター)
自身が発射した【貫通スラッグ弾】の軌道を、速度を落とさずレベル回まで曲げる事ができる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八重樫・真璃です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 あなた達が傭兵の襲撃を退けて追いかけると、それは行き止まりであなた達を待っていた。
 幅30mほどの平地。その周辺にゴミが積み上げられてできた広場。あなた達の正面、ガラクタの山のてっぺんに座り、あなた達を見下ろしてそれは待っていた。
 あなた達を待ち構えるためにここに来たのか、それとも逃走を諦めてここに辿り着いたのか、またはそのどちらでもないのか、冷たい仮面になった貌からは窺い知ることができない。

 それはガラクタの山から古びた拳銃を引き抜き、地面へ降り立ってこちらに歩いてくる。何を考えているのか、その感情は喜びなのか、怒りなのか、悲しみなのか。その頭の中にある、ゴミ溜まりのなかから芽生えたものは何なのか。当事者にすら理解の及ぶものなのだろうか。
 それがあなた達に拳銃を向ける。ただひとつわかることは、今からあなた達かオブリビオンか、どちらかだけが生き残るということだけだ。

 決着をつけろ。
レン・ランフォード
誘い込まれたかただの窮鼠か…どっちでもいいか
此処から出るのはまた俺だという結果だけさ

寄ってたかって殺しに来られたらそりゃ怒るわなといいつつ
攻撃を「第六感」「野生の勘」も動員して「見切り」躱すか「武器受け」で防ぐ
早くなるなら此方もだと【降魔化身法】で強化し真正面から対応する

対応できてもできなくてもこれは言っておこう
何故でも恨み言でもない、誰にやられたかっていう
建設的な遺言なら聞いてやるぞ?

強化状態から更に速度をあげて「残像」を残しながら分身
お前の反応速度は処理しきれるかと
【分身殺法・花鳥風月】で終わらせよう

化身法の代償の流血で頭の古傷から血が流れる
そういや、あの時も流してたな



 ゴミ捨て場の行き止まり。もう先のない吹き溜まり。わざわざここに誘いこんだのか、ただ逃げ込んでヤケになったのか、もうどっちでもいい。どうせ生き残るのは俺だけだ。ここから出るのは俺だけだ。何も言わないゴミ溜まり出身のご同輩に言ってやる。

 返事はない。ただこっちの頭に銃を向けて、ぴくりとも動かねえで黙ってやがる。そりゃ寄ってたかって殺しに来られたら怒るわな。どうした? 怒ってんなら怒ってるんでなんか言えよ? むっつりさんかよ。
 どうせ返事をしねえんだろうってわかってはいるが、それでもおちょくってみる。それでもやっぱり返事はない。よっぽど話したくねえのな。肩をすくめて仕切りなおす。
 そんじゃ、始めるか。

 口にするのと同時に銃声と鉛玉で返事が返ってくる。やっぱり聞いてるんじゃねえか。軽く毒づいて苦無を引き抜き、切り払う。そのまま投げつけ、踏み込む。同時に追加で三本。一気に放る。積み上がったゴミの壁面を駆け上がって躱された。空中から反撃が来る。六発。とにかく撃ってくる。間に合わねえ。咄嗟でれんに支援させる。強化され、伸びた時間感覚の中で、弾の間に体を割り込ませてぎりぎり避ける。着地して走りながらまだ撃ってきやがる。刀を抜いて弾き、合間を狙って爆破苦無。撃ち落とされた。ちょうど二人の中間、ど真ん中でかち合い、爆風がお互いの体を叩いて吹き飛ばす。

 二度目の仕切り直しでまたお互いに距離をとる。向こうはまだやる気のようだ。
 まあ、そうだろうな。終わってねえもんな。息をついて最後に一言だけ訊く。

「つまんねえ恨み言なら聞きたくねえけど、建設的な遺言なら聞いてやるぞ? あるだろ? 誰にやられたとかさ。言っとけよ」

 返事はない。……そうか。じゃあしょうがねえな。
 強化を限界まで引き上げさせる。音が、風が、景色が、全部ゆっくりになる。止まったように感じる。
 向こうが動いた瞬間にこちらも仕掛けにいく。一瞬だけ大きく動いて切り返し、残像を作る。残像に狙いをつけてるうちに片手で掴めるだけ、めいっぱいの苦無を放つ。土手っ腹に命中。更に横へ跳んで残像を作り、回り込んで首を刎ねに──

