あったか紅茶、キンモクセイのジャムを添えて
●グリモアベース
「アルダワ世界の北方帝国にある小さな町で、災魔が出現します。倒してきてください」
アウグスト・アルトナー(黒夜の白翼・f23918)は語る。
「その災魔はお茶会と縁があるようで、お茶会が行われている場に出現するようです。まずは、犠牲者が出る前にお茶会に先回りして、人々と交流して災魔の情報を集めてください。お茶会を楽しみながら行うのが自然だと思います」
町で行われるお茶会について、アウグストは説明を始める。
「この町には大きめのガラス温室と、そこに併設されたオープンテラスカフェがあります。お茶会は、そのカフェで行われます」
屋外なので、温室を見上げながらお茶をいただくことが可能だ。温室では様々な花が栽培されており、今はキンモクセイが花盛りである。
「カフェのメニューも、キンモクセイが主役なんです」
ホットの紅茶とスコーンには、キンモクセイのジャムが付く。紅茶に溶かしても良し、スコーンに塗っても良し、だ。
キンモクセイのゼリーは、ほんのり甘酸っぱいレモン味だ。小さな花々が、透明なゼリーに閉じ込められている。
それから、キンモクセイのレアチーズケーキ。これは、キンモクセイの花入りのナパージュ、つまりジュレ状のデコレーションが上部に塗られた、特製のレアチーズケーキである。
「なお、ティーセットは溶錬水晶製……つまり、ガラス製だそうです」
鉱物資源が豊富な北方帝国に、この町はある。それゆえ、水晶の産出が豊かだ。その水晶を高温で溶かし固めて作った、ガラスのティーポットとティーカップである。
「温室の扉は、開け放った状態にしてあります。オープンテラスであるカフェにも、ふわっとキンモクセイの香りが届くと思いますよ」
手元のお茶やスイーツだけではなく、キンモクセイの香りを含んだそよ風も楽しめるのだ。
「皆さんは災魔が来る前に現地へ転移できますが、お茶会にまつわる災魔について、現地の人たちは何かご存じかもしれません。上手く情報を集めてみてください」
グリモアが光り輝き、猟兵たちを送り出す――アルダワ世界、北方帝国へ。
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願いします。
●第1章
町の中にあるガラス温室に併設されたカフェで、お茶会を楽しみます。
災魔に関する情報も、人々と交流して集めてください。
カフェのメニューはオープニングのとおりです。ちなみに、レアチーズケーキはお持ち帰りも可能です。
●第2章
お茶会にまつわる災魔とのボス戦です。
詳細は伏せます。
●プレイング受付
第1章は、10月2日(日)8:31~10月4日(火)23:59まで受け付けます。
第2章は断章投下後に受付開始します。期間はシナリオタグでお知らせします。
それでは、良きひとときと、良き戦いを。
第1章 日常
『花やかなお茶会』
|
POW : カフェでまったり過ごす
SPD : お菓子を購入する
WIZ : 温室の花を観賞する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラクリマ・トランクィッルス
キンモクセイのお花とお茶会。
災魔のことがなかったら、秋の贅沢ですね。
初依頼ですし、アドバイスに従ってお茶会に参加して、
そこでお話を聞かせていただきたいと思いますね。
お茶は、ホットの紅茶とレアチーズケーキをお願いしたいです。
ガラスのティーセットは、とても綺麗で見惚れてしまいますが、
傷つけてしまわないか、ちょっとどきどきしてしまいますね。
災魔のことは、お茶を楽しみながら会話をしつつ聞いてみたいと思います。
それなりに知られている感じでしたので、物語などになっていたりしないでしょうか?
