銀河帝国攻略戦㉖~慧眼白眉のリナシメント
――呻き声が聞こえる。
それは、中央コンピューターと呼ばれるグロテスクな機械の大樹にぶら下がる生体部品……つまり捕らえられた技術者や科学者が漏らす苦悶の声だ。
彼らの有する優秀な知識や技術力を、文字通り中央コンピューターが“吸い取る”事で、ドクター・オロチの研究へ従事させられているのだ。まさに悪魔の機樹。
彼らを救わなければ、この生き地獄の終焉は見えないだろう。
予知の内容を伝達した蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は、集まった猟兵たちへ真剣な表情で告げる。
「今回はかなり特殊な案件だから、よく聞いてほしいんだよ……っ!」
まずは、今回の目的は『捕らえられた技術者や科学者たちの救出』であるという事。彼らは生きたままコンピューターに接続されており、力づくで引き剥がすと彼らの意識が焼き尽くされて死んでしまうのだという。
「助けるためには、中央コンピューターっていう、おっきな機械の木のオバケが出題する『問題』に正しい解答を入力する必要があるんだよっ!」
つまり、猟兵たちの知識が問われるのだ。
そして、今回の救出対象は『カーター』いう名の科学者だ。
「カーターさんは意識を失ってるから、こちらが呼びかけても会話は無理なんだよ……。でも、助ける事が出来れば、今後のスペースシップワールドの発展に大きく役立つはずだから、みんな、助けてあげてっ!! あ、もしかしたら、化学に強い猟兵の人がいたら活躍できるかも? 科学者を助けるんだから、それっぽい問題が出るはずだよねっ!」
レモンの言葉を頭の隅に入れつつ、猟兵たちは中央コンピューターのある帝国旗艦インペリウムの科学技術センターへ転送されてゆく……!
七転 十五起
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
七転十五起、なぎてんはねおきと申します。
この戦争シナリオは特殊な形式ですので、今一度、ご説明いたします。
これから出題される問題に、皆さんは正しい解答をプレイングでご提示ください。
見事、正解が出れば大正解判定! 科学者のカーターさんを救出できます。
不正解だとカーターさんが死亡してしまうので、全力で謎解きをお願い致します。
それでは、問題です。
『法則性を見破り、次の数字に当てはまる文字で完成する言葉を述べよ』
56・11・11→『バナナ』
19・53・5・8・92→『???』
さぁ、分かるかな?
皆様の挑戦、お待ちしております!
第1章 冒険
『中央コンピューターの謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。
SPD : 素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。
👑3
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フルム・サーブル
これは……「希望」が答えだ
対応する原子番号でKIBOUになるはずだ
救出したカーター氏には……意識がないのか。
それじゃあ抵抗はないだろうから事情を手短に説明した文章を持たせて
フェアリーランドで休んでいて貰おう
もちろん、出来るだけ快適な空間にするために
食料や毛布も持ち込むよ
カーター氏は壺ごと連れ出して、迅速に脱出するよ
リグレース・ロディット
はいはーい!これってげんそきごうっていうのをもとにしているんじゃないかな?ここにつなげられてる人は科学者さんらしいし!
まず、バナナがねバが56番のバリウムでBa。11がナトリウムのNaだからバナナ。
でね、あの数字の所がね、「K、I、B、O、U」だから答えは「キボウ」だと思うんだけどどうかな?カーター死んじゃわない?大丈夫かな?
あってたらUCの『サイコキネシス』で安全なところまで運んであげるんだ。……一応壊れないようにサイキックエナジーを強化してはこぼっと。
(絡み・アドリブ大歓迎)
フランチェスカ・ヴァレンタイン
遺跡あたりのリドルでしたら総当たりで構わないのでしょうけれど、人命が掛かっておりますしねー…。
失敗してトラップが発動しても踏み抜けば解決、的なある意味脳筋な思考は棚の上に置いておきましょう。
56・11・11で『バナナ』
これを読み解け、と……。
56がバというのがネックですかねー…… んー?
そういえば、レモンさんが何か…… 科学、化学……
――周期表。ああ。
そうですね、これなら56のBaに11がNaというのも。
19…K、53…I、5…B、8…O、そして92…U
KIBOU――「希望」、ですかね。
救出できましたら長居は無用、カーターさんを抱えて全速で離脱致しましょうか、と。
※アドリブ等、ご自由にどうぞ
ポク・ョゥョゥ
はーぃ
ぽく、わかったのー
お手手上げてにっこーり
あのねー
元素記号だよー
全部合わせるとー
K、I、B、O、U
だから、答えは希望なのー
どうかなー?
