【邂逅遊園地】夢綴り、希う跫音
#シルバーレイン
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「あ、また」
『|Lettre Enchainez Park《レター・アンシェネ・パーク》』――通称|LEP《リップ》。
今日も街頭ビジョンにCMが流れた。最近話題のテーマパーク。CMソングだって耳タコで、すっかりもう覚えてしまった。
其処は『想いを伝える・繋げる』が根幹のテーマパーク。先生も、取材旅行と称して皆で行ってみようかと楽しげに話してた。
そんなことより原稿進めて欲しいものですなあ――なんて冗談は兎も角。
「想い、ですかあ」
思わず、溜息混じりにぽつり零れた。
『あの時』と同じように。
それは卒業式を目前に控えたある日のこと。
『ふみたん』が唐突に切り出したのが、卒業旅行の話。
当時流行りのテーマパークに行こうと言い出したふみたんは、僕と『しおりん』にとっては三人組のリーダー的存在だった。こういう時に言い出しっぺはいつもふみたんだった。
「ねえ、あそこいかない? すっごい人気の■■パーク! やっぱあそこでしょ!」
名案だと言わんばかりに表情を輝かせるふみたん。けどあんまりにも唐突だったものだから、最初は僕もしおりんも渋ったのを今でもよく覚えてる。
「い、いきなりだね? ちょっと遠すぎじゃないかな……つづは、どう思う?」
「遠出したくないでござるー……近場にもいいとこありまっせー……?」
しおりんと揃って難色を示すと、ふみたんは解りやすく眉をへにょっと八の字に下げつつも。
「ええー……『私達の卒業旅行』だよ!? ぱーっとしよ! ぱーって!」
ふみたんには、人を惹きつける魅力があった。そして、大抵ふみたんの提案に外れはなかった。
何だかんだで僕もしおりんも、最終的にはふみたんの提案に乗っかって行くのが常だった。
「むーん……ふみたんがそこまで言うなら吝かではありませんなあ。ちょっと真剣に考えてみますかー」
ふみたんの提案が通る流れになると、しおりんもおどおどながらも声を上げた。
「それじゃあ後でスケジュール立ててみるね……!」
表の纏め役がふみたんなら、しおりんは裏の纏め役といった感じだった。輪郭が曖昧だった提案も、しおりんの手にかかれば具体的な計画として再構築されて、途端に現実味を帯びてくるのだ。
二人といると、毎日楽しかった。あんまり、口に出して言ったことはないけども。
でも結局、有耶無耶になってしまった。
ふみたんが凄く楽しみにしてたのも、しおりんが一生懸命計画立ててたのも知っている。
ただ、卒業前ということもあり、僕達だけじゃなく学年全体が忙しくて。忙殺されてる内に、何だかあの卒業旅行計画どうしようね、なんて言える雰囲気じゃなくなっていたのだ。多分、それは二人も同じだったんだろう。
――少なくとも、その時は。
「……今更、かにゃ」
もうすぐ同窓会。二人にもきっと会える。
でも、あれからずっと疎遠だった。何となく気まずくて。
それに、二人のために自分は何かしたっけ、と思ったら、今からでもまた遊びに行こうよなんて、言える資格もない気がして。鼻の奥がつんと痛んだ。
「あーやだやだ、年を取ると涙腺緩くなっていけませんなあ。こういう時は寝て忘れるに限るでござるよ」
解っている。問題の先延ばしだってことくらい。
でも、寝ている間は忘れられる。それに夢の中なら何の気兼ねもなく、また二人と遊べるのかも知れない。
●
「そんな予感と期待が嫌な方向に当たっちまったわけだが」
淡々と語るのは山立・亨次(人間の猟理師・f37635)だ。
悪夢に囚われた女性――いや、今は『少女』と呼んだ方が正しいか。
「|寿《ことぶき》・|綴《つづり》。20代、漫画家アシスタント。だが悪夢に囚われた今は、悪夢の世界の中で中学の頃の姿に戻ってる」
これは彼女が当時の出来事にトラウマを抱えているが故の現象だ。猟兵達にこの法則が適用されることはないので、其処は安心していいと言う。
では、何が彼女に悪夢を見せていると言うのだろうか。それこそ、オブリビオンに付け込まれてしまうだけの、悪夢を。
「卒業旅行」
ん?
猟兵達が首を傾げると、首を傾げ返された。どうやら説明不足の自覚がないらしい。
せめて述語は略してくれるなと伝えると、ああ、と亨次は思い出したように付け加えた。
「卒業旅行に行けなかったこと、……いや、行こうと言い出せなかったことが、未だに負い目になってるみてえだな」
約束を果たせなかった。
ばかりか、きっかけにすらなれなかった。
その事実が、大人になった今も心を苛む。
「それに仲間意識でも覚えたのか、自分の気持ちを伝えることをよしとしないゴースト……いやオブリビオンが、悪夢を利用して寿を支配下に置こうとしてる。夢の中に入るためのメガリス『ティンカーベル』の貸し出し許可は銀誓館学園から貰って来た。退治を任せたい」
予知を受け取った以上、俺は転移しかできないからなと言う亨次。
では、肝心の悪夢の内容は解るのか。少しでもヒントがあれば、幾分か悪夢の中でも動きやすくなると思うのだが。
それを受け、亨次はゆっくりと口を開いた。
「爆速で動く遊園地だ」
――なんて?
「爆速で動く遊園地だ」
それはもう聞いたのよ。どういうことか説明しろと言ってるのよ。
「ジェットコースター、コーヒーカップ、観覧車。全部通常考えられないくらいの速度で運行してる。人体にギリ悪影響が出ない程度……か?」
いや、そうは言いますけれども。
ジェットコースターは言わずもがな、コーヒーカップだって三半規管が弱い者にとっては地獄だ。観覧車は元の速度が速い乗り物ではないだけまだマシだが、逆に観覧車特有の楽しみは失われていることだろう。頂上からの眺めが秒で終わる景色の何が楽しいと言うのか。
「一個でも最後まで乗り切ったら、寿を誑かしてるオブリビオンへの道が開かれる」
乗れと?? 正気か??