伝わっているお話があるのなら、そこには必ず真実も含まれているはずです。
しっかり聞いて、考えてみたいと思いますね。
●役者の卵、お茶会に参加する
(「キンモクセイのお花と、お茶会」)
災魔のことがなければ、気兼ねなく、秋の贅沢と呼べるはず――ラクリマ・トランクィッルス(いつかは王子様・f38587)は、そちらに心を向けた。
(「初めて受ける依頼ですし、アドバイスに従いましょう」)
お茶会に参加して、人々の話を聞く。
そうするべく、ラクリマは空いているテラス席に着いた。
注文を取りに来たカフェの店員へと、ラクリマは控えめな声で告げる。
「ホットの紅茶と、レアチーズケーキをお願いします」
ほどなくして、それらが運ばれてきた。
(「とても綺麗」)
紅茶で満たされている、透き通ったティーカップ。ラクリマは思わず、我を忘れ見入った。
けれど、繊細なそのカップを見ているうちに、ラクリマの中で、不安が頭をもたげ始める。
(「傷つけてしまわないでしょうか……」)
心臓がうるさく鳴り始めた。
カップをどこかにぶつけてヒビを入れてしまわないか。カップをソーサーに置く際に手が滑って砕いてしまわないか。うっかり落として割ってしまわないか……ネガティブな想像がぐるぐる巡る。
(「とにかく、お茶を楽しまないと」)
そっとカップを持ち、紅茶を飲む。喉を通るその温かさで、少し心が落ち着いた気がした。
「あの、わたし、この辺りに伝わっている物語について聞いてみたいんです」
「あら、そうなの?」
近くに座っていた女性が反応を返した。
「はい。お茶会にまつわる災魔のお話、何かご存じないでしょうか?」
「そうね……人々をお茶会に招待する猫の話があるわ」
「猫、ですか?」
ラクリマは、レアチーズケーキへと静かにフォークを入れながら尋ねた。それからケーキを口に運ぶ。優しい味わいだ。
「ええ。その猫のお茶会に招待された人は、一生抜け出せないんですって」
「なるほど。ありがとうございます」
ケーキを食べながらも、ラクリマはしっかりと話の内容を頭に入れ、考えた。
この物語の内容は、真実か、否か。
いずれにしろ、災魔の手がかりの一つを掴んだという確信があった。
成功
🔵🔵🔴
明堂院・悠々子
※アドリブ等OK
お花を見ながらお茶会なんて風流で素敵ね。
えーっと注文は、ティーセットとゼリーとレアチーズケーキを1つずつ。あとお持ち帰り用でレアチーズケーキを3つ包んでいただけるかしら?
注文が届くまでの間に他のお客様から情報収集しておくわね。ひとまず隣の席の方から話しかけてみようかしら。
お茶会を狙う災魔……その理由について手がかりが得られたら良いのだけれど。
注文が届いたら、さっそくいただきます〜。
……(もぐもぐ)……う〜〜ん美味しいわぁ〜♪
キンモクセイの香りすら美味しく感じるわね。
後で追加オーダーしようかしら。美味しいからペロリといけちゃいそう!
●どれも美味しいから
「お花を見ながらお茶会なんて、風流で素敵ね」
桃色の髪を風に揺らし、明堂院・悠々子(人恋しお狐様・f38576)は柔らかな表情で口にする。
それから、カフェの店員を呼び止めた悠々子は、こう述べた。
「えーっと注文は、紅茶のセットとゼリーとレアチーズケーキを1つずつ。あとお持ち帰り用でレアチーズケーキを3つ包んでいただけるかしら?」
これを聞いた店員は少し驚いた表情になったが、すぐに笑顔に戻り、『かしこまりました』と応えた。
店員の背中を見送った悠々子は、隣の席の客に話しかける。
「ちょっといいかしら?」
「ん、何かな?」
隣の席にいたのは、性格の良さそうな青年だ。彼に向けて、悠々子は問う。
「お茶会を狙う災魔について、ご存知かしら」
「ああ、聞いたことはあるね」
「良かったわ。それじゃあ、災魔がお茶会を狙う、その理由はどうかしら?」
「うーん……その災魔は、人々をお茶会に誘ってるらしいからね。お茶会が好きな人なら、自分のお茶会にも来てくれると思ってる……とか?」
青年に自信はなさそうだが、手がかりは得られた。
「面白い話ね。ありがとう」
悠々子が青年へと礼を言ったところで、店員がトレイを持って戻ってきた。
「あ、来たわね」
テーブルに所狭しと並べられる、紅茶にスコーンとジャム、キンモクセイのゼリー、それに皿に載ったレアチーズケーキが1つ。紙箱に入った持ち帰り用のケーキが、3つ。
「さっそくいただきます~」
ぽんと手を合わせてから、悠々子はフォークを持つ。
まずはレアチーズケーキから。フォークで一口大に切り分け、ぱくりと一口。
無言でもぐもぐ。食べている時は喋らない。
飲み込んでから、悠々子は口を開いた。
「う~~ん美味しいわぁ~♪」
至福の表情である。
「キンモクセイの香りすら美味しく感じるわね」
風が運ぶ花の香りさえも、美味しさの一部であるようだと、悠々子には感じられた。
「後で追加オーダーしようかしら。美味しいからペロリといけちゃいそう!」
ケーキの次はゼリー、それから紅茶とスコーン。皿やカップは、瞬く間に空になっていったのだった。
成功
🔵🔵🔴
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
此処殆ど初めてだ
本格的魔法世界って憧れある
指鳴らしてお茶の支度とかさ
陸井と話し歩くとお上りさんだよね
でも楽しいな
温室で金木犀も良いな
魔法で物理関係無いんだろうなぁ
「シルバーレインの結社に温室あったけど比べらんない。
すごい大きいね」
お茶とレアチーズケーキを頼んでから
周囲の話に耳を傾け
そういう噂は現場で語られるもの
近くで耳に入ったら興味津々の顔で
詳しく聞く
「観光だし、そういうの聞けたら嬉しいんだ」
とか笑顔で
情報は陸井としっかり心に刻む
勿論ケーキもお茶も楽しむ
陸井のスコーン一個とケーキ半分交換して
「ジャムとか買って帰ろ?」
相棒の言葉に頷き
