熾火は赫く昌盛・トランクィッロ
●錆びる赫
赤い鎧の巨人に意志はない。
兵器に意志などあっていいものではない。自由意志など不必要である。
故に赤い鎧の巨人に意志はなかった。
雲海がゆっくりと晴れていく。
「――」
自身の内側から溢れていた『拒絶の雲海』が喪われていく。
「――」
灯る瞳に輝きはない。
けれど、ゆっくりと首をもたげる。目の前にあったのは一体のゴーレムであった。
金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』と呼ばれたオブリビオンであり、この大空の世界であるブルーアルカディアをさまよっていた存在。
この邂逅に意味はない。
けれど、赤い鎧の巨人は動かない。
ゴーレムの瞳が輝き、目の前の赤錆びた鎧の巨人を黄金へと変える光線を放とうとした瞬間、対向5mの巨体が瞬時に腕を動かした。
いや、違う。
巨体の中心部が崩れ落ち、上下二つのパーツに分かれたかのように宙に浮かぶ。それはまるでひとつの巨大な顎がゴーレムを飲み込もうとしているようでもあった。
ゴーレムは、崩れ落ちた赤い鎧の巨人の中心に収まるように取り込まれ、まるで押し込められるようにカタチを変えていく。
捕食された、と言ってもよかったのかもしれない。
「……――」
赤い鎧の巨人は、ゆっくりと立ち上がる。赤錆びた装甲が剥離していく。
輝きなき|瞳《アイセンサー》が、火を灯す。
鋼鉄の鎧に刻まれた文字。
『Ⅵ』。
『それ』――其の名は『セラフィム』。
赤い鎧の巨人は名前を取り戻し、そして見上げる。天を、宙を。
「『戦いに際しては心に平和を』……」
それはまるで録音された音声を発しているようでもあった。男の声。
そして、かつて『セラフィム』と呼ばれた赤い鎧の巨人は、姿を変えていく。
異形なる腕。連なる天使の翼。頭部であろう部分のフェイスに浮かぶは人の如き口唇。
その口唇が震えるようにして音を発する。
「君は多くを知るだろう。君は多くを見るだろう。君は多く傷つくだろう――」
音は続く。
赤い鎧の巨人はすでに立ち上がっている。
異形なる体躯、それが|『遺骸兵器』《レリックウェポン》であることを証明している。
周囲に飛ぶは水晶の如き子機。
クリスタルビットと呼ばれた無数の水晶の子機が大空の世界に乱舞していた――。
●レリックウェポン
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。『アルカディア争奪戦』は無事に皆さんの勝利をもって幕を閉じました。ですが、未だブルーアルカディアにおいてオブリビオンの出現は止まっておりません」
これは『アルカディア』がオブリビオン・フォーミュラでなかったという証明でもあったことだろう。
あれだけの強大な力を持った存在ですらオブリビオン・フォーミュラではなかったのだ。
未だブルーアルカディアには解決しなければならない事件が山積しているということでもあった。
「皆さんは|『遺骸兵器』《レリックウェポン》をご存知でしょうか?」
ナイアルテの言葉に猟兵たちの中には頷くことのできる者もいただろう。
『遺骸兵器』――レリックウェポンと呼ばれる兵器の総称である。
天使戦争時代の大魔獣の骨、強大すぎるが故に自ら死の眠りを望んだ召喚獣の骸、大量の天使核を搭載された巨大な古代魔導兵器……それらをオブリビオンが『アルカディア争奪戦』で滅びた屍人帝国『オーデュボン』の皇帝『パッセンジャー』が接続されていた『オーデュボン無敵機械』の残骸を用いて制御しようとしているのだ。
「そのオブリビオンは『遺骸兵器』と融合を果たしていますが、逆に『遺骸兵器』に制御権を乗っ取られています」
強大すぎる力に翻弄されている、と言ってもいいだろう。
そのあり方はかつての『パッセンジャー』と酷似しているともいえる。
「このオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』のユーベルコードとは別に『遺骸兵器』としての攻撃をも行ってくるのです」
それは水晶のような子機によるオールレンジ攻撃。
無数の水晶は大空を埋め尽くさんばかりに展開されているのだという。
「アルカディア争奪戦の折、『アルカディア・スカイゲート』で雲海を吐き出し続けていた赤い鎧の巨人がどうやら『遺骸兵器』であったようなのです。これと融合したオブリビオンを打倒しなければ、ブルーアルカディアの浮遊大陸に被害が及ぶことでしょう」
どうかお願いします、とナイアルテは頭を下げて猟兵たちを送り出す。
目指すは再び、大空の世界。
雲海は未だ晴れず。
そして、過去の残滓が未だ世界の謎を覆い隠すように猟兵たちの道を、『今』を生きる人々の『未来』を妨げるのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はブルーアルカディアにおいて『遺骸兵器』、レリックウェポンと融合を果たしたオブリビオンとの戦いになります。
※これは2章構成のブルーアルカディアの戦後シナリオとなります。
●第一章
冒険です。
『遺骸兵器』である赤い鎧の巨人が存在する雲海すれすれに浮かぶ浮島へと至らなければなりません。
雲海スレスレの高度であるために危険なことは言うまでもありません。
さらに悪いことに周囲に点在する魔導機械『クリスタルビット』が周囲に飛び交い、皆さんの道行きを阻みます。
どうやら『天使核』を組み込まれた水晶のようであり、これを攻略しながら危険な道程を乗り越えなければなりません。
●第二章
ボス戦です。
金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』が『オーデュボン無敵機械』の残骸を用いて『遺骸兵器』である赤い鎧の巨人と融合しており、その強力な力をもって皆さんを排除しようとしています。
赤い鎧の巨人の体の中心に丸まるようにしてゴーレムは融合しており、自身のユーベルコード、そして『遺骸兵器』としての『クリスタルビット』の攻撃を同時に行ってきます。
オブリビオンさえ倒せば『遺骸兵器』は元の骸へと戻るでしょう。
それでは未だ見えぬオブリビオン・フォーミュラの影を負う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『暴走魔導機械』
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POW : 暴走する機械を破壊する
SPD : 組み込まれた天使核を取り外す
WIZ : 魔法的な解析を行う
イラスト:fossil
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルカディア・スカイゲート。
雲海の聖域の一つであり、かつては屍人帝国『オーデュボン』によって支配されていた空域である。
この空域に一つの浮島があった。
雲海に沈むギリギリの高度に在り、『遺骸兵器』と呼ばれた赤い鎧の巨人が座す場所。かつては『拒絶の雲海』に覆われ、全容を知ることはできなかった。
すでに雲海の射出は収まっている。
だが、代わりに浮かぶのは魔導兵器『クリスタルビット』。
雲海の代わりに、この空域に侵入するものを阻もうとしているかのように水晶の如き子機が縦横無尽に空を舞う。
猟兵にとっては自由効かぬ大空が舞台。
そこに付け込むようにして迫る『クリスタルビット』。
捨て置くこともできたかもしれない。
けれど、『遺骸兵器』と融合を果たしたオブリビオンを放置することはできない。
以前は『飛空艇艦隊』の手助けがあった。
今回はそれがない。周囲に点在する浮島を利用し、または自身の力でもって大空を駆け抜け、一刻も速く『遺骸兵器』と融合したオブリビオンを打倒しなければならないのだ――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
ふむ、まだまだ騒がしいの。であれば…出向くのもやむ無し。
霹靂に騎乗して行こう。
こういうときは、わしなのよな…いろんな意味で。
さて、UC使って見た目にはわからぬようにしよう。
触れたとして…なんか機能不全起こしておるな?
(無意識ジャミングしてる『機械に触れると壊す人』。本人曰く『なにもしてないのに』)
まあ、それはよい。感づかれても第六感で避けていこう。手綱での合図はしっかりとな。
邪魔であったら、黒燭炎で砕こうぞ。
※
霹靂「クエー!」
手綱の指示をもとに、限界突破の空中機動で、雲海スレスレでも飛ぶ!故郷だし!
