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終わりなき銀河の戦乱

#スペースシップワールド #スペースオペラワールド

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 ――ウロボロス銀河の住人において戦争が日常となってから、はや数千年の月日が流れた。
 開戦の理由は歴史の彼方に消え、終戦の兆しは微塵もない。毎日のように何万何億という生命がスペースデブリ未満の価値で浪費され、幾京幾垓の血が宇宙の徒花と散る。戦火が当たり前となった世界では、誰もそんな死に異議を唱えることすら考えなくなった。

「ああ、なんて素晴らしいのかしら」

 かくの如き凄惨な惨禍を、恍惚の表情で眺める1人のオブリビオンが居た。
 表向きの名こそあるが、それは然程重要な情報ではない。一部の者だけが知る通り名のほうが、よほど彼女の本質を現しているだろう――その名は、スペース・ジェノサイダー。

「愚かで、儚く、脆い生命。今すぐ全部ぐちゃぐちゃにブチ殺してやりたいわ」

 整った相貌に残虐な本性を滲ませて、背中から伸びる異形の触手をわななかせ。
 この銀河で争っている生命を皆殺しにするにはどうすれば良いか。彼女はそれだけを考えていた。

「ああ、愉しい、愉しい! やっぱり戦争と虐殺は最高ね!」

 愉悦の笑みを浮かべる邪悪なる侵略宇宙人、スペース・ジェノサイダー。
 彼女の魔の手によって、ウロボロス銀河における戦争は最悪の結末を迎えようとしていた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「スペースオペラワールドのとある宙域にて、大規模な星間戦争を引き起こし、星系ごと生命を滅ぼそうとしているオブリビオンが居ることが判明しました」
 クエーサービーストが群生する未踏宙域を抜けて、猟兵達が到達した新天地「スペースオペラワールド」。そこは無数の銀河に無数の宇宙人が暮らす広大なフロンティアだが、決して平和な楽園ではなかった。過去から蘇ったオブリビオンの魔の手はこの宇宙全域にも忍び寄り、世界を破滅させようとしているのだ。

「『ウロボロス銀河』と呼ばれるこの宙域では、複数の星間国家が2つの勢力に分かれて、数千年に渡る星間戦争を繰り広げていました」
 ひとつの国家や文化圏が複数の星系にまたがる事も珍しくないスペースオペラワールドでは、戦争のスケールも規格外のものとなる。もはや開戦の理由も戦いの意義すらも忘れられたはるか過去から、ふたつの勢力は銀河全体を舞台とした終わりなき争いを繰り広げてきたのだ。
「この状況に目をつけたのが『スペース・ジェノサイダー』と呼ばれるオブリビオンです。彼女は戦争状態にある星間勢力の片方に巧みに潜り込むと、またたく間に武功をあげ、莫大な軍事権を持つ地位まで上り詰めてしまいました」
 恒常的な戦争状態にあるウロボロス銀河において、武力に優れるオブリビオンが勇名を轟かせるのは難しくなかっただろう。彼女が地位を求めた理由はひとつ――この戦争を激化させて双方の勢力を共倒れさせ、銀河中の全ての生命を滅ぼすことだ。

「スペース・ジェノサイダーは自身の軍権を行使して配下のオブリビオンを各地の戦場に送り込み、戦いを煽り立てているようです」
 彼女の企みを阻止する為には、まずはこのオブリビオン部隊を発見し、各個撃破しなければならない。
 戦場はひとつの星系をまたぐほどの広大さで、両軍合わせて数万隻の宇宙船、数億人の兵士達が戦っている。この中に散らばったオブリビオンどもを、一人残らず排除するのだ。
「おおまかな敵の所在は予知で判明しているので、そこまではリムが転送します。戦闘を加熱させるような露骨な動きをしている者を見かけたら、それがオブリビオンである可能性が高いです」
 敵部隊は『ギャラクシー・ならずもの』と呼ばれる、その名の通り宇宙のならず者達で構成されている。私利私欲のためにどんな悪事にも手を染める粗暴な荒くれ者達で、バックに強力なオブリビオンがついているのを良いことに、戦場ではやりたい放題しているようだ。

「敵部隊を撃破すれば、彼らが持っているデータを統合することで、スペース・ジェノサイダーの所在を明らかにすることができます」
 スペース・ジェノサイダーはウロボロス銀河のどこかに『秘密要塞』を建造しているようで、その場所は直属の配下にしか明かしていない。言い換えればその要塞こそが敵の本拠地であり、発見できれば王手をかけたも同然になる。
「ですが要塞の所在地が判明しても、ウロボロス銀河は星間戦争の真っ最中です。要塞に向かうまでに予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります」
 猟兵の使命はあくまでオブリビオンの撃破であり、直接的には無関係な戦争に首を突っ込むのはあまりよろしいとは言えない。とはいえ降りかかる火の粉を払わないわけにもいかないだろう。トラブルが起きた場合の対処法については、各自の判断に任せますとリミティアは伝えた。

「無事に秘密要塞にたどり着けても、スペース・ジェノサイダーは強敵です。最後まで油断しないようにお願いします」
 見た目はヒューマノイドタイプに近い少女だが、その性質は残虐で、目についた惑星上の住人全てを虐殺することを好むという邪悪な侵略宇宙人だ。彼女の企みを放置すれば、いずれウロボロス銀河の全てが生命の存在しない死の宙域と化すだろう。

「陰日向に争いを助長してきたオブリビオンが居なくなれば、この宙域での星間戦争も……終結、とはいかずとも小康状態にはなるかもしれません。どうか、よろしくお願いします」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべると、スペースオペラワールドへの道を開く。
 果てしなく広がる無間の大宇宙を舞台に、猟兵達の新たな冒険と戦いの幕が上がろうとしていた――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 やって来ましたスペースオペラワールド。今回のシナリオはとある星間戦争の最中にある銀河にて、争いを助長させているオブリビオンを倒す依頼です。

 1章は『ギャラクシー・ならずもの』との集団戦です。
 名は体を表す銀河のならず者達です。今回はスペース・ジェノサイダーの配下として、戦場の各地で戦いを煽っています。
 スペースオペラワールドの戦争はとてつもなく規模が大きいので、猟兵ごとに別々の場所に移動して敵部隊を発見・各個撃破するという形式になります。

 ならずもの達を撃破すれば、スペース・ジェノサイダーのいる秘密要塞の情報が手に入ります。
 ですが、そこに向かう道中では問題が発生するため、2章はそのトラブルに対処するシーンになります。詳細については実際に章が移行してから説明いたします。

 無事トラブルを解決できれば、3章は『スペース・ジェノサイダー』との決戦です。
 目についた生命体をとにかく虐殺することを好むような、邪悪で残虐な侵略宇宙人です。情けをかける余地は一切ありませんので、銀河のために全力で撃破していただければ幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ギャラクシー・ならずもの』

POW   :    ユニバース・強奪作戦
指定した対象を【略奪と蹂躙の獲物】にする。対象が[略奪と蹂躙の獲物]でないならば、死角から【テレポートで無数の仲間】を召喚して対象に粘着させる。
SPD   :    スペース・お持ち帰り
【生物にも効くアスポート・ビーム】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【宇宙船などのアジト】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ   :    コズミック・ハメ殺し
戦場内を【ならずもの様の命令に絶対服従の】世界に交換する。この世界は「【反抗心を持つほどに身体は従ってしまう】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒影・兵庫
(「依頼の規模がデカすぎない?銀河間戦争を止めろって言われてるのよね?これ」と頭の中の教導虫が話しかける)
たしかに!ですがやり遂げるのが猟兵です!せんせー!
(「仕事だしそりゃ頑張るけど報酬に惑星ぐらい貰いたいわね…さ、まずは戦争を煽ってる連中を潰すんだけど、どうやる?」)
UC【蠢く霊】で強襲兵さんの亡霊を召喚した後、目視不可の霊体状態になっていただき、ならず者たちを暗殺しちゃいましょう!
可能な限り暗殺が露見しないよう『ハッキング』や『ジャミング』でならず者たちの連絡網を遮断しようと思います!
(「うん、いいんじゃない?作戦開始よ!」)
はい、せんせー!



(依頼の規模がデカすぎない? 銀河間戦争を止めろって言われてるのよね? これ)
 スペースシップワールドと比べてもスケールの大きな事件を聞いて、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の頭の中に宿る教導虫「スクイリア」が感嘆とも呆れともつかない言葉を紡ぐ。無限に広がる大宇宙、スペースオペラワールドの依頼では、こうした事件もままあるらしい。
「たしかに! ですがやり遂げるのが猟兵です! せんせー!」
 やるべき事は普段の依頼とそう変わらない。陰謀を企てるオブリビオンの居場所を突き止め、倒すだけだ。ただ、陰謀のスケールが銀河規模というだけで。これまでの猟兵達の実績を鑑みれば、決して無茶振りをされている訳では無い。

(仕事だしそりゃ頑張るけど報酬に惑星ぐらい貰いたいわね……さ、まずは戦争を煽ってる連中を潰すんだけど、どうやる?)
 それくらいの見返りはあってもバチは当たらないはずよとぼやきつつ、建設的な話を始めるスクイリア。黒幕の部下として戦場に紛れ込んでいるオブリビオンを倒し、「スペース・ジェノサイダー」の秘密要塞の情報を奪取するのが、今回の依頼の第一目標だ。
「【蠢く霊】で強襲兵さんの亡霊を召喚した後、目視不可の霊体状態になっていただき、ならず者たちを暗殺しちゃいましょう!」
 敬愛する「せんせー」からの質問に対して、兵庫が出した答えは闇討ちだった。戦場の真っ只中で直接対決に持ち込むよりも、乱戦の混乱に紛れて暗殺するほうが容易だと考えたか。彼の指揮する戦闘虫の中には、こうした任務を得意とする者達もいる。

