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アルカディア争奪戦㉓〜無上の群衆の長

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #レプリゼンタ・カンギ

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#レプリゼンタ・カンギ


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●幸運は象神に在り
 アルカディアの玉座に近い空中庭園。その一角は奇怪に増殖する植物群に覆われていた。
 その領域の中心に、崩壊した機械仕掛けのピラミッドのような建造物があり、一つの巨大な影が溜息を吐いていた。
『……私の意図を見破られたのか、或いは、彼等も『絶空獣の使徒』なのか』
 オブリビオンであるその存在は間違いなく植物で構成されており、だが外見は象神を模したかのような形だった。
 彼、『レプリゼンタ・カンギ』はアルカディアに招かれた故にそれを死力を尽くして支えるためにこの地にいる。新たな戦士団を編成したのもその為だ。
 これより訪れるであろう猟兵――それらを迎撃する為に、象神を象った植物は、雷を迸らせる。

 グリモアベース。
「六大屍人帝国も突破してアルカディアの玉座にも手がかかってきたわね!」
 白象のグリモア猟兵、祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が大きな声で猟兵達に呼びかける。
「だけどアルカディアの玉座を制圧するにはもうひと頑張りしなきゃいけないみたいなの。この象神爆殖核って空中庭園の領域が無限増殖する植物群に覆われていて、そこを支配している謎のオブリビオンを倒さないとアルカディアの玉座に支援が続いて攻略が難しくなるから、先にこっちから攻めるって訳ね!」
 戦場となる空中庭園の内部には植物群に邪魔されることはない、そう多喜は説明する。
「で、倒さなきゃいけないオブリビオンだけど、『レプリゼンタ・カンギ』って言う名前らしいの。どうもここで『帝竜ミドガルズオルム』の召喚を狙ってたみたいだけど、失敗したみたい。でもそれが無くてもとびっきりに厄介な力……っていうより『幸運』? があって、まともに攻撃が当たらないらしいのよ」
 攻撃が悉く何故か、偶然、回避されてしまうという非常に厄介な力なのだと白象は言う。
「対策になるけども、急所狙いや位置取りを上手く行って向こうの想定を覆す|致命的な一撃《クリティカルヒット》を決めることができれば幸運を凌駕してダメージを与えられるわ。その場合はユーベルコードじゃなくてもダメージ通るみたいよ! 攻撃自体は金剛杖から放電したり、自在に伸びる鼻に重力宿して強化してきたり、蓮華の華を纏わせて強化したり敵を植物化して洗脳したり……そんな感じね」
 カンギ自身相当強力なオブリビオンであるため、超幸運を抜きにしても作戦はしっかり練らないと厳しいかもしれないと、多喜は説明を終える。
「運なんて目に見えないから厄介だけど、皆ならきっと突破できるって信じてるわ! ……あ、そうそう言い忘れてた。カンギは植物と合体した象獣人みたいな姿をしているらしいわよ。象獣人なんて珍しいわねー」
 そんな事を宣いつつ、多喜はグリモアを取り出すとその光で猟兵を包み込み、アルカディアの玉座へ至る為の空中庭園へと転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 ぱおぱお。

 このシナリオはブルーアルカディアの『象神爆殖核』で『レプリゼンタ・カンギ』と戦うシナリオとなります。
 この領域は爆殖核と言う名の無限増殖する植物群に覆われていますが、植物群に邪魔されない崩壊した機械仕掛けの黄金ピラミッドの内部で迎撃に現れたカンギに決戦を挑む流れになります。
 カンギは『超常的な幸運力』を持っており、どんなに強力な攻撃でも何故か偶然回避されてしまいますが、想定を覆す|致命的な一撃《クリティカルヒット》を決める事ができればユーベルコードでさえなくてもダメージを与える事が出来ます。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……致命的な一撃クリティカルヒットを放つための作戦を考え、実行する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『レプリゼンタ・カンギ』

POW   :    歓喜天聖雷衝
自身が装備する【金剛杖アンクーシャ】から【放電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【パラライズ】の状態異常を与える。
SPD   :    歓喜自在鼻
自身の【自在に伸びる象の鼻】に【超重力】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
WIZ   :    歓喜攻性蓮華
【蓮華の花】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【肉体の植物化と世界樹への忠誠心】を誘発する効果」を付与する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリシア・マクリントック
【羊と狼】
まずはこれです。変身!ティターニアアーマー!力比べです!マリアはナイトフォームに。
格闘戦を仕掛けて攻撃を受けたら吹き飛びながら脱出……さらに剣で切りつける!アーマーの変形機構を一部動作させて壊れたように見せておきましょう。マリアや羊さんと連携して接近戦をしながら適当に攻撃を受け止めた時に剣を落とします。回収する余裕はないので撤退……するふりを。
念入りに接近戦型でもう手がないのを印象付ける……ベタですが。位置取りもある程度誘導できるはず。

遠くへ離れたら羊さんたちの攻撃のタイミングに合わせてティターニアアーマーを再起動、ディアナアローに変形させて攻撃……この一撃にかけます。月華一条!


