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【邂逅遊園地】~聲、文織りにしたためる

#シルバーレイン

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#シルバーレイン


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●あの日へ微睡む
 最近話題のテーマパークのCMが、ニュースの後に流れた。
「――Lettre Enchainez Park」
 “|Lettre Enchainez Park《レター・アンシェネ・パーク》”通称|LEP《リップ》。
 何でも手紙をテーマにしたそこは“想いを伝える・繋げる”が根幹のテーマなんだとうたっていた流行り物好きな同僚の姿が過る。
「想いを伝える、かあ。そんな想いなんてすぐ無く――……あ」
 想い。口に出した瞬間思い出す。
 そう“|伝え損ねた《・・・・・》”想いなら、ある。

 卒業式目前、卒業旅行がてらその時はやってたテーマパークに行こうって私が“しおりん”と“つづ”に言って。
「ねえ、あそこいかない?すっごい人気の■■パーク!やっぱあそこでしょ!」
「い、いきなりだね? ちょっと遠すぎじゃないかな……つづは、どう思う?」
「遠出したくないでござるー……近場にもいいとこありまっせー……?」
「ええー……“私達の卒業旅行”だよ!?ぱーっとしよ!ぱーって!」
「むーん……ふみたんがそこまで言うなら吝かではありませんなあ。ちょっと真剣に考えてみますかー」
「それじゃあ後でスケジュール立ててみるね……!」

「二人共……しおりんも、つづも、行こう行こうって……。私、凄く嬉しかったのに……」
 帰り道にワイワイ喋って、カフェじゃ長くなっちゃうからコンビニで肉まん買ったり、お茶買ったり。
 寒いけど学校で食べたり飲んだりこっそりすると、怒られちゃうから公園に行って|会議《予定立て》をする。
 楽しかった。あの時が、きっと一番。
「でも卒業前でわーわー忙しくって、有耶無耶にしちゃった……よね」
 覚えているかな。しおりん、つづ……逢いたい。すごく。
 昔を思い出していたら目が熱くなって、どうしてか妙に眠くて。
「――あの時に戻れたらいいのに」
 帰りたい、あの夕方に――……囁く思いは言葉にならず、唇から漏れたのは静かな寝息。
 電気をつけっぱなしに眠ってしまった文の脳裏を言葉が過る。

『いいよ、戻してあげる』


「そうして深く眠った先には煌びやかなる|夢の国《テーマパーク》――の、皮を被った化け物装置の群れでございます」
 |アルカイックスマイル《営業用貼付け笑顔》を保った壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)の瞳は一切笑っていなかった。
「うふふ。悪夢に囚われたのは|折山《おりやま》|文《ふみ》様、現在広告会社営業に勤務されている20代女性の、幼い頃。最も|色濃い記憶《学生時代》のお姿」
 杜環子は資料を捲っていたが、視線に小首を傾げると“ああ”と笑みを深め。
 皆様が学生に戻ることはございません、と。
「悪夢の根幹に据えられた折山様のみ時間の歪みが適用されておりますから、皆様は何のご心配も要りません」
 そう。
 心配すべきはそこではない。
 ふふ、うふふとわらう杜環子の顔……よく見たら所謂“死んだ魚の目”をしていた。
「行けなかった卒業旅行。遊びたかったテーマパークその記憶を継ぎ接ぎしたオブリビオンが――何を作ったか」
 想像できます?と、弧を描く|死んだ魚の目《杜環子の瞳》。
 うふふふふふふふとよく見ればどこか青い――……いや、真っ白な顔をしたまま告げる。

「法定速度無視のハイスピード遊園地のかんせーい♪ってところでございます」
 うふ。
 そこからはもう呪文に近い。
 乗った直後から頭の飛びそうなトップスピードのジェットコースター。乗った直後から亜高速回転するコーヒーカップ。景色を楽しむなんて嘘としか思えぬ高速観覧車。
 うふ。
 杜環子はわらう。“死んだ魚の目”で。
「|人助け《爆速遊園地》を|どうぞ宜しくお願い致します《楽しんできて下さいね》?」
 それこそハートでも付きそうな語尾に滲む“思い”を察した者は何人いたことだろう。
 さあささあさ、と猟兵の背を|グリモア《鏡》へ押す杜環子の目はやっぱり死んでいる。“遊ぶって――”という疑問ごと、“いってらっしゃいませ”と|送り出した《押し込んだ》。

「あ、お仕事が終わったらちゃんとしたところで遊べますから、楽しみになさってくださいませ」

 どうかお気をつけて。
 なんてとってつけたような言葉が聞こえたとか聞こえなかったとか。


皆川皐月
 お世話になっております、皆川皐月(みながわ・さつき)です。
 三半規管さいつよを決めよう。

●第一章:『アミューズメントパーク オブ バグ』
 ようこそ地獄へ!
 乗らないなんて無粋な真似よ!すべて亜高速、きっとアナタを別世界の超体験へと誘ってくれる!

 そう。頭の中が吹っ飛ぶくらいの。

 杜環子が紹介した三種🎢🎡☕
      +
 👻永久追跡お化け屋敷!
 🤠撃ちあい!ウエスタンランド!
 が存在する様子。

●第二章:『殺人ビスクドール『異人さん』』
 忘れられていた何かの集合体。
 羨ましい。
 妬ましい。
 どうして覚えているの?
 みんなわすれちゃえばいいのに!!!!


●第三章:『遊園地に行こう!』
 “|Lettre Enchainez Park《レター・アンシェネ・パーク》”通称|LEP《リップ》”

 思い出を作れる場所。紡げる場所。
 委細は追って断章にて。


 複数ご参加の場合はお相手の【呼称+ID】または【グループ名】で大丈夫です。
 IDご記載+同日ご参加で確認がしやすいので、フルネーム記載より【呼称+ID】の方が分かりやすいです。
 マスターページに文字数を省略できるマークについての記載がございます。
 もしよろしければ、お役立てくださいませ。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。


 最後までご閲覧下さりありがとうございます。
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第1章 冒険 『アミューズメントパーク オブ バグ』

POW   :    爆速ジェットコースターにしがみつけ!

SPD   :    爆速コーヒーカップで三半規管の限界に挑戦だ!

WIZ   :    おもんな観覧車行こう。スピード的には一番マシだ。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 メガリス『ティンカーベル』の粉を使い潜り込むは一人の女性の夢の中。

『ぃぃいやっほーーーォォオオウウ!!!!!!!』
『Foooooooooooo―――――!!!!!!!!!』

 あれは。
 あれは一体、なに。
 ハイを通り越してファンキーな色合わせのピエロが飛んで跳ね踊り回っている。
 蛍光オレンジのメイクに蛍光イエローの衣装のセンスよ……。
 バリモシャお手紙を齧りまくるちょっとしたワンボックスカーくらいデカくてぽっちゃぽちゃに育ったヤギは何?え?マスコット?
「あ、お気を付けくださいませね。ちょーーーっとあくてぃぶでふぁんきーでろっくなきゃらがいーーーっぱいおりますの!」

 待て。待てって壽春。
 おま……おまえこれ、Active&funky&Rockってレベルじゃないぞ。
 おほほほほほほとか笑っていたなあいつ――。

 どう|送り出してきた《背中を押し込んだ》|グリモア猟兵《壽春・杜環子》を幾ら思おうともう遅い。

 どのアトラクションも、ギュンッ!!!!!!!!1って音というか、ものすごい風を切っている。すごい。めっちゃ離れていても聞こえる。
ヤバい。なんかもう語彙力が風圧ですっ飛ぶくらいヤバい。
 あとバリモシャお手紙?を食べているあの――ヤギ。
 おかしいな、さっきより妙に距離が近い気がする。
『ベェげぷっ』
 近い。近いって。

 そっと遠回りしようとした君達へ、先程躍り回っていたピエロがその大柄な体からは想像が出来ないほど身軽なバク転で迫る!
 何かを振りかぶる姿に身構えた時、ブン!と振り下ろされた看板に身構えた時、見て見て!とアピールされただけ。

 【ようこそおきゃくさま!】

 ★好きなアトラクションで遊んでね!必ずだよ!
 選べないなら僕達がホワイティ☆プリンセスに乗せてオススメに連れていくね!!

 ★遊んでくれなきゃ “君達の|お姫様《折山・文》は――”

『『一生一緒に夢の中!!!!!!!!!!!!!!!』』


 ゲタゲタと笑ったピエロがホワイティ☆プリンセス、という名のワンボックスカー並みのヤギと共に躍っていた広場へと戻ってゆく。

「あのヤギ………プリンセスなんだ」

 誰かの呟いた言葉が、キャッホーーーーォウ!!!!!!!!!と聞こえた雄叫びにかき消された。
 
 
 
隣・人
ええ、ええ、知っています
私――いや、違うわね
隣人ちゃんは知っています
――こういうのは全力を出した方が楽しいって
うるせぇとっととコーヒーカップに乗るんだよ!!!

説明しよう!
隣人ちゃんは「ぐるぐる」アスリートと呼ばれるなんかよくわかんねぇその他アスリートなのである。だからといって別に三半規管が強いわけではなくどっちかと言えばクソザコ三半規管だ
アイコンを確かめればだいたいどうなるかわかるぞ!!!

爆速にハンドル回転が加わり|三倍ゲロイン量産法《ユーベルコード》を使う事で更に回転、回転に回転を重ねて回転を重ねればヤギだろうがピエロだろうが巻き込めるこのまま全員で――うぇっぷ……

【しばらくお待ちください】



●爆速享楽回転地獄!
「ええ、ええ、知っています」
 |夢《地獄》へ降り立ったメイドっぽい恰好の女は仁王立つ。
 口元に浮かぶのは|迫る楽しみ《爆速回転コーヒーカップ》への期待。希望。翹首。
「私――いや、違うわね。隣人ちゃんは知っています」
 にっこり。
 ああ、憐れ。寄り来たピエロは聞かなきゃいいのに聞きました。
『ようこそ!キミは何――』
 ガッとその顔を勢いよく掴んだメイドっぽい恰好の女こと隣・人(|22章39節《六六六人衆・序列番外》・f13161)は叫ぶ。
「うるせぇとっととコーヒーカップに乗るんだよ!!!」
 気圧されたピエロは唯こくりと頷き、コーヒーカップへ導いた。

 ごうごう |たいふう《爆速コーヒーカップ》が うずまいております。

 この時点で惨状なのだが、早く早く!と目(隠している)を輝かせながら跳ねる隣人ちゃんに、小さな制御室で震えながらピエロは乗車ボタンをポチ。
 乗りやすいよう止まったそこへ軽快に飛び乗った隣人ちゃんはベルトも締めず、わらった。
「隣人ちゃんの拷問術からは何者も逃れられないのです!!!」
 ガッ、と力一杯ハンド掴んだままUC―六六六番外・隣人値案流拷問術・三倍ゲロイン量産法―!
 回る。(ギュン)
 回る。(ギュン!)
 回る。(ギュン!!)
 回す!!!(ギュン!!!)
 回転回転また回転!地獄の果てまですっ飛べ回れ!いっそピエロにヤギすら回せ!!!