「台無しにしない為に、必ず護ろう」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
アルダワに来るのは初めてだ
ちょっとばっかり観光…とはいかないか
相棒もわくわくしてるのも感じるから
少しは楽しみつつ、だな
「ふふ、確かにそうだな。初めての世界はわくわくするもんな」
町並みは眺めるだけにしてお茶会へ
「これは…ほんとに見事な温室だな」
これだけ立派な場所でお茶会を開いてる人達なら
お茶会にまつわる災魔の噂は聞いてるはずだ
出来るだけ色んな人と話してみよう
勿論、溶け込む為にもお茶会を楽しみながら
「いやしかし…チーズケーキも本当に美味いな」
相棒が頼んだものに舌鼓を打ちながら
聞いた情報はしっかりと頭に入れておく
「こんな見事な場所とお茶会、台無しにさせられないな」
●二人の想い
葛城・時人(光望護花・f35294)の青い瞳が、アルダワ世界の風景を見回す。
(「此処、ほとんど初めてだ」)
シルバーレイン世界出身の時人にとって、本格的に魔法がテクノロジーの一種として発達し、人々が当たり前のようにその恩恵を受けている世界というものには、憧れがあった。
(「指鳴らしてお茶の支度とかさ」)
ただそれだけでお茶が入る、魔法のティーポットなども、アルダワ世界にはあるかもしれない。時人は思いを馳せ、心を躍らせる。
そんな相棒を視界に入れながら、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)もまた、楽しげな表情を浮かべていた。
(「アルダワに来るのは初めてだ。ちょっとばかり観光……とはいかないか」)
災魔が来るという予知がなければ、じっくりと見て回りたいぐらいだ。
時人は、にこにこしながら陸井に話しかける。
「こうして陸井と話し歩いてると、お上りさんだよね」
「ふふ、確かにそうだな」
「でも楽しいな」
「初めての世界はわくわくするもんな」
相棒同士、同じ気持ちであることが、互いに嬉しく感じられた。
町並みを軽く眺めて歩き、二人はお茶会に向かった。
大きなガラス温室の近くに、カフェのテラス席が設置されている。
「これは……ほんとに見事な温室だな」
陸井が唸る横で、時人もまた息を呑む。
「……結社に温室あったけど、比べらんない。すごい大きいね」
思い返すのは、銀誓館学園の結社のこと。
今、目の前にある温室は、ビニールハウスならぬガラスハウスであり、規模も目を見張るものがあった。
(「魔法で物理関係ないんだろうなぁ」)
時人は想像する。
「これだけ立派な場所でお茶会を開いてる人たちなら、お茶会にまつわる災魔の噂は聞いてるはずだ」
「だね、陸井」
頷き合った陸井と時人は、お茶会の席に着く。
時人は紅茶とレアチーズケーキを、陸井は紅茶とスコーンのセットを注文してから、人々の話を聞き始めた。
陸井は出来るだけ様々な人と話をし、時人は周囲の話に耳を傾ける。
今のところ災魔の情報こそないものの、周囲の人々はいつしか、和気藹々とした会話を陸井と行っていた。
それに、二人は、紅茶とお菓子を楽しみ、お茶会の空気に溶け込むことも忘れていない。
「陸井、そのスコーン一個ちょうだい。代わりに、俺のケーキ半分あげる」
「ん、分かった」
お菓子を交換して、それぞれが相棒からもらった物を口へ運ぶ。
時人が口にしたスコーンからは、ふわりと甘く優しいキンモクセイの香りが漂った。
「あ、このジャム塗ったスコーン、美味しい。陸井、後でジャム買って帰ろ?」
「そうだな、それも悪くないな。いやしかし……チーズケーキも本当に美味いな」
陸井は素直な感想を述べる。爽やかな味わいのレアチーズと、キンモクセイの相性が抜群だ。ビスケット生地のサクサク食感も楽しい。
その時。
「きゃはは! きゃっ、きゃっ!」
5歳に満たないであろう幼い少女が、席を勝手に立ち、はしゃぎ始めた。
「おっと。お茶会では大人しく、だ」
「陸井の言うとおりだよー。もしも転んで怪我しちゃったら、すっごく悲しいんだからね」
「えー……」
大人二人を見上げた少女はしょんぼり顔だ。その隙に、彼女の母親が来て、少女を捕まえる。
「こら、ダメでしょ! ……お二人とも、すみません」
母親は、ぺこぺこ平謝りだ。
「いや」
「いいんだよー」
笑って許した二人を見て、ようやく安堵した母親は、少女に向き直る。
「悪い子は、ティーパーティーキャットのお茶会に誘われちゃうんだからね」
時人が興味津々の眼差しを向ける。
「そのティーパーティーキャットって、何? 観光だし、そういうの聞けたら嬉しいんだ」
「東の鉱山からやって来る、猫の災魔の言い伝えです。怖い猫ということで、子供に言い聞かせてしつけをするのにこの話が使われます」
(「……陸井」)
(「ああ」)
二人は情報をしっかりと頭に入れる。
母親と少女が離れた席に戻って行ったのを確認してから、陸井は時人に声を掛けた。
「こんな見事な場所とお茶会、台無しにさせられないな」
時人が力強く頷く。
「台無しにさせない為に、必ず護ろう」
護る――それは、二人の共通の意志だ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
山立・亨次
正直なところ茶会のメニューの方に興味がある
が、それを災魔とやらに滅茶苦茶にされちゃ堪ったモンじゃねえな
研究も退治もしっかりやろう
カフェのメニューは全制覇する
紅茶とスコーン、ゼリーにレアチーズケーキも、全部だ
これくらいならサイズ気にしなくても俺なら全部食えるだろ(高校生男子胃袋)
味や食感、作った奴の話なんかも聞いて全部メモを取る
勿論食前のいただきますと、食後のご馳走様も忘れずにな
(※どんなに美味しくても基本無表情なため、美味しいものには美味いとちゃんと言葉で伝える)
確か学園の災魔ってのは地下迷宮から湧くんだったか
なら、来るなら鉱山からか?