「可能な限り暗殺が露見しないよう、ハッキングやジャミングでならず者たちの連絡網を遮断しようと思います!」
 暗殺は一度バレると警戒され、それ以降は実行するのが難しくなる。だが戦場の広さを逆手に取り、互いに連絡できないようにしてしまえば、敵は仲間になにが起こったのか気付くのは難しくなるだろう。
(うん、いいんじゃない? 作戦開始よ!)
「はい、せんせー!」
 作戦を聞いたスクイリアのゴーサインを受けて、兵庫は【蠢く霊】を発動。死してなお同胞のために戦う強襲兵の亡霊を召喚すると、目視不可能の霊体状態で星間戦争の戦場に突入させた。

「オラオラ! 前進だ前進!」
「敵は全員ブッ殺せ! でなきゃオレ達が殺られんだぞ!」
 戦場ではスペース・ジェノサイダーの指示を受けた「ギャラクシー・ならずもの」達が味方を鼓舞するように見せかけて、その闘争を過剰に煽り立てている。無謀な突撃で損害が拡大しても計画通り、彼らの目的は敵味方問わずこの銀河の住人を滅ぼす事なのだから。
「ヒャッヒャヒャヒャ! 人がゴミみてぇに死んでいくぜぇ……ギャッ?!」
「ん? おいどうし……グヘェ!!」
 だが、調子に乗って扇動しまくっていた彼らは、乱戦に紛れた強襲兵の接近に気付けなかった。鋼鉄や霊体すらも食いちぎる彼らの爪牙は、敵に騒ぎ立てる間も与えず一瞬のうちに葬り去ったのだ。

「そのままやっちゃってください!」
 兵庫は敵の通信網を遮断するジャミング波を発生させて、部隊間の連携を断ちつつ味方に指示を飛ばす。不可視の暗殺者と化した強襲兵は戦場を無人の野を行くがごとく飛び回り、怪しいならずものを見つければ片っ端から暗殺していく。
『ん? なんだ、通信機の異常か?』
『おい、どうした、返事しろ……グッ、ギャァッ?!』
 ならずもの共が異変に気づき始めた時にはもう遅く、戦場にいたオブリビオンの多くは状況を把握できないまま骸の海に還っていった。彼らが持っていたデータを回収して、蠢く霊は兵庫の元に帰還していく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リアン・ブリズヴェール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
まずは【オルタナティブダブル】で分身であるファムを召喚しますけど、その間に【コズミック・ハメ殺し】を展開されて一気にピンチになってしまいます
その状況を打開するために【コールレギオン】で魔物幽霊娘と巨大ラミアを呼びますけど【ユニバース・強奪作戦】で次々と幽霊魔物娘や巨大ラミア・ファムが蹂躙されて略奪されてしまいます
最後の賭けとして【魅了変化】で花嫁魔法少女の4歳の幼女人魚となって逃げようとしますけど【スペース・お持ち帰り】でビームが当たってしまいアジトに転移させられてリアンを含めて全員が拘束されて心も折られてならずものたちの所有物にされてしまいそうです



「こ、これ以上の悪さは許しません!」
 銀河を舞台とした星間戦争の戦場で、邪悪な『ギャラクシー・ならずもの』を発見したリアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)。臆病な彼女は肩を震わせつつも、オブリビオンの悪事を防ぐために勇気を振り絞って立ち向かう。
「ゲヒャヒャヒャ! オイオイ、随分弱っちそうな小娘が来やがったぜぇ!」
「戦場の怖さってヤツを教えてやらねえとなぁ!」
 対するならずもの共はハナから舐めてかかった態度で、ゲスな視線をリアンに向ける。
 強力なオブリビオンの後ろ盾があるからといって、戦場で好き放題やっているような連中だ。倫理や良心のたぐいには期待しないほうがいい。

「ファム、お願い、手伝って……!」
 1対多の状況を改善するために、まずリアンは【オルタナティブ・ダブル】でもう1人の自分である「ファム」を召喚する。無口な分身はなにも答えなかったが、無表情のままリアンを守るように立ち、戦いの構えを取った。
「ヒヒヒ! おおっと、反抗しない方が身のためだぜぇ?」
 だが、その間にならずもの共は【コズミック・ハメ殺し】フィールドを展開し、戦場を自分達に有利な環境に作り上げてしまっていた。このフィールド内ではならずものの命令が絶対であり、他者はそれに従わなければならないというルールが課される。

「テメェが反抗心を持てば持つほど、身体は勝手に従っちまうのさぁ」
「そ、そんな。どうしたら……」
 悪辣なならずもの共への敵意や嫌悪感を抑えることは難しく、その気持ちに反比例するように身体が思うように動かなくなる。一気にピンチになってしまったリアンは、この状況を打開するために【|魔物幽霊娘軍団召還《コールレギオン》】を発動する。
「み、皆さん……助けてください」
「ゲヘヘ、無駄無駄ァ! テメェらはもうオレ達の獲物なんだよォ!」
 召喚された幽霊魔物娘と巨大ラミアの軍団に、ならずもの共は嬉々として襲い掛かっていく。
 略奪と蹂躙の獲物扱いされた魔物娘達は、憤慨しながら立ち向かうが――その時、ふいに死角からテレポートしてきたならずものの別働隊が、彼女らを羽交い締めにする。

「捕まえたゼぇ!」「こうなりゃこっちのモンだ!」
 敵の【ユニバース・強奪作戦】にまんまと嵌ってしまった魔物娘達は、ならずもの共の手によって次々と蹂躙、略奪されていく。ついにはリアンの分身であるファムでさえ、暴漢の一撃を喰らって倒れ伏した。
「こ、このままじゃ……!」
 反抗は封じられ、仲間に頼っても駄目。絶体絶命の窮地に立たされたリアンは、最後の賭けとして【魅了変化】を発動。花嫁風の魔法少女衣装を纏った、4歳児程度の見た目の幼女人魚となって逃走を図るが――。

「どこへ行くつもりだァ?」「お持ち帰りだぜぇ!」
 宇宙を泳ぐように逃げていくリアンの背中目掛けて、ならずもの共は【スペース・お持ち帰り】を放つ。彼らが持っている光線銃より放たれるアポート・ビームは、生物を含めた対象をアジトに強制転移させてしまうのだ。
「きゃぁぁっ!!」
 ビームに当たってしまったリアンは、次の瞬間どこかの宇宙船の中にいた。リアンを含む仲間達も、全員が拘束されて辺りに転がされている。絶望的な状況に青ざめる間もなく、ならずもの共が遅れて転移してくる――。

「ヘッヘッヘ、お楽しみの時間だぜ」「心が折れるまでいたぶって、オレ達の所有物にしてやるよぉ」
「い、嫌っ……やめてくださいっ」
 抵抗の術を失ったリアン達の、それからの受難は筆舌に尽くしがたい。心と身体に与えられる容赦のない責め苦に、本当に屈してしまいそうになる。
 だが、逆にこの状況から脱出することができれば、敵のアジトから情報を持ち帰ることも叶うだろう。装備を脱がされず破壊もされない【魅了変化】を使っていたのは、果たしてこの事態を想定していたのだろうか。
 何れにせよ、この窮地をチャンスに変えられるか否かは、少女の精神力にかかっていると言えるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
んー。あきらかに煽ってるならずものがいるんだけど。なんでみんな、不思議に思わないんだろう。

ブライダルベールに乗って、片っ端からかたずけていくよ。
あのビームはちょっと危険そう。あたらないようにしなきゃ。

ビットと大鎌を使って、一網打尽にしていくよ。



「んー。あきらかに煽ってるならずものがいるんだけど。なんでみんな、不思議に思わないんだろう」
 星系規模で行われる宇宙戦争の現場を俯瞰しながら、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は首を傾げる。第三者としてのフラットな目線で見れば、この戦いを扇動する者がいるのは明らかだった。
「殺せ殺せ! ブッ殺せェ! 1人残らずミンチにするんだよォ!」
「アイツラが憎いよなァ? 許せないよなァ?! 皆殺しにしねえとなァ!!」
 長きに渡る戦争は戦いを日常に変え、人々から冷静な判断力を奪い去ってしまったのか。燃え盛る戦場の火に油を注ぐ「ギャラクシー・ならずもの」共の暗躍に、気付いている者は誰もいないようだった。

「ぼくらが何とかするしかないね」
 これ以上争いを激化させないためにも、アリスはキャバリア「ブライダルベール」に乗って戦線に突入。ひときわ暴れ散らかしているならずもの共を発見すると、即座に攻撃を開始する。
「なんだこのデカブツはぁ?」「ケッ、どうせ見掛け倒しだろ。オラァ!」
 接近してくる純白の人型兵器に、敵は舐め腐った態度で銃口を向け、アポート・ビームを発射する。この光線は殺傷力こそ無いものの、命中した物品や生物を強制的に転移させる効果があった。

「あのビームはちょっと危険そう。あたらないようにしなきゃ」
 あんなものに当たれば一体どこに転送されるか分かったものではない。アリスは純白の愛機を巧みに操縦して【スペース・お持ち帰り】を回避すると、お返しとばかりに装備中の大鎌を振り上げた。
「幸福を届けに来たよ」
「ぐぎゃぁッ?!」
 【|戦場の白い花《ブライダルベール》】の一撃はならずもの共のアーマーや宇宙服を紙のように斬り裂き、胴体を真っ二つにする。それはまさに死神の一閃――余裕こいていた連中の顔色が、ここに来てさっと青ざめた。

「お、おい、コイツ強えぞ」「やべぇ、ずらかれ!」
 所詮は有利な状況でイキるか弱い者いじめしかできない連中か、強敵登場と見るやならずもの共はすぐさま撤退の動きを見せる。だが、この時すでに彼らの周りは花びら型のビットの大群によって包囲されていた。
「逃がさないよ」
「げ、げぇッ?!」
 ここで連中を逃がせば、どうせまた別の戦場で同じ事を繰り返すに決まっている。自分達の私利私欲のために争いの火を煽り立てるならずもの共を相手に、アリスは一切情けをかけるつもりは無かった。

