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アルカディア争奪戦㉔〜浄化

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #ピルグリム

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●忌まわしき|巡礼者《ピルグリム》
 アルカディアの玉座に続く空中庭園。その一角は異形の白に覆われていた。
 その領域にある白卵のような『舟』はこの世界の飛空艇ともまるで異なる生物的な外観であり、その中から奇怪な怪物が現れている。
 |巡礼者《ピルグリム》――アックス&ウィザーズの世界のオブリビオンが口にしていた謎の存在。
 対話不可能なかの怪物の動作は猟兵やオブリビオンから見れば緩慢極まりない。しかしその数は非常に多く、何より危険なのはその尾の針だ。
 他の生物で言う産卵管に当たるその部位は、生物オブリビオン問わず突き刺した存在に卵を産み付けて、星型の痣を浮かび上がらせる。そして産み付けられた存在の強さに応じた速度で成長し、胎を破り外界へと生誕する。
 忌まわしき寄生生物の巣――ピルグリムネストが、この空中庭園に築かれているのだ。

「アルカディア争奪戦もアルカディアの玉座での戦いが始まってるね」
 グリモアベース、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は集まった猟兵達にそう切り出す。
「今回向かって貰いたいのは玉座の戦力を強化している空中庭園の領域だ。そこにいる怪物とその巣を徹底的に駆除、破壊してきてほしい」
 普段の彼に似つかわしくない物騒な事を言い始めるが、ヴィクトルの表情は真剣だ。
「この領域、ピルグリムネストにはピルグリムと言う怪物の巣……|ピルグリムシップ《母艦》がある。巣の形は卵型でかなり大きくて周りの建築から浮いてるから見ればわかると思う。飛び切りに厄介なのがそのピルグリムって怪物の性質で、動作は非常に緩慢に見えるけれど尾の針……産卵管なんだけど、それが刺さったら卵を植え付けられて確実に死んでしまう。植え付けられたかどうかは星型の痣が浮かび上がるから分かるけれども、治療法が今のところ見つかってないから本気でまずい。猟兵だろうとオブリビオンだろうと構わず卵産み付けてくるからとにかく尾の針だけには刺されないよう他の猟兵についても十分注意してほしい」
 通常の能力自体は猟兵ならば十分対応できるものだが、数が多いから乱戦で刺される等の危険もあるだろう、と彼は言う。
「ピルグリムシップ自体からもどんどんピルグリムが出てくるから、中に入るのは自殺行為だろうね。入り口もどこにあるか分からないし、外から全力のユーベルコード叩き込んで破壊するのが基本になると思う」
 説明を終えたヴィクトルは言って首元の鍵型グリモアを手に取って、転送の準備を開始する。
「現在アックス&ウィザーズの世界にも飛来しているようだけど、其方も全部予知されてるから向こうとここの両方を浄化、もとい殲滅できれば一先ずは安心だろうね。……こんな侵略寄生生物野放しにしていたら本気で碌な事にならないから、一匹残らず徹底的に駆除して欲しい」
 それじゃ頑張ってね、とヴィクトルは締め括る。
 そして彼が手にした鍵型のグリモアから光が溢れ出し、猟兵達をピルグリムネストの領域へと転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 爆発はしないようですが余計酷いですね☆

 このシナリオはブルーアルカディアの『ピルグリムネスト』で『ピルグリムの群れ』と戦うシナリオとなります。
 空中庭園のひとつを|巡礼者《ピルグリム》の群れが占拠しており、いくつか存在する白い卵型の母艦を破壊する事が目的になります。当然ピルグリムの群れは妨害してきますが、その尻尾の針は産卵管で刺さると同時に散乱され星型の痣が浮かび上がってきます(現在治療法は見つかっていません)。
 動作自体は緩慢なので、刺さりそうになった場合他の猟兵が察知して必ず避けさせてくれますが、その場合刺されそうになった猟兵が行おうとしていた行動は失敗となってしまいます。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

=============================
 プレイングボーナス:ピルグリムシップを破壊する。/ピルグリムの産卵管攻撃に対処する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ピルグリムの群れ』

POW   :    ピルグリムシザー
【右腕のハサミ 】が命中した対象を切断する。
SPD   :    産卵管刺し
命中した【頭部から伸びる産卵管 】の【先端】が【無数の棘が生えた状態】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    ピルグリムテイル
【尻尾 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
命を歪める
不気味で恐るべき敵さんですね
確実に倒しましょう