(ぴんぽんぱんぽん)
 盛り上がり最高潮のここで――説明しよう!
 隣人ちゃんは「ぐるぐる」アスリートと呼ばれるなんかよくわかんねぇその他アスリートなのである!
 だからといって別に三半規管が強いわけではなく、どっちかと言えばクソザコ三半規管だ!
 ……それ先に言った方が良かったんじゃない?とかそういうのは野暮。
 なんたってここは(人様の)夢の中!
「隣人ちゃんは知っています。こういうのは全力を出した方が楽しいってーーー!」

 あーっはっはっはっはっは!!は、
「――うぇっぷ……」


 【しばらくお待ちください】
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェルシー・キャタモール


悪夢って言っても限度があるわよ!?
う、うう
でも私もサキュバスだもの!
ナイトメア適合者だもの!
この程度の悪夢には負けないわ!
必ず文を助け出すわ!
負けないわ!!

こういう時は相手のペースに乗せられると駄目ね
お化け屋敷にいきましょう
ゾンビとかヒャッハーまみれの世界でサバイブしてきたんだもの
作り物なんかに負けないわ!

……と意気揚々足を運んだけど
思ってたのと別方向に危険だわ!?なんかめちゃくちゃ追いかけられるし!
というか進行速度がおかしくないかしら!?
これじゃお化け屋敷というより絶叫マシンよ!
何!?何を目的としているの!?

……いえ、悪夢に意味を見出だそうとするのがナンセンスね
もう身を任せるしかないわ……



●そう、夢だとも!
「悪夢って言っても限度があるわよ!?」
 “おかしいわ!”と叫びながら走るチェルシー・キャタモール(うつつ夢・f36420)がとうとうピエロの剛腕に捕まった。
「なんで!なんでよ!う、うう……でも私もサキュバスだもの!ナイトメア適合者だもの!」
 当社比ちょっとデカい強がりである。
 ちなみにナイトメア適合者はナイトメアに適合している特殊なタイプという表現であって、どんな悪夢にも強い訳では無いのだ!
 ――現実は厳しい。
ワンボックスカーヤギ……間違えた。ホワイティ☆プリンセスに括られドナドナされ|、引き摺られてやってきたのは、永久追跡お化け屋敷!

 じゃじゃーん!とアピールするピエロに怒るチェルシーと威嚇するへびちゃん。
「この程度の悪夢には負けないわ!」
 ――と、遡ること全力走前。

「ここが文の……こういう時は相手のペースに乗せられると駄目ね!だからお化け屋敷に――」
 と言ったのが運の尽き。
「何?あのピエロ――近付いてる?!きゃああーー!」
 バク転しながらピエロが高速で迫っているのである!
 で、結局捕まった今は屋敷の中。
「ゾンビとかヒャッハー塗れの世界でサバイブしてきたんだもの!作り物なんかに負けないわ!」

 これはフラグである。

「いやぁああ!何?!どこから出てくるの!」
『ヴぁあ゛あ゛あ゛!!』
『おぉおぉぉお!!』
『うぃいいいい!!』
『ひゃっほぉおお!!』
「待ちなさい!一匹変な――きゃああーーー!」
『Foooooooo!!』
「何よ!何よこれ!これじゃお化け屋敷というより絶叫マシンよ!何!?何を目的としているの!?」

 未だ足休めること許されず、チェルシーは走り続ける――地の果て夢の果て何処までも!誰だ屋敷の中だけ追われるとか言ったの!!
 なんたってここは(人様の)夢の中!何も死なない!面白いだけ!
 逃げて逃げてどこまでも!地獄の果てでも君を追う!!

「ふ、ふふふ……いえ、悪夢に意味を見出だそうとするのがナンセンスね」

 悟ったチェルシーの目が死んだ。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

流茶野・影郎
久遠寺【f37130】同行
🎢を選択

「あのBBA……」
グリモア猟兵への恨みはちょっと残して仕事にかかろう
とはいえこれは……
うん、ヤバいわ!(同意する)

一応は大丈夫かな、身のこなしはまだ軽い方だから

――ガチャン

あ、ジェットコースターって固定されるんですね
って、身のこなし関係なウェェェェェェェイイイイイイイイっ!
くうぉんずぃー(久遠寺)イキテルゥ?
あ、蜘蛛の糸使ってるんだ、俺にも

――ベちゃ(顔に着いた音)

…………
見えんがな?
取れんがな?
Gで首がやばいんだが?
眼鏡? どっか行ったよ!!

とにかく何とか生き残ろウェェェェェェェイイイイイイイイっ!


久遠寺・絢音
流茶野先輩【f35258】と
🎢にトライ

「先輩?凄い形相になってるわよー」
ジェットコースターかぁ。学生の頃はシーパラでよく乗ったけどこれは……ヤバ……
(走っているコースター実物を見る)
ヤバくない?
(真顔の早口で)

ほ、ほら、掴まって身体も固定されていれば……

ジェットコースターといえばこの登っていく時間が一番ドキドキして……でも、これはさっき見た限りアレだからほらぁぁぁぁぁ!!!
せぇぇぇぇぇんぱぁぁぁぁぁぁい!!しぬ!!!!!!
(本能的にコレはヤバいと思って蜘蛛糸で自分と先輩を固定した)

凄いね。風圧でマスカラ落ちたわ
先輩……眼鏡は?

わーん怖いよ先輩助けてぇぇぇぇ!!!死んじゃう〜〜〜!!



●砕けた眼鏡は
 アトラクションが“ゾギュンッッッ!”と空気を破ったのを見て、思わず流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)は呟いた。
「あのBBA……」
「先輩?凄い形相になってるわよー」
 なんて小首傾げた久遠寺・絢音(苧環の魔女・f37130)が幾ら可愛かろうと、拭えぬ恨み晴らさでおくべきか。
 一方唸る影郎の視線辿った綾音は――秒で目が死んだ。
「ジェットコースターかぁ。学生の頃はシーパラでよく乗ったんだよね」
 “懐かしい――”なんて美しく思い出に浸ってもダメです。無理です。お時間です。
 ガッシィ!と分厚い音で絢音の腕を無理やりピエロが組む。
「……これは、ヤバいわ」
「うん、ヤバいわ!」
 ガッシィ!って肉厚な笑顔のピエロに影郎も捕まったし。

「は。はは。一応は大丈夫かな、身のこなしはまだ軽い方だか――」

 ガチャン。

「ゑ?」
「ほ、ほら、掴まって身体も固定されていれば……」
 大丈夫ですよ先輩っ!なんて応援の最中、無慈悲な時が迫る。
「ジェットコースターといえばこの登っていく時間が一番ドキドキして……でも、」
 カタンタタン、ガッチャン。
「これはさっき見た限りアレだからほらぁぁぁ!!」
「って、やっぱり身のこなし関係なウェェェェイイイイっ!」
 すごい!安全バーが安全じゃない経験なんて初めて!!
 綾音が空気の壁破る勢い疾駆するジェットコースター誤魔化そうとしたけど無理だった。事前に走ってるの見たけど乗ったら全然違う!嘘!!無理!!
「|くうぉんずぃー《久遠寺》イキテルゥ?」
「せぇぇぇぇんぱぁぁぁぁい!!しぬ!!!」

 知ってるか。安全バーって固定するの体だけなんだ。
「(あ、やばこれ頭取れる)」
 銀誓館在校時の記憶が過った瞬間絢音が自身と影郎の頭を固定したのはもはや本能。

 ただ問題は。
「あ、蜘蛛い――見えんがな?取れんがな?Gで首ヤバいんだが?」
「先輩眼鏡――あ、マスカラ落ちたわ」

 女って凄い。案外こんな時でも冷静なのだ!
 眼鏡!の悲鳴は加速に消えた。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
「悪夢の滴」たるこの私の前で悪夢を弄ぶ愚か者
その身の程知らず、すぐに後悔させてあげましょう

さて、せっかくですから楽しませてもらうとしましょう
やはり遊園地の醍醐味はジェットコースターですね

爆速? けっこうなこと
ふふ、私は時を操る力も持っていますから
その能力で無理やりコースターの速度を押さえつけてもいいのですが……
それではつまりませんね
さあ、思う存分飛ばしてくださいな

まあ、私はいくら超高速で爆走しようと平気なのですけれどね
なぜって?
UCを使い体をエクトプラズム化して
三半規管を体外に伸ばしコースの外に置いてきてますのでね、ふふ
私は悪霊、非常識な世界なら我が庭です
夢の中ですもの、何でもあり、ですよ



●黒き悪夢のおとめ
 ふふふ。
 黒髪をはらった黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が微笑む。
「“悪夢の滴”たるこの私の前で悪夢を弄ぶ愚か者……」
 妖艶で余裕たっぷりそうながら、どこか憂いの滲む美しさで魅夜は言った。
 これが本当に――そう、後ろで空気の壁超えるジェットコースターがぶっ飛んで走って無ければ良かったのだが。
「その身の程知らず、すぐに後悔させてあげましょう……!」
 おっと。
 おっと言ってしまったぞ、暗に受けて立ってやると!
 ぶっ飛びそうな観覧車はパス。
 只管回って虹色(※柔らかな表現)をぶん撒いているコーヒーカップもパス。
 悲鳴しか聞こえないお化け屋敷は論外。
 銃声ばかりのウエスタンランドは野蛮すぎ。

「やはり遊園地の醍醐味はジェットコースターですね」

 ちょっと“るんっ♪”って感じに聞こえたのは気のせいだろうか。
 えっ嘘いいの?ほんと?さっきズギュン!とか変な音立てて空気の壁超えようとしたけど?本当に?
 ここに常人が居たら魅夜に3……いや5回くらいは最低確認したことだろう。

 で、一方の魅夜は割とノリノリだった。
 “爆速? けっこうなこと”なんてご機嫌。
 たわわな胸を張ってドヤっ!と言うのには理由がある。
「ふふ、私は時を操る力も持っていますから」
 ゆえのドヤ。
 ゆえの余裕。
「無理やりコースターの速度を押さえつけてもいいのですが……それではつまりませんね」
 良い判断である。
 多分止めようとすると走りって音速を越えたいジェットコースターvs止めて優雅に乗りこなしたい魅夜という“スーパー怪獣大戦”みたいになっちゃうかもしれないので、とってもいい判断であった。
「さあ、思う存分飛ばしてくださいな!」

 超余裕。
 何故なら麗しき魅夜はUC―解き放たれよ漆黒の質料、撃ち砕け形相の器―で三半規管を抜いてしまったのである――!!

 でもここ、悪夢なので出しても置きっぱなしにはできない。
 結局持ってると、どんな遠くても動くわけで。

 ズギュン!その日、人生で初めて望外の音速を魅夜は経験した。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

和井・時親
◎誉人くん(f02030)を誘って🎢

ジェットコースターに乗ったことはある?
俺はあるよ
とにかく楽しかった
簡単に死ねるスピードで振り回される快感を思い出し
ニヤけてしまう

怖い?怖いの?やめとく?俺乗ってくるからここで待ってる?

文句言ってる誉人くんを煽ってジェットコースターに押し込み
楽しいに決まってるよ
クレイジーでファンキーでロックでデストロイだっけ?
なんでもいいけど
楽しまなきゃ夢に囚われたままだし
連中は野放し
なんてムカつかない?

バーを握る彼を揶揄ってやろうかとも思いつつ

走り出っ
速!?
えぐ…
内臓出そう
でも
絶叫も
笑うのも止まんない

ゴールしたのにバー上がらない…?
あっ
く、問答無用のおかわりは聞いてない!