 銃口と目があった。慌てて飛び退き、銃弾を避ける。頭の横を、空気の裂ける音が掠めていく。
 速くなってる。さっきは残像に反応もできなかったのに。まずい。間合いにいるのが精一杯だ。"俺"だけじゃ間に合わない。負荷がどうだろうともう言ってる場合じゃない。"俺たち"全員でどうにかするしかない。
 もう一回、残像を出して横に跳ねる。わざとさっきと同じように。当然反応してくる。俺に向けて撃ってる間に、残像の後ろからレンを突っ込ませる。刃が光って、胴を切り裂く。流石に効いてるらしい。よろけた隙にれんが後ろから肩口辺りを突き刺す。とどめに俺が一気に切り刻む。息が尽きるまで、とにかく攻め続ける。

 力尽きてようやく止まってから、いつの間にか視界が真っ赤になっていたのに気付いた。
 袖で拭う。顔一面にべったり付いている。弾が掠めた時の傷じゃない。自分でもいつ付いたのか知らない、古傷が開いて血が出ていた。
 手についたそれをじっと見る。

 そういや、あの時も流してたな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ連携歓迎
何であろうと、己のやることは変わらない。
それでもせめて、オブリビオンとしてただ滅するのではなく、一人の人間として看取る為に――

「上野・修介だ」

猟兵としてではなく、一人の人間としてそう名乗る。
答えは期待していない。そもそもこんなのは偽善と自己満足だ。
(……知ったことか)

真正面から相手を観据え、調息と共に身体を脱力し、そして氣を錬る。
相手がUCを放つのに合わせて突貫。

――為すべきは一つ
――拳を叩き込む一点を観定め、水鏡に入る
――然らば最速を以て最短を行く

小細工無しの真っ向勝負。
ぶち抜くならばど真ん中。
最大限まで増幅した氣を以てUCを起動し、持ちうる最速と渾身にてこの拳を叩き込む。



「上野、上野修介だ」

 こっちに銃を向けてくるそいつに一言だけ、言葉で応える。返事がなかろうと、別に構わない。
 こいつがなんで生まれたのか、何なのか、どんな存在になったのか。そんなことは関係ない。今からやることとは、やらなければならないこととは関わりがないことだ。だから、俺は俺のやるべきことをやるだけだ。
 滅する。
 それだけだ。
 それでも、せめて人間として看取ってやる。オブリビオンとしてじゃなく。『退治しなきゃいけないバケモノ』じゃなく、一人の人間として。

 だから、せめて最期だけは一人の人間として向き合ってやる。これが正しいかどうかなど知らない。自己満足かもしれない。偽善だと言われても知ったことではない。
 それでも、俺がそうするべきだと感じたから。だから、せめて最期の時までは、一人の犠牲者として扱うことにする。
 それが、今の俺にできる唯一のことだから。

 銃口に臆することなく真正面から見据え、構える。息を吸って、吐く。止める。為すべきは一つ。一撃。ただ一合で決める。
 そのために、全身を集中させる。研ぎ澄ませる。息を整え、氣を貯え、余計なものを全部そぎ落とし、必要なものだけを意識する。音すら消えた世界で敵の姿だけがはっきり見える。穿つべき場所が見える。あとは、そこに拳を叩きこむだけだ。最短で、最速で。
 静かな呼吸の音。自分の鼓動さえ聞こえない。その瞬間、世界には自分と対手しか存在しないような気がした。

 動く気配。それに合わせて大きく踏み込む。距離が詰まる。一歩、二歩。三歩目を蹴ったところで銃口が火を吹き、弾が向かってくる。俺の頭に、真っ直ぐに。
 見えている。狙える。合わせられる。そう確信して、体ごとぶつけるようにして、渾身の右ストレートを打ち込んだ。
 拳から衝撃が伝わる。右手を中心にして、銃弾が砕けて弾け飛ぶ光景が広がる。だが、まだだ。こんなもので終わりじゃない。更に深く踏み込み、一息で間合いに迫る。奥歯を食いしばり、両脚で踏ん張る。気迫を込めて唸る。ありったけの力を籠め、この体にある全てを使い切るつもりで打ち抜く。