背後を取られないように気をつけながら
細剣を指揮棒の様に振るい
魔力の矢の範囲攻撃で
巡礼者さん達を倒します

巡礼者さん達がわさわさと近づいて来ましたら
魔力の矢につかまって空を飛んで距離をとれば
緩慢な動きのようですから
産卵管に刺されることはないでしょう

周囲の巡礼者さんをある程度倒しましたら
今度は母艦目掛けて矢を連射して
出てくる巡礼者さんを倒しながら
母艦へダメージを与えていきます

母艦が金属でしたら
炎と水で加熱と急速冷却を繰り返して
脆弱化させてます
そうでなければ炎水風で燃やし砕き切り裂いて
巣を破壊します

終幕
鎮魂の調べ
海で静かな眠りを


アスカ・ユークレース
害虫駆除のお時間です
徹底的にやりましょう、こういうのは一匹見つけると30匹はいると思え、って言いますからね
某黒い名前を呼んではいけないあれのように

ピルグリムシップを狙いUC
威力重視の数を絞った光弾
誘導弾の一斉発射による範囲攻撃の弾幕にて爆撃、撃墜します

生き残りですか、まあ問題ありません。すぐに仲間の元に送ってあげますよ
クイックドロウのスナイパー、急所を狙った貫通撃。一撃必殺で行きます、一匹にあまり時間をかけられませんからね


アドリブ連携歓迎


シキ・ジルモント
産卵管の対策の為、自編律ビーム兵器「ムーンフェイス」を随伴
ムーンフェイスは金属製のカード型ドローン、無機物だ
生物でなければ寄生も出来ない筈
24枚のドローンに死角を含む周囲を監視・防御させ、避けきれない場合の産卵管の刺突から身を守る

ムーンフェイスと共に邪魔な敵を拳銃の射撃で倒して先へ
ピルグリムシップが射程に収まる距離まで走る
ハサミや産卵管の攻撃が視えたら、足を撃ち抜いて体勢を崩して妨害

射程範囲まで接近できたらユーベルコードでピルグリムシップを攻撃
キャバリアにも通る威力の特殊弾だ、これを連射して母艦を破壊したい
反動がきつく連射には向かないが可能な限り撃ち込む
こんなものを見逃すわけにはいかないからな


ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
自慢の視力で動きを盗み、先読み回避スタイル。D(空飛ぶ金貨達)を足場に蹴って空中戦や鏡面反射で死角をカバー。
もー、みんな爆発しちゃえば良いのに
空や壁を蹴ってピルグリムシップを領域内に捉えたら、本物を偽物に貶める贋作の悪魔の所業!【ネームド・スティール】
「爆発しない」、「ハサミ」、「産卵管」、「白さ」を素早く4回盗るよ!4回全て当てて「死ぬと爆発する」真っ黒な偽物になっちゃえ!そして偽物には死を。
ボクのユーベルコードはまだ続くよ!同名の対象はみんな道連れ。領域内のピルグリム達にも適用し一気に爆弾化。ピルグリムシップ内のピルグリムごと大爆発しちゃえ!ピルグリムは爆発するものだよ?(嘘)


七那原・望
本当になんなのです?あれ。
あまりにも異質というか、気持ち悪いですね……

恨みもなければオブリビオンでもないけれど、この世界に存在してはならない存在なのはわかります。なのでしっかり滅ぼさないとですね。

アマービレでねこさんを結界の中に収まる範囲でたくさん呼んだら多重詠唱結界術を展開。
決して結界から出ないようにして産卵管攻撃に対処を。

結界があるとはいえ万が一があると怖いので、ねこさん達には結界の周りに常に全力魔法での範囲攻撃を連発してもらい、近付くピルグリムを殲滅してもらいましょう。

わたしはとにかく魔力を溜めながら歌い続け、全力魔法のカドラプル・プリズム・レインボーを母艦に放ち続け徹底的に破壊します。


栗花落・澪
弱肉強食、向こうからしたら生存本能でもあるのかもだけど
犠牲者側からしたら産まれ方が最悪過ぎるね…

万一接近されても一瞬でもピルグリムを熱する事で隙を作れるよう
【オーラ防御】に炎魔法の【属性攻撃】を乗せて纏い
動ける範囲の【空中戦】で戦闘
乗られたら極力自力で焼き払いつつ振り払えるように
接近されること自体避けたいけどね