当たったらばんじゃーい
あがめよー
あー、お助けしなきゃー
大丈夫かなー?
よいしょよいしょと救助してー
元気がないならぽく光るよー
一緒に帰ろー
ヴォルフガング・エアレーザー
ドクター・オロチめ……悪辣な作戦の数々、断じて許してはおけん。
だが今は、目の前の暗号を解くことが先だ。
カーター氏の命は、俺たちにかかっているのだから。
猟兵として色んな世界を旅して、耳にしたことがある。
この世界の科学に関連した知識……数字は原子番号か。
56・11・11を対応する元素記号に変換するとBa・Na・Na(バナナ)
同じ要領で19・53・5・8・92は『K・I・B・O・U』……答えは「希望」か!
無事救出できたらカーター氏に負担をかけないよう介抱を。
貴方は正にこの世界の『希望』。
貴方に斯様な非道を働いた輩には、必ずや俺たちが鉄槌を下してくれよう。
だから今は無理せずゆっくりと休んでくれ……。
帝国旗艦インペリウムの科学技術センター内に転送された猟兵たち。
すぐさま中央コンピューターを探し出すと、事前に配布されたカーターの顔写真を頼りに要救助者を探し出す。
「とはいえ、これは酷い……」
フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)は、その小さな(屈強すぎる)身体で目の前の異形たる悪魔の機械を見上げる。
まるで機械の幹からぶら下がる果実のように幾多の技術者や科学者たちが生きたまま宙吊りで接続されているのだ。
ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は、目の前のむごい光景に怒りを露わにして両拳を握り締める。
「ドクター・オロチめ……! 悪辣な作戦の数々、断じて許してはおけん。だが今は、目の前の暗号を解くことが先だ。カーター氏の命は、俺たちにかかっているのだから」
カーターはどこだ、と猟兵たちの懸命の捜索が続く。
「あっ! もしかして、あの人じゃないかな?」
リグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)が指差した場所に、眼鏡を掛けて赤毛の髭を蓄えた初老の男性が吊るされていた。
「間違いないですわ。あの方がカーター氏ですわね」
結構イケメンなのでは、とフランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)の瞳が一瞬煌いた。
「うーんとー、ひっぱったらだめなんだよねー? もんだいにこたえよー」
ポク・ョゥョゥ(だよ〜・f12425)は早速、中央コンピューターに語り掛けた。
「カーターたんをおろしてあげてー」
すると、中央コンピューターがAR(拡張現実)アラートを展開!
『第一級管理者権限事項です。次の質問に答えてください』
中央コンピューターがARウィンドウを猟兵たちの前に展開し、問題を提示してきた。
『法則性を見破り、次の数字に当てはまる文字で完成する言葉を述べよ』
56・11・11→『バナナ』
19・53・5・8・92→『???』
早速、出題された内容について解答を模索し、相談し合う猟兵たち。
「遺跡あたりのリドルでしたら総当たりで構わないのでしょうけれど、人命が掛かっておりますしねぇ……。失敗してトラップが発動しても踏み抜けば解決、的なある意味脳筋な思考は棚の上に置いておきましょう」
フランチェスカの言葉に一同は大きく頷く。
更にフランチェスカは数字に着目してみる事にした。
「56・11・11で『バナナ』? これを読み解け、と……。数字と文字の数は一致していますので、56がバに対応している、という見解でいいのでしょう」
「日本語のひらがな50音でもアルファベットの26文字よりも多いな……」
フルムも56という数字が引っかかっているようだ。
「というか、92とか出てくる時点で別のナニカだよね? もしかして……!」
リグレースの指摘にョゥョゥがニッコリ。
「はーぃ。ぽく、わかったのー」
「はいはーい! 僕も分かった! ここにつなげられてる人は科学者さんらしいし! きっと、アレだよね!」
続くリグレースも手を挙げた。この様子だと、本当に分かったようだ。
「なるほど、となると、あとは対応するものを当てはめればいいだけだな」