水晶の鉱山について聞いてみるか
内部構造とか詳しく聞ければな
●猟理師の誇り
(「茶会のメニューの方に興味がある」)
それが、山立・亨次(人間の猟理師・f37635)の正直な気持ちであった。
(「が、それを災魔とやらに滅茶苦茶にされたら、たまったモンじゃねえな」)
食事の場を荒らされ、食事を楽しむ人々の命が脅かされる。それは、亨次にとって、看過できる事態ではない。
(「研究も退治もしっかりやろう」)
亨次は、お茶会の席に着き、注文する。
「紅茶とスコーン、ゼリーにレアチーズケーキを」
メニュー全てを制覇しようとしている。
(「これくらいならサイズ気にしなくても、俺なら全部食えるだろ」)
17歳男子。いっぱい食べられる年頃なのである。
やがて、全ての品が卓上に勢揃いした。
「いただきます」
その一言を言うのを忘れない。
まずゼリーを匙ですくい、一口。
(「爽やかなレモン味の、ぷるりとしたゼリーだ。すっと口の中で溶けた後、キンモクセイの花の香りがふわりと広がる」)
亨次は無表情のまま、メモにペンを走らせる。
次は、ジャム付きの紅茶とスコーンだ。
(「紅茶とスコーンは、ほっと心和む素朴な味だ。そこに、キンモクセイのジャムが加わることで、特別感が引き立てられている」)
最後を飾るのは、レアチーズケーキである。
(「きらめくナパージュに閉じ込められた花々。まるで宝石だ。それに味も、程良い酸味とコクが絶妙だ」)
手を合わせ、『ご馳走様』を言って。
亨次は、女性店員を呼び止める。
「これを作った奴の話を聞きたい」
「あ、私です」
「そうか。とても美味かった。レシピを教えて欲しい」
表情に出ないがゆえに、美味しかったという感想は言葉で伝えるのが亨次のポリシーだ。
嬉しそうな顔の店員から聞いたレシピを、亨次はしっかりメモしていく。
「それと、水晶の鉱山について知りたい。内部構造とか」
魔法学園の災魔は地下迷宮から来る。ならば、鉱山から来るかもしれない、と亨次は考えたのだ。
近くにいた男性客と、亨次の目が合う。
「東の鉱山なら、入り口近くは広い空間だ。奥は枝分かれしてる」
「ありがとう」
亨次は女性店員と男性客に礼を述べ、席を立った。
災魔を迎え撃つため。
大成功
🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
なんと、お茶と縁がある災魔ですか
大変興味がありますが、人々に災厄を起こすというのならば対処しなければなりませんね
最近この辺りで不審な影や現象が起きていないか等、お茶会の給仕側に回りこの町の皆様とお言葉を交わし情報収集します
とはいえここは花々が咲き誇る穏やかな場所。皆様にお茶会を楽しんでもらうのを優先したいところです
キンモクセイのジャムと合わせるのでしたらば紅茶は濃い目の物が合うでしょうし
チーズケーキならニルギリがよろしいかと。お茶を選ぶのも楽しいですね
お菓子は後でお持ち帰りして友人たちと頂きましょうかね
ついでにこちらのガラスのティーポットはどちらで購入できるかもそれとなく皆様にお伺いします
●ティーソムリエの手並み
(「なんと、お茶と縁がある災魔ですか」)
ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は、かなり興味を惹かれていた。ティーソムリエである彼はお茶を愛する青年であり、お茶があると聞けばどこにでも現れる。
(「ですが、人々に災厄を起こすというのならば、対処しなければなりませんね」)
一人の猟兵として、ディルはそれを忘れてはいない。
お茶会の給仕側に回った彼は(カフェのスタッフたちは快く受け入れてくれた)、さりげなく人々と言葉を交わして、情報収集を試みる。
「恐れ入ります。最近この辺りで、不審な影を見かけたり、おかしな現象が起きていたりする、というようなことはありませんか?」
「ふむ、心当たりはないな。だが、東の鉱山付近ではよく災魔らしき影が見かけられるそうだ。この町にもやって来たりしないといいんだが」
それを聞いて、ディルは思い返す。
(「確か、『町に災魔が出現する』『お茶会が行われている場に現れる』という予知でしたが、それは猟兵による介入がなかった場合でしょう。つまり――」)
