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アルカディア争奪戦㉖〜大空を討つ、赤き翼

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #帝竜『大空を覆うもの』

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「アルカディア争奪戦への参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》』に覆われた空域の地図を広げ、語り始めた。
「6つの屍人帝国の支配者達は全て撃破され、アルカディアの玉座に続く庭園への道が開かれました」
 玉座の主たる『虚神アルカディア』は、己が進化の為に強き者の生命を奪う、恐るべき邪神だった。かの神を討つ為には、それを支援する4つの脅威を退けなければならない。

「皆様に依頼するのは、帝竜『大空を覆うもの』の撃破です」
 玉座へと通じる空中庭園のひとつに、凄まじく濃密な大気が凝縮している場所がある。
 猟兵が近づけば、それは全長数十キロに達する巨大な竜の姿を取るだろう。それこそが帝竜『大空を覆うもの』である。
「この魔竜の正体は雲海であり『ブルーアルカディアの大気そのもの』です。すなわち、この世界から全ての大気を消滅させない限り、倒すことはできません」
 世界から大気が失われれば、ブルーアルカディアの生命も生き延びることはできない。
 つまり事実上、絶対に撃破不可能ということになる。これまで戦ってきたオブリビオンの中でも、破格のスケールを持った存在と言えるだろう。

「ですが庭園内に竜の姿で凝縮した大気を散らす事ができれば、一時的に顕現を妨げる事はできるようです」
 大空を覆うものの顕現を阻めば、大気は大気としてただそこに在るだけのものに戻るだろう。少なくともこの戦争の間は脅威ではなくなり、アルカディアへの支援も停止する。
「しかし、それも簡単な事ではありません。これから皆様が戦わなければならない相手は、ブルーアルカディアの空そのものと言えます」
 大空を覆うものは大気や気象に由来する様々な現象を操る他、大気で構成された変幻自在の肉体は巨大でありながら超高速と圧倒的な耐久力を誇る。大気という性質上ダメージを与える事も難しく、並大抵の攻撃ではすぐに元通りに回復してしまうだろう。

「ですが……この魔竜について予知を行った時、リムには誰かの『声』が聞こえました」
 その声は魔力に満ちており、年若い少女のもののようだったとリミティアは語る。実際に大空を覆うものとの戦いに赴けば、猟兵達にも同じ声が脳内に聞こえてくるはずだと。
「どうやら、この声の主は大空を覆うものとの戦いを支援してくれるつもりのようです。皆様がそれを受け入れれば、声の主の力を借りて真の姿に変身する事ができるでしょう」
 この時変身する『真の姿』には、通常とは異なる『赤い霧の翼』が生えている。この翼には「大気を物理化して破壊する」能力があり、これを使えば大空を覆うものに対しても有効な打撃を与えられるようになるだろう。

「しかし、この力はあまりにも強大で、長時間使用し続ければ猟兵と言えども身体が保ちません」
 そこで変身と共に一撃を放ち、大空を覆うものにダメージを与えた後は素早く離脱するのが今回の作戦となる。声の主から与えられたチャンスを無駄にしないためにも、各々が繰り出せる最大最強の技を叩き込みたいところだ。
「予知によると、この魔竜は元々『エンドブレイカー』と呼ばれる世界において大気を司っていたようです。以前、魔王ゼルデギロスの『此華咲夜態』から得た情報とも、関連があるものと考えられます」
 であれば、声の主もまたエンドブレイカーの世界と関わりある者なのかもしれないが、今は詮索している場合ではないだろう。アルカディアの玉座までの道を切り開くために、全力をもって大空を覆うものの顕現を阻止する。それだけだ。

「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、空中庭園に通じる道を開く。
 帝竜『大空を覆うもの』との戦いに挑む猟兵達は、戦場に赴くと同時に、謎めいた少女の声を聞く――。

『私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!』



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はアルカディアを守る帝竜『大空を覆うもの』との戦いです。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……「赤き翼の真の姿」に変身し、最大最強の一撃を放つ。

 ブルーアルカディアの大気そのものである『大空を覆うもの』の顕現体は、全長数十キロに達する超巨大帝竜です。極めて強大な存在ですが、これと戦う猟兵達の脳内には、謎の少女の声が響きます。
 それと同時に『赤い霧の翼が生えた真の姿』に変身し、大空を覆うものを「物理化して破壊する」能力を得られますが、負担が大きすぎるため長時間維持することはできません。
 なので変身後に可能な限りの一撃をお見舞いした後は、速やかに離脱してください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝竜『大空を覆うもの』』

POW   :    雷災体現
自身の肉体を「稲妻の【渦巻く漆黒の雲】」に変える。変身中、雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力を得る。
SPD   :    災害竜招来
自身の【肉体を構成する雲海】を代償に、1〜12体の【様々な災害を具現化したドラゴン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    魔竜真空波
全身を【触れたものを破壊する真空の波】で覆い、自身の【大きさ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
──何故であろうな。
酷く、懐かしい響きを感じる。
遠い昔、此処ではない何処かで聞いたような。

…否、それは今、問題ではなかろう。
この力、存分に使わせて貰うとしよう!

力を受け入れ、真の姿へ変身。
(外見年齢が20代半ば辺りまで成長)
以てかの巨竜へ立ち向かう。

真空波にて己の身を守るか。
だが、余の全霊を込めたこの一撃、凌げるか!

機甲武装・殲滅火砲発動。
威力重視にて大口径の荷電粒子砲を召喚、装備。
可能な限り敵の中心と言えそうな部位に照準を合わせ、ありったけの魔力を込めて威力を増幅。
以て最大威力の【砲撃】を撃ち込むとしよう。

攻撃後は即座に離脱。
後は任せたぞ。



「──何故であろうな。酷く、懐かしい響きを感じる」
 帝竜『大空を覆うもの』を前にして聞こえてきた謎の少女の声に、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)はぽつりとそんな呟きを漏らした。記憶にない声のはずなのに、まるで遠い昔、此処ではない何処かで聞いたような気がする。
「……否、それは今、問題ではなかろう」
 少女の声は「必ず会いにいく」と言っていた。ならば、この懐かしさの理由を知る機会もいつか訪れるだろう。その為にはまず、この戦いを切り抜け、眼前の竜を討つことだ。

「この力、存分に使わせて貰うとしよう!」
 謎の少女から送られた力を受け入れ、ギージスレーヴは真の姿へ変身する。十代の少女の姿から、20代半ば辺りの大人の女性の姿へ。背丈も手足もすらりと伸びて、美しく成長を遂げた彼女の背中には、一対の赤い霧の翼がある。
『……それはまさか 創世の翼……』
 その翼を目にした『大空を覆うもの』の反応には、強い危機感が感じられた。何者にも傷つけられぬ大気である自分を、脅かしうる力。それを使われる前に彼は【魔竜真空波】を発動させた。

「真空波にて己の身を守るか」
 ギージスレーヴが見ている前で、大空を覆うものの巨体が真空の波に覆われていく。
 あの波に触れたものは生物であれ無機物であれ全て破壊される。攻撃に使用するのは勿論、鎧としても高い防御効果を発揮するだろう。おまけにあの巨体だ、並大抵の手段ではダメージを与えられないだろう。
「だが、余の全霊を込めたこの一撃、凌げるか!」
 災害が具現したかの如き威容の巨竜に、彼女は堂々と立ち向かう。大仰な身振りと共に発動するのは【機甲武装・殲滅火砲】。異空間に格納された規格外兵器を転送・装備するユーベルコードだ。

