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アルカディア争奪戦㉗〜虚ろなる神が渇望せしもの

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #虚神アルカディア #アルカディアの玉座

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「皆様、お疲れ様で御座います」

 ライリス・エルファンシア(天麟万華の欠片・f00325)が一同に向けて頭を下げた。その表情はいつになく険しい。

「漸く、アルカディアの玉座への道が拓いたようです」

 険しい表情のままライリスは続ける。

「玉座に座すのは、虚神アルカディアと名乗る存在です」

 虚ろなる神と名乗るそれは、己が進化する為に強き者を求めているという。その為に生命を絶滅の危機へと貶め、それに抗う者達と戦ってきたのだと。

「その際に生命あるモノの情動を暴き求めるようです」

 特に憎悪、願いや欲望、苦悩といったものを渇望しているようで、己を姿を変じ揺さぶってくるのだ。
 ライリスが確認できた戦闘手段は四つ。
 先ず一つ目、「鏡戟戦」。相対した相手の姿を写し、その上で先制攻撃をしかけてくる。その際、自身のユーベルコード以外に写した存在のものを同時使用してくる。ただ、写した存在の思考パターンまで自身に写してしまうので、そこに付け入るチャンスはあるだろう。
 二つ目、「片翼戦」。相対した相手の大切な誰かの姿を写し立ちはだかってくる。写すのは貌のみなので、当然違和感はあるはずなのだが、何故か本人のように見えてきてしまう。本人が傍らに居れば、相対するモノが虚像であると認識することは容易だろう。もしくは、どんな相手でも倒すという意思と覚悟があれば、討ち払えるだろう。
 三つ目、「悪夢戦」。|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》に変じ、相対した相手にとっての最悪の光景を映し出し呑み込もうとしてくる。当然呑み込まれれば猟兵といえど消滅の危機である。しかし、映し出された光景を振り払う意思――虚神が渇望する強い意思を示せば起死回生のタイミングが訪れるだろう。
 最期、「狂乱戦」。赤い霧のようなものを噴出しながら、生命を喰らう異形へと転じての攻撃。この霧は瞬時に場を覆い、こちらの真の姿をも暴いてしまう。だが、生命を渇望する虚神を凌駕する願い――あるいは欲望をもって圧倒することができれば、対等の状況で対峙が可能になる。

「何れも対抗手段は御座いますので、反撃は可能です。
 ……ですが、相手は己を諸悪の根源だと謳っている存在です。くれぐれも油断召されぬよう」

 ライリスはそう言うと、グリモアの力を展開し、最後の戦場へと道を開いた。


白神 みや
 お世話になっております、|白神《しらかみ》です。
 泣いても笑っても、最終戦、です。宜しくお願いします。

 プレイングボーナスは、「「戦闘手段」をひとつ選び、それに対抗する。」こと。
 戦闘手段はライリスが上げた順番にそって以下の通りです。

 鏡戟戦:あなた自身の性格の裏をかく/敵の多重先制攻撃に対抗する。
 片翼戦:大切な人を手にかける覚悟で戦う/大切な人本人と共に戦う。
 悪夢戦:自身にとっての「最悪の光景」を描写し、それを振り払う/雲海の噴出が止む一瞬を突く。
 狂乱戦:真の姿を晒して戦う/自らの願いを敵にぶつける。

●注意
 今回、繁忙期週に突入するため、1日16時の最終集計に間に合う可能性が半々です。申し訳ございませんがその旨ご留意ください。(そのような状況で戦争シナリオ出すのはどうなのかとも悩んだのですが……)

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 プレイング募集については、タグを参照ください。
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第1章 ボス戦 『虚神アルカディア』

POW   :    アルカディア・エフェクト
レベルm半径内を【|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【爆発気流】で加速、もしくは【猛毒気流】で減速できる。
SPD   :    アルカディア・インフェルノ
【石の剣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【無限増殖植物群】」を放ち、ダメージと【呼吸不能】の状態異常を与える。
WIZ   :    アルカディア・ヴォイド
【万物を消滅させる虚無】を宿した【見えざる完全球体】を射出する。[見えざる完全球体]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。