「片っ端からかたずけていくよ」
「や、やめッ……ぎゃぁぁぁぁッ!!!」
 ビットによる包囲と大鎌の薙ぎ払いによって、一網打尽にされていくギャラクシー・ならずもの。一箇所の制圧が済めば、アリスは【戦場の白い花】の力で各地にいる味方の元にテレポートし、他の所にもいる敵を次々に始末していく。
「お、オレ達にこんなマネして、ジェノサイダー様が黙ってるとでも……グエーッ!」
 苦し紛れの捨て台詞も無視無視。もとより自分達の目的は、その大将を倒す事なのだから。
 蹴散らしたならずものからデータを回収しつつ、白い死神は電子の妖精を乗せて、宇宙の戦場を翔け巡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォー・トラン
あたしはこう見えて[破壊工作]をはじめとする各種の妨害工作にはかなり詳しいのだ。
そんなあたしが戦闘を泥沼化させるとしたら、有能な現場指揮官を始末するだろう。
最前線で数に負けている状況でも孤軍奮闘しているような人物、そういうのこそ狙い目、つまり戦争を意のままに操ろうとするオブリビオンにも狙われやすいということだ。
そんなわけでユーベルコード【賦活魔法】で自らを強化して護衛に行こうと思う。
護衛対象が傷付いているのであれば治療を施し、敵の工作員にはワイヤーを伝わせた[電撃]をお見舞いしてやる。
あたしの身体がならず者に従っても、迸る電撃が敵を討ってくれるだろう。

よう、きょうだい。助けに来たよ。



「あたしはこう見えて破壊工作をはじめとする各種の妨害工作にはかなり詳しいのだ」
 猟兵にして冒険者であり、さらに某国のエージェントという裏の顔を持つフォー・トラン(精霊術士・f12608)は、自分の経験と知識に照らし合わせながら銀河の戦場を俯瞰していた。
「そんなあたしが戦闘を泥沼化させるとしたら、有能な現場指揮官を始末するだろう」
 最前線で数に負けている状況でも孤軍奮闘しているような人物や、部下の扱いに長けた小隊長など、そういう者こそ狙い目。もし彼らが死ねば戦いに歯止めをかける者は居なくなり、戦場はさらなる地獄と化すだろうから。

「つまり戦争を意のままに操ろうとするオブリビオンにも狙われやすいということだ」
 そんな訳でフォーは護衛に行くことにした。彼らを死なせるリスクは今説明した通りだし、逆に護衛についておけば敵のほうから姿を現すだろうと推測できるからだ。広すぎる戦場を無闇矢鱈に駆け回るよりは、よほど効率がいい。
「よう、きょうだい。助けに来たよ」
「有り難い、感謝する!」
 孤軍奮闘中だった友軍の現場指揮官にとって、この護衛はまたとない救いの糸だった。
 よほどの激戦を続けていたのだろう、その身体は傷だらけで満身創痍と言っても良い。救援に来られたのはギリギリのタイミングだったようだ。

「元気になるよ」
 すぐにフォーは【賦活魔法】で治療を施す。彼女の指先から放たれた電撃が護衛対象に当たると、まるで早送りの動画でも見ているかのように傷が塞がっていく。加えて、この電撃には肉体を賦活させ一時的に戦闘力を増強する効果もあった。
「なんと。貴女はユーベルコード使いだったか」
 稀有な異能の使い手に出会った指揮官は、目を丸くして傷の癒えた自分の身体を見る。
 だが感動してばかりも居られない。ここが戦場の真っ只中で、彼が狙われる立場にあるのは変わらないのだから。

「なんだァ、そいつまだ死んでねぇのかよ」
「さっさとブッ殺してやらぁ!」
 現れたのは「ギャラクシー・ならずもの」達。この戦争を煽るためにスペース・ジェノサイダーに送り込まれた工作員だ。粗暴な暴言を吐きつつ襲い掛かってくる彼らに対し、フォーは素早くフック付きワイヤーを放った。
「おっと、殺らせるわけにはいかない」
「あぁん、反抗しようってかぁ?」
 ならずもの共は【コズミック・ハメ殺し】を発動し、フォー達を自分の命令に服従させようとする。このフィールド内では連中への反抗心を持つほどに身体が従ってしまうという、厄介なユーベルコードだが――。

「あたしの身体が従っても、電撃が敵を討ってくれるだろう」
「なに? うっ、ウギャアァァァァッ!!!?」
 その直後、フォーの身体からほとばしった電撃が、ワイヤーを伝ってならずもの共に流れ込む。こうなることを想定して、彼女は予め自分にも【賦活魔法】をかけていたのだ。自己強化用の電撃には命令に服従する意志もなく、そのまま敵を討つための武器になる。
「や、やりやがった、な……グギャァーーーッ!!」
 策に嵌まったギャラクシー・ならずもの共はまんまと一網打尽にされ、骨の髄まで黒焦げになって倒れ伏す。それを確認したフォーはワイヤーを引き戻すと、満足げに歯を見せて笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
宇宙に、冬を、告げに、きた、よー!
ユーベルコードでカビパンお姉ちゃんを召喚しつつ。
宇宙ギャングの目の前で宇宙ごろごろします。

命令には絶対服従します
それはそれとしておせんべいもってきて
宇宙おこたつも持ってきたよ
うごくのめんどくさいしーって ここでゲームでもしてくつろごーって
はいはい命令にはしたがいまーすって空返事しながら、
【怪力】使ったり足に組み付いて動きを阻害したり、こたつにひきこんだり。
兎に角全力でお姉ちゃんと一緒にだらだらして、お荷物となりならず者さんの足を引っ張り続けます。
主に妨害・サポートとしてそんな感じで立ち回り、攻撃は他の猟兵さんに任せます。



「宇宙に、冬を、告げに、きた、よー!」
 戦乱渦巻くスペースオペラワールドに、一陣の涼風を伴って降臨するのはポーラリア・ベル(冬告精・f06947)。これまでにも様々な世界を渡り歩いては冬を告げてきた彼女は、この広大な宇宙で何をするつもりなのだろう――。
「でもめんどくさいから、告げるのは明日にするよー」
「それがいいわ」
 ――と思いきや、彼女は【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】で召喚した悪霊雪女のカビパンと共に、敵の目の前でゴロゴロし始めた。宇宙空間の、それも戦場のド真ん中でだらけるという、何重もの意味で「何やってんだコイツ」案件である。

「……何やってんだコイツら?」
 荒くれ者として名を馳せた「ギャラクシー・ならずもの」達も、これには流石に困惑を隠せなかった。とはいえユーベルコードを使っていたし、猟兵っぽいのでつまり敵である。生かして放っておく理由はない。
「オラッ、オレ達の言う事を聞きやがれ!」
 連中は【コズミック・ハメ殺し】フィールドを展開して、ポーラリア達を絶対服従させようとする。が、エゴに満ちた敵の空間に巻き込まれても、彼女らはなんら態度に変化を見せず、宇宙ごろごろを続けていた。

「命令には絶対服従します。それはそれとしておせんべいもってきて」
「は? テメェふざけてんのか?」
 ならずもの共に凄まれてもどこ吹く風で、ポーラリアは持ってきた宇宙おこたつにもぐり込む。反抗心はないので勝手に身体が従ってしまうことはないが、それはそれとして真面目に働く気もないという自堕落なふるまいである。
「うごくのめんどくさいしーって ここでゲームでもしてくつろごーって」
「こ、コイツ……!」
 片手でお煎餅をぽりぽり齧り、もう片手でゲームのコントローラーをピコピコ。ここが自宅であるかのようにくつろいだ態度を取られ、ならずもの共の頭の血管がピクピクと動く。敵からこうも舐め腐った態度を取られたのは彼らも始めてだろう。

「おいコラ、いい加減にしやがれ! テメェらオレ達に服従したんだろうが!」
「はいはい命令にはしたがいまーす」「まーす」
 ならずものの怒号にも空返事しながら、カビパンと一緒にとにかく全力でだらだらするポーラリア。彼女らの厄介なところは単に自分達だけで引き籠もっているのではなく、積極的に他の連中の足を引っ張ってくるところだ。
「ほら、一緒にごろごろしようよ」
「やめろ、放せ……コイツ力強え!?」
 小柄なフェアリーにしては意外な怪力で足に組み付いたり、こたつに引きずり込んだり。
 これでも反抗する気がないと言えるのは驚異的なふてぶてしさだが、ポーラリアの行動が敵の動きを大いに阻害しているのは事実だった。

「クソッ、マジでなんなんだこいつら……グヘェッ?!」
 戦場でそんなふうに隙を晒していれば、横から撃たれるのは自明の理だった。他の猟兵、あるいは名も知れぬ一般兵の攻撃を受けて、ならずもの共は次々に討ち取られていく。
「ねえ、おせんべいおかわりもってきて」
「い、いい加減にしやがれぇぇぇぇッ!!!」
 この期に及んでも呑気に立ち回るポーラリアに、連中が本気でキレても時すでに遅し。
 直接的な戦果こそないものの、彼女の行動は妨害・サポートとして十分な働きを果たしていたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
♪は歌です。【情報収集・視力・戦闘知識・歌唱・パフォーマンス・空中浮遊】
エリンf38063と共闘
エリン?エリーン!久しぶり!
『おう、ブラッドムーンじゃねぇか。』
『エキドゥーマちゃん、元気だった?』
恩人との再開を喜んでいるとならず者が現れた。
何おじさん達?エリンに会えたんだから戦うのはまた今度にしてよ。
そしたらビームをいきなり打ってきたけどエリンが守ってくれた。
ありがとう、エリン!
もう許さないよ。UC発動(歌いながら)
相手は何歌ってやがると言いながら襲って来た。
♪さあ、前を向こう!希望を持てば力宿る。共に立ち向かおう!
僕が歌えば世界は檻に変わる。
武器や服は拘束着に変わるさ。
そして、吹きとばせ!ドーンとね!(電撃で攻撃)

僕は歌いながら空を飛び回りながら
自分が即興で考えた歌詞でならず者達を翻弄する。
歌を止めて騎士の姿になり、動けない彼らに衝撃波と電撃を浴びせた。
エリンは追撃に神罰とか放っていた。

やったねエリン!悪い人達をやっつけたよ!