「兵装転送、接続完了」
 威力重視のオーダーにて召喚されたそれは、およそ個人で扱うものとは思えぬ大口径の荷電粒子砲。ギージスレーヴは半ば装備と合体する形でそれを保持し、可能な限り敵の中心と言えそうな部位に照準を合わせると、ありったけの魔力を砲身にチャージする。
「過剰火力の殲滅兵装、塵芥と化すまで味わうが良い!」
 これらを以て撃ち込むはまさに規格外の名に相応しい、最大威力の超弩級砲撃。魔力が変換された電力は天をも焦がす閃光となって迸り――赤き翼の力がそれに上乗せされる。

「……まさか こんな……」
 ギージスレーヴ渾身の一射は真空波の鎧を貫き、大空を覆うものの本体に大きな風穴を開けた。「大気を物理化して破壊する」翼の能力により、ダメージを無効化することが出来なかったのだ。
「後は任せたぞ」
 砲撃を終えたギージスレーヴは加熱した砲身を下ろし、即座に離脱する。強大な魔力を奮った反動か、体が軋んでいるのが分かる。開幕の号砲としては十分な戦果であろうと、その口元には笑みが浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天御鏡・百々
大気そのものとは、なんと恐るべき帝竜であろうか
あるいはかの帝竜『ヴァルギリオス』にも勝るのではないか?

ここでの援護は何とも助かるな
何者かは知らぬが、感謝するぞ
真の姿(大きな鏡を背負った日本神話の神様風の姿)に変身し、赤き翼で飛翔して敵の中枢を見渡せるに移動するぞ
途中攻撃を受ければ、神通力の障壁(オーラ防御)で防御しよう

そして敵の中枢目掛け
本体たる神鏡からの渾身の『天鏡破魔光』を撃ち放とう

なるほど……この力は余りに強大に過ぎるな
攻撃をした後は、即座に撤退するぞ



「大気そのものとは、なんと恐るべき帝竜であろうか。あるいはかの帝竜『ヴァルギリオス』にも勝るのではないか?」
 かつて群竜大陸で相対した帝竜の王にも劣らぬ威容――純粋なスケールだけで語れば、目の前の巨竜が上回っている。これには天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)も、驚嘆という感想を抑えきるのは難しかった。
『私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!』
 そこに突如として脳内に響くのは、魔力に満ちた謎の少女の声。心当たりは無いが悪意らしきものは感じられず、聞けば身体から力が湧き上がってくる。これは帝竜『大空を覆うもの』を討つための力だと、不思議と理解することができた。

「ここでの援護は何とも助かるな。何者かは知らぬが、感謝するぞ」
 声から魔力を受け取る事で、百々は大きな鏡を背負った真の姿に変身する。陽光を鏡が反射する様は後光が差しているようにも見え、まるで記紀神話の女神のように神々しい。
「では往くとしよう」
 さらに今の百々の背中には、謎の少女に貰った赤き翼がある。それを羽ばたかせて空に舞い上がった彼女は、敵の中枢を見渡せる高度まで移動する。正体が大気そのものとは言え、こうして具現化しているからには要となる部分があるはずだ。

「……わたしは この世界の空そのもの 故にわたしは アルカディアを護る……」
 大気の振動そのものが声となっているような、『大空を覆うもの』の言葉。それと同時に竜の巨体を覆っていた【魔竜真空波】が、外敵を排除せんと牙を剥く。あれに触れれば人の身体は勿論、ヤドリガミの本体である器物ごと破壊されかねない。
「すまぬが、再び大気に還って貰うぞ」
 百々は神通力のオーラを障壁として前面に張り、魔竜の真空波を防御する。さる神社の御神体として祀られていた鏡のヤドリガミである彼女の身には、神々の力の一端と破魔の霊威が宿っている。真の姿を顕現させた今、その力は最大限まで高まっていた。

「悪しき者よ、我が破魔の力によりて滅び去るがいい!」
 敵の攻撃を無傷で凌ぎきった百々は、敵の中枢目掛けて本体たる「天神鏡」を向ける。
 磨き上げられた鏡面に大空を覆うものの巨体が映し出され。そこから撃ち放たれるのは太陽神・天照を想起させるほどの煌々たる極光。
「……この光は この力は いけない わたしの 身体が……」
 百々渾身の【天鏡破魔光】を浴びせられた大空を覆うものは焦りを含んだ声を響かせ、逃げるように身体を捩るが――赤き翼の力も借りた破魔の光は、巨竜の顕現体を中枢から崩壊させていく。さながら、陽の光を浴びた屍人が塵に還るように。

「なるほど……この力は余りに強大に過ぎるな」
 十分な戦果を確認すると同時に、百々は自分の身体にかかる大きな負荷を感じていた。
 全力を費やしたとはいえ、たった一撃放っただけでこれほどとは。この力は濫用するものではないと納得した彼女は、後の事を仲間に任せて即座に撤退するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
来てくれるんだ。
これだけの力持つのはどんな人なのかな…負けちゃその明日も来ないし頑張ろう!

予め身体強化の術を符に記述し貼っておく。
時間制限あるから多少の傷は覚悟の上で帝竜の元へ。
陽だまりのオーラを結界術で強化し身に纏いガード、余波位ならなんとか?
符に魔力通しダッシュで庭園の帝竜の元へ。
災害の竜…六匹?は野生の勘でヤバい位置読んで翔剣士の身軽さで回避、反撃せずとにかく本体に切り込むこと優先!
躱されないよう距離を詰めてUC発動!
物理化した帝竜の頭から首にかけて駆け抜けながら滅茶苦茶に切り刻んでやろう。
UC終わったら速攻で飛び跳ね離脱!

※アドリブ絡み等お任せ
真の姿は服装のみ変化、令嬢のような黒ドレス



「来てくれるんだ。これだけの力持つのはどんな人なのかな……」
 声と共に送られてきた凄まじい魔力を感じつつ、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)はその送り主に思いを馳せる。必ず会いに行くとも言っていたし、いずれ礼を言う機会が訪れるだろうか。
「負けちゃその明日も来ないし頑張ろう!」
 いざ往かんと男装の麗猫は普段の騎士然とした格好から令嬢のような黒いドレス姿へと変身し、背中に赤い霧の翼を生やして疾走する。向かうはアルカディアの庭園に顕現した帝竜『大空を覆うもの』の元だ。

「……アルカディアの元へは いかせない……」
 大空を覆うものは自身の肉体を構成する雲海の一部を割いて、【災害竜招来】を発動。
 落雷、竜巻、火災、大雨――様々な災害を具現化したドラゴンの群れが、猟兵めがけて一斉に牙を剥く。
「災害の竜……六匹?」
 クーナはさっと視線を巡らせて敵の数を数えると、予め身体に貼り付けていた魔術符に魔力を通す。すると記述してあった身体強化の術が起動し、術者の運動能力が瞬間的に大きく強化された。

