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アルカディア争奪戦㉕〜菫色の檻、緑の奈落

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #三皇『神農兀突骨』

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#三皇『神農兀突骨』


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「……ムシトリスミレ……って、知って……いる?」
 胡・麟星(きりん座・f36862)が首を傾げる。
 ムシトリスミレ――主に亜高山帯の湿った岩上などに生育する、菫に似た花を持つ食虫植物、だった筈だ。
 因みに捕食器官は葉であり、薔薇の花弁のような配列で地表に平らに広がってゆく。その表面に虫を捕らえるための粘液をつけた細かい腺毛がびっしりと生えており、そこに近づいてきた虫を捕らえるのだと言う。
「今から向かうのは……巨大ムシトリスミレの、迷宮よ。勿論……人も食べるわ」
 なにそれ怖い。
 聞くところによるとこれは蘇った神農兀突骨の仕業で、アルカディアの玉座に通じる空中庭園が、一様にこのような巨大食虫植物――否、巨大食肉植物の迷宮へと変えられてしまったらしい。
 今回攻略するのはその一部で、スミレのような花を足場にジャンプしながら目的の場所、即ちユグドラシルブレイドの下へと向かうのだ。ユグドラシルブレイドにさえ到達し、傷をつけてしまえば、迷宮や食肉植物は勿論、神農兀突骨本人も消滅すると言う。
「……でも、気をつけて。このスミレの花は……黙って足場に、なるわけじゃなく……何故か動くものを感知して……その葉へと叩き落とそうと、鞭のように……襲ってくるわ」
 なにそれ怖い(二回目)。
 これも勿論、神農兀突骨の仕業であり、猟兵が攻略に来ることはお見通し。故に、邪魔者を排除すべく『絶対制御コード』により自由自在に動く緑の迷宮を作り上げたというわけである。流石に一度敗れた身、この念の入れようである。
 なお本来、ムシトリスミレの葉の粘着力は弱く、小さな虫を捕らえることが多い。が、ここのムシトリスミレは関係ない。粘着力も強力だし、一度捕えれば上から花が押さえつけようとしてくる。
 そして気をつけて欲しいのが、麟星のように空を飛べる種族であったり、空中で行動できる能力を持つ者たちだ。『飛んで行けばよくない?』と思ったことであろう。残念ながらこの花の足場は伸縮自在であるため、空中でも容赦なく叩き落とそうとしてくるのである。何なのだこのフィジカル型植物は。
「……ただ、この植物も……無敵じゃないし、万能でも……ないから。やりようは……幾らでも、あると思うわ」
 ここまで、数多くの戦いを乗り越え、強くなってきた猟兵たちだから。
 今回も、皆であれば必ず攻略できると信じている――そう、麟星は微笑んだ。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 綺麗な花には棘があり、可愛い花には粘着力がある。
 ……嫌ですねそんなの。

 戦争シナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章:冒険『巨大食肉植物迷宮』

 迷宮を構成する巨大食肉植物をかわし、ユグドラシルブレイドを攻撃することでプレイングボーナスがつきます。
 つまり目的を達する強い意志を持ち、そのためにご自身のできる最善の手段を考えていただくことがとても大事です。

 断章なし、公開された時点で受付開始です。
 それでは、よろしくお願いいたします!
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第1章 冒険 『巨大食肉植物迷宮』

POW   :    植物を力任せに斬り払ったり燃やしたりして排除する

SPD   :    最小限の動きで罠を回避し、最短ルートを移動する

WIZ   :    魔法で植物の動きに干渉し、罠の作動を妨害する

イラスト:Hachi

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです

ペンギン🐧クルー集合!


氷結弾部隊×4
草刈り機部隊×2
バリア部隊×2
道案内ペンギン🐧

この構成でいくよ!
道案内ペンギン🐧の最短ルートを頼りに、草刈りペンギン隊で最短を取って進んで、ムシトリスミレの葉や花は氷結ペンギン隊で凍らせて安全な足場にしよう。
(靴選びで滑らない地形の利用で進む)

ユグドラシルブレイドを見つけたら氷結弾部隊で一斉射!バリア部隊は直掩してあげて!ぼくは隠し持っていた火炎弾でスナイプして、脆くなったところを草刈りペンギン隊でダメージを追加しよう!