鳴北・誉人
◎時親(f36319)と🎢

時親の問いには首を振って否定

時親だって経験あるっつっても
こんなモンスターじゃねえだろォ…とげっそり嘆息
怖かねえわ!
俺だってバイク乗り
ある程度の速度は経験してるけどな
ソレの比じゃねえって
ギュンッ!てなってンだろォ
アレはやべえって
だから怖くねえ!
すげえ煽ってくるな、お前

プリンセスも勘弁
あのピエロはぶん殴りたい
わかる

覚悟して座り安全バーを握り締める

あー
ダメだコレ
ンで笑えンだよ!
ひっ
とォきちかあああ!
おぼえとけよおおお!!

亜高速に振り回され
意識を保つだけで精一杯
ここまで俺を連れてきた時親を恨む

でも
二度目はマジ余計だからァ!

喉引き攣って声出ないけど気絶しないように
根性で耐える



●法外のスピードへさあゆこう!
「ねえ誉人くん、ジェットコースターって乗ったことはある?俺はあるよ」
「え。いや……時親だって経験あるっつっても――」
 ズギュンッ!!って音したんだが。時親、お前の後ろにある|それ《ジェットコースター》、ズギュンッ!!って空気の壁破ったんだが。
 “兎に角楽しかった”と記憶に浸り、どこか恍惚とした微笑み浮かべる和井・時親(紫の呪言士・f36319)は並の者が見ればころっと騙され『じゃあ一緒に乗る?』なんて言わせそうな愛らしさで笑ってみせる。
 だがここは夢の中。
 さっき走ったジェットコースターが秒で帰って来たとしても、ただ鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)の瞳が死んでゆくだけ!
 反比例するように瞳輝く和井・時親(紫の呪言士・f36319)は、バリバリ乗り(たい)気(持ち)を前面に、誉人の背を押した。
 でも、誉人はちょっとだけ夢がみたかった。(夢の中だけど)
 ワンチャン時親があのモンスターっていうかもう地獄の具現みたいなジェットコースターに気付いてないんじゃないかなーというもういっそそれこそこの夢の中でさいつよにファンシーな夢を見たかったので、驚嘆したいきもちにそうっと蓋をし、そうっと尋ねてみる。
『は、はは。ははははは…………こんなモンスターじゃねえだろォ……?」
「ふふっ。怖い?怖いの?やめとく?俺乗ってくるからここで待ってる?」
 夢だと信じたかったけど夢じゃなかった。完全に気付いてるわ。現場からは以上です。
 そして控えめ言っても誉人の煽り耐性は低かった。
「は?……――怖かねえわ!」
 なんたって己の危機感という危機感が“やめろ!”と叫んでいるのにハイパー強がってしまったのだ。
 さっきげっそり嘆息したお前はどこに行ったんだよ!思い出せよ!何で蓋しちまったんだよ!!と言いたいところだが、もう頷いちゃったので全部無効です。グッバイ普通の世界。(※ここは人の夢の中の世界です)

 ガチャン。
 無慈悲に締まる安全バーの音がして、瞬きするかしないか後。
「っ、ぁ、ぁっあああああああああああぁぁ!!!とォきィちィかァあああああ!!」
「あはは!えっぐ……!でもさいっこー!」
 何か二人共掛かってる重力に差ない?大丈夫?
 時親くんとっても爽やかだけど、風圧で誉人くんの顔歪んでない?アッ舌噛んだ。
「(ぐ、ぅっくそっやっぱりやべえじゃん、煽りやがって時親のやつ!)」
 どんなに叫ぼうと泣こうと、乗ってしまえば全部が後の祭り。
 もちろん誉人も分かってはいるのだが……舌を噛んだ痛みに涙を浮かべながら、つい時親を恨もうと当の時親はどこ吹く風。
「(俺だってバイク乗り。ある程度の速度は経験してる。でもっ……!)」
 法の中だけで使える免許ってことは当然法の下で許された速度で走っているため、法外の空気壁ぶち破ろうとするようなスピードとは無縁なのだ!
 きゃあきゃあとはしゃぐ見た目年齢相応に見えてしまう。
 が、正直なところ、あの謎のヤギらしい生き物も煩いピエロも居ない方が楽なんじゃない?とか思って背を押されるままこのコースターに乗った部分はあったのだ。いっそ全部ぶっ飛ばせるかな、なんて軽い気持ちで。
「(でも世の中甘くないんだな……)」
 誉人は静かに一つ、大人になった。
 同時に思う。最大の敵が隣に居た件について。
 これは何かの、それこそゲームや漫画や本のタイトルになるんじゃ?なんて、今最高に無関係なこと遠く思った時、ねえと隣から時親の声。
「……ここ、クレイジーでファンキーでロックでデストロイだっけ?」
「たしかな」
「――まあ、なんでもいいけど」
「いいのかよ」
「楽しまなきゃ夢に囚われたままだし」
「……あー」
「ね?ふふふっ」
「いやでもダメだコレ。ってンで笑えンだよ!ひっ、」
「誉人さ、野放しな連中、ムカつかない?あっやばカーブ無理あっはっはっはっは!!」

 あのピエロもヤギも時親もぶっとばす。
 お気持ち砂になりかけながらなんとか止まりつつあるコースターからくすくす笑う時親と共に降りようとした時。
 “ガジャン”
「「え」」
 外れない。
「いや。いやいやいやいや二度目はマジ余計だからァ!」
 安全バーが、外れない――!!
「くっ、問答無用のおかわりは聞いてない!」

 “いらないって!”

 この日初めて誉人と時親の言葉が被るも、二週目の音速が全てをやまびこに変えてゆく。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー


美希!

《いやです♡》

まだ何も言ってないのだけど!?

《どうせあのゴミ3つで遊ぶって言うんでしょ?》

え、ゴミ!?

《うん、ゴミだよ!
あんなの乗ってたら頭おかしくなる!
というわけでみきは寝るの。
おやすみ!!》

でもね、美希。

《あれ、寝れない。お姉ちゃん、もしもし!?》

美希も生きているうちに、駆け抜けた方がいいと思いますの。
ジェットコースター、観覧車、コーヒーカップ!

《そこにお化け屋敷とウエスタンランドがありますけど!?》

美希……

幻覚を……?

《ねえやばいってこの人!!
そこまでしてガン無視したい!?》

だってお化け怖いんですもの!!

《だからウエスタンランド行けなの!!!

お姉ちゃんそろそろおかしいよ!?
身体の芯も、心もまたひんやりしてる…!》

……美希。

大丈夫、美希はこれからの楽しいことだけ覚えていればいいの。

《無理じゃない!?》

さあ!
シートベルトも無しで、美希の三半規管をかき回しますわよ〜!

(もし空に放り出されてしまっても、
真の姿…死体に変身すればいい。
美希も猟兵ですから…きっと大丈夫ですわ…!)



●君は知ってるか、理不尽を
「美希っ!!」
「いやです♡」
「まだ何も言ってないのですけれど!?」
「どうせあの|ゴミ3つ《爆速アトラクション》で遊ぶって言うんでしょ?」
 妹|ラップトップ《美希》ちゃん ぷんすこ。
「え、ゴミ!?」
 なんてこと言うんです!なんて叱る姉|ラップトップ《シエル》は目を泳がせ口元を引きつらせる。

 ちなみにこれ、姉妹だけど体は一つなのである。
 もう一回言うけど、体“は”一つなのである。
 よってなんとかお上品さを保って必死になったり、いーや!なんて可愛らしく頬膨らませたり、コロコロ表情が変わり忙しい。一人で。
 ちなみにどちらかと言えば今押し負けている方が姉のシエル。元、シエル・ラヴァロ。
|最高のアトラクション《魂吹き飛ばす亜高速》をゴミと叩っ切った辛辣な方が妹の美希。元、三上・美希。
 体は一つとなった今の名はラップトップ・アイヴァー1(動く姫君・f37972)。

後ろでヒュゴオオオ!!と風切るジェットコースターの威圧に“ゴミなんてだめよ!”と上品な|お姉ちゃん《シエル》にピエロは感涙である。
「ううん!ゴミだよ!」
 控えめ言ってもさっきより言葉が力強くありませんか|ラップトップ《美希》さん。
「あんなの乗ったら頭おかしくなる!!」
 正直シエルもそう思うのだが、美希なら楽しめるのではと思ってしまったし、勿論姉妹ゆえ美希もその心を察していた。
「だからみきは寝るの。おやすみ!!」
「……――残念だったわね、美希」

 じゃあね!と逃げようとした美希が脳裏で瞠目する様に、|シエル《身体》はうっそりと口角を上げた。

「あ、あれ?!寝れない。なんで?!お姉ちゃん!」

 慌てた様子の叫びから一拍の間を置き、クククと笑う|体《シエル》は今、ピエロも逃げ出す悪い顔。
 ニッと美しいほど弧を描く瞳は“とってもいいこと”を思いついた証に他ならない。

「――ねえ?」
 ひえ、と脳裏で|お姫様《美希》は悲鳴を上げてたじろいだ。
 美希は|前から《生前から》知っているのだ。|お姉ちゃん《シエル》が猫なで声の時ってあんまり美希にとっては良いこと無いって。
「美希?貴女も生きているうちに駆け抜けた方がいいと思いますの」
 うふ。なんて|お姉ちゃん《シエル》が艶やかに笑うから、|お姫様《美希》は震えるしかできない。
 絶ぇっっっ対、嫌!!なの!!!!なんて力強い否定は口から出すことが叶わない。|お姉ちゃん権限《絶対王政》はこういう時強くてずるい。
「どれがいいかしら?……ジェットコースター?」
 もう吹っ飛ばされるというか高速の壁を越えたいタイプの風圧で殺しにくるタイプ。
「観覧車――?」
 見える風景とはと問合せしたくなるし乗車前ガクン!って突然止まるので気を付けないと首鞭打ちになりそうだしゴンドラの中でシェイクされるタイプ。
「コーヒーカップ?」
 ばくそくぎゅるぎゅるにじいろせいせいき。いいこはみちゃだめって居ないけどママもパパも言うタイプ。

「……どれもやだよぉ」

 やっと|美希《ラップトップ》に許された発言はこれだけ。
 今時点でやや目が死にかけているが、|ラップトップ《美希》の記憶に出発前、グリモア猟兵の言った“お化け屋敷とウエスタンランドの記憶”が過りハッとした。
 グロッキー回避への一縷の望み――!!