「ここはヤバいかも!」
 ビリビリとお髭がざわつくような嫌な予感。野生の勘に従ってクーナがその場から飛び退いた直後、落雷の牙が大地に突き刺さった。安心する間もなく他のドラゴン達も次々に攻撃を仕掛けてきて、美しかった庭園はたちまち災害現場と化した。
(余波位ならなんとか?)
 クーナはひらりひらりと翔剣士の身軽さで直撃を回避し続け、身に纏う陽だまりのオーラを結界術で強化することで余波に耐える。これだけの竜が暴れまわっている最中でも、彼女の視線はその向こうにそびえ立つ帝竜だけを見ていた。

「とにかく本体に切り込むこと優先!」
 災害竜の攻撃に反撃する暇も惜しいと、魔術符で強化した身体でダッシュするクーナ。
 こうしている今も身体が軋んでいるのを感じる。謎の少女から貰った力に時間制限がある以上、多少の傷は覚悟の上で帝竜の元へ向かうつもりだ。
「……止められない ですか……」
 雨に打たれ、風に巻かれ、雷が掠めても慄かずに駆けてくる騎士猫の姿に、大空を覆うものも危機感を抱いた。しかし彼がその巨体で遠ざかるよりも、間合いを詰められるほうがずっと疾い。

「さあ――クーナの槍さばき、とくと味わうといい」
 絶対に躱されない間合いまで踏み込んだクーナは、銀槍「ヴァン・フルール」を片手に【騎士猫は旋風のように】を発動。同時に赤い靄の翼が大きく広がって、大空を覆うものを構成する大気を物理化させる。
「……わたしの 身体が……」
「これなら空気だって切れる!」
 クーナは実体を得た帝竜の体に飛び乗ると、その頭から首にかけて駆け抜けながら槍を振るい、滅茶苦茶に切り刻んでいく。穂先が幾重にもぶれて見えるほどの超高速連続攻撃が、大空を覆うものに悲鳴を上げさせた。

「こんなところかな。それじゃあ引き揚げよう!」
 ユーベルコードによる連撃が終了すると、クーナは速攻で戦場から飛び跳ね離脱する。
 一度のチャンスに全力を注ぎ込んだ成果は、彼女が撤退した後も大空を覆うものの身体に、生々しい傷痕として残り続けていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
今度の相手はこの世界の大気そのものときましたか……。
ジェイダイトもそうでしたが、呆れたスケールですね。
果たしてどこまでやれるか……。

これ程の相手では小細工は通用しませんね。
ストレートにいきましょうか。

件の声を聞き、真の姿に変身したら【オーラ防御】を展開。
【学習力】により大気の流れを推測し、
【衝撃波】の【乱れ撃ち】で雲を【吹き飛ばし】ながら
最も大気の濃密な箇所を目指しましょう。
ダメージが深刻になってきたら、
浄黒による賦活するエネルギーを自らに放ち対応。
そして【リミッター解除】した最大の【羅山天昇波】を放ちましょう。
攻撃を終えたら飛翔して最短距離で撤退します。



「今度の相手はこの世界の大気そのものときましたか……。ジェイダイトもそうでしたが、呆れたスケールですね」
 ひとつの浮遊大陸に匹敵する巨大な敵を倒したと思ったら、次はこれだ。そびえ立つ積乱雲が竜の形を取ったような、帝竜『大空を覆うもの』の威容を見上げ、山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は呆れ混じりに呟く。
「果たしてどこまでやれるか……」
『私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!』
 方策を考える彼の脳内に、件の少女の声が聞こえてくる。独力では攻めあぐねていたかもしれないが、この助力があれば少なくとも相手にダメージを与える手段は保証される。引き換えにこちらが受ける負荷も甚大という、諸刃の剣ではあるが。

「これ程の相手では小細工は通用しませんね。ストレートにいきましょうか」
 慧は腹を括って真の姿に変身し、黒い外套にかわって純白の「聖天闘衣」を身に纏う。
 その背中には光り輝く純白の翼に加えて、靄でできた赤い翼が。計二対の翼を広げて、暴風吹き荒れる戦場に凛と立つ。
「……わたしも 小細工はしません ただ 全力で……」
 大空を覆うものは【雷災体現】を発動し、己の肉体を渦巻く漆黒の雷雲に変化させる。
 その巨体の中で生成された雷は、突風と共に周囲を無差別に破壊する。それは、猟兵達が戦っている相手がこの世界の空そのものなのだと、嫌でも実感させる光景だった。

「向こうが大気なら、こちらは気の力で対抗しましょう」
 慧は身体から溢れる闘気のオーラを展開し、荒れ狂う大気の流れを推測する。学習力に優れた彼の頭脳なら、こうした気象を読むのも無理ではない。そして押し寄せる雷雲に掌を向けると、発勁手袋「浄黒」から気の衝撃波を放つ。
「推し通ります」
 気の乱れ撃ちで雲を吹き飛ばしながら、彼が目指すのは最も大気の濃密な箇所。すなわち顕在化した大空を覆うものの中心と言える場所だ。無論それは渦巻く雷雲に自ら接近する所業でもあるが、ここで恐れていては勝負にならない。

「……これ以上は 進ませません……」
 大空を覆うものはより激しく雷撃を浴びせ、雲で道を遮らんとする。慧はそれら全てを闘気で防ぎ、或いは蹴散らして前に進むが、それでも徐々にダメージは蓄積されていく。
(まだ、いけますね)
 ダメージが深刻になってくると、慧は自分の胸に手を当てて浄黒から賦活のエネルギーを送り込む。練り上げられた浄化の気が肉体を癒やし、活力を蘇らせ――より強い一歩を踏み出した場所が、大気の流れの中心地だった。

「今、全ての気が僕の味方ですよ」
 すうと呼吸を整え、構えを取る慧。自らの内なる気力だけでなく、森羅万象に宿る気と合一することで、生まれる莫大なエネルギー。それを真の姿の解放によりリミッターの外れた状態で打ち出せば、まさに天を衝く一撃となる。
「……なんという 力……」
 赤い翼の魔力で物理化した大空を覆うものに、叩きつけられる最大の【羅山天昇波】。
 凄まじい衝撃波が雷雲を吹き飛ばし、帝竜の巨体に風穴を開け――その向こうに青空を覗かせた。

「何とかなりましたね」
 ありったけの気を今の一撃に込めた慧は、ふうと大きく息を吐くと、上空に飛び上がって最短距離で離脱する。攻撃の機会は一度きりではあったが、激しく乱れた風の動きが、帝竜の苦しみようを彼に伝えてくれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
…どなたかは知らないけれど
強力してくれると言うなら…お願い
僕らのため、そして世界のために…手伝って

【真の姿】
で、また僕の仕事か…
まぁいいけど

僕は澪のように自由に動く事は出来ない
手も足も、天竺葵の枷で繋がれているから
出来るのは植物を操る事か
澪の魔力を勝手に借りて使う事だけ
今回の敵には……花は効かなそうだ
後者の方が良さそうだね

真空の波には触れないよう
念のための【オーラ防御】を纏いながら赤い翼で【空中戦】
僕の…ううん
澪の扱う技の中で、一撃で最大火力を出せる技
【浄化と祝福】を発動
周囲に現れた【破魔】の鳥達を一匹に合体し
強化した状態で突っ込ませるね
行っておいで