うまく行ったらみんなとハイタッチ!🐧
みんなよく頑張ったね!




「ペンギン🐧クルー集合!」
 軽快な国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)の号令で、空飛ぶ花鯨を模したスカイクルーザーから、機械仕掛けのペンギンクルーたちがよちよちと降り立つ。
 その数、9羽。鈴鹿はそれぞれに役割を決め、部隊を割り振っていく。
 4羽から成る氷結弾部隊。2羽から成る草刈り機部隊同じく2羽から成るバリア部隊。そして部隊に属さない最後の1羽は、道案内ペンギン🐧。
「よし、今回はこの構成でいくよ!」
 びし! と羽で敬礼するペンギンクルーたち。
 まずは道案内ペンギン🐧が最短ルートを割り出し、草刈りペンギン隊が先んじて進んでゆく。
 道中、道を阻むように襲い来るムシトリスミレの花や、その下で口を開けるように待ち受ける葉には、氷結ペンギン隊の氷結弾が炸裂した。滑るが動くものを襲い、食らうことのない安全な道ができあがっている。
(「勿論、靴選びも万全!」)
 抜かりなく、滑らない靴で来ております。
 スイーッと滑るように進むペンギンクルーたちと共に、氷の地形もなんのその、悠々と鈴鹿は渡っていって。
 やがて、緑と紫ばかりだった視界が開け、遂にユグドラシルブレイドの姿が見えてくる。
 あれに傷をつけることさえできれば――!
「行くよペンギン🐧クルー! 氷結弾部隊で一斉射! バリア部隊は直掩してあげて!」
 鈴鹿の合図で、氷結ペンギン部隊が氷の弾丸を雨霰の如く射掛ける。
 バリア部隊はそれを守るように防壁を展開。何せ一度振るわれれば確実に相対する者を仕留める規格外の代物である。神農兀突骨本人がいないからと、油断はできない。
 鈴鹿自身も、隠し持っていた火炎弾を双式機関銃ナアサテイヤ・ダスラへと装填。バリアの隙間から覗かせた銃口で刃を捉え、狙い撃つ。
「草刈りペンギン隊! 今だ!」
 そうして脆くなった刃へと、草刈りペンギン隊が殺到して。
 ――ぱりん、と。
 傷が、否。割れる音が、ひとつ。
 刹那、無秩序な紫と緑はまるで霧が晴れるかのように姿を消し――辺りには、美しい庭園の光景が広がる。
 勿論、そこにユグドラシルブレイドの姿は、もうなかった。
「やった! みんなよく頑張ったね!」
 作戦は大成功。ペンギンクルーの皆と勝利のハイタッチ!🐧
 鈴鹿たちは見事、庭園を取り戻すと同時に、進むべき道を切り開いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
神農兀突骨と聞いて、私参上!忘れもしませんとも。
…ところでごっさん(兀突骨)、これ巻き込まれでは?

さて、この場合は私だけが一番よいでしょう。きたら即座にUC使用。
ついでに、足には足場習熟用式神を配置して、安定できるように。

何で感知してるかわからないんですけれど。まずは感知を担う一部分・視聴嗅覚での遮断ですよね。これがUC効果のひとつ。
で、触覚なんですけど…触れたとたんに忘れるので、こちらも問題はない。
ジャンプしてる最中でも、七色竜珠を念動力でぶつけたら、オーラもついてるので忘れる。