…ありがとう、エリン。
あの時、僕を時空の間から助けてくれて。


エリン・エーテリオン
ソラウf38698と共闘
ん?あいつは…ソラウじゃねえか!
『ゲッテメーハライズサン!』
『うっ…し、師匠』
エキドゥーマはエミリアーノが苦手の様だ
ブラッドムーンは少し嬉しそうな声だった…仲いいじゃん
あっ?何だテメーら
『マスター、依頼中だよ』
良し、ぶっ飛ばす!
情報収集と視力と戦闘知識で状況を瞬時に把握して、ソラウにビームを打って来たのでオーラ防御とジャストガードで防御した

クズが、ソラウをわざと狙いやがって…

ソラウも怒ったみたいでUCを発動した。
あっこいつら終わったわ
『どうゆうこと、マスター?』

だってソラウのUCって自分が考えたことそのまま現実にするからな

ソラウが歌いながら空を舞って奴らにUCを存分に振るう
私もソラウの歌でパワーアップしているのを感じた
時空の間で手に入れた新たな力!
虹炎魔皇…変身!
檻に閉じ込めらたり、拘束させている敵を自由の力で作った空気の弾丸と衝撃波と神罰と焼却を組み合わせて奴らを吹き飛ばした

良し、片付いたなお疲れ様ソラウ

ん?あの時の事か?気にするな!私も魔皇に進化出来たからな!



「エリン? エリーン! 久しぶり!」
「ん? あいつは……ソラウじゃねえか!」
 銀河を滅ぼそうとするオブリビオンの陰謀を止める為に、スペースオペラワールドにやって来た二人の猟兵。ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)とエリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)は、偶然にも戦場のただ中で再会を果たす。
 この二人は以前から縁があり、さる一件においてエリンはソラウの生命を救った恩人の立場にあった。
『おう、ブラッドムーンじゃねぇか』『ゲッテメーハライズサン!』
 彼女らの仲間である時空龍と邪神龍も、おのおの再会の言葉を交わし合う。気さくな調子で話しかける時空龍ライズサンに、「ゲッ」と言いつつも少し嬉しそうな声をしているのが邪神龍ブラッドムーン。普段から彼と一緒にいるエリンは(仲いいじゃん)と密かに心の中で思った。

『エキドゥーマちゃん、元気だった?』『うっ……し、師匠』
 一方、エリンのスマホに宿る邪神龍エキドゥーマにとって、ソラウ組のブレイン担当である時空龍エミリアーノは苦手な相手のようだ。敬意を込めて師匠と呼ぶところからも、嫌っていない事は分かるが――親しい仲だからこその苦手意識があるのかもしれない。
「また会えて嬉しいよ」「ああ、私もだぜ」
 このように旧交を温め合うソラウ達とエリン達だが、ここは戦場。呑気に話している所を敵が見逃すはずもなく、程なくして「ギャラクシー・ならずもの」の集団がわらわらとやって来た。

「ゲヘヘ。オイオイ、可愛い子ちゃんがこんな所で何してんだぁ?」
「あっ? 何だテメーら」
「何おじさん達? エリンに会えたんだから戦うのはまた今度にしてよ」
 いかにも悪人ですといった下劣な表情で近寄ってくる男達に、エリンは射竦めるような鋭い視線を、ソラウは拒否の姿勢を向ける。だが、ならずもの達はそれに構わずビームガンをいきなり発砲した。
「ヒヒッ、お持ち帰りだァ!」
 ターゲットにされたのはソラウ。世界の歌姫を目指す宇宙プリンセスも、このアポート・ビームが命中すればたちまちアジトに強制転移だ。邪な意図が見え透いた【スペース・お持ち帰り】に、ソラウは咄嗟に反応することができない。

『マスター、依頼中だよ』
「良し、ぶっ飛ばす!」
 だが、それよりも先にエキドゥーマの助言を受けたエリンは状況を瞬時に把握し、射線に割り込むと拳に「虹神炎覇気」のオーラを集め、アポート・ビームを弾き飛ばす。一瞬遅れて自分が護られたことに気付いたソラウは、ぱっと破顔して感謝を伝えた。
「ありがとう、エリン!」
 そして、その表情はすぐにならずものに対する怒りに変わる。戦場とはいえいきなりこんなユーベルコードを使ってくるなんて、性格が悪いにも程がある。元より情けをかけるつもりは無かったが、こうなったらもう容赦はなしだ。

「クズが、ソラウをわざと狙いやがって……」
「エリン、僕にもやらせて」
 キレ気味に殴りかかろうとするエリンを制して、ソラウはマイク機能付きの「時空騎士銃槍」を片手に歌い始めた。時空の力を操るクロノドラグマ星人である彼女の声は、真空の宇宙空間を直接震わせて周囲に歌を届ける。
「あっこいつら終わったわ」
『どうゆうこと、マスター?』
 その歌声を聞いたエリンは、何かを察したようにぽつりと呟き。ソラウの力を知らないエキドゥーマは首を傾げ、ならずもの共は「何歌ってやがる!」と叫びながら襲い掛かってくるが――その理由はすぐに明らかになる。

「だってソラウのユーベルコードって、自分が考えたことそのまま現実にするからな」

 ソラウが歌えば世界は檻となり、ならずもの共の武器や宇宙服は拘束着に変わる。自身の歌によって出来た空想を現実にする【歌姫の時空騎士の次元空間】の創造、それが彼女のユーベルコードだ。
「な、なんだァッ!?」「う、動けねぇ!」
 何も知らずに歌姫の世界に入ってきてしまった連中は、1人残らず身動きを封じられる。
 この世界では何もかもがソラウの思い通り。まるでライブ会場のように世界の中心で歌い続ける彼女を、敵はただ見ていることしかできない。

 ♪ さあ、前を向こう! 希望を持てば力宿る。共に立ち向かおう!

 明日への希望に満ちあふれたソラウの歌は、味方には勇気を与え闘志を鼓舞する。
 それを聞いているうちに、エリンも自分がパワーアップしているのを感じた。今ならこちらもユーベルコードの力を存分に振るうことができそうだ。
「時空の間で手に入れた新たな力! 虹炎魔皇……変身!」
 【虹炎魔皇誕生】を発動した彼女の全身からは原子核融合レベルの究極破壊エネルギーが虹色の炎となって噴き出し、髪の色も虹色に、手足は漆黒の龍の四肢となり、背中に龍の翼が生えて羽衣と化す。これが"王"から"皇"に進化したエリンの新形態。全ての概念と自由を我がものとする魔皇だ。

「吹っ飛べ外道共!」
「グヘァッ!?」
 虹炎魔皇エリンはソラウの歌に合わせて宙を舞い、自由なる虹炎の力で真空に大気を作り出す。ギュッと拳に集められた空気は高密度の弾丸となり、凄まじい衝撃波でならずもの共を撃ち抜いた。
「吹きとばせ! ドーンとね!」
「ギャァッ?!」
 それに合わせてソラウも即興で作った詞を歌いながら空を飛び回り、ならずもの共を翻弄しながら電撃を浴びせる。奔放で可憐で美しく、だが決して触れることのできない圧倒的パワーが、敵を芯まで痺れさせた。

「トドメだ、行くぞソラウ!」
「うん!」
 ダメ押しの追撃としてエリンは神罰のパワーを空気弾に込め、メラメラと虹色に燃え上がらせる。
 同時にソラウは歌うのを止めて騎士の姿に変身し、騎士銃槍の先から電撃と衝撃波を敵に浴びせた。
「「な、なんだそりゃ……ウギャァァァーーーーッ!!!?!!」」
 檻に閉じ込められ、拘束されて身動きの取れないならずもの共は、神罰の虹炎空気弾に吹き飛ばされるか、時空騎士の雷撃に焼き焦がされるか――いずれにせよ跡形もない消滅という末路を辿った。怒らせた相手が悪かったと、後悔する暇さえも与えられずに。

「良し、片付いたな。お疲れ様ソラウ」
「やったねエリン! 悪い人達をやっつけたよ!」
 ならずものの一掃を確認してからユーベルコードを解除し、二人の猟兵は健闘を称えあう。
 それから遺された装備からデータを回収していると、ぽつりとソラウがエリンに話しかけた。
「……ありがとう、エリン。あの時、僕を時空の間から助けてくれて」
「ん? あの時の事か? 気にするな! 私も魔皇に進化出来たからな!」
 大変な事も過去にはあったかもしれないが、今はこうして頼もしい仲間として共に戦えている。
 それが何よりさと清々しく笑う虹炎の魔皇に、時空の歌姫は「ありがとう」と、もう一度感謝とともに微笑みを返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ワープゲートの修理を手伝おう。』

POW   :    新しいパーツを運ぶ。

SPD   :    新しいパーツを取り付ける。

WIZ   :    細かい部分の点検をして回る。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場で争いを扇動していた「ギャラクシー・ならずもの」を、無事に撃破した猟兵達。
 連中から回収したデータを元に分析を行った結果、今回の黒幕であるスペース・ジェノサイダーの秘密要塞の所在は明らかとなった。
 あとは要塞に乗り込んでジェノサイダー本人を倒すだけ――なのだが、ここで一つの問題が立ちはだかる。

「あの宙域に行きたい? 済まないが、そこに移動するためのワープゲートが故障中でな……」

 秘密要塞から最も近い距離に転移できるワープゲートは、戦争に巻き込まれたダメージによって破損し、現在修理中だというのだ。
 この広大なスペースオペラワールドにおいて、ワープゲートなしでの星間移動は至難の業だ。何百や何千光年という途方もない距離を、普通に飛んで移動するのは現実的ではない。

 ここは猟兵達も修理に手を貸して、一刻も早くワープゲートを復旧させるしかないだろう。
 協力を申し出ると、修理を担当していた技士達は大いに歓迎してくれた。

「ありがたい! 正直、宇宙猫の手も借りたいところだったんだ」
「必要なパーツを運ぶだけでも一苦労でな。なんだって助かるよ」

 具体的な修理の方法は技士達が教えてくれるため、猟兵は基本的にその指示に従って動けばいい。
 手先の器用さを活かしてパーツを取り付けたり、力持ちなら新しいパーツを運んだりするのが主な仕事になるだろうか。科学知識のある猟兵であれば、その頭脳を活かしてゲートの点検や修理を手伝うことも出来るだろう。

 敵の本拠地に向かう唯一の手段というだけでなく、ワープゲートはこの世界のインフラを支える重要な設備だ。
 様々な意味でウロボロス銀河の明日を守るため、猟兵達はさっそく修理に取り掛かった。
黒影・兵庫
(「この世界で一番大事なワープゲートを壊した後も戦争を継続するなんて扇動されたとしてもちょっとどうかと思う…」と頭の中の教導虫が呆れかえる)
むぅ、せんせー!オブリビオンが煽らなきゃこんなことになっていなかったんですよ!
(「はいはい、悪かった!ごめんなさい!ほらサッサと直してオブリビオンをぶちのめしに行きましょ!」)
はい!ではUC【身中の蟲】で工作兵の皆さんをお呼びして修理に必要な資材を沢山『運搬』していただきましょう!
(「黒影はサボり?」)
失礼な!俺も『念動力』で荷物運んだりしてちゃんと働きますよ!