さて、澪の体力が尽きる前に離脱しようか



「……どなたかは知らないけれど、強力してくれると言うなら……お願い」
 頭の中で響く謎の少女の声に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は助力を乞う。ここで『大空を覆うもの』を突破できなければ、ブルーアルカディアに迫るカタストロフの危機は止められない。事は既に一刻を争う状況であった。
「僕らのため、そして世界のために……手伝って」
 彼が謎の魔力を受け入れると、背中から赤い翼が迸り、髪の色が明るく変化していく。
 さらに赤い翼とは別に2対の白翼を広げ、瞳の色も琥珀とは異なるオッドアイに。身に纏う衣は少女風の白いワンピースドレス――これが、澪の真の姿だった。

「で、また僕の仕事か……まぁいいけど」
 これらの外見以上に大きな変化は、普段の澪が忘れている過去の記憶を、この姿の彼は覚えているという事だ。澪であって澪ではない"彼"は、億劫そうに溜息を吐きながらも、眼前にそびえ立つ巨大帝竜を見やる。
「……わたしは アルカディアを護る……」
 全身に【魔竜真空波】を纏った大空を覆うものは、意志を持った空の災害そのものだ。
 その身から放たれる波動に触れるだけで、庭園の草花も大地も破壊されていく。無論、猟兵が接触しても無事では済むまい。

(僕は澪のように自由に動く事は出来ない。手も足も、|天竺葵《ゼラニウム》の枷で繋がれているから)
 時止めの呪いのかけられたそれは、"彼"の自力で外す事も壊す事もできない。代わりに少年は赤い翼で空を飛び、真空の波に触れないよう、念のためのオーラの護りを纏う。
(出来るのは植物を操る事か、澪の魔力を勝手に借りて使う事だけ)
 幸いにして操作の対象になるものは周囲にたくさんある。しかし、全長数十キロに達する巨大な大気の塊を、草花の力だけで拘束できるかどうかは自信が無かった。蔓草で縛るのは勿論、気体には花の毒も通じないだろう。

「今回の敵には……花は効かなそうだ。後者の方が良さそうだね」
 作戦を決めた"彼"は真空波を躱しながら空中で呪文を唱え、練り上げた魔力を体外へと放出し。自分の――いや、澪の扱う技の中で、一撃で最大火力を出せるユーベルコードを発動する。
「鳥たちよ、どうかあの竜を導いてあげて」
 その技の名は【浄化と祝福】。魔力に導かれて周囲に現れるのは、破魔の炎で形作られた無数の鳥達だった。飛翔できるという一点を除けば、どれも種類は様々であり。"彼"はそれらを一羽に合体させることで、一撃の火力を強化する。

「行っておいで」
 赤い翼の影響だろうか、真紅に染まった破魔の火焔鳥を、"彼"は敵に突っ込ませる。
 それは追い風にも真空波にも負けずに矢のように真っ直ぐに飛翔し、火の粉を舞い散らせながら大空を覆うものに激突した。
「……熱い 身体が焼ける 何なのだ この炎は……」
 大気すら焼き焦がす破魔の炎を受けて、帝竜の叫びが戦場に響き渡る。強制的に物理化された状態ではダメージの無効化もできず。火傷という稀有な痛みに苛まれるばかりだ。

「さて、澪の体力が尽きる前に離脱しようか」
 狙い通りの痛打を与えた"彼"は、すぐに翼を翻してその場から撤退する。求められた仕事はやったし、"澪"の身体にこれ以上負担をかけるのも良くない。普段の澪とは雰囲気の違う"彼"は、引き際に至るまで冷静でクールだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
どこのどなたかは存じませんが、エールに応えてこその藍ドルなのでっす!
リクエスト、承ったのでっす!
赤き翼のスペシャルステージ、開演なのでっすよー!

観客が空そのものだというのなら!
お聞かせするのでっす、遥か空を超え、彼方まで届く歌を!
藍ちゃんくんの尊敬するアーティストである友から贈られたこの歌を!
暗雲に覆われた空をも照らすこの歌を!
雷鳴になど負けないのでっす!
どこに移動しようとも、空である限りはこの歌は超えていくのでっす!
それにでっすねー。
きっと、この歌は、大空を覆うものさんにはよく届くかと。
共にいたい方がいらっしゃること。
友愛、親愛、恋愛――ヒトはそれを愛と呼ぶのでっす。



「藍ちゃんくんでっすよー!」
 逆風吹き付ける『大空を覆うもの』の戦場でも、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)のテンションは変わらずだった。敵がどんなにデッカくたって関係ない、それ以上に大事なのは、ここに自分に期待を寄せる"声"があることだ。
「どこのどなたかは存じませんが、エールに応えてこその藍ドルなのでっす! リクエスト、承ったのでっす!」
 謎の少女からの声援を受けて彼のやる気は絶好調。居場所すら分からなくとも歌声はきっと届くはず――否、届かせてみせるとばかりに、真の姿に変身して赤い翼を広げる。

「赤き翼のスペシャルステージ、開演なのでっすよー!」
 溢れだす魔力と底なしのパッション。和と星座をモチーフにしたステージ衣装を纏い、星のエフェクトを散りばめて、マイク片手にポーズを決める藍。その姿はどこに出しても恥ずかしくないアイドルだ。
「……歌に興味はない わたしはただ 『主』の側にいたいのだ……」
 帝竜『大空を覆うもの』はそれを一瞥したきりで、稲妻渦巻く漆黒の雲に肉体を変化させる。【雷災体現】を発動したその姿は、あらゆる物理攻撃を無効化し、雷鳴電撃を撒き散らす、巨大な災害そのものだ。

「観客が空そのものだというのなら! お聞かせするのでっす、遥か空を超え、彼方まで届く歌を!」
 しかし藍は雷鳴でもかき消せないくらいの大声を張り上げ、敵意に満ちた大空を覆うものでさえ「観客」として扱う。このシチュエーションに相応しいとっておきの持ち歌が、彼にはあった。
「藍ちゃんくんの尊敬するアーティストである友から贈られたこの歌を! 暗雲に覆われた空をも照らすこの歌を!」
 その歌の名は【藍ノ空】。伸びやかで澄んだ歌声が、アルカディアの庭園に響き渡る。
 赤い翼の羽ばたきに乗って、その歌はより遠く、彼方へ。この瞬間、戦場は彼のための|世界《ステージ》になった。

『歌声よこの宇宙に響け ああ 彼方をも超えて 広がるこの世界を塗り替えて行こう 藍で』

 闇夜を照らす愛と希望を、熱く燃やしながら激唱する藍。歌声は大気を震わせ、大空を覆うものの心や魂にまで響く。それは、彼が受けたダメージの中でも始めての類だった。
「……何なのだ この歌は 胸が痛い……」
 かの竜は未知のダメージを忌避して身を引き、より激しく雷鳴を轟かせるが、それでも歌は聞こえてくる。単なる音量の大小ではない、その音に込められた思いの強さの差だ。

「雷鳴になど負けないのでっす! どこに移動しようとも、空である限りはこの歌は超えていくのでっす!」
 自らが作り出した世界の中心で、ありったけの想いを込めて藍は歌う。身体への負荷など気にせずに赤い翼を羽ばたかせて。青空よりも深い藍色が、いっぱいに広がっていく。
(それにでっすねー。きっと、この歌は、大空を覆うものさんにはよく届くかと)
 藍が【藍ノ空】を今回の選曲にチョイスしたのには、もう一つ理由があった。この空の彼方にいる『主』の元に行きたいという大空を覆うものの願望、希望、それらを一番よく汲み取れるのが、この歌だと思ったからだ。