一つの世界をめぐる大いなる戦いが終わりを告げてもなお、ブルーアルカディアの世界は未だオブリビオンの出現が減少することなく脅威が残り続けていた。
それは猟兵たちの助けを必要とする事件が頻発することを示していたことだろう。
アルカディア・スカイゲート。
これもまた一つの事件であった。
雲海の聖域と呼ばれる『アルカディアの玉座』を守る空域。雲海すれすれの高度に一つの浮島がある。
かつて猟兵達がこの空域を抜ける際には『拒絶の雲海』に阻まれて見えなかったが、そこに座していた錆びた赤い鎧の巨人が『遺骸兵器』として存在しており、なおかつオブリビオンと融合しているというのであれば、それは急務であった。
「ふむ、まだまだ騒がしいの。であれば……出向くのもやむなし」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は、ヒポグリフ『霹靂』にまたがり、雲海すれすれを飛ぶ。
周囲にあるのは魔導兵器らしき水晶。
名を『クリスタルビット』。
天使核をゆうするそれらは、空を埋め尽くすように広がっている。
まるで弾幕であった、と感じるであろう。
「こういうときは、わしなのよな……色んな意味で」
瞳をユーベルコードに輝かせる。
己と武装を呪力でできた海水霧によって覆っていく。視聴嗅覚での感知を不可能とするユーベルコードは、彼らの姿を覆い隠すだろう。
だが、『クリスタルビット』は視聴嗅覚以外の何かしらの手段で猟兵である『侵す者』を目ざとく見つけ、彼らを取り囲むようにして飛来する。
「ふむ……四悪霊・『海』(シアクリョウ・ウミ)であっても感知するか。視聴嗅覚では捉えられぬはずだが……それ以外で感知しておるということか」
放たれる魔導兵器たる『クリスタルビット』が『侵す者』と『霹靂』を一斉に穿つべく飛来する。
「クエー!」
嘶くように『霹靂』が鳴く。
彼らを貫くはずだった『クリスタルビット』が『侵す者』がユーベルコードに寄って展開した霊障に触れた瞬間、ガタガタと空中で振るえ始める。
その震えは、次第に大きくなり、突如として動きを止め雲海に落下していくのだ。
「……やはりこうなるか。『機械に触れると壊す人』と言われたが……なにもしていないのにの」
『侵す者』はどうあっても機械を壊してしまう。
それが彼の霊障であるというのならば、日常生活に支障をきたすレベルである。
だが、それでもいいのだ。
こうして敵の魔導兵器を無効化できたのならば。
ああ、それでいいのだ。そう思うことにしたし、『侵す者』は納得している。しているはずだ。
何もしていない、というのは大概、何かしている、ということなのだが。
まあ、それはそれである。
『霹靂』の手綱を握り、己たちを追う『クリスタルビット』を躱しながら『侵す者』は空を飛ぶ。
「さあ、征くぞ『霹靂』」
「クエ!」
水晶舞う空にヒポグリフが羽撃く。
故郷のために、と奮闘する『霹靂』の思いに応えるように『侵す者』は手にした槍でもって道を塞ぐ『クリスタルビット』を薙ぎ払い、錆浮く赤い鎧の巨人の座す浮島を目指して一直線に飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
戦争が終わっても未だ平穏とはいえないこの世界……。
そして、レリックウェポンにオブリビオンフォーミュラ、
天使核……。
何故か惹き付けられるものがありますね。
この世界の秘密を知りたくなってきましたよ。
【聖天覚醒】により真の姿を解放。
飛翔して浮島へと向かいましょう。
クリスタルビットの攻撃は【学習力】で
特徴を覚えながら【空中機動】と雲に紛れる【迷彩】で回避。
そして【衝撃波】とクラッシュ49で破壊していきましょう。
余裕があれば天使核を回収していきます。
やれやれ、いつかのんびりとこの空の海を
味わいたいものですね……。
アルカディア争奪戦は猟兵たちの勝利に終わった。
しかし、未だオブリビオンの出現は減少することがない。
これが示している事実は唯一。
『虚神アルカディア』はオブリビオン・フォミュラではない、ということだ。
「戦争が終わっても未だ平穏とはいえないこの世界……」
山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は何処までも続く青空の世界ブルーアルカディアを見やる。
未だ明かされることのない世界の謎が広がっている。
オブリビオンフォーミュラ、|『遺骸兵器』《レリックウェポン》……そして天使核。
アルカディア・スカイゲートの空を覆い尽くすように浮かぶ水晶のような魔導兵器『クリスタルビット』は天使核を動力としているように思える。
慧はどうにも心が惹きつけられるように感じられた。
「この世界の秘密を知りたくなってきましたよ」
彼の瞳がユーベルコードに輝く。
聖天覚醒(セイテンカクセイ)によって得られるのは真の姿。天使の翼を持つ彼は大空に在りて、その瞳を雲海スレスレの高度に浮かぶ浮島に向ける。
そこにあるのは『遺骸兵器』と融合したオブリビオン。
錆浮いた赤い鎧の巨人。
だが、その道行きを阻むように『クリスタルビット』が乱舞する。
全方位から襲いかかる水晶は、躱すのが困難であった。
「……全て乗り越えましょう。そうしなければ道が開けぬというのなら」
身をめぐるは闘志。
それは己の感情によって無限に増大していく破壊のエネルギー。それを受けて廻るは衝角供えられし手甲。
迫る水晶。
それらを真っ向から打ち砕く一撃は一直線に空を駆け抜ける。
砕け散ったクリスタルビットの破片が舞い散る中、慧の背中にある光の翼が煌めく。
「天使核……魔獣の、オブリビオンの心臓。この世界に存在している物質」
それがどんな意味を齎すのかわからない。
けれど、天使核は飛空艇を浮かばせ、浮遊大陸さえ浮かばせる原動力となる。それがどんなに強大なエネルギー源であるかなど言うまでもない。
このクリスタルビットを突き動かす天使核は、そう大きくはない。
弾幕兵器として使うだけの最小限の大きさであるともいえる。これを制御しているのが『遺骸兵器』であるというのならば、やはり大本を叩く他ない。
「やれやれ、いつかのんびりとこの空の海を味わいたいものですね……」
だが、今はそれは叶わない。
未だオブリビオンの出現は止まらず。
オブリビオン・フォーミュラの存在すら確認できていない。
とは言え、オブリビオンが、魔獣が存在しなければこの世界の人々は浮遊大陸を維持することができず雲海に沈むしかない。
そういう点に置いてのみ、オブリビオンの出現が減少しなかったことは幸いであったともいえるだろう。
「そんな日がいつくるのかはまだわかりませんが……差し迫る脅威を振り払わなければ道も開かれません」
光の翼が羽ばたき、慧は空を突き進む。
どれだけ『クリスタルビット』が迫るのだとしても、全てを打ち砕いてく。
オブリビオンと融合した『遺骸兵器』の目的がなんであるかはわからない。
けれど、それが人に害するものであるというのならば、慧はためらわず己の拳を振るうだろう。
今までも、そしてこれからも。
それは彼にとって変わらぬたった一つの矜持であったのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「まだ終わってはいないと言う事か。
遺骸兵器もそうだけど。あれ(無敵機械)を野放しに
してはおけない。」
ALL OUTを発動し生成した黒翼で【空中戦】を行い
飛翔、クリスタルビットからの攻撃を躱していく。
回避しながらもビットの位置を確認して上昇。
追って来るビットを一方向に集めたところで
光属性の矢を複数具現化し【範囲攻撃】として
矢の雨を降らせて水晶体を傷つけていく。
傷つけた事でビットの機動力を奪ってから
ビットの間を縫う様に移動しながら、
フレイムテイルから炎の爪を放って焼き、切り裂き
駆逐していく。
「まだまだ後が控えてるんだ。
此処であまり時間を取られている場合じゃないんでね。」
『アルカディア争奪戦』を確かに猟兵たちは勝利した。
『虚神アルカディア』を打倒し、カタストロフへと至る可能性を廃した。
けれど、まだ何一つ終わっていないのかも知れない。
オブリビオン・フォーミュラは姿を現さず。オブリビオンの出現も止まっていない。
「まだ終わってはいないということか」
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は聖域の一つであるアルカディア・スカイゲートに浮かぶ浮島を見やる。
そこに座すのは錆浮く赤い鎧の巨人。
『遺骸兵器』。
オブリビオンは、屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーが接続していた無敵機械の残骸を用いて『遺骸兵器』と融合を果たしている。
「あれを野放しにしてはおけない」
生命を啜る異形機。
その力の脅威をフォルクはよく理解していた。危険性は言うまでもない。
空域に浮かぶ水晶の如き魔導兵器が自身を降り囲んでいる。