(この世界で一番大事なワープゲートを壊した後も戦争を継続するなんて扇動されたとしてもちょっとどうかと思う……)
 これでは自分達から破滅の道をひた走っているようなものではないかと、兵庫の頭の中でスクイリアが呆れかえる。教導虫となった今でも優れた知性と理性を持つ彼女からすれば、このウロボロス銀河の者達の行為はひどく愚かしいものに見えるのだろう。
「むぅ、せんせー! オブリビオンが煽らなきゃこんなことになっていなかったんですよ!」
 それに反論するのは兵庫。確かに戦争自体はこの銀河の人々が犯した過ちかもしれないが、争いを利用して人々を扇動し、破滅への道を舗装したのはスペース・ジェノサイダーの仕業だ。その事実をさて置いて被害者である彼らをあまり責める気にはなれない。

(はいはい、悪かった! ごめんなさい!)
 こういう時の彼が頑固なのを知っているスクイリアは、早々に自分が折れることにした。
 今はスペース・ジェノサイダーを倒すのが最優先という点では彼女も異論はない。早く戦争を終わらせたいのなら、ここで師弟で言い争っている時間は無いはずだ。
(ほらサッサと直してオブリビオンをぶちのめしに行きましょ!)
「はい! では工作兵の皆さんをお呼びして、必要な資材を沢山運搬していただきましょう!」
 兵庫はそう言って【身中の蟲】を発動。スペースオペラワールドの住民に擬態した人型昆虫の群れを召喚し、運搬作業に当たらせる。彼らは戦闘力こそ無いものの、こうした各世界に溶け込んでの工作活動においては無類の有能さを誇る蟲達であった。

「工作兵の皆さん! 手筈通りにお願いします!」
 兵庫の指示のもとで工作兵達は資材置き場と修理現場を往復し、必要な資材を運び出していく。
 その一糸乱れぬ統率はさながらアリの行列だろうか。ワープゲート修理に従事してきた技士達も、これには思わず舌を巻いた。
「へえ、大したもんだ!」「こりゃ有り難い!」
 彼らの参加によって作業効率は劇的に向上し、修理完了までの予定は大幅な繰り上げとなる。
 仕事熱心な連中を見ていると他も気合いが入るのか、技師達のほうもやる気が出ているように感じられた。

(黒影はサボり?)
「失礼な! 俺もちゃんと働きますよ!」
 もちろん兵庫も工作兵に指示を出しているだけではなく、自分の手でもできる限りの仕事をする。
 念動力を使えば人力では持ち上げられないような重たい荷物も運べるし、運搬速度もスムーズだ。普通の作業員数人分の働きは余裕でこなしていけるだろう。
「兄ちゃんもありがとうな!」「これなら大分早く修理できそうだ!」
「お安い御用です! 皆さんも頑張ってください!」
 大きな資材をひょいと宙に浮かべながら、常に元気で丁寧な態度で働く兵庫。その姿は場の雰囲気も良くするようで、作業員達の表情も明るい。
 何もかもが破壊されていく戦争の最中でも、それを復興させ未来に繋げようという前向きな人々の想いは、まだ銀河から失われてはいないようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
ワープゲートの修理か。楽しそう!ワープゲートの技術が少しでもわかったら嬉しいな。

エレクトロレギオン!カーゴ型自動走行戦闘機械で次々と運びながら、修理方法を教えてもらうよ。

ふむふむ。ということは、こことここを繋いで、情報を送ってるんだね。ということは、ここはこうすればいいのかな?

信頼を得たら、より重要なところの作業をまかせてけれたりしないかな?メカニックも操縦もハッキングも自信あるよ。



「ワープゲートの修理か。楽しそう!」
 超科学の発達したスペースオペラワールドにおいても、オーバーテクノロジーであるワープ技術。善竜スターゲイザーがもたらしたと言う未知の技術の結晶に触れられる機会に、アリスは喜んで飛びついた。
「ワープゲートの技術が少しでもわかったら嬉しいな」
 スペースシップワールドにもワープ技術は存在したが、こちらのワープゲートとは別物なのか、それとも同じなのか。全部分かるとは思わないが、知りたいことは山ほどある。好奇心で目を輝かせながら、彼女はさっそく修理の手伝いに取り掛かった。

「エレクトロレギオン!」
 アリスのユーベルコードが喚び出したカーゴ型の自動走行戦闘機械は、修理に必要な資材を次々に積み込んではワープゲートに運んでいく。最大で600機以上も同時召喚可能な彼らに任せれば、運搬の人手が足りなくなることはあるまい。
「まずは、この基盤をここに取り付けてだな……」
「うんうん、なるほど」
 その間にアリスは技士達からワープゲートの修理方法を教えてもらう。極めて高度な超技術の産物にしては、その手順はそこまで難しいものではない。誰がどうやって作った物かは分からずとも、その使い方と直し方については熟知されているようだ。

「ふむふむ。ということは、こことここを繋いで、情報を送ってるんだね」
 情報妖精であるアリスは驚くべき学習速度でワープゲートの修理方法を覚え、ゲートの構造について理解を進めていった。やがて1から10まで説明されなくても、率先して手を動かせるようになる。
「ということは、ここはこうすればいいのかな?」
「おお、呑み込みが早えじゃねえか!」
 最初は子供だからと甘く見ていたところもあった技士達も、これには感服するしかない。
 皆の信頼を得た彼女は、より重要なところの作業を任せては貰えないかと頼んでみる。

「メカニックも操縦もハッキングも自信あるよ」
「大したやる気だな!」「いいだろう、やってみな!」
 その熱意を買われたアリスは望み通りに重要区画の整備に回され、監督付きではあるもののワープゲートの仕組みを存分に観察する機会に恵まれた。巨大建造物の内側に秘められた膨大なテクノロジーを、彼女は作業の合間に可能な限り解析していく。
「へえ、ここはこうなってるんだ。すごいな」
 物語から摂れる栄養素とは別物だが、こうした情報も彼女の脳を喜ばせるには十分なようで。
 テキパキと手を動かして修理を進めていく情報妖精の表情は、とても充実した笑顔であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ふうん、なるほどね。機械の事なら役に立てるかも」
 そう言ってワープゲートの修理現場にやって来たのは雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)。戦巫女にしてUDCメカニックでもある彼女は、異世界の未知の機械にも気後れする事なく、修理の協力を買って出た。
「いかにもSFみたいで、ちょっと楽しそうだし」
 多趣味かつ興味のある事にはとことん頑張り、どんな状況でも真面目に取り組むのが彼女の美点だ。スペース・ジェノサイダーとの戦いに向かう猟兵達を送り出すサポートとして、意気込みも十分で作業に取り掛かる。

「私は何をしたらいい?」
「そうだなあ。じゃあこのパーツの取り付けを頼んでいいか?」
 かすみが尋ねると技士の男は修理用の部品を見せて、ワープゲートの頂上付近を指さした。
 宇宙船を丸ごと転送する事も可能なワープゲートは、塔と見紛うほどの巨大建造物。修理のためには時には高所での作業を行う必要もあり、それには当然危険が伴う。
「俺達の足じゃああそこまで昇るのも一苦労でなぁ」
「それならお安い御用だよ」
 かすみは朗らかにそう言ってパーツと見取り図を受け取ると、【天を駆ける不屈の魂】を発動。眩しく輝く後光を放ちながら宙に飛び上がると、そのまま重力を無視して驚くべきスピードで高度を上げていく。

(これも悪いオブリビオンを倒すためなら、正義の行いって事だよね)
 胸に秘めたる正義感を力に変えて、流星の如く飛翔するかすみ。あっという間に目的の現場まで到達した彼女は、見取り図を元に破損したパーツを交換し、新しいものに付け替えていく。
「これでいいかな?」
『おお、バッチリだ!』
 交換が終わるとカチリと音がして、何かが動きだした気配がする。どうやら今のはゲートに動力を伝達する回路のひとつだったらしい。通信機を通じて技士達の喜びの声が聞こえてくる。

「まだ仕事はある? なんでも言ってね」
「じゃあ、次はこいつを頼む!」
 地上に戻ってきたかすみは明るく朗らかな笑顔で皆に呼びかけ、率先して作業に取り組む。
 誰に対しても別け隔てなくフレンドリーな彼女に感化されてか、現場の雰囲気も明るくなった気がする。その影響もあってか、ゲートの修理は当初の予定よりも順調に進むのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポーラリア・ベル
ワープゲートだわ!ワープゲート!
うまく活用して気になる人に好きなだけアイス送れたりしないかしら!

ポーラ、機械の事よくわかんないから、カビパンお姉ちゃん(ユーベルコード)と一緒にまったりしてるわ。
ふぇあー!カビパンお姉ちゃんがカレーうどん鍋を煮込み始めたわ!ワープゲートのパーツをコンロ代わりにして!
なんかこの個所鍋が煮えるくらい熱いみたい(故障個所)
ふぇあー!今度は飲み物探しに行ったわ!
……冷蔵庫探してる内にちょっと躓いて工具落っことしちゃったら、当たったパーツがいきなり壊れたわ!
老朽化してた個所みたい!