「共にいたい方がいらっしゃること。友愛、親愛、恋愛――ヒトはそれを愛と呼ぶのでっす」
「……あい アイ これが 愛だというのか……」
 藍が歌に乗せた愛と希望は、大空を覆うものが抱く愛と共鳴しあう事で威力を増した。
 負荷に耐えて一曲フルで歌いきった後。元に戻っていく|世界《ステージ》の観客席で、帝竜は胸打たれたように陶然としばし佇んでいた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日輪・黒玉
※真の姿は桃色の巨狼

……どなかたは知りませんが、助力してもらえるのならば有り難く頂きます
あの竜を狩るのは骨が折れそうですから

体を覆う真空の波に高速飛翔、厄介ですね
ですが、どんなに強力でもそれを一番に活かすやり方は限られているもの
巨体、スピード、触れたものを破壊する……ならば、最大速度での突撃
それが一番能力を活かせる攻撃の筈
黒玉一人で敵を狩る必要はありません……黒玉たちは群れで狩りをする者なのだから

真の姿へと変身し、残像を召喚
敵は黒玉より速いのです、ならば最初から飛び出すのと同時に牙を突き立て、爪で切り裂く心持ちで空を駆けます
黒玉か残像、そのどれか一つでも波を食い破り、体に届けばよい
その覚悟です



「……どなかたは知りませんが、助力してもらえるのならば有り難く頂きます。あの竜を狩るのは骨が折れそうですから」
 謎の少女からの助けを受け入れ、そう応えるのは日輪・黒玉(日輪の子・f03556)。眼前に立ちはだかる巨大な大気のドラゴン――これを撃破するのに力はあるに越したことはないだろう。
「……此処を通すわけには いかない……」
 帝竜『大空を覆うもの』は全身に真空波を纏い、その巨体からは想像もつかない速さで庭園を飛び回る。それが通り過ぎるだけで周囲の物体はバラバラに破壊されていく。これはまさに生きた嵐そのものだ。

「体を覆う真空の波に高速飛翔、厄介ですね。ですが、どんなに強力でもそれを一番に活かすやり方は限られているもの」
 規模の大きさに惑わされる事なく、黒玉は冷静に敵の攻撃の性質を見極める。相手の行動を予測して対策を立て、反撃する為の策を講じる。狩りの基本にまずは忠実に則って。
(巨体、スピード、触れたものを破壊する……ならば、最大速度での突撃。それが一番能力を活かせる攻撃の筈)
 あらゆる意味で圧倒的な存在は、それ故に小細工を必要としない。あの【魔竜真空波】を纏ったまま全速力で激突すれば、それで砕け散らない敵はほとんど居ないだろうから。

「黒玉一人で敵を狩る必要はありません……黒玉たちは群れで狩りをする者なのだから」
 作戦を決定した黒玉は、真の姿へ変身すると同時に【黒玉狼の舞踏】を発動。本人と同じシルエットと武装、それに加えて赤い靄の翼を生やした黒い残像が幾つも召喚される。
(敵は黒玉より速いのです、ならば最初から飛び出すのと同時に牙を突き立て、爪で切り裂きます)
 その心持ちで大地を蹴り、空に羽ばたいた少女は猛進する「大空を覆うもの」にに自ら突貫する。残像達もそれに連動して高速移動を行い、同じ標的を追跡して襲い掛かった。

「黒玉か残像、そのどれか一つでも波を食い破り、体に届けばよい。その覚悟です」
「……特攻と いうことか……」
 損害を前提とした捨て身の戦法。しかしただの玉砕で終わるつもりは無い。大空を覆うものの真空波に激突した残像が次々に吹き飛ばされ、消滅していく――それでも黒玉という狼の群れは止まらない。
「……ただの人狼に わたしが負けるはずが……」
 互いが全速力でぶつかり合うことで生まれる相対速度の破壊力。それは大空を覆うものに対しても牙を剥き、本体を護る真空の鎧が剥がれ落ちていく。動揺する巨竜に小さな綻びをみた黒玉は、その一点めがけて迷わず翔け抜け――。

「貴方如きに……負けたりはしません」
 狼気を纏ったローラーブレード型武装「藍晶疾走」。その中に仕込まれた「黒曜戦刃」が獲物を蹴り裂く。黒玉の物静かな振る舞いの裏に隠された反骨心や反抗心、それが帝竜にも届く牙となったのだ。
「……ぐ があ あぁ……」
 生物ならば喉笛にあたる箇所を抉られた大空を覆うものは、苦悶の咆哮を天に轟かせ。
 物理化された状態では傷を再生する事もできず、その威容は少しずつ小さく、弱々しくなっていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
さぁ、あの虚神を討つ為にもここは……押し通させてもらいます!!

赤き霧で出来た天使の翼を翻し、UCを発動
赤き霧を孕ませた『Ain』たる絶対の無が、エントロピーを消失させて雲海もドラゴンも無に飲み込んでいきます

出力全開! わたくしの肉体が多少反動を受けても構いません!
ただ、死にはしません!
それこそ……わたくしが死を覚悟してまで戦うのは、|鋼鉄の騎士《キャバリア》を従えて運命に抗うクロムキャバリアの戦争なのですから!

赤い霧に身を包む事で『|超克《オーバーロード》』の力を再現し、放つ『無』の集束性を高めて攻撃を加えていきます



「さぁ、あの虚神を討つ為にもここは……押し通させてもらいます!!」
 帝竜『大空を覆うもの』が座する庭園に降り立ったフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、即座に真の姿に変身すると、赤い霧で出来た天使の翼を翻す。この先の玉座におわす諸悪の根源「虚神アルカディア」――かの者を倒し、この戦争を終わらせるために、ここで立ち止まっている暇はない。
「無よ、其れは万有を残らず貪る全ての終わり。無よ、万象を礼賛する私は汝を征服する。無よ、全てを飲み込む汝を以て礼賛を証明しよ」
 発動するのは【|貪欲なる無限に己食らう世界蛇の如き帰滅の無《ウロボロス・アイン・カタストロフ》】。かつて大海の世界で戦った『三の王笏』の力を基に、万象全てを消滅させる『Ain』なる『無』が姿を現す。

「……何なのだ それは……」
 それは無であるがゆえに実体はなく、視ようとすれば盲目となったような錯覚に陥る。
 それは周囲のエントロピーを消失させ、世界を侵食するもの。謎の少女より受け取った赤き霧を孕ませた事で、その性質はより強化されている。
「出力全開! わたくしの肉体が多少反動を受けても構いません!」
 フレスベルクはその恐るべき『無』を放つことで、戦場に満ちる雲海も大気も――即ち大空を覆うものを構築する全てを飲み込んでいく。同時に強大な力を振るうための負荷は小さいものではなく、本人さえも侵食する諸刃の剣であった。