イラスト:棘ナツ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
兄様がいてくれるから光華も片翼戦なの
兄様はとっても優しくていつも光華のことぎゅってしてくれるの
だからちゃんとわかるの。絶対兄様じゃないの!
兄様の手を握ってちゃんと隣にいるの確かめるの
「兄様はずっと光華の傍いないとだめなの」
それに光華ほんとに怒ってるの!
この子のせいでみんな困ってるの!
「自分のためにみんなにめいわくかけるの悪い子なの!」

兄様にお願いされてすぐに戦うの!
騎士さん達呼びだして光華も兄様もちゃんと守ってもらうの!
「ぜーーったい!まけないのー!」
兄様の攻撃のあとも騎士さん達で攻撃し続けるの!
絶対、好きにさせないの!光華と兄様が世界を守るの!


深山・樹
妹のみつか(f37163)と参加する

【片翼戦】

神様と戦うの…本当言うとすごくこわい
でもみつかとだからこわくない

だましてきてもウソみつかにはお日様みたいな
きらきらした笑顔も、もふもふだっこしたかわいい顔もない
「ウソツキはきらい」
気持ち悪い笑顔のニセみつかをにらみつけ
「みつか僕のそばにいるから。…たまに
つたたーって一人でいっちゃうけど!」
今は一緒だしだまされる訳ないよ
「神様はみつかになったりしない!みつかは、僕と同じ人間だから!」

「みつか。必殺使うから、動けない間騎士さんにお願い!」
すぐ【暗黒処刑弾】を使う
神様も処せるのはこれ
回復待ってもう一撃二撃!
「世界壊すのもみつかカタルのも絶対許さない!!」




 深山・樹(処刑人・f37164)と天風・光華(木漏れ日の子・f37163)の兄妹が、玉座に現れた虚ろなる神と対峙する。

(神様と戦う……)

 樹の表情は堅い。相対するのは事実か否かは別として「神」を名乗る存在。かく言う|猟兵《自分達》も超常の存在であるのだが、樹は自分達がまだ幼い事も未熟であることも理解している。
 傍らに居る光華は、対照的いや、ともすれば楽観的なまでの明るい表情だが、それも兄の傍らで共に戦えるが故なのだろう。
 そんな兄妹を無言で睨め付けた虚神の、虚ろな空洞のような貌が揺らめく。

 そうして映し出したのは。

「――兄様」
「――みつか」

 樹には|光華《いもうと》、光華には|樹《あに》。互いの貌のみを写し出した虚神は、相手の名を呼びながら手を差し伸べる。貌のみで、服装も纏う雰囲気も何もかもが異なるというのに、隣に立つというのに、互いの姿のように「信じこまされて」しまいそうで、知らず樹は半歩足が下がりかける。その足を留まらせたのは、他でもない妹の声だった。