「ねえ!ねえお姉ちゃん見て!ちゃんと!ほら!そこにお化け屋敷とウエスタンランド!あるよ!」

 必死である。
 だってお姫様が吐くとか美希的にNGだし。
 |ラップトップ《美希》が|ラップトップ《シエル》に入れ替わり、やや変化した目つきで、視界にあるはずの2つの看板を見た|ラップトップ《シエル》が不思議そうに小首を傾げ、瞬き3度。

「美希……あなた、幻覚を?」
「おかしい!!ねえ!やばいってこの人!!」
 間髪入れず叫ぶ。
「ねえ!ねえお姉ちゃんってば!そこまでしてゴミに乗りたいの?!そこまでガン無視する必要ってある?!」
「――だって……」
「だって?」
 お化け屋敷とウエスタンランドを指差し叫ぶ|ラップトップ《美希》の表情が、|ラップトップ《シエル》に変わるやきゅっと服の裾を掴んで瞳潤ませ乙女になる。
 一瞬姫をお家に置いてきた美希のキュッと眉間に皺寄せた顔を挟んでも。
「こ――」
「こ?」
「怖いんですもの。おばけ」

 一瞬全世界の時が止まった。(※美希の心中だけ)
 ないでしょとか心の中でぽつって美希が言ったけどお姉ちゃん聞かなかったフリするんだけど。

「いやあのね?!だからウエスタンランド行けなの!!!」

 大体まだ身体の芯も心もまたひんやり――と美希がシエルを気遣う心が風圧に飛んだ。
 “大丈夫、美希はこれからの楽しいことだけ覚えていればいいの”
 なんてすっごい優しい声が聞こえたけど無理でしょ。


「さあ!シートベルトも無しで、美希の三半規管をかき回しますわよ〜!」

 ちなみにこの後縄抜けならぬ安全バー抜けを見事成功させたラップトップが綺麗な着地を猟兵ゆえに100点満点で決めるのだが――……。

『ブラボー!』
『キャー!ステキー!』
『カッコイー!』
 という看板を持ったピエロに囲まれジェットコースター二週目に行ったとか、なんとか。
『Baaaaaaaaaaa』
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『殺人ビスクドール『異人さん』』

POW   :    もっと優しく触れて欲しかった
全身を【禍々しいオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【敵意】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    髪を乱暴に引っ張らないで
【帽子から怨念と呪詛】を宿した【魔剣】を射出する。[魔剣]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
WIZ   :    どうして帰ってきてくれないの
状態異常や行動制限を受けると自動的に【小さな甲冑騎士の人形による防御】が発動し、その効果を反射する。

イラスト:ゆりちかお

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠イサナ・ノーマンズランドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『なんなのよ』

『イィィィイイヤァァァアアッホォオオオオオオオーーー!!!!』
『Fuuuuuuuuuuuuuuuuーーーーーー!!!!!!!!!!』

『おかしいでしょ、こいつら!!わたしはっ『Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!』

『うるさっ!!』

 なんなのもう、どうしてくれるの!と怒鳴り散らすのは、ぐったりとした折山文を人形用の包装箱に収めた殺人ビスクドール『異人さん』。
 もう段々ビスクドールとしての美しさとか愛らしさとかすっ飛ばして“ふざけんじゃないわよ!!!”とかキレだしている。
 え?あのピエロとヤギはそちらの陣営では?
『はぁ?!知らないわよ!いつの間にか居たんだから!!!そっちのでしょ!!』
『Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuーーーーーー!!!!!!!!!!!!』
 いや流石にこんなもの人夢に持ち込むなんて。
 ねえ?
『なによ!わたしが悪いってこと!?』
 いやそんな。
 ねえ?
 あっうわやばバク転したあのピエロはっや。
『きぃぃぃいい!!ふざけるんじゃないわよ!こんな下らないもの持ち込んで!これは乱暴よ!わたしへの乱暴!あとわたしのこと忘れてたでしょ!』
 いやそんな。
 ねえ?
『Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa』
『静かにしなさいよぉ!!起きちゃうでしょぉぉお!!!』

 異人さんだって静かにした方がいいですよ、なんて突っ込む者はたぶんここにはいない。
 いるのはどっちかというと高確率で青い顔か紙みたいに白い顔してグロッキーな猟兵だけ。一部めちゃくちゃ元気な人もいるかもだけど。

『うっ……ぐすっ、わたしのことぉ……忘れてたくせにぃ!!!』
 いやそんn
『うるさーーーい!!!!思い出させてやるからぁ!!いやっていうほどぉおおおお!!!』

 異人さん、実におこ。
 いやもう激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームってやつかもしれない。
 怒りだけは神クラス。
 あ。不自然な程起きない折山さんが魘され――……。
『う゛……待って、しめ、きり……いい、コピー――ピエロ、の、かんがえる……から……』

 その瞬間、猟兵も異人さんも察した。
 あのヤバいピエロも、もしかすればヤギも、この折山文の悪夢産。要は一番の現地民なんじゃないか――……ってね。

🎢☕🎡🤠🧟🥳🐐

 ぶっとばせ|オブリビオン《怒れる少女》!

 以上です。
 
 
 
隣・人
うっ……うぇ……
全部、全部出ましたよ
でも。まだ
気持ち悪いです
世界がぐるぐるしてますね
いよいよ頭も痛くなってきました。これも全部テメェの所為です。赦さねぇ……ぇ

テメェの攻撃を避けるの無理なんでコーヒーカップ盾にしてやります。すっぽり被れば壊れるまで防げますね???
ウ――ン

痺れを切らして近づいてきたらチャンスですね。テメェの三半規管もクソザコにしてやりますよ――あ、与えるダメージは極めて僅かです、目が回ってリバースする気持ち悪さ味わえ
回転数は勿論最大、後方縦回転、速度はアトラクションよりも早く早く更に早く――
ふっふっふっ
エチケットも酔い止めもねェ状態です。このぐるぐるバットに耐えられますかね……?



●方々への都合上、基本アレは虹色でお送りいたします
 覚束無い足取りの隣・人(|22章39節《六六六人衆・序列番外》・f13161)が目を回し気味ににやりと笑う。
「う……うぇ……全部、全部出ましたよ」
 隣人ちゃんが怪し気に笑う様に異人さんが一歩下がれば、隣人ちゃんが一歩迫る。
「でも。まだ――気持ち悪いです。世界がぐるぐる……」
『はぁ?!何言って――』
 異人さんはどちらかというと不運で空気が吸わなくてもいいのだが吸うタイプでコーヒーカップがしこたま回るなんて想像したことの無いお人形だったのである!!!
『髪を乱暴に引っ張りそうな貴女なんて、八つ裂きよ!』
「おっと」
 やってしまって!と叫ぶ異人さんの魔剣が隣人ちゃんを八つ裂きにすることは叶わない。
 大きなコーヒーカップの縁を外側へ踏み、回転する要領で被った隣人ちゃんはコーヒーカップをシェルター兼盾代わりに刃は防がれ、異人さんが目を吊り上げた。
『なんでよ!』
 怒る異人さんが二度刃を突き立てようと亜高速回転に軋まぬカップは頑丈で、怨念と呪詛と逆恨みに包まれた刃が貫通しない!
『くっ、ふざけないでちょうだい……!わたしの恨みっ』
「ようこそ。テメェの三半規管もクソザコにしてやりますよ――!」
『へ?』
 突き刺してやる!と近付いたが最後、カップから素早く伸びた隣人ちゃんの手が足を掴みUC―隣人ちゃん流拷問術・改―“キサマモゲロインニシテヤロウカ・アラタメ”。
 説明しよう!この“改”、改良の改ではなく“改めてお前も”の改の略。

『え、ちょっとなんで』
 コーヒーカップに引きずり込まれると思った異人さん、亜高速回転機が残ったままの皿にバットをブッ刺した隣人ちゃんにぐるぐるバット状態で括られているのである!
「ふっふっふっ、エチケットも酔い止めもねェこのぐるぐるバットに耐えられますかね……?」
『いやぁあああ!』

 ぎゅん。異人さん風になる。
 これ回転数秒で126回越えるのではとかそんな突込みは無駄。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェルシー・キャタモール


立場さえ同じだったら、私達手を取り合えたかもしれないわ
でも私と異人さんは敵同士
……というかそもそも!あなたが!
文にちょっかいかけなければ良かったのよ!!
成敗してくれるわこの野郎!!!

この混沌は逆に活かせるわ
だって異人さんも巻き込まれてるもの
だからこう、いい感じに異人さんがピエロとヤギにもみくちゃにされてるタイミングでUCを発動するわ

私は……ここまでの道のりで多少はこの悪夢と分かりあったつもりよ!
あんなに長い時間(※体感)一緒に走っていたんだもの
だからあいつらは敵認定しない!
狙うは諸悪の根元、異人さんだけ!!

これは純粋な攻撃よ!デバフも状態異常も乗せない、純粋な暴力よ!
私の怒りを食らえーッ!!



●私が貴女で貴女が私だったかも
 ぐ、とチェルシー・キャタモール(うつつ夢・f36420)が感情たっぷりに叫ぶ。
「私達、立場さえ同じなら……手を、取り合えたかもしれないわ!」
『っ、まさか貴女も!?』
 硝子の瞳でチェルシーを見た異人さん。瞳が交差した瞬間、世界が女子会――!

 に、なる訳も無いのである。
「――というか!そもそもあなたが!文にちょっかいをかけなければ良かったのよ!」
『煩いわね夢見たあの女が悪いのよ!というか貴女、自分から来たんでしょ!』
「はぁ~!?大体あなたが問題を起こしたから私が来なきゃいけなくなったのよ!」
『あらぁ~?本当にそうかしら~?』
 キレの後煽り。
 ちなみにチェルシーの正論で異人さんは言い返せてないだけである。
 異人さん大人げないし、さっき散々回されたので顔色が悪い。いつ虹ってもおかしくない。
 のにおーっほっほ!とか煽る異人さんにやや涙目で頬膨らましたチェルシーが、キレた。
「~~っ、成敗してくれるわこの野郎!!」
 へびちゃんもカッ!と口を開いて威嚇のおこ。
『ふん、怖くなんて――きゃ!何よ!あっち行きなさいよ!』
 バトる二人を面白いと思ったのか絡んできたピエロにヒステリックに半ギレの異人さん。
「(――この混沌、活かせるわ!)」
 チェルシーの脳に襲い来た天啓。
 何なら“今です!”とか聞こえた。たぶん。
「私は……ここまでの道のりで多少はこの悪夢と分かりあったつもりよ!」
『ちょ、やめろ!あっちいけ!って何よ!先輩面ってわけ?!』
「だって……あんなに|長い時間《※体感です》一緒に走っていたんだもの」
 ヒュー!と指笛吹くピエロは確かにチェルシーを弄らず、やるのは異人さんのみ。
『くっ、私の何が嫌なの!』
「いいえ――ただ!あなたが敵だってだけよ!!!」
 UC―ミゼリコルディア・スパーダ―!
 異人さん襲う魔法剣10本。まさかのガチ暴……いやユベコ。
 情緒?そんなのお化け屋敷で落としたわ!