 銃口越しのガスマスクに拳がめり込む。骨か、フレームか、なにか硬いものを砕き割る感触が伝わってくる。同時に、対手が弾けるように吹き飛んでいく。宙を舞って、そのまま地面に叩きつけられる。
 少し遅れて、がしゃんと音が響く。持ち主の手から離れた銃が落ちる音だった。
 終わった。決まった。
 世界に音が戻ってくる。緊張が解けて膝が崩れそうになるのを堪え、残心を維持して立つ。荒い息をつく。酸素が足りないせいか、頭がぼうっとする。汗が噴き出していた。

 それでもやり切った。これでいいんだ。俺のやり方で、俺のできる精一杯のことをやった。悔いはない。
 為すべきことをしたんだ。自分の手で。自分の意思で。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベティ・チェン
「キミは、そうか。キミはもう、世界の敵か」

「ドーモ、シシャ=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
マッハ9で飛び回りながら聖属性のせた偽神兵器振り抜き攻撃
敵の攻撃は素の能力値で回避

「キミも、ボクも。作られた、なり損ないの、神」
「キミが、そちら側で。ボクは、こちら側。弱いとか、かわいそうとか、未来とか。全部突き抜けて。キミが、望んでなかった、今でも。ボクは、…キミを、倒す」
ヒット&アウェイで敵が動かなくなるまで攻撃続行

「ゲンさんが、言ってた。『情にサスマタを突き刺せば、メイルストロームへ流される 』って。キミが、悪くなくても。かわいそうでも。ボクは、キミを倒す。…イヤーッ!」



 そうか、キミは、もう世界の敵で 、そうなっちゃったんだ。じゃあ、そっか。ボクが倒さなきゃいけないから。殺さなきゃいけないから。だから、じゃあね。おっちゃん。せめて、ボクの名前を。

「ドーモ、シシャ=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
 剣を抜いて、斬りかかる。ボクには、これしかないから。ボクとキミの間には、これだけだから。
 頸を狙って、薙ぐ。避けられる。横から蹴りが来る。小さく下がって、かわす。正面から撃ってくる。体を捻って跳び、避ける。頭上すれすれを弾が、通過する。

 キミも、ボクも。作りものだから。何かになれた、はずなのに。きっと何かになるように、そういうふうにある、はずなのに。それなのに、神様のなりそこないで、だからこうやって。こうしかできなくて。

 また来る。避けながら、攻撃を繰り返す。乱射。回り込んで、振り下ろす。銃で受けられる。掴みに来た。大きく避けて距離を取り、突っ込む。同時に、足元に振り抜く。向こうも跳んでかわす。
 なんでだろう? どうしてかなぁ。そんなこと、考える余裕なんてないのに。だから、どうだって、いいのに。イヤだって、思っちゃう。こうじゃなかったらって、考えてしまう、どうしようもないのに。

 でも、考えて、思い出して、それで、どうしても苦しくて悲しくなって、胸の奥が痛くなって、涙が出そうになって、だけど、それは違うから。そうならないために、そうさせたくないから、そうさせないために、そうさせたくなんか、全然なくて、だから、だから!

 思いっきり、振りかぶって銃弾ごとぶち抜いた。手応えがあった。相手がよろける。逃さない。畳みかける。
 キミが、そちら側で。ボクは、こちら側。弱いとか、かわいそうとか、未来とか。全部突き抜けて。キミが、望んでなかったことを、今でも望んでないことを。それでも押し通す。そうしないと、終わらないから。終われないから。だから、ボクは、キミを、倒す!

 袈裟、逆袈裟、左薙ぎ。一息で三連。後ろに下がるのを、追いかける。剣を振るごとに、刃が近付いてく。追い詰めていく。
 キミが、悪くなくても。かわいそうでも。同じだから。何もかも、ボクも同じで。本当は。でも、ただ、それだけで。その違いで。それが全てで。
 ボクは、キミを。

 刃が食い込んだ。
 頭が追い付く前に、体が勝手に力を入れ、そのまま一閃で胴を切り抜ける。

 ああ、よかった。ちゃんとできた。終わった。終われた。
 なんだろ。疲れちゃったや。剣が重い。ちょっとだけ、休ませてもらおう。
 なんだっけ。こういうの、なんて言うんだっけな。ゲンさんが言ってたっけ。たしか──

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
略奪最高!略奪最高!お前も略奪最高と叫びなさい!略奪してやるから!
フゥン…逃げ回ってたくせにいっちょ前に殺り合おう…ってコト?!