更に【指定UC】発動
巣、って事は密集してるんだろうし
敢えてバラバラなまま【破魔】が宿った炎の鳥達を操り
131匹いるうちの30匹ほどは一旦自分の周囲に残して
接近してくるピルグリムの一掃役に
残りの101匹は周辺のピルグリムを焼き払いながら母艦に突っ込ませ
炎の属性攻撃、【範囲攻撃】で【浄化】



●白き星の|巡礼者《ピルグリム》
 ピルグリムネストの領域へと突入した猟兵達の眼前に広がるのは、美しき空中庭園を侵す異形の白の群れ。
「本当になんなのです? あれ」
 このブルーアルカディアの世界においてもあまりに異質な|巡礼者《ピルグリム》は、赤いアネモネのオラトリオの七那原・望(封印されし果実・f04836)にとっても馴染めない存在。
「弱肉強食、向こうからしたら生存本能でもあるのかもだけど……」
 犠牲者側からしたら産まれ方が最悪過ぎる――栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の感想はこの場の誰もが抱いていてもおかしくないものだ。
「命を歪める不気味で恐るべき敵さんですね」
 普段穏やかな黒のケットシー箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)も、眼前の侵略寄生生物には警戒を顕わにしている。
「あまりにも異質というか、気持ち悪いですね……」
 嫌悪感を顕わにする望。その存在に恨みもなければオブリビオンであるかも分からぬ生物ではあるが、この世界に存在してはならない存在であるという事だけは分かる。
「害虫駆除のお時間です」
 徹底的にやりましょう、と愛用の機械弩『フェイルノート』を構えるのはバーチャルキャラクターのアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)。
 彼女の視線の先には白い巨大な卵のようなピルグリムシップがある。アレを潰さねば碌な事にならないと、猟兵達は直感する。
 そして侵入者に気付いたピルグリム達は猟兵達に近づいてくる。
 猟兵なら軽く躱せる緩慢な動作――しかしその数はすさまじく、頭部と尾の絶対に受けてはならない危険物だ。
 壮年の人狼、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は周囲に24枚組の銀色のカード型ドローン『ムーンフェイス』を展開する。
 自律的にシキに随伴しビームで迎撃するムーンフェイスは無機物、産卵した宿主の力量に応じ成長する特性を持つピルグリムはその性質上、無機物の兵器までにまでは産卵しない筈だ。
 万が一そうされた場合でも切り離す事も可能だが、そうなった場合はあまりよろしくない状況だろう。
「しっかり滅ぼさないとですね」
 そして望は周囲に結界を展開し、白い|タクト《指揮棒》『アマービレ』を振るって魔法猫を召喚する。
 結界内に足の踏み場もない位に魔法猫を呼んだ望は結界を更に重ねて展開し、産卵管を通さぬよう鉄壁の結界を編み上げる。
「確実に倒しましょう」
 仄々が|カッツェンナーゲル《ねこのつめ》という銘の細身の魔法剣を抜き、ユーベルコードを起動する。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
 精霊たちに呼びかけるような仄々と共に指揮棒の様に魔法剣を振るえば、645本の三属性の魔力矢が白き|巡礼者《ピルグリム》達を貫いていく。
 痛苦の声をあげるピルグリム達はその尾で魔力の矢を振り払い散らすが、仄々の魔力の矢は当たり前に世界に充る森羅を矢と成したもの。