「私の怒りを食らえーッ!!」
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
やれやれ、ただでさえでたらめな夢ですのに
それに加えてあなたのような駄々っ子の相手をするのも
面倒になってきました
ちょっとだけ相手をしてあげますからさっさと退場なさい

私は悪霊、その私に対して呪詛を掛けようなどと愚かです
範囲攻撃の呪詛を結界と為して
相手の呪詛を逆に食らい尽くしてあげましょう
飛来する魔剣もその結界で叩き落します

さあ受けなさい我がUC
黒い風を起こして束縛し空間ごと破壊しつつ
4回攻撃で滅殺してあげましょう
せっかくです、最後の4回目はその髪を切り落としましょうか
え? 髪を引っ張らないで、とは
そうして欲しいというフリでしょう?
さあ、丸坊主におなりなさい
これこそまさに悪夢、ですね、ふふ



●“のろい”とは
 やや乱れた髪を黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は払う。
「やれやれ、ただでさえでたらめな夢ですのに」
 目の前でよろよろと覚束無い足取りになりつつある異人さんはと言えば、乱れる金髪を治す気力もなくなりつつあるらしい。
『ふざけんじゃないわよ……!ひどい、ひどいわ!』
「……面倒になってきました」
 地団駄を踏みきぃきぃ泣きながらヒステリックに怒る異人さん。
 でも別に彼女、無理矢理ここに連れてこられたわけでも何でもないことを魅夜は知っている。
「(寧ろこの悪夢を助長させたのはあの駄々っ子)」
 そう。
 確かに控えめ言ってあの暴走ピエロとか異常なヤギとかの“原型”は折山文――彼女だろう。だが“悪夢”に変えたのは間違いなくあの異人さん。
『ちょっと!そこのあなた!ぶっ飛ばしてやるわよ!わたしのっ――引っ張らないで!』
「……引っ張ってなんていませんし、悪霊の私に対して呪詛を掛けようなどと愚かです」
『うるさーい!』
 うえーん!とかそういう泣き声が聞こえてきそうだが魅夜からすれば騒音だ。
 というか興味は無いのだが、ああも騒がれるとちょっとばかり虐めたくもなるというもので。
「殺屠滅絶」
 艶やかに笑い|黒き風《呪詛風》巻き起こす翼で空気を抱き魅夜は翔ける。
『何これ……!髪を乱暴に引っ張らないで!』
「ふふっ……引っ張ってないわ。さあ受けなさい。四象の予言と為す、黒き風に崩れ征け運命」
 荒れ狂う魔剣が堅牢なる魅夜のオーラに弾かれ、幾ら振り回せども叶うはずもない。
 鎖に追い縋られ貫かれること、三度。四度目の刃が、

「ちょっとだけ相手をしてあげますからさっさと退場なさい」
『きゃ!』
 突き刺さる鎖で地面に縫い付けられた異人さんが悲鳴を上げれど、無慈悲に髪を掴まれれば抵抗などできる筈も無い。
『離してっ!』
 この夢は壊すの!と叫ぶ異人さんが、窮鼠の如く魅夜の手から逃げ出した。

「フリの癖に逃げるなんて……丸坊主になればよかったのに」
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・絢音
流茶野先輩【f35258】と

先輩、眼鏡見つかった?
あるんだ…

(文さんの譫言にしみじみと頷いて)
分かるわー、締切
先生になったらさー、自分には締切が無くなるとか甘いこと考えてたけどさー
研修とかレポートとかいっぱいあるのよねー
過去は戻らない……ノルマに追われない子供の日々も…いえ何でもないわ

とりま異人さんに退園頂かないと
いぐにっしょーん!

ここは異類乙女三転変化で白鳥の羽衣姿に。空中機動で魔剣を避けつつ、迫ってきた魔剣は心宿ノ赤星で斬って叩き落とす

あーっ!異人さん後ろ後ろー!すぐ後ろにヤギがー!
先輩!今なら同時攻撃、いけるわ!
心宿ノ赤星を振りかぶって、上からの落下スピードを乗せた脳天唐竹割りー!


流茶野・影郎
久遠寺【f37130】と同行

(スーツの内ポケットから予備の眼鏡を出して)

眼鏡は死んだ
もういない

何にせよ、過去は戻らないもの
学校で修学旅行があるのが分かるよ
そういう体験をさせるためだったんだよな
そして大人になってからそれを知るんだ

それじゃ
エアライダー、白虎拳士
ダブル――イグニッション!

搦め手系
正直苦手だけど手はある
ポゼッショナー、イグニッション

「いやーそちらも大変でしたねえ。夢の中に侵入したらまさかの遊園地というくらいに入る場所間違っちゃったとか思ってません?俺は思いますよ、やっちまったなって、あ、これ詠唱です。行くぞ久遠寺!」

『ポゼッショナー・マインド・ダガー』

只の攻撃だ、反射は出来ないぞ!



●大人って大変なんだ
「先輩、眼鏡見つかった?」
 ジェットコースターで軽率に流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)が失った|戦友《眼鏡》を久遠寺・絢音(苧環の魔女・f37130)が心配すれば――ス、とスーツの内ポケットから取り出されたのは眼鏡!
 やったぜスペアだ!流石|能力者《経験者》準備が良い!
「あの眼鏡は死んだ……もう、いない」
「でもあるんだ……」
 くいっと眼鏡を上げた影郎の視界はやったねクリーン!
 あるならいっか、とほぼ秒で興味の失せた絢音は文の譫言にしみじみ頷いた。
「分かるわー、締切」
 そう、絢音には分かる……終らない仕事。放り込まれる新規案件に受業の支度に能力者は勿論猟兵仕事。いやもう体何個あったらいいの。“これお願い”とか軽率に言う人間。ていうか“これ”とか軽率に言える量じゃないの投げんな。覚えてろよとも言えず、“はーい!”とか笑顔で言わなきゃいけない日本の縦社会。

 ああ、アビリティでもユーベルコードでもいいからぶっ放してやりたい。

「先生になったらさー、自分には締切が無くなるとか甘いこと考えてたけどさー」
 そう。
 先生って思ってたより大変。めっちゃ。すっごく。
 大体先生になるまでだって、レポートレポート研修レポートレポートレポート試験!
「でも過去は戻らない……」
「そう。何にせよ、過去は戻らないしもうレポートはいいんだよ」
 やめろドシリアス。お隣の絢音さん日頃のお疲れでやや目が死んでますよ|影郎さん《先輩》!
「学校で修学旅行があるのが分かるよ」
「ああ……あれ子供纏めるの大変」
「そういう体験をさせるためだったんだよな」
「うん、でも大変なんだよねー」
「そして大人になってからそれを知るんだ」
「あぁ……ノルマに追われない子供の日々も……いえ、何でもないわ」
 いけないいけない、と絢音が頬をぺちぺちしたところで。

『……その微妙に噛み合ってない話は終わった?』
 本当だけど異人さん空気読んで!
「それじゃエアライダー、白虎拳士 ダブル――イグニッション!」
「とりま異人さんに退園頂かないと。いぐにっしょーん!」
 なによう、とか言ってるけど異人さん、その眼鏡を手に入れた戦士とお疲れ気味の先生、やる気ですよ。
「まあ搦め手系は正直苦手だけど手はある」
『どうして帰ってきてくれないのー……わたしの美味しい夢!そして髪を引っ張――乱さないで!』
 カムバック変なピエロとか居ない夢!あと折角色々逃げて髪を整えたのにー!という異人さんの叫びは誰にも届かない。
 絢音のUC―異類乙女三転変化―で麗しい白鳥の羽衣が巻き起こす風は優雅に空を舞い踊りながら、異人さんの振り回す魔剣を縫うように飛び――。
「あーっ!異人さん後ろ後ろー!すぐ後ろにヤギがー!」
『へ?いやぁぁあ!』
「先輩!今なら同時攻撃、いけるわ!」
「いやーそちらも大変でしたねえ。夢の中に侵入したらまさかの遊園地というくらいに入る場所間違っちゃったとか思ってません?俺は思いますよ、やっちまったなって、あ、これ詠唱です。行くぞ久遠寺!」
『ふざけんじゃないわよ……は?』
 UC―ポゼッショナー・マインド・ダガー―。
 無慈悲にも異人さんに向けた影郎の刃は真っ直ぐ。不思議とヤギもピエロも邪魔しなくて。
『うそ――!』
 破魔の光が魔を穿ち、上に逃げようと降り来るは白鳥。
『ちっ!』
「はい、逃げない」
 ど、と突き立てられた絢音の心宿ノ赤星が深々異人さんを打ち据えた。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

和井・時親


爆速バク転!
先刻の地獄より衝撃は劣るけど
吃驚した

連れ(f02030)は…
そのうち合流するんじゃないかな
たぶん
それまで俺は蟲たちと遊んでおくよ

折山さんに手を出したのはキミでしょ
確かにピエロもヤギも…鬱陶しいし苛立つね
誉人くんじゃないけど煽られそう

…本当に
五月蠅い

忘れたか否かの水掛け論の何が楽しい?
そも個人の主観だ
ふふっ
ほんと度し難いね
とまれ端から理解しようとは考えてない

誉人くん復活?
無理矢理起こしてこの夢に影響ないか?俺に判るわけないよ

大丈夫
キミの怒りもすぐに
激痛に変じて
恐怖へ塗り替わる

お待たせ
食事の時間だよ
機を計って解き放つ白燐蟲は敵を喰う

脳筋のキミに褒めてもらえるとは…嬉しいよ、誉人くん?


鳴北・誉人


ピエロとヤギ…狂ってるとは思ってたけどォ
マジで
お前も大概だよ時親(f36319)…

きもちわりい…
ピエロうぜえ…!
休みてえのに休めねえ!
元気な時親に相手してもらえよ
俺は暫く無理…

つーか、文だっけ?
どんな悪夢だよ
どんだけ魘されてン
仕事のストレスが原因?
…魘されすぎじゃねえ?
こええ…
よくわかんねえけど
こいつ叩き起こせばいいんじゃねえ?なあ、時親ァ、ダメ?

あっちもこっちも
クレイジー三昧の光景にうんざり
えげつねえ戦い方だよな
別に褒め、誰が脳筋だ、アレより先にへこませるぞ!

喰い散らかされていく異人を見、これの元凶を睨み、抜刀
時親にはああは言ったが
今からてめえンことは叩ッ斬ンだけどォ

――覚悟は決まったか?



●知らずの閃き
「……すごいっ!」
 重い体の癖に綺麗なフォームでバク転するピエロに和井・時親(紫の呪言士・f36319)は瞳を輝かせていた。
「うん、さっきの|アレ《ジェットコースター》よりかはインパクトも劣るけどすごいね!」
 一刀両断にされたピエロ、胸を押さえて蹲っています。
『凄くなんてないわよこんな奴ら!』
「え?でも折山さんに手を出したのはキミでしょ。だから|あれ《ピエロ》が居るんだよ」
『くうっ……!』
 突然のド正論に異人さん、ぐうの音も出ないぞ!
 だが負けじとキレだした異人さんは喚く。
『こんなわたしを忘れてそうな夢、ぶっ壊してやるんだから!』
「ふぅん……まぁ、連れが来るまで、」

 巻き起こる不穏な空気に異人さんが“やるってわけ……!?”と身構えた時、時親の後ろから、やや蒼い顔をした鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)」の声。

「いやさ……」
 “誉人くん復活?”と異人さんに向けた冷たい顔とは異なり、友人へ向ける微笑みで時親がくすくす笑う。
 その温度差に内心誉人は“温度差えげつねぇ”と思いつつ、うぷっと呻きながらも。
『なによ!あなたまで忘れられる存在感のわたしが悪いって言うの?!』
「ええー……いや、ピエロうぜえのも、こんな圧の空間で嫌なのも――うえやば気持悪っ」
 なによー!と喚く異人さんの元気具合に引き気味の誉人が空いた手で払うようにしっしと異人さんを払いながらやや涙目で。
「つーか休みてえのに休めねえ!お前は元気な時親に相手してもらえよ!」
『やっぱり貴方も忘れられるのが悪いって言うの!?』
「うるせーなこっちは|アレ《ジェットコースター》に何もかもぶっ飛ばされる勢いで回されたんだよ!」
『なんですってー?!』