ゴミ山大将敗北者とまともにやり合う必要なんぞないでござる
撃たれる前に適当に煙に巻いてゴミ山を活かして射線を切ったら流体金属君を野に放つ
瓦礫から不意に襲わせて【爆発弾】を使わせますぞ!どうせ爆破されても死なないだろ!いいからさっさと行きなさいよ!
流体金属君に無駄弾撃って茫然自失したら背後から手榴弾を【スリ渡し】て爆破ですぞ

この銃が企業が探してたブツカナ?御大層な威力だがこんな隙だらけじゃ戦場じゃ使えねぇな
他のお救いしたブツと一緒に適当に闇市に売っぱらうでござるヨ!



 やあ待たせたでござるね名前も知らないオブシダンソード君、いやいやいいんでござるよ立ち上がらなくてちょっと物色して略奪してくだけだからホントお構いなくそのなんか持ってるユニーク武器っぽいものだけよこしやがってくれれば全然ええハイそれはもう。
 ところで喉乾かない? 乾いてない? 乾いていいでござるよそこで乾いてゆけオラッ液体金属君を546890リットル飲みたまえ!!!!!!111!!!!!!! 欲しいかと思ってばら撒いといたからたっぷり浴びなさい!!!!!!!!!! キシャア拙者の液化マンガン君は飲めないというのかね!!!!!!!10354!!!!!!!!! せっかくの液状化現象君をバンスカバンスカ撃ちおってからに!!!!!!! まあいいやどうせ死なないしブーたれるだけなんだから我慢しなさいよ男の子でしょ女の子かなわかんねえや。
 そんなことより君にプレゼントだよお仏壇君両手いっぱいのグレネードを受け取りたまえボケっとしてる間にポケットにねじ込んどいてあげようついでだからフードの隙間にも詰めておくね全然気にしなくていいからね代わりにその銃貰ってくからじゃあねお元気でやってくのよ。
 どれどれ品定めをしてみれば……なんだねこの銃は!!!!!!!!! こんな肩関節脱臼量産マシーンを誰が使うというのか!!!!!!!!!! だが盗んでしまったものは仕方がないせめて売っぱらって液化天然ガス君を弔うためのお菓子でも買って拙者が食べるか……なんだね液晶パネル君文句があるなら黙ってなさい!!!!!!!!!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・ノーススター
今度は逆に迎え撃たれる側となってしまった
辛うじて奇襲ではなかったのが幸いか

こちらに歩いてくる意図が掴めず、PDWを構えるも引き金を引けず。
遮る物などないのだから眉間に撃ち込めただろうに

向こうからすれば自分も傭兵も変わらないだろう
急いで牽制射撃を加えつつ後退して距離を開く
ワケのわからない相手に正面切って戦える自分ではない

物陰に隠れて不意を突いて銃撃を加えたり、ゴミの山を駆け上がり高所から鉛玉の雨を降らす
余計な考え、考察、もちろん同情も不要。ただ倒せばよし……もちろん自分が無事なうちに。



 間に合った。しかし、どういうつもりだ? 自分を見下ろしているオブリビオンを見上げる。
 意趣返しのつもりだろうか。最初の逆で、今度は向こうが迎え撃つ。初めはそういう算段だと思い、奇襲や罠を警戒していた。しかし何も飛んでこなければ、仕掛けてくる様子もない。
 一体、何がしたいのか。

 オブリビオンが座っていた位置から飛び降り、こちらに歩いてくる。そのまま目の前まで来たところで止まった。咄嗟にPDWを構え、銃口を向ける。意図がわからない。迂闊に仕掛けるのもまずいか。いまいち判断材料がない以上、下手に手出しはできない。