「……死ぬ気か 貴様……」
「いいえ、死にはしません!」
 反動を顧みない戦い方をしながらも、フレスベルクの目は生きることを諦めていない。
 猟兵として使命を果たす。そして絶対に生還する。その両方を成し遂げる強い決意が、表情にありありと宿っていた。
「それこそ……わたくしが死を覚悟してまで戦うのは、|鋼鉄の騎士《キャバリア》を従えて運命に抗うクロムキャバリアの戦争なのですから!」
 終わらぬ戦乱が続く鋼鉄世界、その一国家を統べる教皇にして神子代理が彼女の本職。
 ゆえに自分の死に場所はここではない。未来を見据え、その途上に立ちはだかる障害を退けるために、彼女は赤い霧に身を包む。|超克《オーバーロード》の力を再現する事で、溢れ出る『無』の勢いがさらに増した。

「さぁ、道を開けなさい!」
 集束性を高められた『無』の攻撃は、フレスベルクの進路上から一切のエントロピーを消失させ、何者も存在しない空間を作り上げる。大空を覆うものは【災害竜招来】により行く手を阻まんとするが――。
「……滅びすらも 滅ぼそうというのか その力で……」
 雷も大雨も竜巻も雹も、どの災害竜も等しく『無』に触れれば霧散し、虚空へと還る。
 世界蛇ウロボロスの名を冠するにふさわしい驚異的なユーベルコードの力に、大空を覆うものは慄くように震えながらその身を削られていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
あらあら、とても大きな竜ですの
でも、大気そのものにしては小さいのでしょうか

私が活動できる時間は然程ありませんから
手早く進めると致しましょうか

まずは災害竜とやらですの
打倒する時間も惜しいですから
静寂領域で少し静かにして頂きましょう

大空を覆うもの様に一撃を放つまでの間
停まっていて下さいまし

赤い霧の翼とやらを使うのですけれど
私の司る権能が停滞や固定、保管ですので
破壊はあまり得意ではありませんから
使い魔である鉑帝竜に手伝って貰いましょうか

静寂領域による凍結で動きを停めたのち
レールガンで攻撃して貰いますの

砲撃が終わったら鉑帝竜に載せて貰って離脱しますの

それにしても助力頂いた方はどのような御方なのでしょう



「あらあら、とても大きな竜ですの」
 眼前に立ちはだかる濃密な大気と雲海の塊――帝竜『大空を覆うもの』。それを見上げて微笑を浮かべる者の名は佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)、ではない。ひょんな事を切っ掛けに晶と融合している、一柱の邪神の意識が表に出てきていた。
「でも、大気そのものにしては小さいのでしょうか」
「……なんだ 貴様は ヒトではないな……」
 恐らくは謎の少女からもたらされた魔力が、真の姿と同時に邪神の意志を覚醒めさせたのだろう。見てくれは可憐な少女であっても、異質で超越的な雰囲気をまとう"彼女"に、大空を覆うものも警戒心を強めた。

「私が活動できる時間は然程ありませんから、手早く進めると致しましょうか」
「……何者であろうと ここを通すわけにはいかぬ……」
 優雅に微笑む邪神晶に、大空を覆うもの本体と【災害竜招来】で呼び出されたドラゴンの群れが敵意を向ける。空と大気にまつわる天災の具現そのものとも言える彼らを相手取るのは、いささか骨が折れそうだが――。
「まずは災害竜とやらですの。打倒する時間も惜しいですから、少し静かにして頂きましょう」
 そう言うや否や、虚空から放たれた神気が戦場を【静寂領域】に変化させる。神域を模したこの環境下では、彼女の許しを得ない森羅万象はただ沈黙し、停滞するのみ。まるで空間ごと凍りついたように、災害のドラゴン達はピタリと動きを止めた。

「大空を覆うもの様に一撃を放つまでの間、停まっていて下さいまし」
「……停滞 それが 貴様の力か……」
 彫像のように動かないドラゴン達にニコリと微笑みかけてから、邪神晶は改めて大空を覆うものを見る。異世界の神格が持つ規格外の神威に、あちらも少々驚いているようだ。
「私の司る権能が停滞や固定、保管ですので、破壊はあまり得意ではありませんから、鉑帝竜に手伝って貰いましょうか」
 彼女は使い魔である試製竜騎「鉑帝竜」を呼び寄せ、その兵装に赤い霧の翼とやらの力を乗せてみる。ただ停めて固めるだけなら得意分野だが、こと物理的に破壊する事にかけては、無骨な現代兵器の力も捨てたものではない。

「さあ、皆様を優しい微睡みにご招待致しますの」
「……不味い わたしの身体も……」
 鉑帝竜が照準を合わせている間に、邪神晶が静寂領域による凍結で敵の動きを停める。
 たとえ大気そのものであっても、彼女の神気からは逃れられない。空気中に含まれる水分が凍りつき、雲は巨大な氷の塊となり、大空を覆うものは静謐なる拘束に囚われる。
「さあ、どうぞ」
「はいなのですよー!」
 微動だにしなくなった巨大なターゲットに攻撃を当てるのは、あまりにも容易い事だ。
 鉑帝竜に搭載されたレールガンが火を噴き、暴力的な銃弾の嵐が物理化した帝竜の身体を抉り取っていく。

「それにしても助力頂いた方はどのような御方なのでしょう」
 敵が砕けていく様を視界に収めながら、邪神晶は先ほど聞いた声の主について考える。
 |真の姿《じぶん》を覚醒めさせるほどの魔力を、彼方から送ってこれるほどの存在だ。それ即ち、神にも匹敵する格の持ち主ということになる。
「あの御言葉が事実なら、いつかお会いする事もありそうですの」
 その機会に思いを馳せて微笑みつつ、砲撃が終わると彼女は鉑帝竜に載せて貰って戦場を離脱する。大空を覆うものの霊威も大きく削がれ、ここでの戦いも終りが近いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
カビパンお姉ちゃん(ユーベルコード)と参加
真の姿・雪女モードに赤い翼が。
お姉ちゃんは……元からそれ(雪女)真の姿なんだ。すごい。

巨大なマグロの頭が空に浮かんでる。絶好の漁日和よお姉ちゃん。
一度お姉ちゃんひっこめて、飛空艇艦隊の人達から大砲を借り、点火して大砲に入り
お姉ちゃんを再召喚、【全力魔法】で一緒に巨大な氷の弾丸に閉じ込められて撃ち出されます。
中から弾丸に【属性攻撃・氷】をかけ続け、真空波で壊れた所から氷を再生し続け大空大貫通の旅を試みます。

知ら絞めてあげましょう。大空にも、北海道にシュークリームは存在しないという事を。
(弾丸内に【怪力】で開けた空洞で一緒にシュークリーム頬張りながら。)



「巨大なマグロの頭が空に浮かんでる。絶好の漁日和よお姉ちゃん」
「魚釣りってなんか疲れそうなんだけど」
 真の姿・雪女モードに赤い翼を生やしたポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が、空に浮かぶ帝竜『大空を覆うもの』を見上げて言う。その話し相手は【冬を告げに来たよ(ねぇよ)】で呼び出された、悪霊雪女のカビパンだ。
「お姉ちゃんは……元から|雪女《それ》が真の姿なんだ。すごい」
 あの謎めいた少女の声を聞いて、ポーラリアは通常時の妖精モードから変身したのに、カビパンはまるっきりいつも通り。常に真の姿を維持していると考えれば、確かに凄い事なのかもしれないが、その凄さが戦闘で活かされる事はたぶん無いだろう。