鉱山から敵が来ると分かっているのであれば、先にそちらに向かって迎撃すれば、このお茶会が襲撃されるのは防げるということだ。
「兄ちゃん、一体どうした?」
「いえ。何でもありません」
穏やかにディルは微笑み、紅茶を淹れる。
(「ここは花々が咲き誇る穏やかな場所。皆様にお茶会を楽しんでもらいましょう」)
選んだ茶葉は故郷の世界から持参したニルギリ、抽出は濃い目。甘いレアチーズケーキに合うのは、適度な渋みと軽やかな味のあるニルギリで、キンモクセイのジャムと合わせるなら濃い紅茶が合うと、ティーソムリエとしての知識から判断したのだ。
「ん、美味い」
「恐悦至極に存じます」
お茶会の客へと、ディルは一礼し、下がる。
(「お菓子は後でお持ち帰りして友人たちといただきましょうかね」)
考えつつ、ディルはカフェのバックヤードへ。
店員からは、ガラス製ティーポットはこの町の市場で買えるということも聞けた。
(「まずは鉱山ですね。全て片付いた後、ゆっくり買いましょう」)
ディルは、気を引き締めた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ティーパーティーキャット』
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POW : ニャんでもニャい日をいわおうじゃニャいか
【宙に浮かぶ瞳から死の視線 】を向けた対象に、【闇の輝き】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : 赤のクイーンの使い
レベル×5体の、小型の戦闘用【 トランプ兵 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : 死んでもダンスを踊りましょう
【 お茶会に招待された者達 】の霊を召喚する。これは【魔法】や【剣技】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:鳥季
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠カナタ・アマガ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●情報
お茶会の中で、猟兵たちが人々から集めた情報は、以下のとおりだ。
・災魔は、人々をお茶会に招待する猫。その猫に招待された人は、一生お茶会から抜け出せなくなると言われている。
・災魔がお茶会を狙う理由は、『お茶会が好きな人なら、自分のお茶会にも来てくれると思っているから』なのかもしれない。
・名前は『ティーパーティーキャット』。東の鉱山からやって来る。
・鉱山の内部は、入り口近くは広い空間。奥は枝分かれしている、という構造である。
・東の鉱山付近では災魔がよく見かけられる。町にやって来る可能性も考えられる。
これらの情報を元に、猟兵たちはお茶会の場を離れ、東の鉱山に向かうこととなる。
●迎撃
人払いを済ませた猟兵たちは、水晶鉱山の内部、入り口近くで敵を待ち伏せる。
すると、複数ある通路のうち、一本の通路の奥から、気配が近づいてきた。
姿を現したのは、浮遊する大きなティーカップに入った、オッドアイの白猫である。
「んん? あニャたたちは、一体ニャに者だい? ……いや、猟兵か。ニャあ、わたしは、お茶会に向かわニャければニャらニャいんだよ。どうか、そこを通してくれニャいか」
白猫はぺらぺらと人語を喋り、お願いしてくる。
けれど、猟兵たちが大人しくどくことはない。この災魔が言う『お茶会に向かう』というのが、『お茶会に参加している人々を、災魔自身のお茶会の参加者にする』という目的であり、それは人々を危険に晒すことに他ならないと知っているからだ。
「そうか……ニャらば、仕方ニャい。死んでもらうしかニャいニャ」
災魔、ティーパーティーキャットは戦闘態勢に移る。猟兵たちもまた、身構えた。
明堂院・悠々子
アドリブ連携◎
【WIZ】
残念ね、そのお茶会が安全なものだったらあなたの邪魔なんてしなかったのに。
まずは向こうの攻撃を【ファイヤフォックス】で各個迎え撃つわ。
そして隙を見て狐火を複数合体させて本体を攻撃。
早く倒してお持ち帰りにしたレアチーズケーキを堪能しなくっちゃ!