蝶ヶ崎・羊
【羊と狼】
一緒に接近戦で魔法を至近距離で撃って
アリシアさんが剣を落とした辺りでUC発動してアリシアさんの撤退のフリを悟られないように効果力で炎の攻撃を浴びせ続けます
『オレは逃げませン。まダまダやりましョう?』
その攻撃の間呪詛で生命力をこっそり吸収してじわじわと行動力を削いでいきます

敵の攻撃はオーラ防御で固めて、敵の誘惑は耐えてみせましょう(狂気耐性を使用)

『クッ…こんなにも避けラれるとは…』
悔しがるフリをしてから多重詠唱による最大炎魔法を鎌鼬に込めて至近距離で
『…さぁ、その幸運で避けらレルなら避けテみてください』
避けられてもアリシアさんの攻撃が当たるなら喜んでこの命を削りますよ



●羊と狼と象神と
 象神爆殖核の領域にある崩壊した黄金ピラミッドーーガネーシャ・ゴープラムの中には迷宮のような景色が広がっていた。
 どのような機構で作動するのかも分からない停止した機械が所々に見える、大型の生物が通っていたような幅広のインド風の通路が続いていく。
 そしてその終点にて、大型の緑の象獣人らしき巨体が猟兵達を迎え撃たんと金剛杖を構えていた。
『招かれたからには仕方あるまい。猟兵よ、ここは守らせて貰う』
 その言葉と共にカンギの体表を形成する植物に蓮華が花開く。洗脳能力も有するが、能力向上の効果を優先したのだ。
 最初に仕掛けたのは狼のマリアを連れたアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)。
「まずはこれです。変身! ティターニアアーマー!」
 アリシアが叫びベルトにホルダーより取り出した鍵を差し込めば、戦闘用特殊強化装甲が瞬時に彼女を覆い全高6メートルもの巨大な超重装甲を纏った姿となる。
 巨大な装甲を纏ったアリシアと同時にマリアも四肢を強化するナイトフォームに変身し刃を咥え、二者は同時にカンギへとダッシュし距離を詰める。
「力比べです!」
 シンプルな格闘戦――アリシアは握り込んだ拳をカンギの頭部目掛け振り抜くが、カンギは巨体に見合わぬ身軽な動きでそれを回避し、金剛杖でカウンターを叩き込む。
 蓮華の花を自分自身で纏ったカンギの力は凄まじく、アーマー越しに一撃まともに喰らうだけで意識が飛んでしまいそうになる。
 彼女が飛び出したのから一拍遅れ飛び出したミレナリィドールの蝶ヶ崎・羊(罪歌の歌箱・f01975)は吹き飛ばされるアリシアと入れ違いに飛び込み至近距離から風の魔法を放つが、風は何故か狙った位置から外れ壁を破壊するばかり。
 超幸運はそう易々と突破できないという事か。
 吹き飛ばされたアリシアはそのまま距離を取る――事もなく、強引に体勢を整えて即座に両刃剣を構えカンギへと飛び掛かる。
 勇敢に戦うアリシアを支援する為に、マリアが飛び込み斬撃を放ち、羊の魔術が二者を支援する。
 だが、カンギには一つも直撃しない。
 正確に言えば命中しているものはあるが、致命傷や有効打になり得ない部位や威力の攻撃ばかりだ。
 各当選を仕掛けるアリシアに、カンギは巧みに金剛杖を鈍器として操り熟練の武技で圧倒していく。
 金剛杖を受けた衝撃にアリシアの装甲の一部が破損したかのように落下。
 更に追撃に放たれた金剛杖の一撃をアリシアは咄嗟に剣で防ぐ。しかし剣は受け止めはしたものの、カンギが力を込めると離れた位置の壁に弾き飛ばされ大きな音を立てて床に落下。
「あの位置じゃ……一度体勢を立て直します!」
 アリシアがそう羊に言い、マリアと共にカンギに背を向け通路を走り出す。
 しかし羊は彼女を見送る形でその場に留まりユーベルコード【皇太子に送る降臨歌】を起動。