けれど、フォルクはフードの奥の瞳にユーベルコードの輝きを宿す。
「我が身に宿りし魔性、今此処に全て解き放ち。剣を成し盾を成し、黒き冥府の翼すら従え。如何なる敵をも討ち果たす無双の力と成さん」
ALL OUT(オールアウト)。
属性術、死霊術、呪詛。
それら全てを強化する霊力覚醒体へと変身したフォルクが大空を飛翔する。
凄まじい速度。
けれど、それに追従するのが魔導兵器『クリスタルビット』だった。弾幕のようにフォルクを追い詰める。
回避できてはいるが、時間の問題であった。
「物量で圧するか……だが」
フォルクは自身を追う『クリスタルビット』を確認する。
まるで尾を引くようにして自身を追ってくる『クリスタルビット』。むしろ好都合だと思ったことだろう。
引き絞るようにして魔力がフォルクの背に生まれていく。
矢の形をした光が走る。
それは今の覚醒した体であれば造作もないことだった。一直線に迫る『クリスタルビット』を次々と撃ち抜いていく光の矢。
一撃では破壊できない。
だが、光の雨は猛烈な勢いで『クリスタルビット』を叩き伏せ、傷つけていく。
「攻撃を受ければ勢いもそがれる。勢いが削がれたということは」
フォルクの体が反転する。
光の矢によって傷つけられた『クリスタルビット』。その間隙を縫うようにして、フォルクの手から放たれる炎。
それは爪そのものであった。
亀裂疾走った水晶に放たれる炎の爪は、焼き切るようにして破壊――否、駆逐していく。
「まだまだ後が控えてるんだ。此処であまり時間を取られている場合じゃないんでね」
静かにフォルクは告げ、己を追う『クリスタルビット』を躱す。
まだ眼前には多くの弾幕が残っている。
けれど、立ち止まるわけにはいかないのだ。
あの無敵機械が何故今も残っているのかはわからない。
残骸であったとしても、『遺骸兵器』と融合を果たしたオブリビオンが成すことがなんであるかなど言うまでもない。
第ニ、第三の『皇帝』が生まれかねない可能性があるのならば。
それを摘み取るのが猟兵としての役目であるというように、フォルクは青空を炎熱撒き散らしながら浮島へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
『|遺骸兵器《レリックウェポン》』ですか。
あの絶妙な火加減は、そのせいだったんですね。
……なんとか師匠へのお土産にできないでしょうか?
あと金を作り出せるゴーレムも気になります。
ほんとなら借金完済が夢でなくなりそうですしね。
さぁステラさん……って、
メガネかけるとヤバさちょっと減りますね。
その分ギャップがでますが。
なにはともあれ。
ステラさんは|エイルさん《ご主人さま》への愛の為に、
わたしは師匠の借金完済と焼き肉用鉄板の為に、
ここで『遺骸兵器』を手に入れましょう!
さすがステラさんです。雲海も問題なしですね。
ずいぶんメカメカしい敵ですが、
わたしも【協奏曲第1番】で援護していきますよー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
|エイル様《主人様》の! 香りはしませんねぇ?(くんくん
|メイド《犬》の嗅覚に間違いは無いと思うのですが
ですが、あの赤い鎧『セラフィム』シリーズといったところですか
まだ解明しないといけない謎が残ってますね
必ずエイル様に繋がるヒントがあるはずです
以上、伊達眼鏡のステラでした
さてルクス様、いきますよ
お土産にするにも近づかないと
【ガレオンチェンジ】で飛空艇に変身
ルクス様ー早く乗ってください
雲海?
私自身が飛空艇なのですから高度の調整などお手の物
さぁ突撃行きます!
妨害してくるビットは【エールプティオー・プルウィア】で叩き落します
というかこの装備……どうみてもクロムキャバリア産ですよねぇ?
|『遺骸兵器』《レリックウェポン》――それはブルーアルカディアにおいて、強力な兵器の名を持つ。
時に大量の天使核を内蔵し、時に強大すぎるがゆえに死を持って眠りについた召喚獣など、この大空の世界には強大な力を持つ兵器が存在する。それを総称して『遺骸兵器』と呼ぶのだ。
「あの絶妙な火加減は、そのせいだったんですね」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、青い鎧の巨人を思い出して頷く。
決して、そういうあれではないはずなのであるがルクスにはあれは大変よい鉄板であったという認識しかない。
『遺骸兵器』としての力を発露することがなかったの幸いであるが、あの火加減だけはどうにも忘れられない。
「……なんとか師匠へのお土産にできないでしょうか?」
でもでも、赤錆浮いてるんですけど、それはいいのでしょうかと思わないでもない。磨けばいいでしょ、くらいの感覚なのだろうか。
しかし、そんなルクスの隣でステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、ずーっと鼻をすんすんさせていた。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りはしませんねぇ?」
くんくんしている。
メイドと言えばくんかくんかと言わんばかりの態度である。世の中のメイドさんたちに対する風評被害が酷いことに成っている気がする。
「|メイド《犬》の嗅覚にまちがいはないと思うのですが」
あの浮島に座す錆浮く赤い鎧の巨人からは、彼女の言うところの主人の匂いはしない。いや、この距離で香るのかなっていう疑問はあるけど、まあ、恐らくそうなのである。
「ですが、の赤い鎧『セラフィム』シリーズといったところですか。必ず『エイル』様に繋がるヒントがあるはずです。以上、伊達眼鏡のステラでした」
まだ解明しなければならない謎が残っている。
解明しなければならないのはそっちじゃなくて、未だ現れぬオブリビオン・フォーミュラなのであるが、ステラにとってはこっちのほうが大問題であった。
いつのまにか眼鏡を掛けている。眼鏡メイド!!
「……メガネかけるとヤバさがちょっと減りますね」
「誰がやべーメイドですか」
「その分ギャップがでますが」
二人のやり取りはいつもどおりです。
「さてルクス様、いきますよ。お土産にするにも近づかないと」
「あの金を作り出せるゴーレムも気になります。ほんとなら借金完済が夢でなくなりそうですしね」
世界の危機よりお財布の危機である。
差し迫った脅威のほうがルクスにとっては重要なのである。借金は各世界に膨れ上がっているので、これからも出禁場所が増えるかもしれないが、まあ、そこはそれである。
あの『遺骸兵器』と融合したゴーレムの金を生み出す力を利用すれば、そんなもん簡単に覆せるってもんである。
だから、征くのだ!
ステラが飛空艇へと変身するとルクスは甲板上に飛び乗る。
「なにはともあれ。ステラさんは|『エイル』さん《ご主人様》への愛のために。わたしは師匠の借金返済と焼肉用鉄板のために。ここで『遺骸兵器』を手に入れましょう!」
私利私欲まみれである。
勇者としてどうなのかと思う。しかしながら、勇者とてタンスを漁ったり壺の中をがさごそしたり、住居に不法侵入したり、宝箱を開けたりとやりたい放題なのだ。
なら、自称とは言え勇者をしているルクスが多少のあれな感じの行動をとった所で、些細なことである。
借金のある勇者? 今更珍しくもないですが、とステラなら言うかも知れない。
魔導兵器『クリスタルビット』が乱舞する空を天使核から生成したミサイルを解き放ちながらステラが変じた飛空艇が雲海すれすれに飛ぶ。
「弾幕兵器など。さあ、サーカスの開幕です!」
「むぅむむむむむ、むむむむむー!」
ミサイルの乱舞と協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)が響き渡る中、二人は空を飛ぶ。
突撃など容易い。
飛空艇へと変じたステラは、高度の調整などお手の物である。突撃に至っては大得意である。突貫突撃。いつものことなのである。
「さすがステラさんです。雲海も問題なしですね。それにしても……ずいぶんメカメカしいて敵ですが……」
「どうみてもクロムキャバリア産ですよねぇ?」
『クリスタルビット』。
天使核を中核に供えた魔導兵器。
これと同じ用途の弾幕兵器を二人は知っている。それと同じものであるかはわからない。
けれど、似通っている。酷似していると彼女たちは感じる。
このブルーアルカディアの世界が如何なる世界であるのか、未だ謎は多い。
そもそも召喚獣すら居る世界なのだ。神隠しによって他世界から迷い込んだ者たちが集まる浮島もある。
解き明かさなければならない謎は未だ、二人の道行きを覆い隠すように横たわる――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
まあ大きい屍人帝国が6つ墜ちた訳だけど、屍人帝国が全滅した訳じゃないからしょーがないです
それじゃ、いつものお仕事です
あいつの残り物の力を借りた程度で、私たちを阻めると思うな、です…!