「ねぇ――忘れたか否かの水掛け論の、何が楽しい?」

『へ?』
「うっわ」

 お忘れですか。
 ここにはさっきピエロぶった切った呪言士が居るんですよ、あなた達。とは誰も言ってくれなかった。
「そも忘却したされたは個人の主観だ」
「つーか、文だっけ?これどんな悪夢だよ」
『知らないわよ!わたしは――』
「ふふっ」
『「ひえ」』
「ほんと度し難いね」
「いやどんだけ魘されてンだろうなとか、仕事のストレスが原因――にしちゃ、魘されすぎじゃねえ?」
『そっ、そーよ!わたしのこと忘れるくらいのなんてヤバいわよ!』
「――とまあキミはどうでも良いし、誉人くん復活なら頑張ってね?」
 白い何かが異人さんの視界の端で飛んだ。
 時親の“|頑張って《働け》”に顔引き攣らせながら、異人さんの向こうで甲冑兵に抱えられ呻く文を指差し誉人が小首を傾げる。
「つーかこいつ叩き起こせばいいんじゃねえ?なあ、時親ァ、ダメ?」
「無理矢理起こしてこの夢に影響ないか?俺に判るわけないよ」
 “杜環子さんに怒られるかもよ”と言えば誉人の顔がわずかに引き攣った。
 何故かって?ああいう“|大抵は笑顔《時親も似たような顔をする》”奴は怒っても“笑って”危ないのだ。
「……やっぱパス。さて、」
 静かな所作で誉人が腰の愛刀に手を掛ける。
 どんなに悪ふざけをしても、その手腕だけは。

「時親にはああは言ったが、今からてめえンことは叩ッ斬ンだけどォ」
『やっぱり乱暴な遊び方なのね――!』
「遊びじゃねえよ。――覚悟は、決まったか?」
「そうそう、本気だよ?お待たせ、食事の時間だ」

 UC―殪花白閃―、UC―白燐拡霰弾―。
 閃いた一閃は悲鳴さえ断ち、湧いた|白《白燐蟲》が食らい付く。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー


真の姿…死体に変身し、お人形さんと戯れましょ!
美希の優しさを借りてね!
銃も回避も一切無し!
激痛耐性と継戦能力はあくまで死体が痛みを感じないことの表れですもの!
UCの速度低下エフェクトは…お話の為に。

ご友人方と予定が合わなかった故に、戻りたかったのですわね。
そして人形も忘れ去られ、愛されなかった…。

壊れた時計の針は進まない。
でも折山文はそうじゃない。
まだ幾らでも取り戻せる!

今でも、十分に遅くないですわ!
そして思い出してもらうことだって……!
私が、覚え続けるのだもの。

だから、あなた方の望んだ幸せに向かえばいいのです!
その手伝いを私たちがしてあげる!

さあ美希!
最後は一緒に!

《ぐえ……もう美希、動けない……がくり》

……ふふ。

|あなたの最期の行き先を《I go to the extreme》……

|永遠に、幸せに《Boost time》!!

限界突破して異人さんにとどめを!
こんな|悪夢《せかい》、目覚ましに蹴り壊してさしあげる!
そこのヤギもピエロも全員一緒にさようならしましょうねっ!!

ごきげんよう。



●お終いに鮮烈な紅き一蹴を!
『……!』
 ラップトップ・アイヴァー(動く姫君・f37972)(とっても動ける死体系女子)の輝く微笑みにぼろっぼろの異人さんはびくん!と震え身構えた。
『な、な、なによう……!』
 圧倒的威嚇!
 散々ボコボコにされてきたゆえの威嚇!

 跳ねまわる無傷で忌々しいピエロとか猟兵とかに振り回されてきたのだ、警戒もしてしまうというもの。
 肩に掛かる髪を払い、ふうわりと姫君の様にターンしてみせたラップトップがスカートの裾を摘まみ優雅な|カーテシー《姫君の作法》を異人さんへ。
 そうして、得物を持たぬ上品なお姫様は亜高速で走るジェットコースタを背に言いました。
「……その方は、ご友人との予定が合わなかったが故に、戻りたかったのですね」
『! ……そ、そうよ!だからわたしが叶え――……』
 ジェットコースターがビョオオオオと風切り走りゆく。
 台風起こしそうなコーヒーカップが視界の端で消えた。
 なんか酷い音を立ててる観覧車が非常に説明しにくい感じ。
『……叶えてあげたのよ!!』
 すごい!せっかく|ラップトップ《美希/シエル》がくれた空気を異人さん守った!
 そう!なんたってこういうのしたかったのである!当初は忘れられた思い出のなんやかんやシリアスさで“可哀想な私に何かしようって言うの!?”とか言いたかったんだけど色んな物にぶっ飛ばされすぎて揉みくちゃにされすぎて言えなかった言葉を思い出したのである!!
 お帰りシリアス!切なさ!悲哀!
 逆に暇になるのは飛び回っていたピエロと鳴いたヤギ。
 暇の極みである。シリアスかよとへんなポーズ取りつつ膝を抱えて拍手で観戦ポーズをし始めた。

「そして……|人形《玩具》である貴女も忘れられ、愛されなかった……」
『ええ……ええそうよっ!みーんな大人になって忘れていくの!ひどいわ!ひどすぎる!そうでしょう!?』
 ボロボロになったドレスの胸元を握り、異人さんは叫んだ。
 その心だけは本当だから。人も物も、“忘れられる”ことほど辛いことはない……ならいっそ手放されたい。自由になりたい。でも物は、動けず新たな主を探すことなど到底叶わない。
 ギリギリ、ギリギリ、異人さんは歯軋りを。
 ギラつかせた澱んだガラス玉の瞳の|縛られた化け物《地縛霊》こそ“異人さん”の真の姿。ごぼごぼどろどろ溜まった恨みがスカートの下から引き出されては苦しみ喘ぎ、クスクス笑いの化け物の背に形成された漆黒の甲冑騎士の影が揺らぐ。
『暗くてっ狭くてっ埃っぽくてっ……さいってなのよ!!』
「でも、ね?」
 |お姫様《・・・》はわらう。
 この場で最も優雅に、素っ頓狂な狂った空気を払拭する優雅さで恭しくも華やかに。
「壊れた時計は進まない――けれど、折山文はそうじゃない」

 “人間よ”
 そう|お姫様《時を止めた死体》は高らかに言う。

『……~~~っ人間だからって!何よ!!勝手だわ!いい加減だわ!許せないわ!!この女は“トモダチ”の気持ちも!物の気持ちも踏み躙る最低の女なの!!なのに!!何で助けに来たのよ!!』
 吼えて吼えてけたたましく。
 泣けぬ眸で無いはずの感情を寄せ集めて怒り散らす。
 嘘吐き!、忘れん坊!、最低!――大っ嫌い!!
 急いで急いで書き換えろ。|この女《折山文》の感情を。記憶を。心を。夢を!!

「いいえ。まだ幾らでも取り戻せる!」
『――なに、』
 ゆっくり広がり始めた|汚泥《恨み辛み》を払う耀きを此処に。
 鮮烈な光を胸に。
 勝ち抜く希望を意思に。
「今でも十分に遅くないですわ!」
 |ラップトップ《シエル》が勝気に微笑む。
 シエルはいくつも絶望的な試合を覆してきた。最悪の終わりかたなんて、本当にしてみなければ分からない。
 覆す方法はいくらでもある。まだまだ、“折山文の思い残し”は“残し”ではないかもしれないのだ!
「そしてあなたも思い出してもらうことだってできるかもしれない……!」
『なっ……そんなのっ!』
 そんなの“夢”じゃない、と動いた異人さんの口。
 |暗く悲しい経験《死を知る》からこそ、ラップトップは僅かばかりでもある願いと望みと、淡く消えそうな希望の全てを掬う。
 |世界に忘れられた、あの一瞬《死んだ瞬間》は、自分だけで十分なんて、きっとそれこそ夢のようで傲慢な物言いかもしれないけれど。
 望むことは、自由だから。
「私が、あなたを覚え続けるんだもの」
『……――わすれないの?』

 君は知ってるか。
 ラップトップ・アイヴァーという、姫君のような魔女のような無敵のプレイヤーを。

「そう!だからあなた方の望んだ幸せに向かえばいいのです!」
 |ラップトップ《シエル》が微笑み手を伸ばす。
「その手伝いを“私たち”がしてあげる!」

 変えてしまえばいい、愚鈍で忘れん坊の世界なんて!

「さあ美希!最後は一緒に――」
 キラキラ笑顔の|ラップトップ《シエル》が“どこか”へ微笑んだ瞬間、手で顔を覆い撫でればくるりと――……くるりと顔、真っ青。
「ぐえ」
 うぷ、と|ラップトップ《美希》は青い顔で口を押えて目が泳ぐ。
「もう……美希、動け、ない……うぇ――」
 むり。
 おねえちゃんよろしく。
『……へ?』
「……ふふ」
 ふうわり舞飛んだけど華麗にスポーティーに着地したその顔はもう|ラップトップ《シエル》。
『……ちょっと』
「うふふふふ!」
 誤魔化してんじゃないわよ!という異人さんの声をラップトップは無視をした!
 くるり中空に円を描けば奔る光。その名はアーク。シエルの――どこか正しくも悪しくあとうとした、片鱗。赤と黒が交差する電子の光。
『――なによそれ』
「ふふ……これは|あなたの最期の行き先を《I go to the extreme》……」
 迸る赤と黒が。
「|永遠に、幸せに《Boost time》!!」
 紅のシューズで華々しい一歩を踏みましょう!
 これは引鉄!ゴール無き|先《未来》へあなただけをご招待!
『ふっざけんじゃないわ!!こんな女――!』
「あら――遅いんですのね。まったく、真後ろを取られたらゲームはお終いですのよ?」
 振りを悟った異人さんが文へと揮った澱みが蹴り開かれる。
 限界を突破した鋭くも軽やかな蹴りが世界を、異人さんの|根源《悪夢の澱み》を割る――!

 悲鳴の全ては夢へと消える。
 抱え上げた折山文を、ラップトップが抱き起す。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『遊園地に行こう!』

POW   :    やっぱりジェットコースターには乗っとかないとね!

SPD   :    たまには童心に帰ってコーヒーカップもいいかも。

WIZ   :    観覧車でのんびり、景色を楽しもうか。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 異人さんが斃され、ピエロもヤギ(ワンボックスカー級)もぶっ飛ばされた瞬間、世界がぐにゃりと歪む。

 きらきらきらきら、解けるように。
 舞い散る便箋、封筒と――……ヤギの消印。
 煌びやかなそここそ、“|Lettre Enchainez Park《レター・アンシェネ・パーク》”通称|LEP《リップ》を――おそらく、模したもの。
 専用の真っ赤な郵便バイクへ乗って、ポストへ手紙をシュートするシュミレーションゲーム。
 郵便物になった気分を楽しむジェットコースターはきちんと楽しめる速度で。
 もちろん、気に入りの便せんに言えなかった思いを綴り送れるコーナーには、拘りの万年筆やガラスペン、色とりどりのインクの群れが収められた郵便塔も。
 どれもこれもが愛らしく、テーマに沿った“ちゃんとした遊園地”になっていたけれど。
 ただ一つ。
 お手紙の入った袋を担ぎ、背に迫るヤギから逃げるどこかゾンビかゴーストハウスを彷彿させるアトラクションに震えた者がいたとか居ないとか。
「う……うぅっ……ヤギっ、ヤギ……ピエロなんてどう合わせて処理して一週間で仕上げろっていうのよ!!――ハッ」

 救出された学生姿の折山・文が飛び起きる。
「あ、れ……?あれ?私、なんで――……」
 賑やかな音。
 不思議と煌びやかなアトラクション達を見上げて、茫然としていた文は、猟兵達を見て驚きながらもおずおずと。
「あ……あの、私変な夢見てたみたいなんだけど――助けて、くれたんでしょう?ありがと、ごめんね?」
 ヤバいヤギとピエロいたでしょ?と困った顔をしながらも姿が|大人《現実》に戻らないのは未だ夢見心地だからか、それとも勇気が足りないのか。
 スカートを払い立ち上がると、伸びをした文が笑った。
「ねえ!ねえ遊びましょう!あなた達まだいてくれるんでしょ?こう時は楽しまなくっちゃ!」

 損よ!と駆けだす姿に時々大人の姿が被る。
 きっと長くはないけれど一時羽を伸ばす時間を。
隣・人
そんじゃ
まあ
ハッピーエンドかなんか知りませんが隣人ちゃんに目をつけられたのです。テメェもアンタも変わらずにとっとと

コーヒーカップに乗るんだよ!!!