「邪悪なる皇太子よ…黒き湖から我が歌を頼りに、我が身に顕現したまえ」
 彼の歌は詠唱となり、依り代にされた彼の体が黄衣の王へと変身する。
『オレは逃げませン。まダまダやりましョう?』
 寿命を代価に爆発的に増加した戦闘力で、詠唱に覚醒した歌が火炎を生じさせる。地獄の業火の如き魔術の炎がカンギを焼き尽くさんと放たれ続ける。
 だがそれらは悉くが逸らされ、金剛杖より放たれる雷撃に吹き飛ばされ、カンギの植物の肉体を傷つける事は叶わない。
 炎の術の間にも羊は呪詛により生命力を奪ってもいるが、それが生命の危機に直結しない量だからか中々カンギの動きが鈍る気配はない。
『クッ…こんなにも避けラれるとは……』
 迫ってくるカンギの攻撃を回避しながら普段の羊とは異なる響きの声で悔し気に呟き、術を放ちながら後退する。
 更にカンギは金剛杖より雷撃を周囲一帯に放ち焦がす。
 羊は纏うオーラでその電撃を軽減するも、ガード越しに伝わる凄まじい威力は彼の体を感電させ動きを鈍らせる。
 もはや絶体絶命、そんな圧倒的に有利な状況でカンギは手を止めいつの間にか誘い込まれていた通路の先を見る。
 そこにいるのはアリシアとマリア、接近戦を得手とし剣や拳の届かぬ距離では戦えない――そう徹底的に印象付けていた彼女。
 だからカンギはほんの一瞬油断してしまう。。
「空に輝く優しき月よ、この地に降りて闇を切り裂く一条の光を我が手に!」
 ユーベルコード【月華一条】を起動したアリシアの纏うティターニアアーマーが変形し、ディアナアローへと変形。
 その瞬間、黄衣の王は更に多重詠唱で炎魔法を重ね業炎を生みだし、鎌鼬に乗せて至近距離で放つ。
 自分への反動も在り得る決死の一撃、それはカンギの幸運を僅かに破り、その植物の肉体の一部が炎に焦がされる。
「……さぁ、その幸運で避けらレルなら避けテみてください」
 回避せんとするカンギの動きが鈍る。炎と同時に幸運を突破した羊の呪詛が、カンギの生命力を一瞬だけ急速に奪ったのだ。
「この一撃にかけます。月華一条!」
 アリシアの言葉と共に月光の如きやわらかな光が収束し、カンギに向けて放たれた。
 その月光の光矢は超幸運すらも凌駕し、カンギの体を射抜き壁に叩き付け縫い留めた。
『中々やる……が、まだだ』
 カンギが縫い留められた壁が何故か崩れ、拘束が解かれてしまう。
 光矢による傷も確かに刻まれているが、装備自体が彼女の力量に追いついていないのか、それ程の傷に放っていないようだ。
 だが、あの超幸運を突破して確かにダメージを刻み込む事は出来た。有効打を加える代償として命を削ったが、それでも羊に後悔はない。
 ユーベルコードを解除し元の姿に戻った羊はアリシアの元へと後退し、狼達と羊は一旦カンギの傍から離脱したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルエリラ・ルエラ
幸運?私と出会った時点で効果ないでしょ?
不運と踊っちまったってやつだよ

というわけで、攻撃に当たらないように『芋煮ハンドグレネード』のスモークタイプを投げまくって目を潰すよ
そしたらスモークを吹き飛ばそうとしに来るだろうから、それを利用して一緒に飛ばされて相手の死角位置へ。私は『私のブーツ』効果で飛ばされても平気だからね
狙撃準備が完了して、こっちを探してるとこで「こっちだよー」って位置を教えてあげるよ
今まで直線的な攻撃なんて幸運もあって退けて来ただろうし、私の姿も見えた事で絶対に油断すると思うんだよね
でも超幸運がだろうが硬かろうが、私の【アインス】はそれらごと全てを貫く
真っ当勝負が私の大作戦!