レミエールⅢ(デビルアヴェンジャー装備)に弾幕支援させつつ、風の精霊結界(風属性攻撃+結界術)を纏い、UC【セラフィック・ブレイカー】……!
エル・セプスの高速機動で突っ込むです、飛空艇乗りの視力と飛空艇操作、空中機動を舐めないでほしいです
それに空域のあれが全部天使核持ちの魔導兵器なら、一個が多少軽くても問題ないです
こっちの軌道に割り込んで邪魔をするなら、思いっきり跳ね飛ばしてやるです……!
※アドリブ他歓迎、です
『アルカディア争奪戦』において現れた巨大な屍人帝国は6つ。
『オーデュボン』、『日蝕帝国』、『マグナ聖帝国』、『天帝騎士団』、『コルディリネ』、『ジェード王国』。
そのいずれもが猟兵達によって打倒された。
しかし、未だオブリビオンの出現は終わっていない。
『虚神アルカディア』を打倒してカタストロフを防いでも、だ。それが示す事実は一つである。
オブリビオン・フォーミュラが出現していない。
「屍人帝国が全滅したわけじゃないからしょーがないです。それじゃ、いつものお仕事です」
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は特に気負うところなく空へと飛び出す。
『エル・セプス』の『エンジェリックドライブ』が唸りを上げて空を飛翔する。
雲海ぎりぎりの高度であろうとヴィクトリアには関係なかった。
そして、大空を埋め尽くす弾幕兵器『クリスタルビット』が彼女を襲うのだとしても、だ。
何の問題にもならない。
例え、『遺骸兵器』を『無敵機械』を使って融合したオブリビオンが相手でもヴィクトリアはひるまない。
「あいつの残り物の力を借りた程度で、私達を阻めると思うな、です……!」
『エル・セプス』よりガンシップが切り離され、大型の翼を広げ飛ぶ。
無人機としてヴィクトリアをサポートするガンシップが迫る『クリスタルビット』を相手取って、ドッグファイトを仕掛ける。
天使核を供えた『クリスタルビット』の挙動は凄まじいものであったが、風の精霊結界を纏いヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
『エンジェリックドライブ』が唸りをあげ、出力された力が光翼となって羽撃く。
「さあ、天翔ける天使の騎馬の一撃……受けるがいい、です!」
セラフィック・ブレイカー。
それは戦場にある天使核、精霊機関を励起させて速度をますユーベルコードである。それだけではない。
己の飛空艇の重量、そして敵の重量に比例して一撃は重たくなっていく。
どれだけ『クリスタルビット』が軽くても、天使核を内蔵した兵器であるというのならば、何の問題もない。
むしろ、逆だ。
戦場にある天使核を励起させることによって『エンジェリックドライブ』は出力を増していく。
「こっちの軌道に割り込んで邪魔するなら……思いっきり跳ね飛ばしてやる、です!」
一直線に突き進む。
どれだけ弾幕を張るのだとしても、今のヴィクトリアを止める者はいない。
目指す浮島は唯一つ。
矢のように空を切り裂く。
光条のようにヴィクトリアは空を駆け抜け、『クリスタルビット』を粉々に砕いていくだろう。
飛び散る破片が光翼にきらめいて、粒子のようにさえ見える。
「『レミエールⅢ』! 突っ込む、です!」
ガンシップが『エル・セプス』に追従し迫る障害を振り払う。
どこまでも飛ぶ。
ヴィクトリアにとって、このブルーアルカディアの空こそが自身の在るところである。
屍人帝国の脅威は未だ完全に消えず。
そして、世界の脅威である源、オブリビオン・フォーミュラもまた姿を現さない。遠くない未来にまた必ずオブリビオンの脅威は世界を襲うだろう。
それは絶望の未来であったのかもしれない。
安寧は程遠いということだから。
けれど、ヴィクトリアは負けはしないだろう。
「これもお仕事、です」
そう、生きるためには仕事をしなければならない。あたり前のことだと、ヴィクトリアは誰もができるわけではないけれど、それでも懸命に生きることをやめない。
ならば、彼女を止められるものなど、世界に何一つ存在しないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
あの赤い鎧の巨人が何なのか
Vと関係があるのか否か
疑問は尽きないけど
この世界に悪い影響を及ぼしうるなら
放置する事はできないね
女神降臨を使用し空を飛んで接近するよ
邪神には人生を狂わされたけれど
大空を自由に飛べるというのは
普通に生きていたら経験できなかったと思うと
少し複雑だね
見渡す限りの雲海は危険をはらんではいるけど
美しくもあるし
景色を楽しむ余裕は
敵の防衛線の手前までかな
ガトリングガンの射撃でクリスタルビットを落としつつ
敵の攻撃は浮島を利用して回避したり
神気で防御したりしながら接近しよう
気分はシューティングゲームだね
都合の良いボムは無いから
気を抜かず進んでいこうか
バリア代りの神気があるのは救いかなぁ
赤い鎧の巨人。
それはブルーアルカディアにおける猟兵たちの戦いにしばしば現れる存在である。目的は知れず。さりとて猟兵と相対することはなかった。
けれど、浮島に存在している『遺骸兵器』たる錆の浮いた赤い鎧の巨人は、オブリビオンと融合を果たしている。
屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーが繋がれていた『無敵機械』。その一部を持ってオブリビオンは『遺骸兵器』と融合している。
どのような目的があるにせよ、それが世界に対して良い方向に転がることなどない。
「あの赤い鎧の巨人が何なのか。『V』と関係があるのか否か。疑問は尽きないけど」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、オブリビオンが世界に悪い影響を及ぼすというのならば放置することなどはできない。
ユーベルコード、女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)によってドレスアップした晶は大空を飛ぶ。
邪神によって人生を狂わされはしたけれど、大空を自由に飛ぶことができるというのは、普通に人として生きていたのならば経験できなかったはずだ。
そう思えば、このブルーアルカディアの世界での経験もまた少し複雑な思いで見るほかないのだ。
眼下にあるは雲海。
それは全て『拒絶の雲海』。『大空を覆うもの』と呼ばれるブルーアルカディアの大気全てと言われる存在。
危険をはらんではいるものの、それを美しいと思う心にはまちがいはないだろう。
けれど、それらを美しいと大空の光景を楽しんでいる暇はない。
晶に迫るのは無数の魔導兵器『クリスタルビット』。
水晶のような形をした弾幕が一斉に晶を取り囲んでいる。手にしたガトリングガンを構え、晶は引き金を引く。
打ち込まれる弾丸は『クリスタルビット』を破壊するには至らない。
けれど、弾き飛ばすことはできる。
「気分はシューティングゲームだね、これは」
放つ弾丸でもって迫る『クリスタルビット』を吹き飛ばしながら空を飛ぶ。浮島を盾にして、回り込むようにして晶は飛び、錆浮く赤い鎧の巨人へと迫る。
神気によって動きを固定する。
「都合の良いボムはないけど……!」
ポーズボタンはある、と思えばいいかと晶は苦笑いするだろう。
確かに邪神には人生を狂わされた。
けれど、こうして誰かのために戦うための力があるということは得難いことだろう。この大空の世界を美しいと思う以上に、この力は晶にとっては己を狂わせる力ではなく。
誰かのために何かをなしたいと願う自分の願いを叶えるものであったのかもしれない。
「バリア代わりの神気があるのは救いかなぁ」
固定した『クリスタルビット』の間隙を縫うようにして晶は空を飛ぶ。
錆浮く赤い鎧の巨人の座す浮島はもうすぐそこだ。
多くの世界がそうであったように、独立して成り立つ世界は多くはない。グリードオーシャンが他世界を侵略する世界そのものであったように。
ダークセイヴァーが積層世界であり、上層が存在していたように。
このブルーアルカディアもまた何れかの世界と関連性があるのかもしれない。
世界の謎は未だ多く。
そして、晶の道を妨げている。
拒絶の雲海がどれだけ色濃く、立ち込めるのだとしても。それでも晶は前に進み続けなければならない。
己の道を振り返れば、そこに轍がある。