何がどうなって約束を守れなかった負い目がこんな|化け物《バグ》を生み出したの、綴ちゃん。
「ああそれと、オブリビオンを倒せば速度は元に戻るんで、凹んでるだろう寿を後押しするってのも込みで、遊園地で遊んで来たらいい」
口直し、って奴だなと、亨次は言う。
爆速遊具に一抹の不安は覚えるものの、これもオブリビオン退治にして人助けだ。
猟兵達は覚悟を決めて、|梟《グリモア》の羽ばたきに身を任せるのだった。
絵琥れあ
ほぼ月間シルバーレインシナリオにして、初のMS連動シナリオ。
お世話になっております、絵琥れあと申します。
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:冒険『アミューズメントパーク オブ バグ』
第2章:ボス戦『ティアドロップと呼ばれる少女』
第3章:日常『遊園地に行こう!』
第1章では、姿の見えない綴への道を開くべく、遊園地の乗り物にひとつ乗っていただきます。
但しジェットコースターは安全バーを下ろしていても振り落とされると錯覚するほど、コーヒーカップも三半規管が強かろうが軽い目眩を起こしかねないほどの爆速です。
観覧車は元が速くないのでまだマシですが、惜しいところで景色を『のんびり』楽しむことができない程度には速いです。
第2章では、綴の後悔に同調し、支配下に置こうとしているオブリビオン『ティアドロップと呼ばれる少女』を倒し、綴を取り戻していただきます!
幸い、同族意識があるのか綴を人質に取ったりなどはしないようです。しかし撃破前に綴を保護しようとすると激しく抵抗します。
また、第1章の爆速遊具を用いて戦うと、敵はその余りの速さに驚くため、猟兵に有利に働くようです。
第3章では、悪夢に見るほど深すぎる後悔の余り夢から覚めることのできない綴を後押しすべく、皆様も遊園地で遊びましょう!
遊具の速度は元に戻り、かつ遊具は『|LEP《リップ》』のものに早変わりします!
『想いを伝える・繋げる』を根幹に、手紙や郵便をモチーフにしたテーマパークには、行動選択肢の他に『手紙を届けるシミュレーションゲーム』の側面も兼ね備える郵便バイク風のゴーカートがあり、綴はそれが気になっているようです。
寿・綴について。
20代の女性、漫画家アシスタント。
但し夢の中では中学生時代の姿に戻っています。
一人称が僕、のんびりぼんやりしており口調が定まらない、いわゆる不思議ちゃん属性です。
(流石に大人になり、公の場では自分なりに矯正することができるようですが)
友人と卒業旅行の約束をしていたものの、その約束を果たせなかったことを後悔しているようです。
第1章開始前に、断章を執筆予定です。
戦闘パートの地形などの追加情報も、断章での描写という形で公開させていただきます。
断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきますので、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『アミューズメントパーク オブ バグ』
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POW : 爆速ジェットコースターにしがみつけ!
SPD : 爆速コーヒーカップで三半規管の限界に挑戦だ!
WIZ : おもんな観覧車行こう。スピード的には一番マシだ。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
夢へと、飛び込む。
眠りに落ちるような、視界と意識が黒く塗り潰されていく感覚。そして待ち受けていたのは――。
パーンパラパーンパラパパパパパパパパパパパパパパパパパーンパラパーンパラパーン!
え、うるさっ。何??
某歌劇の序曲で演奏される行進曲のようなBGMが、視界が白むより早く猟兵達の鼓膜を襲った。早くも遊園地と言うより運動会の様相。
――刹那、猟兵達の頭上をビュウンと風を切るどころか大気に風穴を開けかねない、格闘系バトル漫画の効果音のような音が聞こえた。だが天を仰いでも其処にはジェットコースターのレールがあるばかりである。
あ、いや秒で戻ってきた。そして秒で去って行った。大丈夫、ジェットコースターで間違いなかった。大丈夫?
正面にはグリモア猟兵からの情報にはなかったが、遠心力がえげつないことになっていそうな超高速回転の空中ブランコがある。ほぼ支柱と垂直に飛ぶブランコはチェーンが保つのかが非常に心配な絵面である。
そのやや後方に、例の観覧車がドンと佇んでいた。成程、確かに言うほど爆速ではない。ない、が。
乗客の都合など全く考えず、乗降口ですら減速する気配がないゴンドラが済ました顔で地上とさよならして行った。かと思えば頂上へ向かった筈のゴンドラは天を一撫でして去って行く。
観覧車の頂上で絶景を共有しつつロマンティックなキスをしようものなら、顔を離した頃には地上に着いていること請け合いである。ロマンティックとは。
更に奥へと歩を進めると、空中ブランコに負けじと超速大回転をキメるコーヒーカップの姿が。
その回転速度はコーヒーカップなんて可愛らしいものではなく、最早ハンドミキサーの類ではないだろうか。誰か安全ベルト持って来て。
うわあ、と猟兵達が遠い目になった、人によっては既に目眩すら覚え始めた、まさにその時。
『Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa』
園内を疾走するヤギの大群。
見れば触れ合いコーナーか何かと思しきスペースの出入り口が開け放たれていた。えっヤギ放し飼いにしてるの? 怖ッ。
どうやら園のマスコットキャラクターも兼ねていると言う設定らしい。その発想が綴とオブリビオンどちらから齎されたものなのかは非常に気になるところだが。
兎に角、体当りされないように気をつけなければ。あの様子だと衝突事故を起こそうものなら、こちらの方が吹き飛んでしまいかねないから。
因みにおやつも購入可能。但し餌付けを試みるなら相応の覚悟を決めて挑むべし。
そんな地獄を煮詰めたような遊園地である。
シリアス? 何それ美味しいの??