「兄様はとっても優しくていつも光華のことぎゅってしてくれるの。
 だからちゃんとわかるの。絶対兄様じゃないの!」

 その声は何処か震えていて、樹は妹が怖がっているのではと不安になり視線をそちらへと向ける。そうして視界に入った妹は珍しくその瞳に怒りの彩を宿していた。

「……そうだ。|ウソみつか《お前》には、お日様みたいなきらきらした笑顔も、もふもふだっこしたかわいい顔もない」

 改めて視線を虚神に向けた樹は、そう断じる。

「兄様はずっと光華の傍にいないとだめなの」

 光華は、そう言いながら兄の手を取る。確かに、いつも抱きしめて、優しく撫でてくれる兄の手。だから、隣に居てくれている兄こそが兄だと、はっきり判る。

「みつか、僕のそばにいるから」

 だから、騙されない。
 そう思いながら、その手の感触に樹も、たまに一人で駆け出して行ってしまうのは危なっかしくて心配な妹が傍らに居ることを確かにし。

「神様はみつかになったりしない! みつかは、僕と同じ人間だから!」
「自分のためにみんなにめいわくかけるの悪い子なの!」

 虚ろな神を拒絶する声が二重唱を奏でた。

「みつか。必殺使うから、動けない間騎士さんにお願い!」
「兄様、お任せなの! ぜーーったい!まけないのー!」

 虚ろな鏡像を敵と定めてしまえば、やる事は戦うのみだ。普段なら妹を背中に護り戦いたい所だが、今日は。

「『必殺の一撃だ!いけっ!!』」

 差し伸べた樹の手から放たれた漆黒の弾が、虚神が生み出した猛毒気流を切り裂きながら襲い掛かる。しかし、その反動で樹の身体がわずかに傾ぐ。このユーベルコード「暗黒処刑弾」は、強力な代わりに生命力が減衰し、しばらく動けなくなるデメリットを抱えている。
 だが、神を処すならばと、選んだユーベルコード。独りであれば避けたかもしれない。しかし、肩を並べようと必死に寄り添い助けてくれる妹が居る。

「騎士さん達! お願いなの!」

 兄の攻撃と共に幻影の騎士を召喚した光華が、騎士達に攻撃を指示する。不可視の球体に飲まれた騎士達が、一人また一人と消えていくが、数多に喚ばれた騎士達はそう簡単には呑み込まれない。

「世界壊すのもみつかカタルのも絶対許さない!!」
「絶対、好きにさせないの! 光華と兄様が世界を守るの!」

 二人の純粋な怒りが、虚ろな神を穿ち抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リグノア・ノイン
Ja.玉座での戦闘、全力で参ります

私は理解できます
貴方の感じる空虚感
持っている者への妬み
そしてそれ以上の渇望
「Wahrscheinlich.私も貴方と同じなのでしょう」

だからこそ此処で止める為
「悪夢戦」に飛び込みます

今までの私では考えられない事だと思います
旅団の皆様が敵に回って、ただそれだけで胸が苦しい
ですが、確信と自信を持って振り払えます
「Es ist alles in Ordnung.私は断言できます。皆様は、そのような事はなさらないと」

振り払うと同時に【Kanone "Lignoa"】を起動
移動力を減少させ攻撃力を5倍に
「Ist das klar.お覚悟を。そして、おやすみなさいませ」




「私は理解できます」

 そう言いながら玉座の間に足を踏み入れたのは、リグノア・ノイン(感情の渇望者・f09348)である。
 彼女もまた、己が持たざる……あるいは、何時か何処かで過去と共に|喪失《なく》した|もの《こころ》を、渇望するもの。それ故に、彼女はそう語る。

「……|Wahrscheinlich.《恐らくは。》私も貴方と同じなのでしょう」

 そう言いながら武器を構えるリグノアに対峙する虚神は、無言のままその身から|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》を噴出させる。

「……っ」

 |拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》が漂いながらリグノアに見せたのは、先ごろ身を寄せた旅団の顔触れ。無言でリグノアに向けて各自の武器を構え、今にも襲い掛かろうとする姿に、かつての自分自身なら抱くことすら無かった感覚に、思わず息を飲み込んだ。
 しかし、彼女は知っている。あの優しい人々は、このような存在の配下にならないと。そうでなかったとしても、友誼を結んだ自分にこのような形で武器を向ける事等無いと。

「|Es ist alles in Ordnung.《……大丈夫です。》私は断言できます。皆様は、そのような事はなさらないと」

 一呼吸し、宣言するかのようにそう口にして、悪夢を否定する。

「……っ」

 示された明確な否定の言葉に、虚神が無言のまま狼狽えるような気配を示す。その瞬間、|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》が途切れた。戦うモノでもあるリグノアが、その隙を見落す訳がない。

「|Ist das klar.《御理解いただけましたね。》お覚悟を」

 その言葉と共に、リグノアは自身の身の裡にある兵装を、歪な砲塔へとまとめ上げる。

「……そして、おやすみなさいませ」

 不思議な程穏やかにそう言うと、砲塔が火を噴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
妻のシリル(f35374)と一緒に

【片翼戦】比翼連理

相棒で片翼、それなら妻と共にで両翼だ
妻には欲張りって笑われてたけど
俺にとってはほんとに大事な事だしな

違和感があってもそうではないかと思ってしまう
でも、俺にとってのシリルは偽物の様に優しさだけじゃない
厳しく、それに正しく諭してくれる
自分が前に出すぎる事が多いからこそ
優しく、時に厳しい言葉に助けられることが多い
「だからこそ…悪いな、お前は違う」