ならば、過去が己の前に立ちふさがることは時が逆巻くことと同義。
「そんなことなんてありえない。なら、自分が前に進んでいるんだと信じて進むしかないんだよね」
ガトリングガンの銃身が勢いよく回転し『クリスタルビット』を叩き落としていく。
飛び込んだ雲海の先、浮島の大地に降り立った晶は見るだろう。
体高5mはあろかという巨人。
その錆浮く赤い鎧の巨人に刻まれた『Ⅵ』を――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』』
|
POW : 巨体当たり
【ホバー高速移動】によりレベル×100km/hで飛翔し、【本体重量】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 過去データ参照
【過去に戦った相手】から【類似する行動】を発見する事で、対象の攻撃を予測し回避する。[類似する行動]を教えられた者も同じ能力を得る。
WIZ : 黄金化光線
近接範囲内の全員を【黄金化】にする【特殊黄金化光線】を放ち、命中した敵にダメージと麻痺、味方に隠密効果を与える。
イラスト:8mix
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠テフラ・カルデラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
錆浮く赤い鎧の巨人は、浮島に座していた。
その体の中心は球体のように変形したオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』が収められている。
この錆浮く赤い鎧の巨人こそが『遺骸兵器』であると猟兵たちは知るだろう。
浮島に至るまでに展開されていた弾幕である魔導兵器『クリスタルビット』は猟兵たちの進撃に寄って尽くが撃ち落とされた。
「――俺の名前は――。キミより前に――。多くを――。――しれない。それは君に相対する――」
かすれた音。
それが『遺骸兵器』たる目の前に赤い鎧の巨人から聞こえる。
「一つだけいえる事がある。『――』。これを忘れては、――」
ノイズが走っている。
ところどころ聞こえない声。それは他世界を知る猟兵ならばわかったことだろう。何かに録音された音であると。
「だから、恐れるな、その力――」
「全てはフォーミュラの意思……」
響く声。
それは確かにノイズ混じりの音と似通った声であったことだろう。けれど、録音されているであろう音とは違う意思を感じる。
融合を果たしたオブリビオンの言葉なのか。それとももっと違う何かなのか。
しかし、赤い鎧の巨人は異形機へと変貌していく。
それは『無敵機械』と似通っていた。
錆浮く装甲が変形し、頭部にあるフェイス部分には口唇が生まれる。それが紡いでいるのだ。
「全てはフォーミュラの意思……そう、全てはフォーミュラのためにあるもの。浄化せよ。あらゆるものを錆びつかせる時の流れから解放させなければならない」
風が鳴るように重圧がのしかかる。
目の前の異形機は、かつての『皇帝』パッセンジャーに酷似した威容を誇りながら己が打倒すべき猟兵を前に咆哮する――。
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
あの微かに聞こえた音声…以前、『深海兵器』探しで聞いたのと似ておるのか?
だが、今は戦うのみ。
霹靂に騎乗は続けておる。すまんの…終わったら、温か牛乳とおやつもやろう。
こちらに超高速でぶつかってくる、ということはだ。
周りを結界で覆って進路を制限。さらにその先にUCにて掴んだ黒燭炎置くと…まあ、『何かある』と思っても止まれずぶつかるのよな。
つまりは盛大に刺さる。自らの速度も加えてな。黒燭炎は…無事であろうたぶん。
※
霹靂、誘うためにも、限界突破の空中機動。後でたっぷりお休みもらう!
聞き覚えのある声。
それはかつて海洋の世界で聞いたことのある声であったことだろう。かすれている音は、劣化したからか。
だが、一つ明らかなことがある。
目の前の『遺骸兵器』と融合を果たしたオブリビオンは猟兵を抹殺せんとしている。
「全てはフォーミュラの意思……」
錆浮く赤い鎧の巨人と融合を果たしたオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』が猟兵たちに迫る。
「あのかすかに聞こえた音声……だが、今は戦うのみ」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『侵す者』は黒き槍を携えヒポグリフ『霹靂』に騎乗する。
浮島にあって、此処は陸地。
されど、『遺骸兵器』と融合したオブリビオンは最早異形機。
足元から噴出する空気を見るに、あれは大地を疾駆するための装備であろう。だが、あの強力な噴射力は容易く空にあるものへと迫る。
「――全てはフォーミュラの意思」
凄まじい速度で迫る異形機を前に『侵す者』は『霹靂』の首をなでる。
高速で突撃してくる敵。
ならば、その進路は言わずと知れる。
己を目指して矢のように飛び込んでくる。それ以外にない。此方の攻撃を躱さず、もろともに破壊しようとしているのだ。
「すまんの……終わったら、温かな牛乳とおやつもやろう」
「クエッ!」
その一言に『霹靂』が鳴く。
いい声だ、と『侵す者』はかすかに笑む。
迫る異形機は構わず突っ込んでくる。
「そうだろうともな。障害など弾き飛ばしてしまえばよい。『何かある』などと考えたところでやるべきことは唯一つ……」
「――!」
咆哮と共に赤い異形機は『侵す者』たちを吹き飛ばさんと凄まじい推力で迫る。
けれど、四悪霊・『怪』(シアクリョウ・アヤ)は四悪霊の呪詛によって『それ』を固定する。
異形機ではない。
投げ放った槍を固定する。
「ポルターガイスト、とも」
固定された槍の穂先が異形機と激突する。いや、激突という言葉は正しくないだろう。切っ先に己から飛び込んだ。
如何に強固な装甲に覆われていようとも、槍の穂先、その一点が装甲を貫く。
面ではなく点。
簡単な物理である。
呪詛でもって固定された槍は、びくとも動かない。突進した異形機の腕を貫き、その破片を撒き散らす。
「やはり、こちらを滅ぼすことしか考えていない。いや、中身があるように見せかけているだけか。存外つまらぬ相手であったようであるな」
『侵す者』は、異形機に武の片鱗すら見出すことはできなかった。
もしも、仮にあの『遺骸兵器』がかつて見た青い鎧の巨人のように人が乗り、人が乗るが故にゆらぎ、その技量を反映する類のものであったのならば、中に存在する者に力を依存するだろう。
けれど、目の前の異形機にはそれがない。
中身なく。
手繰る者なく。
そして、意思らしきものもない。あるのは上位存在からの命令を遂行するという形骸化したもののみ。
「そんなものに我等が今更敗れるものかよ」
貫いた腕部から『侵す者』は呪詛によって槍を引き抜き、大空より地を這う異形機を見下ろすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
また謎めいたオブリビオンですね……。
フォーミュラに関わりがあるようですが、
今それを知る術はないようですね。
ならば、この場できっちり片付けるとしましょうか。
なるほど、確かにあのパッセンジャーによく似た
圧力を感じますね……。
まずはゴーレムに炸裂弾をばら撒いて
動きを抑えます。
そして、【衝撃波】を放ってクリスタルビットから
沈めていきましょう。
ゴーレムが巨体当たりを仕掛けてきたら
【残像】で攪乱して【集中力】で回避。
そしてその隙を逃さず、【功夫】による打撃の
【乱れ撃ち】から【リミッター解除】した
【羅山砕甲掌】で装甲ごと破壊してやりましょう。
屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーに接続されていた『無敵機械』。
その残骸を持ってオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』は、いまや異形機へと変貌を遂げていた。
「また謎めいたオブリビオンですね……」
山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は現れた異形機を前にして見上げる。