●
――さて。
気を取り直して綴の姿を探すが、見当たらない。
園内を一周するジェットコースターのレール、その中心、つまり園の中央には花壇に囲まれた噴水がある。
入場ゲートから見てそのやや奥。丁度山になったレールを背にする形で、靄のかかって存在が曖昧になっている『何か』がある。
確かに其処には何かが存在していて、恐らくは綴やオブリビオンも其処に居るのだろうが、近づこうとしたりユーベルコードで働きかけようとしても、気づけば遊園地の入場ゲートへと戻されてしまう。
成程、何かひとつ乗り物を制覇しないと目的の場所に辿り着くことすら儘ならないらしい。
さあ、覚悟は完了しているか。
爆速遊園地を、攻略せよ!
水琴・ヤト
これがこーとーむけーってやつ?
夢の世界だから不条理なのは分かるけどー……
とりあえずどれかに乗らないといけないんだよね
どれ乗ろっかなー
せっかくだからブランコにしよっと!
しっかり着席したら即お空に飛ばされそう!
うわっ片目では空が、反対の目では 地面が見える!
厳密には見えてない!景色が一瞬で流れてく!
わわっヤギさんの群れらしき物体が下を通ってった!かわいい!
手を振りたいけど振れない!振り落とされそうだから!
っていうかなんで今まで落ちてないんだろ……
ふしぎ……
地上に戻ってもしばらくはくらくらしそう~
世界がぐるぐるしてるよう……
髪もスカートもぐちゃぐちゃだぁ
ちょ、ちょっと休んでから進んでもいいかな……
●
乱れ舞う遊具。
駆け抜けるヤギ。
「これがこーとーむけーってやつ?」
ご明察!
水琴・ヤト(溺れ人魚の噂・f38518)のその一言が、この地獄を的確に言い表していた。
「夢の世界だから不条理なのは分かるけどー……」
それにしたって、である。
寧ろ何でもアリ、を免罪符にしてませんか。どうなんですか。そう誰にともなく問いかけたくなるこの惨状。
「とりあえずどれかに乗らないといけないんだよね……どれ乗ろっかなー」
地獄の押し売りクーリングオフ制度なし。終わりだ終わり。
そんなお終い遊園地。それでも遊園地であることに変わりはないのだ。乗りたいものに乗るのが吉。
(「せっかくだからブランコにしよっと!」)
実はヤト、高いところは好きな方である。
しかし観覧車は楽しむ間もなく終わりそうだし、ジェットコースターは高低差と、Gが激しそうなので。
降りてくるタイミングを見計らって、しっかり着席。
そして加速。浮遊。ブゥン。
即刻お空の旅へご案内!
と言うか寧ろ飛ばされそう!
(「うわっ片目では空が、反対の目では 地面が見える!」)
とは思うものの、厳密には見えていない!
何故なら景色は残像すらも置き去りにして、一瞬で流れて行ってしまうから!
『Baaaaaaaaaaaaaaaaaa』
(「わわっヤギさんの群れらしき物体が下を通ってった! かわいい!」)
鳴き声を伴った白い流星群のようなものが見えたような、気がしないでもない。
(「手を振りたいけど振れない! 振り落とされそうだから!」)
寧ろ振ったが最期みたいな空気感醸し出してくれてやがりますね、此処の遊具共は。
そしてふと、髪まで振り乱されながらも、静かにヤトは思い至る。
(「っていうかなんで今まで落ちてないんだろ……ふしぎ……」)
うん。
それは多分、ふしぎのままで済ませておいた方が幸せなことだ。
気にしたら負けなのだ。何に、とは説明に窮するけれど。
「世界がぐるぐるしてるよう……」
何とか地獄を乗り切った。地に足を着け、それでもヤトはくらくらと柵に力なく寄りかかる。髪もスカートも乱れに乱れまくり、ぐちゃぐちゃである。
いや、無理からぬことだろう。明らかにあの速度と遠心力は常軌を逸していた。
「ちょ、ちょっと休んでから進んでもいいかな……」
いやもう本当にお疲れ様です。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
「悪夢の滴」たるこの私の前で悪夢を弄ぶ愚か者
すぐに真なる悪夢の恐ろしさをその身で味わうことになるでしょう
観覧車にしましょうか
いい眺めを楽しませてもらいましょう
さて、私は「いい眺めを楽しむ」と言いました
私がそういった以上必ずそうなるのです
例え観覧車が秒速で回転していようとも
「景色の方が同じ速度で付いてくれば」ゆっくり眺めを楽しめると
いうことになりますね
ふふ、UCを発動し空間を吸血、四次元歪曲空間を構築しました
この空間の中では
「光」すなわち「景色」そのものも我が意のまま
「ついてくる景色」をたっぷり眺めて楽しみましょう
私こそは悪夢の滴、夢の中は我が世界
なんでもあり、ですよ、ふふ
●
「『悪夢の滴』たるこの私の前で悪夢を弄ぶ愚か者――」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)。
悪夢の中に在り、希望たる存在。
「すぐに真なる悪夢の恐ろしさをその身で味わうことになるでしょう」
悪夢が、人類の敵のみの領域であると決めつけるなど、片腹痛い。
そう、黒を纏った娘は優雅に不敵に笑んだ。
――おもんな観覧車の中で。
「いい眺めを楽しませてもらいましょう」
しかし全く意にも介さず、どうやら周回している様子の魅夜。
幾らなんでも飽きないのだろうか――そんな疑問を抱くことすら、魅夜にとってはナンセンス。
(「私は『いい眺めを楽しむ』と言いました。そう――」)
それこそが、悪夢を領域とする娘の絶対的な力。
(「私がそう言った以上、必ずそうなるのです」)
つまり。
例え観覧車が秒速で回転していようとも関係はない。
『景色の方が同じ速度でついてくる』のだから。
で、あれば。魅夜の宣言通り、ゆっくり眺めを楽しめると言うわけだ。
「この空間の中では『光』――すなわち『景色』そのものも我が意のまま」
ふふ、と口元の妖艶な笑みはそのままに、窓の外へと視線を落とす魅夜。
速度は未だに少々不躾だが、その景色は最早、魅夜の思いのまま。
通常ではあり得ない速度で爆走や回転を続ける遊具や、自由を得たことで無秩序に疾走するヤギの群れなど、頂上の景色から悠々と眺めてみれば中々滑稽――いや、斬新で面白いと言えないこともないではないか。
だが自惚れるな、オブリビオン。己のみが夢を意のままに出来るなど、思い上がりも甚だしい。
今はその思惑に乗って、満足するまで遊んでやろう。だが、掌の上で踊ってなどやらない。
(「私こそは悪夢の滴、夢の中は我が世界」)
その支配はユーベルコードによる『空間の吸血』。そして『四次元歪曲空間の構築』。
空間そのものを望むままに出来るのだから、頂上の景色を引き連れるなどわけもない。
いや、だからと言ってそんな規格外なこと、ユーベルコードでも起こり得るのか。
魅夜はそう問われたとしても、悠然とこう返しただろう。
「なんでもあり、ですよ、ふふ」
だってここは、そう。
|悪夢の中《魅夜の領域》なのだから。
大成功
🔵🔵🔵
回々・九流々々
僕です
違うとこで製作者さんが発狂してるかもしれませんが、僕はこっちで遊びたいと思います、はい
最近こういうのご無沙汰でしたのでお手柔らかにお願いしたいですね
えっ? 爆速コーヒーカップ?