 解けた魔力は風や水、炎へと還り、其々がピルグリムの陣を掻き乱していく。
 さらも望の結界内の魔法猫が全力の魔法を放ち、仄々の魔力矢を突破してきたピルグリムを吹き飛ばしていく。
 だがそれを気にせず、わさわさと接近してくるピルグリム、数が只管多い侵略生物はその尾で猟兵を亡き者にせんとする。
 猟兵の真上に金貨が舞い、その上を金色の悪魔が飛び跳ねつつダガーを投擲していく。
 彼女、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)の視力はピルグリムの緩慢な動きを見切り、先読みして攻撃を軽々命中させている。
 彼女を狙いピルグリムの頭部から産卵管が伸ばされるが、それをひらりと回避し別のダガーで斬り飛ばす。
 そんな彼女の横から更に空へと飛翔するのは澪だ。炎魔法で属性を付与したオーラを纏う彼は、火の鳥の如く空を舞う。
 仮に接近された場合でも熱して一瞬の隙を作らんと空中で身構える澪に、ピルグリムは高く飛び上がり、落下の勢いでその凶悪な尾を叩き付けんとする。
 命中すれば地上に堕とされるどころかユーベルコードを封じられてしまうだろう一撃、しかし空を得意とする澪はオラトリオの翼広げそれをひらりと回避。
(「しかし多いなあ……」)
 落下していくピルグリムから視線を切り、ピルグリムシップの方を見る澪。
 空から見下ろせばわかるピルグリムの配置――それは悍ましさすら感じる密度の群れで、ピルグリムネストという言葉に相応しい最悪の景色だ。
 いくら動きが鈍いとはいえこれだけ数がいて、その上で確実に相手を死に至らしめる攻撃手段を持っているのならば蹂躙されても無理はない。
 無論そんな未来は断固拒否、澪は空中でユーベルコードを起動する。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 破魔の力を乗せた様々な種類の鳥を象った炎の群れが澪の聖杖から放たれ、ピルグリムの群れにバラバラに飛び込んでいく。
 その数101、30程を迎撃用に周囲に残しつつ、澪は炎鳥の群れをピルグリムの群れにバラバラに突っ込ませ焼き払い、ピルグリムの群に突破口を開いていく。
「ここから突破する!」
 他の猟兵に告げて、シキは冷静にその突破口を埋めようとする個体を見極め恩人より継いだ実用的な拳銃『ハンドガン・シロガネ』を構え発砲。
 白き侵略生物の頭部が弾け、それを踏み越え他のピルグリムが迫ってくるが、ムーンフェイスのビームやアスカの矢が撃ち抜き猟兵達にピルグリムを寄せ付けない。
 最悪の場合盾にもできるムーンフェイスの調子も良好のようだ。
 炎鳥や魔力矢がこじ開けた道を進む猟兵、望の結界にピルグリムが尾を叩きつけてくるが結界は破れず、そして望の指示通り絶対に結界から出ず共に歩む魔法猫達に害はない。
 全力の魔法で寄ってくるピルグリムを吹き飛ばす魔法猫の上空では、撒いた空飛ぶ金貨『D』の大群を足場にユニが飛び跳ねつつダガーを使い捨てに迎撃していた。
 空中の彼女は目立つのか、頭部の産卵管を伸ばそうとしつこくピルグリムは迫ってくる。空中だから死角はほぼないとはいえ、ここまで狙われると流石にユニもうんざりしてくる。
「もー、みんな爆発しちゃえば良いのに」
 魔術で硬化させた短剣を使い捨てに投擲しつつユニもつい愚痴ってしまう。
 空に撒かれているDには小柄な仄々もお邪魔し、次から次に魔力矢を放ち道を切り開いていく。
 圧倒的な猟兵の遠距離攻撃にはピルグリムの数といえど猟兵にとって緩慢に見える動きでは本格的に近づく前に蹴散らされ、尾やハサミの出番もなかなか現れない。