体高5m以上はあるであろう錆浮いた赤い鎧の巨人。
「全てはフォーミュラの意思……」
その声は音声とは違う声色であった。
『遺骸兵器』である赤い鎧の巨人であるのか、それともオブリビオン本来の声であるのか。どちらにせよ、慧は頭を振る。
フォーミュラ。
それは恐らく、オブリビオン・フォーミュラのことを指しているのだろう。だが、今はそれを知る術がないこともまた理解していた。
「ならば、この場できっちり片付けるとしましょうか」
赤い鎧の巨人の体躯の中心に丸まるようにして収まっているオブリビオンの脚部がブースターのように勢いよく噴射する。
その突進の速度は凄まじいものであった。
放たれる炸裂弾が足止めをするが、ひしゃげた腕部でそれを受け止められる。
構わず突進してくるつもりなのだろう。
「全てはフォーミュラの意思……錆びゆく運命など必要としていない。停滞した時間の中にこそ」
「なるほど、たしかにあのパッセンジャーによく似た圧力を感じますね」
迫る水晶の魔導兵器。
それらを炸裂弾で慧は沈める。
「距離を稼ぐ暇も与えない突進……ですが」
慧の姿が残像と共に戦場に刻まれる。慧は見ていた。
確かに突進力はすさまじいものであった。けれど、凄まじい加速故に異形機は軌道を即座に変えられない。
恐らく元となったオブリビオンの脚部がキャバリアで言うところのスラスターのようになっているのだろう。
丸まって取り込まれているがゆえに、自由に可動域を稼げないのだろう。
「やはり体当たり。二番煎じというのです」
残像に飛び込む異形機に慧は踏み込む。
確かに加速は凄まじいが、それだけだ。
歩法を極めたのならば、距離など意味をなさない。たとえ、己の拳の間合いであろうと瞬時に踏み込んで見せる。
そのための功夫。
「停滞を嫌う者。とめどなく流れる時間は必ず骸の海に通じる。故にフォーミュラの意思は、永劫」
「何を言っているのかわかりませんが……意味深に語ればいいというものではないでしょうに」
慧の瞳がユーベルコードに輝く。
己の中のリミッターを外す。
筋力、神経、あらゆるものの限界を超えていく。衝角供えた手甲もまた限界まで駆動する。
回転は、全てを回す。
停滞した時すら動かす力は、穿つ力へと転じる。
踏み込む。
指向性をもった回転は螺旋となってユーベルコードの輝きと共に、その練磨された拳の一撃を異形機へと叩き込む。
「羅山砕甲掌――その装甲ごと破壊してやりましょう」
打ち込まれる一撃は、赤い鎧の巨人の中央にあったオブリビオンの装甲さえ貫き、その衝撃を背後まで突き抜けていく。
浮島の大地を抉り、雲海すら切り裂く拳。
それは停滞という名の淀んだ何かを穿つ一撃であったことだろう。
「何度蘇ろうと無駄です。その度に僕たちは立ちはだかる。穿ち、貫き、その堰き止める何かを打ち壊しましょう――」
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「全はフォーミュラの意思。ならば己の意思は何処にある?
それすら無いと言うのなら、『遺骸兵器』であろうと。
『無敵機械』の残骸であろうと。九分九厘まで
お前の負けだ。」
敵とは距離を取って光線を避けながら
ディメンションカリバーを発動してフレイムテイルで
魔石を握り。
その拳を振り抜く事で【範囲攻撃】の炎の斬撃を発生させて
先ずはクリスタルビットを切り裂いていく。
「この斬撃は先程とは切れ味が違う。
その水晶の強度で耐えられるかな。」
ビットを粗方片付けたら魔石をデモニックロッドに付け替え
【全力魔法】の斬撃属性を付加した
嵐の様に巨大な闇の魔弾を放ち攻撃する。
「その亡霊の如き有様。
此処で終焉とさせて貰う。」
「全てはフォーミュラの意思、ならば、己の意思は何処にある?」
そう問いかけるのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)であった。
彼のフードの奥から覗く瞳が見ていたのは、錆浮く赤い鎧の巨人の中心に丸まるようにして収まったオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』であった。
屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーが接続されていた『無敵機械』。
その残骸を使って『遺骸兵器』と融合を果たした姿は、まさしく異形機と呼ぶにふさわしい姿であった。
それはかつてのパッセンジャーを彷彿とさせる姿であったことだろう。
オブリビオンであれば世界を滅ぼす目的がある。欲望がある。
だが、フォルクの瞳に映る異形機にはそれがあるようには思えなかった。
「全てはフォーミュラの意思……停滞した時間にこそ永遠があるように。錆びることのない歯車として存在し続ける。時を動かす歯車ではなく、ただ永遠たるために」
「ならば、『遺骸兵器』であろうと。『無敵機械』の残骸であろうと。九分九厘までお前の負けだ」
迫るは水晶の如き魔導兵器。
空を縦横無尽に駆け抜け、弾幕を張り巡らせる異形機に死角はない。
確かに装甲は猟兵達によって穿たれている。
だが、それが何の障害になるだろうか。
『遺骸兵器』としての力は未だ十全。
放たれる黄金の光線は、浮島の大地を金色に変えていく。
「広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ」
フォルクの手にあったのは、魔石。
炎放つ黒手袋に握られた魔石は、炎の斬撃を生み出す。
迫る水晶の如き魔導兵器を熱波で吹き飛ばしながら、それ自体を焼き切る。
先ほどとは異なる威力であったことだろう。
「この斬撃は先程とは切れ味が違う。その水晶の強度で耐えられるかな」
吹き荒れる炎は、ユーベルコードを受けて強化されている。
距離を無視し、空間すら断つ斬撃。
その魔石が今彼の手の中にあり、握りしめられている。
ディメンションカリバー。
それはフォルクの手にしたユーベルコードの中でも異次元の斬撃を解き放つ力である。
空間すら断つということは、彼我の距離を無視するということ。
フォルクの瞳がユーベルコードに輝く度に、その理が世界に発露する。
「その亡霊の如き有様」
黄金に変える光線を躱し、フォルクが駆け込む。
あの光線は受ければ自身ですら黄金に変えてしまう。
そして、煌めく光線は光の中に異形機を隠すだろう。
けれど、放つ光線の起点さえわかっているのならばフォルクには距離は意味がない。握りしめていた魔石をデモニックロッドに装着する。
「此処で終焉とさせて貰う」
その言葉とともに放たれるのは嵐の如き巨大な闇色をした弾丸であった。
渦巻く闇は、竜巻のように魔力を膨れ上がらせていく。
彼我の距離すら無視する空間を断つ斬撃を纏う魔弾は、異形機であろうと切り裂く。
姿が見えないのならば、この浮島全体を巻き込むかの如き斬撃の嵐で取り囲めばいい。
「全てはフォーミュラの意思……」
「その言葉は聞き飽きた。己の意思なき木偶に負ける言われはない――ディメンションカリバー……!」
放たれる嵐。
黄金に変える光線さえも切り裂き、フォルクと異形機の間に隔絶した斬撃を巻き起こす。
猟兵に寄って穿たれた腕を巻き込みながら闇色の嵐が異形機を破壊していく。
パッセンジャーのように生命力を吸い上げる力はない。
再生はない。
ならばこそ、フォルクは錆浮く赤い鎧の巨人が嵐の中に追い込まれていくのを見るだろう。
意思なき者。
他者の意志を代行する者に力は宿らない。
あの錆浮く躯体は生命宿らぬもの。
ならば、フォルクは己が敗北する終焉を否定する。
どんな苦境も、どんな苦難も。
あらゆる敗北を肯定する終焉をこそ否定してみせる。嵐はいつだって全てを壊す。
そう、終焉さえも壊していくのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
再度風の精霊結界とレミエールⅢの支援弾幕を受けてビットを迎撃するです
…確かに最高速度も重量もこっちが負けてるです
でも重い分小回りは利かなくなるし、それを単に高速で飛ばすだけなら砲弾と同じ
なら大して恐れる必要ないです(勇気・落ち着き)
突進が来たら機体変形、相手とこっちの動きを見切って空中機動・推力移動で回避、
そのまますれ違いさまにCファングを打ち込んで怪力で引っ張りこっちの軌道を無理やり修正、