――なんかちょっと妬けますね
コーヒーカップには乗りませんよ
だって僕『が』コーヒーカップですから、はい
いや、ですから、|愉快な仲間《コーヒーカップ》なのです
オーバーロード、真の姿に変身してコーヒーカップに紛れ込みます。猟兵さんか誰かが乗ったら他のコーヒーカップに負けないよう爆速超速でぐるぐるしてやります。えっ? 客が吹っ飛ばないのかって?
僕には安全装置、超自然的な|触手《ベルト》があるのです
ふふん、他のコーヒーカップになんか負けません
他のコーヒーカップが止まったって僕は止まりませんよ、というか止まれません誰か止めてください助けてくださいお願いしますそろそろ気持ち悪くなってきましたダメです、もう限界です、お客さんもヤバそうです
【しばらくお待ちください】
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
●
「僕です」
はい、回々・九流々々(くるくる・f21693)です。
今日は爆速遊園地にやって来ています。またの名を地獄。
今回の任務はこの地獄もとい悪夢に囚われた女性の救出なのですが。
「違うとこで製作者さんが発狂してるかもしれませんが、僕はこっちで遊びたいと思います、はい」
最近こういうのご無沙汰でしたのでお手柔らかにお願いしたいですね、なんて楽しげに。
だって狂ってても遊園地なのだし。
「えっ? 爆速コーヒーカップ?」
そんな九流々々の目の前には、安全基準など何処かにかなぐり捨てて来たと言わんばかりのハリケーン。否、コーヒーカップ。
「――なんかちょっと妬けますね」
なんて?
しかし哀しいかな、その真意を問える者は此処には居ない。なお地の文はノーカウント。
だがすぐに、それは九流々々の口から明らかにされることとなる。
乗降口を越えてゆくが、回り回るコーヒーカップには一瞥もくれない九流々々。幸か不幸か止めに入るスタッフはいない。今更にして気づくが此処もしかして無人か?
夢だからとこんな暴挙が許されていいのか。放任主義にも程がある。ちゃんとピエロを配置した文ちゃんの|遊園地《悪夢》を見習って。
――|閑話休題《それはさておき》。
ぶつかって跳ね飛ばされそうなので早いところ乗り込んだ方がいいと思うのだが。
「コーヒーカップには乗りませんよ。だって僕『が』コーヒーカップですから、はい」
ドウイウ=コトナノ。
「いや、ですから、|愉快な仲間《コーヒーカップ》なのです」
成程。――成程??
地の文の|正気度《SAN》も着実に削れてゆく中、|限界を突破《オーバーロード》したことによる九流々々は心の姿を解放。
堂々とコーヒーカップにコーヒーカップとして紛れ込んだ。スペースはちゃんと開けてくれる悪夢、意外と融通が利く。
さて、客が来るのを今か今かと待ち構えていたら、其処にやってきたのは。
「うーん? 何だか楽しそうと思ってきてみたけど、どれも小さいなあ……」
アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)――なのだが、珍しく少々残念そうな顔をしている。
と、言うのも彼女は遠目に見れば淡く煌めく陽光色の髪に新緑の瞳の美少女なのだが、故郷では伝説上の怪物として語られる存在。その外的要因のひとつが、人間離れした長身なのだ。
そんな彼女にとって、ジェットコースターも観覧車も、乗り込むには小さすぎたのである。
きゅぴんと目を光らせる九流々々。ご安心ください、長身など僕の障害にはなりませんよ――と言わんばかりに大きいサイズになる|九流々々《コーヒーカップ》。
「あっ、これなら乗れるかな?」
その姿にぱっと表情を輝かせるアウル。無邪気。
ウッキウキで乗り込むと同時――GO、シュウッ!!
「わー!! すっごいぐるぐるまわるー!!」
他のコーヒーカップに負けじと爆速回転を始める|九流々々《コーヒーカップ》。アウルも両手を上げながらキャッキャと回って楽しそうだ。でもそれ、本来ジェットコースターでやるリアクションなのでは。まさかコーヒーカップで見られるとは思ってませんでしたけど。
そんな固定観念などぶっ壊すと言わんばかりの|九流々々《コーヒーカップ》であるが、あんまりやりすぎると流石のアウルも吹っ飛ぶのでは――と、思いきや。
(「ふふん、他のコーヒーカップになんか負けません」)
だって|九流々々《コーヒーカップ》には他のコーヒーカップにはない安全装置、超自然的な|触手《ベルト》があるのだから!