 とはいえ、このまま睨み合いを続けていたくもない。向こうからすれば自分も傭兵も変わらないだろうし、こちらから撃とう。そう思い引き金に指をかけたのと同時に、こちらに銃口が向く。
 反射的に横に跳ぶ。結局やる気なのか? こいつはいったいどうしたい? 疑問が湧いたが、すぐに振り払う。今は戦闘中だ。余計なことを考えるな。アレはただ倒す対象だ。少なくとも、自分の身を犠牲にしてまで思いやってやることなどない。
 先程までいた場所に弾丸が突き刺さる。さらに続々とおかわりが来る。それを避けつつ牽制射撃を返し、遮蔽物に身を隠しながら相手の動きを窺う。
 弾を躱してみせる程度には動きが速いが、やりようはある。常に身を隠して動き、こちらの位置を悟らせず、確実に仕留めるタイミングを狙う。速いとはいっても回避した後は結局直線的に、撃ってきた場所に向かって突っ込んでくるだけだ。誘導はできる。仕留めにかかる。

 充分距離を取ったところでわざと身を晒して銃声を響かせ、注意を引く。案の定反応してくる。狙い通りだ。同じ所に隠れ、そこにいるように演出する。ここからが勝負どころだ。
 奴がこっちに向かってくる間に斜めにゴミの山を駆け上がり、上に登っていく。崩れそうな足場を極めて慎重に、素早く、静かに登り切り、そこから一気に跳躍する。
 計画通りだ。さっきまでいた地点に銃を向けるオブリビオンがそこにいる。空中で体を捻り、落下しながら引き金を絞る。銃撃音と共に空薬莢が飛び散る。銃口から吐き出された銃弾は吸い込まれるように振り向いたガスマスクの中心を捉えていた。
 二発、三発と弾が突き刺さるのがやけにゆっくりと見える。そのまま地面に落ちていく最中、その光景を目に焼き付ける。……これで終わりだ。

 ふと不要なことがよぎるがすぐに頭から追いやる。同情も憐れみも、別にもう意味なんてない。そういう仕事だ。そういうものだ。
 だから、これでいいんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
よォ、どうした?
追いかけっこはもうおしまいか?
それともアタシに何か用事かい?

そんなにだんまりで、アンタ口下手なのかねぇ。
じゃあそう言う手合いにピッタリの方法で語り合おうか。
つまり……闘やり合おうじゃないさ、気が済むまでよォ!

負担がきついけれど、【人機一体】形態は維持。
じゃなきゃ奴のスピードについていけないだろうからね。
とにかく足を止めず駆け回って電撃の弾幕を広げるよ。
奴さんが銃撃で応戦してくれるのを祈りたいね、お互い加速しながら撃ち合う状態を狙いたいからさ。
ちょっとの被弾は激痛耐性で堪えて走り続け、最高速を緩めない。

ばら撒いた電撃で少しでも痺れたなら、その隙へ【黄昏砕く脚】をぶち込むよ!



「よォ、どうした? 追いかけっこはもうおしまいか?」
 静かにこっちに歩いてくるガスマスクに声をかける。返事はない。その代わりに銃口が向けられる。それ以外に意思を感じさせるものはなく、ただのそれだけ。
 銃口越しに目が合う。
 ガスマスクの奥で、見開かれた二つの眼が見えた気がした。
 それは一瞬のことだったのかもしれないし、もっと長かったのかもしれない。あるいは初めからただの気のせいで、そんなものはどこにもないのかもしれない。
 どっちにせよ、今ここにあるのはアタシとそいつが向かい合っているという事実だけ。それしかない。銃を構えたまま、そいつが近づいてくる。引き金にかかった指が見える。

「それともアタシに何か用事かい?」
 訊いてみる。まぁどうせ答えてくれないんだろうけどね。こういう状況になって、こういう手合にしてやれることなんてたったひとつしかない。わざわざ頭の中を覗いてみせるのも無粋な話だ。
 だったらせめて、最後まで付き合ってやらないとね。気が済むまでさ。