●守護者は未来を夢見る
「残念ね、そのお茶会が安全なものだったらあなたの邪魔なんてしなかったのに」
悠々子は言い放つ。
このアルダワ世界の平和も、守りたいと彼女は願う。陰陽師一族に生まれた、守護者であるがゆえに。
だから、目の前の白猫は、紛れもない敵だ。
「わたしのお茶会は安全だとも。この世の苦悩を全て忘れて、永遠にお茶を楽しんでいられる。ニャにが問題ニャんだい?」
白猫は首を傾げ、亡霊たちを召喚する。
彼らは、白猫のお茶会に招待された者たちの霊――おそらくは、ずっと昔に犠牲になった人々だ。
「ほら、誰も彼も楽しそうじゃニャいか」
「私にはそうは見えないわね。お茶会の他にも、彼らにはまだまだやりたいことが沢山あったはずよ」
「……黙ってくれニャいかニャ」
白猫の力で、強制的に使役された亡霊たちが、悠々子に襲いかかる。ある者は剣を振り上げ、別の者は魔法の発動準備を行った。
「もう少しだけ待ってね。自由にしてあげるから」
悠々子は亡霊たちへと語りかけると、ユーベルコードでの迎撃を行う。
100を超える数の|狐火《フォックスファイア》が空中に浮かぶ。
それらの炎は悠々子の意思に従って飛び交い、蛍火のように尾を引きながら亡霊たちへと向かった。
ある炎は剣を持つ霊の手元に当たって武器を落とさせ、別の炎は魔法から悠々子を守る盾代わりとなる。
「ニャにをやってるんだ! 使えニャいニャ!」
白猫――ティーパーティーキャットが、亡霊たちに対して怒声を上げる。
「隙あり、ね」
悠々子は白猫を改めて見据えると、無数の狐火を一つに集めた。炎の勢いが増し、激しく燃え上がる。
すっと悠々子が白猫へと指を向けると、その業火は白猫へ向かって飛び、その身に衝突して大きく焦がした。
「ニャあ……っ!!」
悲鳴を上げた白猫を、悠々子はしっかりと見つめる。
(「早く倒して、お持ち帰りにしたレアチーズケーキを堪能しなくっちゃ!」)
心は、既に未来に向いていた。あの舌触りまろやかなケーキが、悠々子を待っているのだ。
成功
🔵🔵🔴
山立・亨次
ディル(f37834)と合流
こういうのは基本的に裏方なんだが
出来る限りのことはやろう
戦場猟理・極でスイーツを量産
折角だからさっきのスイーツ再現してみるか
スコーンとジャム、ゼリーにケーキ
敵の攻撃もこれで回復出来るしな
(こちらからの攻撃は視肉のカムにお任せ※カムもケーキ食べてる)
まァそういうことだ
お前のやろうとしてることも大体今の俺らがやってることと同じなんだよ
それがなけりゃあこんな真似……いやそもそもそれなら|災魔《オブリビオン》になってねえか
(無表情だがモフモフが敵であることが少し残念)
ん?
紅茶に合わせるならやっぱジャム塗ったスコーンだな
俺が再現したモンならあるが食うか?
(紅茶を一杯貰いつつ)
ディル・ウェッジウイッター
亨次(f37635)と合流
お茶会をする為に街に向かわなければならない、ですか
その必要はございませんよ
ここでお茶会を開きますから
UCを発動し戦場をお茶会の会場にします
幸いにもここには腕の立つ料理人がおりますのでお菓子には困りません
そして私も茶葉は十二分揃えて参りましたゆえ、途中で終わることはございません
心ゆくまで楽しみましょう
…このお茶会には飽きた?外に行きたい?
申し訳ありませんが、そのご要望にはお応えできません
あなたが外に行きたくないと思うまで、お茶会は続きます
まだまだお付き合い下さい
ところで私、先のお茶会のお菓子にまだ手を付けていないのです
亨次、参考に聞きたいのですが、おススメはどれですか?