最後のユグドラシルブレイドは…せっかくですから、七色竜珠のビームを浴びせましょうかね。




 ――神農兀突骨と聞いて!
「私、参上! ええ、忘れもしませんとも」
 殲神封神大戦。総大将の張角を始めとして、アース系世界で言うところの中国奇書に描かれる人仙たちが多く集ったあの戦い。
 それはもう、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)も各戦場を駆けずり回ったものだ。
「……ところで|ごっさん《兀突骨》、これ巻き込まれでは?」
 依代として選ばれたばっかりに、異世界にまで出張させられる兀突骨である。|神農《かいぬし》、出過ぎだぞ。自重しろ。
 なんて思ってもここに神農本人はいない。仕方ないので当初の目的通りユグドラシルブレイドを破壊し、丁重にお帰り願うこととする。
「さて、この場合は私だけが一番よいでしょう。行きますか」
 植物が襲ってきたら、すぐにユーベルコードを発動できるよう備えつつ、足には足場習熟用式神を配置。いざ、城攻めならぬ迷宮攻め開始。
 早速、菫にも似た花がうねんうねんし始めるが。
「何故か伝はありませんが――その力、私がお借りいたします!」
 伝はなくとも確かに歴史に名を残す、湮滅将『宋謙』。彼は檬果に憑依すると同時に焔闇のオーラを展開。外からの感知と認識を完全に遮断した。
 この植物群が何を以て侵入者を感知しているのか、檬果には知る由もない。だが、ある程度推測することはできる。
 真偽の程は定かではないが、植物も五感を持ち合わせていると聞いたことがある。このユーベルコードでまずは視聴嗅覚を遮断。
 流石に足場にしたら触覚でバレるのでは、という懸念も無用だ。このオーラは触れた相手の記憶を奪う効果もある。
 進行ルートの足場にならない花に対しても、念動力を駆使して同じオーラを纏った七色竜珠をぶつけることで、認識阻害を。
 徹底的に存在を察知させない――その甲斐あって、檬果は花の攻撃に煩わされることなく、ユグドラシルブレイドの元まで辿り着くことが出来た。
「最後のユグドラシルブレイドは……せっかくですから、七色竜珠のビームを浴びせましょうかね。えいっ」
 七色竜珠が、その名の通りの七色の輝きを瞬く間に増して。
 オーラと共に、七本のビームを射出。影のような炎を纏った虹が、ユグドラシルブレイドの刃を貫いていく。
 やがて、ぱきりと何かが割れる音が迷宮内に響いたかと思うと。
 無秩序な紫と緑は夢が覚めるように消え失せて、そこに広がるのは美しい庭園ばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
食虫植物というと形がヘンテコだし、虫を食べるとか、見る分にはすごく楽しいんだけど、いざ自分が食われる立場となると別だな。