そのまま【セラフィック・ブレイカー】でその腹部、ぶち抜いてやる、です
確かに見た目はあいつに似てるです、けどそれだけ、です
……きっと黄金ってのも見た目だけの贋金とかです、もう騙されないです
※アドリブ◎、です
風の精霊結界が暴風のように吹き荒れる。
周囲に飛ぶ水晶の魔導兵器『クリスタルビット』を吹き飛ばしながら、無人機ガンシップである『レミエールⅢ』が打ち砕く。
「……確かに最高速度も重量もこっちが負けてる、です」
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は対峙する錆浮く赤い鎧の巨人と融合したオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』が変じた異形機を見据える。
あの異形たる姿は屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーを彷彿とさせる。
「全てはフォーミュラの意思……」
その言葉が口唇を震わせて響く。
迫る速度は凄まじいものだ。まるで機体そのものを弾丸のように撃ち出しているかのようだった。
砕けた装甲を撒き散らしながら迫る様は、臓腑を撒き散らしながら敵対者に追いすがるかのようでもあった。
しかし、そのおぞましき姿を前にしてもヴィクトリアの心には勇気がある。
彼女は猟兵である。そして勇士でもある。
勇気ある者をブルーアルカディアでは勇士と呼ぶ。ならばこそ、彼女は恐れる必要なんてないと踏み出すのだ。
「確かに見た目はあいつに似てるです、けど、それだけ、です」
ヴィクトリアは『エル・セプス』を変形させる。
身にまとうようにして変形した飛空艇。彼女は見ていた。異形機は直線的な動きしかしない。
出力を持て余しているのだ。
どんなに速度を上げたとしても、小回りが効かないのならば動きは単調になる。ならば、それは砲弾と同じだ。
そんなものを今更彼女は恐れない。
「停滞した時間であれば錆浮くことなどない。錆びつくことのない歯車でいることができる」
直角に上空へと飛ぶ異形機。
ヴィクトリアを追うようにして浮島の大地を蹴って強引に軌道を変えたのだ。それは想定外であったが、同時にヴィクトリアにとっては好機だった。
強引な軌道変更は最も異形機が誇るべき速度を殺す。
その一瞬こそが絶好の好機なのだ。
「エンジェリックドライブ、出力全開……!」
ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
機関であるエンジェリックドライブから光の翼が羽撃く。
迫る異形機。
そのフェイスに浮かぶ表情は憤怒か。それとも憎悪か。時は進んでいく。全てが錆びゆく。
けれど、ヴィクトリアは、それこそ人の歩みであると知る。
どんなものでも永遠はない。あるのは退化か、もしくは劣化である。
「……きっとその黄金ってのも見た目だけの贋金とかです」
目をくらませることなどない。
ヴィクトリアは見ている。
黄金の輝きに意味はない。確かに金は誰をも魅了するだろう。けれど、それだけでは人は生きてはいけないのだ。
自分のお腹をヴィクトリアは擦る。
金は生きるのに必要なものと交換することができる。けれど、目の前のそれは偽りの金。
愚者の金。
生きるということを履き違えたものに、永遠を違えたものに、ヴィクトリアは負けないのだ。
「さあ、天翔ける天使の騎馬の一撃……受けるがいい、です!」
打ち込まれるセラフィック・ブレイカーの一撃が異形機の腹部を撃ち抜く。
大地に叩きつけられた異形機は、その躯体をきしませる。
ヴィクトリアは空へと舞い上がる。
いつだってそうだ。
敗者は大地に伏し、勝者は空を仰ぐ。
お腹の音が大きく鳴る。これが生きるということだ。生きているということだ。永遠に輝く金色などには理解できぬもの。
生命とは、常に生きて、喰らって進む者。
故にヴィクトリアは、この大空の世界で逞しく生きている――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
やべーレベルがアップ……?
嗅覚に次いで聴覚までって、そんなことになったら、
ステラさんまで出禁常連になって、
わたしがいけるところがますます減っちゃいます!?
こうなったら最終手段です!
ス、ステラさん、聴覚レベルがアップすると、
わ、わたしの演奏ももっとしっかり聴こえちゃいますよ……!
ナイテナイデスヨ。コレハココロノアセデス。
って、そうでした鉄板と黄金ゴーレム!
あれ、甲板濡れてる?
エイルさまハーレムとか聞こえたし、これ、ステラさんの涎じゃ……。
か、考えないことにして、今は金げっとに邁進しましょう!
【世界調律】いきますよー!
って、あぁ!?
在るべき姿になっちゃうと、ゴーレムも消え……。!?
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
はっ?!この声は!?
|エイル様《主人様》の!?
くっまさか嗅覚ではなく聴覚で来るとは!
|メイド《犬》にレベルアップをお求めですか……?
とまぁ|冗談《本音》はさておき
この前、氷結の島で聞いた言葉、ですね?
ええい、ますます『セラフィム』の在り方がわからなくなりました!
過去に漂流しないとすれば
同じ思考を持ったエイル様が各世界に存在しないと
筋が通らないではないですか
そんなことがあり得ると?
……エイル様ハーレム?
ともあれ、鉄板の再利用のためにも近づくしか!
そして毎度同じで芸がないのですが!
【ガレオンチェンジ】&【エールプティオー・プルウィア】で突破しつつ
【テンペスタース・クリス】突撃です!!
錆浮く赤い鎧の巨人と融合を果たしたオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』の威容はまさしく屍人帝国『オーデュボン』の『皇帝』パッセンジャーの如き姿であった。
オブリビオンを挟み込むように錆び浮く赤い鎧の巨人の上下。
だが、今やそれも見る影もない。
猟兵たちの攻勢によって腕はもがれ、装甲はひしゃげている。
中央に丸まるようにして座すオブリビオンの姿さえも歪んでいる。どれだけ姿をかつての『皇帝』に似せているのだとしても、その力までは再現できていない。
あるのは『遺骸兵器』としての力のみ。
「全てはフォーミュラの意思……」
その言葉は聞き覚えのない声色であった。けれど、その前に流れてきていた音声を聞いたステラ・タタリクス(紫苑・f33899は、その言葉に、その声に目を見開く。
瞳孔がカッ開いていた。
「|『エイル』様《主人様》の!?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、うわでた、と思ったかもしれない。
「くっまさか嗅覚ではなく聴覚でくるとは! |メイド《犬》にレベルアップをお求めですか……?」
「やべーレベルがアップ……?」
それはもうレベルアップではないのではないだろうか。
人としてのあれやそれがどれが、あれしてそれしてどれしてって感じである。
嗅覚についで聴覚までってそんな事になったのならば、あまりのヤバさにステラまで出禁常連になってしまうとルクスは慄く。
このままではルクスもまたいけるところがますます減ってしまう。
出禁常連ってなんだ。
出禁っていうか、散々に迷惑掛けまくっているので自粛していると言ってもいいだろう。
だがしかし、ルクスとて譲れぬものがあるのだ。
そう、鉄板! 錆浮いているけどあの『遺骸兵器』の装甲は鉄板として使える。おみやげんに持って帰らねばという強い意思が今のルクスを支えているのだ。
「とまあ|冗談《本音》はさておき」
そんな言葉で騙されない。ルビって便利。
「ええ、こうなったら最終手段です!」
ルクスが頷く。
このままステラの聴覚がレベルアップするとやべーことになる。ならば、とルクスは頷く。
「……なんです?」
「わ、わたしの演奏がもっとしっかり聞こえちゃいますよ……! レベルアップしちゃうと!」
「ご自分で言われていて心が傷つきませんか、それは」
「……」
ルクスはちょっと思った。
このメイド、たまにおかしなことになるくせに、こういうところはしっかり打ち返してくるのずるくないですか、と。
「ナイテナイデスヨ。コレハココロノアセデス」
おかしいな。頬を伝う熱い液体がなんともしょっぱい。汗もしょっぱいから、これは実質、汗!