確かによく見れば、七色のつるんとした触手ががっしりとアウルの腰を固定して飛ばないようにしている。見ようによっては美少女が触手に絡まれている図なのだが、絵面が混沌過ぎて全く危なげな雰囲気はない。いや、物理的な意味では危なげには違いないのだが。
と、此処でアウルにふと湧き上がる疑問。
「そう言えばこれいつ止まるのかな?」
周りの元から存在していたコーヒーカップは一応、客を乗せる為に止まる瞬間――余りにも速すぎて一瞬多少減速しただけに見えるのは否めない――があるのだが、|九流々々《コーヒーカップ》にそんな気配はない。
(「他のコーヒーカップが止まったって僕は止まりませんよ」)
終わりなどない。止まらない。
いや、寧ろ――、
(「というか止まれません誰か止めてください助けてくださいお願いしますそろそろ気持ち悪くなってきましたダメです、もう限界です、お客さんもヤバそうです」)
自分の意思では止められないタイプのヤツだった。
アウルは――疑問には思ったもののまぁいっか! と言いたげに未だキャッキャしている。
――している、が。その顔面は蒼白である。笑顔のまま。恐らく自分の限界を解っていない。いや、試す機会などなかっただろうから無理もないのだが。
あ、これ本格的に駄目なやつだ、と。
九流々々が、悟ったその時。
僕らは確かに、虹を見た。
【しばらくお待ちください】
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ティアドロップと呼ばれる少女』
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POW : かなしい かなしい
【悲しみ】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : かなしまないで
レベルm半径内に【無数の手紙】を放ち、命中した敵から【気持ち】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ : かなしませないで
自身が【手紙を奪おうとする気配】を感じると、レベル×1体の【モザイク状のハート】が召喚される。モザイク状のハートは手紙を奪おうとする気配を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:里桜
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「襞黄・蜜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
靄が、晴れる。
秘匿されていた存在が、明らかになる。
其処にあったのは――ショーを行う為の、ステージだった。
今は装飾のなされていないその舞台の上に、確かにオブリビオンと、綴がいた。
俯く綴に、オブリビオンが同情的に語りかける。
「つたえなくて よかったよ」
綴の心に、ずっと伸しかかっていたことを。
オブリビオンは、肯定するように言葉を紡ぐ。
「こばまれたら かなしいよね」
「……」
「だから これでよかったんだよ」
「……そう、なのかな」
「そう」
「……そっかぁ」
伝えて傷つくくらいなら、秘して黙した方が幸せだったと。綴の選択は間違っていないと。
オブリビオンが、綴に手を差し伸べる。綴は、その手を――、
びゅごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
「「いやうるさっ」」
●
爆速に翻弄されながら、或いは面白さの激減したアトラクションに耐えながら、それでもステージへの道を開くべく、地獄に甘んじていた猟兵達だが、ふと気づくことがある。
それはステージの存在が露わになっていることもそうだが、この爆速コースターの軌道やカップやブランコ、観覧車の回転方向、果てはヤギ達の進行方向など、ある程度そういったものを猟兵の意思で変えられるらしいということ。……速度は、変えられないようだけれど。
これを上手く利用すれば、オブリビオンへの奇襲や不意打ち、はたまた別の用途などに利用出来る、かも知れない。
勿論、使いこなせればの話である。この暴れヤギ共を御する自身がなければ、普段通り戦っても何ら問題はない。
ともあれ、オブリビオンを撃破し悪夢を終わらせるのだ!
黒城・魅夜
大丈夫ですか?
いえ、あなたのアタマが
私は超高速イコール超暴風を巻き起こす観覧車に乗っているわけですが
その暴風の中にバラ撒いた手紙など届くとお思いですか?
まあ、何千何万とばらまけば
偶然たまたま一通くらいは届くかもしれませんが……
あら危ない、では観覧車をバックに
続いて右折、そして左折
さらに急上昇して回避
面倒ですね、もう観覧車自体を走らせてしまいましょう
さああのオブリビオンを轢いてしまいなさい、観覧車
そんな観覧車はない?
夢の中で何をアタマの悪いことを
やはりあなた程度に夢の制御は無理だったようですね
さあお約束通り真なる悪夢の恐ろしさを味わいなさい
気持ちはおろか意志も自我も存在すらもあなたには残らない
●
「大丈夫ですか? ……いえ、あなたのアタマが」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は心底哀れなものを見る目でオブリビオンを見下ろしていた。
「私は超高速イコール超暴風を巻き起こす観覧車に乗っているわけですが。その暴風の中にバラ撒いた手紙など届くとお思いですか?」
状況を補足しよう。
おもんな観覧車そのものが、魅夜の意思により支柱を離れて移動し、オブリビオンへと接近したのである。
当然、オブリビオン(と、綴)はビビる。そして同時にオブリビオンは気づく、こんな芸当が出来るのは、猟兵しかいないと。
其処で迎撃に無数の手紙を飛ばしたものの、結果は魅夜の言葉通りである。
「まあ、何千何万とばらまけば、偶然たまたま一通くらいは届くかもしれませんが……あら危ない」
どうやらフラグだったようである。一通の手紙が観覧車のガラスを叩き割り、魅夜に紙の刃を突き立てんと迫るも。
突如、観覧車がバックした。白い刃が速度を失い言の葉綴る文へと還る。
続く攻撃も刃乗せた風の流れを避けるようにして、右折、そして左折、更に急上昇してひらりと回避!
オブリビオンも綴も、唖然としてその光景を見ているが、魅夜の真骨頂はまだまだ、こんなものではない。
「面倒ですね、もう観覧車自体を走らせてしまいましょう」
ひとりでに動く運命の輪。
観覧車は大車輪と化して、オブリビオンに向けて、前進、前進!
「さああのオブリビオンを轢いてしまいなさい、観覧車」
主の命に従い、突撃を開始する!