フルムも閃いたようだ。
「俺も猟兵として色んな世界を旅して、耳にしたことがある。この世界の科学に関連した知識……数字はこの世の物質に付けられたアレだな」
ヴォルフガングも解答に至ったようだ。
残るフランチェスカも、落ち着いて思考を巡らす。
「そういえば、ブリーフィングで科学や化学と言ってましたね……。化学……ああ、なるほど……」
フランチェスカも合点がいったようだ。
ここで猟兵たちは一斉に、この問題の法則性を口に出す事にした。
「周期表だな。数字は原子番号だ」
フルムの言葉にリグレースも賛同する。
「そうだよね! これってげんそきごうっていうのをもとにしているんだよ!」
フランチェスカもこれに言葉を継いだ。
「元素記号の周期表ならば、56のBa(バリウム)に11がNa(ナトリウム)というのも納得ですわ。つまり、19がK(カリウム)、53がI(ヨウ素)、5がB(ホウ素)、8がO(酸素)、そして92がU(ウラン)。これを並べて、ローマ字表記で読むと……」
「全部合わせるとー、K、I、B、O、U。だから、答えは希望なのー。どうかなー?」
ョゥョゥの見解にヴォルフガングも同調する。
「56・11・11を対応する元素記号に変換するとBa・Na・Na(バナナ)。同じ要領で19・53・5・8・92は『K・I・B・O・U』……答えは『希望』か!」
「そうだ……『希望』が答えだ。対応する原子番号でKIBOUになるはずだ。入力するぞ?」
フルムがARウィンドウへ『希望』と文字変換すると、宙に浮くエンターキーに体当たり!
「ねぇ! カーター死んじゃわない? 大丈夫かな?」
そわそわと不安げなリグレースは、ARウィンドウを注視する。
すると、ウィンドウはめまぐるしくプログラムを走らせてゆき、最後はこの一文が浮かび上がった。
『管理者権限により、カーター・ウィルソンを切断します』
「ばんじゃーい。あがめよー」
ョゥョゥが諸手を挙げて喜んだ次の瞬間、ぶちっと何かが千切れる音とともにカーターの身体が地面へ落下してくる!
「危なーい!」
リグレースのユーベルコード『サイコキネシス』でカーターを空中でキャッチ!
そのままゆっくりと地面へ着地させた。
「サイキックエナジーを強化しておいてよかった!」
「間一髪だったな、リグレース。さて、カーター氏は……依然、意識がないのか」
フルムがカーターの呼吸音を確認する。息はあるが、一向に目覚めようとはしないようだ。そこへョゥョゥがカーターの近くまで進み出てきた。
「あー、お助けしなきゃー。大丈夫かなー? 元気がないならぽく光るよー。あがめよー」
ョゥョゥの全身からぺかーっと煌めく暖かくて優しい光が放たれ、カーターに降り注ぐ。ョゥョゥはパンダっぽい(むしろ自身をパンダと信じている)ブラックタールの聖者だったのだ。
これにより、カーターの意識が僅かであるが回復する。
「わ……たしは……? たす……ったのか……?」
「無理しないでください。今は横になっててくださいね」
「フランチェスカ、俺のフェアリーランドで休んでいて貰おう。もちろん、出来るだけ快適な空間にするために食料や毛布も持ち込み済みだよ」
「あらあらフルムさん、用意周到ですこと?」
「なぁに、森林の妖精は実際優しいんだよ」
フルムの言葉に、カーターは小さく感謝の言葉を述べた。
ヴォルフガングが跪くと、カーターの手を取って語り掛けた。
「貴方は正にこの世界の『希望』。貴方に斯様な非道を働いた輩には、必ずや俺たちが鉄槌を下してくれよう。だから今は無理せずゆっくりと休んでくれ……」
「カーター氏、詳しい事情は後だ。今は壷の中でゆっくり休んでいてくれ」
フルムがダンディなスマイルを振りまきながら、カーターを壷の中のフェアリーランドへ吸い込んでいった。
「一緒に帰ろー」
「救出できましたら長居は無用ですわ」
ョゥョゥとフランチェスカの言葉に、猟兵たちは帝国旗艦インペリウムの科学技術センターから脱出してゆくのだった。
だが、まだまだ吊るされていた技術者や科学者は大勢存在していた。
今後も何度かこの場所へ足を運ぶことになるだろうと、猟兵たちの胸に予感がよぎるのであった。
大成功
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