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銀河帝国攻略戦㉕～宇宙のサムライ！再来！

作者：夢月

●インペリウムを攻略せよ！
「いよいよインペリウムに乗り込むわよ！」
　カナタ・アマガが、集まった猟兵達に今回の作戦を説明し始める。
「銀河帝国の防衛線を突破したウチら『解放軍』は、帝国旗艦インペリウムとの戦闘に入ったわ」
　『解放軍』のスペースシップが集中砲火をしているが、流石の旗艦には、ほとんど効果がない。
「インペリウムを落とすには、やっぱり中から崩すしかないわ」
　そのために、猟兵達の戦艦内部への直接転移による強襲、というのが今回も作戦だ。
「当然、皇帝の旗艦、内部には帝国の精鋭部隊がいるわ。苦戦は免れない。でも目的はあくまで敵艦の戦力を削ることよ。可能な限り、敵との交戦を避けていきましょ」
　カナタは作戦の説明を終えると、グリモアの起動に入る。
「それじゃ！行くわよ！」
　テレポートが発動し、猟兵達はインペリウム内部へと転送された…。

●待ち受けるサムライ
　インペリウム内部へと辿り着いた猟兵達。そこは大きな通路であった。
「転送完了！作戦開始よ！」
　カナタの声に全員が作戦行動に移ろうとしていたその時だった。
「お待ちしておりもした」
　猟兵達の行く手を遮る者が。
「何！？」
「そんな！？転移する場所が読まれてたのか！？」
　すぐ様、戦闘態勢に移る。
「おはんらはここでおいに斬られてくだせ」
　帝国騎士は、サムライブレイド型のフォースブレイドを上段に構える。
「まさか…“人斬り”ハンベエか！」
　かつて帝国の暗殺部隊して数々の要人を葬り去り、以前その圧倒的な剣技で、猟兵達を苦しめたサムライが、再び猟兵達の前に立ちはだかるのだった。