「そんな観覧車はない、という顔をしていますね」
信じられない、という感情を隠し切れないオブリビオンに、魅夜は呆れ果てたと言うように、やれやれと肩を竦めた。
「夢の中で何をアタマの悪いことを……やはりあなた程度に夢の制御は無理だったようですね」
想像力も、創造力も、魅夜からして見れば、てんでお粗末。
自らの常識を全てぶち壊せるくらいになってから、出直して来いと言うものだ!
「さあお約束通り、真なる悪夢の恐ろしさを味わいなさい」
魅せてやろう、固定概念を全て覆すほどの『悪夢』を!
「気持ちはおろか、意志も自我も存在すらも……あなたには残らない」
運命の輪は綴を避けて、オブリビオンだけをその芯へと捕らえて叩き伏せ。
どこからともなく現れた鎖でその自我と存在ごと戒めて、ゴンドラの鉄槌を幾度も下す!
大成功
🔵🔵🔵
水琴・ヤト
やっとヤギさん間近で見れた!かわいい!
……近くで見るとあんまりかわいくない?
でもちゃんと判断する余裕はないんだよね
だって今全力で追いかけられてるから!
向かった先にはオブリビオンと綴さんが!
綴さん!
きっと二人は綴さんの言葉待ってるよ!
だから帰ってお話してみようよ!
……と真面目なことは言いつつも後ろにはヤギ!
オブリビオンもなんか手紙を放ってきてる!
ん?手紙、ヤギ……
そうだ!お手紙はヤギさんに食べてもらおう!
ほら!あっちにご飯だよ!
ヤギさん達をけしかけて余裕が出来たらUCを
ヤトちゃんの|ふしぎパワー《呪詛》で攻撃だー!
雨の音は演出だから周囲が暗くなったりはしないよ
悪夢は終わらせちゃうからね!
●
「やっとヤギさん間近で見れた! かわいい!」
今、水琴・ヤト(溺れ人魚の噂・f38518)は地上にて、遥か上空でしか見ることの叶わなかったヤギの群れを堪能していた。
「……近くで見るとあんまりかわいくない?」
個体にもよりますが、結構くしゃっとした顔してる子とかいますよね。
ともあれ。
「でもちゃんと判断する余裕はないんだよね。だって今……」
「Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」
全力で追いかけられているのでね!
堪能していた、と言うより堪能せざるを得ない状況に追い込まれていた、が正しいのである。
「!」
しかし、追い立てられるように園内を駆けながら、ヤトは気がつく。
向かう先の舞台に、オブリビオンと綴の姿があることに!
「綴さん!」
声をかけるとハッと顔を上げた綴は、ボブヘアーのあどけない少女だった。
一番楽しくて、そして苦い思い出の残る青春時代の姿。
「きっと二人は綴さんの言葉待ってるよ! だから帰ってお話してみようよ!」
「えっ」
綴が苦悩していたように、二人も気持ちは同じ筈だと。
皆が迷い悩んでいるなら、誰かが行動しなければ。
(「……と真面目なことは言いつつも後ろにはヤギ!」)
どうやら、ゆっくり話をしている余裕はないらしい。
オブリビオンも、余計なことを言うなと言わんばかりに手紙の刃をヤトに向けて放ってきている。万事休すか!
(「ん? 手紙、ヤギ……」)
その二つのワードで、ヤトはある童謡を思い出していた。
届いた手紙を読む前に、食べてしまった二頭のヤギの歌を。
「そうだ! お手紙はヤギさんに食べてもらおう! ほら! あっちにご飯だよ!」
「Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」
「えっ やだ やめてよ!」
手紙に身を刻まれる、その直前にヤトはひらりと横合いに逃れて。
けしかけられたヤギ達が向かってくる手紙をジャンピングキャッチして、もしゃもしゃと食べ始めたではないか!
(「よーし、ヤトちゃんの|ふしぎパワー《呪詛》で攻撃だー!」)
響くは歌声と、軽快な雨音。
生まれた余裕を逃さず、ヤトは優しく歌う。
けれど世界が曇りはしない。だってここは、楽しい子供の夢だから!
「悪夢は終わらせちゃうからね!」
「うあ っ……」
心地よい雨音は、世界の敵を蝕む呪詛。
ぽつりぽつり、鳴る度に報いが冷たく敵を打つ。
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ(サポート)
「苦戦してるようだな。手伝うよ」
クルースニクのデスブリンガー×サンダーバード
口調:「ざっくばらん(アタシ、アンタ、か、だろ、かよ、~か?)」
一人称:アタシ
特徴 さばさばした性格 快楽主義者 大食い 自信に溢れた表情
黒槍『新月極光』で戦おう。
基本は【怪力】を生かした力任せの攻撃。
相手を勢いで【吹き飛ばし】て、壁や地面に叩きつける。
相手の【鎧砕き】が狙えれば、さらにOK。
快調ってことだな。
数が多ければ【なぎ払い】をして対応する。
防御は槍で【武器受け】。甲冑でも受ける。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用可。
ぶっ飛ばしていこう。
●
「爆速遊園地かぁ。思った以上にぶっ飛んでるね」
バトル漫画の効果音のような風切り音を上げて奔るジェットコースターを筆頭とした、スピードジャンキー|遊園地《地獄》。その惨状を、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は物怖じした様子もなく見渡していた。寧ろ好奇心すらある。
「っと、今は戦いに集中!」
とうとう黒幕のお出ましなのだ。きっちり引導を渡さなければ。
「つづちゃんは わたさない!」
ここまででかなり消耗しているオブリビオンは、形振り構わずシモーヌにも手紙の刃を差し向けてくるが。
「おっと危ない。けど、そう簡単には喰らってやらないよ。何より宛先はアタシじゃない筈だろ?」
ニヒルに笑って、軽口を返して。
けれども極光の色を宿した新月の如き黒槍を、しっかりと敵へと突きつけて。
「氷の精霊よ。我の下に集い力を示せ」
喚び出す精霊の加護を身に纏い、槍を前方へ薙ぎ払う形を見せる。
すると白き刃は瞬く間に凍りつき、ただの紙と化してぽとりと地に落ちた。
「さって! 今度はアタシの番だ。ぶっ飛ばしていこうか!」
「!」
シモーヌの身体が弾かれるように、オブリビオンへと一直線に駆けてゆく。迎撃の刃も冷気に触れれば同じように落ちてゆくばかり。
勢いをつけて、力任せに新月極光の一薙ぎを、オブリビオンへとくれてやる!