●レッツ・ティーパーティー
(「こういうのは基本的に裏方なんだが、出来る限りのことはやろう」)
戦いに臨む亨次は考える。
その隣で、彼と合流したディルが、白猫へ向かって口を開いた。
「お茶会をする為に町に向かわなければならない、ですか」
「そうニャんだよ! だから――」
「その必要はございません。ここでお茶会を開きますから」
「――ニャんだって?」
穏やかな微笑と共にディルが告げた言葉に、白猫は虚を突かれ、目を瞬かせた。
ディルはユーベルコードを発動する。『|午後のお茶会《ティーパーティー》』の始まりだ。周囲一帯が、お茶会の会場と化す。
「幸いにもここには腕の立つ料理人がおりますのでお菓子には困りません」
ディルの発言に亨次が頷く。亨次もまた、ユーベルコードを使用した。
『|戦場猟理・極《センジョウリョウリノキワメ》』。亨次が背負うバックパックから取り出された食材が、数多くのスイーツへと姿を変えていく。
(「折角だからさっきのスイーツ再現してみるか」)
スコーンに、キンモクセイのジャム。キンモクセイのゼリー、キンモクセイのレアチーズケーキ。
それらを見た白猫が、ゴロゴロと喉を鳴らし始める。
(「喜んでいるな」)
動物に詳しい亨次には、すぐに分かった。
亨次は、顔こそ無表情のままだ。けれど、この純白のモフモフが敵であることが、亨次にとっては少しだけ残念であった。
「私も茶葉は十二分揃えて参りましたゆえ、途中で終わることはございません。心ゆくまで楽しみましょう」
ディルは穏和な笑顔を浮かべる。
「……ニャらば、お付き合いしようじゃニャいか!」
白猫は攻撃態勢を解き、ディルたちのお茶会への参加を表明したのだった。
それから数時間は経っただろうか。
ディルが淹れる温かい格別の紅茶に、亨次が用意した各種スイーツが場に並んでいる。
それらの味そのものに対し、白猫に不満があろうはずもない。
だが……。
「……そろそろ外に行きたいニャ。このお茶会も良いのだけれど、わたしは自分のお茶会を開かニャければニャらニャいのだよ」
白猫は限界を迎えた。美味しいお茶もスイーツも、飽きてしまったのだ。
「申し訳ありませんが、そのご要望にはお応えできません」
ディルは穏やかな笑みのまま言う。
「ニャんだって……?」
「あなたが外に行きたくないと思うまで、お茶会は続きます。まだまだお付き合いください」
「ニャっ……」
「まァそういうことだ」
亨次がディルに続く。
「お前のやろうとしてることも、大体今の俺らがやってることと同じなんだよ」
「…………」
白猫は尾を勢い良く揺らし始めた――怒っている。
「それがなけりゃあこんな真似……いやそもそも、それなら」
|災魔《オブリビオン》になってねえか、と亨次は呟く。
「ふざけるんじゃニャい!」
白猫は、皿を床に叩きつける――お茶会を邪魔するその行動は、ディルのユーベルコードによって弱体化され、皿はことりと落ちた。
「わたしのお茶会は、永遠に楽しさが続くんだ! ニャあ、そうだろう!」
白猫が、犠牲者たちの霊を召喚する。亡霊たちは剣と魔法での攻撃をディルに向かわせるが、ディルは最小限の動きで避けた。霊たちの行動は弱体化され、ディルの行動は強化されているためだ。
亨次のバックパックから、ミニチュア視肉のカムが顔を出す。カムもレアチーズケーキを食べながら、両手を鞭のように伸ばし、白猫を打った。
「痛いニャあ!」
怒声と共に、白猫は球体を宙に浮かばせる。それらの『瞳』から放たれた死の視線が、亨次を襲った。亨次の右腕が闇の輝きを帯びる。
眉一つ動かさず、亨次は左手で匙を持ち、ゼリーを一口食べた。闇の輝きが消え去る。止まりかけた血流が戻るのを感じた。亨次のスイーツに込められた、治療の力だ。
「ニャんで! ニャんでニャんだ!」
納得がいかない白猫を、カムがまた、伸ばした手で打つ。
「ところで私、先のお茶会のお菓子にまだ手をつけていないのです。亨次、参考までに聞きたいのですが、おススメはどれですか?」
ディルは亨次に尋ねる。
「ん? 紅茶に合わせるならやっぱ、ジャム塗ったスコーンだな。俺が再現したモンならあるが食うか?」
亨次は、ディルの淹れた紅茶を合間に飲みつつ、答えた。
「ありがとうございます。いただきます」
ディルはスコーンの載った皿に手を伸ばす。
|お茶会《戦い》は、まだ終わらない。
大成功
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葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
ジャムは仕舞い陸井と待機
「永遠のお茶会なんて地獄だからね…」
そうだ…この世界で生きてる、ごく普通の人達
話してくれた子、カフェの楽し気な人達
災魔の茶会なんかには勿体ない
茶会猫は絶対倒す
そして囚われた『お客』を解放する事も大目的だ
犠牲者にせめて安らかな眠りをと
陸井の言葉に「OK」と応え
即時UCアークヘリオン詠唱
「茶会は自分だけでやればいい」
霊が召喚されても
光が霊たちを浄化する
「光は霊や亡者に強い…当然オブリビオンにも」
相棒に贈られた錫杖でも攻撃
ククルカンでも牽制と攻撃を