●ハンターと象神
 業炎と月の光矢に傷つけられた体を植物が補うように生長していく。
 撤退した猟兵達を追おうとカンギは動き出そうとしたその瞬間、通路に何かが投げ込まれ煙が通路を満たしていく。
『……煙幕か』
 それを投げ込んだ青髪のエルフの少女はルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)。一つだけではなく次々にスモークタイプの『芋煮ハンドグレネード』を投擲し、カンギの視界を封じんとする。
 だがカンギはその長い象の鼻に超重力を宿し、ハンドグレネードが投げられた方向に向けて鼻を伸ばしスモークを吹き飛ばさんとする。
 それを直感的に危険と判断したルエリラは後方に跳躍すると同時にブーツに魔力を通す。
 魔力を通したルエリラのブーツには翼が生成されている。その効果で機動力が高まっている彼女は、伸ばされる鼻以上の速度で後退し、鼻が壁に衝突したタイミングで横道に飛び込み気配を消した。
『……どこだ』
 通常のゾウの視界は酷く広い。それとは多少異なるもののカンギの視界は広く死角に潜り込むのは難しい。
 それでもルエリラは大きく回り込んで何とかカンギの真後ろへと移動すると、ユーベルコードの準備――魔力で矢を形成する。
 そして、
「こっちだよー」
 わざと声を発し、カンギは真後ろのルエリラに振り向く。
 矢を構えたルエリラ姿に何のおかしなところもない。ただ真っ直ぐ射貫くという意志を、彼女の青瞳は示している。
 これまでどれ程の危機を幸運で、その武芸で回避してきただろう。カンギはほんの少しだけ油断をしてしまう。
 しかしその油断こそがルエリラの狙った物。
「貫かせてもらうね」
 手を放し、魔力の矢が一直線に放たれる。
 やはり何のおかしな点もない唯の魔力の矢だ。金剛杖で弾けば済む――しかし、横から殴りつける金剛杖を矢はすり抜ける。
 驚愕するカンギ、その胴体の中心を矢が貫いた。
「幸運? 私と出会った時点で効果ないでしょ?」
 不運と踊っちまったってやつだ、とルエリラは呟く。超幸運だろうと硬かろうと、彼女の【貫通する矢】は防御も空間も関係なしに貫く性質のものだ。
 だが、超幸運により僅かに中心からずれていたのか、強靭な生命力故か、カンギは倒れる事無くルエリラを睨んでいる。
『真っ当な勝負で負ける、とはな』
 カンギは呟き、超重力の鼻を伸ばしエルフを貫かんとする。
 ルエリラは即座に残っていたハンドグレネードをばら撒きつつ、煙幕を張って一時戦場を離脱したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
同じ象さんでも多喜さんとは大違いですね!
カンギさんを海へと還しましょう