「……わたしは マグロなどでは ない……」
 一方、なぜか竜ではなく魚扱いされた敵はいたく機嫌を損ねたようで、【魔竜真空波】で全身を覆いながら迫ってくる。遠目に見ればそう見えなくもないかもしれなくないが、「大空を覆うもの」ともあろうものが、海の生き物扱いされて黙ってはおれまい。
「きたわね。こっちの準備は万端よ」
 対するポーラリアは一度カビパンを引っ込めると、|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の人達から借りてきた大砲を持ち出す。砲口を敵に向けて導火線に点火すると、砲弾を装填――ではなく、自分が大砲の中に入っていってしまった。

「……何を するつもりだ……」
「すぐに分かるわ!」
 高速接近する大空を覆うものを視界に収めつつ、ポーラリアは大砲の中で雪女カビパンを再召喚。さらに魔法で巨大な氷の弾丸を作り上げると、その中に自分達を閉じ込めた。
「3、2、1、発射!」
 そのタイミングで導火線の火が火薬に達し、ズドンと大きな音を轟かせて、雪女コンビは弾丸と一緒に撃ち出される。自分自身を武器にして敵に体当たりを仕掛けようという、シンプルかつ大胆な作戦である。

「……そんなもので わたしを倒そうなど……」
 大空を覆うものが真空波を放つと、氷の弾丸は彼に届く前に削れて小さくなっていく。
 しかしポーラリアは弾丸の中から魔法をかけ続け、壊された所から氷を再生し続ける。雪や氷などの冬にまつわる魔法は、彼女の大得意とするところだ。
「知らしめてあげましょう。大空にも、北海道にシュークリームは存在しないという事を」
 弾丸内に怪力で開けた空洞で、彼女はそう言ってカビパンと一緒にシュークリームを頬張る。消費した魔力をちょっとでも補うための食事なのだろうか? いずれにせよ言っている事の意味は大空を覆うものにはまったく理解できなかったが。

「……ホッカイドウとは なんだ……」
 困惑しながらもより強く真空波を浴びせる大空を覆うもの。負けじと全力で魔法を唱え続けるポーラリア。理解しあえる事はなくとも、互いに本気をぶつけ合った果て――赤い霧を纏った氷の弾丸は、ついに削り切られるよりも先に標的へと着弾する。
「大空大貫通の旅、大成功よ!」
「……ぐおお お バカ な……」
 大空を覆うものの巨体を物理化したうえで貫通し、風穴開けて弾丸ごとすっ飛んでいくポーラリア。苦悶に満ちた敵のうめき声と対照的に、その喝采は晴れやかな笑顔だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
|過去《オブリビオン》が天を牛耳るような不遜、度し難いという言葉でも足りないな
如何な事情、如何な想いがあろうと赦しはしない
オブリビオンとして在るその意識、微塵に砕いて散らそうか

真の姿に干渉されるのも癪だけど今はこの戦意が勝る、
善意の支援と流し利用してやろう

鏖殺だ。
《属性攻撃+オーラ防御+ハッキング+受け流し+結界術》の領域を展開し、
敢えて先手は敵に取らせ敵UCの災害竜を引きずり出す
敵の攻撃は《戦闘知識+第六感》で《見切り》、
《空中戦》の機動力を活かし先に展開した領域と併せ対処

後悔するなとは言わないよ、今出来る最大最強を魅せてやろう
展開した領域と外界の境界が防壁として作用するのは副次効果に過ぎない
《仙術+道術+竜脈使い》の要領で世界から魔力を吸い上げ
《封印を解く+リミッター解除+ドーピング+限界突破》、
《全力魔法》の仕込みは整った

【神狩りし簒奪者】――《属性攻撃+神罰+蹂躙+天候操作+地形破壊》
黒炎の嵐で焼き払い、白雷槍の弾幕で貫き、生じる影の変じた鎖で封殺し、
戦場の悉くに破滅を与えよう



「|過去《オブリビオン》が天を牛耳るような不遜、度し難いという言葉でも足りないな」
 傲岸な態度に怒りを込めて、眼前の『大空を覆うもの』を睨みつけて語るはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)。普段の飄々とした振る舞いとの差は、合一している魔神としての意識が強く表に現れたためか。
「如何な事情、如何な想いがあろうと赦しはしない。オブリビオンとして在るその意識、微塵に砕いて散らそうか」
 カタリナ、或いは魔神"暁の主"は、既に決定事項であるかのようにそう告げる。完全に滅ぼす事が叶わずとも、二度と自分の前で「この世界の空そのもの」などという大きな口を叩かせはしない。

「真の姿に干渉されるのも癪だけど今はこの戦意が勝る、善意の支援と流し利用してやろう」
 彼方から届けられた謎の声にも不遜に応じ、|超克《オーバーロード》へと至るカタリナ。その背中には虹色に煌めく翼に加えてもう一対、赤い霧の翼が翻り、頭上には光輪を戴いた姿はまさに女神の如し。
「……わたしは ここで 倒れる訳には いかないのだ……」
 かつて仕えた『主』の元に向かうため、大空を覆うものも全力でこの場を切り抜けようとする。彼が自らの肉体を構成する雲海を引きちぎれば、大嵐、大雨、落雷、その他様々な空にまつわる災害が具現化し、凶暴なドラゴンとなって荒れ狂う。

「鏖殺だ」
「……やれるものか 決して……」
 カタリナは自らの領域を展開しながらもあえて敵に先手を取らせ【災害竜招来】を発動させた上で迎え撃つ。世界すらハッキングする魔神の権能が作り上げた領域は強固な結界となって嵐を寄せ付けず、また彼女の自慢の翼は稲妻よりも疾く戦場を翔ける。
「後悔するなとは言わないよ、今出来る最大最強を魅せてやろう」
 領域を自在に飛び回って災害竜の攻撃を凌ぎながら、カタリナの口元には不敵な笑み。
 ただ防戦に徹しているのではなく、何かを狙っているのは明らかだ。その証拠に、彼女から感じられる魔力量が、戦闘開始時よりも大幅に増している。

(展開した領域と外界の境界が防壁として作用するのは副次効果に過ぎない)
 その真価は龍脈を通じて世界から魔力を吸い上げ、自らの力に還元する事にある。仙術や道術と同じ理論の応用であるが、世界の力を我が物とする手法はいかにも魔神らしい。
「仕込みは整った」
 十全な魔力を得たことでリミッターの封印を外し、一時的に限界を超える力を手に入れた彼女は、満を持してユーベルコードを発動。その身体に収まりきらない絶大な魔力が、赤い霧と共に戦場に広がっていき――。

「この戦場はもう私の掌の上だ」
 そう言った瞬間、カタリナの視界に収まった影が異能封じの縛鎖に変じ、災害竜と大空を覆うものに絡みつく。赤い翼の力を絡めたそれは実体のない大気すら縛り上げ、異能の発動を封じ込めた。
「……動けないだと 空である このわたしが……」
 完全に物理化された大空を覆うものは身をよじって足掻くが、その巨体が落とす影から作りだされた鎖は長大であり、力尽くで引きちぎれるものではない。他の災害竜達も同様であり、嵐も雷も起こせず蛇のようにのたうつばかり。