「そんなに飲みたきゃ骸の海の水を飲め!腹一杯な!」
最後は相棒が終わらせる
「これで二度と犠牲者は出ない」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
あの街並みも、お茶会も、少女の事も
災魔のせいで台無しにさせるつもりは無い
ただのお茶会であればどうぞ、だけどな
「あぁ、そんなのにあの子達を参加させない為にもな」
時人と同じ気持ちで、今はとにかく災魔を倒す
それから居るであろうお客を出してやらないとだ
敵に相対したら即武器を構えて牽制攻撃
「ティーパーティーキャット。此処で倒れるのはお前だけだよ」
初手は相棒に全力の一撃を任せる
「手加減無しで頼むぞ、相棒」
相棒の攻撃後全力で【水遁「水獄檻」】で追撃
召喚された敵も災魔もこの檻から出すつもりは無い
此処のお茶会は、これが最後だ
「お前に、あの子達のお茶会の邪魔はさせないよ」
●解放と守護
「永遠のお茶会なんて地獄だからね……」
時人は隣に立つ陸井へと言葉を向ける。キンモクセイのジャムが入った小瓶は、大切にしまい込んだ。
「あぁ、そんなのにあの子たちを参加させない為にもな」
陸井も、時人と同じ気持ちだ。
あの町並みも、お茶会も、出会った少女も。――必ず、護ると。
ただのお茶会に誘うだけならともかく。時人が言う『地獄』へと人々を引き込む災魔に、思い通りにさせるわけにはいかない。
(「そうだ……この世界で生きてる、ごく普通の人たち」)
時人は思い返す。ティーパーティーキャットのことを話してくれた女性と、その娘。楽しげな顔を浮かべた、カフェの人々。
(「災魔の茶会なんかにはもったいない」)
災魔は、絶対に倒す。
それに、災魔のお茶会に囚われた『お客』も解放すると、二人は決めていた。
白猫の前で、二人は武器を構える。
陸井が手にしたのは短刀銃。牽制として放たれた弾丸が、白猫が乗っている大きなティーカップに、弾痕を穿った。
「ティーパーティーキャット。此処で倒れるのはお前だけだよ」
「ニャにを言うんだ……わたしは死ぬ気はニャい!」
「俺たちもだ」
陸井は白猫に言葉を返すと、時人に視線を送った。
「手加減なしで頼むぞ、相棒」
「OK」
時人は頷き、白猫に向けて片手をかざす。
「始まりの刻印よ、創世の光もて敵を討て!」
詠唱と共に、輝く始まりの刻印が白猫の前に召喚された。アークヘリオン――この刻印を目にした白猫が、苦悶の声を上げた。
「うぐ……っ!」
「茶会は自分だけでやればいい」
言い放った時人を、白猫は睨んだ。
「ニャんで、そんニャことを言うんだ! かニャしいじゃニャいか……みんニャもそう思うだろう!?」
お茶会に招待された者たちの霊を、白猫は呼び出す。
時人と陸井は、これを待っていた。
アークヘリオンの刻印は、戦場に残ったままだ。
召喚された霊たちは、刻印を目の当たりにして、創世の光に浄化され、消えていく。
「ニャんで……」
「光は霊や亡者に強い……当然オブリビオンにも」
時人が呟く。
消え去る直前に、霊たちが時人たちを見て微笑んだ。
『ありがとう』と言われた気がした時人は笑顔で一つ頷き、再び表情を引き締める。
時人が手にした記憶の錫杖が、しゃん、と、清らかな懐かしい音色を発した。彼の相棒である陸井が贈った錫杖だ。
白猫は、陸井へと視線を向ける。
「来ニャさい、トランプ兵!」
ずらりとトランプ兵たちが戦場に並んだ。
時人の白燐蟲『ククルカン』が道を切り開く。その道を一直線に突き進んだ時人は、錫杖を振り上げた。
「そんなに飲みたきゃ骸の海の水を飲め! 腹一杯な!」
「ニャんてことを言うんだい、あニャたは酷いニャあ! ぐっ……!!」
玉枝の杖が、白猫の身を打ち据えた。
「後は頼んだよ、陸井!」
「あぁ、相棒」
下がった時人へと、陸井が頷いた。
全力のユーベルコードをもって、陸井は追撃する。
「閉じろ、水獄檻」
戦場内を、膨大な数の苦無が乱舞する。水でできた苦無だ。
水練忍者である陸井が用いる術式、『|水遁「水獄檻」《スイトン・スイゴクカン》』である。
その苦無が刺さったトランプ兵が、次々と消滅していった。
(「この檻から出すつもりはない」)
トランプ兵も、無論ティーパーティーキャットも。
(「此処のお茶会は、これが最後だ」)
犠牲は、もう出させない。
「お前に、あの子たちのお茶会の邪魔はさせないよ」
陸井は言い切る。
彼の漆黒の瞳には、水の苦無が無数に突き刺さった白猫が映っていた。千体はいたトランプ兵たちは、もう、一体も残っていない。
苦無は、災魔の生命力を吸い上げていく。
「ニャんで……どうして……わたしは、ただ……」
弱々しく呟いた白猫は、かくりと脱力する。尻尾が力なく落ちた。
大きなティーカップもろとも、災魔は消滅する。
「……やったな。相棒」
「そうだね。これで二度と犠牲者は出ない。……お疲れ様、陸井」
「あぁ、お疲れ様だ」
互いをねぎらい、二人は鉱山を後にする。
猟兵たちは、災魔から人々を護りきったのだ。
囚われた人々の魂も、解放された。
悲しい永遠のお茶会は、もう開かれない。
大成功
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