そんな感じのノリでまったりしながら、どんどんワープゲートの悪い所を見つけていくよ。



「ワープゲートだわ! ワープゲート!」
 SFの代名詞とも言えるオーバーテクノロジーの産物を見上げて、大いにテンションを上げているのはポーラリア。遥か数万光年先まで一瞬で人や物を転送できる、この装置があればいろんな事ができるだろう。
「うまく活用して気になる人に好きなだけアイス送れたりしないかしら!」
「がはは、良いなそりゃ!」「運んでる間に溶ける心配がねえや!」
 冬の妖精らしい無邪気な提案に、技士達からも笑みが溢れる。だが、このワープゲートはまだ故障中。アイスを送るにせよオブリビオンの基地に向かうにせよ、まずはこれを修理しなければ話は始まらない。

「ポーラ、機械の事よくわかんないから、カビパンお姉ちゃんと一緒にまったりしてるわ」
 この手の機械いじりに詳しくないことを自覚しているポーラリアは、【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】で再召喚したカビパンとふたり、特に応援するでもなくダラダラしながら修理の様子を見守っていた。
「ふぇあー! カビパンお姉ちゃんがカレーうどん鍋を煮込み始めたわ!」
「おいおい、何やってんだよ」「後で俺らにも食わせてくれよ!」
 その程度ならば邪魔にならない限りは技士達も気にしない。ちょうどこの惑星の気候は秋から冬に差し掛かる時期で、あったかい鍋はむしろ歓迎される向きもあった――それを作るためにカビパンが使っている"調理器具"を確認するまでは。

「ワープゲートのパーツをコンロ代わりにして!」
「いや何やってんだよ!」
 ゲートを利用して煮込み料理を作る人間は、宇宙広しと言えどもそうはいないだろう。
 技士達が豹変して駆けつけてくると、ポーラリアは「ほら!」と平然とした様子でカビパンの調理現場を指差す。
「なんかこの箇所鍋が煮えるくらい熱いみたい」
「なんだって? そんな筈……うわっ、マジだ!」
 言われて技士達が確認してみたところ、確かに異常なレベルでの加熱が起こっている。恐らくは冷却機能のエラーかエネルギーの漏出が原因だろう。彼らも気付いていなかったと言うことは、どうやら見落とされていた故障らしい。

「いや、これは放置したままだと危なかったな」
 図らずしもカビパンの奇行によって故障箇所が見つかったわけだが、当の本人はそんな事は気にしたふうもなく、熱したままのお鍋を放置して「よっこいしょ」とどこかに歩いていってしまった。
「ふぇあー! 今度は飲み物探しに行ったわ!」
「ねえ、冷蔵庫どこ?」
 ポーラリアが後を追いかけると、カビパンは冷えた飲み物を求めて辺りをウロウロ。この辺りは修理用の資材などが散らばっていて、結構危ない所なのだが――と、誰かが注意する間もなく、彼女は蹴っ躓いて足を滑らせた。

「あだっ!」
「カビパンお姉ちゃーん!」
 軽くすっ転んだ拍子に近くにあった工具がワープゲートに落っこちる。すると当たった箇所のパーツがいきなりバチッ! と火花を散らして動かなくなった。それを見た技士達は仰天するが――。
「おいおい、何やってくれてんだ!」「いや待て、いくらなんでもあの程度で普通壊れたりするか……?」
「老朽化してた箇所みたい!」
 ひょいとポーラリアが壊れたパーツを拾い上げると、それは錆が浮いてボロボロになっていた。今壊れなくても近い内にダメになっていただろう。むしろ修理が終わるまで発覚しなければ、大きなトラブルの元になっていたかもしれない。

「こりゃあ今壊れてくれて良かったかもな」「怪我の功名ってやつか……」
 またもや偶然にも問題点を見つけることができた技士達は、すぐに修理に取り掛かる。
 ポーラリアとカビパンはそれを眺めつつも、相変わらずのノリでまったりする過程で"偶然"にもワープゲートの悪い所をどんどん見つけていった。
「カレーうどん鍋、いただきまーす……あっ、お汁零しちゃった。なんかバチバチし始めたけど」
「おおっと、そこも故障してんのか! 見せろ!」
 そんな感じで本人らは意図しないまま、結果的にワープゲートの修理に貢献しまくり。
 鍋が空っぽになる頃には、すっかり故障箇所が洗い出され、完璧に復旧したゲートがそこにはあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『スペース・ジェノサイダー』

POW   :    ジェノサイダー・テンタクル
【背中から伸びる触手】で触れた敵に、【虐殺振動波】による内部破壊ダメージを与える。
SPD   :    ジェノサイド・スクワッド
【宇宙空間もしくは戦場となっている惑星】の龍脈から1〜12体の【虐殺宇宙怪獣】を召喚し、【ジェノサイダー光線】で戦わせる。[ジェノサイダー光線]の威力は召喚数分の1に減衰する。
WIZ   :    ジェノサイド・テレキネシス
自身の【虐殺念力】を籠めた【背中から伸びる触手】を用い、通常移動と同速度で地中を掘り進む事ができる。装甲破壊にも使用可能。

イラスト:せつ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の協力によって、破損したワープゲートの修理は予定よりもずっと早く完了した。
 技師たちに感謝と別れを告げて、一同は復旧したゲートをくぐる。その行き先となる宙域にこそ、諸悪の根源「スペース・ジェノサイダー」の秘密要塞があるのだ。

 ならずもの共から奪取したデータを頼りに、転送ポイントから移動すること暫し。
 デブリや小惑星の密集する暗証宙域に隠されたその要塞へと、猟兵達は突入する。

「侵入者ですって? 一体誰が……まさか、あなた達は!」

 予想だにしなかった襲撃を受け、要塞の主たるスペース・ジェノサイダーは驚きの声を上げた。
 だが、流石に彼女も並のオブリビオンではない。すぐに状況を把握すると、新しい獲物を見つけた眼で、残虐な笑みを口元に浮かべた。

「まさかこの要塞を突き止められるとはね。でもいいわ、計画が上手くいきすぎて少し退屈していた所だから」

 彼女はこれまでにも数々の惑星で虐殺を繰り広げてきた、邪悪なる侵略宇宙人。
 星間戦争を扇動し銀河の住人を滅ぼすという計画は、これまでの所順調に進んでいた。力だけでなく頭脳においても優秀と言えるだろう。だが、彼女は己の能力全てを破壊と殺戮のみに利用する。それこそが彼女にとって至上の快楽なのだ。

「あなた達を皆殺しにすれば、この銀河の戦争を止められる者はもう居ない……計画の仕上げとして、派手にブッ殺してあげるわ!」

 可憐な容姿に似合わぬ醜悪な本性をさらけ出し、蛸の如き触手をうねらせるジェノサイダー。
 その言葉は確かに事実。だが逆に、ここで彼女を倒すことができれば、銀河規模での絶滅戦争という最悪のシナリオは回避できる。

 負けられない使命を背負って、各々の戦闘態勢を取る猟兵達。
 ウロボロス銀河の命運をかけた戦いは、ここにクライマックスを迎えようとしていた。
アリス・フォーサイス
虐殺なんてさせないよ。この世界の人たちには、壮大な味のする、美味しいお話を作ってもらうんだから。

ブライダールに乗って戦うよ。ビットの光線で相手を牽制しつつ、大鎌で真っ二つにしていくよ。

流れるように動きながら、ジェノサイダーちゃんに迫っていくよ。ビットの光線に気をとられた隙を狙って、大鎌を一閃だ。



「虐殺なんてさせないよ。この世界の人たちには、壮大な味のする、美味しいお話を作ってもらうんだから」
 殺意を露わにする「スペース・ジェノサイダー」に対して、希望にあふれた顔でそう言い返したのはアリス。ここで銀河の人々を皆殺しにされたら、彼らが紡ぐはずだった物語も未完に終わってしまう。命をかけて立ち向かうには十分すぎる理由だった。
「心配しなくてもいいわ。今からあなたの物語にピリオドを打ってあげるから!」
 スペース・ジェノサイダーは悪辣な笑みでそう言うと、【 ジェノサイド・スクワッド】を発動。宇宙を流れる龍脈から巨大な宇宙怪獣を喚び出し、ただ一言「殺せ」と命じる。彼奴らは純粋なる宇宙の虐殺者、ただ眼前にある生命を殺し尽くすためのものだ。

「幸福を届けに来たよ」
 対するアリスは純白のキャバリア「ブライダルベール」を再び乗機として立ち向かう。魔力の翼を広げて縦横無尽に飛翔する本機には、白い花びらを模したビットが付き従い、光線を放って敵を牽制する。
『オオォォォォォォッ!!』
 小賢しいとでも言うかのように、虐殺宇宙怪獣は咆哮と共にこちらもビームを放つ。生命殺戮のパワーを宿した「ジェノサイダー光線」は、直撃すれば猟兵であっても命を落としかねない。もっとも、それは直撃させられればの話だが。

「当たらないよ、そんなの」
 機動力に長けた【戦場の白い花】は、アリスを乗せてジェノサイダー光線をかい潜り、宇宙怪獣の懐まで肉迫する。そして手にした大鎌を振り下ろせば、魔力の光刃によって異形の肉体は真っ二つとなる。
『ギャオオォォォォッ!!』
「なっ……! やるじゃないの!」
 配下が一匹倒されたことでジェノサイダーは僅かに動揺し、残る宇宙怪獣達による集中攻撃を仕掛けさせる。だが、放たれる光線の威力は斃れた怪獣1体分減衰しており。その差がアリスにとっての好機となる。

「次はきみの番だよ」
 ビットによる牽制を織り混ぜて、流れるように動きながら、ジェノサイダーに迫っていくブライダルベール。浮遊する花弁が標的を射程に捉えた瞬間、美しい純白の煌めきが矢のように放たれる。
「くっ! この程度ッ!」
 ジェノサイダーは咄嗟に触手を使って光線を弾き返すが、防御に気を取られた一瞬の隙をアリスは見逃さなかった。ビットからの攻撃はあくまで囮――本命の一撃を叩き込むための布石だ。