「とは言え、どういたします? このままでは」
「って、そうでした鉄板と黄金ゴーレム!」
ルクスは持ち直す。
迫る異形機。その突進能力は猟兵たちの構成によって削がれているのだとしても、それでも尋常ならざる力を持っている。
しかし、とステラは思うのだ。
目の前の『遺骸兵器』はたしかに『セラフィム』と酷似している。赤い装甲であることが相違であるし、打刻された『Ⅵ』から推察するに後継機か後続機なのだろうと思える。
だが、あの音声はグリードオーシャンで聞いた言葉と似通っていた。
時はさかまかない。
故に、神隠しであったとしても過去に飛ぶことはない。
ならば、それは。
「同じ思考を持った『エイル』様が各世界に存在しないと筋が通らないではないですか。そんなことが在り得ると?」
わからない。起こり得るのか。それともありえないことが起こっているのか。もしくは両方なのか。
だが、ステラの思考が辿り着くのは別のものであった。
「……『エイル』様ハーレム?」
やっぱやべーメイドじゃねーか! いつもどおりであるとも言えた。
「……あれ、甲板ぬれてる?」
ルクスはなんか甲板がしっとりしていることに気がつく。そんでもってなんかハーレムがなんとかかんとかって聞こえたしこれヨダレなのでは、とルクスは気がつく。
うへーって思ったけれど、それ以上を考えてはならない。
今は鉄板と金の入手が一番!
「世界調律(セカイチョウリツ)、いきますよー!」
なんかあらゆるものをごまかしてルクスの巨大音叉剣がユーベルコードの輝きを解き放つ。
そう、それは在るべき姿に戻すユーベルコード。
迫る異形機はそれをさせぬと迫るのだ。
けれど、飛空艇に変じたステラが飛び込む。全面に押し出した風の盾。
それが魔導兵器すら弾き飛ばしながら、異形機へと激突するのだ。
「空を駆けることで、他に遅れをとるわけにはいきません!」
テンペスタース・クリス。
突進の一撃は、ステラにとっては芸のないことであったけれど、それでもこれが最も有効的な突撃であると彼女たちは知っている。
軋む異形機。
「停滞を望むのではない。永遠を望むのだ。歯車に歯車の矜持がある。錆付くことなく、摩耗すること無く、役目を果たし続ける。それだけが」
「いつかは擦り切れてしまう。なくなってしまう。それが世界のあり方でしょう! だから! 在るべき姿にもどりなさーい!」
ルクスの音叉剣が異形機を切り裂く。
その一撃は、たしかに装甲を切り離した。
けれど、彼女の一撃は在るべき姿に戻すもの。
オブリビオンとして、過去の産物として、化身としてにじみでたのならば……。
「って、あぁ!? 鉄板も消えちゃ……!?」
そうである。霧散霧消するのである。
折角お土産に持って帰れると思った装甲もとい鉄板。
それもルクスの手に降り立つ瞬間に霧散してしまう。思い通りにいかない。ルクスが思えば思うほどに、その勇者としての役割が、彼女の思うことを思うままにしてくれない。
これもまた理なのだというのならば、ルクスは、がっくり心の汗を流す。
ぺちゃって甲板がぬれているのが気になったけれど、ルクスはあーもーめちゃくちゃだよー!って気持ちで天を仰ぐしかないのであった――。
大成功
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佐伯・晶
録音された音と違う声
一体何の声なのか気になるね
戦闘を引き延ばし気味に戦って
話す内容を聞いてみようか
ガトリングガンで攻撃しつつ
ワイヤーガンで回避したり
神気で防御したりするよ
黄金化光線を使ってきたら
神気でダメージを軽減しつつ
敢えて受けてみよう
こちらを無力化した後に
どんな事を話すか気になるからね
黄金化して動けない状態で攻撃されても神気で防御はできるし
危なそうならUCを使い
麻痺を回復しつつ黄金の彫像のまま戦おう
あの巨体なら隠密しても何かしら痕跡は追えるしね
後はあれが遺骸兵器であるなら
オブビリオンを倒せば
ブラスターのように機体が残るのかな
録音されたデータが回収できるなら
聞いてみたいところだけどやれるかな
錆浮く赤い鎧の巨人のから最初に響いたのは録音されたかのようの音声。
ノイズが混じった音は、人の声であったけれど、それが肉声ではないことは疑いよう野菜事実であった。
しかしオブリビオン、金の浄化『天空の黄金教ゴーレム』と融合した異形機のフェイス部に生まれた口唇が震わせたのは、紛れもなく声であった。
「全てはフォーミュラの意思……」
その言葉が意味するところは一つしかない。
『アルカディア争奪戦』においてさえ姿を現さなかったオブリビオン・フォーミュラ。
ならば、『皇帝』パッセンジャーの『無敵機械』の残骸をもって『遺骸兵器』と融合するのが、オブリビオン・フォーミュラの意思なのか。
猟兵たちの攻勢によって異形機はきしみ、戦いが終わりに差し掛かる。
「……先の音声とは違う声……一体何の声なのか気になるね」
「停滞ではなく永遠。ならば世界を破壊することが永遠を成すこと」
口唇が震える。
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、ガトリングガンの生者を行いながらワイヤーガンでもって空を舞うようにして放たれる光線を躱す。
敵の攻勢は苛烈であった。
神気を纏い、ダメージを軽減することができるのだとしても危険極まりない。
けれど、逆にこうも考えるのだ。
危険の渦中にこそ得られるものがあるのではないかと。
放たれた黄金に光線を受け止め晶の体が黄金に変わる。
「これこそが美しき姿。黄金律。美しきものは不滅である。不滅であることは永遠であるということ」
異形機が黄金へと変えられた晶へと一歩進む。
魔導兵器であるクリスタルビットが迫る。
その彼女の周囲に魔法陣が浮かぶ。
それは、邪神の施し(リビング・スタチュー)。例え黄金化されていたとしても、彫像化の魔法陣が煌めく。
ユーベルコードに寄る上書き。
晶の体はいま彫像へと変貌し、その肉体改造ともいえる力によって増強された身体能力は、黄金のままにクリスタルビットの乱舞を躱す。
「どんなことを話すか気になっていたけど、やっぱりオブリビオンらしいことを言う。永遠を求めるから、世界を壊す。『今』を壊せば『未来』はない。残るのは『過去』だけ。それを永遠と呼ぶのならば、そうなのかもしれないけれど」
晶は走る。
どれだけ隠密化したとしても、此方を攻撃するのならば、その起点が見える。
「続いていくこともまた永遠だよ」
突きつけるガトリングガンの銃口が『遺骸兵器』に挟まれるようにして丸まっていたオブリビオンを捉える。
引き金を引くことに躊躇いはなかった。
放たれる弾丸がゴーレムの体を打ち抜き、その肉体を霧消させていく。
上下に分かたれていた赤い鎧の巨人は、もはや残骸と呼ぶにふさわしい様相であった。
崩れ、落ちていく体。
錆の浮いた装甲は、大地に落ちる度に砕けて消えていく。
「……あの『ブラスター』のように残るかと思っていたけれど……この機体ももう限界だったのかもしれないね」
晶は残骸を見やる。
もうそこにあったのは『遺骸兵器』としての力のない物体だけだ。
上下に分かたれていたのは、キャバリアで言うところのオーバーフレームとアンダーフレームといった処だろう。
ならば、中心に在ったであろうものが見当たらない。
空洞であったのか。
「……じゃあ、あの音声は何処から……」
頭部らしきものを見やる。
ひしゃげたフェイス部分。口唇はすでにない。あるのは『Ⅵ』と打刻された装甲のみ。
赤い鎧の巨人は、もう眠りについている。
もう二度と目覚めることのない眠り。
静かな大空の果てに、眠るように崩れ果てたかつての何者かを看取り、晶は再び世界に踏み出す。
未だ謎の残る世界。
フォーミュラ現れぬ世界に、再び戦乱が巻き起こる時、明らかになるものがあるかもしれない。
晶は、その日のためにまだ歩み続ける――。
大成功
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