ヤギだろうがピエロだろうが人間様の夢だろうが関係ありませんね。テメェを誘ってコーヒーカップに乗って滅茶苦茶に回して目を回してフラッフラするのは必然なんですよ。わかりますか。わかりましたね。よろしい
あ、眼振治まったら何度でも乗りますよ。うるせぇ乗るんだよ。コーヒーカップが隣人ちゃんとテメェを呼んでるんですよわかったな!!!

んで最後に仲良くお花畑を囲んでぐるぐるバットしましょう。楽しい

あっ。他の猟兵がコーヒーカップ乗るんなら同乗するのもありですね

うっ……



●さいつよもとめて!
 さっきコーヒーカップ爆速回転させてた隣・人(|22章39節《六六六人衆・序列番外》・f13161)見てハッピーエンドは逃げ出した。
「そんじゃまあ」
「……?」
 どこか浮世離れした瞳の隣人ちゃんが折山・文に言いました。
「ハッピーエンドかなんか知りませんが」
「……え?」
 突然増す違和感に文が下がれば隣人ちゃんが即距離を詰め――。
「隣人ちゃんに目をつけられたのです。テメェもアンタも変わらずにとっとと――」
 イカれた瞳はぐーるぐる。
 なにせ隣人ちゃんは他に類を見ない“ぐるぐるアスリート”!プロはそう――常に回ってる世界に居なければ。

「コ ー ヒ ー カ ッ プ に 乗 る ん だ よ ! ! !」
「え」

 文が上げられたのは間抜けな声一つだけ。
 気付けば猟兵の力技でぶん回されるカップの中へ!

爆速遊園地さっき異人さんとヤギとピエロと一緒に居なくなりませんでした?
 残念、ここは夢の中!想像こそさいつよ!
よってぐっるぐる回っても色々出ちゃわないさいつよさんはんきかんを妄想した隣人ちゃんこそさいつよ!
「いやぁあっぁああ!」
「ヤギだろうがピエロだろうが人間様の夢だろうが関係ありませんね」
 つまり文の悲鳴など関係無い。ぐるぐるお目目の隣人ちゃんが回転盤を握って回して。
「テメェを誘ってコーヒーカップに乗って滅茶苦茶に回して目を回してフラッフラするのは必然なんですよ」
「そんなわ――うぐっ……」
 自分の夢ながら三半規器官は描けなかった文、最弱。
「も、もう、やめ――」
「うるせぇ乗るんだよ。コーヒーカップが隣人ちゃんとテメェを呼んでるんですよわかったな!!!」

 文に襲い来る圧倒的理不尽――!
 でも。

「んで最後に仲良くお花畑を囲んでぐるぐるバットしましょう」

 なんてあんまり楽しそうに言うものだから。

「――しないわよ」
「いいえやります。わかりますか。わかりますね」
「分かんな……やば、出る――!」

 目が回るほど殺してやるわ!と笑う乙女は今日も遠心力の中にいる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
私はただ「悪夢の滴」として夢を弄ぶものを倒しに来ただけ
貴女を救いに来たわけでも、ましてや遊ぶためでもありません
……まあそれはそれとして
せっかく来たのですからただ帰るのもつまらないですけれどね

では、ジェットコースターなどいかがでしょう
やはり遊園地の看板ですよね
昇って降りて、ぐるぐる回って、ひっくり返って怖がって
そしてそれ自体を楽しむアトラクション……
人生のようですね、などと陳腐なことは言いませんよ、ふふ

でもこんな危険とスリルを楽しめる心がある、というのは
考えてみると不思議な生き物ですよね、人間は
他の動物は危険を楽しんだりしないでしょう
どんな状況でも楽しんでしまう
それが人間の強さですね、ふふ



●悪夢の先の
 きらきらと悪夢が“本当の夢”になれば空気が澄む。
 人は猟兵と夢の主 折山文だけのはずなのに、不思議な賑やかさがあるのは想像上だからだろうか。
 穏かで、賑やかで。……ちょっと現実みたいな世界。
「(私は……“悪夢の滴”として、来ただけだけど……)」
 そう、この夢に黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が訪れたのは悪夢で困る一人の人間を救うため、ただそれだけのつもりだった。
「……まあそれはそれとして」
 この賑やかさの中に背を向けて帰るのが何だか妙に惜しくて。
「せっかく来たのですからただ帰るのもつまらないです」
 “遊ぶため”ではないけれど。
 助けたあとの、ちょっとのお楽しみならば……?

 見あげた大きな空走るレール。
 さっき夢の中でちょっと悪戯な乗り方をしてしまったジェットコースター。
 レールが途中からポストデザインの大きな建物へ入っており、その先が荷物気分を味わえる不思議な空間らしい。
「ふふ。やはり遊園地の看板ですよね」
 どこか少女のように淡く微笑んだ魅夜が歌うように歩んでヒールを鳴らす。
「昇って降りて、ぐるぐる回って、ひっくり返って怖がって――そしてそれ自体を楽しむアトラクション……」
 安全バーが降りたところでコースターが進みだす。
 その目まぐるしさはまるで人生のよう、なんて陳腐なことを魅夜は口にしない。ふふりと笑ってさぁ、大空の中を駆けてからが本番!
「……ふふっ、あら」
 建物の中へとコースターが入った直後頭上を、眼前を行き交う荷物!荷物!手紙にぬいぐるみなどの贈り物!
 山越え谷越えうねるレールが風を切る中、魅夜は不思議な楽しさに口角を上げていた。
 この“ジェットコースター”のイメージ元本を作ったのは人間。人間はとても脆いはずなのい――。
「こんな危険とスリルを楽しめる心があるというのは、考えてみると不思議な生き物ですよね……人間は」
 人成らざるものだからこそ、魅夜は笑む。

「“危険”さえも楽しめる……それが人間の強さですね、ふふ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・絢音
流茶野先輩【f35258】と

今くらいは、高校生の頃に戻って楽しむのもいいんじゃない?親分♪
あ、ほら、今度は普通のジェットコースターがあるわよー
楽しみましょうよきゃっほーい

…あの、親分。空気抵抗の少ない身体って、どういう意味?
ねえ、どーゆー意味?どーゆー意味?
(うっすらと蘇る記憶。土蜘蛛のくせに風邪ひいて、バレンタイン前後を欠席しなかったら。何か変わっていただろうか)

それにしても大人になると…戦闘後にジェットコースター乗ると疲れるのね
子供の頃のあの無尽蔵のエネルギーってどこから湧いてきたのかしら
(自販機でお手紙マークのブラックコーヒーをポチッと)

夢と未来、か
(なんとなく、夢の世界の空を眺めて)


流茶野・影郎

久遠寺【f37130】と

あのなあ、学生時代を懐かしむのはいいけれど
俺はあの時代を繰り返そうとは思ってないんだぞ
(溜息とともについていく)

……仕方ないですねえ
「今回だけですよ」

改めて乗るのは普通のジェットコースター
違うのは僕達
俺が僕だった頃
久遠寺がそう――

「空気抵抗のない身体をしていた頃」

そんな、懐かしい昔
仲は良いけれど、最後まで決して混じり合う事は無かったあの頃
僕はあの人に夢中で
君は……
「さあ、どういう意味なんでしょうねえ」
僕の前では変わってはいなかった

「まあ、年じゃないですかねえ?」
(カフェオレの入ったカップを片手に)

それに昔は夢があった、未来が信じられた
だからじゃないですかね?



●“今だけ”君と
 ――“先輩”。
 そう呼ぶ声にダブったのは、華奢で小柄で折れそうなあの日々の中にいた、久遠寺・絢音
(苧環の魔女・f37130)。
「今くらいは、高校生の頃に戻って楽しむのもいいんじゃない?――親分♪」
 “ほら、普通のジェットコースターがあるわよー”と朗らかに笑う横顔は、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)の遠い記憶の日々より、やっぱり大人びていた。
「あのなあ、学生時代を懐かしむのはいいけれど、俺はあの時代を繰り返そうとは思ってないんだぞ」
 つい影郎の口から出たのは溜息。
 “あの時代”とは、“死と隣り合わせ”の過酷な時代のこと。その当時から経た時分、影郎がいくらか草臥れたおじさんな顔を見せれば、絢音は金色の瞳を細め猫のように笑っていた。
「楽しみましょうよきゃっほーい」
「今回だけですよ」
 はいはい、なんて――……そう、こんな風について行っていた時は良かったのだ。
 何気ない郷愁を噛みしめ、“俺が僕だったころ”乗ったな――なんて記憶のリフレインあたりまで。
 隣できゃあと声上げた絢音を見て、止まり際――……。
「懐かしいな、あの時は久遠寺がそう――空気抵抗のない身体をしていた頃」
「は?」
 涼やかな貌から聞こえた相反するドス声に影郎の|目《夢》が覚める。
 この至近距離では言った言わないなど愚問に等しく、もう止まり際だったので風のせいで聞き間違えちゃったかな☆なんてお茶目もききやしない。
 忘れたのか流茶野影郎、そこまでこの僅かな間に学生時代に戻っちゃったのか流茶野影郎……!そういうこと女の人に言っちゃいけないって、|習った《体で覚えてた》だろ……!
 背筋を流れる冷や汗にぞくぞくする。
「……親分」
「はい」
 ねぇ、と声を掛ける絢音の目は、どっちかというと得物を知る瞳だったような気がした。わぁ懐かしーい。あの青春時代、他勢力の小競り合いで見たあれじゃない?なんてお茶目している時ではない。
「空気抵抗の少ない身体って、どういう意味?」
 それはなんていうかあのそのあれだよあれ、えっと、なんかこう引っ掛かりの無い――などいい歳こいて言えるはずも無く、あの至近距離で言ったせいか逃げる術なんて。
「……いやぁ、えっと」
「ねえ、どーゆー意味?」
「あー……」
「どーゆー意・味?」
 ただ一つ。
 これは、生きるのに必死だった学生時代の影郎は持ち合わせなかった所謂処世術。
「さあ、どういう意味なんでしょうねえ」
 目を合わせずの“すっとぼけ”である。
 絢音の知る“親分”はちょっとズルい男になっていた一方、そんなちょっとズルい男は逆に、もー!と頬膨らませる絢音が自身の前で“変わってない”ことに安堵していたなんて。そうしながら、“青春の恋”に僅かばかり意識を向けていたなんて、知らぬまま。
 でも同時に、絢音が“あの休んだ日”を悔いていたことを――きっと誰も知らなくていい。

 と、気付けばカフェスペースで互いにアトラクションを眺めていた。
「大人になると……戦闘後にジェットコースター乗ると疲れるのね」
 どこか漂う哀愁の正体は、大人になると大敵な例のあれ。よく週末とかに溜まる――疲労!
 お手紙なデザイン缶のブラックコーヒーのプルタブをあければ広がる知った香り。
 もう大人になったせいか馴染みさえ感じるそれを啜った絢音は大人の顔。
「――まあ、年じゃないですかねえ?」
 同じだけ時は経ったのだ。
 卒業し違う道を歩んだ先で、|あの時《学生時代》は決して交じり合わなかった互いが交差して。
 啜ったカフェオレに影郎が“熱っ”と呟けば、ふと。
「子供の頃のあの無尽蔵のエネルギーってどこから湧いてきたのかしら」
「昔は夢があった、未来が信じられた……だからじゃないですかね?」

「夢と未来、か」
 夢から覚めればまた|朝《未来》が来て、仕事が待っている。
 子供達を導き、ゴーストやオブリビオンと戦う日々が――どこか昔とダブる、|朝《未来》がやってくる。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チェルシー・キャタモール


文は思っていたより元気そうね
……たぶん
遊びたいなら私も乗るわ!
楽しい気持ちになれば気も晴れるでしょうし

アトラクションはどれにしようかしら?
ヤギに追いかけられるのはNG出しておくわね
普段ならああいうのも好きなんだけど……今日は色々あったから
だったら無難に郵便塔にいきましょう!
楽しそうだもの!