「あ っ!」
小柄なオブリビオンの身体は呆気なく地面へと叩きつけられ、ごろんごろんと転がってゆく。
これで綴とも引き離せた筈だ。ダメージも入って一石二鳥。
「ん。今日も快調ってことだな!」
成功
🔵🔵🔴
ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。
●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」
・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。
メイン武器は「黒剣」です。
他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。
赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
人間のパラディン×シーフの女の子です。
普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「綴さん!」
「!」
赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)が、影を落としたままの綴へと声をかける。
平和的な解決を願う彼女とて、戦わなければならない時があるのは理解している。そして今がその時だ。だがその前に、綴を放っておくことが、どうしても出来なかったから。
「綴さん、このままで本当にいいの? ここで諦めてしまったら、本当に綴さんを待ってるお友達には、もう会えないかも知れないんだよ……!」
だから、どうか、諦めないでと。
ここで与えられた夢を甘受するのは、きっと楽だろう。綴の心残りも笑って許してくれる、そんな友達もいるのかも知れない。
けれどそれでは、綴のことを待っているであろう、現実の友達はどうなるのかと。彼女達のことを、どうか思い出して欲しくて。
「だめ やめて!!」
綴を奪われまいと、オブリビオンが最後の抵抗の意思を見せる。
言葉を尽くす愛へと、爆発させた悲しみを振りかざし、無理矢理引き剥がそうとして。
「させん」
その前へと、ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)が立ちはだかった。
「悲しみの感情を力に変えるユーベルコードか。だが、味方にも一般人にも、手出しをさせてなるものか」
「えっ あ……」
オブリビオンがたじろぐ。
ギャレットのその気魄と、そして、今なお彼の手の中で大きさを増してゆくその黒剣に!
「一般人のケアは味方に任せよう。私の役目は……それを阻むオブリビオンを、討ち果たすことだ!」
そうして超巨大、超重量と化した漆黒の大剣を、今、一息に振り下ろす!
「剣よ、我が眼前の敵を斬り滅ぼせ!」
「やだ つづちゃん! たすけて! たすけ」
オブリビオンが、綴に助けを求めて縋ろうとするも。
その手が届く前に、ギャレットの刃が跡形もなくその存在を叩き潰した。
「……あ……」
茫然と、気が抜けたようにへたり込んだ綴。
愛はその手を、そっと包み込むように優しく、取った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『遊園地に行こう!』
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POW : やっぱりジェットコースターには乗っとかないとね!
SPD : たまには童心に帰ってコーヒーカップもいいかも。
WIZ : 観覧車でのんびり、景色を楽しもうか。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵達がオブリビオンを討ち果たした、その瞬間。
遊園地全体が、白く輝き始めてその形を変える。
外観が総じて手紙や郵便のデザインをあしらったものに変わったばかりでなく。
気が狂ったような遊具達は落ち着きを取り戻し、悪夢ではなく素敵な夢へと誘う存在へ。
園内を爆走していたヤギの姿はいつの間にかなくなっていた。その代わりに、ヤギとのふれあいコーナーが存在していた場所が、より広くスペースを取って、郵便バイク風のゴーカートのコースへと変貌を遂げていた。カートにはカーナビのような画面がついており、対人レースと言うよりは『手紙を届けるシミュレーションゲーム』になっているようだ。
キラキラとあるべき煌めきを取り戻した世界で、おずおずと声をかけてくる者がいる。
他でもない、寿・綴だ。姿は、学生時代のそれらしきものからから戻ってはいなかったけれど。
「あの。よく解んないけど、助けてくれたっスよね」
少し気恥ずかしそうに、両手の人差し指をちょんちょんさせている。
「その……あじゃっす」
独特の喋り方をする子だが、猟兵達に感謝していることには違いないようだ。
だが、夢の中とは言え元の姿に戻れていないのは、まだ踏み出す勇気が足りない証。
ここはいっそ、綴に遊園地を楽しむように勧めてみるのがいいかも知れない。猟兵達が手本を見せるでも、綴と一緒に遊ぶのでもよい。
さあ、これが正真正銘、最後の任務だ。
真の意味で、綴の心を救うのだ。
水琴・ヤト
よかった、遊園地は綺麗になった
あとは綴さんを助けないとだね
ねーねー綴さん
よかったら一緒に遊ぼうよ!
私、遊園地ってあんまり来た事ないんだ
だから誰かと一緒の方が嬉しいなーって
年もそんなに離れてないし同性だから、あんまり警戒されないといいんだけど……
綴さんはどれか乗りたい遊具はある?