第1章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド 【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。 SPD   :    ダークフォースバリア 自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    インペリアルフラッグ 【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「うぉお！！」
「はぁあ！」
　二人の猟兵がハンベエに同時に攻撃をしかける。だが、ハンベエは、
「遅い！」
　二人の攻撃が当たるよりも前に、その神速の剣撃を放つ。
「ぐぁ…！？」
「がぁはっ…！？」
　ハンベエの剣を受け、倒れ伏す二人。
「くそっ！なんて奴だ！」
　敵のあまりの強さに、空見・彼方（ゾンビアタッカー・f13603）は悪態をつく。
「やべ、薬のんでねぇってのに…おお畜生。やったらぁ！」
　彼方はやけくそ気味に、ネイルガンでハンベエに挑む。彼よりも早く彼の所有する人形、【空白】はハンベエに襲いかかっていた。短槍でフォースブレイドと打ち合ったかと思えば、血のオーラを纏った包帯を死角から放つ。人間には凡そ不可能な芸当の攻撃にも、ハンベエは動じない。フォースブレイドの柄の部分が伸び、薙刀のように振るい、ネイルガンも包帯も【空白】もまとめて吹き飛ばす。
「くっそぉおお！」
　自分を奮い立たせるように雄叫びをあげながら、彼方は攻撃を続ける。他の猟兵もそれに続く。ハンベエはその全てを力付くで跳ね除ける。まさに圧倒的だった。
「私の技量じゃ…何もできない…」
　フローリア・ヤマト（呪いと共に戦う少女・f09692）は、ハンベエの圧倒的な強さに呟く。黒い影のようなオーラを纏った刀を構えたまま、打ち込めない。敵の圧倒的技量差から動く事すら出来ずにいたのだ。
「弱き者にこの場に立つ資格はありもはん」
　ハンベエは、彼女を見逃さない。
「フローリア！逃げろ！」
　誰かが叫ぶ。が、彼女が気づいた時には、ハンベエは既に彼の間合いに彼女を捉えている。刀で咄嗟に防ごうとする。ユーベルコードで強化されたはずのそれは、ハンベエの一刀で弾き飛ばされる。ハンベエは念動力で作り出した帝国の旗をフローリアへと放つ。それを防ぐ術はない。
　ーーやられるっ…！
　フローリアは、死を覚悟する。帝国の旗は、フローリアを突き飛ばした彼方を深々と貫く。
「ごふっ…！」
　口と傷口から大量に出血しながら倒れ伏す。
「彼方さん！！」
　フローリアが呼びかけるが、彼方はピクリともしない。
「その覚悟、お見事」
　ハンベエは賞賛をしつつ、フローリアにもう一撃を与えようとする。が、
「隙ありってね！」
　倒したはずの彼方が背後から至近距離でネイルガンを放つ。放たれた釘を、すぐさま剣で防ぐのは流石サムライ。しかし、ガクンとその剣を持つ手が下がる。彼方の釘には、命中したモノに過重を加える能力があるのだ。一瞬出来た隙に、フローリアと彼方は距離を取る。
「あ、ありがとうございます！お、お怪我は…！？」
「あぁ、気にするな。俺は死なないからな！」
　いつのまにか傷が塞がっている彼方。再び彼は、ハンベエへと向かっていく。
　ーーなんて強い人なんだろう…それに引き替え私は…。これじゃただの足手まとい…
そうなるくらいなら…こんな事やった事ないけど…！
　フローリアは、意識を集中させる。彼女の影が、四方に伸び、味方の猟兵達の身体や武器に纏わり付いていく。
「こ、これは…！」
「これで…皆さんの力が…強化される…はず」
　フローリアが膝をつく。本来自身を強化するはずの力を無理矢理味方全員に使った
のだ。その疲労は想像以上だ。
「お、おい！しっかりしろ！」
　今度は彼方がフローリアに呼びかける。
「大丈夫…意識が飛んでも30分は持続する能力だから…あ、後は、頼み…」
　そう言い残して彼女は意識を手放した。彼方は暫く彼女を見つめた後、
「おい、もっと派手にやっていいぞ」
　【空白】に告げる。彼女は、待ってましたと言わんばかりに賑やかな音を立てて、短槍を変形させる。それは相手を斬り落とす枝切り鋏のようだった。
「さっきはいい一撃ありがとよ。こっからは礼だ。殺されてでも銀河皇帝への道、押し通らせてもらうぜ」
　彼方は、ハンベエにそう挑戦状を叩きつける。仲間もそれに続く。フローリアの思いを受け、ハンベエを討つべく、猟兵達の反撃が始まった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「人斬りか、一対一ならともかく、戦争は私の、ウォーマシンの分野だ。押し通らせてもらう」
　テリブル・カトラリー（女人型ウォーマシン・f04808）は砲撃用の装備を展開する。
「どうせ敵の艦。壊してしまっても、構わんのだろー。派手に行こう」
　テリブルの隣で、響・夜姫（真冬の月の夢・f11389）もまた機動浮遊砲盾【サバーニャ】を展開し、照準をつける。
「では、ふぁいやー」
　夜姫の合図で、二人は一斉に攻撃を開始する。勿論、この程度の攻撃で倒れてくれる相手ではない。だが、ハンベエの対処を上回る飽和攻撃を続けることでいずれは対応出来なくなる。二人の攻撃が尽きるのかハンベエが力尽きるのかいわば根比べだ。激しい猛攻撃に、船内の天井や床、壁が次々と吹き飛ぶ。それでも致命的な損傷にならないのは流石は帝国の旗艦といったところか。