しかし、飛んでいっても食べに来るとか、さすがに用意周到。
敵ながら、その執念深さにはあっぱれを感じるよ。

ねばねばは液体だからくっつくわけで。
その前に凍らせてしまえば問題ないだろ。

UC【氷雪旋風】を発動。
絶対零度で植物を凍らせたところで、蛮刀『メルキュール』で刈り込んでいこう。
もう少しおとなしかったら、育てても良かったんだけどな。




 花みたいな食虫植物ってのもあるモンなんだなあと、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は迷宮を前にして感心すら覚えていた。
「食虫植物というと形がヘンテコだし、虫を食べるとか、見る分にはすごく楽しいんだけど」
 いざ自分が食われる立場となると別だな、と既にうねうねし始めている紫の花を眺めてしみじみと思う。
(「しかし、飛んでいっても食べに来るとか、さすがに用意周到。敵ながら、その執念深さにはあっぱれを感じるよ」)
 厄介ではあるが、それでこそ難敵の作り出した迷宮。攻略のし甲斐もあると言うもの。
 さて、今の自分の実力がどこまで通用するか、試してみるとしよう!
「ねばねばは液体だからくっつくわけで。じゃあ、その前に凍らせてしまえば問題ないだろ」
 ならばと。深呼吸ひとつ。
「氷の精霊よ。我の下に集い力を示せ――」
 ユーベルコード・|氷雪旋風《ヴァン・デ・グラス》の恩恵で、シモーヌの身体が絶対零度の冷気で覆われ、大気中の水分が凍る。ダイヤモンドダストを纏うように、凍って細氷と化した大気中の水分が微かに煌めいた。
「――そらっ!」
 蛮刀『メルキュール』を一薙ぎすれば、迫りくる紫が凍りつき。返す刃で刈り込めば、紫の花弁宿した薄氷は粉々に砕け散った。
 この調子で、進路上の花と言う花を刈り取る勢いで、シモーヌはどんどん進んで行った。彼女の通る道には紫の、時には緑の氷片が残るばかりである。
 そして、最深部に待ち受けるユグドラシルブレイドも、氷の刃をダイヤモンドダストと共に一閃。その刃に傷をつけると。
 まるで白昼夢でも見ていたかのように植物の迷宮が跡形もなく消え失せ、美しい空中庭園の光景が広がる。
 ほう、とその絶景に溜息を吐くシモーヌであったが。
 同時にふと先程の、動かなければ可憐な花と、変わった形状をした葉を持つムシトリスミレの姿を今一度思い出して。
「もう少しおとなしかったら、育てても良かったんだけどな」
 と、迷宮の踏破者は語るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
神農!
殲神封神大戦でもザンギャバスとかワームを知ってたし、お前オロチみたいに界渡りするやつだったのか!

しょくちゅーしょくぶつだな! 私を食べてもおいしくないぞ!
……いや、牛だしおいしーのかな……?

べちょべちょ葉っぱは触りたくなーい!
だからこうだ! 漲る【覇気】を籠めた【劉家奥義・祝融禍焔掌】!!
くさタイプにほのおはこうかばつくんだ!
全部燃え落ちる前に、茎を【軽業】ですいすい登って、花を踏んづけて【ジャンプ】! ぴょぃーん!

迷宮の制御に力を割いてるなら絶対先制は使えないハズ!
もくもくの煙に紛れて天覇強弓で射抜く!!
【功夫】の体捌きがあれば空中でだって正確に射れるぞ!
すばーん!!




「神農! 殲神封神大戦でもザンギャバスとかワームを知ってたし、お前オロチみたいに界渡りするやつだったのか!」
 思わず叫ぶ劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。ノーマークであったが、今にして思えば確かに思い当たる節は幾つかあった。
 さて、今回はそんなあらゆる意味で規格外の存在、神農の創り出した緑の迷宮を攻略すべく。
「しょくちゅーしょくぶつだな! 私を食べてもおいしくないぞ!」
 待ち受けるのは食虫どころか食肉植物と化した巨大ムシトリスミレの群生である。
 ……と、ここで涼鈴、ふと思う。
「……いや、牛だしおいしーのかな……?」
 彼女はキマイラ。牛の因子を有するキマイラである。
 牛肉判定――いやいや。涼鈴は頭を振って、考えるのをやめた。ちょっと怖い方向に思考が向かいそうだったので。
 気を取り直して、いざ迷宮へ。
「べちょべちょ葉っぱは触りたくなーい! だからこうだ!」
 漲る覇気を、闘気を、熱く滾る炎へと変えて。
 獲物を捕らえようと迫る紫と緑へ向けて、燃え上がる掌打の一撃を放つ!
「燃え尽きろ!」
 ぱん、と厚みのある花弁へとぶつかり、響く音は小気味よく。
 同時に、紫は赤へと包み込まれて黒く焦げ落ちる。くさにほのおはこうかばつぐん。かの有名なゲームだってそう言っている。
「っと、全部燃え落ちる前にー……」
 まだ火の回っていない茎を軽業ですいすいっと登り、花を踏んづけぴょいーんとジャンプ!
 邪魔な花は灰燼に。足場に使えそうなものを見極め、登ったり跳ねたりを繰り返して進んでゆくと。
「! あれだ!」
 炎と共に立ち昇った煙の先にゆらりと、ユグドラシルブレイドの影が見える!
 かの武器の脅威は絶対先制、そして一撃必殺。だが、力を『絶対制御コード』で迷宮の制御に割いている今なら、その力は行使できない筈だ!
(「このもくもくの煙に紛れて天覇強弓で射抜く!!」)
 軽やかに飛び上がり、きりりと弓を引き絞る。
 功夫の身のこなしで空中でもぶれることなく狙いを定め――完璧な姿勢から、天に覇を唱えるが如く、空をも貫く正確無比の一矢を放つ!
「すばーん!!」
 掛け声と共に、その鏃が刃をも穿ち。
 その罅割れからこの菫色の迷宮ごと粉々に砕け散り、辺りには美しい空中庭園が広がるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