 ほぼ同時に動き出す。お互いに高速で距離を詰め、双方相手に向けて捻りこもうとして銃身と手が交錯する。激しい音を立てて火花が散った。撃ち出された弾丸と電撃がお互いの横を通り抜けていき、背後の壁で散る。そのまま踏み込み、蹴りを放つ。それを肘で受け止め、もう片方の腕で殴りかかる。向こうもそれを防ぎ、至近距離での銃撃戦が始まる。
 互いの顔を狙って乱射する。しかし互いに首を振って避け、その勢いのままに撃ち返す。手と銃把がぶつかり合い、激しく火花が飛ぶ。金属音が響き、電光とマズルフラッシュが辺りを照らした。

 近距離じゃどうにも決まりそうにないねえ。旋回しながら距離を取り、射撃戦に移行する。弾幕を張って牽制しつつ隙を探し、足を止めずに動き回りながら雷を撃ちまくる。向こうも同じことを思っているのか、弾速や軌道が似てくる。どちらも相手の攻撃を避けるのに必死で、なかなか決定打を与えられない。膠着状態だ。
 あークソ、厄介だねこりゃ。撃ち合いでもダメかい。このままグルグル回ってたらバターになっちまうよ。こりゃあ、覚悟決めるしかなさそうだねえ。

 歯を食いしばり、軌道を変えて一気に間合いを詰める。向こうはこっちの動きに合わせて下がりながら撃ってくる。真っ直ぐ向かっていってるわけだから当然当たる。パワードアーマー越しとはいえ、衝撃はかなりある。だがここで止まるのはまずい。無理矢理足を動かし、さらに前に出る。あと少しだ。もう少しで届く。そうしたら決着がつくはずだ。それまで持ち堪えられればそれでいい。もう少しだ。
 何百回もそう自分に言い聞かせ、加速する。あと数歩、いや、一、二歩でいい。それさえあればこの勝負は終わる。終わらせることができる。

 そしてついにその時が来た。目標まで六歩の距離。最高速。行ける。
 そこにあったブロックを土台にして跳び、空中で体を捻る。狙いはひとつ。あのガスマスク野郎だ。全速力で勢いをつけた体が電撃と、空気との摩擦で生まれた熱を纏って赤く染まる。
 銃弾を弾き飛ばし、ありったけの力を込めて、ヤツを目掛けて、渾身の飛び蹴りを叩き込む。
 全力の一撃は狙い通りに命中し、胸に突き刺さる。凄まじい轟音が響く。雷でも落ちたような衝撃音の中で、それでも、アタシはオブリビオンを見つめていた。

 こうしかやりようがないし、アタシとアンタは猟兵とオブリビオンだけどさ。それでもさ。
 この、バカヤロウが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真梨木・言杷
動物も人間も機械も、死んだらただの……何者でもないゴミになる。それがこの街のルールで、常識だ。

そこに何が宿ったのかは分からない。けど……それはきっと、きみだけのものなんだろうね。少し羨ましいかな。

……ただ、私も仕事なんだよ。悪いね。

『九字傀儡子遠隔義体』をデコイとして使い、計10人の【集団戦術】で行く。遠隔義体を囮と盾に、敵の射撃を潜り抜けながら【制圧射撃】を返す。機を見て【ハッキング】で敵の感覚を乱し、接近戦を仕掛けよう。最初の追跡ではハックを通せた……その時の経路をバックドアとして使えないかな?

至近距離まで詰められれば、敵は私を背後から撃とうとして銃弾を内側に曲げてくるはずだ。遠隔義体達との感覚共有で【情報収集】、敵の位置とスラッグ弾の射線が重なった瞬間、L.A.N.D.で軌道を操作するユーベルコードのみを無効化。釘弾と私自身で【捕縛】して自滅を狙う。