「貰ったよ」
「しまっ……ぐあぁッ!!?」
 最高速度で突っ込んできたアリスのブライダルベールが、死神の如く大鎌を一閃する。
 回避できる速度、防御できる威力ではない。斬り裂かれたジェノサイダーの身体からは鮮血が吹き出し、同時に切り落とされた触手の一部がびたんびたんと地面をのたうつ。
「やってくれるじゃない……!」
 ただ虐殺されるだけの獲物ではないところを示した猟兵に、虐殺宇宙人は歪んだ笑みを見せる。
 敵もこの銀河を滅ぼさんとした大物オブリビオン。痛手とはいえこの程度で倒される気はないようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
ソラウf38698と共闘
死ぬのはてめぇだ!蛸!
『そういう問題じゃないと思うよ』
【情報収集・視力・戦闘知識】
状況把握して触手はオーラ防御と焼却で防ぎ、シールドバッシュでカウンターだ!
(UC発動し、未来を見る)
なるほどこいつはこのあとソラウを人質にしようとしているな…
エキドゥーマに邪魔されてブラッドムーンに追撃される未来に改変っと
奴はソラウを人質にしようとするが…
『私がいるのに馬鹿だね』マヒ攻撃とハッキングで動きを止めて
『ドウモ、ヤサシイジンカクシャデス!』衝撃波と神罰と電撃で吹き飛ばす
空想の力で罠を作る
拘束された奴に私は告げる
お前の未来は破滅だじゃあな蛸女!
オラオラオラオラ!ぶん殴って終わりだ!


ソラウ・エクステリア
エリンf38063と共闘
行くよ!おばさん!
情報収集と視力と戦闘知識で状況把握だ!
前に油断して足を引っ張っちゃったから気を引き締めるよ!
音響弾と衝撃波!相手を怯ませた!

『そ〜らよ』念動力と焼却で攻撃するライズサンと
『これでどうかしら!』
斬撃波と電撃を放つエミリアーノがおばさんを攻撃する

ん〜おばさん僕を人質に取ろうとしてるな…結界術貼っておこう
あっやっぱり
でも動きが止まり結界にぶつかってブラッドムーンさんに攻撃された
時空転身!これがクロノドラグマ星人の変身能力だ!
雷鳴電撃!喰らえ!
敵は痺れて吹き飛ばされた挙げ句罠に捕まったようだ
エリンが止めを刺そうとしているので
僕も一緒に電撃を放ったのだった。



「死ぬのはてめぇだ! 蛸!」
「行くよ! おばさん!」
 勇ましく、そして挑発的な態度で「スペース・ジェノサイダー」に向かって言い放つのは、エリンとソラウの二人。『そういう問題じゃないと思うよ』とエキドゥーマがツッコミを入れるがお構いなしだ。銀河を滅ぼそうとする邪悪な宇宙人に礼儀や情けは不要である。
「蛸だのおばさんだの、好き勝手言ってくれるわね」
 笑いながらも若干の怒りを声に滲ませて、ジェノサイダーは背中から触手を伸ばす。蛸のそれに似た彼女の触手はよく見れば微細な振動を行っており、この虐殺振動波に触れた生命や物質は内部から粉々に破壊されてしまうのだ。

「ようは触れなきゃいいんだろ!」
 エリンは「虹神炎覇気」のオーラを身に纏って【ジェノサイダー・テンタクル】を防ぎ、オーラの盾を叩きつける反撃で触手を焼却する。言動からして血気に逸るかと思いきや、彼女は冷静に状況を把握していた。
「前に油断して足を引っ張っちゃったから気を引き締めるよ!」
 一方のソラウも前回と同じミスはするまいと、しっかり敵の動きを見極めて対応する。
 触手を操る本体に狙いを合わせて、騎士銃槍から音響弾と衝撃波を発射。要塞内部に反響する轟音が、僅かながらも相手を怯ませる。

「くっ……?!」
『そ~らよ』『これでどうかしら!』
 触手の動きが止まった隙を突いて、ソラウに付き添う二体の時空龍が反撃に打って出る。
 念動力と火炎放射で攻撃するライズサンと、斬撃波と電撃を放つエミリアーノ。数多の星々で虐殺を繰り返してきた侵略宇宙人は、まさに彼らが倒すべき宇宙の秩序の敵だ。
「なかなかやるわね……だったら!」
 この攻撃で手傷を負ったジェノサイダーは、1人では分が悪いと考えたか【ジェノサイド・スクワッド】を発動。宇宙の龍脈から数体の虐殺宇宙怪獣を召喚し、数の暴力で猟兵達を圧倒せんとする。

「虹の聖炎……解放!」
 これに対抗するようにエリンは【虹炎天魔皇】を発動し、背中に赤色の翼を、額と左右に禍々しい角を生やした聖魔皇の姿に変身する。この形態となった彼女は自由と空想の力を自在に操り、未来を見通す予知能力を得る。
(なるほどこいつはこのあとソラウを人質にしようとしているな……)
 その能力によって彼女が見たのは、暴れまわる宇宙怪獣を囮にして、ソラウを捕らえるジェノサイダーの姿だった。ただの力押しかと思いきやタチの悪い事を考えていたものだ――エリンは即座に聖魔皇の力を以って、その未来を"改変"する。

(ん~おばさん僕を人質に取ろうとしてるな……結界術貼っておこう)
 標的にされたソラウの方も敵の狙いにはピンときたらしく、事前に対策を取りつつ騎士銃槍で宇宙怪獣と戦う。砲火が轟きビームが飛び交う、この乱戦に乗じて人質の確保を狙っていたのだろうが――。
『私がいるのに馬鹿だね』
「えっ? きゃぁっ!」
 密かに移動するジェノサイダーの前に立ち塞がったのはエキドゥーマ。ハッキング能力によって要塞内のシステムを一部掌握し、スマホからの放電と合わせて邪魔をする。思わぬ攻撃を食らった敵の、面食らった悲鳴が戦場にこだまする。

「あっやっぱり」
『ギャハハ!』
 エキドゥーマのマヒ攻撃によって動きが止まったジェノサイダーは、ソラウの張った結界にぶつかってブラッドムーンの追撃を受ける。この結果は、本来なら囚われるはずだった未来の流れをエリンが変えたことで導き出されたものだ。
『ドウモ、ヤサシイジンカクシャデス!』
「くぅッ?! ど、どの口が……!」
 神罰の力を宿した電撃と衝撃波が、ジェノサイダーをソラウの元から引き離す。あえなく作戦が失敗に終わった敵は、悔しげに体勢を立て直そうとするが――もはや彼女に反撃のチャンスは訪れない。

「時空転身! これがクロノドラグマ星人の変身能力だ!」
 【時空転身・ライトニング・エクステリア】を発動したソラウは、稲妻を纏った豪雷時空龍の姿に変わる。クロノドラグマ星人にはそれぞれ固有の変身形態があり、彼女の場合はその見た目の通り、我が身を雷そのものとして電撃を操る能力に長けていた。
「雷鳴電撃! 喰らえ!」
「きゃぁッ!!!?」
 目も眩むほどの閃光と鼓膜をつんざく轟音。ジェノサイダーが人質にしようとした娘は、とうてい彼女の手に収まるような相手ではなかった。凄まじい雷撃に吹き飛ばされた敵は要塞の壁にぶつかり、丁度そこに仕掛けてあったトラップに拘束される。

「な、何故こんな所にトラップが?!」
 本来ならこの要塞にこんな罠はない。要塞の主であるジェノサイダーでさえ把握していないそれは、エリンが空想の力で作り上げたものである。未来を見て、仲間の攻撃で敵が吹き飛ばされる場所に、あらかじめ罠を設置しておいたのだ。
「い、いったい何が……!?」
「相手が悪かったな」
 次々に起こる予期せぬ出来事に、ジェノサイダーの理解は追いつかない。ただ一人この絵図を思い描いていた虹炎天魔皇エリンは、ニヤリと笑いながら拘束された敵に告げる。

「お前の未来は破滅だ。じゃあな蛸女!」
「やるんだねエリン。なら僕も!」
 虹色の炎を拳に込めて突っ込んでいくエリンを見て、轟雷時空龍ソラウも一緒に電撃を放つ。
 虹炎龍と時空龍、2つのパワーによる同時攻撃が、動けないジェノサイダーに叩き込まれた。
「オラオラオラオラ!」
「これでどうだ!」
「や、やめ……キャァァーーーッ!!!?」
 ど派手に殴り飛ばされたジェノサイダーの身体は高々と宙を舞い、要塞の天井に激突。
 無重力空間に血飛沫が飛び散り、甲高い絶叫は要塞の何処にいても聞こえるほどに響き渡った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
イカかタコみたいなのが現れたわ!流石宇宙!海だわ!
怖い触手が来たのだわ!退避させて!カビパンお姉ちゃーん!(ユーベルコード)(カビパンの着物の中へ)

伸びた触手が絡まったわ!
ポーラの隣にいた宇宙一般通行人スペースヤーマダさんの飼ってる宇宙イグアナに!(おどろかす
伸びた触手が絡まったわ!
ポーラの後ろから追いかけてきた1章のギャラクシー・ならずものさんの残党に!(敵を盾にする
伸びた触手が絡まったわ!
2章でカレーうどんのお礼にもらった、壊すと爆発するスペースシップのエネルギータンクに!(おどろかす

カビパンお姉ちゃんの幸運力を舐めちゃいけないんだからー!
(勝ち誇りながらごろごろし



「イカかタコみたいなのが現れたわ! 流石宇宙! 海だわ!」
 そう言ったポーラリアの視線の先は、スペース・ジェノサイダーの背中でうねうねと動く触手に向けられていた。星の海だからといって海産物が捕れるわけではないのだが、その無邪気な発言は敵に対するいい挑発になったようだ。
「この私を軟体動物扱いとはね……いい度胸じゃない、グチャグチャにしてやるわ!」
 虐殺念力【ジェノサイド・テレキネシス】を込めた触手を伸ばし、獲物を捻り潰さんとするジェノサイダー。あれに絡みつかれれば頑丈な装甲を持つウォーマシンであろうと一捻りだろう。小さなフェアリーに至っては言うまでもない。