リクエストがあるならそれに応えるよ
私は……ゴーカートが気になるかな
ゆったり遊べそうだし
ゆったり大事、本当に
難しいことを考えるよりは素直に楽しむ姿を見せた方がいいかな
綴さんにも「誰かと一緒に遊園地に行くのは楽しい」って思ってもらえるように
……夢から覚めても、あなたのことを待っている人はいるよ
背中を押せるように、少しだけでも
●
本来の姿を取り戻した遊園地は、とても素敵で楽しげで、キラキラと輝いて見えた。
悪夢の国ではなく、幸せな夢の国としての姿を取り戻したのだ。
(「よかった、遊園地は綺麗になった。あとは……」)
水琴・ヤト(溺れ人魚の噂・f38518)は何処か手持ち無沙汰な様子の綴へと再び目を向けた。
彼女を、救わなければ。
「ねーねー綴さん。よかったら一緒に遊ぼうよ!」
「んぇ?」
きょとん、と目を丸くする綴。
ヤトの申し出に驚きはしているものの、同性であることや、今の綴と年の頃もそう変わらない為か、警戒はしていない様子。
これなら、とヤトは胸中で安堵しつつ、言葉を続ける。
「私、遊園地ってあんまり来た事ないんだ。だから誰かと一緒の方が嬉しいなーって」
ヤトが首を傾げれば、綴は少し考え込む素振りを見せたが、ややあって顔を上げた。
「……僕でよろしいのでござりまするか」
緊張しているのか、それとも生来の不思議ちゃん属性故のものか不明だが、敬語なのか古語なのか解らない口調で、そう確認する綴。
「うん! それじゃあ、行こう。綴さんはどれか乗りたい遊具はある?」
「僕ですかぁ?」
誘った側だから、リクエストには応えるとヤトが告げれば、綴はまたうーんと少し考えてから。
「ゴーカート。LEPのゴーカート、シミュレーションゲームみたいだから気になるにゃ〜」
「そうなの? 奇遇だね、私もゴーカートが気になってたんだ。ゆったり遊べそうだし」
うん、ゆったり大事、本当に。
あらゆる意味で、ヤトはしみじみそう思う。綴のこともそうだが、先程までゆったりどころではなかったから。
「じゃあ、賛成多数により可決ということで、行くとしますかにゃ」
「おー!」
意見が合って嬉しかったのか、少し元気になった様子の綴と共に、早速乗り場へ。
二人で乗り込み、ゲームスタート。競争ではなく、自分のペースで遊べるから、寧ろ並走しながら。
今は難しいことを考えず、素直に楽しもう。
(「綴さんにも『誰かと一緒に遊園地に行くのは楽しい』って思ってもらえるように」)
だからこそ、ヤトは心から満喫する。
その心は、伝わるものだ。綴の表情も、柔らかく穏やかなものに戻りつつある。
今の彼女なら、きっと大丈夫だろう。
「……夢から覚めても、あなたのことを待っている人はいるよ」
「え?」
少しでも、綴の背中を押せたなら。
未来に、希望を見出せるように。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
悪霊にして咎人殺したる私は、殺し、屠り、滅ぼすもの
救うものではありません
悪夢を弄ぶ愚か者を既に滅ぼした以上
ここに用はもうありませんが…
まあそれはそれとして
せっかく訪れた遊園地を堪能せずに帰るのもね
そこの貴女、ご一緒しませんか
別に貴女を慰めたり勇気づけたりしたいわけではありません
あくまで私の暇つぶしの相手が欲しいだけ
ツンデレ? 知らない言葉ですね、ふふ
観覧車とは不思議なものですね
ただ高い場所にゆっくり上っていくだけで
なぜこうも心が弾むのでしょう
扉一枚向こうはいつもと同じ世界でしかないのに
ふふ、つまり同じ世界でも
少し視界を変えるだけでそこは夢の世界に変わるもの
現実の貴女もきっとそうなれるでしょう
●
華やかで、煌びやかで、幸せに満ち溢れた夢の世界。
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)もまた、そこにいた。
(「悪霊にして咎人殺したる私は、殺し、屠り、滅ぼすもの。救うものではありません」)
悪夢を弄ぶ|愚者《オブリビオン》は滅んだ。自身の役目は既に果たし、もうこの場に用はない。
そう、魅夜は思っている。だが。
「まあそれはそれとして、せっかく訪れた遊園地を堪能せずに帰るのもね」
先程も観覧車には乗ったが、あれは景色こそ魅夜の力で見られるようにはなったものの、速度的には情緒も何もなかったので。
「そこの貴女、ご一緒しませんか」
「えっ」
ゆるりと綴を振り返り、魅夜が告げれば、綴は少し面食らったようだった。
魅夜の纏う空気からして、その申し出が意外だったのかも知れない。
「別に貴女を慰めたり勇気づけたりしたいわけではありません。あくまで私の暇つぶしの相手が欲しいだけ」
これは……魅夜なりのツンデレというやつだろうか。
(「ツンデレ? 知らない言葉ですね、ふふ」)
アッハイ。
なお、綴は無表情ながら瞳を輝かせ『おお……これが大人の女の余裕……!』などと謎の感動を覚えている。いや、現実のあなたも魅夜さんと然程年齢変わらない筈ですよね?
ともあれ、魅夜はそのまま綴を伴って、今度こそ誰の力も借りずに景色を堪能させてくれる、観覧車へ。
二人で乗り込めば、ゴンドラはゆっくりと上昇してゆく。見下ろす光景も、高さが変わるだけで違った表情を見せる。
「観覧車とは不思議なものですね」
「ほえ?」
不意に、徐ろにそう呟きを落とした魅夜に、綴は首を傾げた。
「ただ高い場所にゆっくり上っていくだけで、なぜこうも心が弾むのでしょう。扉一枚向こうはいつもと同じ世界でしかないのに」
「……あ……」
ハッとしたように、短く声を上げる綴。
それは、彼女一人では気づくことのなかった視点だったのだろう。
一人で抱えて悩んでいた綴には、見えなかったもの。誰かの言葉で顔を上げれば、思いもよらぬところに見えてくるものもある。
「ふふ、つまり同じ世界でも、少し視界を変えるだけでそこは夢の世界に変わるもの」
今の綴になら、それが解る筈だ。
魅夜はそう、確信していた。
「現実の貴女もきっとそうなれるでしょう」
「……そう、なのかな」
「ええ」
綴は一度、目を伏せて。
それでも、顔を上げて、魅夜を見た。
「……ありがとう」
●
「………………はっ」
目を覚ます。
変わらない、いつもの部屋だ。
また、代わり映えのない一日が始まる。
今までの僕なら、きっとそう思ってた。
(「……待ってるのは、僕だけじゃないよね」)
そうだ。
ふみたんと、しおりんに、手紙を出そう。
メールもあるけど、それじゃ収まりきらないくらいに、伝えたいことが沢山ある。
それから、会って話をしよう。積もる話とかあるもんね。
それでいつか、きっと……今度こそ、三人で遊びに行くんだ。
大成功
🔵🔵🔵