「その意気やよし。おいも受けてたちもす」
　ハンベエは、集中砲火のほんの僅かな合間をぬって、斬撃を飛ばす。
「くっ！？」
　テリブルが咄嗟に前に出てガントレットで受ける。切断された腕が弾け飛ぶ。その煙を潜り抜けてハンベエがテリブルに迫る。
「もらった！」
「させなねぇわ！！」
　テリブルに剣を振り下ろそうとしたハンベエに触叢・アン（銀河疾風・f01011）は、宇宙原付による体当たりの一撃を御見舞いする。完全に不意をついた攻撃は、即座に軌道を変えた剣に斬りふせられる。だが、斬られる直前にアンは跳躍、空中で自らのタンクトップをビリビリと破き捨てる。
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ！」
　空中で無数の分身が現れる。
「とぉ！　ふぅらっしゅ！Ah～～～♪」
　無数のアンが空中からハンベエ目掛けて渾身の蹴り。ミリオンライドアタック。服を脱ぎ、さらに速くなった彼女の一撃はもう止まらない。
「ぬぉおお！？」
　さしものハンベエも無数の蹴りを剣で防ぎきることは出来ず、オーラによって堪える。その為彼の動きはその場で止まる。テリブルはその隙を待っていた。
「喰らいな」
　ハンベエに肉薄したテリブルは、先程破壊されたはずの腕にいつのまにかゴツい金属の拳が装着されている。ブースト・ウォーアーム“加速・戦闘腕”。ゼロ距離の相手に一撃を叩き込むテリブルの兵装。
「ごぁ！？」
　まともに受けたハンベエの身体には拳のめり込んだ跡が残る。
「まだだよ！」
　テリブルは腕に仕込まれた内蔵マシンガンで追撃する。
「ちぇーんですまっち。ふぁいやー、２回目」
　いつの間にか接近した夜姫も至近距離から砲撃。フルバースト・マキシマム。
「のぁああ！？」
　オーラを貫通し、ハンベエの纏う黒衣に銃弾が穴を空け爆風が襲う。それでもサムライは倒れない。オーラで出来たサムライブレイドが、一際大きくなったかと思うと使い手の身を守るべく盾となる。
「今のを防ぎきるかねぇ…！」
「ふしちょう…なのか…？」
「サムライはだてちゃうなぁ…！」
　フローリアによって強化された三人の攻撃を、ハンベエは耐え切ってみせたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「この世界で貴殿のようなサムライに出会えるとはな。当方、黒騎士鎧のルパート・ブラックスミス。いざ、尋常に勝負」
　怒涛の全力攻撃で力を使い果たした三人に剣を向けようとしたハンベエに、立ちふさがったのは、黒い鎧姿のルパート・ブラックスミス（独り歩きする黒騎士の鎧・f10937）だ。
「そこをどいてもらいもす」
　ハンベエが、斬撃を放つ。
「我が血はもはや栄光なく、されど未だ闇に消えず…！」
　ルパートの声に呼応して、鎧の中から染み出してきた燃える鉛が大剣にまとわりつく。それを、彼は斬撃に乗せ、飛ばす。ぶつかり合う剣撃同士。ハンベエの方が一歩上手だった。飛んでくる斬撃をルパートは大剣で受け止める。業同士のぶつかり合いによって威力が弱まった斬撃は彼一人で十分防げた。
「あの時のサムライ……リバイバルしていたのネ。オゥケィ、ここでエンドにしてやるネ！」
　チトセ・シロガネ（チトセ・ザ・スターライト・f01698）が、ルパートの脇から飛び出す。
「おぉ、あの時の剣士！おいも借りを返せてよか！」
「そんな返済はノーセンキューネ！」
　言うなりチトセは、四肢に装備した四本の光の刃を繰り出す。次々と繰り出される連撃は、一度見た剣士には通用しない。
「自分を忘れてもらっては困るな」
　ルパートもその剣戟の中に加わる。ルパートは結ばれた念動力の鎖を利用して動きを封じ込めようとする。
「ぬぉおおおお！！」
　ハンベエは、二対一になっても一歩も怯まない。そして、ルパートに一撃を叩きこむ。彼にとってルパートはまだ、見切るに容易い相手だったのだ。が、それは、ルパートの誘いだった。彼は手にした大剣を手放す。空中でぶつかり合う剣。そして、鎧内に格納していた短剣を突き出す。それには、先ほどの燃え盛る鉛が纏わせてある。
「むぅ！？」
　先ほどまでの大振りの攻撃とは真逆の鋭い一撃に、対応が遅れる。深々と脇腹に突き刺さり、ハンベエの内側から焼く。
「このぉ…１」
　ハンベエは、空中に帝国の旗を出現させる。そのままルパートを貫くつもりだ。
「それを待ってたネ！！」
　チトセが右手を突き出す。それまでとは違った大きな光刃をぶつける。敵のユーベルコードにぶつけることで相殺する『アークスラッシャー“破邪光芒”』。彼女は、以前見たこの技を出すタイミングをずっと伺っていたのだった。
「これでフィニッシュネ！」
　チトセがさらに踏み込んで、逆袈裟に切り上げる。
「がはっ…！」
　ハンベエが膝をつき、手にしていたフォースブレイドが消失する。
「また、敗れる…か…」
「見事な剣技だった。“人斬り”……否、"剣士"ハンベエ。その名前、覚えておくぞ」
「アンタは強かったネ。でも、ボクらは一人で戦ってるわけじゃないネ。それがアンタとのディファレンスネ」
「ふふ、おいが負けるのは…当然か…」
　自嘲気味に笑って、サムライは、塵となって消え去った。

　傷ついた猟兵達は、一度引いて態勢を立て直すことにする。サムライの名前を心に刻んで…。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月18日