「タアシ・ィテニィフンイ」、無限なんて存在しない。映画は必ず終わるものだよ。その銃弾はもう、曲がらない。



 吹き溜まり、廃棄場、ガラクタ置き場、用済み品の山、栄光の残りカス、共同墓地、終着点、ゴミ溜まり。この場所をなんと表現しようか。どうせ、どれも同じで大した意味はないけれど。
 どれも一緒だ。この時代に、この世界に、この街に生まれた以上、行き着くところはどうせこんなところだ。どれだけ大事を成し遂げても、どれだけ死にたくないと願ってみても、しょせん最後はやってくる。突然に、呆気無く、つまらない死に方で終わる。そういうふうにできている。私たちの精神に、肉体に、存在そのものにそういう原理が染み付いている。
 人だろうと、獣になろうと、便利な機械で取り繕ってみせてもこの仕組みからは逃れられない。少なくとも、今のところは誰ひとりとして。なにをしようが、誰であろうが、なんであろうが、結局のところ変わりはしない。よくて一週間程度ニュースフィードに残れるかどうか。その程度だ。その後はもう誰にも思い出してもらえない。何も遺らない。生きた証なんて大層なものはこの世に存在しない。意思なんて脆弱なものはこの強固な原則を覆せない。誰も彼も自分だけのものを求めて、他の誰もと同じものを受け取る。みんな、B級映画のムービースターよろしく「俺は特別なんだ」と叫んで、いつ終わるかもわからないこの三文芝居を演じている。

 だから、きみが羨ましい。ほんの少しだけ。脆弱なはずのものひとつを振り回して、この世に認めさせた。自分だけのものを。きみの中から生まれたものが、他の誰も持っていないただひとつの価値だと首を縦に振らせたんだ。きみだけの舞台を、そこに設けさせたんだ。私と同じで、決定的に違う。だからほんの少しだけ羨ましくて。ほんの少しだけ、胸の内がざわつく。
 でも、そうだからじゃない。今からすることは私の中にあるものとは関係ない。境遇も、立場も、意思も、思想も、願いも。そんなものは関係がない。仕事だから。その10バイトだけで十分だ。
 ……いつまでもそんなことをしているから、と余計な思考が首をもたげてきた時点で強制的に遮断する。集中する。目の前のことに集中する。銃口を見つめる。その後ろでなにも言わない仮面を凝視する。さらにその奥にあるだろう瞳と視線を交わす。
 ただ、それを対処することだけを考えろ。始末することだけ、今はそれだけが必要な思考だ。そう自分に言い聞かせる。

 こちらにあるのは9機の遠隔義体、多機能スーツ、呪言アルゴリズム、それを投与するためのオートネイルガン1挺、さっきハックしたときに作っておいたバックドア。
 むこうにあるのは動作状態不明の拳銃1挺、機能するはずもない素性の怪しいインプラント多数、そしてそれらを正常に動作させている原因不明の現象。
 大筋はできた。数の有利を使って潰す。どうせ替えの効く遠隔義体だ。多少の被害は問題じゃない。1機のバックアップを残し、8機に防御体勢を取らせて横並びで前進させる。

 敵も応じて撃ってくるが、多数を前に狙いを定めきれず散発的にしか当たらない。よし、この程度なら貫通しない。構わず距離を埋めさせていく。そのうちに弾切れになり、弾倉交換のために一瞬動きを止めるはず。その間に距離を詰める。あとは近接戦闘で追いつめればいい。こっちはただ後ろで見ていれば終わる。
 詰みの一手を打ったと確信した瞬間、オブリビオンが明後日の方向へ銃を乱射し始めた。ヤケにでもなったか。それとも、いや、いいや。咄嗟にうずくまり、その上からバックアップの義体を覆い被せて身を守る。
 どこか遠い、知らない場所に着弾するはずだった銃弾が行き先を変え、私めがけて飛んできて次々と義体に突き刺さる。どんなインプラントを使ってくるかわからない以上警戒はしていたが、やはりこういうことが起こるか。反射的に防いだがバックアップはもう使いものにならないし、一方的な有利も崩れた。この隙に向こうの装填まで終わってしまった。
 さらに真上から撃ってくる。弾丸の雨が降り注ぐ中で動かなくなったバックアップを傘にして、義体の壁へ急ぐ。傘の隙間から当たる雨に気持ちが焦る。義体を突撃させようかとも思ったが、そうしたらそうしたで弾の飛んでくる方向が上から横、義体の隙間からになるだけだ。状況がよくなる訳じゃない。冷静になれ。敵の手を潰すための一手を打て。
 オブリビオンと自分を結んだ直線上、中央の義体の脇腹あたりにオートネイルガンを撃つ。同時に義体を同期して弾の通る一瞬だけ射線を開ける。すり抜けた釘がオブリビオンの腹部に刺さった。すかさずバックドアから呪言のアップロードを開始して処理を遅延させ、行動速度を低下させる。こちらは思考を受け取って弾道操作の予測を割り出す。格段に雨足が弱くなり、雨粒がどこに降ってくるかもわかるようになった。これなら傘がなくても大丈夫そうだ。