文は出したい手紙あるかしら?
例えばラブレターとか……なんて茶化してみたりして
……ずっと会えてない友達にメッセージを送るのもいいんじゃないかしら
こういうきっかけがあれば踏み出せることもあるはずよ

私も何か書こうかしら
日記みたいに今日あったことでも記してみましょうか
大変だったことも
素敵な女の子と知り合えたこともね



●うつつゆめ
 茫洋とアトラクションる折山・文。
「(文は……思っていたより元気そう……たぶん)」

 此処は夢。

 遠く、聞こえる人の声は幻想。これは“折山・文の想像する遊園地の姿”だと、ナイトメアを御したチェルシー・キャタモール(うつつ夢・f36420)には分かる。
「……文の遊園地は、とっても楽しい場所なのね」
「え……?」
 覗き込んだチェルシーに驚いた文が肩を揺らす。
「遊びたいなら私も乗るわ!楽しい気持ちになれば気も晴れるでしょうし!」
「え?あ、かわいい……蛇?!」
 天真爛漫さを隠さず愛らしいチェルシーに文が可愛いと言った瞬間、割り込んできた蛇に驚いた文が飛び上がれば悪戯に成功したチェルシーが笑う。
「ふふ。ね、アトラクションはどれにしようかしら?」
「え?えっと……」
 戸惑う文に“夢よ”と言えば“そうなの?”なんて言うものだから、いっそ誤魔化して。
「あ、私ヤギに追いかけられるのはNG出しておくわ」
「あっそれ私もやだ……」
 視線を合わせて笑い手を取り合って、“今日は色々あり過ぎよ!”とチェルシーが言えば“ほんと!さっきなんて世界ぐるぐる!”と文が笑う。
 揃ってやってらんないわ!と笑い飛ばして足を向けたのは郵便塔。
「ねぇ文には出したい手紙、あるかしら?」
「手紙?あぁ最近は……子供の頃はメモとか投げ合って、それで――」

 “お手紙っすよぉ!”
 “ありがとう文ちゃん”

「それで――」
「ねぇ、それってラブレターかしら?」
 茶化すように聞けばハッとした文が顔を赤くする。
「ずっと会えてない友達にメッセージを送るのもいいんじゃないかしら」
「友達に、メッセージ」
 呼んでくれる声二つ。ぎゅうっとスカートの裾握った文はペンを執る。

「さて、私も何か書こうかしら……そうね、」
 記すのはヤギに追われた苦い記憶と、素敵な女の子と出会えたこと。
 この一期一会こそ、猟兵でありナイトメア適合者たるチェルシーの特権。

 また一つ、|夢《記憶》が増えてゆく。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー


元気そうで良かった。
もうあれらに魘される心配は無さそうですわね?

辛い悪夢は、忘れるに限る。
けれどもしあなたがヤギたちのイメージを大事にしたいのなら…

大切なのは。
今という刻を逃さないことですわ!
あの人形も、きっとそれを望んでいるでしょうから。

私たちはスポーツの世界に帰らなければならない。
今日の夜にも、ゲームがあるのだから。

もうご友人たちとのご予定は、忘れませんわね?

ごきげんy

|違反せよ《Violate》。(UC使用)

は?

《今日明日のゲームは全部キャンセルなの》

なんで?
どうして?

《|いたくてあつくてくるしかった《お姫様は不滅なの》!》

……っはははっ、

《お姉ちゃんは確かに、
お化けが怖かった。
でも過去の骸全ては徹底して恐れなかった。素敵なの。
でもみきを振り回し過ぎる》

ねえ美希、ほんとに、

《だから今度は美希が楽しませる番。
文センセ、今日はまだまだ遊ぼうよ?》

おねがい、まって
やだやだやだ!!

《文センセ、お化けは好き?
苦手でも巻き込まれてもらうの。

みんなで、一緒に遊ぼ♪》

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!



●一緒にね!
 楽し気な猟兵達を見て笑みを浮かべていた折山文へ、ラップトップ・アイヴァー
(動く姫君・f37972)が微笑みかける。
「お元気そうでよかった……もう“|あれら《ヤギとピエロ》”に魘される心配は無さそうですわね?」
『わ!うん、そうね……私もだいぶ〆切とクライアントからのネタに参ってたっぽいわ……』
 ふ、とどこか遠くを見た少女姿の文が一瞬大人の姿にダブって見えて、|ラップトップ《シエル》は目を擦った。

 どこか、夢が覚めようとしている。

「ふふっ――辛い夢は、忘れるに限る」
 “そうは思いませんこと?”とニヤリと笑い掛ければ、文もつられてニヤリと笑うと見た目通りに“イイじゃん”と口にするから、悪夢の最中にとんでもない思いをしたことを思いだし、少しだけ意地悪。
「けれどもし――もし、あなたがヤギたちのイメージを大事にしたいのならー……」
『いや!いやいやいやないでしょ!!てかあれ見た目だけの詐欺ヤギじゃん!』
 “見た目だけの詐欺ヤギ”。
 空気がぴんと張り詰まったのも一瞬。次には揃って笑いだしていた。
「ふ、ふふっ、ふふふっ……!何事も大切なのは“刻”を逃さないことですわ!」
『ヤギヤギ……間違えたっ、詐欺ヤギ……!ああもうやばっ――って、わ!』
「さぁ遊びますわよ!……――あの人形も、それを望んでいるでしょうから」
 文の手を引いて駆けだした|ラップトップ《シエル》の呟きは文には届かない。
 それでも、もう夢の果てへ消えた人形の“こころ”の供養。
 いつかまた相まみえるかもしれないけれど、きっとそれは別の人形だ。今しか、“あの人形”の供養は叶わない。
「さぁさ――|覚めて頂かなくてはならないけれど《今夜のゲームに間に合わなければ》!」
 と。
 |ラップトップ《シエル》が軽やかに園内を駆け出し、UC―Sis /+―を発動した。
「|違反せよ《Violate》――は?」
 瞬間、|ラップトップ《シエル》はぐいっと後ろへ引っ張られ、その足が止まる。
 振り返れば文の手を握ったままだった手は美希に繋がれており、繋いだ当の美希はと言えば、ふくれっ面もいいところ。
「お姉ちゃん、今日明日のゲームは全部キャンセルなの」
「な、なんで?どうして?」
 “美希?どうしたの?”なんて本当に分からないといった風に困った顔をする|姉《シエル》に限界まで頬膨らました美希が、頬に溜めていた思いを叫ぶ。
「|いたくてあつくてくるしかった!!《お姫様は不機嫌なの!!》」
『あら……双子の喧嘩って初めて見たかも』
 ひっそりこっそり避難した文はいつのまにやらポップコーン何て齧って観戦らしい。
 もー!と怒る目の前の|美希《お姫様》に|シエル《お姉ちゃん》は――……。
「……っ、はははっ、」
 懐かしいなんて。
 嬉しいだなんて。
 ――それこそ|夢のよう《UC》だなんて。

 分かっているのに、冷たいはずの胸が跳ねている。

 だがそんなちょっとお気持ちシリアスは|不機嫌なお姫様《美希》の前ではシリアル以下だ。
「お姉ちゃんはね?確かにお化けが怖かったのよね?」
 腰に手を当てお叱りモードの|不機嫌なお姫様《美希》の言葉に、“お化け怖いよねー”なんてポリポリポップコーンを楽しむ文の冷静なこと。
「でも過去の骸全ては徹底して恐れなかった……」
 ぎろりと|不機嫌なお姫様《美希》の眦がつり上がって――……“にっこり”弧を描く。
「素敵なの」
 にっこり。
「で・も」
「ね、ねえ……美希?」
 ここで初めて|シエル《お姉ちゃん》はいつも大らかで大抵のことは“しょうがないなー”で許してくれる|美希《不機嫌nお姫様》は怒っているのではないかしら?なんて他人事みたいだった気持ちが自分へ向いていることを自覚して。
「みきを振り回しすぎる!」
「あのね、美希?ほんとに――」
 お姫様が“にこっ”と笑った後、観戦する文を手招き。手を拭いた文が“なぁに?”なんて楽し気に近づいて、ひっそりこっそり作戦会議。“なるほどオッケー”と快諾され、ぐるんと自身へ視線戻した|美希《不機嫌なお姫様》の視線にびくんと|シエル《お姉ちゃん》が半歩下がった瞬間、がっしりとその腕へ文がしがみ付く。
 “あのね?”なんてそれこそ|♡《ハートマーク》でも付きそうな甘ったるい少女の声が、笑っていて。
「だから今度はみきが楽しませる番」
「え」
 がしりと文と反対方向のシエルの腕を押えた美希が、シエルの向こうの文へと綺麗に微笑んめば。
「文センセ、今日はまだまだ遊ぼうよ?」
『えっへっへ!イイじゃん!遊ぼー!!』
 にんまり笑った文と美希、揃えたわけでもないのに足並みをしっかり揃えて向かうは“|お化け屋敷《パンドラの匣》”!
「待って!待ちなさい!あ、ごめんなさい!おねがい、まって――!」
「ねぇねぇ文センセはお化けは好き?」
『んーちょっと怖いけど、一緒ならちょー楽しそうじゃない?』
「えへへ、苦手?でも巻き込まれてもらうの!」
「ねえ!おねがい!まっ――やだやだやだやだっぁぁああ!!」
 “いーよー!”なんてノリノッリの文も、“レッツゴー!”なんてキラキラな美希もシエルには止められるはずもなく。

『「一緒に遊ぼ♪」』

 女三人寄れば姦しい、なんていつ人は言ったのやら。
 何せここは“折山文”のイメージベースの遊園地。“お化けを怖いと思う文”のイメージベースのお化け屋敷。
 “ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!”木霊すお姉ちゃんの悲鳴と。
 “きゃー!”とほぼほぼ雰囲気悲鳴なお姫様の声と。
 “うっひょぉおやばー!”な自分より怖がる人がいると怖くない法則に陥ってる文の声と。

 三者三様、姦しい一時が過ぎてゆく。

 心綴った手紙はきっと“折山・文”の心に残り、使い慣れたスマホに指を滑らせ、彼女は懐かしい名前二つに順番に電話をすることだろう。

「――もしもし。ひっ、久しぶり。覚えてる……?」

 一つ、終わっていたかもしれない未来が変わる。
 三つ折り紡いで綾織に。
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月09日


挿絵イラスト