待鳥・鎬
ムシトリスミレってこんなアグレッシブだったっけ!?
……これ採取できないかな
消えちゃうか、そか……

気を取り直して
採取できないならもう灼いちゃうか
花とか葉とか言わず、丸ごと全部

杞柳、おいで
UCが届く範囲全てのムシトリスミレを灼き尽くしながら進むよ
腺毛も焼け落ちたと思うけど、粘性が残っていたら厄介だから杞柳に借りた翼で【空中浮遊】状態になろう

もしまだ動けるやつがいても、少数相手なら十分【空中で戦】える
「鋼切」で攻撃を【受け流し】、返す刀で【カウンター】攻撃だ!

視認するより前に、神農様もUCの効果範囲に入っちゃうかもね
でも、ユグドラシルブレイドって灼けるかな?
駄目な時は鋼切に全力で【切断】してもらおう




「ムシトリスミレってこんなアグレッシブだったっけ!?」
 思わずツッコまずにいられなかった待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)。無理もない。
 少なくとも自らの花を鞭のようにしならせ獲物を叩き落とす――なんて習性はなかった筈である。あってたまるか。
「……これ採取できないかな」
 一周回って興味が湧いた。植物に対する向学心の強さ故に。
 しかし、残念ながらユグドラシルブレイドの消滅と運命を共にするもので。
「消えちゃうか、そか……」
 しょぼん。
 ――と、気を取り直して。
「採取できないならもう灼いちゃうか。花とか葉とか言わず、丸ごと全部」
 百害あって一利なしなら致し方ないことなのである。
 いや、残しておいたらどんな悪さするかわかったものではないですし! ね!
「杞柳、おいで」
 今はほんのり、公孫樹の淡金に色づく雪色の翼蛇が、応えるように一鳴きする。
 するりと溶けるように鎬の中へと消えてゆき、それと同時に鎬は淡く輝く翼を得る。
 光を湛え、羽ばたくと共に花々へと降る光が聖なる熱でその紫を、緑を灼いていく。
 そのまま、広げた翼で空中を泳ぐように、ふわりふわり、進んでゆく。
(「腺毛も焼け落ちたと思うけど、粘性が残っていたら厄介だからね」)
 万が一にもくっつかないように。
 そして――もしも燃え残りがいたとしても。
(「……うん、この数なら充分空中で戦えるね」)
 焦げつきながらもその首をもたげてきたのは、2本。
 すらりと打刀『鋼切』を抜き放ち、迫りくる花の鞭と向き合って。
(「『叩き落そう』と、してくるなら……軌道は、っと!」)
 ――上から。
 予測できれば受け流すのは容易い。
 そして空中で身体を靭やかに捻り、返す刃で反撃の一閃を――!
 花が首のように、ふわり落ちる。その残骸も、同じように光で灼いていった。
 そして、遂に辿り着いた目的の場所。
 けれど、その時には全てが終わっていた。
(「あ、やっぱり視認する前に効果範囲に入っちゃったか」)
 神農が、その携えるユグドラシルブレイドが、光に灼かれていく。
 いざという時のために抜身のまま構えていた鋼切を、そっと鞘に戻す。この分なら必要なさそうだ。
 刃も、花の迷宮も光に呑まれて消えてゆく。
「わぁ……」
 晴れた視界に広がるのは、鎬も息を呑むほど美しい空中庭園の光景――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月25日


挿絵イラスト