 そしてピルグリムシップの前に猟兵は至る。
「あれは……金属じゃなさそうですね」
 ピルグリムシップの艦体――白く脈動する卵のようなそれを見上げ、仄々は呟いた。
 酷く大きな、キャバリアよりも高いそれの外壁から白き悪魔達が排出されていく。それのみならず、周囲からも押し寄せるピルグリムの群れ。
 それに対し望みは即座に鈴の音を響かせ結界を維持しつつ、歌を歌い始める。その歌――詠唱と等しいそれは長ければ長い程に威力を上昇させていくのだから。
 ただ、あのピルグリムシップを確実に滅ぼすには十分な詠唱が必要と判断し、防御を魔法猫と結界に任せ魔力を高めていく。
「食い止めます……!」
 仄々が土鈴を鳴らし魔力矢で迫りくるピルグリムを撃ち抜き、魔法猫が吹き飛ばしていく中、アスカはスナイパーゴーグルで照準を定めつつユーベルコード【|電子星装:獅子の衣《エトワールギア・モデルレオ》】を起動していく。
 アレを残していては幾らピルグリムを仕留めても補充されてしまう――そんな予感がある。
「こういうのは一匹見つけると30匹はいると思え、って言いますからね」
 主に台所に現れる名前を呼んではならない黒いアレも巣を潰さねば悪夢だ。ましてそれよりも性質が悪いのだから徹底的にやらねばと、
「獅子の如く……強く、美しく……煌めけ!」
 アスカの詠唱と共に彼女の体から装着型携行式固定砲台が生え、光弾を一斉発射する。数を絞り威力を高めた光弾はピルグリムの群れの上空で軌道を変え、ピルグリムシップの外壁に命中していく。
 右腕の鋏を振るいアスカを両断せんと迫るピルグリムの群れ、だが仄々の魔力矢に次々と撃ち抜かれ近づけない。
 合わせるようにシキもユーベルコードを起動。
「これなら、どうだ?」
 通常と色の異なる弾倉の特注弾を装填した拳銃を構え、ピルグリムシップへと発砲する。
 炸薬量を反動度外視に増量したその銃弾はシキの腕も痺れる程の反動があるが、キャバリアにすら通る威力はピルグリムシップの白き外壁を貫通し、風穴を開けていく。
 腕に変える反動を抑え込みつつシキは特殊弾をピルグリムシップに向けて連射する。
 連射に向かない弾ではあるが、あのピルグリムシップは何としてでも破壊せねばならない。
「こんなものを見逃すわけにはいかないからな」
 シキの仕事人としての責任意識が、その無茶を押し通させる。
 澪の炎鳥の群れがバラバラにピルグリムシップに命中し、白き外壁に命中した破魔の炎は爛れさせ焦がしていく。
 そこに仄々の三属性の魔力矢が着弾。炎熱で焦がし、激流を叩き付け砕き、そして暴風が切り刻んでいく。
 その混乱の中でもピルグリムは次々と産み落とされていく。
 混乱の中、ユニが密かにピルグリムシップへと接近していった。迎撃の為に白き卵のような外壁からぬるりと排出されたピルグリムが産卵管を伸ばしてくる。
 それを躱し、ユニがユーベルコード【ネームド・スティール】を発動。
 ――ここからが贋作の悪魔である彼女の真骨頂。
「――心囀る一度ひとたびの違和感。二度ふたたびの疑心。三度みたびの確信。四度よたびの烙印。その名に偽りあり」
 迎撃に現れた一体のピルグリムを対象に定め、鮮やかに”四つ”を盗賊魔術で盗み出す。
 右腕のハサミ、頭部の産卵管、体色の白、そして『爆発しない』という概念。
 本物を偽物に貶める贋作の悪魔の所業により狙われたピルグリムはピルグリムの贋作へと堕とされ、そして偽物には死が与えられる。
 そして彼女のユーベルコードはそれだけに止まらない。
「ピルグリムは爆発するものだよ?」
 ユニの領域は偽物に堕とされた対象の同名の対象を道連れにするという力は周囲のピルグリムをも道連れに爆弾化させ、そして盛大に弾けた。
 厳密には別型の名の違う個体もいたのかもしれないが、それらも他のピルグリムの爆発に巻き込まれ運命を共にすることとなる。
 その爆発の直前、望の詠唱が完了しユーベルコードが発動する!
「カドラプル・プリズム・レインボー!」
 同時、火風土水四属性の七本の超破壊光線が一直線にピルグリムシップを貫いた。
 周囲に残留していた炎水風の魔力の力も載せた全力の魔法、それにはピルグリムシップも耐えきれない。
 猟兵達の一斉攻撃にさしものピルグリムシップも耐えきれずに崩壊し、どろどろとした白い液体となって庭園より流れ落ち、雲海へと消えていく。
 その液体の中から生き残りなのか新たに生み出されたのか、ピルグリムがのそりと体を起こし猟兵達に襲い掛かろうとするが、
「生き残りですか、まあ問題ありません。すぐに仲間の元に送ってあげますよ」
 照準を定め直したアスカが固定砲台とフェイルノートから誘導弾を高速で発射し、頭部を次々に撃ち抜いていく。
 一匹一匹に時間をかけては包囲されてしまう危険もある。
 あまり時間をかけぬ為の一撃必殺――それを直撃させ続けるアスカを始め、残敵掃討にかかった猟兵達に速やかに滅ぼされる運命となった。

 空中庭園に異郷の|巡礼者《ピルグリム》の静かな眠りを願う、鎮魂の調べが響く。
 このどこまでも広がる海に還り、再び現れぬ事を願いつつ、猟兵はピルグリムシップの一つと周囲のピルグリムを完全に根絶したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月27日


挿絵イラスト