「戦場の悉くに破滅を与えよう」
 拘束した敵集団に向けて、カタリナは容赦のない猛攻を放つ。消えることなき黒炎の嵐で領域を席巻し、手からは白雷を束ねた槍を次々と投げ放つ。【神狩りし簒奪者】の名にふさわしい権能の数々が、天を牛耳る忌まわしき過去に襲い掛かった。
「……ぐ がああ 馬鹿なああっ……」
 災害すらも焼き払う黒炎が、光の速さで貫く白雷が、巨大な雲海の塊を散らしていく。
 絶叫する大空を覆うものの体躯は、もはや当初の半分以下にまで縮小しており。顕現を維持するのも限界に近付いているのか、存在感が薄まりつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…っ、体が軋む。何処の誰かは知らないけど、姿も見せずにこれ程の力を与えるとは…。

…考えるのは後ね。今はあの大敵を討ち滅ぼす事に専念しないと…。

陽光を遮る「影精霊装」を纏い「血の翼」による早業の空中機動で敵から距離を取り、
赤き翼の|真の姿《吸血鬼》に変化してUCを発動し【限定解放・血の教義】を九重発動

…無駄よ。この姿になった以上、お前に万に一つも勝機は無いわ

…我が身に充ちよ、暗黒の理。来たれ、世界を照らしめす大いなる力よ

…さあ、垣間見るがいい。星々の終焉、太陽が砕け散る様を!

両掌に4個ずつ形成した"闇の|核融合《太陽》"計8個を胸元で融合させて闇の魔力を溜め、
敵の攻撃を闇の太陽から放たれる余波のオーラで防御して受け流し、
限界突破した縮退圧が重力崩壊を引き起こし超新星爆発を生じさせる"闇の縮退星"を放つ

…帝竜『大空を覆うもの』。まさか、異なる世界にて天空を遮る存在が私の前に顕れるとは

…お前からすれば迷惑な奇縁でしょうけど、異世界の知識で再現した術を試すには丁度良い相手だわ



「……っ、体が軋む。何処の誰かは知らないけど、姿も見せずにこれ程の力を与えるとは……」
 謎めいた少女の声を聞いた瞬間から、身体に湧き上がってきた強大な魔力。その反動に耐えながら、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はこの力を与えた者について驚嘆を禁じえない。オブリビオンを倒すために力を貸してくれている以上、敵ではないと思いたいが――。
「……考えるのは後ね。今はあの大敵を討ち滅ぼす事に専念しないと……」
 眼前に立ちはだかる『大空を覆うもの』。その名にふさわしく、かの存在はこの世界の大気そのもの。他の事に気を取られたり、力の出し惜しみをして撃退できる敵ではない。

「……わたしは アルカディアを護る そして再び 我が『主』の元へ……」
 大気そのものの振動となって、戦場に響き渡る『大空を覆うもの』の声。それと同時に肉体を構成する雲海の一部が本体から分かれ、様々な災害を具現化したドラゴンの群れとなって猟兵に襲い掛かった。
「……限定解放。代行者の羈束、最大展開開始」
 大雨、大嵐、竜巻、稲妻。この世の終わりのような天変地異に対し、リーヴァルディは背中から「血の翼」を放出して高速離脱。赤い残像が軌道に残るほどの機動力で敵から距離を取ると、ユーベルコードの詠唱を開始した。

「起動せよ、血の光輪……!」
 陽光を遮る「影精霊装」を身に纏い、赤き翼の|真の姿《吸血鬼》に変化したリーヴァルディの背後に、巨大な血色の光輪が出現する。あまりにも神々しく、同時に禍々しいそれは、彼女と契約を交わした"名も無き神"の威光そのもの。背に羽ばたく赤い霧の翼も相まって、その姿はさながら闇の御使いであった。

「……何が来ようが、この空で わたしに敵うものなど……」
 それを見た大空を覆うものは限界まで己の身を分かち、さらなる災害竜を呼び寄せる。
 【災害竜招来】で召喚可能な最大数は12体。具現化された12種の災害が、眼前の敵を滅ぼさんと牙を剥く――。
「……無駄よ。この姿になった以上、お前に万に一つも勝機は無いわ」
 しかし。リーヴァルディの態度は余裕を超えて、既に勝利を確信していた。この形態は神威を現し世にあらしめる為の"神の器"たる証。ただの契約者にはなし得ない次元で、神の力を最大限に振るうことができるのだ。

「……帝竜『大空を覆うもの』。まさか、異なる世界にて天空を遮る存在が私の前に顕れるとは」
 圧縮された時間の中で、彼女は改めて眼前の敵を見やる。地下に押し込められた故郷と違って、解放されているかに思えたこの世界の空にも、見えざる脅威が存在したようだ。
「……お前からすれば迷惑な奇縁でしょうけど、異世界の知識で再現した術を試すには丁度良い相手だわ」
 故郷ダークセイヴァーを救済するために、リーヴァルディは常に研鑽を欠かさない。
 異世界の強敵との戦いは得難い経験のひとつ。この機会をしっかりと糧にするために、彼女は新たな術式の"実践試験"を開始する。

「……我が身に充ちよ、暗黒の理。来たれ、世界を照らしめす大いなる力よ」
 その言葉は神託の如く天空に響き、血の光輪が輝きを増す。時間を司る"名も無き神"の権能は、本来ならばあり得ないレベルでのユーベルコードの同時多重発動を可能にする。
「……なんだ それは……」
 膨大な規模のオドとマナが凝縮され、リーヴァルディの右掌に4つ、左掌に4つ、合計8個の"闇の|核融合《太陽》"が形成される。天をも圧して眩く輝く、暗黒の光としか形容できないそれらに、大空を覆うものも思わず目を見張った。

「……いかん 奴を止めろ……」
 大空を覆うものの号令に従って、災害竜達は総攻撃を仕掛けるが――リーヴァルディは彼らの目の前で8つの太陽を胸元でさらに融合。圧縮された闇の太陽から放たれる余波のオーラだけで、災害が吹き飛ばされていく。
「……縮退圧、限界突破」
 やがて極限に達した天体は重力崩壊を引き起こし、最期の瞬間に内包するエネルギーの全てを解き放つ。それは寿命を迎えた星が放つ断末魔の咆哮――「|超新星爆発《スーパーノヴァ》」と呼ばれる現象を、【限定解放・血の教義】で再現したものだった。

「……さあ、垣間見るがいい。星々の終焉、太陽が砕け散る様を!」

 驚異のユーベルコード九重発動によって生じた"闇の縮退星"が、ついに解き放たれる。
 その瞬間、戦場にある全ては輝く闇の奔流に呑み込まれ、12体の災害竜は跡形もなく消滅し――そして大空を覆うものを構成する大気も、原子のレベルから分解されていく。

「……馬鹿な こんな事が 『主』よ 済まな……」

 最期の瞬間に魔竜が遺した言葉には、驚愕、慟哭、悲嘆、様々な感情が含まれていた。
 だが、それさえも闇の輝きにかき消され――全てが終わった後には、リーヴァルディがどこを見渡しても、大空を覆うものの姿はもう、どこにも居なかった。



 かくして猟兵達は帝竜『大空を覆うもの』に勝利し、その顕現を妨げる事に成功した。
 最後の敵となる『虚神アルカディア』を討ち、この戦争に終止符を討つために、彼らは聖域の最果てに向かっていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年10月02日


挿絵イラスト