 ぼろくずになってしまったバックアップを放り投げ、義体群の陰に隠れて一気に距離を詰める。もう水平射撃も間接射撃も脅威じゃない。数機で打撃戦を仕掛けて撹乱し、怯んだところで接近。ここまでの無理も祟って2機が損傷し行動不能になったが構わず続行。オブリビオンの右腕を脇に抱えて銃撃を封じ、こちらはありったけの釘弾を腹部にぶち込む。釘の頭が光り、オブリビオンとの強制通信接続が確立されていく。
 ここまでずっと考えていたけれど、今回目標を達成するにあたって一番の問題は、『どこまでやれば始末できるのか』だ。死んだはずの人間が動いている以上、手持ちの火器で多少傷めつけたところで本当に殺せるのか、疑問が残る。復元できないほどに、形が残らないほど破壊するというのは私向きの方法じゃない。ならどうするか。
 標的は尋常ならざる意志で死を否定することで生きている。それが原動力だ。初めに触れた時に、既に確認している。その根底にはなにか、根本になるなにかがあるはずだ。それを破壊する。呪言を流しこむ程度では到底たどり着かない領域。そこに直接私自身が入ってクラックすることで活動を停止させる。いわゆるソフトキル。それが私に取りうる唯一の方法だ。
 弾道操作による曲射対策として周囲を義体に警戒させ、接続完了と同時に侵入を開始する。集中する。集中する。意識を全て彼だけに集める。視界がぼやける。世界から音が消えていく。全ての感覚が曖昧になり直接的な情報を失っていく。世界が意味だけになっていく。言葉だけになる。文字だけが世界を形作る。

 気付けば私は、なにもない暗闇の中に立っていた。……これは? ああ、そうか。これが彼なのか。
 辺りを見回しても暗闇しかない。でも不思議と怖くはない。むしろ心地良いくらいだ。なんだろう、この感じは。まるで最初からここにいたみたいに馴染む。安心感すらある。
 それでも、ここに佇んでいるわけにもいかない。歩んでいく。彼の奥へ。中心部へ。
 すぐにそれは目の前に現れた。彼の心の塊。赤と黒の文字に埋め尽くされたもの。そこに手を差し込み、掻き分けていく。痛い。暗い、悲しい。辛い寂しい熱い冷たい苦しいやめてくれ誰か助けてどうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんだ殺してやる殺さないで死にたくない。
 そこにはただひたすらに、果てしない苦痛と絶望しかなかった。趣味は違っても私の呪言と大差ない、そんな叫びの羅列。そうか、だからこんなにも、馴染むのか。
 無数の感情に阻まれながらもなんとか突き進む。終わらない苦しみの中に、それはあった。呆気無く見つかるほど他と隔絶した、ただひとつ。赤と黒の中にぽつんと隠れていた白い文字。ほんの短い、単語のようなもの。それは、たった一言の思い。そうか。これがきみをここまで生かして、ここまでさせたのか。
 そっと手を伸ばして――

 義体から警報のフィードバックを受けて急激に現実を引き戻され、振り返る。
 脅威。抑えこんでいる拳銃からの発砲。162度軌道転回。推定着弾点、私の頭部。思わず反転コードを構築して弾道操作インプラントを妨害、停止させる。そこまでした後で、ひょっとしてこれは私が止めるべきものじゃなかったんじゃないか、そんな考えが頭をよぎる。
 意思を失った銃弾は義体の間を通り、私の横顔を掠めて、放った本人の右目へと帰り着いて赤い涙を流させる。そうだ。『帰りたい』。それだけが。そのたったひとつがきみだけのものだったんだね。
 それでも死ねない彼の冷たい頬にそっと触れて、親指で止まらない涙を拭ってやる。そんなに泣くもんじゃない。終わらない映画ももう終わりだ。きみの出番はもう終わったんだ。ゆっくり休むといい。

 みんなと同じところへ行けるように。願わくば、安らぐところへ帰れるように。気休めだとはわかっているけど、そう祈っておくよ。

 そして、彼だけの、唯一残ったものを。静かに、優しく。摘みとった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月05日


挿絵イラスト