「怖い触手が来たのだわ! 退避させて! カビパンお姉ちゃーん!」
「えっ、私?」
 ポーラリアはまたもや【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】で喚び出したカビパンの着物の中にもぐりこみ、難を逃れようとする。が、もともと戦闘では役立たずに等しい彼女を当てにしたところで、安全が確保されたとは言えない。
「それで隠れたつもり? 一緒に捻り潰してやるわよ!」
 残虐な笑みを浮かべて触手を伸ばすスペース・ジェノサイダー。基本ダラダラしていたいカビパンがそれを避けられるはずは勿論なく、このままでは念力でミンチになる数秒前――。

「ウギャー!」
「はっ? なによコイツ!」
 だがその瞬間、カビパン&ポーラリアと触手の間に割り込んできた別のモノが、身代わりとなって攻撃を受ける。まさかのタイミングで邪魔をされたスペース・ジェノサイダーは、それを見て素っ頓狂な声を上げた。
「あなたはポーラの隣にいた宇宙一般通行人スペースヤーマダさんの飼ってる宇宙イグアナ!」
「なんでこんな所を通行人がいるのよ! ペット付きで!」
 カビパンを召喚する時に一緒に呼び寄せてしまったのだろうか。秘密要塞に突如として現れた宇宙イグアナのおかげでポーラリアは辛くも難を逃れる。だが敵の触手は一本ではなく、即座に次の攻撃が伸びてきて――。

「ゲヘヘ、スキありぃ……うぎゃーーーッ?!」
「あ、あなたはギャラクシー・ならずものさんの残党!」
 だがしかし、今度はポーラリアの後ろから追いかけてきたならずものが、不運にも触手の身代わりとなってしまう。どうやら戦場で(ある意味)ヒドい目にあわされた恨みを晴らすために付け狙っていたらしいが、逆にもっとヒドい目にあうとは思わなかっただろう。
「ああもう、なんでまた邪魔が……!」
 もはや用済みとなった配下をグシャリと握り潰してから、スペース・ジェノサイダーは再三触手を伸ばす。しかし、そのたびに違う邪魔者が割り込んできて攻撃を防いでしまう。あまりにも都合の良すぎる偶然によって、カビパンとポーラリアには傷ひとつない。

「ええいっ……なによこれ??」
「それはカレーうどんのお礼にもらった、壊すと爆発するスペースシップのエネルギータンク!」
 今度こそはと伸ばした触手は、カビパンの懐から転がり出てきた小型のタンクを絡め取る。
 ポーラリアの丁寧な説明の通り、それは乱暴に扱ってはいけない危険物。間違っても虐殺念力をこめた触手で力一杯握ったりしちゃダメなやつである。
「ちょっ……なんても持ってんのよーーーッ?!!!」
 勢い余ってタンクを握りつぶしてしまったスペース・ジェノサイダーは、溢れ出したエネルギーの爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。こんな随分と物騒な代物を持ち歩いていたとは思わなかったのだろう――戦闘中に誘爆したらどうする気だったのか。

「カビパンお姉ちゃんの幸運力を舐めちゃいけないんだからー!」
 常識を飛び越えた理不尽レベルの幸運に護られたポーラリアは、勝ち誇りながらカビパンの着物の中でゴロゴロする。戦闘では純粋な役に立たずとも、この悪霊雪女の存在は必ずカオスを生み出す。彼女はそれを見事に活かしきったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
お前のせいで一体どれほどの犠牲者がでたと思ってるんだ!
(「落ち着きなさい黒影。怒ったところで逆に相手を喜ばせるだけよ」と頭の中の教導虫が窘める)
ぐっ…!はい、せんせー…
(「そう。それでいいわ。さて、どう戦う?」)
まずは{蜂蜜色の靄}を纏い『オーラ防御』を行いながら敵に突撃します!
(「まだ冷静になれていないの?接近戦じゃ手数の多い敵の方が有利よ?」)
いえ!俺は冷静です!せんせー!
敵も接近戦を仕掛けられるとは思っていないでしょう!
そんなことをする奴はバカだと!
(「油断を誘うわけね?」)
はい!隙をついてオーラ防御で作ったバリアを『防具改造』して檻にして
閉じ込めた後にUC【煉獄蛍】で燃やしてやります!



「お前のせいで一体どれほどの犠牲者がでたと思ってるんだ!」
 いざ今回の事件の元凶と相対すれば、兵庫はこみ上げる怒りを抑える事ができなかった。
 このウロボロス銀河において、スペース・ジェノサイダーの陰謀によって失われた生命は万単位では足りるまい。さらにこの侵略宇宙人は、それ以前から数々の星で虐殺を繰り広げてきた、筋金入りの邪悪なのだ。
「ふふ、あなたは自分が食べた宇宙パンの数を覚えているのかしら?」
 その怒気を心地よさそうに受け止めて、ジェノサイダーは嗜虐的に嘲笑う。脆弱な生命が流星のようにぱっと光を放って散っていくのを見るのは、彼女にとって何よりの娯楽だった。そんな自分に怒り、立ち向かい、敗れていく者達の死に顔も。

「お前……!」
(落ち着きなさい黒影。怒ったところで逆に相手を喜ばせるだけよ)
 激昂して今にも殴りかかりそうな兵庫を、頭の中の教導虫スクイリアが窘める。敬愛する「せんせー」の言葉ではっと我に返った青年は、飛び出したい気持ちをぐっと歯を食いしばって抑え込んだ。
「ぐっ……! はい、せんせー……」
(そう。それでいいわ。さて、どう戦う?)
 感情のままに戦ったところで勝率は上がらない。敵は邪悪だが、それでも強大なオブリビオンに違いはないのだから。幸いにしてあちらは他の猟兵との戦いで深手を負っており、すぐに襲ってくる様子はない。短い猶予を有効に活かして、ふたりは脳内で作戦会議を行う。

(まずは蜂蜜色の靄を纏い、オーラ防御を行いながら敵に突撃します!)
(まだ冷静になれていないの? 接近戦じゃ手数の多い敵の方が有利よ?)
 兵庫があげた作戦概要は、スクイリアが首を傾げるものだった。敵は背中にある六本の【ジェノサイダー・テンタクル】を伸縮自在に操り、近付いてきた獲物を絡め取るだろう。何も考えずに突っ込んでくる者はただの愚か者だ。
(いえ! 俺は冷静です! せんせー! 敵も接近戦を仕掛けられるとは思っていないでしょう! そんなことをする奴はバカだと!)
 誰から見ても愚策だからこそ、敵もそう判断するに違いない。だからこそ意表をつけるだろうというのが彼の思惑だった。先程あれだけ怒っている姿を見せた後だからこそ、作戦だと見抜かれる可能性も低いだろう。

(油断を誘うわけね?)
(はい!)
 それならばと理解した教導虫に、そこから先の具体的な作戦を語る兵庫。リスクが無いわけではないが、十分に勝算を感じられる内容だ。どのみちこのレベルのオブリビオンを相手に、安全確実な勝ち方など無いだろう。
「なにを黙り込んでるのかしら? 来ないならこちらから行くわよ」
 この相談の間にスペース・ジェノサイダーも体力を回復したらしく、嗜虐的な笑みはそのままに触手をうねらせる。窮地に立たされてなおその態度には余裕が感じられ――逆に言えば、まだこちらを侮っているということだ。

(いいわ、作戦開始よ!)
「はい! せんせー!」
 脳内から聞こえる教導虫の号令と同時に、兵庫はだんっと床を蹴って走り出した。蜂蜜色の靄状のオーラで鎧のように全身を覆った上で、スペース・ジェノサイダーの元へと一直線に。
「馬鹿ね、そんな特攻が通じるとでも……!」
 ジェノサイダーは触手を伸ばして彼を捕まえ、虐殺振動波で内部から破壊してやろうとするが――靄に守られた兵庫はそれをくぐり抜けてさらに前に。脇目も振らぬ勢いで、一気に敵の懐に潜り込んだ。

「なっ……?!」
 侮りと油断から接近を許したジェノサイダーは、ここに来て始めて動揺を表情に見せた。
 この隙を突いて兵庫はオーラで作ったバリアを広げ、檻のように自分と敵を囲い込む。逃げられないように閉じ込めた後で、彼が発動するのは【煉獄蛍】だった。
「火計兵さん! 燃やし尽くしてください!」
 現れたのは蛍に似た軍隊虫の群れ。彼らが発する光は翠玉色の炎を発し、オーラの檻の中をたちまち火の海に変えた。森羅万象を焼き焦がす灼熱が、ジェノサイダーの身体にも燃え移る。

「馬鹿な、自分も死ぬつもり?!」
「いいや、燃えるのはお前だけだ!」
 煉獄蛍の発する炎の温度は任意で調節が可能。兵庫の周りだけ温度を下げてやれば、焼け死ぬ心配はない。激しく渦巻く翠玉の炎の中で、彼は決して逃すまいとオーラの檻に全力を注ぎ込む。
「馬鹿な……私が、こんな所で……あと、一歩だったのにぃぃぃぃぃ……!!!!!」
 己の敗北を信じられないまま、スペース・ジェノサイダーは骨の髄まで焼き尽くされていく。
 秘密要塞にこだました絶叫は、真空の宇宙ではどこにも届くことはなく。銀河滅亡を目論んだ悪しき侵略宇宙人の野望は、ここに潰えたのだった。



 ――かくして猟兵達の活躍によって、ウロボロス銀河の人類が滅びる未来は回避された。
 裏で暗躍していた黒幕の死によって、戦争も終息に近付くだろう。この銀河の人々がいつか「平和」を日常とすることを願って、猟兵達は帰還の途につくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年10月25日


挿絵イラスト