竪琴を奏でて
ピラミッドやその内部の機械を魔力へと変換

カンギさんが機構を用いて隠れたり
奇襲や防御する機会を削ぎます

更に変換した魔力を用いて
蓮華の花を燃やし
激流で押し流し
烈風で吹き飛ばします

そして攻撃後も
舞う火の粉や靄、風の音が
カンギさんの五感を削ぎます

そんなカンギさんを更にまた魔力で追い討ちします
そして火の粉や靄、風の音も厚く強くなります

こんな感じで畳み掛けていけば
カンギさんに逃げる術はありません

幸運は羨ましいですが
可能性がゼロであれば意味を持ちません

三魔力の渦に巻き込み海へ誘います

終幕
演奏を続け鎮魂の調べに

海で静かな眠りを


栗花落・澪
万一の為に自身に【オーラ防御】を纏い
可能な範囲での【空中戦】
あちらの攻撃は基本回避を重視

友達にも幸運な子はいるけど
限界の無い幸運なんて無いと思うから

蓮華の花は【高速詠唱】で紡いだ炎魔法の【属性攻撃】で相殺を狙い
更に【指定UC】発動
バラバラに突撃させ逃げ道を奪い

更に★Candy popをカンギさんの足元に放出
ただの飴じゃない
全部僕の魔力だから

【多重詠唱】で植物魔法の属性攻撃
急成長させた蔦でカンギさんを捕らえ
動きを封じつつ炎を引火させ【破魔】の炎で燃やすように

それでも避ける?
偶然の幸運、何が起きるかわからないもんね

でも
もう逃がさないよ

武器を鎌に持ち替え
急所を狙ってダメ押しの【なぎ払い】



●黒猫と金蓮花と象神と
 青のエルフの少女が放った煙が晴れ、通路の見通しが良くなっていく。
 その先に現れたのは黒猫と金蓮花のオラトリオの少年二人。
「同じ象さんでも多喜さんとは大違いですね!」
 この領域に転移させたグリモア猟兵の姿を思い出しながら黒い毛並の箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は懐中時計のボタンをポチっと押して愛用の竪琴を展開する。
「友達にも幸運な子はいるけど……限界の無い幸運なんて無いと思うから」
 そしてオラトリオの翼広げ空中へと舞う栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は呟き、術の詠唱を開始する。
『させぬ!』
 即座にカンギが飛び掛かり、金剛杖で直に打ち据えようとするが、空中は澪の得意な領域だ。
 軽々とカンギの一撃を回避した澪は距離を取りつつ高速で炎の術を詠唱し牽制する。
 術の炎を回避しつつカンギが蓮華の花を纏う中、仄々が演奏を開始する。
「さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
 仄々が楽しげな声で蒸気機関式の竪琴の音色を響かせると、崩壊した遺跡、そして機械類――無機物が炎と水、風の魔力へと変換されていく。
 ユーベルコード【トリニティ・シンフォニー】により隠れたり利用したりできる地形が魔力に変換され、更に魔力は蓮華の花を風に散らして炎で焼き払い、そして激流の如き水の魔力に押し流されていく。
 それらはカンギ自身には幸運で阻まれダメージを与えられない。しかし、蓮華を覗いてなお渦巻く三属性の魔力は火の粉や靄として風に舞い、五感を封じていく。
『ならこれはどうだ』
 カンギが呟き、蓮華の花が彼の体から咲いてふわりと宙に放たれる。
 仄々と澪をを洗脳し植物化させんとするばら撒かれる恐るべき蓮華の花を、澪は炎の魔法で空中にあるうちに迎撃し焼き払った。
 一部燃え残りが澪に降りかかろうとするがそれは纏うオーラで退け、更にユーベルコードを起動、
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 様々な種の鳥の姿を模した131の炎塊が澪から放たれ蓮華の花を焼きながらカンギの周囲にバラバラに突撃し、包囲する。
 更に仄々の演奏が転調し、変換された魔力がより激しくカンギに襲い掛かる。
 熱と音、景色を霞ませる霧はカンギにしつこく纏わりついて、その感覚を更に封じる。
 逃げるべき地形も魔力に変換されて失われ、方角すら見当のつかない状況。
「幸運は羨ましいですが、可能性がゼロであれば意味を持ちません」
『だがこれでは決め手にはなるまい』
 仄々の操作する魔力の渦は攻撃力も有している筈だが、カンギの豪運に阻まれ上手くその効果を発揮できていない。
 何とか魔力の渦や飛び回る炎鳥を突破せんとカンギが金剛杖を振るう。
 その時、象神の足元に可愛らしい飴玉が転がってくる。
 それは澪が小瓶から取り出した魔法の飴玉――それらすべてが彼の魔力だ。
 飴玉の潤沢な魔力で火の魔術と並行で植物魔法を紡ぎあげ、床の隙間から伸びてきた蔦がカンギに絡みついていき、鳥型の炎塊がそれに延焼する。
 通常なら幸運に弾かれるか強引に突破されてしまうだろう澪の植物の術だったが、
「カンギさんを海へと還しましょう」
 より激しく嵐のように奏でられる竪琴に合わせるように三属性の魔力は渦を巻き、カンギの動きを縛り封じ脱出の隙を与えない。
『ぬおぉぉぉっ!?』
 縛られたカンギを縛る蔦を焼くのは鳥型の破魔の炎、蔦から延焼したそれは植物で出来たカンギの体にも延焼し焦がしていく。
 しかしまだ、炎鳥自体は幸運に阻まれ上手く直撃せず、更に何故か天井から莫大な――植物が蓄えていたのが何らかの偶然で溢れた水がカンギと周囲の炎塊を消火する。
「偶然の幸運、何が起きるかわからないもんね」
 まだ超幸運は機能している、それはこの酷い偶然があった事からも明らかだ。
 でも、
「もう逃がさないよ」
 既に澪は武器を鎌に持ち替えている。虚空から舞い吹雪く赤い花弁により形成された薄紅の鎌を携えた澪は、空中からカンギの背に回り込んでいた。
 焼けたとはいえ縛りつける植物魔術の蔦、魔力の渦。これだけ動きを縛られた状態から逃れられるような偶然を、カンギの超幸運は引き寄せる事ができなかった。
 薄紅の鎌は薙がれ、偶然の介入する余地なくカンギの胴がその急所ごと両断された。
「……見事!」
 その言葉を最後にカンギの上半身は地面に落ち、そのまま浄化の炎に焼かれ消滅したのであった。
 
 主を失った崩壊した遺跡に、ケットシーの鎮魂の竪琴が響く。
 海で静かな眠りを――そう仄々は静かに願うのであった。
 かくして超豪運を有する謎の植物のオブリビオンを撃破し支援を断ち切った猟兵達は、次なる戦いへと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月26日


挿絵イラスト