どんな優しい言葉でも、はっきり違うと言い切る
「俺の愛する妻は此処にいる」
言い切ると同時に【退魔術「闇穿」】を発動
敵の攻撃による状態異常も無視して
妻のふりをする敵に、4撃による必殺の鉄槌を
「堕ちろ、虚神」


シリルーン・アーンスランド
陸井(f35296)さまと参ります

【片翼戦】比翼連理

相棒さまと挑まれた上わたくしもは
欲張りな陸井さまらしくて嬉しゅうございますの

元々、あちらで陸井さまは
危ない事はしないで欲しいと仰せでしたわ
ですが此方へ参りましてからは
戦闘にてご一緒が増えました
なればこそ今この場にもこうして

虚ろ神の優しい言葉も差し伸べられる腕も
全て偽りの毒
真横におわす背の君のぬくもりが
お声掛けが敵の悍ましさをより際立たせ

「そのたばかり、わたくしは肯んじられませぬ!」

幻を振り払うようにメガリス・さまよえる舵輪起動
ロボさまに希います

「どうか夫を騙る偽神を倒すお力、お貸し下さいませ!」

攻撃に謝した後、夫と共に斬り込みもし必ずや撃破を




「相棒と妻、これで両翼だな」

 泰然と、だが、戦場らしからぬ茶目っ気を含ませてた声音で、妻の貌を映した虚神を見据た凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が言う。

「陸井さまは、欲張りでいらっしゃいます」

 傍らに立つシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)もまた、何処か弾んだ声で共に立つ夫へと言葉を向ける。当然、そんな彼女の目には、虚神の貌は夫のそれとして映っている。
 陸井にしろ、シリルーンにしろ、戦争そのものを肯定するわけではない。特にシリルーンは、普段は戦場に立つことすらなかなか許してくれない夫から是非にと乞われた事実が、どうしてもどこか嬉しくなってしまい、つい陽だまりのような笑顔を浮かべてしまうのだ。

「俺にとってはほんとに大事な事だしな」

 互いに虚神の写す偽りの姿にのまれそうになってはいるのだ。それでも、こうして交わす会話が、声が、その内容が、確かに妻が、夫が、傍らに立っているのだと、互いに知らしめあう。

「だからこそ……悪いな、お前は違う」

 静かに、だがはっきりと陸井が断じれば、シリルーンが頷く。

「そのたばかり、わたくしは肯んじられませぬ!」

 最初に動いたのはシリルーン。凛とした声を響かせ、縁深きメガリスを掲げる。

「『キャプテンさま…!ハナさま!皆様!どうかお力お貸し下さいませ!』」

 シリルーンの声に応え、メガリスが鋼の巨人へとカタチを変えた。シリルーンにとってはこの威容もまた懐かしい。目を細めて見上げると、巨人となったメガリスが、指示を乞うように視線を向ける。

 ――さあ、お前の敵を示せ。

 その視線はそう語っているようにも思え、シリルーンは頷くと虚神を指し示す。

「どうか夫を騙る偽神を倒すお力、お貸し下さいませ!」

 シリルーンの声に鋼の巨人は微かに、だがはっきりと頷いて受諾の意を示すと、虚神へとその手を向ける。その手に光が終息し、放たれた光線が舞い踊る。それを合図に地を駆けたのは陸井。シリルーンも巨人のみ攻撃を任せるのではなく、長剣を手にして続く。
 陸井にはシリルーンの、シリルーンには陸井の声音で、名を呼ぶ声が耳朶を打つ。しかしそれは、虚神の惑わし。もはや彼等を阻む枷にもなりはしない。

「俺の愛する妻は此処にいる」

 それに対し、平素よりも冷たい声で断じると同時に、陸井は静かにユーベルコードを発動させた。
 虚神の視界から陸井の姿が消える。

「堕ちろ、虚神」

 その言葉と共に、短銃から打ち込まれた闇の弾丸。その数は四つ。的確に打ち込まれた陸井の|ユーベルコード《退魔術「闇穿」》は、この場に現れた虚神を確かに在るべき場所へと送り還したのだった

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年10月05日


挿絵イラスト